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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024057
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/34 20090101AFI20220201BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20220201BHJP
   H04W 52/18 20090101ALI20220201BHJP
   H04W 48/02 20090101ALI20220201BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20220201BHJP
【FI】
H04W52/34
H04W52/02
H04W52/18
H04W48/02
H04W8/22
【審査請求】有
【請求項の数】42
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184874
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2020008900の分割
【原出願日】2012-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】504385339
【氏名又は名称】山本 和浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 和浩
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者等の意図で送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑える通信システム及び無線送受信機を提供する。
【解決手段】通信システムは、複数の無線端末機毎に、送信電力の上限値としてその無線端末機の最大送信電力よりも低い値を設定し、無線端末機の送信電力の上限値が、その無線端末機について設定された値となるように、その無線端末機2の送信電力を制御する。これにより、使用者等の意図で無線端末機の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段と、
前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値設定手段で設定された値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項4】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段と、
前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値テーブルに設定された値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項4において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、
前記送信電力上限値設定手段で設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項9】
請求項7において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項10】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、
前記送信電力上限値テーブルに設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項12】
請求項10において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項13】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項14】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機ごとに、当該無線端末機への送信電力の上限値を基準上限値よりも増加させる送信電力上限値増加手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項15】
請求項14において、
前記送信電力上限値増加手段で増加させた送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項16】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
基準ゲインよりも高いゲインを有するアンテナと、
対象とする無線端末機への送信電力の上限値が基準上限値よりも増加するように前記アンテナを制御するアンテナ制御手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項17】
請求項16において、
前記アンテナ制御手段により増加した送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項18】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段と、
前記送信電力上限値低下手段で低下させた送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させる受信性能低下手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項19】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
受信性能を低下させる受信性能低下手段と、
前記受信性能低下手段で低下させた受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項20】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段と、
前記送信電力上限値低下手段で低下させた送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を前記無線端末機に通知する受信状況通知手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項21】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を前記無線端末機に通知する受信状況通知手段と、
前記低下させた場合又は低下させたとした場合の受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項22】
請求項18及び19のいずれか1項において、
前記受信性能低下手段は、前記無線端末機ごとに、当該無線端末機に対する受信性能を低下させることを特徴とする通信システム。
【請求項23】
請求項18乃至22のいずれか1項において、
前記送信電力上限値低下手段は、前記無線端末機ごとに、当該無線端末機への送信電力の上限値を低下させることを特徴とする通信システム。
【請求項24】
請求項18乃至23のいずれか1項において、
受信性能によって、あらかじめ登録した電波強度より強い無線送受信における前記無線端末機との通信を確立することを特徴とする通信システム。
【請求項25】
請求項15、17乃至24のいずれか1項において、
前記受信性能は、受信感度であることを特徴とする通信システム。
【請求項26】
請求項15、17乃至24のいずれか1項において、
前記受信性能は、通信成立と判断する場合の基準値であることを特徴とする通信システム。
【請求項27】
請求項15、17乃至24のいずれか1項において、
前記受信性能は、受信データの誤り率の許容値であることを特徴とする通信システム。
【請求項28】
複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、
前記無線端末機の送信電力の値を取得する送信電力値取得手段と、
前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が所定値以上である場合又はこれを超えた場合は、前記無線端末機との通信を禁止する通信禁止手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項29】
請求項28において、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備え、
前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値設定手段で設定された値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止することを特徴とする通信システム。
【請求項30】
請求項29において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項31】
請求項29において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項32】
請求項28において、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備え、
前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値テーブルに設定された値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止することを特徴とする通信システム。
【請求項33】
請求項32において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項34】
請求項32において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項35】
請求項28において、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、
前記送信電力上限値設定手段で設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止することを特徴とする通信システム。
【請求項36】
請求項35において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項37】
請求項35において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、
前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定することを特徴とする通信システム。
【請求項38】
請求項28において、
前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、
前記送信電力上限値テーブルに設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止することを特徴とする通信システム。
【請求項39】
請求項38において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項40】
請求項38において、
前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、
前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項41】
請求項28において、
前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、
前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止することを特徴とする通信システム。
【請求項42】
通信相手方の送信電力の値を取得する送信電力値取得手段と、
前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が所定値以上である場合又はこれを超えた場合は、前記通信相手方との通信を禁止する通信禁止手段とを備えることを特徴とする無線送受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信網を介して無線端末機が行う通信を制御する通信システムに係り、特に、無線端末機又は通信システムの送信電力の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリーを電源に使用した携帯電話機や通信機内蔵のモバイルPCなど、移動体通信システムにおける無線端末機(以下、単に無線端末機という。)が広く普及しており、様々な省電力技術を駆使して消費電力を少しでも抑えるための技術開発が行われている。
【0003】
一方、無線端末機の電力消費の内訳をみると送信に関する割合が大きい。その送信電力の決定については、従来の無線端末機は、移動体通信システムにおける無線基地局(以下、単に無線基地局という。)から届いた受信信号の信号強度や品質に基づいて決定している。
【0004】
従来技術の例として、特許文献1記載の技術は、無線通信における受信信号の強度を測定し送信電力を決定する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-226710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の無線端末機は、使用者等(使用者、保護者、管理者、製造者、販売者、通信事業者その他の者を含む。以下、同様。)が意図して送信電力を制御できないため、電源を入れた状態では、使用者等が消費電力を抑えようと送信電力を小さくすることはできない。このため、無線基地局からの電波が届き難い環境下においては、無線端末機は最大出力で送信するため、使用者等の予想に反して電力を消費する原因の一つとなっていた。
【0007】
本発明の目的は、使用者等の意図で送信電力を抑制することで消費電力を抑えることができる通信システムを提供することである。
【0008】
あらかじめ決められた送信電力で無線基地局から放射された電波は、受信までの経路で伝搬損失を受けて無線端末機で受信される。
【0009】
同様に、無線端末機から放射された電波も受信までの経路で前記伝搬損失と同じ損失量を受けて無線基地局で受信される。このように送信側と受信側の伝搬損失量は等しいから通信は対称である。
【0010】
通常、無線基地局と無線端末機の最大送信電力は異なる。
無線基地局と無線端末機の送信出力が異なっていても、アンテナの特性や受信部の雑音指数などを加味して「通信の対称性」が保たれるようシステム設計がなされている。
【0011】
ここで、無線端末機の送信電力だけを低下させた場合は、無線基地局で受信する信号が弱くなり、「通信の対称性」が成り立たなくなる。この状態において、無線端末機側だけで「通信の対称性」を保つには、無線端末機が低下させた送信電力に見合うように受信感度も下げてやればよい。
【0012】
本発明の目的は、「通信の対称性」を確保した上で、使用者等の意図で送信電力を抑制することを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
〔発明1〕上記目的を達成するために、発明1の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段と、前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値設定手段で設定された値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備える。
【0014】
ここで、通信とは、発信側の無線端末機が行う通信(発信)、又は着信側の無線端末機が行う通信(着信)が含まれる。以下、発明4、7、10、13、14、16、18乃至21及び28の通信システム、並びに発明42の無線送受信機において同じである。
【0015】
また、通信には、通話、データ通信その他の通信が含まれる。また、階層の観点からは、物理層レベルでの通信又は論理層レベルでの通信が含まれる。以下、発明4、7、10、13、14、16、18乃至21及び28の通信システム、並びに発明42の無線送受信機において同じである。
【0016】
また、送信電力の最大上限値とは、無線端末機が性能上実現可能な送信電力の最大値、又は、通信相手方(例えば、本通信システム)との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大送信電力をいう。以下、発明4、7、10、13、29、32、35、38及び41の通信システムにおいて同じである。
【0017】
また、無線端末機制御手段は、無線端末機を制御するようになっていればどのような構成であってもよく、例えば、無線端末機の送信電力を制御する構成、無線端末機の送信電力の上限値を制御し、設定し若しくは固定する構成、無線端末機の受信性能を制御する構成、又は無線端末機の受信性能の上限値を制御し、設定し若しくは固定する構成が含まれる。以下、発明4、7、10及び13の通信システムにおいて同じである。
【0018】
また、本システムは、単一の装置(例えば、無線基地局)、端末その他の機器として実現するようにしてもよいし、複数の装置(例えば、交換機及び無線基地局)、端末その他の機器を通信可能に接続したネットワークシステムとして実現するようにしてもよい。後者の場合、各構成要素は、それぞれ通信可能に接続されていれば、複数の機器等のうちいずれに属していてもよい。以下、発明4、7、10、13、14、16、18乃至21及び28の通信システムにおいて同じである。
【0019】
〔発明2〕さらに、発明2の通信システムは、発明1の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0020】
ここで、送信電力上限値取得手段は、送信電力の上限値を取得するようになっていればどのような構成であってもよく、例えば、入力装置等から送信電力の上限値を入力するようになっていてもよいし、外部の端末等から送信電力の上限値を獲得又は受信するようになっていてもよいし、記憶装置や記憶媒体等から送信電力の上限値を読み取るようになっていてもよい。したがって、取得には、少なくとも入力、獲得、受信及び読出が含まれる。以下、取得の概念については同じである。
【0021】
〔発明3〕さらに、発明3の通信システムは、発明1の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0022】
ここで、無線端末機に関連する無線端末機としては、例えば、通信相手先の無線端末機、又は家族、友人、社員その他の関係者間で所有する無線端末機が含まれる。以下、発明6、9、12、13、31、34、37、40及び41の通信システムにおいて同じである。
【0023】
〔発明4〕さらに、発明4の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段と、前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値テーブルに設定された値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備える。
【0024】
〔発明5〕さらに、発明5の通信システムは、発明4の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0025】
〔発明6〕さらに、発明6の通信システムは、発明4の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0026】
〔発明7〕さらに、発明7の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、前記送信電力上限値設定手段で設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備える。
【0027】
〔発明8〕さらに、発明8の通信システムは、発明7の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0028】
〔発明9〕さらに、発明9の通信システムは、発明7の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0029】
〔発明10〕さらに、発明10の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、前記送信電力上限値テーブルに設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備える。
【0030】
〔発明11〕さらに、発明11の通信システムは、発明10の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備える。
【0031】
〔発明12〕さらに、発明12の通信システムは、発明10の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0032】
〔発明13〕さらに、発明13の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機の送信電力の上限値が、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、当該無線端末機を制御する無線端末機制御手段とを備える。
【0033】
〔発明14〕さらに、発明14の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機ごとに、当該無線端末機への送信電力の上限値を基準上限値よりも増加させる送信電力上限値増加手段を備える。
【0034】
〔発明15〕さらに、発明15の通信システムは、発明14の通信システムにおいて、前記送信電力上限値増加手段で増加させた送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備える。
【0035】
〔発明16〕さらに、発明16の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、基準ゲインよりも高いゲインを有するアンテナと、対象とする無線端末機への送信電力の上限値が基準上限値よりも増加するように前記アンテナを制御するアンテナ制御手段とを備える。
【0036】
〔発明17〕さらに、発明17の通信システムは、発明16の通信システムにおいて、前記アンテナ制御手段により増加した送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備える。
【0037】
〔発明18〕さらに、発明18の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段と、前記送信電力上限値低下手段で低下させた送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させる受信性能低下手段とを備える。
【0038】
〔発明19〕さらに、発明19の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、受信性能を低下させる受信性能低下手段と、前記受信性能低下手段で低下させた受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備える。
【0039】
〔発明20〕さらに、発明20の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段と、前記送信電力上限値低下手段で低下させた送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を前記無線端末機に通知する受信状況通知手段とを備える。
【0040】
〔発明21〕さらに、発明21の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を前記無線端末機に通知する受信状況通知手段と、前記低下させた場合又は低下させたとした場合の受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備える。
【0041】
〔発明22〕さらに、発明22の通信システムは、発明18及び19のいずれか1の通信システムにおいて、前記受信性能低下手段は、前記無線端末機ごとに、当該無線端末機に対する受信性能を低下させる。
【0042】
〔発明23〕さらに、発明23の通信システムは、発明18乃至22のいずれか1の通信システムにおいて、前記送信電力上限値低下手段は、前記無線端末機ごとに、当該無線端末機への送信電力の上限値を低下させる。
【0043】
〔発明24〕さらに、発明24の通信システムは、発明18乃至23のいずれか1の通信システムにおいて、受信性能によって、あらかじめ登録した電波強度より強い無線送受信における前記無線端末機との通信を確立する。
【0044】
〔発明25〕さらに、発明25の通信システムは、発明15、17乃至24のいずれか1の通信システムにおいて、前記受信性能は、受信感度である。
【0045】
〔発明26〕さらに、発明26の通信システムは、発明15、17乃至24のいずれか1の通信システムにおいて、前記受信性能は、通信成立と判断する場合の基準値である。
【0046】
〔発明27〕さらに、発明27の通信システムは、発明15、17乃至24のいずれか1の通信システムにおいて、前記受信性能は、受信データの誤り率の許容値である。
【0047】
〔発明28〕さらに、発明28の通信システムは、複数の無線端末機と無線通信可能に接続する通信システムであって、前記無線端末機の送信電力の値を取得する送信電力値取得手段と、前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が所定値以上である場合又はこれを超えた場合は、前記無線端末機との通信を禁止する通信禁止手段とを備える。
【0048】
〔発明29〕さらに、発明29の通信システムは、発明28の通信システムにおいて、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備え、前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値設定手段で設定された値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止する。
【0049】
〔発明30〕さらに、発明30の通信システムは、発明29の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0050】
〔発明31〕さらに、発明31の通信システムは、発明29の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0051】
〔発明32〕さらに、発明32の通信システムは、発明28の通信システムにおいて、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備え、前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値テーブルに設定された値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止する。
【0052】
〔発明33〕さらに、発明33の通信システムは、発明32の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0053】
〔発明34〕さらに、発明34の通信システムは、発明32の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0054】
〔発明35〕さらに、発明35の通信システムは、発明28の通信システムにおいて、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、前記送信電力上限値設定手段で設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止
する。
【0055】
〔発明36〕さらに、発明36の通信システムは、発明35の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0056】
〔発明37〕さらに、発明37の通信システムは、発明35の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、前記送信電力上限値設定手段は、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として設定する。
【0057】
〔発明38〕さらに、発明38の通信システムは、発明28の通信システムにおいて、前記無線端末機ごとに、送信電力の上限値として当該無線端末機の最大上限値よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、前記送信電力上限値テーブルに設定された値を前記管理装置から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機について前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合
は、当該無線端末機との通信を禁止する。
【0058】
〔発明39〕さらに、発明39の通信システムは、発明38の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備える。
【0059】
〔発明40〕さらに、発明40の通信システムは、発明38の通信システムにおいて、前記管理装置は、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機に関連する無線端末機から取得する第2送信電力上限値取得手段と、前記無線端末機に関連する無線端末機から前記第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、当該無線端末機の送信電力の上限値として前記送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
【0060】
〔発明41〕さらに、発明41の通信システムは、発明28の通信システムにおいて、前記無線端末機の最大上限値よりも低い値を、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から取得する送信電力上限値取得手段を備え、前記通信禁止手段は、前記無線端末機について前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が、当該無線端末機又はこれに関連する無線端末機から前記送信電力上限値取得手段で取得した値以上である場合又はこれを超えた場合は、当該無線端末機との通信を禁止する。
【0061】
〔発明42〕一方、上記目的を達成するために、発明42の無線送受信機は、通信相手方の送信電力の値を取得する送信電力値取得手段と、前記送信電力値取得手段で取得した送信電力の値が所定値以上である場合又はこれを超えた場合は、前記通信相手方との通信を禁止する通信禁止手段とを備える。
【発明の効果】
【0062】
以上説明したように、発明1、4、7、10又は13の通信システムによれば、使用者等の意図で無線端末機の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0063】
さらに、発明14又は16の通信システムによれば、本通信システムの送信電力が増加すれば、無線端末機は、自己の送信電力を低下させるので、使用者等の意図で無線端末機の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0064】
さらに、発明18乃至21の通信システムによれば、使用者等の意図で本通信システムの送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0065】
さらに、発明28の通信システムによれば、無線端末機は、所定値以上又はこれを超えた送信電力で通信を行った場合は、本通信システムと通信を行うことができないので、使用者等の意図で無線端末機の送信電力を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0066】
一方、発明42の無線送受信機によれば、通信相手方は、所定値以上又はこれを超えた送信電力で通信を行った場合は、本無線送受信機と通信を行うことができないので、使用者等の意図で通信相手方の送信電力を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】通信システム100の構成を示す図である。
図2】W-CDMAの概略を説明するための図である。
図3】W-CDMAの概略を説明するための図である。
図4】通信制御情報20のデータ構造を示す図である。
図5】通信制御情報20のダウンロード処理を示すシーケンス図である。
図6】適応送信電力制御処理を示すフローチャートである。
図7】第2の実施の形態に係る無線基地局3の基本構成を示す図である。
図8】(a)~(c)は、従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図であり、(d)~(f)は、送信電力の上限値のみを低下させた場合の従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図である。
図9】(a)~(c)は、従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図であり、(d)~(f)は、本実施の形態に係る無線基地局3の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図である。
図10】無線通信制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
〔第1の実施の形態〕
次に、本発明の第1の実施の形態を説明する。
まず、本実施の形態に係る通信システム100の構成を説明する。
【0069】
図1は、通信システム100の構成を示す図である。
通信システム100は、図5に示すように、携帯電話機等の無線端末機2の使用者に対して通信サービスを提供するものであり、無線端末機2に無線接続する無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)3と、複数の無線基地局3に無線接続された無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)4と、無線ネットワーク制御装置4に接続された加入者交換機5と、中継用交換機6を介して加入者交換機5と接続されたオペレーションセンタ7とを有して構成されている。
【0070】
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするために単一のオペレーションセンタ7及び中継用交換機6、並びに2つの加入者交換機5を図示したが、この構成に限定されるものではなく、それらの数は任意である。
【0071】
通信システム100は、我が国における移動通信システムであるセルラーシステム(PDC:Personal Digital Cellular telecommunication system)と同様に、ゾーン方式が採用されてサービスエリア内に多数の無線ゾーンが配置されている。各々の無線ゾーンにおける通信制御は、無線基地局3により行われる。例えば、無線ゾーンA1に属する無線端末機2が他の通信端末と通信する場合は、無線ゾーンA1の通信制御を行う無線基地局3を介して加入者交換機5に接続され、加入者交換機5から中継用交換機6に接続される。また、無線端末機2は移動可能であるので、無線ゾーンA1からゾーン外へ移動した場合は、隣接する無線ゾーンA2に属するようになる。無線ゾーンA2に属する無線端末機2が他の通信端末と通信する場合は、無線ゾーンA2の通信制御を行う無線基地局3を介して加入者交換機5に接続され、加入者交換機5から中継用交換機6に接続される。このように、無線端末機2は、自己が属している無線ゾーンの通信制御を行う無線基地局3と無線回線を介して接続されることにより他の通信端末と通信を行うことができる。
【0072】
通信システム100では、通信及び無線回線の制御を行うために情報チャンネル及び制御チャンネルからなる論理チャンネルが用意されている。情報チャンネルは、無線端末機2が音声信号やデータ信号を送受信するためのものであり、特定の無線端末機2に割り当てられると、通信が終了するまではその無線端末機2により占有される。また、制御チャンネルは、接続制御に必要な制御信号を転送するチャンネルであり、無線ゾーン内のすべての無線端末機2に共通に報知する情報を転送するための下りのみの片方向チャンネルである報知チャンネル(BCCH:Broadcasting Control CHannel)や、
無線端末機2に着信を報知したり、無線端末機2からランダムに発せされる位置登録要求や発呼要求又はデータ送信要求を通知したりする共通制御チャンネル(CCCH:Common Control CHannel)等のチャンネルからなっている。
【0073】
無線端末機2は、共通制御チャンネルを使用して無線基地局3に位置登録要求を行うことにより、例えば無線ゾーンA1に属することになる。無線端末機2が他の通信端末と通信する場合は、無線端末機2は、通信相手先の電話番号情報を含む発呼信号を共通制御チャンネルを使用して無線基地局3に送信する。無線基地局3が発呼信号を受信すると、その発呼信号は、加入者交換機5を経由して中継用交換機6に送信される。そして、中継用交換機6は、他の加入者交換機5を介して通信相手先に着呼信号を送信し、その通信相手先と無線端末機2との間に回線を設定する。無線基地局3は、無線ゾーンA1における情報チャンネルの空きチャンネルを無線端末機2に割り当てる。これにより、無線端末機2は、通信相手先と通信することができる。
【0074】
無線アクセス方式としては、例えば、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)を採用している。
【0075】
図2及び図3は、W-CDMAの概略を説明するための図である。
W-CDMAでは、適応送信電力制御を採用している。適応送信電力制御は、信号電力対干渉電力比(SIR:Signal-Interference Power Ratio)をベースにしている。図2に示すように、無線基地局3で逆拡散した信号をRAKE合成した上でSIRを測定し、測定値が目標値より大きい場合は無線端末機2に送信電力を低下させるコマンドを送信する。逆のケースでは、送信電力を増加させるコマンドを送信する。これを受信した無線端末機2は、コマンドに従って送信電力を制御する。この動作を0.625[ms]に1回という高速で実現することで、フェージングにより発生する受信レベルの変動
を無線基地局3の電力制御によりなくすことができ、無線端末機2の送信電力も最小にすることができる。
【0076】
W-CDMAでは、図3に示すように、1つの無線基地局3がカバーする無線ゾーンにおいて同心円状に複数のセルが設定されている。図3の例では、無線基地局3がカバーする無線ゾーンA1において、無線基地局3に最も近い領域には、同心円状のセルS1が設定されている。無線基地局3に次に近い領域には、同心円状のセルS2が設定されている。無線基地局3から最も遠い領域には、同心円状のセルS3が設定されている。セルS1に属する3台の無線端末機2a1、2a2、2a3は、各無線端末機2a1、2a2、2a3のSIRの測定値が目標値SIR1となるように送信電力が制御されている。セルS2に属する3台の無線端末機2b1、2b2、2b3は、各無線端末機2b1、2b2、2b3のSIRの測定値が目標値SIR2となるように送信電力が制御されている。セルS3に属する3台の無線端末機2c1、2c2、2c3は、各無線端末機2c1、2c2、2c3のSIRの測定値が目標値SIR3となるように送信電力が制御されている。目標値の関係は、SIR1>SIR2>SIR3である。
【0077】
本実施の形態では、無線端末機2の送信電力の上限値を低下させる制御を行うものであるが、W-CDMAでは、例えば、セルS1に属する無線端末機2の送信電力の上限値を低下させる場合は、低下した送信電力の上限値でその無線端末機2が出力したときのSIRの測定値が目標値SIR1に達すれば、セルS1に属する無線端末機2として制御する。目標値SIR1に達しないが目標値SIR2に達すれば、セルS2に属する無線端末機2として制御する。目標値SIR2に達しないが目標値SIR3に達すれば、セルS3に属する無線端末機2として制御する。
【0078】
無線ネットワーク制御装置4は、無線端末機2と無線基地局3との間の無線回線を監視するほか、無線端末機2との間に無線チャネルを割り当てる等の無線制御を行う。無線ネットワーク制御装置4は、音声交換機51及びパケット交換機52に接続されている。無線ネットワーク制御装置4は、無線端末機2から受信した通話信号を音声交換機51に送信するとともに、無線端末機2から受信したデータ信号をパケット交換機52に送信する。
【0079】
加入者交換機5は、音声交換機51と、パケット交換機(LS/SGSN:Serving GPRS Support Node)52とを有して構成されている。
【0080】
音声交換機51は、無線ネットワーク制御装置4から受信した通話信号を、宛先の無線端末機2が属する無線基地局3に中継するとともに、中継用音声交換機61を介してオペレーションセンタ7から受信した通話信号を無線ネットワーク制御装置4に中継する。
【0081】
パケット交換機52は、無線ネットワーク制御装置4から受信したデータ信号を、宛先の無線端末機2が属する無線基地局3に中継するとともに、中継用パケット交換機62を介してオペレーションセンタ7から受信したデータ信号を無線ネットワーク制御装置4に中継する。
【0082】
加入者交換機5は、ビジターロケーションレジスタ(VLR:Visitor Location Register)53に接続されている。
【0083】
ビジターロケーションレジスタ53は、加入者交換機5が管轄する在圏エリア内の無線端末機2を管理するための無線端末機2の位置登録情報を記憶するデータベースである。なお、ビジターロケーションレジスタ53は、加入者交換機5がアクセス可能な構成であれば、加入者交換機5の外部又は内部に設けることが可能である。
【0084】
加入者交換機5は、例えば、無線端末機2から位置登録要求を受信した場合に、無線端末機2の位置登録情報をホームロケーションレジスタ(HLR:Home Location Register)71からダウンロードしてビジターロケーションレジスタ53に記憶し、位置登録情報に基づいて位置登録処理を行う。
【0085】
中継用交換機6は、加入者交換機5、関門用交換機9及びゲートウェイ(GW:Gateway)10にそれぞれ接続されている。関門用交換機9は、POI(Point Of Interface)12を介して他の関門用交換機13に接続され、ゲートウェイ10は、インターネットに接続されている。
【0086】
中継用交換機6は、中継用音声交換機61と、中継用パケット交換機(GS/GGSN:Gateway GPRS Support Node)62とを有して構成されている。
【0087】
中継用音声交換機61は、音声交換機51から受信した通話信号をオペレーションセンタ7に中継するとともに、オペレーションセンタ7から受信した通話信号を音声交換機51に中継する。
【0088】
中継用パケット交換機62は、パケット交換機52から受信したデータ信号をオペレーションセンタ7に中継するとともに、オペレーションセンタ7から受信したデータ信号をパケット交換機52に中継する。
【0089】
オペレーションセンタ7は、すべての無線端末機2に対して通信サービス、通信の利用を制限する利用制限サービス及び各無線端末機2が契約する様々なサービスを提供するサーバ機能を備える。
【0090】
オペレーションセンタ7は、ホームロケーションレジスタ71に接続されている。ホームロケーションレジスタ71は、オペレーションセンタ7が管轄する在圏エリア内のすべての無線端末機2の使用者情報(電話番号、IPアドレス、認証情報等)、契約サービス情報、位置登録情報(位置登録エリア、位置登録エリアの交換機)及び無線端末機2の通信経路の設定に必要な情報を記憶するほか、無線端末機2の通信制御情報を記憶するデータベースである。なお、ホームロケーションレジスタ71は、オペレーションセンタ7がアクセス可能な構成であれば、オペレーションセンタ7の外部又は内部に設けることが可能である。
【0091】
次に、通信制御情報のデータ構造を説明する。
図4は、通信制御情報20のデータ構造を示す図である。
【0092】
ホームロケーションレジスタ71は、図4に示すように、オペレーションセンタ7が管轄する在圏エリア内のすべての無線端末機2の通信制御情報20を記憶している。通信制御情報20は、無線端末機2ごとに1つのレコードが登録されている。各レコードは、無線端末機2の電話番号を登録したフィールドと、無線端末機2のIPアドレスを登録したフィールドと、無線端末機2の送信電力の上限値を登録したフィールドとを含む。無線端末機2の送信電力の上限値として、その無線端末機2の最大送信電力(例えば、1[W])よりも低い値(例えば、0.1[W])を設定することができる。ここで、最大送信電力とは、無線端末機2が性能上実現可能な送信電力の最大値、又は、無線基地局との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大送信電力をいう。
【0093】
送信電力の上限値は、オペレーションセンタ7の設定処理(送信電力上限値設定手段)により設定される。送信電力の上限値は、例えば、無線端末機2の出荷時に製造者、販売者又は通信事業者が設定したり、保護者である親が子供に無線端末機2を与える際に親が設定したり、使用者が設定したりすることが考えられる。オペレーションセンタ7は、これらの者から要求を受け、対象となる無線端末機2の送信電力の上限値を設定する。
【0094】
次に、通信制御情報20のダウンロード処理について説明する。
図5は、通信制御情報20のダウンロード処理を示すシーケンス図である。
【0095】
通信制御情報20のダウンロード処理は、加入者交換機5が無線端末機2から位置登録要求を受信した場合に実行される処理である。なお、図5では、説明を簡単にするために、無線ネットワーク制御装置4及び中継用交換機6を省略している。
【0096】
加入者交換機5は、図5に示すように、無線基地局3及び無線ネットワーク制御装置4を介して無線端末機2から位置登録要求を受信すると(ステップS100)、オペレーションセンタ7との間で要求元の無線端末機2の認証処理を行う(ステップS102)。認証処理が終了すると、加入者交換機5は、位置登録要求をオペレーションセンタ7に送信する(ステップS104)。
【0097】
オペレーションセンタ7は、要求元の無線端末機2の電話番号に基づいて、ホームロケーションレジスタ71に記憶されているその無線端末機2に対応する通信制御情報20を読み出し(ステップS106)、読み出した通信制御情報20を要求元の無線基地局3に送信する(ステップS108)。
【0098】
無線基地局3は、受信した通信制御情報20をデータベース等に記憶する(ステップS110)。
【0099】
また、オペレーションセンタ7は、読み出した通信制御情報20を位置登録情報とともに要求元の加入者交換機5に送信する(ステップS112)。
【0100】
加入者交換機5は、受信した位置登録情報とともに通信制御情報20をビジターロケーションレジスタ53に記憶し(ステップS114)、無線基地局装置3及び無線ネットワーク制御装置4を介して要求元の無線端末機2に位置登録応答を送信する(ステップS116)。
【0101】
次に、無線基地局3で実行される適応送信電力制御処理を説明する。
図6は、適応送信電力制御処理を示すフローチャートである。
【0102】
適応送信電力制御処理は、無線アクセス制御のうちW-CDMAの適応送信電力制御を行う処理であって、無線基地局3で実行されると、図6に示すように、まず、ステップS200に移行する。
【0103】
ステップS200では、無線アクセス制御の対象となる無線端末機2(以下、図6の説明において、対象無線端末機2という。)について設定されている送信電力の上限値Pmaxを、データベース等に記憶されている対象無線端末機2に対応する通信制御情報20から読み出し、ステップS202に移行する。
【0104】
ステップS202では、対象無線端末機2のSIRを測定し、ステップS204に移行して、SIRの測定値が目標値となるように、対象無線端末機2の送信電力の目標値Ptrを決定し、ステップS206に移行する。
【0105】
ステップS206では、送信電力の目標値Ptrが対象無線端末機2の送信電力の現在値Pcrよりも大きいか否かを判定し、目標値Ptrが現在値Pcrよりも大きいと判定したとき(YES)は、ステップS208に移行する。
【0106】
ステップS208では、送信電力の目標値Ptrが送信電力の上限値Pmaxよりも大きいか否かを判定し、目標値Ptrが上限値Pmax以下であると判定したとき(NO)は、ステップS210に移行する。
【0107】
ステップS210では、送信電力を目標値Ptrまで増加させる送信電力増加コマンドを対象無線端末機2に送信し、ステップS212に移行して、送信電力の現在値Pcrに送信電力の目標値Ptrを設定し、ステップS214に移行する。
【0108】
ステップS214では、送信電力の目標値Ptrが送信電力の現在値Pcrよりも小さいか否かを判定し、目標値Ptrが現在値Pcrよりも小さいと判定したとき(YES)は、ステップS216に移行する。
【0109】
ステップS216では、送信電力を目標値Ptrまで低下させる送信電力低下コマンドを対象無線端末機2に送信し、ステップS218に移行して、送信電力の現在値Pcrに送信電力の目標値Ptrを設定し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0110】
一方、ステップS214で、送信電力の目標値Ptrが送信電力の現在値Pcr以上であると判定したとき(NO)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0111】
一方、ステップS208で、送信電力の目標値Ptrが送信電力の上限値Pmaxよりも大きいと判定したとき(YES)は、ステップS214に移行する。この場合は、現在のセルから次に遠いセルに対象無線端末機2を移動させる処理を行うか、現在のセルが最も遠いセルであるならば他の無線基地局3に対象無線端末機2を移動させる処理を行う。
【0112】
一方、ステップS206で、送信電力の目標値Ptrが送信電力の現在値Pcr以下であると判定したとき(NO)は、ステップS214に移行する。
【0113】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者等が無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合、使用者等は、無線端末機2その他の通信端末においてオペレーションセンタ7にアクセスし、送信電力の上限値として無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定する。
【0114】
オペレーションセンタ7では、使用者等から要求を受けると、設定処理により、対象となる無線端末機2の送信電力の上限値が通信制御情報20に設定される。
【0115】
送信電力の上限値が設定されると、無線基地局3では、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について通信制御情報20で設定された値となるように、その無線端末機2の送信電力が制御される。
【0116】
このようにして、本実施の形態では、オペレーションセンタ7は、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を通信制御情報20に設定し、無線基地局3は、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について通信制御情報20で設定された値となるように、その無線端末機2の送信電力を制御する。
【0117】
これにより、使用者等の意図で無線端末機2の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0118】
本実施の形態において、オペレーションセンタ7の設定処理は、発明1の送信電力上限値設定手段に対応し、ステップS200~S212は、発明1の無線端末機制御手段に対応し、最大送信電力は、発明1の最大上限値に対応している。
【0119】
〔第1の実施の形態の変形例〕
なお、上記第1の実施の形態については、次の構成を採用することもできる。
【0120】
第1の構成は、上記第1の実施の形態の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0121】
第2の構成は、上記第1の実施の形態の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2に関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、例えば、通信相手先の無線端末機2、又は家族、友人、社員その他の関係者間で所有する無線端末機2が含まれる。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0122】
第3の構成は、上記第1の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値テーブルに設定された値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。ここで、上記第1の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値記憶手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機
5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0123】
このような構成であっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
第4の構成は、上記第3の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0124】
第5の構成は、上記第3の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2に関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0125】
第6の構成は、上記第1の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、送信電力上限値設定手段で設定された値を管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。すなわち、送信電力上限値設定手段を管理装置として別体に設けた構成である。ここで、管理装置は、送
信電力上限値取得手段及び無線端末機制御手段と別体であればよく、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7として構成することもできる。また、送信電力上限値取得手段は、管理装置と別体であれば、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0126】
このような構成であっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
第7の構成は、上記第6の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0127】
第8の構成は、上記第6の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2に関連する無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0128】
第9の構成は、上記第1の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、送信電力上限値テーブルに設定された値を管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。すなわち、送信電力上限値記憶手段を管理装置として別体に設けた構成である。ここで、管理装置は、送信電力上限値記憶手段及び無線端末機制御手段と別体であればよく、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7として構成することもできる。また、上記第1の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値記憶手段は、管理装置と別体であれば、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0129】
このような構成であっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
第10の構成は、上記第9の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段と、無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備える。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0130】
第11の構成は、上記第9の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段と、無線端末機2に関連する無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0131】
第12の構成は、上記第1の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2又はこれに関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2又はこれに関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。ここで、上記第1の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0132】
このような構成であっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られ
る。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0133】
以下、移動体通信システムと本実施の形態との関係について述べる。
携帯電話機や通信機内蔵のモバイルPCなどを接続する移動体通信システムの構成は、少なくとも、無線端末機2、無線基地局3、公衆通信網、「情報伝送において相手側となる端末機」(以下、通信相手方端末機という。)からなる。
【0134】
移動体通信システムにおいて、無線端末機2から通信相手方端末機に通信を確立しようとすると、無線端末機2から無線基地局3を経由して、公衆通信網を通り、通信相手方端末機へつながるかたちとなる。
【0135】
本実施の形態において、送信電力や受信感度について、「通常の」や「通常より低い」という表現が示す状態を以下に定義する。
【0136】
移動体通信システムにおける無線端末機2の送信電力は、使用者等が意図して所望な値へ変更することはできず、無線基地局3から届いた電波の強度を測定し、その結果に基づいて無線基地局3及び無線端末機2が無線端末機2の送信電力を決定していた。
【0137】
本実施の形態においては、使用者等が変更していない送信電力を「通常の送信電力」とし、対して、使用者等が意図して低く変更した送信電力を「通常より低い送信電力」としている。
【0138】
まず、本実施の形態に係る無線基地局3の構成を説明する。
図7は、第2の実施の形態に係る無線基地局3の基本構成を示す図である。
【0139】
無線基地局3は、「アンテナ」111、「受信部」410、「送信部」470、「制御信号発生部」450、「操作手段」114から構成される。
【0140】
「受信部」410は、少なくとも「帯域制限器」121、「感度制御器」122、「自動利得制御増幅器」123、「選局器」126、「復調器」128からなる。
【0141】
「アンテナ」111で受けた「受信信号」331は「受信部」410に入力される。「復調信号」332が「受信部」410から出力される。「復調信号」332は「基地局が伝送した情報」を含んでいる。
【0142】
「感度制御器」122は、「制御信号発生部」450からの「補正制御信号」352によって、受信感度を可変できる。
【0143】
「送信部」470は、少なくとも「搬送波発生器」171、「変調器」172、「送信電力制御器」173からなる。
【0144】
「相手へ伝送したい情報」を含んだ「変調信号」374は、「送信部」470に入力される。「送信部」470は、「送信信号」375を発生させ、「アンテナ」111へ出力する。
【0145】
「送信電力制御器」173は、「制御信号発生部」450からの「補正制御信号」352によって、送信電力を可変できる。
【0146】
「操作手段」114は、使用者等によりなされた操作に基づいて「操作信号」315を発生させ、「制御信号発生部」450へ出力する。
【0147】
「操作手段」114からの「操作信号」315が「制御信号発生部」450に入力される。「制御信号発生部」450は、「操作信号」315の状態に基づいて決定した「補正制御信号」352を出力する。「制御信号発生部」450は、発生させた「補正制御信号」352を「送信部」470と「受信部」410へ共通に出力する。
【0148】
つまり、「操作手段」114の操作によって「送信部」470と「受信部」410は制御される。
【0149】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
初めに、無線基地局3の送信電力が「通常の送信電力」である場合の動作を説明する。
【0150】
無線基地局3の送信電力が「通常の送信電力」である場合、「制御信号発生部」450は、「通常の送信電力」と「通常の受信感度」を維持する値の「補正制御信号」352を発生させ、「送信部」470と「受信部」410へ出力している。
【0151】
「送信部」470の構成要素である「送信電力制御器」173には、「通常の送信電力」を維持する値の「補正制御信号」352が入力されているため、「送信部」470は、「通常の送信電力」によって「送信信号」375を出力している。
【0152】
また、「受信部」410の構成要素である「感度制御器」122には、「通常の受信感度」を維持する値の「補正制御信号」352が入力されているため、「受信部」410は、「通常の受信感度」によって「復調信号」332を発生している。
【0153】
次に、無線基地局3の送信電力を下げたときの不具合について説明する。
無線端末機2から届いた電波の強度に応じて、無線基地局3は送信電力を決定している。
【0154】
無線端末機2から届いた電波が強ければ、無線基地局3は送信電力を小さくする。逆に、無線端末機2から届いた電波が弱ければ、無線基地局3は送信電力を大きくする。
【0155】
通常、無線基地局3は、必要最低限の送信電力で送信している。
例えば、無線基地局3が無線端末機2の電波を受信できているとき、単純に無線基地局3の送信電力を小さくすると、無線端末機2に届かなくなり通信ができなくなる。また、無線端末機2から見て無線基地局3の送信電力と受信感度の「通信の対称性」が崩れる。このため、無線端末機2は、無線基地局3に対して正常な運用ができなくなる。
【0156】
このような不具合及びこれを解決する方法を従来との対比においてより具体的に説明する。
【0157】
図8(a)~(c)は、従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図であり、図8(d)~(f)は、送信電力の上限値のみを低下させた場合の従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図である。
【0158】
図9(a)~(c)は、従来の無線端末機の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図であり、図9(d)~(f)は、本実施の形態に係る無線基地局3の送信電力特性、受信感度特性及び受信強度特性を示す図である。
【0159】
図8(a)、(d)及び図9(a)、(d)の縦軸800は送信電力を示し、図8(b)、(e)及び図9(b)、(e)の縦軸801は受信感度を示し、図8(c)、(f)及び図8(c)、(f)の縦軸802は受信強度を示している。また、図8及び図9の各グラフの横軸803は、従来の無線端末機と無線基地局との間(又は無線端末機2と無線基地局3との間)の伝搬損失(≒距離)を示している。
【0160】
従来の無線端末機では、図8(a)に示すように、無線基地局との間の伝搬損失が高くなるにつれて(すなわち、無線基地局から届いた電波が弱くなるにつれて)送信電力が増加するように送信電力が制御されている。送信電力は、無線端末機が発揮できる最大送信電力804に達すると最大送信電力804のまま一定となり、伝搬損失が最大送信電力804に達した点よりも若干高くなった点で無線基地局に信号を伝達することができなくなる。一方、受信感度は、図8(b)に示すように、伝搬損失にかかわらず、無線端末機が発揮できる最大受信感度805に設定されているので、受信強度は、図8(c)に示すように、伝搬損失が高くなるにつれて最大受信強度815から減少し、許容値806まで低下すると無線基地局からの信号を受信することができなくなる。
【0161】
このような状態では、無線端末機が無線基地局に信号を伝達できる範囲807と、無線端末機が無線基地局から信号を受信できる範囲808とが一致しているので、「通信の対称性」が保たれている。これは、アンテナの特性や受信部の雑音指数などを加味して「通信の対称性」が保たれるようにシステム設計がなされているからである。そのため、伝搬損失が範囲807、808を超えて範囲809、810まで高くなると、無線端末機では、無線基地局と通信が確立できなくなるので「圏外」が表示される。
【0162】
これに対し、送信電力の上限値のみを一定値811まで低下させた場合、送信電力は、図8(d)に示すように、一定値811に達すると一定値811のまま一定となり、伝搬損失が一定値811に達した点よりも若干高くなった点で無線基地局に信号を伝達することができなくなる。したがって、無線端末機が無線基地局に信号を伝達できる範囲812は、送信電力の上限値を低下させない場合に比して小さくなる。一方、受信感度は、図8(e)に示すように、伝搬損失にかかわらず最大受信感度805に設定されているので、受信強度は、図8(f)に示すように、伝搬損失が高くなるにつれて最大受信強度815から減少し、許容値806まで低下すると無線基地局からの信号を受信することができなくなる。したがって、無線端末機が無線基地局から信号を受信できる範囲808は、送信電力の上限値を低下させない場合と同一となる。
【0163】
このような状態では、無線端末機が無線基地局に信号を伝達できる範囲812と、無線端末機が無線基地局から信号を受信できる範囲808とが一致していないので、「通信の対称性」が崩れる。すなわち、伝搬損失が範囲812を超えるが範囲808を超えない範囲にある場合は、無線基地局に信号を伝達することができないが無線基地局から信号を受信することができる一方向の通信状態となるので、無線端末機では、「圏外」が表示されていないにもかかわらず、無線基地局に発信ができないという状態となる。これでは、使用者に混乱を与えるだけでなく、上記のとおり、無線基地局と基地局網は、無線端末機に対して正常な運用ができなくなる。
【0164】
このような問題は、無線基地局についても同様に想定される。
そこで、本実施の形態に係る無線基地局3では、図9(d)に示すように、「操作手段」114の操作によって送信電力の上限値を一定値811まで低下させた場合、図9(e)に示すように、低下した送信電力の上限値811に応じて受信感度を一定値813まで低下させる。例えば、送信電力の上限値を最大送信電力804(例えば、1[W])から一定値811(例えば、0.1[W])まで低下させた場合、受信感度を最大受信感度805(例えば、0[dB])から一定値813(例えば、10[dB]低下させた値)まで低下させる。受信感度が低下すれば、受信強度も、図9(f)に示すように、伝搬損失が高くなるにつれて最大受信強度815よりも所定値(最大受信感度805と一定値813との差分に相当)低下した一定値816から減少し、許容値806まで低下すると無線端末機2からの信号を受信することができなくなる。したがって、受信強度の範囲が小さくなるので、無線基地局3が無線端末機2から信号を受信できる範囲814は、受信感度を低下させない場合に比して小さくなる。
【0165】
これにより、無線基地局3が無線端末機2に信号を伝達できる範囲812と、無線基地局3が無線端末機2から信号を受信できる範囲814とが一致するので、「通信の対称性」が保たれる。
【0166】
なお、受信感度は、送信電力の上限値に応じて低下させればよいが、この場合、無線基地局3が無線端末機2から信号を受信できる範囲(受信範囲)が、無線基地局3が無線端末機2に信号を伝達できる範囲(伝達範囲)と一致するように低下させることが好ましい。ただし、受信範囲及び伝達範囲が必ずしも一致しなくてもよく、受信感度をまったく低下させない場合に比して、受信範囲と伝達範囲との不一致部分を小さくさえできれば、「通信の対称性」が崩れる度合いを小さくすることができるので、送信電力の上限値を低下させた場合は、受信範囲が伝達範囲と一致するか又はその不一致部分が小さくなるように受信感度を低下させればよいということができる。
【0167】
次に、無線基地局3の送信電力を「通常より低い送信電力」へ変更したときの動作、及び、前記不具合を防ぐ動作を「感度制御器」122に可変減衰器(Variable Attenuator)を用いた例で説明する。
【0168】
ここで、通常の動作として、所定の範囲内で増減している送信電力を使用者等が手動で1/10に変更しようとする。
【0169】
使用者等が「操作手段」114を操作すると、「制御信号発生部」450から「補正制御信号」352が、「感度制御器」122(可変減衰器)と「送信電力制御器」173に入力される。
【0170】
ここで、「補正制御信号」352は、1/10にするという値である。
「送信電力制御器」173は、送信電力を本来の最大送信電力の1/10に設定する。
【0171】
「感度制御器」122(可変減衰器)は、減衰率を1/10に設定する。
したがって、無線基地局3は、使用者等の操作によって、送信電力を「通常より低い送信電力」へ切り替えたり、「通常の送信電力」へ戻したりが可能であり、また、その送信電力の切り替えに連動して、受信感度も「通常より低い受信感度」へ切り替わったり、「通常の受信感度」へ戻ったりする。
【0172】
以下、「受信部」410の受信感度を下げる方法について述べる。
「受信部」410の構成要素である「感度制御器」122は、可変減衰器、可変増幅器によって実施可能である。
【0173】
また、これらを使用する他に、「受信部」410の受信感度を下げるには、「自動利得制御増幅器」123の利得可変範囲を狭めることで可能である。
【0174】
このようにして、本実施の形態では、無線基地局3は、「操作手段」114の操作によって送信電力の上限値を低下させ、低下した送信電力の上限値に応じて受信感度を低下させる。
【0175】
これにより、使用者等の意図で無線基地局3の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。さらに、「通信の対称性」が崩れる度合いを小さくすることができる。
【0176】
〔第2の実施の形態の変形例〕
なお、上記第2の実施の形態については、次の構成を採用することもできる。
【0177】
第1の構成は、上記第2の実施の形態の構成に代えて、受信性能を低下させる受信性能低下手段と、受信性能低下手段で低下させた受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備える。
【0178】
このような構成であっても、上記第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
第2の構成は、上記第2の実施の形態の構成に代えて、送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段と、送信電力上限値低下手段で低下させた送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を無線端末機2に通知する受信状況通知手段とを備える。
【0179】
このような構成であっても、上記第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
第3の構成は、上記第2の実施の形態の構成に代えて、受信性能を低下させた場合又は低下させたとした場合の受信状況を無線端末機2に通知する受信状況通知手段と、低下させた場合又は低下させたとした場合の受信性能に応じて送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備える。
【0180】
このような構成であっても、上記第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
第2の構成及び第3の構成において、無線基地局3で実際に受信性能を低下させる場合、通知内容は、低下した送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させた場合の受信状況となり、無線基地局3では受信性能を低下させないが無線端末機2に対しては低下したように見せかける場合、通知内容は、低下した送信電力の上限値に応じて受信性能を低下させたとした場合の受信状況となる。受信状況としては、アナログ方式の通信においては、例えば、「現在の受信強度は**[dB]です。」となり、デジタル方式の通信においては、例えば、「現在の誤り率は**です。」となる。ただし、送信信号には、「**」の情報だけ含めれば十分である。
【0181】
第4の構成は、上記第2の実施の形態の構成又は第1の構成において、受信性能低下手段は、無線端末機2ごとに、その無線端末機2に対する受信性能を低下させる。もっとも、特定又はすべての無線端末機2に対する受信性能を低下させてもよい。
【0182】
第5の構成は、上記第2の実施の形態の構成、又は第1の構成、第2の構成、第3の構成若しくは第4の構成において、送信電力上限値低下手段は、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への送信電力の上限値を低下させる。もっとも、特定又はすべての無線端末機2への送信電力の上限値を低下させてもよい。
【0183】
第6の構成は、上記第2の実施の形態の構成、又は第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成若しくは第5の構成において、受信性能によって、あらかじめ登録した電波強度より強い無線送受信における無線端末機2との通信を確立する。
【0184】
第7の構成は、上記第2の実施の形態の構成、又は第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成、第5の構成若しくは第6の構成において、受信性能は、受信感度である。
【0185】
第8の構成は、上記第2の実施の形態の構成、又は第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成、第5の構成若しくは第6の構成において、受信性能は、通信成立と判断する場合の基準値である。
【0186】
第9の構成は、上記第2の実施の形態の構成、又は第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成、第5の構成若しくは第6の構成において、受信性能は、受信データの誤り率の許容値である。
【0187】
第10の構成は、上記第2の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への送信電力の上限値を基準上限値よりも増加させる送信電力上限値増加手段を備える。無線基地局3の送信電力が増加すれば、無線端末機2は、自己の送信電力を低下させるので、使用者等の意図で無線端末機2の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0188】
第11の構成は、第10の構成において、送信電力上限値増加手段で増加させた送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備える。受信性能については、第7の構成、第8の構成又は第9の構成を採用することができる。
【0189】
このような構成であれば、「通信の対称性」が崩れる度合いを小さくすることができる。
【0190】
第12の構成は、上記第2の実施の形態の構成に代えて、基準ゲインよりも高いゲインを有するアンテナと、対象とする無線端末機2への送信電力の上限値が基準上限値よりも増加するようにアンテナを制御するアンテナ制御手段とを備える。無線基地局3の送信電力が増加すれば、無線端末機2は、自己の送信電力を低下させるので、使用者等の意図で無線端末機2の送信電力の上限値を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0191】
第13の構成は、第12の構成において、アンテナ制御手段により増加した送信電力の上限値に応じて受信性能を増加させる受信性能増加手段を備える。受信性能については、第7の構成、第8の構成又は第9の構成を採用することができる。
【0192】
このような構成であれば、「通信の対称性」が崩れる度合いを小さくすることができる。
【0193】
第2の実施の形態の構成、又は第2の実施の形態の変形例における第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成、第5の構成、第6の構成、第7の構成、第8の構成、第9の構成、第10の構成、第11の構成、第12の構成若しくは第13の構成において、第1の実施の形態の構成、又は第3の実施の形態の変形例における第1の構成、第2の構成、第3の構成、第4の構成、第5の構成、第6の構成、第7の構成、第8の構成、第9の構成、第10の構成、第11の構成若しくは第12の構成を適用することもできる。すなわち、送信電力の上限値を設定する構成やテーブルを記憶する構成とすることができる。例えば、第2の実施の形態の変形例における第10の構成に第1の実施の形態の変形例における第3の構成を適用した場合は、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への無線基地局3の送信電力の上限値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する記憶手段を設け、送信電力上限値増加手段は、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への送信電力の上限値を、その無線端末機2について送信電力上限値テーブルに設定された値まで増加させる構成となる。
【0194】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
【0195】
無線基地局3は、図6の適応送信電力制御処理に代えて、W-CDMAにおける通常の適応送信電力制御処理を実行し、本実施の形態では、図10のフローチャートに示す無線通信制御処理を実行する。
【0196】
図10は、無線通信制御処理を示すフローチャートである。
無線通信制御処理は、無線基地局3で実行されると、図10に示すように、まず、ステップS300に移行する。
【0197】
ステップS300では、無線アクセス制御の対象となる無線端末機2(以下、図10の説明において、対象無線端末機2という。)について設定されている送信電力の上限値Pmaxを、データベース等に記憶されている対象無線端末機2に対応する通信制御情報20から読み出し、ステップS302に移行する。
【0198】
ステップS302では、対象無線端末機2の送信電力の現在値Pcrを対象無線端末機2から受信し、ステップS304に移行して、送信電力の現在値Pcrが送信電力の上限値Pmaxよりも大きいか否かを判定し、現在値Pcrが上限値Pmax以下であると判定したとき(NO)は、ステップS306に移行する。
【0199】
ステップS306では、W-CDMAにおける通常の無線アクセス制御を行う処理を実行し、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0200】
一方、ステップS304で、送信電力の現在値Pcrが送信電力の上限値Pmaxよりも大きいと判定したとき(YES)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。
【0201】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
使用者等が無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合、使用者等は、無線端末機2その他の通信端末においてオペレーションセンタ7にアクセスし、送信電力の上限値として無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定する。
【0202】
オペレーションセンタ7では、使用者等から要求を受けると、設定処理により、対象となる無線端末機2の送信電力の上限値が通信制御情報20に設定される。
【0203】
送信電力の上限値が設定されると、無線基地局3では、無線端末機2の送信電力が、その無線端末機2について通信制御情報20で設定された値よりも小さい場合に限り、無線アクセス制御が行われる。
【0204】
このようにして、本実施の形態では、無線基地局3は、無線端末機2の送信電力の現在値Pcrを受信し、受信した送信電力の現在値Pcrが、その無線端末機2について設定された送信電力の上限値Pmaxを超えた場合は、その無線端末機2との通信を禁止する。
【0205】
これにより、無線端末機2は、上限値Pmaxを超えた送信電力で通信を行った場合は、無線基地局3と通信を行うことができないので、使用者等の意図で無線端末機2の送信電力を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0206】
本実施の形態において、ステップS302は、発明28又は29の送信電力値取得手段に対応し、ステップS300,S304は、発明28又は29の通信禁止手段に対応し、オペレーションセンタ7の設定処理は、発明29の送信電力上限値設定手段に対応している。
【0207】
〔第3の実施の形態の変形例〕
なお、上記第3の実施の形態については、次の構成を採用することもできる。
【0208】
第1の構成は、上記第3の実施の形態の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0209】
第2の構成は、上記第3の実施の形態の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2に関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、例えば、通信相手先の無線端末機2、又は家族、友人、社員その他の関係者間で所有する無線端末機2が含まれる。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0210】
第3の構成は、上記第3の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値テーブルに設定された値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。ここで、上記第3の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値記憶手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0211】
このような構成であっても、上記第3の実施の形態と同様の効果が得られ
る。
第4の構成は、上記第3の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0212】
第5の構成は、上記第3の構成において、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2に関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。
例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0213】
第6の構成は、上記第3の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定する送信電力上限値設定手段を備える管理装置と通信可能に接続し、送信電力上限値設定手段で設定された値を管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。すなわち、送信電力上限値設定手段を管理装置として別体に設けた構成である。ここで、管理装置は、送信電力上限値取得手段及び無線端末機制御手段と別体であればよく、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7として構成することもできる。また、送信電力上限値取得手段は、管理装置と別体であれば、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0214】
このような構成であっても、上記第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
第7の構成は、上記第6の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0215】
第8の構成は、上記第6の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段を備え、送信電力上限値設定手段は、無線端末機2に関連する無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として設定する。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。
【0216】
第9の構成は、上記第3の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2ごとに、送信電力の上限値としてその無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を設定した送信電力上限値テーブルを記憶する送信電力上限値記憶手段を備える管理装置と通信可能に接続し、送信電力上限値テーブルに設定された値を管理装置から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2について送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。すなわち、送信電力上限値記憶手段を管理装置として別体に設けた構成である。ここで、管理装置は、送信電力上限値記憶手段及び無線端末機制御手段と別体であればよく、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7として構成することもできる。また、上記第3の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値記憶手段は、管理装置と別体であれば、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0217】
このような構成であっても、上記第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
第10の構成は、上記第9の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段と、無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段を備える。すなわち、使用者が自己の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、自己の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0218】
第11の構成は、上記第9の構成において、管理装置は、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2に関連する無線端末機2から取得する第2送信電力上限値取得手段と、無線端末機2に関連する無線端末機2から第2送信電力上限値取得手段で取得した値を、その無線端末機2の送信電力の上限値として送信電力上限値テーブルに設定する送信電力上限値設定手段とを備える。例えば、親が子供の無線端末機2の送信電力の上限値を低下させたい場合に、親の無線端末機2において送信電力の上限値を設定する構成である。ここで、無線端末機2に関連する無線端末機2としては、上記同様である。また、第2送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、送信電力上限値設定手段を設ける箇所についても同様である。
【0219】
第12の構成は、上記第3の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2の最大送信電力よりも低い値を、その無線端末機2又はこれに関連する無線端末機2から取得する送信電力上限値取得手段と、無線端末機2の送信電力の上限値が、その無線端末機2又はこれに関連する無線端末機2から送信電力上限値取得手段で取得した値となるように、その無線端末機2を制御する無線端末機制御手段とを備える。ここで、上記第3の実施の形態における設定処理(送信電力上限値設定手段)は設けなくてもよい。また、送信電力上限値取得手段は、無線基地局3、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7に設けることができる。また、無線端末機制御手段を設ける箇所についても同様である。
【0220】
このような構成であっても、上記第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
第13の構成は、上記第3の実施の形態の構成に代えて、無線端末機2が、無線基地局3の送信電力の現在値Pcrを受信し、受信した送信電力の現在値Pcrが、その無線基地局3について設定された送信電力の上限値Pmaxを超えた場合は、その無線基地局3との通信を禁止する。この他にも、トランシーバのような1対1での通信の関係においても適用可能である。すなわち、無線端末機2、無線基地局3、トランシーバその他の無線送受信機について幅広く適用することが可能である。
【0221】
このような構成であれば、通信相手方は、所定値以上又はこれを超えた送信電力で通信を行った場合は、本無線送受信機と通信を行うことができないので、使用者等の意図で通信相手方の送信電力を抑制することで消費電力を抑えることができる。また、無線周波電磁界の人体への影響を弱くすることができる。
【0222】
〔その他の変形例〕
なお、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、受信した電波の強度を測定し、これに基づいて送信電力の上限値を低下させ、また、良好な通信が期待できる状態を判断していたが、デジタル方式の通信においては、受信した電波の強度を測定する代わりに、受信データの誤り率を測定し、その誤り率に基づいて受信感度を低下させ、また、良好な通信が期待できる状態を判断してもよい。
【0223】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、「操作手段」114の操作によって低下させた送信電力の上限値に応じて受信感度を低下するように構成したが、これに限らず、デジタル方式の通信においては、「操作手段」114の操作によって低下させた送信電力の上限値に応じて受信データの誤り率の許容値を低下するように構成することもできる。具体的には、「通常の送信電力」の状態では、受信データの誤り率が第1閾値(誤り率の許容値)以下である場合に通信成立と判断するのに対し、「通常より低い送信電力」の状態では、受信データの誤り率が第1閾値よりも低い第2閾値(誤り率の許容値)以下である場合に通信成立と判断する。
【0224】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、「操作手段」114の操作によって送信電力の上限値を低下させ、低下した送信電力の上限値に応じて受信感度を低下するように構成したが、これに限らず、次の構成を採用することもできる。
【0225】
第1の構成として、送信電力の上限値の固定値として最大送信電力よりも低い値を示す固定情報を記憶する「記憶手段」を設け、「記憶手段」の固定情報によって送信電力の上限値を最大送信電力よりも低い値に固定し、固定した送信電力の上限値に応じて受信感度を最大受信感度よりも低い値に固定する。この場合、「操作手段」114は設けなくてもよい。
【0226】
第2の構成として、受信性能(例えば、受信感度、通信成立と判断する場合の基準値又は受信データの誤り率の許容値)の固定値として最大受信性能よりも低い値を示す固定情報を記憶する「記憶手段」を設け、「記憶手段」の固定情報によって受信性能を最大受信性能よりも低い値に固定し、固定した受信性能に応じて送信電力の上限値を最大送信電力よりも低い値に固定する。ここで、最大受信性能とは、無線送受信機が性能上実現可能な受信性能の最大値、又は、無線基地局との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大受信性能をいう。この場合、「操作手段」114は設けなくてもよい。
【0227】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、単一の操作によって、送信電力の上限値の低下(以下、送信制御という。)及び受信感度の低下(以下、受信制御という。)を行う構成だけでなく、(1)複数の操作によって送信制御及び受信制御を行う構成、(2)第1の操作(1又は複数の操作)によって送信制御を行った後に第2の操作(1又は複数の操作)によって受信制御を行う構成、(3)第1の操作(1又は複数の操作)によって受信制御を行った後に第2の操作(1又は複数の操作)によって送信制御を行う構成、又は(4)所定の操作(1又は複数の操作)によって送信制御のみを行い、操作によらず、受信範囲が伝達範囲と一致するか又はその不一致部分が小さくなるように受信制御を行う構成、(5)所定の操作(1又は複数の操作)によって受信制御のみを行い、操作によらず、受信範囲が伝達範囲と一致するか又はその不一致部分が小さくなるように送信制御を行う構成を採用することもできる。また、送信制御又は受信制御のトリガとなる所定の操作は、他の機能を起動させる操作と共通としてもよい。例えば、通話音量を増減させる操作と共通とすれば、通話音量を低下させる操作に伴って送信電力の上限値を低下することができる。
【0228】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、図9(a)、(d)に示すように、送信電力特性のうち送信電力の上限値だけを低下させるように構成したが、これに限らず、例えば、送信電力特性の全体を低下させるように構成することもできる。
【0229】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例においては、図9(b)、(e)に示すように、受信感度を伝搬損失にかかわらず一定値813に低下するように構成したが、これに限らず、例えば、伝搬損失が高くなるにつれて最大受信感度805から一定値813まで段階的に低下させるように構成することもできる。
【0230】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例において、無線基地局3は、「操作手段」114の操作によって送信電力の上限値を低下させ、低下した送信電力の上限値に応じて受信感度を低下させるように構成したが、図9において現在の送信電力が最大送信電力804である場合に低下させると、無線端末機2との通信に必要な送信電力(最大送信電力804)よりも低い値(一定値811)を上限値として設定し、送信電力を抑制する構成ということができる。
【0231】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例において、無線基地局3は、送信電力の上限値を低下させ、低下した送信電力の上限値に応じて受信感度を低下させるように構成したが、これに限らず、次の構成を採用することもできる。
【0232】
第1の構成として、無線基地局3の送信電力の上限値は、通信相手方(例えば、無線端末機2)との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大送信電力よりも低い値であり、無線基地局3の受信性能は、通信相手方との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大受信性能よりも低い値である。すなわち、上記第2の実施の形態及びその変形例のように送信電力の上限値及び受信感度を低下させる構成ではなく、送信電力の上限値及び受信感度がそもそも最初から低い値となっている構成である。
【0233】
第2の構成として、無線基地局3の送信電力の上限値は、通信相手方(例えば、無線端末機2)との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大送信電力よりも低い値であり、無線基地局3の受信性能を、通信相手方との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大受信性能よりも低い値とした場合の受信状況を通信相手方に通知する。すなわち、上記第2の実施の形態及びその変形例のように送信電力の上限値及び受信感度を低下させる構成ではなく、送信電力の上限値及び受信感度がそもそも最初から低い値となっている構成である。
【0234】
第3の構成として、無線基地局3の送信電力の上限値を最大上限値よりも低い値に低下させ、低下した送信電力の上限値よりも高い送信電力が通信に必要な通信相手方から受信したときは通知を行う。すなわち、無線基地局3の受信性能は必ずしも低下させる必要はないが、受信範囲が伝達範囲と不一致の領域でも、少なくとも受信したことが分かるように通知を行うものである。
【0235】
第4の構成として、無線基地局3の送信電力の上限値は、通信相手方との通信品質が最低限である場合に必要な規格上の最大送信電力よりも低い値であり、送信電力の上限値よりも高い送信電力が通信に必要な通信相手方から受信したときは通知を行う。すなわち、無線基地局3の受信性能は必ずしも低下させる必要はないが、受信範囲が伝達範囲と不一致の領域でも、少なくとも受信したことが分かるように通知を行うものである。
【0236】
第5の構成として、第3及び第4の構成において、送信電力の上限値以下の送信電力で通信可能な通信相手方から受信したときは、第1の通知態様(例えば、音声パターン1又は振動パターン1)で通知し、送信電力の上限値よりも高い送信電力が通信に必要な通信相手方から受信したときは、第1の通知態様とは異なる第2の通知態様(例えば、音声パターン2又は振動パターン2)で通知する。
【0237】
また、上記第2の実施の形態及びその変形例は、輻輳制御等にも適用することができる。具体的には、通信網の異常(例えば、通信網の輻輳、障害(機器や回線の故障を含む。)、人為的規制その他の異常)を検出する異常検出手段と、異常検出手段で異常を検出した異常時に無線基地局3の送信電力の上限値を低下させる送信電力上限値低下手段とを備える。これにより、無線基地局3がカバーする無線ゾーンが小さくなるので、無線アクセス制御の対象となる無線端末機2の台数を少なくすることができる。したがって、通信網の異常時に効率よく通信が行われ、多くの人が通信できるようになることが期待できる。
【0238】
また、上記第1乃至第3の実施の形態及びその変形例においては、オペレーションセンタ7にアクセスすることにより送信電力の上限値を設定するように構成したが、これに限らず、特定の電話番号に発呼することにより送信電力の上限値を設定(例えば、0990-XX-XXX1なら0.1[W]に、0990-XX-XXX2なら0.01[W]に、0990-XX-XXX3なら0.001[W]に設定)するように構成することもできる。これにより、特定の電話番号に発呼するだけで設定を行うことができるので、送信電力の上限値の設定が容易となる。
【0239】
また、上記第3の実施の形態及びその変形例において、ステップS302の処理では、対象無線端末機2の送信電力の現在値Pcrを対象無線端末機2から受信するように構成したが、これに限らず、対象無線端末機2の送信電力の現在値Pcrを適応送信電力制御処理等の内部処理で保持している場合は、対象無線端末機2の送信電力の現在値Pcrを無線基地局3の内部処理から取得するように構成することもできる。また、これらに限らず、対象無線端末機2に関連する無線端末機2その他の通信端末、無線ネットワーク制御装置4、加入者交換機5、中継用交換機6又はオペレーションセンタ7から取得するように構成することもできる。
【0240】
また、上記第2の実施の形態の変形例においては、第10の構成として、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への送信電力の上限値を基準上限値よりも増加させる送信電力上限値増加手段を備える構成としたが、これに限らず、通信網の異常(例えば、通信網の輻輳、障害(機器や回線の故障を含む。)、人為的規制その他の異常)を検出する異常検出手段を備え、送信電力上限値増加手段は、異常検出手段で異常を検出した異常時に、無線端末機2ごとに、その無線端末機2への送信電力の上限値を基準上限値よりも増加させる構成とすることもできる。
【0241】
このような構成であれば、無線端末機2は、異常時に低消費電力で通信す
ることができるので、異常時に通信ができない可能性を低減することができ
る。
【0242】
また、上記第2の実施の形態の変形例においては、第12の構成として、
基準ゲインよりも高いゲインを有するアンテナと、対象とする無線端末機2
への送信電力の上限値が基準上限値よりも増加するようにアンテナを制御す
るアンテナ制御手段とを備える構成としたが、これに限らず、通信網の異常
(例えば、通信網の輻輳、障害(機器や回線の故障を含む。)、人為的規制
その他の異常)を検出する異常検出手段を備え、アンテナ制御手段は、異常
検出手段で異常を検出した異常時に、対象とする無線端末機2への送信電力
の上限値が基準上限値よりも増加するようにアンテナを制御する構成とする
こともできる。
【0243】
このような構成であれば、無線端末機2は、異常時に低消費電力で通信す
ることができるので、異常時に通信ができない可能性を低減することができ
る。
【符号の説明】
【0244】
100…通信システム、2…無線端末機、3…無線基地局装置、4…無線ネットワーク制御装置、5…加入者交換機、51…音声交換機、52…パケット交換機、53…ビジターロケーションレジスタ、6…中継用交換機、61…中継用音声交換機、62…中継用パケット交換機、7…オペレーションセンタ、71…ホームロケーションレジスタ、9,13…関門用交換機、10…ゲートウェイ、12…POI、20…通信制御情報、111…アンテナ、114…操作手段、121…帯域制限器、122…感度制御器、123…自動利得制御増幅器、126…選局器、128…復調器、171…搬送波発生器、172…変調器、173…送信電力制御器、315…操作信号、331…受信信号、332…復調信号、352…補正制御信号、374…変調信号、375…送信信号、410…受信部、450…制御信号発生部、470…送信部
図1
図2
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図8
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図10