(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024126
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】制御された薬剤送達ポンプのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20220201BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/142 522
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189985
(22)【出願日】2021-11-24
(62)【分割の表示】P 2018528739の分割
【原出願日】2016-12-02
(31)【優先権主張番号】62/262,683
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517295698
【氏名又は名称】ユーエヌエル ホールディングス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】UNL Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロートン・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】イアン・ビー・ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エフ・ザ・フォース・ベンテ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・トルツィビンスキ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬剤送達装置の作動、薬剤送達装置の制御、および薬剤送達装置との通信を可能にする薬剤送達装置のための電源および制御システムを提供する。
【解決手段】電源および制御システムは、薬剤ポンプ10の作動と、任意選択的にニードルの挿入と、薬剤送達の開始との間の遅延を可能にする。遅延は、所定時間にわたり得る。さらに、電源および制御システムは、1つまたは複数の外部センサおよび装置と通信し得る。センサおよび装置からの入力は、装置の送達パラメータを自動的にまたは要求に応じて調整し得る。電源および制御システムは、さまざまな速度またはプロファイルで流体を送達する駆動システムを制御し、治療の効果を最大化するように送達が調整されることを可能にし得る。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
流体を含む薬剤容器と、
駆動システムと、
電源および制御システムと、
タイマと、
ユーザによる機械的作動に適合されるニードル挿入機構と、
を含み、
前記ニードル挿入機構の作動により、カニューレが標的に挿入され、かつ前記電源およ
び制御システムが、前記タイマによって監視される所定時間にわたって遅延モードに入り
、さらに、前記所定時間の完了時、前記電源および制御システムが送達モードに入り、前
記送達モードでは、前記電源および制御システムが、前記駆動システムに、前記薬剤容器
からの前記流体を、前記ニードル挿入機構を通してかつ標的に送達させる、薬剤送達装置
。
【請求項2】
状態スイッチをさらに含み、前記状態スイッチの作動により、前記電源および制御シス
テムが前記遅延モードに入る、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記状態スイッチが、前記ニードル挿入機構の作動後、前記ニードル挿入機構の一部と
の接触によって作動されるように構成される、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記ニードル挿入機構が回転ニードル挿入機構であり、および前記ニードル挿入機構の
一部の回転が前記状態スイッチとの接触をもたらす、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記遅延モードの間、前記電源および制御システムが、前記電源および制御システムが
遅延モード表示器を提供する通信モードに断続的に入る、請求項1に記載の薬剤送達装置
。
【請求項6】
前記遅延モード表示器が視覚的な表示または可聴式の表示である、請求項5に記載の薬
剤送達装置。
【請求項7】
前記駆動システムが前記流体のボーラス送達をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装
置。
【請求項8】
前記電源および制御システムが前記流体の送達の完了時に送達終了表示器の作動をもた
らす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記薬剤送達装置が前記標的に近いことを検出するように構成される身体上センサをさ
らに含み、前記身体上センサの作動が前記電源および制御システムの作動をもたらす、請
求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記ニードル挿入機構が前記電源および制御システムの作動後に所定時間内に作動され
ない場合、前記電源および制御システムがNIM要求通知の作動をもたらす、請求項9に
記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記電源および制御システムが、前記送達モードに入ると、送達モード表示器の作動を
もたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記送達モード表示器が視覚的な表示または可聴式の表示である、請求項11に記載の
薬剤送達装置。
【請求項13】
薬剤送達の方法であって、
ユーザにより、ニードル挿入機構を作動させるステップと、
電源および制御システムを作動させて遅延モードに入るステップと、
所定時間の完了時、前記電源および制御システムが送達モードに入るステップと、
前記電源および制御システムが駆動システムを作動させて、薬剤容器からの流体を、前
記ニードル挿入機構を通してかつ標的に送達するステップと、
を含む、薬剤送達の方法。
【請求項14】
状態スイッチを作動させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記状態スイッチが、前記ニードル挿入機構との接触によって作動される、請求項14
に記載の方法。
【請求項16】
前記遅延モードの間、前記電源および制御システムが断続的に通信モードに入って、遅
延モード表示器を提供するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
身体上センサを作動させて、前記電源および制御システムの作動をもたらすステップを
さらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記電源および制御システムが、前記送達モードに入ると、送達モード表示器の作動を
もたらすステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記ニードル挿入機構が前記電源および制御システムの作動後に所定時間内に作動され
ない場合、前記電源および制御システムがニードル挿入機構要求通知の作動をもたらすス
テップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記電源および制御システムが前記流体の送達の完了時に送達終了表示器の作動をもた
らすステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達ポンプ装置に関する。特に、本発明は、薬剤ポンプ装置の駆動機構
を制御し、かつ薬剤物質の時間制御送達を提供する薬剤送達ポンプのためのシステムおよ
びサブシステムに関する。本発明はさらに、そのような薬剤送達ポンプ装置を作動させる
方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種薬剤の非経口送達、すなわち消化路を通らない手段での送達は、いくつかの理由に
より、望ましい薬剤送達方法となっている。注入によるこの形態の薬剤送達は、送達され
るべき物質の効果を高め、医薬が変質せずに有効な濃度でその意図される部位に到達する
ことができる。同様に、全身毒性など、他の送達経路と関連付けられる望ましくない副作
用を非経口送達により潜在的に回避できる。哺乳類患者の消化器系を迂回することにより
、消化管内および肝臓内の触媒酵素により引き起こされる活性成分の分解を回避できると
ともに、所望の濃度の必要量の薬剤を目標部位に到達させることができる。
【0003】
従来、薬剤を患者へ非経口送達するために、手動操作されるシリンジおよび注射ペンが
使用されてきた。ごく最近では、液状医薬の身体内への非経口送達は、ニードルおよびリ
ザーバを使用してボーラス注射を投与することにより、重力駆動の供給器によって連続的
にまたは経皮パッチ技術によって達成されてきた。ボーラス注射は、多くの場合、患者の
臨床的必要性に完全には適合せず、通常、個別用量が与えられる特定の時間で要求される
よりも多くの個別用量を必要とする。重力供給方式のシステムによる医薬の連続送達は、
患者の移動性およびライフスタイルを損ない、単純化した流量およびプロファイルに治療
を制限する。他の形態の薬剤送達、経皮パッチも同様にその制約を有する。経皮パッチは
、多くの場合、効果を得るために特定の分子薬剤構造を必要とし、また、経皮パッチを通
じた薬剤投与の制御が大幅に制限される。
【0004】
液状薬物を患者へ送達するために携帯型輸液ポンプが開発されてきた。これらの輸液装
置は、ボーラス要件、連続輸液、および可変流量送達を実現する洗練された流体送達プロ
ファイルを提供することが可能である。これらの輸液能力は、通常、薬剤および治療のよ
り良好な効果をもたらすとともに、患者の身体に対して毒性をほとんどもたらさない。現
時点で利用可能な歩行型輸液装置は、高価であり、輸液のためのプログラミングおよび準
備が面倒であり、さらに、かさばり、重量があり、非常に壊れやすい傾向がある。これら
の装置の充填は、困難である可能性があり、意図される薬物および充填付属品の両方を患
者が持ち運ぶことを要する。装置は、多くの場合、それらの意図される長期間の使用にと
って適切な機能性と安全性とを確保するために、特殊な手入れ、メンテナンス、および洗
浄を必要とし、患者またはヘルスケア提供者にとって費用効率が悪い。
【0005】
シリンジおよび注射ペンと比べて、ポンプ型送達装置は、日中または夜間にわたって常
に薬剤の用量を計算して自動的に患者へ送達できるという点で患者にとってかなり便利と
なる可能性がある。さらにまた、ポンプは、代謝センサまたは代謝モニタと併せて使用さ
れると、検出または監視された代謝レベルに基づいて適切な用量の流状媒体を必要時に適
切に供給するように自動的に制御できる。結果として、ポンプ型送達装置は、糖尿病など
のさまざまな種類の病状の現代医学治療の重要な態様になってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポンプ型送達システムは、多くの患者のニーズを解決するために利用されてきたが、手
動操作されるシリンジおよび注射ペンも、多くの場合、薬剤送達にとって好ましい選択で
あることに変わりない。これは、シリンジおよび注入ペンが、現在、一体的な安全機能を
与えるとともに、薬剤送達の状態および薬剤供給の終了を特定するために容易に読み取る
ことができるからである。しかしながら、手動操作されるシリンジおよび注射ペンは、普
遍的に適用できず、すべての薬剤送達にとって好ましいとは限らない。正確で、信頼でき
、液状薬物の非経口送達の代わりに医師および患者が簡単に使用できる、小型で、低コス
トで、軽量である調整可能な(および/またはプログラミング可能な)輸液システムの必
要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、薬剤物質の制御された送達のための駆動機構と、そのような駆動機構を有す
る制御された薬剤送達ポンプと、そのような装置を作動させる方法と、そのような装置を
組み立てる方法とを提供する。特に、本発明の駆動機構は、(i)薬剤物質を薬剤容器か
ら押し出すために利用されるプランジャシールの自由な軸方向平行移動を計測するか、そ
れに対する抵抗を提供するか、または他にそれを防止することにより、薬剤送達の速度を
制御することと、(ii)薬剤送達のための流体経路をユーザに提供するためにニードル
挿入機構をトリガすることと、(iii)ユーザへの送達のために薬剤容器からニードル
挿入機構への流体流れを可能にするために、無菌流体経路を薬剤容器に接続することとを
含むいくつかの機能を可能にし得るかまたは開始し得る。これにより、本発明の実施形態
は、さまざまな速度で薬剤物質を送達することが可能である。本発明の駆動機構は、以下
で詳細に説明されるように、所望の送達速度またはプロファイルに適合するために、たと
えば、電源および制御システムによる制御により、予め構成可能であり得るかまたは動的
に構成可能であり得る。さらに、本発明の駆動機構は、薬剤送達前、薬剤送達中、および
薬剤送達後にユーザにフィードバックを提供する一体型の状態表示機能を提供する。たと
えば、ユーザは、システムが作動可能であり、薬剤送達の準備ができていることを識別す
るために、初期フィードバックを提供され得る。次いで、作動時、システムは、1つまた
は複数の薬剤送達状態表示をユーザに提供し得る。薬剤送達の完了時、駆動機構および薬
剤ポンプは、投与終了表示を提供し得る。投与終了表示は、軸方向平行移動の物理的端部
、および/または駆動機構の1つもしくは複数の構成要素の移動に関係があるため、駆動
機構および薬剤ポンプは、正確な投与終了表示をユーザに提供する。これらの機構により
、薬剤用量送達の確認をユーザまたは管理者に正確に提供することができる。したがって
、本発明の装置は、前述した問題など、従来技術の装置と関連する問題の1つまたは複数
を軽減する。
【0008】
1つの実施形態において、薬剤送達装置は、流体を含む薬剤容器と、駆動システムと、
電源および制御システムと、タイマと、ユーザによって機械的に作動され得るニードル挿
入機構とを含む。そのような実施形態において、ニードル挿入機構の作動により、カニュ
ーレが標的に挿入され、かつまた電源および制御システムが、タイマによって監視される
所定時間にわたって遅延モードに入り、さらに、所定時間の完了時、電源および制御シス
テムが送達モードに入り、その送達モードでは、電源および制御システムが、駆動システ
ムに、薬剤容器からの流体を、ニードル挿入機構を通してかつ標的に送達させる。
【0009】
薬剤送達ポンプは、状態スイッチをさらに含み得、状態スイッチの作動により、電源お
よび制御システムが遅延モードに入る。状態スイッチは、ニードル挿入機構の作動後、ニ
ードル挿入機構の一部との接触によって作動されるように構成され得る。ニードル挿入機
構は回転ニードル挿入機構であり得、およびニードル挿入機構の一部の回転が状態スイッ
チとの接触をもたらし得る。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、遅延モードの間、電源および制御システムは、電
源および制御システムが遅延モード表示器を提供する通信モードに断続的に入る。遅延モ
ード表示器は、可聴式の表示または視覚的な表示であり得る。
【0011】
少なくとも1つの実施形態において、薬剤送達装置は、流体のボーラス送達を送達する
。
少なくとも1つの実施形態において、電源および制御システムは、流体の送達の完了時
に送達終了表示器の作動をもたらす。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、薬剤送達装置は、薬剤送達装置が標的に近いこと
を検出するように構成される身体上センサを含み、身体上センサの作動が電源および制御
システムの作動をもたらす。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、ニードル挿入機構が電源および制御システムの作
動後に所定時間内に作動されない場合、電源および制御システムは、ニードル挿入機構(
NIM:needle insertion mechanism)要求通知の作動をも
たらす。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、電源および制御システムは、送達モードに入ると
、送達モード表示器の作動をもたらす。送達モード表示器は、視覚的な表示または可聴式
の表示であり得る。
【0015】
薬剤送達の方法は、ユーザにより、ニードル挿入機構を作動させるステップと、電源お
よび制御システムを作動させて遅延モードに入るステップと、所定時間の完了時、電源お
よび制御システムが送達モードに入るステップと、電源および制御システムが駆動システ
ムを作動させて、薬剤容器からの流体を、ニードル挿入機構を通してかつ標的に送達する
ステップとを含み得る。方法は、状態スイッチを作動させるステップをさらに含み得る。
状態スイッチは、ニードル挿入機構との接触によって作動され得る。
【0016】
方法は、遅延モードの間、電源および制御システムが断続的に通信モードに入って、遅
延モード表示器を提供するステップをさらに含み得る。
方法は、身体上センサを作動させて、電源および制御システムの作動をもたらすステッ
プをさらに含み得る。
【0017】
方法は、電源および制御システムが、送達モードに入ると、送達モード表示器の作動を
もたらすステップをさらに含み得る。
方法は、ニードル挿入機構が電源および制御システムの作動後に所定時間内に作動され
ない場合、電源および制御システムがNIM要求通知の作動をもたらすステップをさらに
含み得る。
【0018】
方法は、電源および制御システムが流体の送達の完了時に送達終了表示器の作動をもた
らすステップをさらに含み得る。
本発明の少なくとも1つの実施形態において、薬物の送達プロファイルは調整可能であ
る。たとえば、摂食、運動、睡眠などの特定の活動前、その間、またはその後に薬物のボ
ーラス注射を送達することが望ましいことがある。「ボーラス注射」は、多くの場合、送
達時間または期間に関係なく送達される任意の測定された薬剤量である。逆に、「基礎注
射」は、多くの場合、送達の制御された速度、および/または異なる時間間隔での送達の
さまざまな速度を有する薬剤送達プロファイルである。同様に、ユーザは、これらまたは
他の時間での薬物の基礎送達速度を増加または減少させることを望み得る。少なくとも1
つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬剤送達を実現するためにユー
ザによって調整可能であり得る。ユーザは、薬剤送達装置自体とやりとりすることによっ
て送達プロファイルを調整し得、またはスマートフォンなどの外部装置を使用して調整し
得る。たとえば、ユーザは、作動機構を移動させることによって送達プロファイルを調整
し得、または独立した装置一体型のまたは外部の送達制御機構を用い得る。
【0019】
本発明の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つまたは複数の入力に基づい
て自動的に調整され得る。たとえば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、
血糖レベル、血圧などに基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値は、ボー
ラス注射の必要性、または基礎注射送達速度の増減もしくは基礎注射送達プロファイルに
対する調整の必要性を判定するために使用され得る。少なくとも1つの実施形態において
、これらの入力測定値は、装置自体によって監視され得る。さらにまたは代替的に、それ
らは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、ブドウ糖モニタ、血圧モニタ
、または同様のものなどの二次装置によって監視され得る。いくつかの実施形態において
、送達プロファイルは、これらの測定値に基づいて調整され得、ユーザの関与を必要とし
ない。二次装置によるモニタリングおよび/または制御の場合、二次装置および薬剤送達
装置は、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、ブルートゥース(Blueto
oth(登録商標))、近距離通信、ワイファイ(Wi-Fi(登録商標))、または装
置相互接続性に関する当業者に知られている任意の他の方法によるものであり得る。
【0020】
しかしながら、好ましい実施形態において、モニタリング/調整機構は、ユーザに警告
および勧告し得、ユーザは、モニタリング/調整機構によって行われた勧告を開始/認可
または無視するためのアクティブ制御を有し得る。たとえば、測定値の1つまたは複数が
指定された閾値より大きいまたは小さい場合、装置は、可聴式の、視覚的な、または触覚
的な警告をユーザに発し得る。1つの例において、警告は、装置の振動によって提供され
得、それによってユーザに離散的な警告を提供する。さらにまたは代替的に、警告は、ユ
ーザのスマートフォンまたは他の二次装置によって提供され得る。ユーザは、装置自体、
コンピュータ、スマートフォン、または他の装置上のコンピュータプログラムまたはウェ
ブインタフェースにおいて測定値の現在の状態を見ることができ得る。コンピュータプロ
グラムまたはウェブインタフェースは、推奨された調整を送達プロファイルに提供し得る
。この情報に基づき、ユーザは、薬剤送達装置の送達速度を調整し得る。上記のように、
ユーザは、作動機構を移動させることにより、または独立した装置一体型のもしくは外部
の送達制御機構を用いることにより送達プロファイルを調整し得る。
【0021】
1つの実施形態において、送達プロファイルを調整するための信号に応じて、ユーザ入
力または上記の測定値のいずれかに基づき、電源および制御システムは、アクチュエータ
の移動の速度を変化させ得る。アクチュエータの移動の速度の変化は、次に、ユーザへの
薬剤送達の速度を制御する調整機構の回転速度の変化をもたらす。代替的に、送達プロフ
ァイルは、薬剤容器および挿入機構を接続する導管による薬物の流路の特性の変化によっ
て変更され得る。変化は、薬剤容器から挿入機構への薬物の流れを制限する流量制限器の
導入、除去、または変更によってもたらされ得る。たとえば、流量制限器は、流量制限器
の入力および出力と流体連通して選択的に配置され得る複数の流路を有し得る。異なる長
さまたは断面の流路を設けることによって送達の速度を制御し得る。他の実施形態におい
て、送達プロファイルは、導管の衝撃の導入または除去によって変更され得る。流路の衝
撃が、導管を通る薬物の流れを遮断または減速し得、それによってユーザへの送達の速度
を制御する。したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、薬剤容器からの薬物送
達の速度に変化を生じさせることが可能であり、それにより多機能駆動機構および/また
は薬剤送達装置に動的制御能力を提供する。
【0022】
本明細書全体を通して、特に断らない限り、「含む(comprise)」、「含む(
comprises)」、および「含んでいる」、または「包含する」もしくは「からな
る」などの関連語句は、排他的ではなく包含的に用いられ、記述される整数または整数群
は、他の記述されていない1つまたは複数の整数または整数群を包含し得る。以下でさら
に説明するように、本発明の実施形態は、医療装置業界において標準的な構成要素と見な
し得る1つまたは複数のさらなる構成要素を含み得る。たとえば、実施形態は、本発明の
モータ、駆動機構、および薬剤ポンプを駆動するために利用される1つまたは複数のバッ
テリを含み得る。それらの構成要素およびそのような構成要素を含む実施形態は、本発明
の意図の範囲内であり、本発明の広さおよび範囲に収まるものと理解されたい。
【0023】
本発明の以下の非限定的な実施形態は、以下の図面に関連して本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の1つの実施形態による、多機能駆動機構を有する薬剤送達ポンプの等角図を示す(接着パッチなしで示される)。
【
図1B】
図1Aに示される薬剤送達ポンプの内部構成要素の等角図を示す(接着パッチなしで示される)。
【
図1C】
図1Aに示される薬剤送達ポンプの等角底面図を示す(接着パッチなしで示される)。
【
図2A】本発明の少なくとも1つの態様による薬剤送達ポンプの内部構成要素の上面図を示す。
【
図2B】本発明の少なくとも1つの実施形態による、作動前の多機能駆動機構の等角図を示す。
【
図2C】本発明の少なくとも1つの実施形態による、作動中の多機能駆動機構の等角図を示す。
【
図2D】本発明の少なくとも1つの実施形態による、作動中の後期段階の多機能駆動機構の等角図を示す。
【
図2E】本発明の少なくとも1つの実施形態による、薬剤送達の完了間近または完了時の多機能駆動機構の等角図を示す。
【
図3A】
図2Bに示される作動のステージに対応する上面図を示す。
【
図3B】
図2Cに示される作動のステージに対応する上面図を示す。
【
図3C】
図2Dに示される作動のステージに対応する上面図を示す。
【
図3D】
図2Eに示される作動のステージに対応する上面図を示す。
【
図4】本発明の少なくとも1つの実施形態による、薬剤送達装置から切り離された多機能駆動機構を示す。
【
図5A】
図4に示される多機能駆動機構の上面図を示す。
【
図5B】
図4に示される多機能駆動機構の底面図を示す。
【
図5C】
図4に示される多機能駆動機構の正面図を示す。
【
図5D】
図4に示される多機能駆動機構の背面斜視図を示す。
【
図6A】初期の非抑制構成における薬剤容器および安全機構の断面図を示す。
【
図6B】作動された構成における
図6Aの薬剤容器および安全機構の断面図を示す。
【
図7A】挿入機構が回転付勢部材を含み、駆動機構がウォーム歯車を含む、薬剤送達ポンプの等角図を示す。
【
図8A】薬剤送達ポンプの電源および制御システムの1つの実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図8B】薬剤送達ポンプの駆動制御システムの1つの実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図8C】薬剤送達ポンプのさまざまな制御機構を示す実施形態の例示的なブロック図である。
【
図8D】例示的な薬剤送達ポンプ装置、例示的な携帯デバイス、例示的なクラウドサーバ、および1つまたは複数の例示的なセンサ間の通信を示す別の実施形態の例示的なブロック図である。
【
図9A】1つまたは複数の機構に基づく薬剤送達装置による薬剤送達の方法を説明する実施形態のフローチャートである。
【
図9B】1つまたは複数の機構に基づく薬剤送達装置による薬剤送達の方法を説明する実施形態のフローチャートである。
【
図9C】1つまたは複数の機構に基づく薬剤送達装置による薬剤送達の方法を説明する実施形態のフローチャートである。
【
図10】本発明の少なくとも1つの実施形態によるニードル挿入機構の詳細等角図である。
【
図11A】初期構成における挿入機構の等角図である。
【
図17A】本発明の少なくとも1つの実施形態によるイネーブル機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、所定時間における、調整された送達速度での薬剤物質の送達に関するシステ
ムおよび方法を提供する。特に、本発明は、多機能駆動機構を制御し、駆動するように構
成される制御システムおよびサブシステムを含む薬剤ポンプ送達装置に関する。さらに、
制御システムおよびサブシステムは、特定の待ち時間または遅延時間が経過した後に適切
な送達速度で薬剤物質を送達するように構成され得る。
【0026】
1つの例において、ユーザには、非経口の方法によって薬剤物質を注入するために、予
め充填された薬剤送達ポンプ装置が提供され得る。このような例において、ポンプ装置の
作動は、携帯デバイス(たとえば、スマートフォン)との短距離通信を確立し得る。1つ
の実施形態において、薬剤ポンプ送達装置は、作動ボタンまたは電動ボタンの押下によっ
て作動され得る。携帯デバイスは、薬剤送達プロセスに関連するデータを処理、受信、お
よび伝送するように構成され得る1つまたは複数のモバイルアプリケーションを含み得る
。モバイルアプリケーションは、外部センサ(たとえば、心拍数センサおよびブドウ糖率
センサ)と通信し得、モニタリング期間中、患者の健康および/または状態に関連する情
報(たとえば、ユーザの心拍数、ブドウ糖/インシュリン情報など)を受信し得る。モバ
イルアプリケーションは、センサから受信したデータに基づき、薬剤のための調整された
送達速度をさらに計算し得る。
【0027】
さらに、薬剤ポンプ装置は、装置が作動された後、ニードル挿入のためにユーザ作動を
要求し得る。薬剤ポンプ装置は、ニードル作動の視覚的もしくは音声的な指示を提供し得
、または携帯デバイスがニードル作動のための要求通知を提供し得る。ニードル挿入がユ
ーザによって作動されたとき、薬剤ポンプ装置は、次に、薬剤の送達前に待ち時間を追跡
するためのタイマを開始し得る。代替的に、タイマは装置の作動時に開始され得る。薬剤
ポンプ装置は、任意選択的に、薬剤が送達に最適な温度に到達したかどうかを判定するた
めに温度を監視し得る。さらに、電源および制御システムは、所定の待ち時間が経過した
かどうかを判定するように構成され得、その判定に基づいて薬剤送達プロセスの開始につ
いてユーザに通知し得る。任意選択的に、ユーザは、所定の待ち時間が経過した後に薬剤
送達を開始する選択肢を有し得る。
【0028】
薬剤の種類および用量に基づき、薬剤ポンプ装置は、薬剤の送達速度を管理し得ること
に留意されたい。送達速度の管理および/または調整も、センサ(たとえば、温度センサ
、心拍数センサ、ブドウ糖モニタセンサ)から受信される情報に基づき得る。
【0029】
薬剤ポンプ装置は、さらに、薬剤送達が終了したかどうかを判定し得、その判定に基づ
いて薬剤送達終了情報を携帯デバイスに伝送し得る。
携帯デバイスは、受信した送達終了情報を遠隔サーバ(たとえば、クラウドコンピュー
タサーバ)にさらに提供し得る。送達終了情報は、送達終了表示、送達速度、送達開始終
了時刻、合計送達時間、薬剤温度、およびセンサで収集されたデータを含むが、これらに
限定されない。情報は、薬剤量、製造日、充填日、通し/ロット番号など、薬剤および/
またはポンプ装置に関連する情報も含み得る。
【0030】
さらに、薬剤ポンプ送達装置は、アクティブパワーモードと非アクティブパワーモード
との間で切り替わり得る。アクティブパワーモード中、電源および制御システムは、1つ
または複数の駆動機構を作動させるために、駆動制御システムの1つまたは複数のモータ
とやりとりし得、したがって、電源および制御システムならびにモータは、いずれもエネ
ルギー源(たとえば、バッテリ)から電力を受け取り得る。他方で、場合により、電源お
よび制御システムは、薬剤送達ポンプ装置の1つまたは複数の作動を実行するために駆動
制御システムとやりとりする必要がなくてもよい。たとえば、薬剤ポンプ送達装置は、携
帯デバイスを確立しかつそれと通信し得、または薬剤ポンプ装置の駆動制御システムとや
りとりすることなく薬剤の温度を監視し得る。このような例において、電源および制御シ
ステムのみが電力を供給され得、駆動制御システムは、バッテリから電力を受け取らなく
てもよい。さらに、ポンプ装置の1つまたは複数の構成要素または機能は、1つまたは複
数のモードで断続的に電力を供給され得る。
【0031】
アクティブパワーモードと非アクティブパワーモードとの間の切替えにより、薬剤ポン
プ装置の電力資源を実質的に保存できる。たとえば、非アクティブパワーモードへの切替
え時、薬剤ポンプ装置は、モータに電力を供給する必要がなく、そうでない場合にはバッ
テリを大きく消耗することがある。
【0032】
特に、アクティブパワーモード中、薬剤送達ポンプ装置の電源および制御システムは、
(i)薬剤物質を薬剤容器から押し出すために利用されるプランジャシールの自由な軸方
向平行移動を計測するか、それに対する抵抗を提供するか、または他にそれを防止するこ
とにより、薬剤送達の速度を制御することと、(ii)薬剤送達のための流体経路をユー
ザに提供するためにニードル挿入機構をトリガすることと、(iii)ユーザへの送達の
ために薬剤容器からニードル挿入機構への流体流れを可能にするために、無菌流体経路を
薬剤容器に接続することとを含むいくつかのサブシステムまたは機能を開始するために、
多機能駆動機構を制御する。
【0033】
本発明の駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出すために利用されるプランジャシ
ールの自由な軸方向平行移動を計測するか、それに対する抵抗を提供するか、または他に
それを防止することによって薬剤送達の速度を制御し得、これにより、さまざまな速度お
よび/または送達プロファイルで薬剤物質を送達することが可能である。さらに、本発明
の駆動機構は、センサなどの一体型の状態表示機能を含み得、それは、薬剤送達前、薬剤
送達中、および薬剤送達後に電源および制御システムへ、次にユーザへフィードバックを
提供できる。たとえば、ユーザは、装置が作動可能であり、薬剤送達の準備ができている
ことを識別するために、1つまたは複数のセンサで促され得る。1つまたは複数の装置の
作動時、センサは、薬剤送達完了時の投与終了表示など、1つまたは複数の薬剤送達状態
表示をユーザに提供し得る。
【0034】
駆動機構、薬剤送達ポンプ、または本発明の構成要素の任意の相対位置を説明するため
に本明細書中で使用される用語「軸方向の」または「軸方向に」は、一般に、長手方向軸
線「A」を示し、この軸線周りに駆動機構が配置されるのが好ましいが、その周りに必ず
しも対称的には配置されない。用語「径方向の」は、一般に、軸線Aに対して垂直な方向
である。用語「近位の」、「背後の」、「背後へ」、「後方の」、または「後方へ」は、
一般に、方向「P」における軸方向である。用語「遠位の」、「前の」、「前方へ」、「
押下された」、または「順方向に」は、一般に、方向「D」における軸方向である。本明
細書中で使用される用語「ガラス」は、環状オレフィンコポリマー(COC)および環状
オレフィンポリマー(COP)などの特定の非反応性重合体を含むがこれらに限定されな
い、通常、ガラスを必要とする医薬品グレード用途で用いるのに適した他の同様の非反応
性材料を含むように理解されるべきである。用語「プラスチック」は、熱可塑性ポリマー
および熱硬化性ポリマーの両方を含み得る。熱可塑性ポリマーは、熱によってそれらの初
期状態へと再軟化させることができるが、熱硬化性高分子は再軟化させることができない
。本明細書中で使用される用語「プラスチック」は、主に、たとえば、一般に硬化剤、充
填剤、補強剤、着色剤、および/または可塑剤などの他の成分も含み、かつ熱および圧力
を受けて形成または成形できるポリエチレンおよびポリプロピレン、もしくはアクリル樹
脂などの成形可能な熱可塑性ポリマーである。本明細書中で使用される用語「プラスチッ
ク」は、プラスチックと相互作用できる治療液体、またはさもなければプラスチックから
液体に入ることができる置換基により分解される可能性がある治療液体とが直接接触する
用途で用いることが承認されるガラス、非反応性ポリマー、またはエラストマを含むよう
に意図されていない。用語「エラストマ」、「エラストマの」、または「エラストマ材料
」は、主に、プラスチックよりも容易に変形できるが医薬品グレード流体とともに使用す
ることが承認されかつ常温下で圧力を受けて浸出またはガス移動を容易に起こしにくい架
橋性の熱硬化性ゴム状ポリマーである。「流体」は、主に、液体であるが、液体中に分散
される固体状の懸濁物質、および薬剤ポンプの流体収容部内の液体中に溶解されるか、ま
たはさもなければ液体中に一緒に存在する気体を含むこともできる。本明細書に記載され
るさまざまな態様および実施形態によれば、「付勢部材」が参照されており、たとえばプ
ランジャシール上の力を主張するための1つまたは複数の付勢部材に関連して参照される
。付勢部材は、エネルギーを蓄積および放出できる任意の部材であり得ることが理解され
るであろう。非限定的な例は、ばね(たとえば、コイルばね、圧縮もしくは引張ばね、ね
じりばね、または板ばねなど)、弾性圧縮可能なバンドもしくはゴムバンド、または同様
の機能を有する任意の他の部材を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態では、付勢部
材は、ばねであり、好ましくは圧縮ばねである。
【0035】
本発明の装置は、一体型の状態表示を有する駆動機構と、そのような駆動機構が組み込
まれた薬剤送達ポンプとを提供する。そのような装置は、安全で使いやすく、自己管理す
る患者にとって審美的にかつ人間工学的に魅力がある。本明細書に記載の装置は、訓練を
受けていないユーザであっても装置の作動、操作、およびロックアウトが簡単になる機能
が組み込まれている。本発明の装置は、知られている従来技術装置に関連する問題を何ら
伴うことなく、これらの望ましい機能を提供する。本明細書では、薬剤送達ポンプ、駆動
機構、およびそれらのそれぞれの構成要素の特定の非限定的な実施形態について、添付図
面を参照してさらに説明する。
【0036】
本明細書中で使用される用語「ポンプ」は、作動時に流体をユーザへ供給できる任意の
数の薬剤送達システムを含むように意図される。そのような薬剤送達システムは、たとえ
ば、注射システム、輸液ポンプ、ボーラス注射器、および同様のものを含む。
図1A~1
Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による例示的な薬剤送達装置を示す。
図1Bで
は、内部構成要素を見ることができるように、頂部ハウジングは取り外されている。薬剤
送達装置は、ユーザの身体内へ治療用薬剤の送達を管理するために利用され得る。
図1A
~1Cに示されるように、薬剤ポンプ10はポンプハウジング12を含む。ポンプハウジ
ング12は、薬剤ポンプの製造、組立て、および操作をより容易にするために固定的に係
合可能な1つまたは複数のハウジング副構成要素を含み得る。たとえば、薬剤ポンプ10
は、上部ハウジングおよび下部ハウジング(内部構成要素を見やすくするために示されて
いない)を含み得るポンプハウジング12を含む。ポンプハウジング12は、薬剤送達装
置が開けられたかまたは変更されたかを確認するために、1つまたは複数のタンパーエビ
デンス機能を含み得る。たとえば、ポンプハウジング12は、上部ハウジングと下部ハウ
ジングとにわたるラベルなど、1つまたは複数のタンパーエビデンスラベルまたはステッ
カを含み得る。さらにまたは代替的に、ハウジング12は、上部ハウジングと下部ハウジ
ングとの間を接続する1つまたは複数のスナップアームまたはプロングを含み得る。壊さ
れたまたは変更されたタンパーエビデンス機能は、ユーザ、医師、供給業者、製造業者な
どに、薬剤送達装置が、たとえば、装置の内面にアクセスすることにより変更された可能
性があることを知らせ、それにより、装置は評価されて、ユーザによる使用またはユーザ
への危険なしにできる限り廃棄される。薬剤ポンプは、作動機構、状態表示器、および窓
をさらに含み得る。窓は、薬剤ポンプの作動を見ることができる、任意の半透明または透
過性の面であり得る。
図1Bに示されるように、薬剤ポンプ10は、アセンブリプラット
フォーム20、無菌流体導管30、薬剤容器50を有する駆動機構100、挿入機構20
0、流体経路接続部300、ならびに電源および制御システム800をさらに含む。その
ような薬剤ポンプの構成要素の1つまたは複数がモジュール式であり得、それらの構成要
素は、たとえば、別々の構成要素として予め組み立てられていて、製造時に薬剤ポンプ1
0のアセンブリプラットフォーム20上に配置されるように構成され得る。
【0037】
ポンプハウジング12は、装置構成要素のすべてを収容し、装置10をユーザの皮膚に
取り外し可能に取り付ける手段を提供する。ポンプハウジング12はまた、装置10の内
部構成要素を環境の影響から保護する。ポンプハウジング12は、梱包、保管、取扱い、
ならびに訓練を受けていないか、および/または身体に障害がある可能性があるユーザに
よる使用が容易になるように、サイズ、形状、および関連機能の面で人間工学的かつ審美
的に設計されている。さらにまた、ポンプハウジング12の外面は、製品ラベル貼付、安
全指示などに利用され得る。さらに、上述のように、ハウジング12は、作動フィードバ
ックをユーザに提供できる、1つまたは複数の状態表示器(たとえば、LED照明、スピ
ーカフォンを介したオーディオ音)および窓などの特定の構成要素を含み得る。
【0038】
1つの例において、電源および制御システムは、多くの異なる状態表示をユーザに提供
するように構成され得る。たとえば、電源および制御システムは、身体上センサ(たとえ
ば、皮膚センサ)がトリガされた後に装置始動チェックがエラーを与えなければ、電源お
よび制御システムが始動可能状態信号を状態表示器(たとえば、オーディオ音および/ま
たは点滅光)に提供するように構成され得る。始動可能状態信号を提供した後、随意的な
身体上センサを伴う実施形態では、身体上センサがユーザの身体と接触したままであれば
、電源および制御システムは、流体経路接続部300および無菌流体導管30を通じて治
療用薬剤の送達を始めるために駆動機構100に給電する。
【0039】
さらに、電源および制御システムは、そのパッケージからの薬剤ポンプの除去を識別す
るように構成され得る。電源および制御システムは、機械的に、電子的に、または電気機
械的にパッケージに接続され得、それにより、パッケージからの薬剤ポンプの除去により
、電源および制御システムを使用のために作動または電源投入し得、または単にユーザが
電源および制御システムの電源を投入できるようにし得る。このような実施形態では、パ
ッケージからの薬剤ポンプの除去なしに薬剤ポンプは作動できない。これは、薬剤ポンプ
およびユーザのためのさらなる安全機構を提供する。少なくとも1つの実施形態において
、薬剤ポンプまたは電源および制御システムは、たとえば、ホール効果センサ、巨大磁気
抵抗(GMR:giant magneto resistance)または磁界センサ
、光学センサ、容量または容量変化センサ、超音波センサ、および線形移動、LVDT、
線形抵抗、または放射測定線形抵抗センサ、ならびにそれらの組合せの範囲からの1つま
たは複数の相互作用センサによるなどして、電子的にまたは電気機械的にパッケージに接
続され得、それは、その間の位置を識別するために構成要素間で信号を伝送するために調
整することが可能である。
【0040】
さらにまたは代替的に、薬剤ポンプまたは電源および制御システムは、ピンが取り外さ
れたときに(すなわち、薬剤ポンプがパッケージから取り外されると)システムを作動さ
せるピンおよびスロット関係によるなどして、パッケージに機械的に接続され得る。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、電源および制御システムが作動されると、所定の
待ち時間後、多機能駆動機構は、薬剤容器から薬剤流体を押し出すように開始される。
薬剤送達プロセス中、電源および制御システムは、供給状態信号を状態表示器に提供す
るようにさらに構成され得る。薬剤がユーザの身体に投与された後、かつ任意のさらなる
滞留時間の終了後、ほぼ全用量がユーザに送達されたことを保証するために、電源および
制御システムは、取り外し可能状態信号を状態表示器に提供し得る。これは、ユーザがポ
ンプハウジング12の窓から駆動機構および薬剤用量送達を目視することによって単独で
確認され得る。さらに、電源および制御システムは、たとえば、故障または作動不良の状
況を示す警告などの1つまたは複数の警告信号を状態表示器に提供するように構成され得
る。
【0042】
電源および制御システムは、所望の薬剤送達速度またはプロファイルに適合するように
駆動機構100を動的に制御するために、ユーザからの(たとえば、作動ボタンを介した
)さまざまな入力を受けるようにさらに構成され得る。たとえば、電源および制御システ
ムは、所望の薬剤送達速度またはプロファイルに適合するように電源および制御システム
を介して駆動機構100の制御を設定、開始、停止、または他に調整するために、作動機
構の部分的もしくは完全作動、押下、および/または解放からなどの入力を受信し得る。
同様に、電源および制御システムは、駆動機構、流体経路接続部、および流体導管を準備
するために、かつ/または駆動機構100の作動を開始、停止、もしくは中断するために
、携帯デバイスとの通信を開始し、薬剤用量容積を調整するそのような入力を受信するよ
うに構成され得る。薬剤ポンプ10に直接影響を及ぼすユーザによるそのような入力は、
作動機構14もしくは異なる制御インタフェースの使用によるなどして受信され得、また
は電源および制御システムは、遠隔装置(たとえば、携帯デバイス)からそのような入力
を受信するように構成され得る。さらにまたは代替的に、そのような入力は予めプログラ
ムされ得る。
【0043】
他の電源および制御システム構成が本発明の薬剤ポンプとともに利用され得る。たとえ
ば、薬剤送達前または薬剤送達中に特定の作動遅延が利用され得る。たとえば、待ち時間
は、電源および制御システムで設定できる所定の時間であり得、それは、予め決定した時
間まで薬剤の送達を遅らせることができる。上述のように、任意選択的にシステム構成に
含まれるそのような遅延の1つが滞留時間であり、これは、薬剤のほぼ全用量が送達され
てから信号による完了報告がユーザに対して行われることを確実にするものである。同様
に、装置の作動には、薬剤ポンプ作動前の薬剤ポンプ10の作動機構の遅延押下(すなわ
ち、押し込み)を必要とし得る。さらに、本システムは、ユーザが用量終了信号に応答し
たり、薬剤ポンプを停止させたり(または薬剤ポンプの電源を落としたり)することを可
能にする機能を含み得る。そのような機能も同様に、装置を誤って停止させないように作
動機構の遅延押下が必要であり得る。そのような機能は、内蔵型安全装置および使いやす
さについての望ましいパラメータを薬剤ポンプに提供する。不完全な押下、したがって薬
剤ポンプの不完全な作動を防止するために、さらなる安全機能が作動機構に内蔵され得る
。たとえば、作動機構ならびに/または電源および制御システムは、不完全な作動を防止
するために、装置を完全にオフにするか完全にオンにするように構成され得る。そのよう
な機能は、薬剤ポンプの他の態様に関して以下でさらに詳細に説明する。
【0044】
1つの実施形態において、薬剤送達ポンプ装置10は、電源および制御システム800
ならびに駆動制御システム820などの1つまたは複数の制御システムを含み得るが、そ
れらに限定されない。上で開示されたように、薬剤送達ポンプ10は、駆動機構またはサ
ブシステム100、ニードル挿入機構(NIM)またはサブシステム200、無菌流体経
路接続部(SFPC:sterile fluid pathway connecti
on)またはサブシステム300、および調整機構またはサブシステム500などのさま
ざまな機構またはサブシステムをさらに含み得るが、それらに限定されない。いくつかの
例において、制御システムは、プリント回路基板(PCB:printed circu
it board)、マザーボード、および/またはドータボードを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、サブシステムは制御システムに含まれ得る。たとえば、
駆動制御システム820は、駆動サブシステム100、NIMサブシステム200、およ
び/または調整サブシステム500を含み得る。このような例において、電源および制御
システム800は、コマンド信号を駆動制御システム820に送信することによってサブ
システムを制御し得る。
【0046】
他の例において、駆動制御システム820はサブシステムを含まなくてもよい。したが
って、それらの例において、電源および制御システム800は、駆動制御システム820
を介してサブシステムを制御し得る。たとえば、電源および制御システム800は、コマ
ンド信号を駆動制御システム820に送信し得る。次いで、駆動制御システム820は、
たとえば、電源および制御システム800から受信したコマンド信号に基づいてサブシス
テムの1つまたは複数を選択的に制御し得る。
【0047】
さらに、別の実施形態において、電源および制御システム800は、サブシステムを直
接制御し得る。その実施形態において、サブシステムは、電源および制御システム800
と直接通信するように構成され得る、それぞれの制御ユニットまたは制御装置、および記
憶装置(図示せず)を含み得る。
【0048】
代替的に、いくつかの実装形態において、電源および制御システム800は、駆動制御
システム820およびサブシステムと、1つまたは複数の他の制御システムおよびサブシ
ステムとを含み得る。
【0049】
図8Aに示されるように、1つの例示的な実施形態において、電源および制御システム
800は薬剤送達ポンプ10に含まれ得る。電源および制御システム800は、薬剤送達
ポンプ10の1つまたは複数のセンサ、タイマおよび記憶装置に接続される1つまたは複
数の制御ユニットを含み得る。
【0050】
いくつかの実装形態において、電源および制御システム800は、薬剤送達に関連する
遅延時間を制御するように構成され得る。このような実装形態において、電源および制御
システム800は、薬剤送達ポンプ10の作動後に起動して、薬剤を送達するための時間
パラメータを監視および制御し得る。たとえば、装置10の作動時、電源および制御シス
テム800は、薬剤送達の開始前に待ち時間(たとえば、所定の遅延時間)を監視し得る
。1つの例において、待ち時間中、電源および制御システム800は、任意選択的に装置
を準備し得る。
【0051】
1つの例において、電源および制御システム800は、装置が作動された後にNIM機
構を作動させるための要求通知を提供し得る。要求通知は、薬剤ポンプ送達装置10によ
って直接または携帯デバイス11を介して提供され得る。NIM機構200を開始するた
めにユーザに通知すると同時に、電源および制御システムは、(たとえば、ユーザからの
)作動/開始信号を、作動ボタンを介して受信するかどうかをさらに判定し得る。
【0052】
作動信号が(たとえば、NIM作動所定時間内に)受信されたと電源および制御システ
ム800が判定したとき、電源および制御システムはNIMサブシステムを作動させ得る
。代替的に、NIMはユーザによって直接作動され得る。電源および制御システム800
は、薬剤の送達が開始されたことをユーザにさらに通知し得る。電源および制御システム
800は、NIM作動に関連する作動信号を受信したとき、かつ薬剤ポンプ装置10がユ
ーザの皮膚を検知していることを示す身体上センサからの信号をさらに受信したときにN
IM機構を作動させ得ることに留意されたい。任意選択的に、作動信号を受信していない
、および/または身体上センサがユーザの皮膚の部分を検知していないと電源および制御
システムが判定したとき、電源および制御システム800は、(たとえば、可聴音を介し
て)ユーザに通知し得、かつ任意選択的に薬剤送達プロセスを終了し得る。
【0053】
さらに、いくつかの実装形態において、電源および制御システム800が、待ち時間が
経過したと判定したとき、電源および制御システムは、薬剤の送達の開始についてユーザ
に通知し得る。電源および制御システムは、薬剤の送達が開始されたことをユーザにさら
に通知し得る。
【0054】
任意選択的に、電源および制御システム800は、薬剤送達の時間(たとえば、薬剤の
送達にかかる合計時間)をユーザにさらに通知し得る。電源および制御システム800は
、通信ユニット830を介して外部装置に通知を通信し得る。
【0055】
薬剤送達の開始時、電源および制御システムは、薬剤送達のためのタイミングおよび/
または速度パラメータをさらに制御し得る。たとえば、電源および制御システムは、所定
の時間で薬剤を送達するために調整サブシステムまたは機構を制御し得る。さらに、電源
および制御システムは、薬剤送達のためのタイミングおよび/または速度パラメータを決
定するために、内外のセンサで捕捉されたさまざまなデータを処理し得る。その決定に基
づき、電源および制御システムは、適切な時間内に薬剤をユーザに送達できる。
【0056】
電源および制御システムは、電源および制御システム800のすべての要素を含むかも
しくは含まないことができ、かつ/またはさらなる要素を含み得る。さらに、いくつかの
例において、薬剤ポンプ装置10は、1つまたは複数の制御システムを含み得、その制御
システムは、電源および制御システムを含むがこれに限定されず、かつ薬剤ポンプ装置1
0は、薬剤ポンプ装置の作動のためにさらなる要素を含み得る。
【0057】
いくつかの実装形態において、制御システム800は、主制御ユニットまたは制御ユニ
ット810を含み得る。主制御ユニット810は、1つまたは複数の制御装置、マイクロ
コントローラ、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC:appl
ication specific integrated circuit)を含み得
る。主制御ユニット810は、ハードウェア、または命令でプログラムされ得るハードウ
ェアおよびソフトウェアの組合せとして実装され得る。主制御ユニット810は、薬剤ポ
ンプ装置10のさまざまな作動をもたらすためにそのような命令を実行するように構成さ
れ得る。さらに、電源および制御システムまたは主制御ユニット810は、たとえば、通
信ユニット830、タイマユニット812、記憶装置813、身体上センサ840、温度
センサ880、およびI/O装置850から信号またはデータを受信し、および/または
それらに信号またはデータを送信することによって通信し得る。さらに、電源および制御
システムは、たとえばタイマユニット812など、上記の1つまたは複数を含み得る。主
制御ユニット810は、薬剤ポンプ装置10のさまざまな機能および作動を決定および実
行するために、1つまたは複数の制御システムのさまざまな要素で収集または監視された
データを処理および解釈し得る。
【0058】
薬剤ポンプ装置10は、2つのパワーモード、すなわち、アクティブパワーモードおよ
び非アクティブパワーモードで作動され得ることに留意されたい。アクティブパワーモー
ド中、電源および制御システム800およびモータ101は、電源(たとえば、バッテリ
)から電力を受け取り得、電源および制御システム800は、NIM機構200および/
または調整機構500などのさまざまな作動を駆動するために駆動制御システム820に
指令し得る。その一方で、非アクティブパワーモード中、電源および制御システム800
は、電力を供給され得、モータ101は、電力を供給されなくてもよい。非アクティブパ
ワーモード中、電源および制御システム800は、モータ101に関連した作動を必要と
しなくてもよい薬剤ポンプ装置10のさまざまな作動を実行し得る。たとえば、電源およ
び制御システム800は、携帯デバイス11との通信リンクを確立し得、非アクティブパ
ワーモード中に携帯デバイス11と断続的または連続的にさらに通信し得る。さらに、非
駆動モード中、電源および制御システム800は、ユーザへの通知および警告を提供し得
、さまざまなセンサ(たとえば、温度センサおよび身体上センサ)とさらに通信し得、か
つ/またはさまざまな作動のタイミングを決定し得る。任意選択的に、非アクティブパワ
ーモード中、薬剤ポンプ装置10が準備され得る。
【0059】
さらに、薬剤ポンプ装置10は、アクティブパワーモードと非アクティブパワーモード
との間で切り替わり得る。
それぞれのパワーモードは、(a)作動の種類(たとえば、装置作動、薬剤送達の作動
、薬剤送達の制御、タイマの開始など)、(b)所定時間設定(たとえば、待ち時間後ま
たは待ち時間中)、ならびに/または(c)薬剤ポンプ装置10の作動(たとえば、携帯
デバイスおよび/もしくはセンサとの通信、電源および制御システム800によるさまざ
まな作動の制御)に基づいて開始され得る。代替的に、作動および/またはモード間の切
替えは、薬剤ポンプ装置10のユーザによって手動で実行され得る。
【0060】
モータ101ならびに電源および制御システム800の電源を適切に入れることにより
、薬剤ポンプ装置10の全体的な所要電力を減らし得ることが理解されるであろう。たと
えば、モータ101がアイドル状態である間にモータ101に電力を供給すると、薬剤ポ
ンプ装置10の電源またはバッテリを途中で使い果たすことがある。したがって、パワー
サイクルを管理することにより、たとえば、モータ101に関連する作動が開始されたと
きのみ、モータ101に電力を供給することにより、薬剤送達装置10を作動させるバッ
テリの寿命を好適に延ばすことができ、または薬剤送達期間の寿命を超えて薬剤送達装置
10を作動させる電力の要求を大きく減らすことができる。
【0061】
タイマユニット812は、たとえば、薬剤ポンプ装置10のさまざまな作動のための時
間帯を設定するようにプログラムできるデジタル時計であり得る。たとえば、タイマユニ
ット812は、主制御ユニット810に、薬剤のための待ち時間または遅延時間(すなわ
ち、薬剤を送達させることができる前の時間)を示すように構成され得る。待ち時間中、
電源および制御システムは、消費電力を減少させる遅延モードに入り得る。
【0062】
さらに、タイマユニット812は、作動信号を受信するために、タイムアウト時間(す
なわち、ユーザが薬剤送達またはNIM200を開始するために作動信号を提供し得る時
間帯)を示し得る。いくつかの実施形態において、タイマユニット812は、さまざまな
センサの制御ユニットと直接通信し得る。いくつかの実装形態において、タイマユニット
812は主制御ユニット810に含まれ得る。
【0063】
制御システム800は記憶装置813を含み得る。記憶装置813は、ランダムアクセ
スメモリ(RAM:random access memory)または他の動的記憶装
置、ならびに/またはリードオンリーメモリ(ROM:read only memor
y)、ならびに/または主制御ユニット810のための一時的なパラメータ、情報、およ
び命令を記憶するための電気的消去可能なPROM(EEPROM:electrica
lly erasable programmable read only memo
ry)などの1つまたは複数の記憶装置を含み得る。いくつかの実装形態において、記憶
装置は、薬剤ポンプ装置の制御システムの作動を制御するために制御ユニットによって処
理および実行され得る命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体として実装され得る
。さらに、記憶装置813は、薬剤ポンプ装置10のセンサおよび制御ユニットと関連付
けられたさまざまな作動のためにエラーコードまたはエラー通知を保存し得る。エラーコ
ードは記憶装置813に予めプログラムされ得る。
【0064】
記憶装置813は、薬剤送達に関連するさまざまな所定の遅延または待ち時間をさらに
保存する。
いくつかの例において、電源および制御システム800は通信ユニット830を含み得
る。通信ユニット830は、1つまたは複数の802.11ワイファイ(Wi-Fi(登
録商標))送受信機、セルラ送受信機、IEEE 802.14ジグビー(Zigbee
(登録商標))送受信機、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))送受信機
および/またはブルートゥースローエナジー(BLE:Bluetooth Low E
nergy)送受信機、ならびに近距離通信(NFC:near-field comm
unication)、赤外線、または超音波などの他の無線通信プロトコルを含み得る
。薬剤ポンプ装置10は、外部コンピュータデバイスによる通信のために適切なアンテナ
(図示せず)を含み得、通信ユニット830を介してデータを送受信し得る。
【0065】
図8Dに示されるように、薬剤ポンプ装置10は、(通信ユニット830を介して)外
部コンピューティング装置と通信し得る。外部コンピューティング装置は、さまざまなモ
バイルアプリケーションを含み得、かつ適切な通信プロトコルで構成され得るスマートフ
ォンなどの携帯コンピューティング装置11であり得る。
【0066】
1つの例において、携帯デバイス11は、薬剤ポンプ装置10と通信するポンプ装置モ
バイルアプリケーション(アプリ)10aを含み得る。このような例において、モバイル
アプリ10aは、薬剤または薬剤ポンプ装置10の購入時に(薬剤または薬剤ポンプ装置
10の製造業者から)ユーザに提供され得る。たとえば、薬剤ポンプ装置10の容器また
は箱は、ユーザが薬剤ポンプ装置モバイルアプリ10aをダウンロードするために使用で
きるユニークなダウンロード識別子を含み得る。たとえば、ユーザは、アップルストア(
Apple Store)またはグーグルプレイ(Google Play)ストアから
アプリ10aをダウンロードするために、ダウンロード識別子を使うことができる。
【0067】
携帯デバイス11への薬剤ポンプアプリ10aのダウンロード時、ユーザは、(たとえ
ば、薬剤ポンプ装置10との無線通信リンクの確立時に)薬剤ポンプアプリケーション1
0aを使用して薬剤ポンプ装置10と通信し得る。モバイルアプリ10aは、薬剤ポンプ
装置10、センサ11aおよび11bなどの外部実体から受信したさまざまな情報、なら
びに/または任意選択的に、クラウドサーバから受信したデータを携帯デバイス11に処
理させるように構成され得る。そのようなデータの処理に基づき、モバイルアプリ10a
は、携帯デバイス11が適切なデータを外部クラウドサーバ11cに転送するようにし得
る。モバイルアプリ10aは、そのようなデータの処理に基づき、携帯デバイス11が適
切な通知をユーザに表示することをさらに可能にし得る。
【0068】
1つの例において、ユーザは、任意選択的に、薬剤ポンプ装置10との短距離無線接続
を確立するために作動ボタン10bを選択し得る。1つの例において、作動ボタン10b
は、携帯デバイス11のブルートゥース(Bluetooth(登録商標))検知および
ペアリングプロセスを開始し得る。
【0069】
さらに、薬剤ポンプ装置10が作動されて、携帯デバイス11と通信するとき、モバイ
ルアプリ10aは、薬剤ポンプ装置10から(通信ユニット830を介して)薬剤ポンプ
装置10の作動を示す通知を受信し得る。いくつかの例において、作動ボタン10bは、
薬剤送達プロセスのさまざまな機構を開始、変更、および/または終了するようにさらに
構成され得る。
【0070】
いくつかの例において、薬剤ポンプアプリ10aは、薬剤送達プロセスのさまざまな時
間帯情報を収集してユーザに提供し得る。特に、1つの例において、タイマボタン10c
の選択により、薬剤送達プロセスに関連するさまざまなタイミング期間に関連する情報を
提供し得る。1つの例において、作動ボタン10bの選択時、タイマボタン10cはトリ
ガされ得る。1つの例において、タイマボタン10cの選択により、携帯デバイス11の
時計またはストップウォッチアプリケーションを呼び出し得る。
【0071】
1つの例において、薬剤ポンプ装置10の作動およびタイマユニット812の開始時、
ユーザは、薬剤送達の開始前に所定の待ち時間に関連する情報を収集し得る。
任意選択的に、薬剤ポンプアプリ10aはアラーム通知を提供し得る。たとえば、タイ
マボタン10cは、薬剤送達プロセスの開始前にアラーム通知を提供するように構成され
得る。1つの例において、ユーザは、任意選択的に、薬剤送達プロセス前にどの程度アラ
ーム通知書を受信するかを示し得る。タイマボタン10cは、薬剤がユーザに送達されて
いるときに送達時間を示すようにさらに構成され得る。
【0072】
さらに、薬剤ポンプアプリ10aは、たとえば、薬剤ポンプ装置10から情報を受信す
るように構成され得る。たとえば、ユーザは、薬剤送達プロセスに関連する通知を(たと
えば、薬剤送達ポンプ装置10から)受信し、薬剤送達プロセスに関連する情報を(たと
えば、クラウドサーバ11cに)伝送するためにTx/Rx通知およびデータボタン10
dを選択し得る。
【0073】
1つの例において、Tx/Rxボタン10dの選択時、ユーザは、薬剤ポンプ装置10
の作動および/または投与終了通知などの薬剤送達プロセスに関連する通知を見ることが
できる。
【0074】
さらに、ユーザは、Tx/Rxボタン10dを介して、薬剤が送達された速度、送達プ
ロセスの合計時間などの薬剤送達プロセスに関連するデータを見ることができる。1つの
例において、ユーザは、関連する実体(たとえば、医師、健康保険会社など)のクラウド
サーバ11cにデータおよび/または通知をさらに転送し得る。このようなシナリオにお
いて、薬剤ポンプアプリケーション10aは、薬剤ポンプ装置10から受信したそのよう
な情報を外部クラウドサーバ11cに通信するために、携帯デバイス11の通信インタフ
ェース(たとえば、セルラ通信インタフェース)を呼び出し得る。
【0075】
1つの例において、モバイルアプリ10aは、ローカルのまたは外部の他のセンサから
携帯デバイスに情報を収集し得る。たとえば、モバイルアプリ10aは、無線心拍数セン
サ11a、無線ブドウ糖率モニタ11bから情報を収集し得、携帯デバイス11にそのよ
うな情報を処理させ得る。処理した情報に基づき、モバイルアプリ10aは、薬剤の送達
速度を決定し得、薬剤ポンプ装置10のための送達速度情報および作動入力についてユー
ザに命令を提供し得る。
【0076】
薬剤ポンプ装置10が心拍数センサ11aおよび/またはブドウ糖率モニタ11bと無
線通信し得、薬剤の薬剤送達速度を決定するために受信した情報を処理し得ることが意図
されている。
【0077】
再び
図8Aを参照すると、電源および制御システム800は、機械式、電気機械式皮膚
センサ、および/または電気式皮膚センサ、たとえば、容量皮膚センサなどの身体上セン
サ840を含み得る。1つの例において、身体上センサ840は、ポンプ装置10が患者
の皮膚と接触しているかどうかを検出するように構成され得る。その判定に基づき、身体
上センサは、制御ユニット810に適切な表示(たとえば、信号)を提供し得る。次いで
、制御ユニット810は、薬剤ポンプ10のさまざまな機能を制御し得る。たとえば、制
御ユニット810は、ポンプ装置10がユーザの皮膚と接触しているときのみ、薬剤の送
達を開始するためにユーザに通知し得る。これは薬剤ポンプ10の安全機能とすることが
でき、それは、電源および制御システムが身体上センサ840から信号を受信するまで駆
動制御システム820は作動されなくてもよいためである。
【0078】
1つの例において、身体上センサ840は機械式スイッチであり得、機械式身体上セン
サ840の押下は、電源および制御システム800および/または駆動制御システム82
0の作動をトリガし得る。別の実施形態において、身体上センサは、容量ベースまたはイ
ンピーダンスベースの皮膚センサであり得、電源および制御システムおよび/または駆動
制御システム820は、身体上センサからの信号の受信時に機能し得る。これらの概念は
互いに排他的ではなく、たとえば、薬剤ポンプ10の早すぎる作動を防止するために、1
つまたは複数の組合せが本発明の範囲内で利用され得る。好ましい実施形態において、薬
剤ポンプ10は1つまたは複数の機械的な身体上センサを利用する。さらなる安全統合機
構が、薬剤ポンプの他の構成要素に関連して本明細書で説明される。
【0079】
電源および制御システム800は、任意選択的に、1つまたは複数の温度センサ880
を含み得る。温度センサ880は、薬剤または薬剤容器50の近くに好適に配置され得、
薬剤の温度を検出するように構成され得る。温度センサは、熱電対またはサーミスタ(す
なわち、抵抗が温度で大きく変わる抵抗器)であり得、制御ユニット810に電気的に結
合され得る。制御ユニット810は、薬剤ポンプ装置10のさまざまな作動を制御するた
めに、温度センサ880から受信する検出された温度情報を処理し得る。1つの例におい
て、薬剤の検出された温度に基づき、制御ユニット810は、薬剤の送達を開始するため
に、所定時間が経過する前または後にユーザに通知し得る。このようなシナリオにおいて
、制御ユニット810は、薬剤送達に関連する所定の待ち時間にオーバーライドするよう
に構成され得る。
【0080】
電源および制御システム800は、薬剤ポンプ装置10のさまざまな電気部品に電力を
供給するバッテリ(図示せず)などの電源を含み得る。
さらに、入力/出力電気機械式ユニット850は、作動ボタン、1つまたは複数のフィ
ードバック機構、たとえば、ピエゾアラームなどの可聴アラーム、および/または発光ダ
イオード(LED:light emitting diode)などの光表示器を含み
得る。
【0081】
1つの実施形態において、電源および制御システム800の制御ユニット810は、装
置がいつユーザと接触しているかを識別するために、機械式身体上センサ24または電気
式および/もしくは電子機械式身体上センサ840とインタフェースし、かつ/または装
置がいつ作動されたかを識別するために作動機構とインタフェースする。
【0082】
電源および制御システム800は、作動、薬剤送達、および投与終了などの状態表示を
伝達して、駆動制御システムからの状態フィードバックを受信するために、1つまたは複
数の相互接続を通して駆動制御システム820とインタフェースして制御する。状態表示
または状態フィードバックは、聴覚音またはアラームなどのI/O装置850を介して、
かつ/またはLEDによるなどの視覚的な表示器を介してユーザに提示され得る。
【0083】
1つの実施形態において、電源および制御システム800と駆動制御システム820の
他の構成要素との間の制御インタフェースは、(たとえば、作動ボタンを介した)ユーザ
による作動まで係合または接続されない。これは、薬剤ポンプの偶発的な作動を防止する
望ましい安全機能であり、保管、輸送などの間にバッテリ電力をさらに維持して節約でき
る。
【0084】
1つの実装形態において、(たとえば、I/O装置850の作動ボタンを介した)薬剤
ポンプ装置10の作動時、駆動制御システム820の多機能駆動機構100は、流体経路
をユーザに挿入し、薬剤容器と流体経路と無菌流体導管との間の必要な接続を有効にし、
接続し、または開き、かつユーザへの送達のために流体経路および流体導管を通して薬剤
容器に保管された薬剤流体を押し出すように作動される。少なくとも1つの実施形態にお
いて、ユーザへの薬剤流体のそのような送達は、制御された方法で駆動制御システム多機
能駆動機構によって(たとえば、流量制御サブシステム825を介して)実行される。
【0085】
図8Bは、薬剤ポンプ装置10のさまざまな機械式および電気機械式構成要素を駆動し
て制御するように構成され得る例示的な駆動制御システム820を示す。電源および制御
システム800の1つまたは複数の構成要素(たとえば、制御ユニット810)は、駆動
制御システム820とインタフェースし得、アクチュエータ/モータ101に薬剤ポンプ
装置10のさまざまな要素を駆動するように指示し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、制御ユニット810は、モータ101および駆動制御シ
ステム820の任意の他の要素と電気的に結合されて通信するように構成される。
いくつかの例において、駆動制御システム820は、さまざまなセンサを任意選択的に
含み得、それらのセンサには、容器50の圧力の情報を提供するように構成され得る圧力
センサ870、テザー525の状態情報を提供するように構成され得るテザーセンサ87
5、および容器上に設けられ得る流体経路接続部300の状態情報を提供するために構成
され得る弁センサ877が含まれるが、これらに限定されない。センサ870、875、
および877は、電気式および/または電気機械式構成要素であり得、それぞれのセンサ
に対応する状態信号を提供することによって制御ユニット810と通信し得る。制御ユニ
ット810は、モータ101を介してさまざまなサブシステムの制御の実行および/また
は実行の遅延を行うために、そのような信号を処理し得る。
【0087】
1つの例において、駆動制御システム820はタイマユニット860を任意選択的に含
み得る。タイマユニット860は、制御ユニット810に連結されるデジタル時計であり
得る。1つの例において、タイマユニット860は制御ユニット810に含まれ得る。い
くつかの例において、タイマユニット860はタイマユニット812と同じであり得る。
【0088】
駆動制御システムは、アクチュエータまたはモータ101を含み得る。アクチュエータ
101は、たとえば、ソレノイド、ステッパモータまたは回転駆動モータを含む多くの電
力/運動源であり得る。1つの実施形態において、アクチュエータ101は、主/星歯車
102の歯と対応するノッチを有する回転ステッパモータである。
【0089】
いくつかの実施形態において(
図1A~5D参照)、アクチュエータ101は、垂直に
整列し、主/星歯車102と直接係合する。機械技術における当業者によって容易に理解
できるように、アクチュエータ101は、水平に整列するように変更される可能性がある
。さらにまたは代替的に、アクチュエータ101は、
図7Aおよび7Bを参照して以下で
論じられるように主/星歯車102との間接的な係合に変更され得る。
【0090】
図8Cを参照すると、駆動制御システム820は、薬剤ポンプ装置10の駆動機構を制
御し得る。1つの例において、駆動制御システムは、NIMまたはサブシステム200を
制御し、SFPC300を確立し、さらに薬剤ポンプ装置10の調整機構500を制御す
るために駆動機構またはサブシステム100を制御し得る。
【0091】
1つの例において、ニードル挿入機構200の開始時間、流体経路接続部300を確立
する時間、および薬剤の薬剤送達速度は、外部センサから電源および制御システムによっ
て受信されるさまざまな入力(たとえば、ブドウ糖率、心拍数など)に基づいて電源およ
び制御システム800によって決定され得る。次いで、電源および制御システム800は
、適切なコマンド信号および情報(たとえば、送達速度情報)を駆動制御システム820
に伝送し得る。
【0092】
さらにまた、駆動制御システム820の記憶装置865および/または記憶装置813
は、参照用テーブルおよび/またはデータベースに、歯車アセンブリの比率情報(たとえ
ば、歯車アセンブリ516の比率)などの予めプログラムされた構成および設定情報、歯
車の回転速度情報(たとえば、主/星歯車102の回転速度)、ならびに歯車およびドラ
ムの径情報を保存し得る。したがって、送達速度情報の受信時、制御ユニット810は、
歯車アセンブリおよびモータの適切な構成を参照用テーブルまたはデータベースから識別
および選択するために、記憶装置865または記憶装置813を参照し得る。その選択に
基づき、制御ユニット810は、駆動機構100、NIM機構200および調整機構50
0を制御して、所望の速度で薬剤を送達するためにモータ101を駆動し得る。
【0093】
さらに、駆動制御システム820は、薬剤ポンプ装置10のさまざまな駆動機構を制御
するために、電源および制御システム800と相互作用して所定時間後にコマンド信号を
受信し得る。
【0094】
たとえば、駆動制御システム820は、所定時間後に駆動機構を制御または開始するた
めにコマンド信号およびタイミング情報を受信し得る。この例では、制御ユニット810
は、駆動機構の作動の開始時間を決定するために、タイマユニット860またはタイマユ
ニット812を参照し得る。決定時、制御ユニット810は、以下で論じられた駆動機構
を制御することによって薬剤送達プロセスを開始するために所定時間後にアクチュエータ
/モータ101に命令し得る。
【0095】
薬剤送達の開始後、制御ユニット810は、薬剤送達を所定時間で完了するために、タ
イマユニット860またはタイマユニット812をさらに参照し得る。電源および制御シ
ステム800は、タイミング期間を決定し得、薬剤送達プロセスを制御するために、薬剤
送達プロセス前、薬剤送達プロセス中、および薬剤送達プロセス後にコマンド信号を駆動
制御システム820に送信し得る。
【0096】
駆動機構100、挿入機構200、流体経路接続部300、および調整機構500は、
電源および制御システム800によって設定されるタイミング期間に基づき、同時に、連
続的に、および/または非連続的に駆動制御システム820によって制御され得ることに
留意されたい。
【0097】
いくつかの例において、駆動制御システム820は、駆動機構100を介して挿入機構
またはサブシステム200を駆動または制御し得る。挿入機構200の制御は、所定の待
ち時間または遅延時間に基づき、電源および制御システム800または駆動制御システム
820のいずれかによって直接的に実行され得る。
【0098】
1つの例において、駆動制御システム820は、ユーザへの薬剤送達のために流体経路
接続部を同時に提供するために挿入機構200をさらに制御し得る。
代替的に、駆動制御システム820は、ユーザへの送達のために薬剤容器からニードル
挿入機構への流体流れを可能にするために、無菌流体経路を薬剤容器に接続することによ
り、無菌流体経路接続部300を別途(かつ挿入機構200の前または後に)確立し得る
。挿入機構200の制御の詳細は以下で論じられる。
挿入機構:
患者の身体へのニードル挿入を作動させるために、薬剤ポンプ内で多くの挿入機構を利
用することができる。本発明のポンプ型送達装置は、たとえば、任意の好適な中空チュー
ブを通して患者またはユーザへ流体流通するように接続され得る。中実の内腔ニードルは
、患者の皮膚を穿刺し、適切な搬送位置に中空カニューレを配置するために使用され得、
中実の内腔ニードルは、患者への薬剤送達前に除去されるかまたは後退させる。流体は、
自動的に挿入されたニードル、カニューレ、マイクロニードルアレイ、または抽出セット
チューブを含むがこれらに限定されない任意の複数の手段により身体内に導入され得る。
【0099】
1つの例において、電源および制御システム800の制御ユニット810は、薬剤ポン
プ装置10を開始するために作動入力を受信し得る。所定時間後、または身体上センサ8
40がユーザの皮膚部分を検知しているかを判定後、電源および制御システム800は、
NIM200を開始するように駆動制御システム820に指示し得る。待ち時間後、制御
ユニット810は、ニードル挿入機構またはサブシステム200を開始するために1つま
たは複数の付勢部材を作動させ得る。たとえば、ニードルおよびカニューレに患者の皮膚
を穿刺させるのに十分な力を提供するために、ばねなどの付勢部材がモータ101によっ
て作動され得る。同一のばね、追加のばね、または別の類似の機構が患者から針を後退さ
せるために利用され得る。
【0100】
1つの実施形態において、電源および制御システム800および/または駆動制御シス
テム820は、国際出願第PCT/US2012/53174号に記載の挿入機構200
を作動させ得、上記特許出願は、すべての目的のため、参照によりその全体が本願に含ま
れる。このような構成は、患者への痛みを最小にする方法で患者の皮膚(または筋肉)へ
またはその下に薬剤送達経路を挿入するために利用され得る。流体経路の挿入に対する他
の知られている方法が利用され得、また本発明の範囲内と考えられ、本発明の譲受人によ
って開発されたような剛性のニードル挿入機構および/または回転ニードル挿入機構を含
む。
【0101】
少なくとも1つの実施形態において、挿入機構200は、1つまたは複数のロックアウ
ト窓を有する挿入機構ハウジングと、アセンブリプラットフォームおよび/またはポンプ
ハウジング(
図1Bおよび
図1Cに示される)に接続するためのベースとを含む。アセン
ブリプラットフォーム20へのベースの接続は、たとえば、ユーザの身体に対するベース
の直接的な接触を可能にするためにベースの底部がアセンブリプラットフォームの穴を貫
通できるようになっていてもよい。このような構成において、ベースの底部は、薬剤ポン
プ10の使用前に除去可能なシール部材を含み得る。挿入機構は、1つまたは複数の挿入
付勢部材、ニードル、後退付勢部材、カニューレ、およびマニホールドをさらに含み得る
。マニホールドは、薬剤送達中にマニホールド、カニューレを通じたユーザの身体内への
流体流れを可能にするために無菌流体導管30に接続し得る。
【0102】
本明細書で使用される場合、「ニードル」は、剛性中空鋼ニードルおよびより一般的に
「トロカール」と呼ばれる中実のコアニードルなどの従来の中空ニードルを含むがこれら
に限定されないさまざまなニードルを表すことが意図される。好ましい実施形態では、ニ
ードルは27ゲージの中実コアトラカールであり、他の実施形態では、ニードルは、意図
される薬剤の種類および薬剤の投与(皮下投与、筋肉内投与、皮内投与など)のためのカ
ニューレの挿入に好適な任意のサイズのニードルであり得る。ニードル挿入機構内で無菌
ブートが利用され得る。無菌ブートは、基端部でマニホールドと係合固定され、かつ先端
部でベースと係合固定される折り畳み可能な無菌膜である。少なくとも1つの実施形態に
おいて、無菌ブートは、先端部でベースと挿入機構ハウジングとの間に係合固定された状
態に維持される。以下でさらに説明するように、ベースがベース開口を含み、挿入機構の
作動中にニードルおよびカニューレがベース開口を通過し得る。カニューレおよびニード
ルの無菌は、挿入機構の無菌部分内の最初の位置によって維持される。具体的には、前述
したように、ニードルおよびカニューレは、マニホールドおよび無菌ブートの無菌環境内
に維持される。ベースのベース開口は、たとえばシール部材などにより、非無菌環境から
も閉鎖され得る(見えない)。
【0103】
本発明の少なくとも1つの実施形態によると、挿入機構は、最初に、挿入機構ハウジン
グのロックアウト窓内に最初に配置されるロックアウトピンによって使用可能段階にロッ
クされる。この最初の構成において、挿入付勢部材および後退付勢部材は、圧縮され、エ
ネルギーが蓄積された状態でそれぞれが保持される。1つの例において、電源および制御
システム800は、待ち時間後、ニードル挿入機構200を開始するために、コマンド信
号を駆動制御システム820に送信し得る。コマンド信号を受信すると、アクチュエータ
101は、引っ張り、押し込み、摺動、および/または回転など、ロックアウトピンの変
位を引き起こし得る。これにより、挿入付勢部材を、その最初の圧縮されてエネルギーが
蓄積された状態から復元させる。特に、挿入付勢部材の復元は、ニードルおよび任意選択
的にカニューレをユーザの身体内へと駆動する。挿入段階の最後または薬剤送達の最後(
多機能駆動機構100および/または調整機構500によってトリガされるとき)に、後
退付勢部材は、最初のエネルギー蓄積状態から近位方向に拡張することができる。後退付
勢部材の近位方向におけるこの軸方向の拡張は、ニードルを後退させる。インサータニー
ドル/トロカールおよびカニューレ構成が利用される場合、ニードルの後退は、ユーザの
身体に流体連通するカニューレを保持する間に起こり得る。したがって、挿入機構は、ニ
ードルおよびカニューレをユーザ内へ挿入し、その後、ユーザの身体への薬剤送達のため
の位置にカニューレを保持しつつニードルを後退させるために使用され得る。
【0104】
以下でさらに論じられるように、いくつかの例において、電源および制御システム80
0ならびに/または駆動制御システム820は、多機能駆動機構100を介してニードル
挿入機構200を制御し得る。さらに、電源および制御システム800ならびに/または
駆動制御システム820は、薬剤物質を薬剤容器から押し出すために利用されるプランジ
ャシールの自由な軸方向平行移動を計測するか、それに対する抵抗を提供するか、または
他にそれを防止することなどにより、駆動機構100および調整機構500を介して薬剤
送達の速度を制御し得る(それにより、さまざまな速度および/または送達プロファイル
で薬剤物質を送達する)。
【0105】
再び
図2A~2Eおよび3A~3Dを参照すると、多機能駆動機構100は、薬剤送達
のための流体経路をユーザに提供するためにニードル挿入機構をトリガするステップと、
ユーザへの送達のために薬剤容器からニードル挿入機構への流体流れを可能にするために
無菌流体経路を薬剤容器に接続するステップとを同時にまたは順次実行し得る。
【0106】
少なくとも1つの実施形態において、
図2A~2Eおよび3A~3Dに示されるように
、制御ユニット810は、駆動制御システム820のアクチュエータ101の運動を開始
し得、それにより多機能駆動機構100の主/星歯車102を回転させ得る。主/星歯車
102は、側面102Aおよび側面102B(
図4参照)を有する複合歯車として示され
ている。1つの例において、主/星歯車102は、歯車アセンブリ516によって調整機
構500に運動を伝達する。
【0107】
別の例において、主/星歯車102は、歯車112によって針挿入機構200に運動を
伝達する。歯車112が主/星歯車102によって回転すると、歯車112はニードル挿
入機構200と係合して、上述したようにユーザへの流体経路接続を開始する。1つの特
定の実施形態において、ニードル挿入機構200は回転針挿入機構である。したがって、
歯車112は、ニードル挿入機構200の対応する歯車表面208に係合するように構成
される(
図2Aおよび3B参照)。歯車112の回転により、駆動機構100の歯車と対
応するニードル挿入機構200の歯車表面208との間の歯車112の相互作用を通して
ニードル挿入機構200の回転を生じさせる。ニードル挿入機構200の好適な回転、た
とえば、
図2B~2Cに示される軸‘R’に沿う回転が生じると、ニードル挿入機構は、
ユーザへの流体経路接続を行うように開始され得る。
【0108】
代替的な実施形態において、
図7Aに示されるように、挿入機構200は、最初にエネ
ルギー蓄積状態で保持される回転付勢部材210を含む。1つの例において、回転付勢部
材は、ねじりばねである。駆動制御システム820は、回転付勢部材210の回転を防止
および/または制御するために、多機能駆動機構100、挿入機構200、および/また
は調整機構500の1つまたは複数の構成要素を作動させ得る。
【0109】
歯車112は、ニードル挿入機構200に接触または遮断する制御アーム202(
図7
Bに表示)の対応する歯車表面と係合するように構成され得る。歯車112の回転により
制御アーム202の移動を生じ、ニードル挿入機構200の回転を開始または許可し得る
。
【0110】
さらに、回転付勢部材は、薬剤ポンプの、制御アームの遮断部の側面などの回転防止機
能を有する挿入機構の構成要素の接触によってエネルギー放出を防止し得る。1つの例に
おいて、回転付勢部材210は、歯車表面208の歯車112との相互作用によってエネ
ルギー放出を防止し得る。
【0111】
さらにまたは代替的に、ニードル挿入機構は、機械的に作動され得る。たとえば、回転
付勢部材210は、作動ボタン14の押下時にエネルギーを放出するようにされ得る。参
照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/130679号にさらに詳細に記
載されるように、作動ボタン14の押下により、NIM保持器610の回転を可能にし得
る。NIM保持器610のこの回転により、付勢部材210のエネルギー放出およびカニ
ューレの患者への挿入が可能になる。さらに、
図10に示されるように、NIM保持器6
10の拡張部610Cは、状態スイッチ620に接触し得、それにより電源および制御シ
ステム800にニードル挿入が作動されたという信号を提供する。この信号は、本明細書
に説明されるように、遅延モードに入ることを含む、電源および制御システム800の多
くの機能をトリガし得る。ニードル挿入の機械式作動の実施形態は、国際公開第2016
/145904号で見ることができ、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
1つの例において、少なくとも回転付勢部材210の回転の防止が身体上検知前に実装
され得ることが意図されている。したがって、身体上センサ840がユーザの皮膚部分を
検知すると、かつ/または電源および制御システム800が(たとえば、作動ボタンを介
した)薬剤送達の開始のための入力、および/またはニードル挿入のための入力を受信す
ると、電源および制御システム800は、回転付勢部材210が少なくとも部分的にエネ
ルギー放出することを可能とするために、駆動制御システム820に指令し得る。これは
、挿入機構200、駆動制御機構100、および/または調整機構500の1つまたは複
数の構成要素を回転させ、次にニードルの患者への挿入を引き起こすまたは可能にするよ
うにし得る。さらにまた、カニューレは、上述のような患者に挿入され得る。
【0113】
以下に詳しく述べられるように、薬剤の送達中、挿入機構は、駆動制御システム820
と駆動機構100と調整機構500との間の相互作用に基づいてさらに制御され得る。た
とえば、駆動制御システム820の制御アームまたは別の構成要素がテザーにおける緩み
を認識するとき、回転付勢部材は、エネルギーを放出することをさらに可能にされ、挿入
機構200の1つまたは複数の構成要素をさらに回転させ得る。
【0114】
この回転により、駆動制御システム820に、患者からニードルを後退させ得るか、ま
たは駆動制御システム820がニードルを後退させることを可能にし得る。ニードルは、
単一のステップで完全に後退するか、または複数の後退ステップがあり得る。
【0115】
少なくとも1つの実施形態において、ニードル挿入機構200は、回転軸‘R’(
図2
B~2Cに示される)上の回転の特定の程度によってニードル/トロカールが上述したよ
うに後退することができるように構成され得る。さらにまたは代替的に、このようなニー
ドル/トロカールの後退は、ユーザの作動または薬剤ポンプの別の部品の移動または機能
を生じるように構成され得る。少なくとも1つの実施形態において、ニードル/トロカー
ルの後退は、たとえば、調整機構500および/またはセンサ(たとえば、テザーセンサ
、圧力センサなど)の1つまたは複数によってトリガされるように、薬剤送達の終了時に
生じるように構成され得る。これらの作動段階中、薬剤チャンバ21からの流体物質の送
達は、ピストン110A、110Bおよびプランジャシール60に作用するその最初のエ
ネルギー蓄積状態からの付勢部材122の拡張により、開始、継続および/または完了さ
れ得る。
【0116】
1つの実施形態において、作動機構の平行移動は、NIM作動機構の一部であるか、N
IM作動機構を操作し得る。
図17A~17Bに示されるように、NIM作動機構はイネ
ーブル機構を含み得る。本実施形態において、作動機構14の平行移動は、直接または間
接的にスライド602に連結され得る。第1の構成において、イネーブル機構は、作動機
構およびスライドの平行移動がニードル挿入機構200または無菌流体経路接続部300
の作動を生じないように構成される。
【0117】
図17A~17Bは、作動機構14(
図1A参照)およびスライド602の平行移動が
ニードル挿入機構200の作動を引き起こすように構成されるイネーブル機構を示す。第
1の構成から第2の構成へのイネーブル機構の変換は、たとえば、身体上センサをトリガ
することにより、または装置の電源を入れた後、事前に決定された時間の経過により開始
され得る。第1の構成から第2の構成へのイネーブル機構の変換は、セレクタ部材604
をスライド602の態様に整列させるアクチュエータ101の回転によって実行され得る
。セレクタ部材604は、作動機構14およびスライド602の平行移動時にスライド6
02の一部に接触するように構成されるランプ面604Aを含み得る。セレクタ部材60
4は、キー1101などの歯車の境界面に搭載されるか、または歯車の境界面に一体化し
た部分であり得る。スライド602とセレクタ部材604を接触させることで、スライド
の一部が突起606Aなどのスローアームまたは制御アーム606の一部と整列させるよ
うにスライド602に変位を起こさせ得る。本構成において、作動機構14の平行移動に
よりスローアーム606の平行移動を生じさせる。スローアーム606の平行移動により
、ニードル挿入機構200を作動させることで流体経路を標的に挿入させる。製造、輸送
、および保管中、イネーブル機構は、作動機構14の押下がニードル挿入機構200を作
動させない第1の構成にある。このように、ニードル挿入機構は尚早に作動することが防
止される。スライド602とセレクタ部材604とを接触させることで、スライドの剛体
変位を実質的に生じ、またはその代わりに接触によりスライドの変形を生じさせ得る。た
とえば、スライドは、接触により変位させ得る変形可能な(すなわち、より剛性ではない
)部分を含み得る。ステップ930(
図9B参照)では、イネーブル機構は、NIMの作
動を可能にするためにこの構成に入り得る。本構成におけるイネーブル機構により、作動
ボタン14の押下がステップ932を構成し得る。
【0118】
NIM作動機構の1つの例は、
図11A~16Bに示されている。明確にするために、
これらの図では、薬剤送達装置の多くの部品は隠されている。NIM作動機構は、スライ
ド602、スローアーム606、NIMインターロック608、およびNIM保持器61
0を含む。最初に、
図11A~12Bに示されているように、NIM保持器610は、N
IM保持器610がNIM200の突起204に接触するように配置され、突起204は
、軸R(
図13B参照)の周りを回転しないように配置され、それによってNIM200
が作動するのを防止する。示されている実施形態において、NIM保持器610は、軸B
(
図15B参照)の周りで回転運動するように構成される。NIM保持器610は、たと
えば、穴610Aでハウジング12に取り付けられ得る。たとえば、ピンまたはシャフト
は、NIM保持器610が周りを回転し得る穴610Aに配設され得る。ピンまたはシャ
フトは、ハウジング12の一体化した部分であり得、または別々の構成要素であり得る。
NIM保持器610は、NIM保持器610のアーム610BとNIMインターロック6
08との接触によって回転することを防止する。NIMインターロック608は、平行移
動運動(
図11Bの斜線矢印の方向)のために配置され、フレックスアームによって最初
に所定の位置に保持される。NIMインターロック608は、最初に、スローアーム60
6の下面606Bに接触または隣接する第1の位置にある。
【0119】
第2の構成(
図17A~17Bに示される)におけるセレクタ部材604により、作動
機構14の押し下げによって上記のようなスローアーム606の平行移動を生じる(
図1
1Aの実線の矢印の方向)。スローアーム606のランプ面606Cは、NIMインター
ロック608に接触し、NIMインターロック608をスローアーム606の平行移動方
向に実質的に直交する方向に平行移動させる。
図13A~14Bは、スローアーム606
の位置およびスローアームの平行移動後のNIMインターロック608を示す。示される
ように、この構成では、NIMインターロック608は、スローアーム606の上面60
6Dに隣接してまたは接触して配置される。NIMインターロック608の窓608Aは
、NIM保持器610のアーム610Bに整列する。したがって、
図15A~16Bに示
されるように、NIM保持器610は軸Bの周りを回転することができる。突起204と
保持器610との接触面は、突起204がNIM保持器610に回転力を加えるように構
成され得、それによってNIM保持器610を軸Bの周りで回転させる。代替的にまたは
さらに、NIM保持器610は、付勢部材によって回転するために付勢され得る。付勢部
材は、たとえば、ねじりばねであり得る。NIM保持器610の回転により、NIM保持
器610は、NIM200の突起204との係合を解除させる。したがって、NIM20
0は、流体経路を標的へと挿入するために作動することができる。
【0120】
他の実施形態において、NIMインターロック608は、突起204などのNIM20
0の一部を直接係合して、最初にNIM200が作動するのを防止し得る。スローアーム
606の平行移動に直交する方向でNIMインターロック608が平行移動することで、
NIMインターロック608をNIM200と係合するのを解除させ、NIM200を作
動させるのを可能にし得る。また、スライド602およびスローアーム606が別々の構
成要素として本明細書で示されているが、これらは、単一の統合された構成要素に組み合
わせ得ることが意図されている。このような実施形態において、セレクタ部材は、最初に
、スライドおよび/またはスローアームの平行移動を防止するように構成され得る。
【0121】
別の実施形態において、スローアーム606がNIMの一部と係合し、それによりスロ
ーアーム606の平行移動がNIM200の作動を可能にする。
さらにまたは代替的に、後述するように、無菌流体接続サブシステム300を確立する
ために、駆動制御システム820はニードル挿入機構200に間接的に係合し得る。
流体経路接続部:
電源および制御システム800ならびに/または駆動制御システム820は、無菌流体
導管を薬剤容器に接続することにより、流体経路接続部またはサブシステム300をさら
に確立して、流体経路接続部を有効にし得る。
【0122】
流体経路接続部300の確立は、待ち時間前、待ち時間中、または待ち時間後に実行さ
れ得る。さらに、経路接続部300は、挿入機構200の作動前または作動中に確立され
得る。いくつかの実施形態において、電源および制御システム800が、多機能駆動機構
100を介した流体経路接続部300の確立、および/またはニードル挿入機構もしくは
サブシステム200などの他のサブシステムの確立を引き起こし得る。一般に、好適な流
体経路接続部は、無菌流体導管、穿刺部材、および薬剤容器または薬剤容器内に一体化さ
れたスライドする穿刺可能なシールに取り付けられた無菌スリーブを含む。流体経路接続
は、1つまたは複数の流量制限器をさらに含み得る。装置10の作動時、流体経路接続部
300は、無菌流体導管30を駆動機構100の薬剤容器に接続するように確立される。
このような接続は、駆動機構100の薬剤容器の穿刺可能なシールを穿刺するニードルな
どの穿刺部材によって促進され得る。この無菌性の接続は、可撓性の無菌スリーブ内の接
続を実行することによって維持され得る。ほぼ同時に挿入機構200を作動させると、薬
剤容器と挿入機構との間の流体経路は、ユーザの身体内に薬剤送達することを可能にする
ために完了する。1つのこのような実施形態において、流体経路接続部は、国際出願第P
CT/US2012/054861号に記載されたものとほぼ同様のものであり得、上記
特許出願は、すべての目的のため、参照によりその全体が本願に含まれる。このような実
施形態において、圧縮可能な無菌スリーブは、薬剤容器のキャップと流体経路接続部の接
続ハブとの間に固定的に取り付けられ得る。穿刺部材は、流体接続経路と薬剤容器との間
の接続が望ましくなるまで無菌スリーブ内にあり得る。無菌スリーブは、作動前に穿刺部
材と流体経路の無菌性を保証するために滅菌され得る。
【0123】
代替的に、流体経路接続部は、たとえば、国際出願第PCT/US2012/0548
61号、国際出願第PCT/US2013/030478号、国際出願第PCT/US2
014/052329号、または国際出願第PCT/US2016/020486号に記
載されている薬剤容器に一体化され得、上記特許出願は、すべての目的のため、参照によ
りその全体が本願に含まれる。
【0124】
そのような実施形態によると、薬剤容器50は、穿刺可能なシール(図示せず)とプラ
ンジャシール60との間のバレル内の薬剤チャンバ21を有し得る。薬剤流体は薬剤チャ
ンバ21内に含まれる。ユーザによって装置が作動されると、駆動機構(たとえば、多機
能駆動機構100)は、薬剤容器内に含まれるプランジャシール60に力を加える。プラ
ンジャシール60が薬剤流体および任意の空気/ガスギャップまたは泡に力を加えると、
空気圧と油圧の組合せが空気/ガスおよび薬剤流体の圧力によって形成され、力は、スラ
イドする穿刺可能なシールに伝達される。穿刺可能なシールは、キャップ52に向かって
スライドを生じ、一体化された無菌流体経路接続部内に保持された穿刺部材によって穿刺
される。したがって、一体型の無菌流体経路接続部は、駆動機構100の作動によって生
じた薬剤チャンバ内の空気/ガスおよび薬剤流体の空気圧力/油圧力の組合せによって接
続される(すなわち、流体経路が開放される)。一体型の無菌流体経路接続部が接続また
は開放されると、薬剤流体は、薬剤送達のために、薬剤容器50から、一体型の無菌流体
経路接続部300、無菌流体導管30、および挿入機構200を通り、ユーザの身体へと
流れることができる。少なくとも1つの実施形態において、流体は、マニホールドおよび
カニューレおよび/または挿入機構のニードルのみを通って流れ、それによって薬剤送達
前と送達中の流体経路の無菌性が維持される。
【0125】
1つの実施形態において、電源および制御システム800は、無菌流体経路サブシステ
ムまたは接続部300を確立または作動させるために駆動制御システム820に命令し得
る。たとえば、接続部300は、多機能駆動機構100によって作動または制御され得る
ニードル挿入機構200を介して確立され得る。
【0126】
さらにまたは代替的に、無菌流体経路接続部300は、多機能駆動機構100によって
直接開始され得る。たとえば、制御ユニット810は、本明細書に詳細に記載される星歯
車102などの回転歯車を作動させるためにモータ101に命令し得、それは、電源およ
び制御システム800によって提供されるさまざまな所定時間(たとえば、待ち時間、薬
剤送達時間)に基づいて(a)薬剤送達の速度を制御し、(b)ニードル挿入機構200
を作動させ、および/または(c)無菌流体経路接続部300を開始するために同時にま
たは順次作動され得る。
【0127】
1つの実施形態において、
図1A~1Cに示されるように、多機能駆動機構100は、
これらのステップのすべてを同時に連続して実行する。その実施形態において、駆動制御
システム820は、多機能駆動機構100に、いくつかの他の構成要素(たとえば、他の
歯車アセンブリ)に作用する歯車(たとえば、星歯車102)を回転させる。たとえば、
歯車は歯車アセンブリに作用して薬剤送達の速度を制御し、一方でニードル挿入機構20
0にも接触して流体経路接続部200をユーザに誘導する。ニードル挿入機構200が開
始されると、無菌流体接続は、多機能駆動機構の歯車および歯車アセンブリが薬剤送達の
速度を制御して患者への送達を行うために、薬剤流体が薬剤容器50から流体導管30を
通ってニードル挿入機構200へと流れることを可能にする。
【0128】
薬剤ポンプ装置10は、確立された無菌流体経路サブシステムまたは接続部300を介
して、異なる粘度および容量を有する範囲の薬剤を送達するように構成されることが理解
されるであろう。さらに、薬剤ポンプ装置10は、制御された流量(速度)でかつ/また
は特定の容量の薬剤を送達する。1つの実施形態において、薬剤送達プロセスは、流体経
路接続部および/または無菌流体導管内の1つまたは複数の流量制限器(図示せず)によ
って制御される。他の実施形態において、他の流量は、流体流路または送達導管の形状を
変化させることによって提供され得る。
【0129】
図2A~2Dおよび
図3A~3Dに示されるように、このような方法でニードル挿入機
構200を回転することにより、無菌流体経路を薬剤容器に接続してユーザに送達するた
めに薬剤容器からニードル挿入機構へと流体が流れることを可能にし得る。このような例
において、制御ユニット810は、(a)駆動機構100、(b)ニードル挿入機構20
0、および(c)無菌流体経路接続部300を命令および制御し得る。たとえば、ニード
ル挿入機構200のランプの側面222により、無菌流体経路接続部300の可動接続ハ
ブ322に当接する。ニードル挿入機構200は(制御ユニット810の命令に基づいて
)多機能駆動機構100によって回転するため、ニードル挿入機構200のランプの側面
222は、無菌流体経路接続部300の可動接続ハブ322に当接し、平行移動して、そ
の中の流体接続を促進する。
調整機構500および多機能駆動機構100:
さらに、薬剤ポンプ装置10は薬剤の流量を制御し得る。1つの例において、流量は、
駆動機構100の1つまたは複数の構成要素が薬剤を投与するために薬剤容器50内を前
進する速度を変化させることにより、駆動制御システム820(たとえば、駆動制御シス
テムのモータ)により制御され得る。異なる流量制御方法の組合せが、無菌流体経路接続
部300を介して薬剤の流れを制御するために実装され得ることに留意されたい。
【0130】
電源および制御システム800(たとえば、制御ユニット810)は、以下で論じられ
るように多機能駆動機構100を介して流量制御サブシステムまたは調整機構500を制
御するためにコマンド信号を駆動制御システム820に送信し得る。駆動制御システム8
20によって制御される薬剤送達の速度は、歯車アセンブリ516の歯車比の選択、主/
星歯車102の選択、巻取りドラム/歯車520の直径の選択および主/星歯車102の
回転速度を制御するためにアクチュエータ101を命令することによるそのような要素の
さらなる駆動、または当業者に知られている任意の他の方法によって決定され得る。主/
星歯車102の回転速度を制御および調整するために電気機械式アクチュエータ101を
使用することにより、薬剤ポンプ装置10をさまざまな用量速度を提供する(すなわち、
薬剤送達の速度を治療中に変化させる)ように構成することが可能であり得る。
【0131】
さらに、駆動制御システム820は、薬剤物質を薬剤容器から押し出すために利用され
るプランジャシールの自由な軸方向平行移動を計測するか、それに対する抵抗を提供する
か、または他にそれを防止することにより、薬剤送達の速度を制御することを含み得る調
整機構またはサブシステム500を制御し得る。
【0132】
図2A~2Dおよび3A~3Dに示される実施形態を参照すると、電源および制御シス
テム800は、モータ101を介して駆動機構100を制御し得る。駆動機構100は、
主歯車102を含む歯車アセンブリ110と、駆動ハウジング130と、キャップ52、
穿刺可能なシール(見えない)、バレル58、およびプランジャシール60を有する薬剤
容器50とを含み得る。主歯車102は、たとえば、複数の二次歯車または歯車表面に接
触するように配置される星型歯車であり得る。穿刺可能なシールとプランジャシール60
との間のバレル58内に置かれた薬剤チャンバ21は、ユーザの身体内に挿入機構および
薬剤ポンプを通じて送達するための薬剤流体を含み得る。本明細書に記載されたシールは
、多くの材料で構成され得るが、好ましい実施形態では、1つまたは複数のエラストマま
たはゴムで構成され得る。駆動機構100は、本明細書にさらに記載されるように、1つ
または複数の駆動付勢部材、1つまたは複数の開放機構、および1つまたは複数のガイド
をさらに含み得る。駆動機構100の構成要素は、流体経路接続部、無菌流体導管、およ
び挿入機構を通ってユーザの身体へと送達するために、流体を薬剤容器から穿刺可能なシ
ールを通して、または好ましくは流体経路接続部300の穿孔部材を通して押し出すよう
に機能する。
【0133】
1つの特定の実施形態において、駆動機構100は、駆動付勢部材122として1つま
たは複数の圧縮ばねを採用する。このような実施形態において、ユーザによる(たとえば
、作動ボタンを介した)薬剤ポンプの作動時、電源および制御システム800は、駆動付
勢部材122をエネルギー蓄積状態から直接または間接的に(および電気機械的に)解放
するように構成され得る。解放時、駆動付勢部材122は、プランジャシール60を当接
して作用し、流体薬剤を薬剤容器の外に押し出し得る。圧縮ばねは、ピストンを当接して
作用し、次にプランジャシール60に作用して流体の薬剤を薬剤容器の外に押し出し得る
。1つの例において、1つまたは複数の駆動付勢部材122は、駆動ハウジング130と
ピストン110との間で圧縮され得、駆動付勢部材122はピストンの境界面110Cに
当接し得る。
【0134】
任意選択的に、カバースリーブ(図示せず)は、駆動付勢部材122とピストン110
の境界面110Cとの間で利用され、たとえば、駆動付勢部材122からピストン110
に力を均一に分配することを促進し、駆動付勢部材122が曲がるのを防止し、および/
またはユーザの視野から付勢部材122を隠し得る。ピストン110の境界面110Cは
、シール60の基端部に実質的に隣接してまたは接触して置かれる。
図2A~2Dおよび
3A~3Dに示される実施形態は単一の付勢部材を示しているが、並列に配置された1つ
または複数の付勢部材が用いられ得ることも意図される。
【0135】
以下で記載されるように、いくつかの実施形態において、駆動制御システム820なら
びに/または電源および制御システム800は、駆動機構100、挿入機構200、およ
び調整機構500によって薬剤の送達速度を制御し得る。
【0136】
図2Dおよび
図3Dに最適に示されているように、ピストン110は、2つの構成要素
110Aおよび110Bから構成され、プランジャシール60と接触する境界面110C
を有し得る。
【0137】
さらに、テザー、リボン、ひも、または他の保持ストラップ(「テザー」525として
本明細書で言及される)は、その一端をピストン110A、110Bに接続され得る。た
とえば、テザー525は、組み立てられると、ピストン110A、110Bの2つの構成
要素間での保持によってピストン110A、110Bに接続され得る。テザー525は、
別の端部で、調整制御機構500のウィンチドラム/歯車520に接続される。テザー5
25の一端に接続されるウィンチドラム/歯車520、およびピストン110A、110
Bに別の端部で接続されるテザー525を使用して、調整機構500は、制御、計測、抵
抗を提供するように機能し、そうでない場合には薬剤容器50から薬剤物質を押し出すた
めに利用されるピストン110A、110Bおよびプランジャシール60の自由な軸方向
平行移動を防止する。
【0138】
したがって、電源および制御システム800は、多機能駆動機構の歯車アセンブリ11
6態様の一部であり得、ユーザへの薬剤送達の速度またはプロファイルを制御するように
ともに機能し得る調整サブシステムまたは機構500を制御し得る。
【0139】
図8Cを参照すると、電源および制御システムは、駆動制御システム820を介して(
たとえば、駆動制御機構100を介して)調整機構500を制御し得る。たとえば、制御
ユニット810は、調整機構500の歯車アセンブリ(たとえば、歯車アセンブリ516
)を駆動するために、モータ101および歯車アセンブリのために適切な構成を選択する
ことにより、アクチュエータまたはモータ101を駆動し得る。さらに、本明細書に論じ
られるように、調整機構の駆動は時間制御であり得る。
【0140】
図2A~2Dおよび3A~3Dに示され、
図4および5A~5Bに別に示されるように
、本開示の実施形態において、調整機構500は、アクチュエータ101で駆動される歯
車アセンブリである。さらに、制御ユニット810からのコマンド信号の受信時、モータ
101は、テザー525の分配を妨げるかまたは抑制するために、調整機構500を制御
し得、これにより、テザー525が調整された速度または所望の速度で前進することを可
能にする。これによりバレル58内のピストン110の移動を制限し、1つまたは複数の
付勢部材122によって押され、それによりプランジャシール60の移動およびチャンバ
21内に含まれる薬剤の送達を制御する。プランジャシール60が薬剤容器50内で前進
するに従い、薬剤物質は、薬剤送達のために無菌経路接続部300、導管30、挿入機構
200を通ってユーザの身体へと投与される。1つの例において、テザー525の調整さ
れた運動は、電源および制御システム800の制御ユニット810に状態フィードバック
を提供し得る任意選択のテザーセンサ875によって監視され得る。制御ユニット810
は、調整機構500をさらに制御するために、テザー525の調整された運動のフィード
バック状態情報を処理し得る。
【0141】
上述のように、少なくとも1つの実施形態において、モータ101は、主歯車の1つま
たは複数の歯が薬剤送達ポンプ装置10の作動中に部分的に存在し得る歯車の境界面を有
するパックマンモータであり得る。パックマンモータの作動は、制御ユニット810によ
って制御され得る(
図5A~5B参照)。
【0142】
1つの例において、パックマンモータ101の歯車の境界面101Aが主歯車102の
歯102Aと整列するとき、パックマンモータ101の回転運動により、主歯車102の
歯車の境界面は回転する。パックマンモータ101が主歯車の歯車の歯間にあるとき、た
とえば、歯車アセンブリ116のバックスピンまたは巻き返しに対する抵抗として作用し
得る。1つの特定の実施形態において、パックマンモータ101は、交互方向型のモータ
を利用して、パックマンモータ101を前後に回転させる。この構成は、暴走状態の防止
に役立ち、モータおよび歯車は、1つの方向(暴走状態に必要とされるような)に継続的
なスピンを防止するためにモータの多方向を使用して自由に回転させることができる。パ
ックマンモータ内で切断された歯車の境界面の使用とともに伝達される、モータのこの双
方向移動は、ユーザへの薬剤の過剰送達をもたらす可能性がある暴走状態を防止するため
に好適な安全機能を提供し得る。さらに、歯車アセンブリ116、調整機構500、およ
び多機能駆動機構100の詳細が、本明細書に提供される。
図5A~5Bに示される特定
の実施形態では、調整機構500は、歯車アセンブリ516の1つまたは複数の歯車51
1、512、513、514をさらに含む。たとえば、1つまたは複数の歯車511、5
12、513、514は、共通の中心点で大径歯車に取り付けられた小径歯車を有する複
合歯車であり得る。歯車513は、たとえばキー付きシャフトによってウィンチドラム/
歯車520に回転可能に連結され得、それにより歯車アセンブリ516の回転をウィンチ
ドラム/歯車520に伝える。複合歯車512は、複合歯車の側面512Bの回転運動は
、歯車の係合によって(対応する歯車の歯の係合によるような)歯車513に伝達される
ように小径歯車513に係合する。複合歯車の側面512Aは、その回転が歯車の側面5
12Bに伝えられ、主/星歯車102の複合歯車の側面102Bの作用によって回転を生
じる。複合歯車の側面102Bは、その回転が主/星歯車102に伝えられ、主/星歯車
102Aと作動装置101のインタフェース101Aとの間の相互作用によって回転を生
じる。これにより、主/星歯車102の回転はウィンチドラム/歯車520に伝達される
。したがって、(駆動制御システム820の)アクチュエータ101によって開始される
歯車アセンブリ516の回転は、ウィンチドラム/歯車520に(すなわち、歯車アセン
ブリ516を通しての)伝えられ得、それにより、テザー525の分配と、また薬剤チャ
ンバ21から流体を押し出すためのバレル58内のプランジャシール60の移動速度とを
制御する。本明細書に記載されているように、ウィンチドラム/歯車520の回転移動、
したがってピストン110およびプランジャシール60の軸方向の平行移動が計測される
か、抑制されるか、または他に調整要素500の他の構成要素によって自由な軸方向の平
行移動が防止される。上記のように、アクチュエータ101は、たとえば、モータ(たと
えば、直流モータ、交流モータ、もしくはステッピングモータ)またはソレノイド(たと
えば、リニアソレノイド、ロータリソレノイド)を含む、多くの知られている電源/動作
源であり得る。
【0143】
上述のように、
図7A~7Bに示される実施形態は、制御ユニット810によって駆動
され、主/星歯車102と水平に整列されて間接的に係合するアクチュエータ101を示
す。このような実施形態は、
図7A~7Bに示されるように、ラックピニオン係合、駆動
ねじ、またはウォーム歯車101Wを利用して、水平から垂直に運動方向を変更し得る(
すなわち、垂直相互作用)。アクチュエータ101は(制御ユニット810から受信され
るコマンド信号に基づいて)ウォーム歯車101Wを回転させ、歯車101Gと係合し、
パックマン歯車101Aに運動を伝達する。本明細書に記載されるように、パックマン歯
車101Aは、主/星歯車102と係合して駆動機構および薬剤送達装置の作動を可能に
する。
【0144】
制御ユニット810は、モータ101を介して主星歯車102を制御する。次いで、主
星歯車102は、歯車アセンブリを駆動し得る。たとえば、本明細書に記載されるように
、主/星歯車102は、歯車112の作動を駆動してニードル挿入機構200の作動を可
能にし得る。
【0145】
1つの実施形態において、アクチュエータ101が、ウォーム歯車101W、歯車10
1G、およびパックマン歯車101Aを前後に回転させるように、制御ユニット810は
コマンド信号を提供する。この構成は、暴走状態の防止に役立ち、モータおよび歯車は、
1つの方向(暴走状態に必要とされるような)に継続的なスピンを防止するためにモータ
の多方向を使用して自由に回転させることができる。ウォーム歯車101W、歯車101
G、および主/星歯車102を有するパックマン歯車101Aの歯車の境界面の使用とと
もに伝達されるアクチュエータ101のこの双方向移動は、ユーザへの薬剤の過剰送達を
もたらす可能性がある暴走状態を防止するために好適な安全機能を提供する。
【0146】
さらに、モータ101は、停止ブロック150に対してパックマン歯車101Aの回転
を停止する停止部材101Bを含み得る。停止ブロック150は、さらに、パックマン歯
車101A、したがって主/星歯車102の過剰回転を防止して、ユーザへの薬剤の過剰
送達をもたらす可能性がある暴走状態を防止する。装置がこの構成で機能するために、パ
ックマン歯車101Aは、停止部材101Bが停止ブロック150との相互作用によって
1つの方向への過剰回転を防止するため、主/星歯車102が進むために再び前に回転す
る前に他の方向に後方に回転しなければならない。
【0147】
さらに、ウォーム歯車101Wの形状は、セルフロックするように構成され得、かつ/
または歯車101Gによって後方に駆動することができない。これは、ピッチ、リード角
、圧力角、スレッド数などのパラメータの構成によって行われ得る。これを行う際、駆動
機構の暴走状態は、アクチュエータ101によって引き起こされない回転に対するウォー
ム歯車の抵抗により妨げられる。代替的にまたはさらに、制御ユニット810は、他の歯
車(たとえば、歯車101G)の回転により、かつモータ101によってでなく引き起こ
されるウォーム歯車101Wからの任意のフィードバックがあるかどうかを判定するよう
に構成され得る。制御ユニット810がそのようなフィードバックを判定または受信する
場合、制御ユニット810はさらなる作動を終了し得る。
【0148】
電源および制御システム800は、薬剤チャンバ21からの流体物質の送達を駆動する
ために、本発明の調整機構500を制御しないことに留意されたい。薬剤チャンバ21か
らの流体物質の送達は、(モータ101を介して制御ユニット810によって作動され得
る)ピストン110A、110Bおよびプランジャシール60に作用するその最初のエネ
ルギー蓄積状態から付勢部材122の拡張によって引き起こされる。調整機構500は、
その最初のエネルギー蓄積状態から付勢部材122の拡張によって押し出され、代わりに
ピストン110A、110Bおよびプランジャシール60の自由運動に対する抵抗を提供
するように機能する。調整機構500は、送達するように駆動せず、送達運動を制御する
のみである。テザーは、ピストン110およびプランジャシール60の運動を制限または
別の方法で抑制するが、送達するために力を加えない。好ましい実施形態によると、本発
明の制御された送達駆動機構および薬剤ポンプは、ピストン110A、110Bおよびプ
ランジャシール60の軸方向平行移動を計測するテザーに間接的または直接的に接続され
る調整機構を含み、これは付勢部材122によって軸方向に平行移動するように駆動され
る。
【0149】
1つの例において、薬剤ポンプ装置10の電源および制御システム800は、調整機構
500を制御するための1つまたは複数の調整パラメータを受信するように構成され得る
。代替的にまたはさらに、電源および制御システム800は、センサ入力(たとえば、心
拍数センサ、ブドウ糖モニタセンサ情報)を受信し得、次いでセンサ入力を調整パラメー
タに変換し得る。次いで、制御ユニット810は、所定時間後(たとえば、待ち時間後)
、調整機構500を制御し得る。その入力に基づき、制御ユニット810は、ウィンチド
ラム/歯車520によってテザー525の解放を計測し得、それにより、付勢部材122
によるピストン110の軸方向平行移動を可能にして、バレル58内でプランジャシール
60を平行移動させる。
【0150】
調整パラメータに基づき、制御ユニット810およびモータ101は、テザー525お
よび付勢部材122がモータ101を介して当接するピストン110の自由な軸方向平行
移動上のウィンチドラム/歯車520によって提供される抑制をさらに制御し得る。制御
ユニット810はそのような作動を制御して、所望の薬剤送達速度またはプロファイルを
提供し、ユーザへの送達のための用量容積を変更し、および/または別の方法で駆動機構
の作動を開始、停止、または一時停止する。1つの例において、制御ユニット810は、
所望のまたは所定の時間内に薬剤送達用量を完了するために薬剤送達速度を制御し得る。
1つの実施形態において、テザーは解放され得、抑制されないように巻き戻され得る。こ
れにより、流体のボーラス送達を提供し得る。
【0151】
薬剤送達プロセス中、所定の待ち時間後、電源および制御システムは、駆動制御システ
ム820に送達命令を提供し得る。その命令に基づき、駆動制御システムは、駆動機構1
00の構成要素を制御して薬剤容器50のプランジャシール60を遠位方向に軸方向平行
移動させ得る。任意選択的に、駆動機構100および/または調整機構500は、プラン
ジャシール60の軸方向のさらなる平行移動を可能にする1つまたは複数のコンプライア
ンス特徴を含み、たとえば、ほぼすべての薬剤用量がユーザに送達されたことを保証し得
る。たとえば、プランジャシール60自体は、薬剤容器から薬剤流体のコンプライアンス
プッシュを可能にする何らかの圧縮性を有し得る。
【0152】
たとえば、本発明の制御された送達駆動機構および/または薬剤ポンプは、ほぼすべて
の薬剤物質が薬剤チャンバ21の外に押し出されたことを保証するために、コンプライア
ンスプッシュをさらに可能にし得る。プランジャシール60自体は、薬剤容器から薬剤流
体のコンプライアンスプッシュを可能にする何らかの圧縮性を有し得る。たとえば、ポッ
プアウトプランジャシール、すなわち、初期の状態から変形可能なプランジャシールが用
いられる場合、プランジャシールは、薬剤容器から薬剤流体のコンプライアンスプッシュ
を提供するために変形または「ポップアウト」を生じ得る。さらにまたは代替的に、電気
機械式状態スイッチは、ユーザに投与終了を合図するために、電源および制御システム8
00の制御ユニット810に接触するか、接続するか、または別の方法で伝送を可能にす
るために利用され得る。この構成は、ユーザへの正確な投与終了表示をさらに可能にし得
る。
【0153】
図8Bを参照して論じられるように、駆動制御システム820は、制御ユニット810
および/またはモータ101に結合され得るさまざまなセンサ(たとえば、テザーセンサ
875、弁センサ877、圧力センサ870)を含み得る。センサは、薬剤ポンプ装置1
0のシステムおよびサブシステムのさまざまな要素のための信号または状態情報を提供す
るように構成され得る。1つの例において、制御ユニット810は、調整サブシステムま
たは機構500などのサブシステムを制御するために、センサから受信されるフィードバ
ック信号または状態情報を処理し得る。
【0154】
さらに、電源および制御システム800は、センサによって制御ユニットに提供される
フィードバックに基づいてユーザに通知を提供し得る。通知は、上記のように触覚的、視
覚的、および/または聴覚的なものであり得、2つ以上の信号または通知の種類が装置の
使用中にユーザに提供されるように冗長であり得る。たとえば、ユーザは、薬剤ポンプ装
置10が作動可能であり、薬剤送達の準備ができていることを示すために初期通知を提供
され得、たとえば、1つまたは複数のセンサによって提供されるフィードバック信号に基
づいて投与終了通知をさらに提供され得る、1つの例において、薬剤ポンプ装置10の適
切な位置に配置される圧力センサ870および/または弁センサ877は、ピストンがそ
の軸方向平行移動の端部に到達したとき、投与終了を検知し得る。したがって、次いで、
制御ユニット810は、センサから受信されたセンサ信号に基づいて投与終了通知を提供
し得る。
【0155】
さらにまたは代替的に、テザー525は、テザーセンサ875への、次に制御ユニット
820への状態フィードバックを提供するために構成される、電気接触、光マーキング、
および/または電気機械式ピンまたは窪みなどの1つまたは複数のセンサトリガを有し得
る。少なくとも1つの実施形態において、テザー525上に配置された最終状態トリガが
薬剤容器50のバレル58内のピストン110A、110Bおよびプランジャ60の軸方
向の移動の端部の最終位置に到達したことをテザーセンサ875が検出すると、投与終了
状態通知がユーザに提供され得る。テザーセンサ875は、たとえば、対応する電気接点
に接触する電気スイッチリーダ、対応する光マーキングを認識する光リーダ、または対応
するピン、穴、もしくはテザー525上の類似の態様に接触するように構成される機械式
または電気機械式リーダであり得る。
【0156】
1つの例において、状態トリガ(図示せず)は、薬剤送達中の所望の増分と同様に、薬
剤送達の開始と終了に対応する位置で読み取りまたは検出されるテザー525に沿って配
置され得る。
【0157】
いくつかの例において、駆動制御システム820が付勢部材122の解放によって(駆
動機構100の作動時)薬剤送達を開始し、その結果として得られる力がピストン110
A、110Bおよびプランジャシール60に加えられる。電源および制御システム800
は、調整機構500、歯車アセンブリ516、ウィンチドラム/歯車520を制御するこ
と、テザー525を解放すること、ならびに付勢部材122の拡張およびピストン110
A、110Bおよびプランジャシール60の軸方向平行移動を可能にすることにより、ユ
ーザへの薬剤送達の速度またはプロファイルを制御するように駆動制御システム820に
さらに指示する。これが生じると、テザー525の状態トリガはテザーセンサによって接
触または認識され、次いで、作動前、作動中、および作動後の駆動機構の状態は、電源お
よび制御システム800の制御ユニット810に中継されて、ユーザへのフィードバック
を提供できる。テザー525上に配置される状態トリガの数により、増分の状態表示の頻
度は任意で変化させ得る。上記のように、テザーセンサの範囲は、利用される状態トリガ
に応じて利用され得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、テザーセンサは、類似の種類の1つもしくは複数のセン
サ、および/または異なる種類のセンサの組合せを含み得る。1つの例において、張力が
テザー525に加えられ得る(たとえば、制御ユニット810から1つまたは複数のコマ
ンド信号に従って)。薬剤ポンプ装置10が投与終了に到達すると、テザー525は緩み
、それは、電気式または電気機械式スイッチなどのテザーセンサ875によって検出され
得る。テザーセンサ875は、電源および制御システム800の制御ユニット810にテ
ザー525の緩みを知らせ得る。
【0159】
さらに、歯車511Aおよび/もしくは歯車511B、または歯車アセンブリ516の
任意の他の歯車は、センサとともにエンコーダとして構成され得る。たとえば、センサ/
エンコーダの組合せ873は、歯車アセンブリ回転のフィードバックを提供するように構
成され得る。1つの例において、エンコーダ/センサ873は、ピストンの初期位置(た
とえば、テザー525に緩みがないときのピストン110の位置)に較正され得る。さら
に、この位置情報は、制御ユニット810に記録または記憶され得る。したがって、制御
ユニット810または電源および制御システム800は、位置フィードバック、投与終了
信号、およびたとえばセンサ/エンコーダ873cによってカウントされる予想されるモ
ータ回転数に到達する前のテザー525の緩みによる閉鎖などのエラー表示を受信し得る
。代替的にまたはさらに、駆動制御システム820は、調整機構500とともにテザー5
25を介して薬剤の流量を制御し得る。
【0160】
追加のおよび/または代替的な手段は、テザー525が緩むまたはテザー525が故障
した場合(たとえば、テザーの破損中)、薬物の流れを終了または抑制するために実装さ
れ得ることが理解されるであろう。たとえば、参照により本明細書に組み込まれる国際公
開第2016/145904号は、多くのそのような安全機構を記載している。
【0161】
図6A~6Bは、テザー525の故障中の安全止めのための1つのそのような実施形態
を示す。制動装置64、スリーブ62、およびプラグ68、また任意選択的に保持器66
がバレル58内に配設されている。付勢部材122は、スリーブ62に当接する。最初、
テザー525はプラグ68に係合され、それにより、テザー525はスリーブ62の動き
を抑制することができる。この抑制は、拡張の速度または付勢部材122のエネルギー放
出を制御する。テザー525が張力を受けているとき、プラグ68は制動装置64の遠位
面64Aに当接し、制動装置64の近位面64Bをスリーブ62に当接させる。この接触
、およびスリーブ62の先端部62Aのプロファイルにより、制動装置64は
図6Aに示
されているように、ほぼ円錐形の形状で保持される。この構成では、付勢部材122の拡
張またはエネルギー放出は抑制される。また、この円錐形の構成では、制動装置64の外
径は、バレル58の内径よりも小さく、そのため、制動装置の平行移動は薬剤容器の内壁
との接触によって抑制されない。また、制動装置64の一部は保持器66と接触する。制
動装置64はプラグ68およびスリーブ62によってこの構成で維持されるため、付勢部
材122の伸長によって生じるスリーブ62の平行移動は、保持器66に伝達される。同
様に、プランジャシール60と保持器66との接触により、プランジャシール60の平行
移動が生じる。
【0162】
図6Bに示されるように、テザー525の緩みが発生した場合またはテザー525が故
障した場合、プラグ68は、テザー525によって適当な位置にもはや保持されず、した
がってスリーブ62の動きをもはや抑制しなくなる。付勢部材122が伸長またはエネル
ギー放出すると、制動装置64は、比較的円錐形ではない、すなわちより平らな形状に変
形する。これは、この形状に変形するための制動装置64の自然な付勢により生じ得、ま
たは保持器66およびスリーブ62の両方と制動装置64との接触により生じ得る。制動
装置が変形すると、バレル58の内壁と接触するようになる。そのため、制動装置は、ス
リーブ62の平行移動を制限するくさびとして作用する。これは、さらなる平行移動を防
止することができ、または平行移動速度を制限するように作用することができる。任意選
択的に、テザーにおける張力を回復することでプラグが制動装置に接触し、制動装置が円
錐形状に戻るように変形し、それにより薬剤ポンプの通常の作動を回復し得る。
【0163】
図6A~6Bは、球形状を有するものとしてのプラグ、および円錐形状を有するものと
しての制動装置を示す。このような形状は、本明細書において単に例示の目的で使用され
、他の形状または構成が同一または類似の機能を実現するために容易に利用できる。たと
えば、プラグは、それ自体が円錐形状であり得、1つの実施形態において、制動装置が円
錐形状である場合、制動装置と接続するように形づくられる。このような構成において、
プラグの円錐形状は、制動装置の円錐形状を維持するのに役立ち、それにより制動装置の
外径とバレルの内径との間の接触を防止し、スリーブ62の軸方向の平行移動を制限する
(すなわち、制動力を加える)。別の実施形態において、制動装置64は、スリーブ62
のさらなる軸方向への平行移動を防止または制限するためにバレル58の内径に接触させ
るように、実質的に平坦な位置で星形状または他の構成を用いる可能性がある。スリーブ
62のさらなる平行移動なしに、付勢部材122は、さらに拡張またはエネルギー放出す
ることができず、次にユーザへのさらなる薬剤送達を防止または制限する。これは、ユー
ザへの薬剤の過剰送達または加速した送達を防止するための必要かつ有用な安全対策を提
供する。
【0164】
さらに、上述のように、テザー525の制御は、制御ユニット810によって提供され
得る。さらに、テザー525の緩みまたは故障に関する任意のフィードバックは、駆動制
御システム820および/または電源および制御システム800に提供され得る。
【0165】
上記のように、調整機構500は、その最初のエネルギー蓄積状態から付勢部材122
の拡張によって押し出され、ピストン110A、110Bおよびプランジャシール60の
自由運動に対する抵抗を提供する。調整機構500は、送達を駆動しなくてもよく、送達
運動のみを制御し得る。
【0166】
テザーは、ピストン110およびプランジャシール60の運動を制限または抑制し得る
が、送達のために力を加えなくてもよいことに留意されたい(
図2A~2Dおよび3A~
3D参照)。
図2A~2Dおよび3A~3Dの移行で示されるように、その最初のエネル
ギー蓄積状態から付勢部材122の拡張によって押し出される際のピストン110A、1
10Bおよびプランジャシール60の運動は、近位または第1の位置‘P’から遠位また
は第2の位置‘D’まで軸‘A’に沿った実線矢印の方向に示される。
【0167】
テザー525の制御は、
図4および
図5A~5Bを参照してさらに記載される。
図4は、少なくとも第1の実施形態による、最初のロックされた段階における多機能駆
動機構の斜視図を示す。最初に、テザー525は、ピストン110A、110B内の最初
のエネルギー蓄積位置における付勢部材122を保持し得る。電源および制御システム8
00が作動のための入力を受信すると、それは、駆動制御システムに多機能駆動機構10
0を開始するように命令する。1つの例において、駆動機構100は、付勢部材により、
ピストン110に、したがってテザー525に力を伝えるようにし得る。このテザー52
5上の力は、歯車アセンブリ516および調整機構500の動きを開始させる巻取りドラ
ム520上のトルクに付与する。
【0168】
さらに、
図3Cに示されているように、ピストン110および付勢部材122は、両方
とも最初にプランジャシール60の後方で圧縮され、エネルギー蓄積状態にある。付勢部
材122は、駆動ハウジング130の内部特徴とピストン110A、110Bの境界面1
10Cとの間の装置の作動まで、この状態で維持され得る。薬剤ポンプ10が作動し、駆
動機構100が作動するようにトリガされると、付勢部材122は、遠位方向(すなわち
、
図2A~2Dおよび
図3A~3Dに示される実線の矢印の方向)に軸方向への拡張(す
なわち、伸長)を可能にする。このような拡張により、付勢部材122を境界面110C
およびピストン110に作用させかつ遠位方向に平行移動させ、それにより、バレル58
の薬剤チャンバ21から薬剤流体を押し出すためにプランジャシール60を遠位方向に平
行移動する。
【0169】
上述のように、1つまたは複数のセンサが、(たとえば、テザー525上に配置される
状態トリガに基づいて)薬剤容器50のバレル58内のピストン110A、110Bおよ
びプランジャシール60の軸方向の移動の端部に接触して検出すると、投与終了状態表示
もユーザに提供され得る。状態トリガは、ユーザに増分の状態表示を提供する特定の容量
測定に対応する増分などのさまざまな増分でテザー525に沿って配置され得る。少なく
とも1つの実施形態において、センサは、テザー上の対応する光状態トリガを認識するよ
うに構成される光状態リーダである。当業者によって理解されるように、このような光状
態トリガは、光状態リーダによって認識可能なマーキングであり得る。別の実施形態にお
いて、状態リーダは、対応するピン、穴、またはテザー上の類似の態様に物理的に接触す
るように構成される機械式または電気機械式リーダである。電気接点は、接触または他に
対応する電気式センサによって認識される状態トリガとしてテザー上で同様に利用される
可能性がある。状態トリガは、薬剤送達中に所望の増分で読み取りまたは認識されるのと
同様に、薬剤送達の開始および終了に対応する位置で読み取りまたは認識されるテザー5
25に沿って配置され得る。示されるように、テザー525は、駆動機構ハウジング13
0および付勢部材122をほぼ軸方向に通過し、ピストン110A、110Bに接続して
、隣接して存在するピストン110A、110Bおよびプランジャシール60の軸方向平
行移動を制限する。センサは、さまざまな構成要素の制御された運動のフィードバックを
通知または提供するために、検出された情報(たとえば、投与終了情報、増分運動、制限
された運動など)を駆動制御システム820および/または電源および制御システム80
0に通信し得る。
【0170】
上記のように、さまざまなセンサが、直接、電源および制御システム800に、または
駆動制御システム820を介して結合され得、増分状態表示を提供するように構成され得
る。次いで、ユーザは、たとえば、歯車アセンブリ516の1つまたは複数の歯車の回転
移動の検出に基づいてそのような表示を通知され得る。たとえば、歯車アセンブリ516
が回転すると、センサは、歯車アセンブリの歯車の1つの上の1つまたは複数の対応する
状態トリガを読み取りまたは検出して、可変の速度が制御された送達駆動機構の作動前、
作動中、および作動後の増分の状態表示を提供し得る。多くのセンサが本発明の実施形態
内で利用され得る。
【0171】
1つの例において、駆動機構100は、歯車アセンブリの歯車の1つの歯と物理的に接
触し得る電気機械式センサを利用し得る。センサが、この例示的な実施形態では歯車の1
つの歯(または歯車上の穴、ピン、リッジ、マーキング、電気接点など)であり得る状態
またはセンサトリガによって接触されると、センサは、歯車の回転位置を測定または検出
して、ユーザへの状態表示または通知のために電源および制御システム800に信号を伝
送する。
【0172】
さらにまたは代替的に、駆動機構100は電気光学センサを利用し得る。光学センサは
、運動を検出して、状態信号を電源および制御システムに伝送するように構成され得る光
ビームを含み得る。たとえば、光学センサは、歯車アセンブリの歯車の1つの歯(または
歯車上の穴、ピン、リッジ、マーク、電気接点など)の運動を検出するように構成され得
る。別の実施形態において、センサは、歯車上で電気的接触を認識するように構成される
電気スイッチであり得る。これらの実施形態のいずれかにおいて、センサは、次に、信号
を電源および制御システムに伝送するために利用されて、制御された運動および/または
薬剤の送達についてのユーザへの通知フィードバックを提供し得る。
【0173】
当業者に理解されるように、電気光学式センサおよび対応するトリガ、電気機械式セン
サおよび対応するトリガ、ならびに/または電気式もしくは機械式センサおよび対応する
トリガは、ユーザ電源および制御システム800に増分状態表示を提供するために、本発
明の実施形態によってすべて実装され得る。本発明の駆動機構は歯車アセンブリおよび調
整機構に関連して記載されているが、構成の範囲は、当業者によって容易に理解されるよ
うに本発明の実施形態内で採用されることが許容され、可能であり得る。したがって、本
発明の実施形態は、本明細書で記載される特定の歯車アセンブリおよび調整機構に限定さ
れず、制御送達駆動機構および薬剤送達ポンプ内で用いるためにこのような機構の例示的
な実施形態として提供される。
【0174】
さらに、本発明の少なくとも1つの実施形態において、薬物の送達プロファイルは調整
可能である。たとえば、摂食、運動、睡眠などの特定の活動前、その間、またはその後に
薬物のボーラス注射を送達することが望ましいことがある。「ボーラス注射」は、送達さ
れる任意の測定された薬剤量であり、送達時間または持続時間とは無関係である場合が多
い。逆に、「基礎注射」は、多くの場合、送達の制御された速度および/または異なる時
間間隔での送達のさまざまな速度を有する薬剤送達プロファイルである。同様に、ユーザ
は、これらまたは他の時間での薬物の基礎送達速度を増加または減少させることを望み得
る。少なくとも1つの実施形態において、送達プロファイルは、この所望の薬剤送達を実
現するためにユーザによって調整可能であり得る。ユーザは、薬剤送達装置自体とやりと
りすることによって送達プロファイルを調整し得、またはスマートフォンなどの外部装置
を使用して調整し得る。たとえば、ユーザは、作動機構を移動させることによって送達プ
ロファイルを調整し得、または独立した装置一体型のもしくは外部の送達制御機構を用い
得る。
【0175】
本発明の別の実施形態において、送達プロファイルは、1つまたは複数の入力に基づい
て自動的に調整され得る。たとえば、送達プロファイルは、患者の活動レベル、心拍数、
血糖レベル、血圧などに基づいて調整され得る。上記のように、これらの測定値は、ボー
ラス注射の必要性、または基礎注射送達速度の増減もしくは基礎注射送達プロファイルに
対する調整の必要性を判定するために使用され得る。少なくとも1つの実施形態において
、これらの入力測定値は、装置自体によって監視され得る。さらにまたは代替的に、それ
らは、スマートフォン、スマートウォッチ、心拍数モニタ、ブドウ糖モニタ、血圧モニタ
、または同様のものなどの二次装置によって監視され得る。いくつかの実施形態において
、送達プロファイルは、これらの測定値に基づいて調整され得、ユーザの関与を必要とし
ない。二次装置によるモニタリングおよび/または制御の場合、二次装置および薬剤送達
装置は、互いに無線または有線通信し得る。この通信は、ブルートゥース(Blueto
oth(登録商標))、近距離通信、ワイファイ(Wi-Fi(登録商標))、または装
置相互接続性に関する当業者に知られている任意の他の方法によるものであり得る。
【0176】
しかしながら、好ましい実施形態において、モニタリング/調整機構は、ユーザに警告
および勧告し得、ユーザは、モニタリング/調整機構によって行われた勧告を開始/認可
または無視するためにアクティブ制御を有し得る。たとえば、測定値の1つまたは複数が
指定された閾値より大きいまたは小さい場合、装置は、可聴式の、視覚的な、または触覚
的な警告をユーザに発し得る。1つの例において、警告は、装置の振動によって提供され
得、それによりユーザに離散的な警告を提供する。さらにまたは代替的に、警告は、ユー
ザのスマートフォンまたは他の二次装置によって提供され得る。ユーザは、装置自体、コ
ンピュータ、スマートフォン、または他の装置上のコンピュータプログラムまたはウェブ
インタフェースにおいて測定値の現在の状態を見ることができ得る。コンピュータプログ
ラムまたはウェブインタフェースは、推奨された調整を送達プロファイルに提供し得る。
この情報に基づき、ユーザは、薬剤送達装置の送達速度を調整し得る。上記のように、ユ
ーザは、作動機構を移動させることにより、または独立した装置一体型のもしくは外部の
送達制御機構を用いることにより送達プロファイルを調整し得る。
【0177】
1つの実施形態において、送達プロファイルを調整するための信号に応じて、ユーザ入
力または上記の測定値のいずれかに基づき、電源および制御システムは、アクチュエータ
101の移動の速度を変化させ得る。アクチュエータ101の移動の速度の変化は、次に
、ユーザへの薬剤送達の速度を制御する調整機構500の回転速度の変化をもたらす。代
替的に、送達プロファイルは、薬剤容器および挿入機構を接続する導管による薬物の流路
の特性の変化によって変更され得る。変化は、薬剤容器から挿入機構への薬物の流れを制
限する流量制限器の導入、除去、または変更によってもたらされ得る。たとえば、流量制
限器は、流量制限器の入力および出力と流体連通して選択的に配置され得る複数の流路を
有し得る。異なる長さまたは断面の流路を設けることによって送達の速度を制御し得る。
他の実施形態において、送達プロファイルは、導管の衝撃の導入または除去によって変更
され得る。流路の衝撃が、導管を通る薬物の流れを遮断または減速し得、それによりユー
ザへの送達の速度を制御する。したがって、本発明の1つまたは複数の実施形態は、薬剤
容器からの薬物送達の速度に変化を生じさせることが可能であり、それにより多機能駆動
機構および/または薬剤送達装置に動的制御能力を提供する。
【0178】
ここで、所定時間における薬剤送達と関連する例示的な方法の詳細が
図9Aを参照して
提供される。方法900の1つまたは複数のステップは、電源および制御システム800
のアクティブパワーモードまたは非アクティブパワーモード中に実行され得る。方法90
0は、所定の待ち時間後、たとえば、薬剤ポンプ装置10によって調整された速度でユー
ザに薬剤を開始および送達することに関連するステップを含む。方法は、薬剤ポンプ装置
10と携帯デバイス11との間の通信のステップを含み得る。方法は、モニタリング期間
中、患者の健康に関連する情報(たとえば、ユーザの心拍数、ブドウ糖/インシュリン情
報など)を任意選択的に監視および受信し得る。特に、方法は、装置が作動された後、薬
剤ポンプ装置10のユーザにニードル挿入の作動(すなわち、NIM200の開始)を要
求する。ユーザによるニードル挿入機構の作動時、状態スイッチが作動され得、ニードル
挿入が完了したことを電源および制御システムに示す。ニードル挿入が作動されたとき、
薬剤ポンプ装置10は、次いで、遅延時間を追跡するためにタイマを開始し得る。代替的
に、タイマは、装置の作動によって開始され得る。
【0179】
さらにまた、方法は、所定の待ち時間が経過したかどうかを判定し、その判定に基づい
て薬剤送達プロセスの開始についてユーザに通知し得る。任意選択的に、電源および制御
システムは、センサ(たとえば、温度センサ、心拍数センサ、ブドウ糖モニタセンサ)か
ら受信される情報に基づいて薬剤の送達速度を管理し得る。送達速度の管理は、薬剤の効
果の最適化に基づき得る。代替的にまたはさらに、送達速度は、ユーザの不快感を低減お
よび/または最小化するように調整され得る。たとえば、比較的冷たい薬剤の送達は、ユ
ーザに痛みをもたらすことがある。したがって、薬剤および/または薬剤容器が低いとい
う信号を温度センサが制御ユニットに提供した場合、送達速度を低下させ得る。
【0180】
方法は、さらに、薬剤送達が終了したかどうかを判定し得、その判定に基づき、1つの
例において、薬剤送達終了情報を携帯デバイスにさらに伝送し得、または可聴式もしくは
視覚的な表示を薬剤送達装置から発し得る。携帯デバイスは、受信した情報を遠隔サーバ
(たとえば、クラウドサーバ)にさらに提供し得る。他のパラメータは、センサからの入
力に基づいて調整され得る。たとえば、投与終了センサの作動と、薬剤送達が完了したこ
とのユーザへの通知との間の遅延である。薬剤の粘度は薬剤の温度に依存することがあり
、より粘性の薬剤は、ユーザへの完全な送達にさらなる時間を必要とすることがある。し
たがって、制御ユニットは、送達の完了のユーザへの通知がどの程度遅延するかを判定す
るために、温度センサからの入力を使用し得る。制御ユニットは、たとえば、温度センサ
からの入力を、ローカルに格納したまたはリモートでアクセスする参照用テーブルと比較
し得る。代替的に、制御ユニットは、温度センサからの入力を、遅延の計算に使用される
式の入力として使用し得る。
【0181】
ここで、
図9Aを参照すると、示されるプロセスフローは、単に本発明の実施形態にす
ぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。たとえば、任意の方法またはプロセス
記述に示されるステップは、任意の順序で実行され得、提示される順序に限定されない。
さらにまた、以下の説明は、
図9Aに示されるステップだけでなく、本発明に関して記載
されるさまざまなシステム構成要素も適切に参照することが理解されるであろう。
【0182】
ここで、
図9Aを参照すると、ステップ901でポンプ装置10が作動される。薬剤ポ
ンプ装置10は、電源および制御システム800を動かすためにユーザからトリガ信号を
受信することを含み得る作動機構で構成され得る。1つの例において、ユーザは、オンオ
フスイッチおよび/またはトグルスイッチであり得る作動ボタンを押下することにより、
薬剤ポンプ装置10を作動させ得る。作動ボタンまたはスイッチは、ポンプハウジング1
2を通して、たとえば、上部ハウジングと下部ハウジングとの間の開口を通して配置され
得、それは直接または間接的に(たとえば、電気接点を介して)電源および制御システム
800に接触する。ユーザは、最初に薬剤ポンプ装置10を作動させるために、所定回数
(たとえば、1回の押下)、作動ボタンまたはスイッチを押下し得る。代替的に、ポンプ
装置10は、身体上センサの作動によって作動され得る。たとえば、ポンプ装置10は、
国際出願第PCT/US2016/021585号に記載されるような機械式または電気
式身体上センサを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、身体上センサの作動は
、電源および制御システムに電力を提供するための接続を完了する。代替的に、ポンプ装
置10は、そのパッケージの一部の除去と同時に作動されるように構成され得る。ポンプ
装置10は、パッケージの一部からのポンプ装置の取り出しを検出するように構成される
1つまたは複数のパッケージ状態センサを含み得る。パッケージ状態センサは、パッケー
ジの一部からのポンプ装置の取り出しの検出が可能な任意の形態をとり得る。たとえば、
パッケージ状態センサは、パッケージングされるときに接続または切断される、電源およ
び制御システム800上のピン相互接続の形態であり得る。パッケージからの取り出しは
、ピン相互接続の状態を接続から切断に変化させ得、または逆も同じである。この状態変
化によってタイマが開始され得る。代替的に、パッケージ状態センサは、パッケージの一
部からのポンプ装置10の取り出しによって引き起こされる照明条件の変化を検出するよ
うに構成される光学センサからなり得る。
【0183】
1つの例において、作動入力の受信時、短距離無線通信リンクが薬剤ポンプ装置10と
携帯デバイス11との間で開始され得る。1つの例において、無線通信リンクは、携帯デ
バイス11と薬剤ポンプ装置10との間のブルートゥース(Bluetooth(登録商
標))ペアリングに基づいて確立され得る。
【0184】
1つの例において、作動中および/または作動時、薬剤ポンプ装置10は発見モードで
あり得、そのモード中、携帯デバイス11は薬剤ポンプ装置10を発見することができ、
薬剤ポンプ装置10との無線通信を確立できる。代替的に、薬剤ポンプ装置10は、短バ
ースト信号またはピング(ping)を携帯デバイス11に送信することにより、携帯デ
バイス11との無線通信を開始して確立し得る。
【0185】
作動信号の受信時、ポンプ装置10は、装置10が作動されたことを示すためにユーザ
への通知またはフィードバックを提供し得る。たとえば、可聴音などの通知信号および/
またはLED照明などの視覚的な通知は、電源および制御システム800によって提供さ
れ得る。
【0186】
1つの例において、ユーザは、薬剤ポンプ装置10を作動させるために携帯デバイス1
1を用い得ることが意図されている。このような例において、作動前、薬剤ポンプ装置1
0は通信専用モードであり得、そのモード中、薬剤ポンプ装置10は、携帯デバイス11
との通信リンクを確立するように構成され得る(たとえば、ブルートゥース(Bluet
ooth(登録商標))ペアリング)。2つの装置間の通信リンク確立時、ユーザは、薬
剤ポンプ装置10を作動させるために作動/開始ボタン10bを選択または押下し得る。
【0187】
1つの例において、ハウジング12は、薬剤ポンプ装置10の作動の表示を提供し得る
1つまたは複数の状態表示器(たとえば、発光ダイオード(LED)および/またはスピ
ーカ)および窓を含み得る。作動機構、状態表示器、窓、およびそれらの組合せは、たと
えば、薬剤ポンプ10がユーザの身体上に配置されたときにユーザに見える側など、上部
ハウジングまたは下部ハウジング上に設けられ得る。ハウジング12は、本発明の他の構
成要素および実施形態を参照して以下にさらに詳細に記載される。
【0188】
さらにまたは代替的に、薬剤ポンプ装置10は、作動通知を携帯デバイス11にプッシ
ュし得る。この例において、モバイルアプリ10aは、携帯デバイス11に、携帯デバイ
ス11のスピーカまたはLED照明(図示せず)を介して通知を提供させ得る。代替的に
、ユーザは、作動の通知を受けるために通知/データボタン10dを選択し得る。
【0189】
薬剤ポンプ装置10および携帯デバイス11が、装置の作動に基づいて短距離無線通信
を介してリンクされるとき、携帯デバイス11は、薬剤ポンプ装置10の作動に関連する
通知および案内を提供し得る。1つの例において、携帯デバイス11は、ユーザの身体上
に薬剤ポンプ装置10を配置するための命令を提供し得る。
【0190】
装置作動ステップ中、薬剤ポンプ装置10は非アクティブパワーモードであり得る(す
なわち、電源および制御システム800は電源から電力を受け得、かつ駆動制御システム
820(すなわち、モータ101)は電源から電力を受けていなくてもよい)ことに留意
されたい。
【0191】
任意選択的に、ステップ903では、身体上センサ840が薬剤ポンプ装置10を作動
させるために使用されない場合、薬剤ポンプ装置10が作動された後、制御ユニット81
0は身体上皮膚センサ840の状態を判定し得る。たとえば、制御ユニット810は、薬
剤ポンプ装置10がユーザの皮膚または身体と接触しているかどうかを判定するために、
身体上皮膚センサ840および/または電気機械式皮膚センサからの信号を監視し得る。
身体上皮膚センサ840が所定の時間(たとえば、2分)にわたってユーザの皮膚と接触
していると制御ユニット810が判定すると、制御ユニット810はフラグを「オン」に
設定し得る。いくつかの実施形態において、ニードル挿入機構の作動は、身体上センサフ
ラグが「オン」のときにのみ可能である。これは、身体上センサ840が薬剤ポンプ装置
10を作動させるために使用されるかどうかの場合であり得る。
【0192】
身体上センサの状態チェックが薬剤ポンプ装置10のための安全対策を提供することが
理解されるであろう。特に、制御ユニット810は、フラグを「オン」に設定する前に、
かなりの時間にわたって身体上センサ表示信号を監視するため、薬剤ポンプ装置10とユ
ーザの皮膚との間の短時間の接触(数秒間)またはタッチ(たとえば、意図しないタッチ
)は、制御ユニット810によって無視され得、かつ/またはニードル挿入機構の作動を
可能にしなくてもよい。さらに、薬剤ポンプ装置10のさまざまな作動のためのユーザに
よる任意の続く作動ボタン押下は、身体上センサ840がオンであることの判定時に制御
ユニットによって認識されるのみでよい。
【0193】
ステップ904では、薬剤ポンプ装置10が所定の時間にわたってユーザの身体と接触
していないと制御ユニット810が判定した場合、薬剤ポンプ装置10は、薬剤送達プロ
セスを終了するために通知を提供し得る。さらにまたは代替的に、薬剤ポンプ装置10は
、モバイルアプリ10aを介してユーザに薬剤送達プロセスの終了または薬剤ポンプ装置
10の適切な配置を通知し得る。
【0194】
ステップ905では、薬剤ポンプ装置10は、ニードル挿入を作動させるためにユーザ
にNIM要求通知を提供する。たとえば、上記のように、要求通知は、ニードル挿入を作
動させるために所定の回数(たとえば、2回)作動ボタンを押下するために、可聴音(連
続的なもしくは変化する音)を介してかつ/または薬剤ポンプ装置10のLED照明を介
して提供され得る。少なくとも1つの実施形態において、要求通知は、ニードル挿入が所
定の時間内に作動されない場合にのみ提供される。たとえば、要求通知は、装置の作動の
2分後に初めて提供され得、ニードル挿入がこの期間の経過前に実行された場合、要求通
知は提供されない。
【0195】
別の例において、要求通知は、制御ユニット810が身体上皮膚センサ840の「オン
」状態を判定した後、携帯デバイス11を介して提供され得る。その例において、薬剤ポ
ンプモバイルアプリ10aは、携帯デバイス11に、ニードル挿入の作動のための要求通
知を提供させ得る。1つの例において、携帯デバイスは、ニードル挿入を作動させるため
に作動ボタンを押下(たとえば、2回)するためにユーザに要求通知を提供し得る。たと
えば、要求および/または通知は、テキストメッセージによって提供され得る。別の例に
おいて、ユーザは、通知ボタン10dを介して要求メッセージの通知の表示を受け得る。
ボタン10dの選択時、ユーザに要求通知メッセージが提供され得る。
【0196】
ステップ907では、制御ユニット810は、ユーザがニードル挿入の作動のために適
切な入力(たとえば、作動ボタンの押下)を提供したかどうかを判定し得る。
ステップ908では、ニードル作動が所定の時間内に作動されなかったと制御ユニット
810が判定したとき、方法は、薬剤送達プロセスを終了するためにユーザに通知し得る
。このような例において、制御ユニット810は、終了通知を提供する前に所定の時間に
わたって待機し得る。任意選択的に、このような実施形態において、続くニードル挿入の
開始は無効であり得る。
【0197】
ステップ907では、制御ユニットは、ユーザがニードル挿入作動を実行することによ
って(たとえば、要求メッセージに従って作動ボタンを押下することによって)要求通知
に応答したことを判定し得る。たとえば、ニードル挿入の作動は、NIM状態スイッチを
作動させる。NIM状態スイッチは、ニードル挿入機構の一部との接触によって作動され
得、同時にニードルまたはカニューレを標的に挿入する。たとえば、
図10に示されるよ
うに、NIM保持器610がニードル挿入機構200の作動を可能にするために回転する
とき、NIM保持器610の拡張部610Cは状態スイッチ620に接触し得る。次に、
方法はステップ909に進む。
【0198】
ユーザが作動させるニードル挿入作動は、これがユーザの身体へのニードル挿入の作動
および/または薬剤送達プロセスの開始についてユーザに気付かせるために有益であるこ
とに留意されたい。
【0199】
ステップ909では、電源および制御システム800は、薬剤ポンプ装置10を準備ま
たは用意し得る。1つの例において、ステップ907でユーザ作動を受信すると、電源お
よび制御システム800は、ニードル挿入機構200を作動させ得る。
【0200】
さらに、電源および制御システムは、SFPCサブシステム300を用意または開始し
得る。いくつかの実施形態において、薬剤が送達されている(たとえば、ステップ921
において)、または同時にニードル挿入が作動されているとき、SFPCは開始され得る
ことが意図されている。1つの例において、装置を用意している間、ピストンは、流体導
管を流体薬剤で満たすように制御されて、それにより最初にその中に存在した空気を追い
出し得る。
【0201】
ステップ901、903、904、907、および908中、電源および制御システム
は非アクティブパワーモードであり得る(すなわち、駆動制御システム820またはモー
タ101は、電源から電力を受けていなくてもよい)ことに留意されたい。
【0202】
ステップ911では、タイマユニット812が自動的に開始され得る。たとえば、制御
ユニット810は、待ち時間を開始し得るタイマユニット812を初期化し得る。任意選
択的に、待ち時間は、携帯デバイス11によって監視され得る。たとえば、タイマユニッ
ト812の開始時、制御ユニット810は、時間情報(たとえば、タイマが開始された時
間、薬剤送達前の残り時間など)を携帯デバイス11に通信し得る。ユーザは、(たとえ
ば、タイマボタン10cを押下することによって)アプリ10aを介してそのような時間
情報を受信し得る。
【0203】
制御ユニット810は、待ち時間または遅延時間を監視するために、タイマユニット8
12にアクセスし得るかまたはタイマユニット812を参照し得ることに留意されたい。
待ち時間は、薬剤送達の開始前に経過する必要がある時間に対応し得る。1つの例におい
て、待ち時間は、電源および制御システム800に予めプログラムされ得る。1つの例に
おいて、待ち時間は27時間であり得る。代替的に、待ち時間は、薬剤送達プロセスに対
する任意の他の好適な時間であり得る。
【0204】
さらに、待ち時間中、薬剤ポンプ装置10は、非アクティブパワーモードまたは遅延モ
ードであり得る。このような実施形態において、待ち時間中、薬剤ポンプ装置は断続的に
通信モードに入り得、そのモードでは通知をユーザに提供でき、タイマの状態を監視でき
る。1つの例において、薬剤ポンプ装置10は、待ち時間中、断続的に携帯デバイス11
と通信し得る。たとえば、制御ユニット810は、薬剤ポンプ装置10が作動中であるこ
とを示すために、薬剤ポンプ装置10の通信ユニット830を介して状態信号(たとえば
、ピング(ping)信号)を携帯デバイス11に送信し得る。さらに、薬剤ポンプ装置
10は、携帯デバイス11に(上記のような)時間情報に関連する情報を送信し得る。さ
らにまたは代替的に、待ち時間中、薬剤ポンプ装置10は、可聴式または視覚的な通知な
どの遅延モード表示器を断続的にユーザに提供し得る。
【0205】
ステップ913では、電源および制御システム800は、さまざまな内部および/また
は外部センサからのセンサ信号を監視し得る。たとえば、制御ユニット810は、薬剤の
温度を決定するために温度センサ880からの信号を監視し得る。1つの例において、制
御ユニット810は、薬剤が薬剤送達のための所定の最適な温度に到達したことを判定す
るために、検出された温度値を処理し得る。薬剤ポンプ装置10は、待ち時間中、薬剤の
温度情報を携帯デバイス11に送信し得る。携帯デバイス11は、待ち時間中、ユーザに
さらなる通知を提供するためにそのような受信データを処理し得る。ステップ913はま
た、制御ユニットによる身体上センサの連続的に監視することを含み得る。ポンプ装置1
0が患者の皮膚と接触していないことを身体上センサが制御システム800に示す場合、
制御システムはユーザに通知を提供し得る。
【0206】
任意選択的に、制御ユニット810は、携帯デバイス11に、ブドウ糖率モニタ11b
および心拍数モニタ11aなどの外部センサからの信号またはデータを監視し、かつさら
に捕捉データを処理することを要求し得る。
【0207】
1つの例において、薬剤ポンプ装置10からの要求信号に基づき、モバイルアプリ10
aは、薬剤送達プロセスのさまざまな作動を決定するために外部センサから受信したデー
タを処理し得る。たとえば、外部センサから受信したデータに基づき、モバイルアプリ1
0aは、患者に送達され得る薬剤の調整された薬剤送達速度を決定し得る。
【0208】
1つの例において、ユーザは、待ち時間中に体を動かし得、その間、モバイルアプリ1
0aは、心拍数モニタ11aと通信することにより、ユーザの心拍数を監視し得る。モバ
イルアプリ10aは、ユーザの心拍数の変化に基づいて薬剤送達速度を決定および調整調
節するためのアルゴリズムを実行し得る。さらにまたは代替的に、モバイルアプリ10a
は、ユーザのブドウ糖率の変化に基づいて薬剤送達速度を決定および調整するためにブド
ウ糖率モニタ11bと通信し得る。したがって、モバイルアプリ10aは、調整された速
度で薬剤を送達する方法に関する情報を提供する通知および命令を提供し得る。1つの例
において、ユーザは、通知ボタン10dを介してそのような情報にアクセスし得る。たと
えば、通知は、調整された速度で薬剤を送達するために、ユーザが薬剤ポンプ装置10上
の作動ボタンを押下する必要がある回数を含み得る。薬剤送達期間中、薬剤ポンプ装置1
0の制御ユニット810は、そのような特定の作動信号(たとえば、作動ボタンの押下の
数)を受信すると、調整された送達速度で薬剤を送達するために、調整された送達速度情
報を駆動機構情報(たとえば、さまざまな歯車アセンブリの歯車比、モータ101の回転
速度など)に変換するために記憶装置813を参照し得る。たとえば、制御ユニット81
0は、駆動制御システム820を介して調整機構500または流量制御サブシステム82
5を制御し得る。
【0209】
任意選択的に、別の例において、携帯デバイス11は、調整された薬剤送達速度を薬剤
ポンプ装置10に無線通信し得、薬剤ポンプ装置10は、所定の待ち時間が終わると、調
整された速度で薬剤を自動的に送達し得る。その例において、ユーザは、薬剤の送達速度
を調整するために作動ボタンを押下する必要がなくてもよい。
【0210】
さらに別の例において、薬剤のボーラス送達のために、薬剤ポンプ装置10は送達速度
を調整しなくてもよい。その例において、制御ユニット810は、待ち時間中に薬剤の温
度を任意選択的に監視し得、待ち時間が経過した後、薬剤をユーザに送達し得る。任意選
択的に、待ち時間が経過した後、薬剤および/または薬剤容器の温度が所定値より低い場
合、薬剤送達はさらに遅延され得る。さらに、モバイルアプリ10aは、薬剤の送達前に
ユーザに通知を提供し得る。
【0211】
ステップ915では、薬剤ポンプ装置10は、待ち時間が経過したかどうか、および/
または待ち時間の終了が近いかどうかを判定し得る、たとえば、制御ユニット810は、
タイマユニット812の参照時に判定を実行し得る。
【0212】
1つの例において、制御ユニット810は、待ち時間が経過したこと、および/または
待ち時間の終了が近いことを判定し得る。次に、方法はステップ917に進み得る。
しかしながら、待ち時間が経過していないおよび/または待ち時間に近くないと判定さ
れた場合(たとえば、制御ユニット810が待ち時間の終了の4時間前にチェックを実行
した場合)、方法はステップ913に戻る。
【0213】
1つの例において、ボーラス送達プロセスについて、ステップ917では、薬剤ポンプ
装置10は、待ち時間が経過したおよび/または待ち時間の終了が近づいていることを示
すためにユーザに通知を提供する。通知は、薬剤送達が開始されることをさらに示し得る
。たとえば、上記のように、通知は、可聴音(連続的なまたは変化する音)を介しておよ
び/または薬剤ポンプ装置10のLED照明を介して提供され得る。別の例において、通
知は、携帯デバイス11を介して提供され得る。上記のように、携帯デバイス10は、薬
剤ポンプ装置10から表示信号を受信し得、または薬剤が送達されることを決定し得る。
したがって、携帯デバイス11は、次いでユーザに適切な通知を提供し得る。
【0214】
別の例において、
図9Bに示されるように、薬剤装置は、ユーザが、待ち時間の完了の
近くでまたはその直後に薬剤送達を開始する選択肢を有するように構成され得る。このよ
うなシナリオにおいて、通知は、所定時間が経過する直前(たとえば、27時間の待ち時
間の約5分前)に提供され得る。これは、薬剤送達プロセスを準備して、開始する十分な
時間をユーザに提供できる。たとえば、所定の待ち時間が経過しようとしているとき、ユ
ーザは社内会議に出席し得、待ち時間に気付かなくてもよい。したがって、ユーザが待ち
時間の終了前にアラームまたは通知警告を受信した場合、ユーザは、薬剤送達を開始する
ために社内会議の席を外す十分な時間を有することができ、または単にミーティング中に
薬剤送達を開始し得る。
図9Bに示されるように、ステップ940では、ポンプ装置は、
ユーザがステップ942で流体の送達を作動させたかどうかを監視する。ユーザが開始時
間内に作動させていない場合、電源および制御システムは送達を自動的に開始し得る。
【0215】
別の例において、通知は、待ち時間終了後またはその近くでポンプ装置10または携帯
デバイス11を介して提供され得る。その例において、薬剤ポンプモバイルアプリ10a
は、上記のように携帯デバイス11に通知を提供させ得る。1つの例において、モバイル
アプリ10aは、(監視した外部センサデータに基づいて)薬剤送達の開始を準備するた
めの要求メッセージをユーザにさらに提供し得る。たとえば、要求および/または通知は
、テキストメッセージによって提供され得る。別の例において、ユーザは、通知ボタン1
0dを介して要求メッセージの通知の表示を受け得る。ボタン10dの選択時、ユーザに
要求および/または通知メッセージが提供され得る。代替的にまたはさらに、ポンプ装置
は、可聴音、視覚的な表示、または他の手段により、待ち時間の切れたユーザに通知を提
供し得る。
【0216】
携帯薬剤ポンプアプリ10aは待ち時間を追跡し得ることが意図されている。たとえば
、ユーザは、薬剤送達前の待ち時間についてどの程度の時間が残っているか、またはどの
程度の時間が経過したかなどの情報を収集するためにタイマボタン10cを選択し得る。
いくつかの例において、その情報に基づき、ユーザは薬剤送達プロセスを終了し得、また
は情報を薬剤ポンプ装置10に送信し得る。
【0217】
上記のように、通知は、ユーザへの調整された薬剤送達速度の送達に関連する命令をさ
らに提供し得る。電源および制御システム800は、ユーザが所定時間内に薬剤送達の開
始を作動させたかどうかを判定し得る。たとえば、制御ユニット810は、通知後、(た
とえば、約2分以内に)作動ボタンが押下されたかどうかを判定し得る。
【0218】
ユーザが、調整された速度で所定時間内に薬剤送達プロセスを開始するための任意の入
力を提供しなかったと薬剤ポンプ装置10が判定した場合、制御ユニット810は薬剤送
達プロセスを終了し得る。しかしながら、通知受信時、ユーザが所定時間内に作動のため
に入力を提供した場合、次に、方法はステップ919に進み、送達モードに入る。別の実
施形態において、薬剤ポンプ装置10は、ユーザへの通知の提供の有無にかかわらず、所
定時間の完了時にステップ919に自動的に進む。送達モードの間、電源および制御シス
テムは、薬剤の送達が進行中であることをユーザに通知するために、可聴式または視覚的
な表示器などの1つまたは複数の送達モード表示器を提供し得る。
【0219】
任意選択的に、ポンプ装置10は、
図9Bに示されるように、ユーザが待ち時間の完了
後のいくらかの所定時間内に薬剤送達を開始する選択肢を有するように構成され得る。ユ
ーザがこの所定時間内に薬剤送達を開始しない場合、ポンプ装置は、所定時間終了時に薬
剤送達を自動的に開始し得る。
【0220】
ステップ919では、電源および制御システム800は、所定の待ち時間後に薬剤を送
達するために、駆動制御システム820に命令を提供して薬剤ポンプ装置10のさまざま
な駆動機構を制御し得る。
【0221】
たとえば、電源および制御システム800の制御ユニットは、決定した送達速度に従っ
て薬剤の送達を可能にするために、送達速度情報を駆動制御システムのさまざまな構成要
素のための設定および構成に変換し得る。上記のように、変換は、参照用テーブルおよび
/または記憶装置に記憶されたデータベースを参照することを含み得る。代替的に、電源
および制御システム800は、送達速度情報を駆動制御システム820に送信し得、駆動
制御システムの別の制御装置(図示せず)は、上記のように、決定した送達速度に従って
薬剤の送達を可能にするために変換を実行し得る。
【0222】
任意選択的に、ステップ919では、電源および制御システム800は、外部センサか
ら受信した処理されたデータに基づいて(たとえば、ステップ913で記載されるような
ユーザの心拍数および/またはブドウ糖率情報に基づいて)薬剤送達速度を適切に変える
(たとえば、増加または減少させる)ことができる。
【0223】
したがって、制御ユニット810は、駆動制御システム820に(ユーザ作動に関係な
く)薬剤送達プロセスを開始するように指示し得る。次いで、駆動制御システムは、駆動
機構100を介して制御することによって薬剤を送達し得る。
【0224】
いくつかの例において、電源および制御システム800は、所定の待ち時間が経過した
後、駆動制御システムに挿入機構200を開始し、薬剤送達中、薬剤容器と無菌経路との
間の接続を作成するように指示し得ることが意図されている。このようなシナリオにおい
て、所定時間経過後、ユーザはNIM作動のための入力を提供し得る。別の実施形態にお
いて、NIMは、薬剤送達の開始前に電源および制御システム800によって作動される
。
【0225】
ステップ921では、電源および制御システム800は、薬剤の送達が終わったかどう
かを判定し得る。たとえば、モータ101は、テザーセンサ875、弁センサ877、お
よび/または圧力センサ870から、薬剤の投与終了を示す信号を受信し得る。したがっ
て、駆動制御システム820は、次に、制御ユニット810に投与終了情報を通信し得る
。次に、方法は、ユーザに送達終了表示器を提供するためにステップ923に進む。
【0226】
薬剤が送達されたと薬剤ポンプ装置10が判定したとき、電源および制御システム80
0は、上記のように、可聴音および/またはLED照明を介して通知を提供し得る。さら
におよび/または代替的に、投与終了情報の通知は、薬剤ポンプモバイルアプリ10aを
介して薬剤ポンプ装置10によって提供され得る。
【0227】
1つの例において、薬剤ポンプ装置10は、薬剤が送達されなかったまたは所定時間中
に投与が終了しなかったことを判定し得る。そのような場合、薬剤ポンプ装置10は、(
たとえば、LED照明を介しておよび/または薬剤ポンプモバイルアプリ10aを介して
)エラー通知を提供し得、次に、方法はステップ919に戻り得る。代替的に、投与終了
信号が予想送達時間内に受信されない場合、電源および制御システム800は、薬剤送達
を終了し得、および/またはNIMの後退を作動させ得る。
【0228】
ステップ923では、薬剤の投与が終了した(すなわち、薬剤が所定時間内におよび/
または所望の送達速度に従って送達された)と判定したとき、薬剤ポンプ装置10は、薬
剤ポンプモバイルアプリ10aにさまざまな送達終了情報を通信し得る。次いで、モバイ
ルアプリ10aは、携帯デバイス11に、そのような情報をさまざまな実体(たとえば、
ヘルスケア提供者、健康保険提供者、薬剤製造業者など)の1つまたは複数の遠隔サーバ
または記憶装置11cに伝送させ得る。1つの例において、送達終了情報に関連する薬剤
ポンプアプリ10aに記憶されるデータは、セルラネットワークインタフェースを介して
クラウドサーバ11cに伝送され得る。さらに、送達終了情報は、投与終了の評価、薬剤
送達の合計時間、送達速度情報などを含むが、これらに限定されるものでなくてもよい。
1つの例において、ユーザは、そのような情報を転送するために、モバイルアプリ10a
のボタン10dを選択し得る。1つの例において、モバイルアプリ10aは、さまざまな
実体に送達終了情報を選択的に転送するように構成され得る。送達終了情報および/また
は薬剤送達に関連する任意の他の情報は、クラウドサーバ11cへのそのような情報の転
送時に恒久的に記憶されなくてもよいことが意図されている。
【0229】
図9Bおよび9Cは、ポンプ装置10および/または携帯デバイス11の作動の代替的
な方法を示す。
図9Bおよび9Cに示される方法において、装置の作動は、所定の待ち時
間の開始をマークするためにタイマを開始する。さらに、装置作動は、NIM作動プロセ
スの第1のステップも開始する。図に示されるように、NIM作動プロセスの第1のステ
ップは、身体上センサが標的の存在を検出したかどうかを判定することであり得る。標的
が要求された時間帯に検出された場合、ステップ930では、装置はNIM作動を準備し
得る。NIM作動のための装置の処理は、駆動機構の1つまたは複数、調整機構、および
ユーザがNIMを作動できるような作動機構を構成することを含み得る。装置がNIM作
動の準備をした後、ユーザは、NIMを作動させるために通知され得る。通知は、ポンプ
装置からの可聴式、視覚的、または触覚的フィードバックの形態であり得る。代替的にま
たはさらに、通知は携帯デバイスによって提供され得る。
【0230】
通知後、ユーザは、流体経路を標的に挿入するためにNIMを作動させ得る。たとえば
、ユーザは、ポンプ装置の作動機構または別の機構を押下するかまたは作動させることに
よってNIMを作動させ得る。NIMの作動は、本明細書に記載されるように、所定の待
ち時間を監視し始めるためにタイマを開始し得る。
【0231】
図9Bに示されるように、所定の待ち時間が経過した後、ユーザは、ポンプ装置が薬剤
送達を開始するために作動され得ることを通知され得る。ユーザは、所定の「ユーザ開始
時間」内に薬剤送達を開始でき得る。ユーザ開始時間が経過した後、ポンプ装置は薬剤送
達を自動的に開始し得る。ユーザは、任意選択的に、薬剤送達の開始を通知され得る。通
知は、ポンプ装置による視覚的な、可聴式の、もしくは触覚的な表示の形態であり得、ま
たは携帯デバイスによる通知であり得る。
【0232】
図9Cに示される方法において、ポンプ装置10は、待ち時間が経過した後、薬剤送達
が自動的に開始されるように構成される。ステップ944では、ユーザは、薬剤送達が開
始されるまたは開始されたことを通知され得る。ユーザは、ポンプ装置から可聴式の、視
覚的な、または触覚的な通知によって通知され得る。代替的に、ユーザは携帯デバイスに
よって通知され得る。
【0233】
制御送達駆動機構100、薬剤送達ポンプ10、または個々の構成要素のいずれかのア
センブリおよび/または製造は、当技術分野におけるいくつかの知られている材料および
方法論を利用し得る。たとえば、イソプロピルアルコールおよびヘキサンなどのいくつか
の知られている洗浄液は、構成要素および/または装置を洗浄するために使用され得る。
いくつかの知られている粘着剤または接着剤は、製造工程において同様に用いられ得る。
さらに、知られているシリコン処理および/または潤滑流体ならびにプロセスは、構成要
素および装置の製造中に用いられ得る。さらにまた、知られている殺菌プロセスは、最終
生成物が無菌であることを保証するために製造またはアセンブリの段階の1つまたは複数
で用いられ得る。
【0234】
駆動機構は、いくつかの方法論において組み立てられ得る。組立の1つの方法では、薬
剤容器50は最初に組み立てられ、ユーザに送達するために流体が充填され得る。薬剤容
器50は、キャップ52、穿刺可能なシール56、バレル58、およびプランジャシール
60を含む。穿刺可能なシール56は、バレル58の先端部のキャップ52とバレル58
との間で固定的に係合され得る。バレル58は、バレル58の基端部からプランジャシー
ル60を挿入する前に、開いた基端部を介して薬剤流体が充填され得る。任意の接続取付
部54は、穿刺可能なシール56の先端部に取り付けられ得る。接続取付部54は、流体
経路接続部の穿刺部材の挿入を薬剤容器50のバレル58内へと誘導し得る。薬剤容器5
0は、次に駆動ハウジング130の先端部に取り付けられ得る。
【0235】
1つまたは複数の駆動付勢部材122は、駆動ハウジング130の先端部に挿入され得
る。任意選択的に、カバースリーブ140は駆動ハウジング130の先端部に挿入され、
実質的に付勢部材122を覆い得る。ピストンは、付勢部材122の軸方向の通過路内に
少なくとも部分的に存在するように駆動ハウジング130の先端部に挿入され得、付勢部
材122は、付勢部材122の先端部のピストン110A、110Bのピストンの境界面
110Cと接触することができる。任意選択のカバースリーブ140は、付勢部材122
を取り囲み、ピストン110A、110Bのピストン境界面110Cに接触するように利
用され得る。ピストン110A、110Bおよび駆動付勢部材122、ならびに任意選択
のカバースリーブ140は、駆動ハウジング130に圧縮され得る。このようなアセンブ
リは最初に圧縮され、エネルギー蓄積状態で駆動付勢部材122を配置し、好ましくは、
バレル58の基端部内のプランジャシール60の近位面に接触してピストン境界面110
Cに配置する。ピストン、ピストン付勢部材、接触スリーブ、および任意の構成要素は、
薬剤容器50の取付けまたは搭載前に駆動ハウジング130内で圧縮され、作動準備状態
にロックされ得る。テザー525は、ピストン110A、110Bの基端部に事前に接続
され、付勢部材122および駆動機構130の軸方向の開口を通過し、次に調整機構50
0のウィンチドラム/歯車520の周りを包まれたテザー525の一方の端部と薬剤ポン
プ内部を通って巻回される。
【0236】
流体経路接続部、特に流体経路接続部の無菌スリーブは、薬剤容器のキャップおよび/
または穿刺可能なシールに接続され得る。流体経路接続部の他端には流体管が接続され得
、流体管自体が挿入機構に接続され、流体経路は、開かれるか、接続されるか、または他
に有効化されるときに、ユーザの身体への薬剤送達のために薬剤容器、流体通路接続部、
流体管、挿入機構から直接延びてカニューレを通る。流体流れのための経路を構成する構
成要素がここで組み立てられる。これらの構成要素は、多くの知られている方法によって
滅菌され得、その後、
図1Bに示されるように、薬剤ポンプのアセンブリプラットフォー
ムまたはハウジングに装着固定されるかまたは取り外し可能に装着され得る。
【0237】
本発明の広さおよび範囲内にありつつも、駆動機構100または薬剤ポンプ10の特定
の任意の標準的な構成要素または変形形態が意図される。たとえば、実施形態は、本発明
のモータまたはソレノイド、駆動機構、および薬剤ポンプに電力を供給するために利用さ
れる1つまたは複数の電池を含み得る。当技術分野で知られているバッテリの範囲は、こ
の目的のために利用し得る。さらに、上部または下部のハウジングは、任意選択的に1つ
または複数の透明または半透明の窓18を含み、ユーザが薬剤ポンプ10の作動を閲覧し
、または薬剤投与が終了したことを確認し得る。同様に、薬剤ポンプ10は、ハウジング
12の底面上の接着パッチ26およびパッチライナ28を含み得る。接着パッチ26は、
薬剤用量の送達のためにユーザの身体に薬剤ポンプ10を接着するために利用され得る。
当業者であれば容易に分かるように、接着パッチ26は、薬剤ポンプをユーザの身体に接
着するための接着面を有し得る。接着パッチ26の接着面は、当初、非粘着性のパッチラ
イナ28により覆われ得、このパッチライナ28は、薬剤ポンプ10をユーザの身体と接
触させて配置する前に接着パッチ26から除去される。パッチライナ28の除去は、挿入
機構200のシール膜254をさらに除去して、(
図1Cに示されるように)薬剤送達の
ためにユーザの身体へ挿入機構を開放し得る。
【0238】
同様に、制御された送達駆動機構100および薬剤ポンプ10の構成要素の1つまたは
複数は、本発明の広さおよび範囲内の機能を残しつつ変更され得る。たとえば、前述した
ように、薬剤ポンプ10のハウジングが2つの別の構成要素である上部ハウジング12A
および下部ハウジング12Bとして示されているが、これらの構成要素は単一の統合され
た構成要素であり得る。上述のように、接着剤、粘着剤、または他の知られている材料ま
たは方法は、制御された送達駆動機構および/または薬剤ポンプの1つまたは複数の構成
要素を互いに接合するために利用され得る。代替的に、制御された送達駆動機構および/
または薬剤ポンプの1つまたは複数の構成要素は統合された構成要素であり得る。たとえ
ば、上部ハウジングおよび下部ハウジングは、接着剤または粘着剤、ねじ嵌め接続、締ま
り嵌め、融着接合、溶接、超音波溶接などによってともに接合された別の構成要素であり
得、または上部ハウジングおよび下部ハウジングは単一の統合された構成要素であり得る
。このような標準的な構成要素および機能の変化形態は、当業者であれば明らかであり、
したがって本発明の広さおよび範囲内である。
【0239】
本明細書に開示された制御された送達駆動機構および薬剤ポンプは、薬剤容器から自動
的に薬剤を送達するために効率的で容易に操作されるシステムを提供することが上記の説
明から明らかである。本明細書に記載された実施形態は、薬剤物質の制御された送達のた
めの駆動機構、およびそのような制御された送達駆動機構を組み込む薬剤送達ポンプを提
供する。本発明の駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出すために利用されるプラン
ジャシールの自由な軸方向の平行移動を計測するか、それに対する抵抗を提供するか、ま
たは他にそれを防止することによって薬剤送達の速度を制御し、その結果、さまざまな速
度および/または送達プロファイルで薬剤物質を送達することを可能にする。さらに、本
発明の駆動機構は、薬剤送達前、薬剤送達中、および薬剤送達後にユーザにフィードバッ
クを提供する一体型の状態表示機能を提供し得る。たとえば、ユーザは、最初のフィード
バックを提供されて、システムが作動可能であり、薬剤送達の準備ができていることを識
別し得る。作動時、システムは、次にユーザに1つまたは複数の薬剤送達状態表示を提供
し得る。薬剤送達の完了時、駆動機構および薬剤ポンプは投与終了表示を提供し得る。本
発明の制御された送達駆動機構は、ユーザによって直接または間接的に作動され得る。さ
らにまた、本発明の制御された送達駆動機構および薬剤ポンプの構成は、装置の貯蔵中、
輸送中、および作動中の流体経路の無菌性を維持する。薬剤流体が装置内を移動する経路
が完全に無菌状態で維持されるため、これらの構成要素のみが製造工程中に滅菌される必
要がある。このような構成要素は、駆動機構の薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管
、および挿入機構を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態において、電源および制御
システム、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、作動機構、ハウジング、および薬
剤ポンプの他の構成要素は、滅菌される必要がない。これは、装置の生産性を著しく上げ
、関連するアセンブリの経費を低減する。したがって、本発明の装置は、アセンブリの完
成時に最終の滅菌を必要としない。
【0240】
薬剤ポンプの製造は、制御された送達駆動機構および薬剤容器の両方に、別々に、また
は組み合わされた構成要素としてのいずれかで薬剤ポンプのアセンブリプラットフォーム
またはハウジングに取り付けるステップを含む。製造方法は、流体経路接続日、薬剤容器
、および挿入機構をアセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り付けることをさ
らに含む。上記のように、電源および制御システム、作動機構、ならびに制御アームを含
む薬剤ポンプの追加の構成要素は、アセンブリプラットフォームまたはハウジングに取り
付けられるか、事前形成されるか、または事前に組み立てられ得る。接着パッチおよびパ
ッチライナは、装置の作動中にユーザに接触する薬剤ポンプのハウジングの表面に取り付
けられ得る。
【0241】
薬剤ポンプの動作方法は、ユーザによって作動機構を作動させるステップと、制御アー
ムを変位させて挿入機構を始動させるステップと、電源および制御システムを始動して、
制御された送達駆動機構を作動させ、制御された速度または薬剤送達のプロファイルに従
って薬剤ポンプを介して流体薬剤を流すステップとを含む。本方法は、作動機構を作動さ
せる前に任意選択の身体上センサを係合させるステップをさらに含み得る。本方法は、同
様に、薬剤容器への流体経路接続部間の接続を確立するステップを含み得る。さらにまた
、作動方法は、薬剤容器内のピストンに作用する付勢部材の拡張により、制御された送達
駆動機構内のプランジャシールを平行移動して、ユーザの身体に流体薬剤を送達するため
に、薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、および挿入機構を介して流体薬剤を押し
出すことを含み得、テザーの分配を抑制するように作用する調整機構がピストンの自由な
軸方向平行移動を計測するために利用される。駆動機構および薬剤ポンプの作動方法は、
上記のように、
図2A~2Dおよび
図3A~3Dを参照するとよりよく理解することがで
きる。
【0242】
本明細書を通して、目的は、本発明を任意の1つの実施形態または特定の特徴の集合に
限定することなく、本発明の好適な実施形態を説明することである。記載され、図示され
た実施形態に対するさまざまな変更形態および修正形態が、本発明から逸脱することなく
なされ得る。本明細書中に引用した各特許および科学文献、コンピュータプログラム、な
らびにアルゴリズムの開示は、その全体が参照により組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
流体を含む薬剤容器と、
駆動システムと、
電源および制御システムと、
タイマと、
ユーザによる機械的作動に適合されるニードル挿入機構と、
前記ニードル挿入機構の作動後、前記ニードル挿入機構の一部との接触によって作動されるように構成される状態スイッチと、
を含み、
前記ニードル挿入機構の作動により、カニューレが標的に挿入され、かつ前記状態スイッチが作動されて、前記電源および制御システムが、所定時間にわたって遅延モードに入り、さらに、前記所定時間の完了時、前記電源および制御システムが送達モードに入り、前記送達モードでは、前記電源および制御システムが、前記駆動システムに、前記薬剤容器からの前記流体を、前記ニードル挿入機構を通して標的に送達させる、薬剤送達装置。
【請求項2】
前記ニードル挿入機構が回転ニードル挿入機構であり、および前記ニードル挿入機構の一部の回転が前記状態スイッチとの接触をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
温度センサをさらに含む、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記温度センサは、前記薬剤容器の温度を検出するように構成されている、請求項3に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
薬剤ポンプ装置との無線接続を確立するように構成された通信ユニットをさらに含む、請求項1のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記所定時間は、27時間よりも短い、請求項1のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記所定時間は、好ましくは、24時間と27時間との間である、請求項6のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
身体上センサをさらに含む、請求項1のいずれか1項に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記身体上センサは、前記薬剤送達装置が前記標的に近いことを検出するように構成されている、請求項8に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記ニードル挿入機構が前記電源および制御システムの作動後に所定時間内に作動されない場合、前記電源および制御システムがニードル挿入機構要求通知の作動をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記遅延モードの間、前記電源および制御システムが、前記電源および制御システムが遅延モード表示器を提供する通信モードに断続的に入る、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記遅延モード表示器が視覚的な表示または可聴式の表示である、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
前記駆動システムが前記流体のボーラス送達をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記電源および制御システムが前記流体の送達の完了時に送達終了表示器の作動をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項15】
前記電源および制御システムが、前記送達モードに入ると、送達モード表示器の作動をもたらす、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項16】
送達モード表示器が視覚的な表示または可聴式の表示である、請求項1に記載の薬剤送達装置。