(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024018
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】フレーム一体型マスク
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20220201BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220201BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220201BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/14 A
H05B33/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021182931
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2020514479の分割
【原出願日】2018-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0067396
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519150603
【氏名又は名称】オルム マテリアル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン,テク ヨン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マイクロディスプレイの超高画質画素を具現することができるフレーム一体型マスクを提供する。
【解決手段】本発明によるフレーム一体型マスク10は、シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスク10であって、マスクパターンを含むマスク20と、マスクパターンが形成された領域20aを除いたマスクの領域20bの少なくとも一部に接合されるフレーム30と、を含み、マスク20は、シリコンウェーハに対応する形状を有し、フレーム30と一体に連結されることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクであって、
マスクパターンを含むマスクと、
マスクパターンが形成された領域を除いたマスクの領域の少なくとも一部に接合されるフレームと、を含み、
マスクは、シリコンウェーハに対応する形状を有し、フレームと一体に連結される、フレーム一体型マスク。
【請求項2】
マスクの形状は、円状である、請求項1に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項3】
フレームは、
マスクに連結される連結フレームと、
連結フレームの下部に一体に連結され、マスク及び連結フレームを支持する支持フレームと、
を含む、請求項2に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項4】
連結フレームは、円状のリング状である、請求項3に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項5】
マスクの外周方向に沿って、連結フレームに付着されたマスクの幅は一定である、請求項3に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項6】
マスクは、マスクの外周からフレーム方向に引張力が加えられた状態でフレームと一体に連結される、請求項2に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項7】
マスク及びフレームは、インバーまたはスーパーインバー材である、請求項1に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項8】
フレーム一体型マスクは、OLED画素蒸着のFMM(Fine Metal Mask)として使われ、
マスクは、画素が蒸着されるシリコンウェーハ基板に付着され、フレームは、OLED画素蒸着装置の内部に固設される、請求項1に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項9】
マスクパターンの解像度は、少なくとも2,000PPIよりも高くなる、請求項1に記載のフレーム一体型マスク。
【請求項10】
マスクパターンは、上部から下部に行くほど幅が広くなる、請求項1に記載のフレーム一体型マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム一体型マスクに係り、より詳細には、シリコンウェーハ上に画素を形成する時に使用し、フレームとマスクとが一体を成して、マスクの変形を防止することによって、高解像度を具現することができるフレーム一体型マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、薄板製造において、電鋳メッキ(Electroforming)方法についての研究が進められている。電鋳メッキ方法は、電解液に陽極体、陰極体を浸漬し、電源を印加して、陰極体の表面上に金属薄板を電着させるので、極薄板を製造し、量産を期待することができる方法である。
【0003】
一方、OLED製造工程で画素を形成する技術として、薄膜の金属マスク(Shadow Mask)を基板に密着させて、所望の位置に有機物を蒸着するファインメタルマスク(Fine Metal Mask、FMM )法が主に使われる。
【0004】
既存のOLED製造工程では、マスク薄膜を製造した後、マスクをOLED画素蒸着フレームに溶接固定させて使用するが、固定させる過程で大面積マスクの整列がよくできないという問題点があった。また、フレームに溶接固定する過程において、マスク膜の厚さが過度に薄く、大面積であるために、荷重によってマスクが垂れるか、捻じられるという問題点があった。
【0005】
超高画質のOLED製造工程では、数μmの微細な整列の誤差も画素蒸着の失敗に繋がることができるので、マスクが垂れるか、捻じれるなどの変形を防止し、整列を明確にする技術などの開発が必要な実情である。
【0006】
一方、最近、VR(virtual reality)機器に適用されるマイクロディスプレイ(micro display)が注目されている。マイクロディスプレイは、VR機器でユーザのすぐ目の前で映像を表わすために、既存のディスプレイよりもさらに小さな画面サイズを有しながらも、小さな画面内で高画質を具現しなければならない。したがって、既存の超高画質のOLED製造工程に使われるマスクよりもサイズが小さいマスクパターンと、画素蒸着工程前にマスクのさらに微細な整列と、が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来技術の諸問題点を解決するために案出されたものであって、マイクロディスプレイの超高画質画素を具現することができるフレーム一体型マスクを提供することをその目的とする。
【0008】
また、本発明は、マスクの整列を明確にして、画素蒸着の安定性を向上させうるフレーム一体型マスクを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクであって、マスクパターンを含むマスクと、マスクパターンが形成された領域を除いたマスクの領域の少なくとも一部に接合されるフレームと、を含み、マスクは、シリコンウェーハに対応する形状を有し、フレームと一体に連結される、フレーム一体型マスクによって達成される。
【0010】
マスクの形状は、円状であり得る。
【0011】
フレームは、マスクに連結される連結フレームと、連結フレームの下部に一体に連結され、マスク及び連結フレームを支持する支持フレームと、を含み得る。
【0012】
連結フレームは、円状のリング状であり得る。
【0013】
マスクの外周方向に沿って、連結フレームに付着されたマスクの幅は一定であり得る。
【0014】
マスクは、マスクの外周からフレーム方向に引張力が加えられた状態でフレームと一体に連結され得る。
【0015】
マスク及びフレームは、インバー(Invar)またはスーパーインバー(Super Invar)材であり得る。
【0016】
フレーム一体型マスクは、OLED画素蒸着のFMM(Fine Metal Mask)として使われ、マスクは、画素が蒸着されるシリコンウェーハ基板に付着され、フレームは、OLED画素蒸着装置の内部に固設され得る。
【0017】
マスクパターンの解像度は、少なくとも2000PPI(pixel per inch)よりも高くなり得る。
【0018】
マスクパターンは、上部から下部に行くほど幅が広くなり得る。
【発明の効果】
【0019】
前記のように構成された本発明によれば、マイクロディスプレイの超高画質画素を具現することができる。
【0020】
また、本発明によれば、マスクの整列を明確にして、画素蒸着の安定性を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来のFMMを用いたOLED画素蒸着装置を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるフレーム一体型マスクを示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるマスクパターンを示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【
図9】
図2のフレーム一体型マスクを適用したOLED画素蒸着装置を示す概略図である。
【
図10】本発明の他の実施形態によるフレーム一体型マスクをOLED画素蒸着装置に適用した状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施される特定の実施形態を例示として図示する添付図面を参照する。これら実施形態は、当業者が本発明を十分に実施可能なように詳しく説明される。本発明の多様な実施形態は、互いに異なるが、互いに排他的である必要はないということを理解しなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施形態に関連して、本発明の精神及び範囲を外れずに、他の実施形態として具現可能である。また、それぞれの開示された実施形態内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を外れずに、変更可能であるということを理解しなければならない。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるならば、その請求項が主張するものと、均等なあらゆる範囲と共に、添付の請求項によってのみ限定される。図面で類似した参照符号は、多様な側面にわたって同一または類似の機能を称し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜上、誇張されて表現されることもある。
【0023】
以下、当業者が本発明を容易に実施させるために、本発明の望ましい実施形態に関して添付図面を参照して詳しく説明する。
【0024】
図1は、従来のFMM100を用いたOLED画素蒸着装置200を示す概略図である。
【0025】
図1を参照すれば、一般的にOLED画素蒸着装置200は、マグネット310が収容され、冷却水ライン350が配設されたマグネットプレート300と、マグネットプレート300の下部から有機物ソース600を供給する蒸着ソース供給部500と、を含む。
【0026】
マグネットプレート300と蒸着ソース供給部500との間には、有機物ソース600が蒸着されるガラスなどの対象基板900が介在されうる。対象基板900には、有機物ソース600が画素別に蒸着させるFMM100が密着されるか、非常に近接するように配置される。マグネット310が磁場を発生させ、磁場による引力でFMM100が対象基板900に密着されうる。
【0027】
FMM100は、対象基板900に密着される前にアライメント(alignment)が必要である。1つのマスクまたは複数のマスクは、フレーム800に結合されうる。フレーム800は、OLED画素蒸着装置200内に固設され、マスクは、別途の付着、溶接工程を経てフレーム800に結合されうる。
【0028】
蒸着ソース供給部500は、左右経路を往復し、有機物ソース600を供給し、蒸着ソース供給部500から供給される有機物ソース600は、FMMマスク100に形成されたパターン(PP)を通過して対象基板900の一側に蒸着されうる。FMMマスク100のパターンを通過した蒸着された有機物ソース600は、OLEDの画素700として作用する。
【0029】
シャドウエフェクト(Shadow Effect)による画素700の蒸着不均一を防止するために、FMMマスク100のパターン(PP)は、傾斜して形成(S)(または、テーパー状(S)に形成)されうる。傾いた面に沿って対角線方向にパターン(PP)を通過する有機物ソース600も、画素700の形成に寄与することができるので、画素700は、全体として厚さが均一に蒸着されうる。
【0030】
図1で、FMM100は、スティック型(Stick-Type)またはプレート型(Plate-Type)で製造されて、大面積の対象基板900に対して画素蒸着工程を行うことができる。但し、最近、VR機器に適用されるマイクロディスプレイは、大面積の対象基板900ではない、シリコンウェーハに対して画素蒸着工程を行うことができる。マイクロディスプレイは、画面がユーザの目の前にすぐ位置するので、大面積のサイズよりは、約1~2インチサイズ程度に小さな画面を有する。しかも、ユーザの目の前に近くに位置するために、解像度はさらに高く具現される必要がある。
【0031】
したがって、本発明は、大面積の対象基板900に対する画素形成工程で使用するよりは、200mm、300mm、450mm級のシリコンウェーハ上で画素形成工程を進行するが、超高画質として画素を形成するフレーム一体型マスクを提供することを目的とする。
【0032】
例えば、現在、QHD画質の場合は、500~600PPIで画素のサイズが約30~50μmに至り、4K UHD、8K UHD高画質の場合は、これよりも高い~860PPI、~1600PPIなどの解像度を有する。VR機器に直接適用されるマイクロディスプレイ、またはVR機器に差し込んで使われるマイクロディスプレイは、約2,000PPI以上級の超高画質を目標としており、画素のサイズは、約5~10μm程度に至る。シリコンウェーハの場合、半導体工程から開発された技術を活用してガラス基板に比べて、微細かつ精密な工程が可能なので、高解像度マイクロディスプレイの基板として採用されうる。そして、本発明は、このようなシリコンウェーハ上に画素を形成するフレーム一体型マスクであることを特徴とする。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態によるフレーム一体型マスク10を示す概略図である。
図3は、本発明の一実施形態によるマスクパターン(DP、PP)を示す概略図であって、
図3の(a)は、
図2のマスク20部分の平面図であり、
図3の(b)は、
図3の(a)のB-B’拡大側断面図である。
図4は、
図2のA-A’側断面図である。
【0034】
本発明は、シリコンウェーハを対象基板900(
図6及び
図7参照)として画素蒸着工程を行うために、マスク20がシリコンウェーハに対応する形状を有することを特徴とする。マスク20の形状がシリコンウェーハに対応するという意味は、マスク20がシリコンウェーハと同じサイズの形状を有するか、シリコンウェーハとサイズは異なるが、同じ形状を有し、同軸を成した状態まで含むものであることを明らかにする。また、シリコンウェーハに対応する形状を有したマスク20は、フレーム30と一体に連結されて、マスク整列を明確にすることを特徴とする。
【0035】
図2を参照すれば、フレーム一体型マスク10は、マスク20及びフレーム30を含み、フレーム30の一部表面にマスク20が付着されうる。マスク20のうち、フレーム30に付着されず、マスクパターン(DP、PP)が形成された部分をマスクボディー部20a、フレーム30に一部付着された部分をマスク支持部20bで示す。マスクボディー部20aとマスク支持部20bは、形成された位置によって名称と符号とを異なるように記載したが、マスクボディー部20aとマスク支持部20bは、分離された領域ではなく、同じ材質を有し、一体に連結される構成である。言い換えれば、マスクボディー部20aとマスク支持部20bは、マスク20を形成する電鋳メッキ工程で電着メッキされて同時に形成されるメッキ膜またはマスク20(20a、20b)の各部分である。以下の説明で、マスクボディー部20a、マスク支持部20bは、メッキ膜またはマスク20(20a、20b)と混用されて使われる。
【0036】
マスク20は、インバーまたはスーパーインバー材であることが望ましく、円状のシリコンウェーハに対応するように円状であり得る。マスク20は、200mm、300mm、450mmなどのシリコンウェーハに相応するサイズを有しうる。
【0037】
従来のマスクは、大面積基板に対応するように、四角、多角形などの形態を有する。そして、このマスクに対応するように、フレームも、四角、多角形などの形態を有し、マスクが角状のエッジを含むので、エッジにストレス(stress)が集中されるという問題点が発生する恐れがある。ストレスが集中されれば、マスクの一部のみに他の力が作用するので、マスクが捻じれるか、歪み、これは、画素整列の失敗に繋がる。特に、2,000PPI以上の超高画質では、マスクのエッジにストレスが集中されることを避けなければならない。
【0038】
したがって、本発明のマスク20は、円状を有することによって、エッジを含まないことを特徴とする。エッジがないので、マスク20の特定部分に他の力が作用する問題を解消し、円状の枠に沿ってストレスが均一に分散されうる。これにより、マスク20が捻じれるか、歪まず、画素整列を明確にするのに寄与し、2,000PPI以上のマスクパターン(PP)を具現することができるという利点を有する。本発明は、熱膨張係数が低い円状のシリコンウェーハと、ストレスが枠に沿って均一に分散される円状のマスク20と、を対応させて、画素蒸着工程を行うことによって、約5~10μm程度に至る画素を蒸着させうる。
【0039】
図3の(a)を参照すれば、マスクボディー部20aには、複数のディスプレイパターン(DP)が形成されうる。ディスプレイパターン(DP)は、マイクロディスプレイ1つに対応するパターンであって、対角線の長さが約1~2インチ程度であり得る。ディスプレイパターン(DP)を拡大すれば、R、G、Bに対応する複数の画素パターン(PP)を確認することができる。画素パターン(PP)は、側部が傾いた形状、テーパー(Taper)状、または上部から下部に行くほどパターン幅が広くなる形状を有しうる。多様な画素パターン(PP)は、群集を成してディスプレイパターン(DP)1つを構成し、複数のディスプレイパターン(DP)が、マスク20に形成されうる。
【0040】
すなわち、本明細書において、ディスプレイパターン(DP)は、パターン1つを示す概念ではなく、1つのディスプレイに対応する複数の画素パターン(PP)が群集した概念として理解しなければならない。以下、画素パターン(PP)をマスクパターン(PP)と混用する。
【0041】
マスクパターン(PP)は、ほぼテーパー状を有し、パターン幅は、数~数十μmのサイズ、望ましくは、約5~10μmのサイズ(2,000PPI以上の解像度)に形成されうる。マスクパターン(PP)は、PRを通じるパターニング(
図5参照)、レーザ加工などを通じて形成されうるが、これに制限されるものではない。マスクパターン(PP)は、
図3で前述した画素パターン(PP)/ディスプレイパターン(DP)の構成と同一である。
【0042】
フレーム30は、マスク20またはメッキ膜20の少なくとも一部に接合されうる。さらに詳細には、マスク20でマスクパターン(PP)が形成された領域であるマスクボディー部20aの領域を除いた残りの領域であるマスク支持部20bがフレーム30に接合されうる。
【0043】
マスク20を垂れるか、捻じれないようにぴんと張って支持できるように、フレーム30は、マスク20の枠を取り囲む形状を有することが望ましい。
【0044】
さらに説明すれば、フレーム30は、マスク20と連結される連結フレーム31及び連結フレーム31の下部で連結フレーム31と一体に連結され、マスク20及び連結フレーム31を支持する支持フレーム35を含みうる。
【0045】
そのうち、連結フレーム31は、マスク20の形状に対応しながらも、マスク20の枠(マスク支持部20b)と連結されるように円状であることが望ましく、連結フレーム31が、マスクボディー部20aのマスクパターン(PP)を覆われないように、中空状、リング状を有することが望ましい。すなわち、連結フレーム31は、円状のリング状を有しうる。一方、支持フレーム35は、連結フレーム31の下部で一体に連結される形状であれば、円状のリング状、四角のリング状などの中央部が空いている範囲内で多様な形状を有しうる。本発明では、四角のリング状の支持フレーム35を想定して図示する。
【0046】
図2及び
図4を参照すれば、マスク20の外周方向に沿って、連結フレーム31に付着されたマスク20(マスク支持部20b)の幅(W)は一定である。すなわち、円状マスク20の枠(マスク支持部20b)のあらゆる部分と連結フレーム31の付着される面積が一定である。マスク20の枠のあらゆる部分で連結フレーム31と付着される面積が一定になるので、ストレスが均一に分散される効果を有し、マスク20を円状に形成することによって、ストレスが均一に分散される効果がさらに向上する。
【0047】
一方、マスク20は、マスク20の外周(マスク支持部20b)からフレーム方向に引張力(F)が加えられた状態でフレーム30(連結フレーム31)と一体に連結されうる。フレーム方向は、マスク20の外周接線に垂直な方向、または放射(radial)方向が対応することができる。このような引張力(F)は、フレーム30上にマスク20が一体に電着される電鋳メッキ工程条件と、常温よりも高い温度で電着後、常温で温度下降による温度差によるマスク20の収縮によって誘発されうる。引張力(F)は、マスク20の外周から放射方向に加えられるので、マスク20の外周の特定部分にストレスが集中されることを防止し、マスク20とフレーム30とを弾力のある状態で連結させて、マスクパターン(PP)の整列の保持に寄与することができる。
【0048】
また、本発明のフレーム一体型マスク10は、マスク20がフレーム30と一体に連結されるので、フレーム30のみをOLED画素蒸着装置200に移動し、設置する過程のみでマスク20の整列が完了する。
【0049】
図5及び
図6は、本発明の一実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【0050】
図5の(a)を参照すれば、電鋳メッキを行うように、導電性基材41を準備する。導電性基材41を含む母板(mother plate)40は、電鋳メッキで陰極体(cathode)として使われる。円状のマスク20を電鋳メッキすることができるように、導電性基材41も、それに対応する円状であることが望ましいが、これに制限されるものではない。導電性基材41が円状ではない多角形でも、フレーム30にマスク20を貼り付けた後(
図6の(a)参照)、円状にレーザトリミング(laser trimming)することができる(
図6の(e)参照)。
【0051】
導電性材質として、メタルの場合には、表面にメタルオキシドが生成されていることもあり、メタル製造過程で不純物が流入され、多結晶シリコン基材の場合には、介在物または結晶粒界(Grain Boundary)が存在し、導電性高分子基材の場合には、不純物が含有される可能性が高く、強度、耐酸性などが脆弱である。メタルオキシド、不純物、介在物、結晶粒界のように、母板40の表面への電場の均一な形成を妨害する要素を「欠陥」(Defect)と称する。欠陷(Defect)によって、前述した材質の陰極体には、均一な電場が印加されず、メッキ膜20の一部が不均一に形成されうる。また、多結晶基板素材の場合には、電鋳メッキ膜の熱膨張係数を減少させるための熱処理工程によって、結晶粒間の不均一な特性によって、マスクに形成されたパターンの位置が変わり、これは、画素の蒸着位置の変更に繋がる問題がある。
【0052】
UHD級以上の超高画質画素を具現するに当たって、メッキ膜20及びメッキ膜パターン(PP)の不均一は、画素の形成に悪影響を及ぼしうる。FMM、シャドウマスクのパターン幅は、数~数十μmのサイズ、望ましくは、約5~10μmのサイズ(2,000PPI以上の解像度)に形成されうるので、数μmサイズの欠陷さえも、マスクのパターンサイズで大きな比重を占める程度のサイズである。
【0053】
また、前述した材質の陰極体での欠陷を除去するためには、メタルオキシド、不純物などを除去するための追加的な工程が行われ、この過程で陰極体材料がエッチングされるなどのさらに他の欠陷が誘発されることもある。
【0054】
したがって、本発明は、単結晶シリコン材質の基材41を使用することができる。導電性を有するように、基材41は、1019以上の高濃度ドーピングが行われる。ドーピングは、基材41の全体に行われても、基材41の表面部分のみに行われてもよい。
【0055】
ドーピングされた単結晶シリコンの場合は、欠陥がないために、電鋳メッキ時に表面全部で均一な電場の形成による表面欠陷なしに表面状態が均一なメッキ膜20(または、マスク20)が生成されうるという利点がある。均一なマスク20は、OLED画素の画質レベルをさらに改善することができる。そして、欠陷を除去、解消する追加工程が行われる必要がないので、工程コストが削減され、生産性が向上するという利点がある。
【0056】
また、シリコン材質の基材41を使用することによって、必要に応じて基材41の表面を酸化(Oxidation)、窒化(Nitridation)する過程のみで絶縁部45を形成しうるという利点がある。絶縁部45は、メッキ膜20の電着を防止する役割を果たして、メッキ膜20のパターン(PP)を形成しうる。
【0057】
次いで、
図5の(b)を参照すれば、基材41の少なくとも一面上に絶縁部45を形成しうる。絶縁部45は、パターンを有して形成され、テーパーまたは逆テーパー状の陰刻パターン46によってパターンを有しうる。絶縁部45は、基材41の一面上に突出するように(陽刻で)形成した部分であって、メッキ膜20の生成を防止するように、絶縁特性を有しうる。これにより、絶縁部45は、フォトレジスト、シリコン酸化物、シリコン窒化物のうちの何れか1つの材質で形成されうる。絶縁部45は、基材41上に蒸着などの方法でシリコン酸化物、シリコン窒化物を形成し、基材41をベースにして熱酸化(Thermal Oxidation)、熱窒化(Thermal Nitiridation)方法を使うこともできる。プリンティング法などを用いてフォトレジストを形成することもできる。フォトレジストを使用してパターンを形成する時には、多重露光方法、領域ごとに露光強度を異ならせる方法などを使用することができる。絶縁部45は、後述するメッキ膜20よりは厚いように約5μm~20μmの厚さを有しうる。これにより、母板40が製造可能である。
【0058】
後述する電鋳メッキ過程で基材41の露出された表面からメッキ膜20が形成され、絶縁部45が配される領域では、メッキ膜20の生成が防止されてパターン(PP)が形成されうる。母板40は、メッキ膜20の生成過程でパターンまで形成しうるので、モールド、陰極体と併記して使われる。
【0059】
次いで、
図5の(c)を参照すれば、母板40(または、陰極体40)と対向する陽極体(図示せず)を準備する。陽極体(図示せず)は、メッキ液(図示せず)に浸漬されており、母板40は、全部または一部がメッキ液(図示せず)に浸漬されている。母板40(または、陰極体40)と対向する陽極体の間に形成された電場によって、メッキ膜20(20a、20b)が母板40の表面で電着されて生成されうる。但し、導電性基材41の露出された表面(46)のみでメッキ膜20が生成され、絶縁部45の表面では、メッキ膜20が生成されないので、メッキ膜20にパターン(PP)(
図3の(b)参照)が形成されうる。
【0060】
メッキ液は、電解液であって、マスクボディー部20a及びマスク支持部20bを構成するメッキ膜20の材料になりうる。一実施形態として、鉄ニッケル合金であるインバー薄板をメッキ膜20として製造する場合、Niイオンを含む溶液及びFeイオンを含む溶液の混合液をメッキ液として使用することができる。他の実施形態として、鉄ニッケルコバルト合金であるスーパーインバー薄板をメッキ膜20として製造する場合、Niイオンを含む溶液、Feイオンを含む溶液及びCoイオンを含む溶液の混合液をメッキ液として使用することもできる。インバー薄板、スーパーインバー薄板は、OLEDの製造において、FMM、シャドウマスク(Shadow Mask)として使われる。そして、インバー薄板は、熱膨張係数が約1.0X10-6/℃、スーパーインバー薄板は、熱膨張係数が約1.0X10-7/℃程度に非常に低いために、熱エネルギーによってマスクのパターン形状が変形される恐れが少なくて、高解像度OLED製造で主に使われる。それ以外にも、所望のメッキ膜20に対するメッキ液を制限なしに使用し、本明細書では、インバー薄板の製造を主な例として想定して説明する。
【0061】
基材41の表面からメッキ膜20が電着されながら厚くなるために、絶縁部45の上端を超える前までにメッキ膜20を形成することが望ましい。すなわち、絶縁部45の厚さよりもメッキ膜20の厚さがさらに小さい。メッキ膜20は、絶縁部45のパターン空間に満たされ、電着されるので、絶縁部45のパターンと逆相を有するテーパー状を有しながら生成されうる。
【0062】
絶縁部45が絶縁特性を有するので、絶縁部45と陽極体との間では、電場が形成されないか、メッキが行われにくい程度の微弱な電場のみが形成される。したがって、母板40でメッキ膜20が生成されない絶縁部45に対応する部分は、メッキ膜20のパターン、ホール(Hole)などを構成する。言い換えれば、パターン化46された絶縁部45のそれぞれは、マスクボディー部20aのR、G、Bに対応するマスクパターン(PP)を形成しうる。マスクパターン(PP)の側断面の形状は、ほぼテーパー状に傾くように形成され、傾いた角度は、約45゜~65゜であり得る。
【0063】
一方、メッキ膜20を形成した後にメッキ膜20に熱処理を行うことができる。熱処理は、300℃~800℃の温度で行うことができる。一般的に、圧延で生成したインバー薄板に比べて、電鋳メッキで生成したインバー薄板が熱膨張係数が高い。これにより、インバー薄板に熱処理を行うことによって、熱膨張係数を低めることができるが、この熱処理過程でインバー薄板に若干の変形が生じうる。したがって、母板40(または、基材41)とマスク20とが接着された状態で熱処理を行えば、母板40の絶縁部45が占める空間部分に形成されたマスクパターン(PP)の形態が一定に保持され、熱処理による微細な変形を防止できるという利点がある。また、メッキ膜20から母板40(または、基材41)を分離した後、マスクパターン(PP)を有するマスク20に熱処理を行っても、インバー薄板の熱膨張係数を低める効果がある。
【0064】
したがって、マスク100の熱膨張係数をさらに低めることによって、μmスケールのパターン(PP)の変形を防止し、超高画質のOLED画素を蒸着することができるマスク20を製造することができるという利点がある。
【0065】
次いで、
図6の(a)を参照すれば、母板40(または、陰極体40)をメッキ液(図示せず)の外に持ち上げる。そして、フレーム30の上部に
図5の(c)の構造物をひっくり返して配置する。逆に、
図5の(c)の構造物にフレーム30をひっくり返して配置することもできる。フレーム30(連結フレーム31)は、メッキ膜20を取り囲む形状を有しうる。
【0066】
メッキ膜20が接触するフレーム30(連結フレーム31)の上部には、接着部50が形成されうる。接着部50の接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤などを使用することができる。接着部50によって、メッキ膜20の枠のうち少なくとも一部がフレーム30(連結フレーム31)の上部に接着固定されうる。
【0067】
次いで、
図6の(b)を参照すれば、絶縁部45を除去することができる。フォトレジスト、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの絶縁部45のみを除去し、残りの構成には影響を与えない公知の技術を制限なしに使用することができる。一方、シリコン酸化物、シリコン窒化物で絶縁部が構成された場合には、これらを除去する段階を省略し、下記の
図6の(c)の工程を直ちに行うこともできる。導電性基板41に一体化されて形成されたシリコン酸化物、シリコン窒化物は、
図6の(c)の基板41分離工程を通じて共に分離/除去される。
【0068】
次いで、
図6の(c)を参照すれば、メッキ膜20から導電性基板41を分離することができる。導電性基板41は、マスク20及びフレーム30の上部方向に分離することができる。導電性基板41が分離されれば、接着部50を介在してフレーム30に接着されたマスク20の形態が表われる。
【0069】
一方、
図6の(c)段階まで行った構造体の場合には、マスク20とフレーム30とを接着させるために、接着部50が必須的に残存する。接着部50の接着剤は、マスク20を臨時に固定する効果はあるが、接着剤とインバーマスク20の熱膨張係数が異なって、画素形成工程で温度変化によって接着剤がマスク20を捻じれるようにする問題が発生する。また、接着剤が工程ガスと反応して生成された汚染物質が、OLEDの画素に悪影響を与え、接着剤自体に含まれた有機ソルベントなどのアウトガスが画素工程チャンバを汚染させるか、不純物としてOLED画素に蒸着される悪影響を誘発することができる。また、接着剤が次第に除去されることによって、マスク20がフレーム30から離脱する問題が発生する。これにより、接着部50を洗浄する必要があるが、接着部50とマスク支持部20bとが接着されており、外部で接着部50を洗浄しにくく、無理に接着部50を洗浄する中にマスク20に変形が発生する可能性も存在する。そして、接着部50を洗浄してずれもい除去した場合、マスク20とフレーム30とを一体に接着させるための他の方案が講じられる。
【0070】
したがって、本発明は、
図6の(d)ないし
図6の(f)のような工程を行って、マスク20に影響を与えず、接着部50のみを完全に除去することができる。そして、接着部50を代替して溶接部20cをマスク20とフレーム30との間に介在させて、マスク20とフレーム30とを一体に接着させたフレーム一体型マスク10を提供することができる。
【0071】
図6の(d)を参照すれば、枠部分のメッキ膜20bを用いてメッキ膜20bとフレーム30との間にレーザ溶接(LW)を行うことができる。レーザを枠部分のマスク支持部20bの上部に照射すれば、マスク支持部20bの一部が溶融されて溶接部20cが生成されうる。具体的に、レーザは、接着部50が形成された領域よりも内側領域に照射される必要がある。以後工程でフレーム30の外側(または、メッキ膜20の外側面)から洗浄液を侵透して接着部50を除去しなければならないので、溶接部20cは、接着部50よりも内側に生成しなければならない。また、フレーム30のエッジ側に近く溶接部20cを形成するとメッキ膜20とフレーム30との間の浮き上がり空間を最大限減らし、密着性を高めうる。溶接部20cは、ライン(line)またはスポット(spot)状に生成され、メッキ膜20bと同じ材質を有し、メッキ膜20bとフレーム30とを一体に連結する媒介体になりうる。一方、説明の便宜上、
図6で溶接部20cが多少厚さがあるように示されているが、実際には、溶接部20cの厚さは無視するほど小さく、メッキ膜20bの厚さに影響を与えないことを明らかにする。
【0072】
図6の(a)段階で、接着部50にメッキ膜20が接着される時、メッキ膜20は、フレーム30方向、または外側方向に引張力を受ける状態で接着されうる。これにより、ぴんと張ってフレーム30側に引っ張られたマスク20をフレーム30に臨時接着する。この状態、
図6の(d)のようなレーザ溶接(LW)を行えば、マスク20は、外側に引張力を受ける状態でフレーム30(連結フレーム31)の上部に溶接される。したがって、以後工程で接着部50を除去しても、外側方向に引張力が加えられ、ぴんと張ってフレーム30側に引っ張られた状態を保持させうる。
【0073】
次いで、
図6の(e)を参照すれば、接着部50に対応するメッキ膜20の領域境界にレーザ(L)を照射して、メッキ膜20bと剥離膜20dとの間に分離線を形成しうる。すなわち、メッキ膜20bから剥離膜20dの境界にレーザ(L)を照射してレーザトリミングすることによって、メッキ膜20から剥離膜20dを分離することができる。しかし、剥離膜20dが直ちに外されていくものではなく、接着部50と接着された状態を保持する。
【0074】
次いで、
図5の(f)を参照すれば、接着部50を洗浄(C)することができる。接着剤によって公知の洗浄物質を制限なしに使用し、メッキ膜20の側面から洗浄液が侵透して接着部50を洗浄(C)することができる。これにより、接着部50を完全に除去することができる。
【0075】
引き続き、メッキ膜20から分離された剥離膜20dを剥離(P)する。剥離膜20dは、接着部50が除去されてフレーム30と接着された状態ではなく、メッキ膜20と分離されているので、直ちに外されうる。
【0076】
次いで、
図6の(g)を参照すれば、マスク20とフレーム30とが一体に形成されたフレーム一体型マスク10が完成される。本発明のフレーム一体型マスク10は、接着部50がなく、接着部50の除去のために、メッキ膜20の枠20bの一部(剥離膜20d)のみを除去するので、画素工程に寄与するメッキ膜20には全く影響がなくなる。
【0077】
図7及び
図8は、本発明の他の実施形態によるフレーム一体型マスクを製造する過程を示す概略図である。
【0078】
図7の(a)ないし
図7の(c)は、
図5の(a)ないし
図5の(c)と同一なので、具体的な説明は省略する。
【0079】
次いで、
図7の(d)を参照すれば、母板40(または、陰極体40)をメッキ液(図示せず)の外に持ち上げる。そして、第2絶縁部47を形成しうる。第2絶縁部47は、第1絶縁部45と同じ材質であることが望ましい。第2絶縁部47は、第1メッキ膜20’の枠領域48を除いた残りの領域上に形成しうる。すなわち、第2絶縁部47は、第1絶縁部45と第1メッキ膜20’とを全部カバーし、第1メッキ膜枠20bの一部をカバーすることができる。第1メッキ膜20’の枠領域48は、露出されうる。
【0080】
次いで、
図8の(a)を参照すれば、フレーム30の上部に
図7の(d)の構造物をひっくり返して配置する。逆に、
図7の(d)の構造物にフレーム30をひっくり返して配置することもできる。フレーム30は、第1メッキ膜20’を取り囲む形状を有しうる。望ましくは、フレーム30は、第1メッキ膜20’の露出領域49を除いた残りの枠領域48に対応する形状を有しうる。
【0081】
第1メッキ膜20’が接触するフレーム30(連結フレーム31)の上部には、接着部50が形成されうる。接着部50の接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤などを使用することができる。接着部50によって、第1メッキ膜20’の枠がフレーム30(連結フレーム31)の上部に接着固定されうる。接着部50と接着される第1メッキ膜20’の枠部分は、今後除去されるので、剥離膜20d(
図8の(e)参照)と称する。また、説明の便宜上、接着部50と剥離膜20dの幅が多少誇張されるように示されたことを明らかにする。接着部50は、第2メッキ膜20cを形成する前に第1メッキ膜20’をフレーム30に臨時接着固定する程度の範囲にコーティングすれば十分である。
【0082】
次いで、
図8の(b)を参照すれば、電鋳メッキを行って、第2メッキ膜20cを電着することができる。第2メッキ膜20cは、第2絶縁部47と接着部50との間に露出された第1メッキ膜20’の表面49及びフレーム30の内側面上で電着されうる。第1メッキ膜20’の露出された表面49から第2メッキ膜20cが電着されながら厚くなるために、第2絶縁部47の上端を超える前までに第2メッキ膜20cを形成することが望ましい。すなわち、第2絶縁部47の厚さよりも第2メッキ膜20cの厚さがさらに小さい。第2メッキ膜20cが、第1メッキ膜20’の露出された表面49及びフレーム30の内側面上で電着されながら、第1メッキ膜20’とフレーム30とを一体に連結する媒介体になりうる。この際、第2メッキ膜20cは、第1メッキ膜20’の枠20bに一体に連結され、電着されるので、フレーム30方向(フレーム30の内側方向)、または外側方向に引張力を加える状態を有し、第1メッキ膜20’を支持することができる。これにより、別途にマスクを引っ張り、整列する過程を行う必要なしに、ぴんと張ってフレーム30側に引っ張られたマスク20をフレーム30と一体に形成させうる。
【0083】
一方、第1メッキ膜20a、20b及び第2メッキ膜20cを形成した後に、第1メッキ膜20a、20b及び第2メッキ膜20cに熱処理を行うことができる。
【0084】
次いで、
図8の(c)を参照すれば、第1絶縁部45及び第2絶縁部47を除去することができる。フォトレジスト、シリコン酸化物、シリコン窒化物などの第1絶縁部45及び第2絶縁部47のみを除去し、残りの構成には影響を与えない公知の技術を制限なしに使用することができる。一方、シリコン酸化物、シリコン窒化物で絶縁部が構成された場合には、これらを除去する段階を省略し、下記の
図8の(d)の工程を直ちに行うこともできる。導電性基板41に一体化されて形成されたシリコン酸化物、シリコン窒化物は、
図8の(d)の基板分離工程を通じて共に分離/除去される。
【0085】
次いで、
図8の(d)を参照すれば、第1メッキ膜20’から導電性基板41を分離することができる。導電性基板41は、マスク20及びフレーム30の上部方向に分離することができる。導電性基板41が分離されれば、マスク20とマスク20を支持するフレーム30とが一体に形成された形態が表われる。
【0086】
一方、
図8の(d)段階まで行ったフレーム一体型マスクには、接着部50が残存する。接着部50の効果及び問題点は、
図6で前述したところと同一である。したがって、本発明は、
図8の(e)及び
図8の(f)のような工程を行って、メッキ膜20に影響を与えず、接着部50のみを完全に除去することができる。
【0087】
図8の(e)を参照すれば、接着部50に対応する第1メッキ膜20’の領域境界にレーザ(L)を照射して、第1メッキ膜20’と剥離膜20dとの間に分離線を形成しうる。すなわち、第1メッキ膜20’から剥離膜20dの境界にレーザ(L)を照射してレーザトリミングすることによって、第1メッキ膜20’から剥離膜20dを分離することができる。しかし、剥離膜20dが直ちに外されていくものではなく、接着部50と接着された状態を保持する。
【0088】
次いで、
図8の(f)を参照すれば、接着部50を洗浄(C)することができる。接着剤によって公知の洗浄物質を制限なしに使用し、メッキ膜20の側面から洗浄液が侵透して接着部50を洗浄(C)することができる。これにより、接着部50を完全に除去することができる。
【0089】
引き続き、第1メッキ膜20’から分離された剥離膜20dを剥離(P)する。剥離膜20dは、接着部50が除去されてフレーム30と接着された状態ではなく、第1メッキ膜20’と分離されているので、直ちに外されうる。
【0090】
次いで、
図8の(g)を参照すれば、マスク20とフレーム30とが一体に形成されたフレーム一体型マスク10が完成される。本発明のフレーム一体型マスク10は、接着部50がなく、接着部50の除去のために、第1メッキ膜20’の枠20bの一部(剥離膜20d)のみを除去するので、画素工程に寄与する第1メッキ膜20a、20b及び第2メッキ膜20cには全く影響がなくなる。
【0091】
フレーム30も剛性を確保しながら、マスク20と熱膨張係数が類似するように、導電性を有するインバー、スーパーインバー、SUS、Tiなどのメタル材質を採用することが望ましく、マスク20と同じインバー、スーパーインバー材を採用することがさらに望ましい。また、OLED画素蒸着工程で熱によるフレーム30の変形を防ぐために、熱弁型率が少ない材質を採用することが望ましい。
【0092】
図9は、
図2のフレーム一体型マスクを適用したOLED画素蒸着装置を示す概略図である。
【0093】
図9を参照すれば、フレーム一体型マスク10をシリコンウェーハである対象基板900と密着させ、フレーム30部分のみを、OLED画素蒸着装置200の内部に固定させるだけでマスク10の整列が完了する。円状のマスク20は、連結フレーム31に一体に連結されて、その枠がぴんと張って支持され、枠全体でストレスが均一に分散されるので、荷重によって垂れるか、捻じれるなどの変形が防止されうる。これにより、画素蒸着に必要なマスク10の整列を明確にする。
【0094】
図10は、本発明の他の実施形態によるフレーム一体型マスクをOLED画素蒸着装置に適用した状態を示す概略図である。
【0095】
図10を参照すれば、フレーム一体型マスク10’は、円状のマスク20及びマスクに一体に連結されたフレーム30を含みうる。この点は、
図2のフレーム一体型マスク10と同一である。差異点は、フレーム一体型マスク10’の支持フレーム35は、フレーム30(
図3及び
図9参照)のように直ちにOLED画素蒸着装置200の内部に固設されるものではなく、OLED画素蒸着装置200の内部に固設されたフレーム800の陷沒部801に差し込まれる構成である。
【0096】
支持フレーム35には、陷沒部801に差し込まれる突出部37がさらに形成され、製造されたフレーム一体型マスク10’をOLED画素蒸着装置200の内部に固設されたフレーム800の陷沒部801に差し込むことができる。陷沒部801は、複数個のフレーム一体型マスク10’に形成されて支持フレーム35または突出部37に対応する形態で形成されうる。
【0097】
あらかじめ設けられたフレーム800の陷沒部801がガイドレール(guide rail)の役割を果たして、製造されたフレーム一体型マスク10’を陷沒部801に差し込んで摺動するだけでマスクの整列を完了する。一例として、四角形状の支持フレーム35は、陷沒部801に差し込まれれば、流動せずに固く固定されうる。他の例として、平行な一対の直線状である支持フレーム35を備えた場合、支持フレーム35は、摺動形態で陷沒部801に差し込まれることもあり、複数個のフレーム一体型マスク10’を摺動形態で押して配置することも可能である。
【0098】
前記のように、本発明のフレーム一体型マスク10、10’は、シリコンウェーハに対応する形状を有するマスク20を含むので、マスク20の枠全体でストレスが均一に分散されて、超微細のマスクパターン(PP)を備え、マイクロディスプレイで2,000PPI以上の超高画質画素を具現することができる。また、本発明のフレーム一体型マスク10、10’は、マスク20を形成すると共にフレーム30に一体型で構成し、マスク20と対応する形状の連結フレーム31にストレスを均一に分散させるように一体に連結されることによって、マスク20の変形を防止し、整列を明確にする。また、本発明のフレーム一体型マスク10、10’は、マスク20がフレーム30と一体に連結されるので、フレーム30のみをOLED画素蒸着装置200に移動し、設置する過程のみでマスク20の整列が完了する。
【0099】
本発明は、前述したように望ましい実施形態を挙げて図示して説明したが、前記実施形態に限定されず、本発明の精神を外れない範囲内で当業者によって多様な変形と変更とが可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付の特許請求の範囲の範囲内に属するものと認めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、フレーム一体型マスク関連の分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10、10’:フレーム一体型マスク
20:マスク、メッキ膜
20a:マスクボディー部
20b:マスク支持部
30:フレーム
31:連結フレーム
35:支持フレーム
40:母板
100:従来のマスク、シャドウマスク、FMM
200、300:OLED画素蒸着装置
DP:ディスプレイパターン
PP:画素パターン、マスクパターン
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクの製造方法であって、
(a)複数のマスクパターンを含むマスクの第1面が接着された基材を準備する段階と、
(b)接着部を介在して前記マスクの前記第1面に対向する第2面の枠部分をフレーム上に接着する段階と、
(c)前記基材を前記マスクから分離する段階と、
(d)前記マスクと前記フレームとを溶接して付着する段階と、を含み、
前記フレームは、前記マスクと連結される円状のリング状の連結フレームと、前記連結フレームの下部に連結され、前記連結フレームを支持する支持フレームと、を含み、
(d)段階で、前記接着部が形成された領域よりも内側領域にレーザを照射して前記マスクと前記連結フレームとを溶接付着する、フレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項2】
シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクの製造方法であって、
(a)複数のマスクパターンを含むマスクの第1面が接着された基材を準備する段階と、
(b)接着部を介在して前記マスクの前記第1面に対向する第2面の枠部分をフレーム上に接着する段階と、
(c)電鋳メッキを行って前記マスクと前記フレームとを付着する段階と、
(d)前記基材を前記マスクから分離する段階と、を含み、
前記フレームは、前記マスクと連結される円状のリング状の連結フレームと、前記連結フレームの下部に連結され、前記連結フレームを支持する支持フレームと、を含み、
(c)段階で、前記接着部が形成された領域よりも内側の下部領域の一部を露出させ、メッキ膜を電着して前記マスクと前記連結フレームとをメッキ付着する、フレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項3】
(b)段階で、前記マスクは、外側方向に引張力を受ける状態で前記フレームに接着され、
(d)段階以後、前記マスクは、外側方向に引張力を受ける状態を保持する、請求項1に記載のフレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項4】
(a)段階と(b)段階との間で、前記マスクの前記第2面上の前記枠部分を除いた残りの領域の一部に第2絶縁部を形成し、
(c)段階で、前記フレームと接着された領域と前記第2絶縁部が形成された領域とを除いた前記マスクの前記第2面上の露出された領域にメッキ膜を電着して前記マスクと前記フレームとをメッキ付着する、請求項2に記載のフレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項5】
(e)前記接着部が形成された領域と前記マスクと前記フレームとが付着された領域との間にレーザを照射してマスク枠部分をレーザトリミングする段階と、
(f)前記接着部を洗浄してレーザトリミングされた前記マスク枠部分を剥離する段階と、
をさらに含む、請求項1または2に記載のフレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項6】
(a)段階は、
(a1)絶縁部が前記第1面上に形成された導電性の前記基材を準備する段階と、
(a2)前記基材の露出された表面でメッキ膜が形成されて前記複数のマスクパターンを含む前記マスクが製造される段階と、
を含む、請求項1または2に記載のフレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項7】
(a)段階と(b)段階との間で、前記マスクの前記第2面上の前記枠部分を除いた残りの領域の一部に第2絶縁部を形成し、
(c)段階で、前記フレームと接着された領域と前記第2絶縁部が形成された領域とを除いた前記マスクの前記第2面上の露出された領域にメッキ膜を電着して前記マスクと前記フレームとをメッキ付着する、請求項2に記載のフレーム一体型マスクの製造方法。
【請求項8】
シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクであって、
前記シリコンウェーハに対応する円形状を有し、マスクパターンを含むマスクと、前記マスクパターンが形成された領域を除いた前記マスクの領域の少なくとも一部に連結されるフレームと、を含み、
前記フレームは、前記マスクと連結される円状のリング状の連結フレームと、前記連結フレームの下部に連結され、前記連結フレームを支持する支持フレームと、を含み、
前記マスクの外周は、レーザトリミング(laser trimming)で形成され、
レーザトリミングで形成された前記マスクの外周よりも少なくとも内側に前記マスクの下面と前記連結フレームの上面とを互いに付着する溶接部が形成された、フレーム一体型マスク。
【請求項9】
シリコンウェーハ上の画素形成工程に使われるフレーム一体型マスクであって、
前記シリコンウェーハに対応する円形状を有し、マスクパターンを含むマスクと、前記マスクパターンが形成された領域を除いた前記マスクの領域の少なくとも一部に連結されるフレームと、を含み、
前記フレームは、前記マスクと連結される円状のリング状の連結フレームと、前記連結フレームの下部に連結され、前記連結フレームを支持する支持フレームと、を含み、
前記マスクの外周は、レーザトリミング(laser trimming)で形成され、
レーザトリミングで形成された前記マスクの外周よりも少なくとも内側に前記マスクの下面と前記連結フレームの内側面とを一体に連結する電着メッキ部が形成された、フレーム一体型マスク。
【外国語明細書】