(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024166
(43)【公開日】2022-02-08
(54)【発明の名称】光検出装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0232 20140101AFI20220201BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220201BHJP
G02F 1/1368 20060101ALN20220201BHJP
【FI】
H01L31/02 D
G02F1/13 505
G02F1/1368
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196178
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2017048581の分割
【原出願日】2017-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 貴之
(72)【発明者】
【氏名】矢田 竜也
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(57)【要約】
【課題】小型且つ低コストの光検出装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの光センサを備えたセンサ部と、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、前記光センサと対向する第1レンズを前記液晶層に形成するための電圧を印加する第1制御電極及び第2制御電極と、を備えた液晶素子と、前記センサ部及び前記液晶素子を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光センサを有するセンサ部と、
第1液晶素子と、
前記センサ部と前記第1液晶素子との間に設けられた第2液晶素子と、を備えた検出装置であって、
前記第1液晶素子は、第1液晶層に電圧を印加することで前記第1液晶層にレンズを形成し、
前記第2液晶素子は、複数の電極を有する第1基板と、電極を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた第2液晶層と、を有し、
前記複数の電極のそれぞれに電圧を印加することにより、前記第2液晶層に変調部と無変調部と形成する、検出装置。
【請求項2】
さらに、前記センサ部、前記第1液晶素子、及び、前記第2液晶素子を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の光センサからの出力をそれぞれ測定する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光センサからの出力に基づいて前記第1液晶素子を制御し、前記変調部に入射光を集束させる前記レンズを形成する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記光センサからの出力に基づいて前記第2液晶素子を制御し、前記レンズが入射光を集束させる位置に前記変調部を形成する、請求項2または請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、断面視において前記第1液晶素子の法線に関して線対称形状の前記レンズを前記第1液晶層に形成するための第1電圧、及び、断面視において前記第1液晶素子の法線に関して非対称形状の前記レンズを前記第1液晶層に形成するための第2電圧を記憶した記憶部をさらに備えた、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光検出装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、拡散制御液晶パネルと、液晶表示パネルとを備えた映像表示装置が提案されている。拡散制御液晶パネルは、特定方向に指向性を有する光のうち、所定方向に振動する直線偏光を拡散するレンズ形成状態と、光の指向性を維持して透過させる非レンズ形成状態とを切り替えることができる。レンズ形成状態では、液晶層に電圧を印加することによって微小な液晶レンズ部が複数形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、小型且つ低コストの光検出装置及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
少なくとも1つの光センサを備えたセンサ部と、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、前記光センサと対向する第1レンズを前記液晶層に形成するための電圧を印加する第1制御電極及び第2制御電極と、を備えた液晶素子と、前記センサ部及び前記液晶素子を制御する制御部と、を備えた光検出装置が提供される。
【0006】
本実施形態によれば、
光センサを備えた第1基板と、前記光センサと対向する開口部を有する遮光体を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、前記光センサと前記開口部との間の第1領域、及び、前記第1領域とは異なる第2領域を有する液晶層と、前記第1領域に第1レンズを形成するための電圧を印加する第1制御電極及び第2制御電極と、前記第2領域に電圧を印加する第1表示電極及び第2表示電極と、を備えた表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態の光検出装置PDTの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、液晶素子LDの構成例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、液晶素子LDの構成例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、液晶層53に形成される第1レンズ5を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した第1レンズ5の作用を説明するための図である。
【
図6】
図6は、液晶層53に形成される第1レンズ5の他の形状を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の光検出装置PDTの一構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、光検出装置PDTの制御例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、液晶層53に形成される第1レンズの例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、光検出装置PDTの適用例であるソーラーシステムSSYSの構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、
図14に示したソーラーシステムSSYSの制御例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図17】
図17は、
図16に示した液晶素子LD及び変調素子MDの作用を説明するための図である。
【
図18】
図18は、変調素子MDの構成例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、変調素子MDに形成される変調部MA及び無変調部NMAを説明するための図である。
【
図22】
図22は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
【
図23】
図23は、表示装置DSPの基本構成及び等価回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、本実施形態の光検出装置PDTの一構成例を示すブロック図である。
光検出装置PDTは、センサ部SSと、液晶素子LDと、センサ部SS及び液晶素子LDを制御する制御部CTとを備えている。センサ部SS及び液晶素子LDの詳細については後述する。制御部CTは、タイミング制御部TCT、記憶部M、液晶制御部LCT、及び、センサ制御部SCT、を備えている。タイミング制御部TCTは、記憶部Mに記憶された各種データ等に基づいて液晶制御部LCT及びセンサ制御部SCTを制御する。記憶部Mは、一例では、後述する液晶層に所定形状のレンズを形成するために液晶層に印加すべき電圧に関するデータを記憶している。液晶制御部LCTは、液晶素子LDを制御するものであり、記憶部Mに記憶されたデータに基づいて液晶層に所定の電圧を印加する。センサ制御部SCTは、センサ部SSを制御するものであり、センサ部SSが備える光センサを駆動し、光センサからの出力を測定する。また、センサ制御部SCTは、光センサからの出力の測定結果を外部装置OTDに出力する。また、センサ制御部SCTは、液晶素子LDをフィードバック制御するために、測定結果を液晶制御部LCTに出力する。各部の制御例については後述する。
【0010】
図2は、液晶素子LDの構成例を示す断面図である。なお、図中の第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。
液晶素子LDは、第1基板51と、第2基板52と、液晶層53と、第1制御電極E1と、第2制御電極E2とを備えている。図示した例では、第1制御電極E1は第1基板51に設けられ、第2制御電極E2は第2基板52に設けられているが、第1制御電極E1及び第2制御電極E2がいずれも同一基板、つまり第1基板51または第2基板52に設けられてもよい。
【0011】
第1基板51は、透明な絶縁基板511と、第1制御電極E1と、配向膜512と、給電線513とを備えている。第1制御電極E1は、絶縁基板511と液晶層53との間に位置している。複数の第1制御電極E1は、有効領域50Aにおいて、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。一例では、第1制御電極E1の第1方向Xに沿った幅は、隣り合う第1制御電極E1の第1方向Xに沿った間隔と同等以下である。配向膜512は、第1制御電極E1を覆い、液晶層53に接触している。給電線513は、有効領域50Aの外側の非有効領域50Bに位置している。
【0012】
第2基板52は、透明な絶縁基板521と、第2制御電極E2と、配向膜522とを備えている。第2制御電極E2は、絶縁基板521と液晶層53との間に位置している。第2制御電極E2は、例えば、有効領域50Aの略全面に位置するとともに非有効領域50Bにも延在した単一の平板電極である。第2制御電極E2は、有効領域50Aにおいて、液晶層53を介して第1制御電極E1と対向している。第2制御電極E2は、非有効領域50Bにおいて給電線513と対向している。配向膜522は、第2制御電極E2を覆い、液晶層53に接触している。
【0013】
絶縁基板511及び521は、例えばガラス基板または樹脂基板である。第1制御電極E1及び第2制御電極E2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。配向膜512及び522は、例えば、水平配向膜であり、いずれも第1方向Xに沿って配向処理されている。
第1基板51及び第2基板52は、非有効領域50Bにおいて、シール54によって接着されている。シール54は、導通材55を備えている。導通材55は、給電線513と第2制御電極E2との間に介在し、給電線513と第2制御電極E2とを電気的に接続している。
【0014】
液晶層53は、第1基板51と第2基板52との間に保持されている。液晶層53は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。第1制御電極E1及び第2制御電極E2は、液晶層53に第1レンズ5を形成するための電圧を印加する。
【0015】
液晶制御部LCTは、液晶層53に印加する電圧を制御する。液晶制御部LCTは、第1制御電極E1及び第2制御電極E2にそれぞれ供給する電圧を制御することにより、液晶層53に第1レンズ5を形成したモードと、液晶層53にレンズを形成しないモードとを切り替えることができる。また、液晶制御部LCTは、第1制御電極E1の各々に供給する電圧を制御することにより、液晶層53の第1位置に第1レンズ5を形成したモードと、液晶層53の第1位置とは異なる第2位置に第1レンズ5を形成したモードとを切り替えることができる。また、液晶制御部LCTは、第1制御電極E1の各々に供給する電圧を制御することにより、液晶層53に第1形状の第1レンズ5を形成したモードと、液晶層53に第1形状とは異なる第2形状の第1レンズ5を形成したモードとを切り替えることができる。図示した例は、液晶層53に1個の第1レンズ5が形成された場合に相当するが、液晶層53には複数の第1レンズ5が形成されてもよい。
【0016】
図3は、液晶素子LDの構成例を示す平面図である。
図3の(a)は第1基板51の平面図を示し、
図3の(b)は第2基板52の平面図を示している。
図3の(a)に示す第1基板51において、シール54は、枠状に形成されている。複数の第1制御電極E1は、シール54によって囲まれた内側に位置し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。第1制御電極E1の各々は、例えば、第2方向Yに延出した帯状電極である。なお、第1制御電極E1は、第1方向Xに延出した帯状電極であってもよいし、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ並んだ島状電極であってもよい。島状電極の形状は、四角形や六角形などの多角形、あるいは、円形などである。給電線513は、シール54と重なる位置において、第2方向Yに延出している。シール54に含まれる導通材55の少なくとも一部は、給電線513の上に重なっている。配線基板9は、第1基板51に接続され、第1制御電極E1及び給電線513の各々と液晶制御部LCTとを電気的に接続している。
【0017】
図3の(b)に示す第2基板52において、第2制御電極E2は、四角形状に形成され、第2方向Yに沿って延出する端部E2Eを有している。端部E2Eは、給電線513及び導通材55と重なっている。つまり、第2制御電極E2は、導通材55及び給電線513を介して、液晶制御部LCTと電気的に接続されている。
【0018】
図4は、液晶層53に形成される第1レンズ5を説明するための図である。
図4においては、説明に必要な構成のみを図示している。ここでは、2つの第1制御電極E11及びE12には同一の電圧が供給され、第2制御電極E2には第1制御電極E11及びE12とは異なる電圧が供給される場合について説明する。
【0019】
一例では、液晶層53は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。液晶層53に含まれる液晶分子53Mは、電界が形成されない状態ではその長軸が第1方向Xに沿うように初期配向しており、また、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。
【0020】
一例では、第1制御電極E11及びE12には6Vの電圧が供給され、第2制御電極E2には0Vの電圧が供給される。第1制御電極E11及びE12の各々と第2制御電極E2とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第3方向Zに沿うように配向する。第1制御電極E11と第1制御電極E12との間の領域には、第3方向Zに対して傾斜した電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第3方向Zに対して傾斜するように配向する。第1制御電極E11と第1制御電極E12との中間領域においては、ほとんど電界が形成されない、あるいは、第1方向Xに沿った電界が形成されるため、液晶分子53Mはその長軸が第1方向Xに沿うように配向する。液晶分子53Mは、屈折率異方性Δnを有している。このため、液晶層53は、液晶分子53Mの配向状態に応じた屈折率分布を有する。あるいは、液晶層53は、液晶層53の第3方向Zに沿った厚さをdとしたとき、Δn・dで表されるリタデーションの分布、または、位相分布を有する。なお、厚さdは、一例では、10μm~100μmである。図中に点線で示した第1レンズ5は、このような屈折率分布、リタデーションの分布、または、位相分布によって形成されるものである。図示した第1レンズ5は、凸レンズとして機能する。また、図示した第1レンズ5は、液晶素子LDの法線Nに対して対称な形状を有している。
【0021】
なお、本実施形態では、第1レンズ5を備える液晶素子LDの一例として、基板主面に沿ってほぼ水平に初期配向する液晶層53と、基板主面と交差する方向に沿った電界とを組み合わせた方式について説明したが、これに限らない。例えば、基板主面とほぼ垂直に初期配向する液晶層が組み合わされてもよいし、基板主面に沿った電界と組み合わせてもよく、液晶層に印加される電界に応じて屈折率分布を可変する方式であれば、第1レンズ5を備える液晶素子が実現できる。ここでの基板主面とは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面である。
【0022】
図5は、
図4に示した第1レンズ5の作用を説明するための図である。
ここでは、光の進行方向が第3方向Zに沿う場合に、第1方向Xに沿った振動面を有する直線偏光を第1偏光POL1と称し、第2方向Yに沿った振動面を有する直線偏光を第2偏光POL2と称する。なお、光の進行方向は、図示した例では、第3方向Zを示す矢印とは逆向きの方向である。第1偏光POL1は図中に横ストライプパターンを有する矢印で示し、第2偏光POL2は図中に斜めストライプパターンを有する矢印で示している。光Lは、例えば、ランダムな振動面を有する自然光であり、絶縁基板521の外面521Aから入射し、第2基板52から第1基板51に向かって進行するものとする。
第1レンズ5は、第1偏光POL1及び第2偏光POL2に対してそれぞれ異なる作用を有する。すなわち、第1レンズ5は、自然光Lのうち、第2偏光POL2をほとんど屈折することなく透過し、第1偏光POL1を屈折する。つまり、第1レンズ5は、主として第1偏光POL1に対して集束作用を発揮する。
【0023】
図6は、液晶層53に形成される第1レンズ5の他の形状を説明するための図である。
図示した第1レンズ5は、法線Nに対して非対称なレンズである。第1レンズ5は、図の左側つまり第1制御電極E11乃至E13に亘る第1領域531と、図の右側つまり第1制御電極E14乃至E16に亘る第2領域532とでは、異なる屈折率分布を有している。このような第1レンズ5は、例えば、第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧を6V、5V、4V、3V、2V、1V、6Vに設定し、第2制御電極E2の電圧を0Vに設定することで形成可能である。
【0024】
図7は、本実施形態の光検出装置PDTの一構成例を示す図である。
センサ部SSは、基板21と、基板21に実装された光センサ22とを備えている。図示した例では、センサ部SSは、1個の光センサ22を備えているが、複数個の光センサ22を備えていてもよい。液晶素子LDは、上記の通り、第1基板51と、第2基板52と、液晶層53とを備えており、詳細については上記の通りである。第1基板51及び第2基板52は、いずれも光透過性を有する。光センサ22の受光面22Aは、第1基板51の直下に位置している。受光面22Aは、第1基板51から離間していてもよいし、第1基板51に接触していてもよい。液晶層53に形成される第1レンズ5は、光センサ22と対向する。光センサ22は、液晶素子LDへの入射光が第1レンズ5によって集束される位置に配置されている。光センサ22は、受光した光の強度に応じた信号を出力する。センサ制御部SCTは、光センサ22からの出力を測定する。
図7の(a)に示した例は、法線Nとほぼ平行な方向から液晶素子LDに入射する光Lが第1レンズ5によって集束される状態を示している。図示した第1レンズ5は、液晶素子LDの法線Nに対して対称な形状のレンズである。
図7の(b)に示した例は、法線Nに対して角度θ1をもって傾斜した方向から液晶素子LDに入射する光Lが第1レンズ5によって集束される状態を示している。図示した第1レンズ5は、液晶素子LDの法線Nに対して非対称な形状のレンズである。これらの形状の第1レンズ5は、液晶制御部LCTが液晶素子LDを制御することによって形成される。なお、図示したように集束される光は、
図5を参照して説明したように、主に第1偏光POL1である。
制御部CTは、液晶制御部LCTの制御によって形成される第1レンズ5の形状と、センサ制御部SCTによって測定される光センサ22からの出力とに基づいて、光Lの入射方向を判定することができる。このような制御部CTによる制御例について、以下に説明する。
【0025】
図8は、光検出装置PDTの制御例を説明するためのフローチャートである。なお、
図1に示した記憶部Mは、予め、液晶層53に第1形状の第1レンズ5Lを形成するための第1電圧V1、第1形状とは異なる第2形状の第1レンズ5Mを形成するための第2電圧V2、第1形状及び第2形状とは異なる第3形状の第1レンズ5Rを形成するための第3電圧V3を記憶している。
制御部CTにおいて、液晶制御部LCTは、タイミング制御部TCTによる制御に基づき所定のタイミングで記憶部Mから読み出した第1電圧V1を液晶層53に印加する(ステップST11)。これにより、液晶層53には、第1形状の第1レンズ5Lが形成される。一例では、
図9の(a)に示すように、第2制御電極E2の電圧に対して、第1方向Xに並んだ第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧が順に小さくなるように設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る非対称な第1レンズ5Lが形成される。このときに第1制御電極E11乃至E17、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第1レンズ5Lを形成するための第1電圧V1に相当する。
そして、センサ制御部SCTは、第1レンズ5Lが形成された状態で光センサ22からの出力を測定する(ステップST12)。
【0026】
続いて、液晶制御部LCTは、タイミング制御部TCTによる制御に基づき所定のタイミングで記憶部Mから読み出した第2電圧V2を液晶層53に印加する(ステップST13)。これにより、液晶層53には、第2形状の第1レンズ5Mが形成される。一例では、
図9の(b)に示すように、主に第1制御電極E11及びE17のそれぞれの電圧が同一に設定され、且つ、第1制御電極E12乃至E16のそれぞれの電圧が0Vあるいは第1制御電極E11より小さく設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る対称な第1レンズ5Mが形成される。このときに第1制御電極E11乃至E17、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第1レンズ5Mを形成するための第2電圧V2に相当する。
そして、センサ制御部SCTは、第1レンズ5Mが形成された状態で光センサ22からの出力を測定する(ステップST14)。
【0027】
続いて、液晶制御部LCTは、タイミング制御部TCTによる制御に基づき所定のタイミングで記憶部Mから読み出した第3電圧V3を液晶層53に印加する(ステップST15)。これにより、液晶層53には、第3形状の第1レンズ5Rが形成される。一例では、
図9の(c)に示すように、第2制御電極E2の電圧に対して、第1制御電極E11乃至E17のそれぞれの電圧が順に大きくなるように設定された状態では、第1制御電極E11乃至E17に亘る非対称な第1レンズ5Rが形成される。このときに第1制御電極E11乃至E17、及び、第2制御電極E2に供給される電圧は、第1レンズ5Rを形成するための第3電圧V3に相当する。
そして、センサ制御部SCTは、第1レンズ5Rが形成された状態で光センサ22からの出力を測定する(ステップST16)。その後、センサ制御部SCTは、それぞれのタイミングで測定した出力を比較し、最大の出力が得られる方向を光の入射方向として判定する(ステップST17)。例えば、
図9の(a)に示した第1形状の第1レンズ5Lが形成された状態で最大出力が得られた場合には、光の入射方向は、法線Nに対して図中の左側に角度θ11をもって傾斜した方向として判定することができる。また、
図9の(b)に示した第2形状の第1レンズ5Mが形成された状態で最大出力が得られた場合には、光の入射方向は、法線Nに沿った方向として判定することができる。また、
図9の(c)に示した第3形状の第1レンズ5Rが形成された状態で最大出力が得られた場合には、光の入射方向は、法線Nに対して図中の右側に角度θ12をもって傾斜した方向として判定することができる。
【0028】
なお、
図9に示した3つの形状よりも多くの形状の第1レンズ5を形成し、その都度、光センサ22からの出力を測定してもよい。また、
図9に示した第1形状の第1レンズ5Lから第2形状の第1レンズ5Mを経て第3形状の第1レンズ5Rまで連続的に形状を変化させ、その都度、光センサ22からの出力を測定することにより、光の入射角を測定することが可能となる。
【0029】
本実施形態によれば、光センサ22と対向する位置に、入射光を集束する作用を有する第1レンズ5を形成可能な液晶素子LDを備えている。第1レンズ5は、液晶層53によって形成されるため、液晶分子の配向状態を制御することにより、第1レンズ5の形状は可変できる。ガラスや樹脂などによって形成される光学レンズと光センサとを組み合わせた光検出装置では、光センサ等の角度や向きを変える移動機構が必要となるが、本実施形態の光検出装置PDTは、第1レンズ5の形状を可変できるため、第1レンズ5及び光センサ22の角度や向きを変えることなく、光の入射方向を判定することができる。したがって、本実施形態によれば、可動式の光検出装置と比較して、小型且つ低コストの光検出装置PDTを提供することができる。
【0030】
次に、光検出装置PDTの他の構成例について説明する。
【0031】
図10は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
図10に示した構成例は、
図7に示した構成例と比較して、センサ部SSが基板21の上に複数の光センサ221乃至225を備えた点で相違している。図示した例では、光センサ221乃至225は、第1方向Xに並んでいる。光センサ221乃至225は、それぞれ受光した光の強度に応じた信号を出力する。なお、センサ部SSが備える光センサ22の個数は図示した例に限らない。
液晶層53に形成される第1レンズ5は、光センサ221乃至225と対向する。本構成例においては、第1レンズ5の形状は変化しない。つまり、液晶層53に印加される電圧は一定であり、例えば、第1制御電極E1及び第2制御電極E2には、上記の第1レンズ5Mを形成するための第2電圧V2が供給される。
【0032】
図10の(a)に示した例は、法線Nとほぼ平行な方向から液晶素子LDに入射する光Lが第1レンズ5によって集束される状態を示している。法線方向から入射した光Lは、第1レンズ5により、光センサ223に集束される。この場合、複数の光センサのうち、光センサ223からの出力が最大となる。
図10の(b)に示した例は、法線Nに対して角度θ1をもって傾斜した方向から液晶素子LDに入射する光Lが第1レンズ5によって集束される状態を示している。斜め方向から入射した光Lは、第1レンズ5により、光センサ224に集束される。この場合、複数の光センサのうち、光センサ224からの出力が最大となる。
このように、第1レンズ5の形状が変化しない構成であっても、その直下に配置した複数の光センサ22からの出力を比較することにより、光Lの入射方向を判定することができる。また、第1レンズ5の形状を変化させる必要がないため、第1レンズ5を形成するための制御を簡素化することができる。なお、
図7の構成例と同様に形状を可変できる第1レンズ5と、複数の光センサ22を備えた
図10の構成例とを組み合わせてもよい。
【0033】
1つの第1レンズ5と、複数の光センサ22との組み合わせは、種々変更可能である。
図11に示した例では、第1レンズ5は、第2方向Yに沿った母線を有する曲面を備え、第3方向Zに突出した凸レンズである。複数の光センサ22は、第1方向Xに並んでいる。図示した第1レンズ5は、光の入射方向に応じて集束位置が第1方向Xにシフトする。このため、第1方向Xに並んだ光センサ22からの出力を比較することで、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面における光Lの入射方向を判定することができる。
図12に示した例では、第1レンズ5は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面においてほぼ円形であり、第3方向Zに突出した凸レンズである。複数の光センサ22は、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。図示した第1レンズ5は、光の入射方向に応じて集束位置が第1方向X及び第2方向Yにシフトする。このため、マトリクス状に並んだ光センサ22からの出力を比較することで、第3方向Zを中心とした光Lの入射方位を判定することができる。
図13に示した例では、第1レンズ5Xは、第1方向Xに沿った母線を有する曲面を備え、第3方向Zに突出した凸レンズである。第1レンズ5Yは、第2方向Yに沿った母線を有する曲面を備え、第3方向Zに突出した凸レンズである。第1レンズ5X及び5Yは、第3方向Zに並んでいる。複数の光センサ22は、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に並んでいる。このような例においても、
図12に示した例と同様に、第3方向Zを中心とした光Lの入射方位を判定することができる。
【0034】
次に、本実施形態の光検出装置PDTの適用例について説明する。
【0035】
図14は、光検出装置PDTの適用例であるソーラーシステムSSYSの構成例を示す図である。ソーラーシステムSSYSは、ソーラーパネルSPNLと、光検出装置PDTと、支持体SPBと、回転機構RTMとを備えている。ソーラーパネルSPNLは、太陽エネルギーを利用して加熱、冷却、発電等を行うものである。光検出装置PDTの構成については上記の通りである。支持体SPBは、ソーラーパネルSPNL及び光検出装置PDTを支持している。回転機構RTMは、支持体SPBを回転させる。回転機構RTMは、図中の矢印Aで示したような水平面内に回転させるのみならず、図中の矢印Bで示したように水平面に対する仰角方向にも駆動可能である。光検出装置PDTは、ソーラーパネルSPNLに内蔵されていてもよい。なお、光検出装置PDTの法線N1は、ソーラーパネルSPNLの法線N2と平行であることが望ましい。
【0036】
図15は、
図14に示したソーラーシステムSSYSの制御例を説明するためのフローチャートである。
まず、光検出装置PDTは、
図7乃至
図9を参照して説明した構成例、あるいは、
図10乃至
図13を参照して説明した構成例により、光の入射方向を判定する(ステップST21)。そして、光検出装置PDTは、判定した光の入射方向に基づいて、光源、すなわち、太陽がソーラーパネルSPNLの正面に位置しているか否かを判断する(ステップST22)。すなわち、光検出装置PDTは、判定した光の入射方向が光検出装置PDTの法線N1と平行であるか否かを判断することにより、光源が正面に位置しているか否かを判断する。光源が正面に位置している(つまり、判定した入射方向と法線N1とが平行である)と判断された場合には(ステップST22、Yes)、再び、ステップST21に戻る。一方、光源が正面に位置していない(つまり、判定した入射方向が法線N1と平行でない)と判断された場合には(ステップST22、No)、回転機構RTMが駆動される(ステップST23)。回転機構RTMは、ソーラーパネルSPNLの法線N2が光源を向くように支持体SPBを回転させる。
このような制御により、その位置が変動する光源に追随して、ソーラーパネルSPNLを光源に向けることができ、太陽エネルギーの利用効率を向上することができる。
【0037】
次に、光検出装置PDTの他の構成例について説明する。
【0038】
図16は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
図16に示した構成例は、
図7に示した構成例と比較して、入射光を変調する変調素子MDを備えた点で相違している。変調素子MDは、入射光に対して位相差を付与する変調部MA、及び、入射光をほとんど変調せずに透過する無変調部NMAを備えている。変調部MAは、例えば、入射光に約λ/2の位相差を付与する。ここで、λは、入射光の波長である。このような変調部MAは、入射光が直線偏光である場合に、その偏光面を約90°回転させる機能を有する。変調素子MDは、部分的に位相差を制御可能な液晶素子によって構成されてもよいし、部分的に位相差を有する位相差フィルムによって構成されてもよい。変調部MAは、無変調部NMAより小さい。一例では、変調部MAの第1方向Xに沿った幅W1は、無変調部NMAの第1方向Xに沿った幅W2より小さい。変調素子MDの詳細な構成例については後述するが、図示した例では、変調素子MDは、第3基板61、及び、第4基板62を備えている。変調部MA及び無変調部NMAは、いずれも第3基板61と第4基板62との間に位置している。変調素子MDが後述する液晶素子によって構成される場合、変調素子MDは、変調制御部MCTによって制御される。
【0039】
図示した例では、センサ部SSは、変調素子MDに内蔵されている。すなわち、光センサ22は、第3基板61と第4基板62との間に位置している。第3基板61は、光センサ22が実装される基板に相当する。センサ部SSは、センサ制御部SCTによって制御される。
【0040】
液晶素子LDは、液晶層53に第1レンズ5を形成するための第1制御電極E1及び第2制御電極E2に加えて、液晶層53に第2レンズ6を形成するための第3制御電極E3及び第4制御電極E4を備えている。このような液晶素子LDは、液晶制御部LCTによって制御される。
一例では、第3制御電極E3は、第1制御電極E1と同様に第1基板51に設けられ、第1制御電極E1と同一材料によって形成可能である。第4制御電極E4は、第2制御電極E2と同様に第2基板52に設けられ、第2制御電極E2と同一材料によって形成可能である。また、第2制御電極E2及び第4制御電極E4は、一体に形成されてもよい。第3制御電極E3及び第4制御電極E4は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。第3制御電極E3は、
図3に示した第1制御電極E1と同様に、第2方向Yに延出した帯状電極である。第4制御電極E4は、
図3に示した第2制御電極E2と同様に、四角形状の平板電極である。第3制御電極E3及び第4制御電極E4は、液晶層53に第2レンズ6を形成するための電圧を印加する。液晶層53に形成される第2レンズ6は、変調素子MDと対向する。変調素子MDのうち、変調部MAは、第2レンズ6によって光が集束される位置に配置されている。変調部MAの幅W1は、第2レンズ6の第1方向Xに沿った幅(あるいは、第2レンズ6を形成するための第3制御電極E3の間隔)W3よりも小さい。なお、図中の実線の矢印は第1方向Xに沿った振動面を有する第1偏光POL1を示し、図中の点線の矢印は第2方向Yに沿った振動面を有する第2偏光POL2を示している。また、第2レンズ6は、
図9を参照して説明した第1レンズ5と同様に、第3制御電極E3及び第4制御電極E4に供給される電圧を制御することで、その形状を自在に変化させることができる。
【0041】
図17は、
図16に示した液晶素子LD及び変調素子MDの作用を説明するための図である。液晶素子LDに入射する光のうち、第1偏光POL1は、図の左側に示すように、第2レンズ6によって集束され、変調素子MDに入射する。第1偏光POL1は、そのほとんどすべてが変調部MAに入射し、第2偏光POL2に変換される。つまり、液晶素子LDに入射した第1偏光POL1は、第2偏光POL2に変換されて、変調素子MDを透過する。
一方、液晶素子LDに入射する光のうち、第2偏光POL2は、図の右側に示すように、第2レンズ6によってほとんど集束されずに変調素子MDに入射する。第2偏光POL2は、変調部MA及び無変調部NMAに入射する。上記の通り、無変調部NMAは変調部MAよりも大きいため、変調素子MDに入射した光のうち、無変調部NMAに入射した光は、変調部MAに入射した光よりも多い。つまり、変調素子MDに入射した第2偏光POL2のほとんどは、無変調部NMAで変調されることなく偏光面を維持した状態で透過する。変調素子MDに入射した第2偏光POL2の一部は、変調部MAに入射し、第1偏光POL1に変換される。このように、液晶素子LDに入射した第2偏光POL2は、そのほとんどが第2偏光POL2のまま変調素子MDを透過する。
このような構成例によれば、液晶素子LDに入射する光の偏光方向にかかわらず、変調素子MDを透過した光の偏光方向を概ね揃えることが可能となる。偏光方向が揃った光は、例えば、液晶表示装置の照明光として好適である。
【0042】
図18は、変調素子MDの構成例を示す断面図である。ここでは、変調素子MDが液晶素子によって構成される場合について説明する。このような変調素子MDは、変調制御部MCTによって制御される。
変調素子MDは、第3基板61と、第4基板62と、液晶層63と、第5制御電極E5と、第6制御電極E6と、を備えている。図示した例では、第5制御電極E5は第3基板61に設けられ、第6制御電極E6は第4基板62に設けられているが、第5制御電極E5及び第6制御電極E6がいずれも同一基板、つまり第3基板61または第4基板62に設けられてもよい。
【0043】
第3基板61は、透明な絶縁基板611と、第5制御電極E5と、配向膜612と、給電線613とを備えている。第5制御電極E5は、絶縁基板611と液晶層63との間に位置している。複数の第5制御電極E5は、有効領域60Aにおいて、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。一例では、第5制御電極E5の第1方向Xに沿った幅は、隣り合う第5制御電極E5の第1方向Xに沿った間隔より大きい。配向膜612は、第5制御電極E5を覆い、液晶層63に接触している。給電線613は、有効領域60Aの外側の非有効領域60Bに位置している。
【0044】
第4基板62は、透明な絶縁基板621と、第6制御電極E6と、配向膜622とを備えている。第6制御電極E6は、絶縁基板621と液晶層63との間に位置している。第6制御電極E6は、例えば、有効領域60Aの略全面に位置するとともに非有効領域60Bにも延在した単一の平板電極である。第6制御電極E6は、有効領域60Aにおいて、液晶層63を介して第5制御電極E5と対向している。第6制御電極E6は、非有効領域60Bにおいて給電線613と対向している。配向膜622は、第6制御電極E6を覆い、液晶層63に接触している。
【0045】
絶縁基板611及び621は、例えばガラス基板または樹脂基板である。第5制御電極E5及び第6制御電極E6は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。第5制御電極E5は、
図3に示した第1制御電極E1と同様に、第2方向Yに延出した帯状電極である。第6制御電極E6は、
図3に示した第2制御電極E2と同様に、四角形状の平板電極である。配向膜612及び622は、例えば、水平配向膜である。一例では、配向膜612は第2方向Yに沿って配向処理され、配向膜622は第1方向Xに沿って配向処理されている。
第3基板61及び第4基板62は、非有効領域60Bにおいて、シール64によって接着されている。シール64は、導通材65を備えている。導通材65は、給電線613と第6制御電極E6との間に介在し、給電線613と第6制御電極E6とを電気的に接続している。
【0046】
液晶層63は、第3基板61と第4基板62との間に保持されている。液晶層63は、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。第5制御電極E5及び第6制御電極E6は、
図17に示した変調部MA及び無変調部NMAを形成するための電圧を液晶層63に印加する。
【0047】
変調制御部MCTは、液晶層63に印加する電圧を制御する。変調制御部MCTは、第5制御電極E5及び第6制御電極E6にそれぞれ供給する電圧を制御することにより、液晶層63に変調部MA及び無変調部NMAを形成することができる。また、変調制御部MCTは、第5制御電極E5の各々に供給する電圧を制御することにより、変調部MA及び無変調部NMAの形成位置を制御することができる。また、変調制御部MCTは、第5制御電極E5の各々に供給する電圧を制御することにより、変調部MA及び無変調部NMAの大きさを自在に制御することができる。
【0048】
図19は、変調素子MDに形成される変調部MA及び無変調部NMAを説明するための図である。
図19においては、説明に必要な構成のみを図示している。ここでは、第1方向Xに並んだ複数の第5制御電極E51乃至E55のうち、第5制御電極E51、E53、E55には第6制御電極E6とは異なる電圧が供給される場合について説明する。
【0049】
一例では、第5制御電極E51、E53、E55の電圧が6Vであり、第5制御電極E52及びE54と第6制御電極E6の電圧が0Vである。また、液晶層63は、上記の通り、正の誘電率異方性を有している。液晶層63に含まれる液晶分子63Mは、電界が形成されない状態では90°ツイスト配向している。つまり、第5制御電極E51乃至E55の近傍における液晶分子63Mは、その長軸が第2方向Yに沿うように初期配向しており、第6制御電極E6の近傍における液晶分子63Mは、その長軸が第1方向Xに沿うように初期配向している。また、液晶分子63Mは、電界が形成された状態ではその長軸が電界に沿うように配向される。
【0050】
第5制御電極E51、E53、E55の各々と第6制御電極E6とが対向する領域には、第3方向Zに沿った電界が形成されるため、液晶分子63Mはその長軸が第3方向Zに沿うように垂直配向している。第5制御電極E52及びE54の各々と第6制御電極E6とが対向する領域には、電界が形成されないため、液晶分子63Mは、初期配向状態に維持され、ツイスト配向している。
【0051】
ここで、変調素子MDに第1偏光POL1が入射する場合を想定する。第4基板62から入射する第1偏光POL1のうち、第5制御電極E52と第6制御電極E6とが対向する領域に入射した第1偏光POL1は、ツイスト配向した液晶分子63Mの影響を受けて、その偏光面が回転し、液晶層63を透過した後に、第2方向Yに沿った振動面を有する第2偏光POL2に変換される。第5制御電極E54と第6制御電極E6とが対向する領域についても同様に、透過光は、第2偏光POL2に変換される。一方で、第5制御電極E53と第6制御電極E6とが対向する領域に入射した第1偏光POL1は、垂直配向した液晶分子63Mの影響をほとんど受けず、その偏光面が維持され、液晶層63を透過する。第5制御電極E51及びE55と第6制御電極E6とが対向する領域についても同様に、透過光は、第1偏光POL1である。
つまり、第5制御電極E51、E53、E55の各々と第6制御電極E6とが対向する領域は、
図17に示した無変調部NMAに相当し、第5制御電極E52及びE54の各々と第6制御電極E6とが対向する領域は、
図17に示した変調部MAに相当する。
【0052】
なお、本実施形態では、変調素子MDの一例として、初期配向状態でツイスト配向する液晶層63と、基板主面と交差する方向に沿った電界とを組み合わせた方式について説明したが、これに限らない。液晶層63に印加される電圧に応じて入射光を変調する領域と、入射光を変調することなく透過する領域とが形成可能な方式であれば、上記の変調素子MDに適用可能である。
【0053】
図20は、
図16及び
図18に示した変調素子MDを備えた光検出装置PDTの制御例を説明するための図である。
まず、制御部CTは、
図7乃至
図9を参照して説明した構成例、あるいは、
図10乃至
図13を参照して説明した構成例のように、光センサ22からの出力に基づいて、光の入射方向を判定する(ステップST31)。そして、制御部CTは、液晶素子LDを制御して、判定した入射方向からの入射光を変調部MAに集束させるように第2レンズ6を形成する(ステップST32)。特定の形状に形成された第2レンズ6は、光の入射方向に応じて集束位置がシフトする。ここに説明する制御例は、光の入射方向にかかわらず、集束位置を固定すべく、第2レンズ6の形状を変化させるものである。つまり、制御部CTは、変調部MAが集束位置となる所望の形状の第2レンズ6を形成するように、第3制御電極E3及び第4制御電極E4に供給する電圧を制御する。
このような制御により、変調部MAの位置が固定されていても、光の入射方向にかかわらず、変調素子MDを透過した光の偏光方向を概ね揃えることが可能となる。
【0054】
図21は、
図16及び
図18に示した変調素子MDを備えた光検出装置PDTの他の制御例を説明するための図である。
まず、制御部CTは、
図7乃至
図9を参照して説明した構成例、あるいは、
図10乃至
図13を参照して説明した構成例のように、光センサ22からの出力に基づいて、光の入射方向を判定する(ステップST41)。そして、制御部CTは、変調素子MDを制御して、判定した入射方向からの入射光を、第2レンズ6が集束させる位置に変調部MAを形成する(ステップST42)。ここに説明する制御例は、第2レンズ6の形状を可変させない場合に、光の入射方向に応じてシフトする集束位置に追随すべく、変調部MAの位置を変化させるものである。つまり、制御部CTは、入射光の集束位置に変調部MAを形成するように、第5制御電極E5及び第6制御電極E6に供給する電圧を制御する。
このような制御により、第2レンズ6の形状が固定されていても、光の入射方向にかかわらず、変調素子MDを透過した光の偏光方向を概ね揃えることが可能となる。
【0055】
図22は、本実施形態の光検出装置PDTの他の構成例を示す図である。
図22に示した構成例は、
図16に示した構成例と比較して、第1レンズ5の代わりに、光センサ22と対向する位置に開口部OPを備えた点で相違している。液晶素子LDは、第2レンズ6が形成される位置とは異なる位置に、遮光体BMを備えている。遮光体BMには、開口部OPが形成されている。一例では、開口部OPは、ピンホールであり、50乃至100μm程度の径を有している。なお、開口部OPは、第2方向Yに延出したスリットであってもよい。光センサ22は、開口部OPと第3基板61との間に位置している。
このような構成例においても、上記構成例と同様の効果が得られる。
【0056】
次に、表示装置DSPの実施例について説明する。
【0057】
図23は、表示装置DSPの基本構成及び等価回路を示す図である。
表示装置DSPは、画像を表示する表示エリアDAと、表示エリアDAを囲む非表示エリアNDAと、を備えている。表示エリアDAは、複数の画素PXを備えている。ここで、画素とは、画素信号に応じて個別に制御することができる最小単位を示し、例えば、後述する走査線と信号線とが交差する位置に配置されたスイッチング素子を含む領域に存在する。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配置されている。また、表示装置DSPは、表示エリアDAにおいて、複数本の走査線(ゲート線ともいう)G(G1~Gn)、複数本の信号線(データ配線あるいはソース線ともいう)S(S1~Sm)、共通電極CEなどを備えている。走査線Gは、各々第1方向Xに延出し、第2方向Yに並んでいる。信号線Sは、各々第2方向Yに延出し、第1方向Xに並んでいる。なお、走査線G及び信号線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。走査線Gは走査線駆動回路GDに接続され、信号線Sは信号線駆動回路SDに接続され、共通電極CEは共通電極駆動回路CDに接続されている。走査線駆動回路GD、信号線駆動回路SD、及び、共通電極駆動回路CDは、制御部CTによって制御される。
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。より具体的には、スイッチング素子SWは、ゲート電極WG、ソース電極WS、及び、ドレイン電極WDを備えている。ゲート電極WGは、走査線Gと電気的に接続されている。図示した例では、信号線Sと電気的に接続された電極をソース電極WSと称し、画素電極PEと電気的に接続された電極をドレイン電極WDと称する。走査線Gは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々におけるスイッチング素子SWと接続されている。
画素電極PEは、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、複数の画素電極PEと対向している。これらの画素電極PE及び共通電極CEは、液晶層13に電圧を印加する第1表示電極及び第2表示電極として機能する。画素電極PE及び共通電極CEは、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成されている。保持容量CSは、例えば、共通電極CEと画素電極PEとの間に形成される。
なお、ここでは表示装置DSPの詳細な構成については説明を省略するが、表示装置DSPは、TN(Twisted Nematic)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、VA(Vertical Aligned)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、IPS(In-Plane Switching)モードなどの各種モードのいずれかに対応した構成を有している。また、各画素PXがアクティブ方式で駆動される場合について説明したが、各画素PXがパッシブ方式で駆動されてもよい。
光センサ22は、表示装置DSPに内蔵されている。図示した例では、光センサ22は、非表示エリアNDAに配置されている。光センサ22は、制御部CTによって制御される。
【0058】
図24は、
図23に示した表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。表示装置DSPは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2とを備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シールSEによって接着されている。シールSEは、非表示エリアNDAに位置している。非表示エリアNDAにおいて、右下がりの斜線部は、遮光体BMが位置する領域に相当し、クロス線部は、遮光体BMとシールSEとが重なっている領域に相当する。
非表示エリアNDAの一部を拡大すると、光センサ22は、遮光体BMに形成された開口部OPに重なっている。図中の(a)に示した例では、開口部OPは、円形状のピンホールである。図中の(b)に示した例では、開口部OPは、第2方向Yに延出したスリット状に形成されている。いずれの例においても、光センサ22及び開口部OPは、シールSEよりも表示エリアDA側に位置している。
【0059】
図25は、
図23に示した表示装置DSPの一構成例を示す断面図である。
第1基板SUB1は、絶縁基板100、絶縁膜110、配向膜120、スイッチング素子SW、画素電極PE、光センサ22、第1制御電極E1などを備えている。絶縁基板100及び絶縁膜110は、いずれも透明である。表示エリアDAにおいて、スイッチング素子SWは、絶縁基板100と絶縁膜110との間に配置されている。画素電極PEは、絶縁膜110と配向膜120との間に配置され、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。
非表示エリアNDAにおいて、光センサ22は、絶縁基板100と絶縁膜110との間に配置されている。光センサ22は、一例では、PINフォトダイオードであり、スイッチング素子SWを形成する過程で形成可能である。第1制御電極E1は、絶縁膜110と配向膜120との間に配置されている。図示した例では、画素電極PE及び第1制御電極E1は、同一層に位置しており、同一材料によって形成可能である。一例では、画素電極PEは、反射電極であり、アルミニウム、銀などの反射性を有する金属材料によって形成されている。なお、画素電極PEは、ITOなどによって形成された透明電極であってもよい。
【0060】
第2基板SUB2は、絶縁基板200、絶縁層210、カラーフィルタ220、オーバーコート層230、配向膜240、共通電極CE、第2制御電極E2、遮光体BMなどを備えている。絶縁基板200及び絶縁層210は、いずれも透明である。絶縁層210は、表示エリアDAのほぼ全域に亘って配置され、非表示エリアNDAのうち、第1レンズ5が形成される領域には配置されていない。絶縁層210は、透明絶縁層であり、透明な有機系材料によって形成されている。カラーフィルタ220は、絶縁層210とオーバーコート層230との間に配置されている。オーバーコート層230は、カラーフィルタ220を覆っている。共通電極CEは、オーバーコート層230と配向膜240との間に配置されている。共通電極CEは、ITOなどによって形成された透明電極である。
非表示エリアNDAにおいて、遮光体BMは、絶縁基板200と配向膜240との間に配置され、開口部OPを有する。開口部OPは、光センサ22と対向する位置に形成されている。第2制御電極E2は、開口部OPにおいて、絶縁基板200と配向膜240との間に配置されている。第2制御電極E2は、共通電極CEと同一材料によって形成可能である。
【0061】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持されている。液晶層LCは、非表示エリアNDAにおいて、光センサ22と開口部OPとの間の第1領域LC1と、表示エリアDAにおける第2領域LC2とを有している。第1領域LC1は、配向膜120と配向膜240との間に第1厚さD1を有する。第2領域LC2は、配向膜120と配向膜240との間に第2厚さD2を有する。第1厚さD1は、第2厚さD2よりも厚い。一例では、第2厚さD2は2乃至4μm程度であり、第1厚さD1は10乃至20μm程度である。このような第1厚さD1と第2厚さD2との差分は、主として絶縁層210によって形成される。絶縁層210の膜厚D3は、第1厚さD1よりも薄く、第2厚さD2よりも厚く、一例では約10μm程度である。一例では、膜厚D3は、第2厚さD2の3乃至4倍である。
【0062】
上記の通り、第1制御電極E1及び第2制御電極E2は、液晶層LCのうち、第1領域LC1に第1レンズ5を形成するための電圧を印加する。これにより、光センサ22の直上に、第1レンズ5が形成される。第1レンズ5は、第2基板SUB2を介して入射する光を光センサ22に集束させる。光センサ22は、受光した光の強度に応じた信号を出力する。
また、画素電極PE及び共通電極CEは、液晶層LCのうち、第2領域LC2に電圧を印加する。これにより、第2領域LC2のリタデーションが変化する。すなわち、第2領域LC2に電圧が印加されないオフ状態と、第2領域LC2に電圧が印加されたオン状態とでは、液晶層LCに含まれる液晶分子の配向状態が異なり、リタデーションが変化する。画素電極PEが反射電極であり、共通電極CEが透明電極である反射型表示装置DSPにおいては、オン状態とオフ状態とでのリタデーションの相違により、第2基板SUB2を介して入射した外光を選択的に反射し、画像を表示する。
【0063】
上述した表示装置DSPによれば、光センサ22からの出力に基づき、表示装置DSPに入射する外光の強度を測定することができ、外光の強度に応じて表示装置DSPの表示輝度を制御することが可能となる。例えば、外光の強度が低い場合には、表示装置DSPを第2基板SUB2の側から照明する照明光の輝度を上昇させることで、表示された画像の視認性を向上することができる。
また、光センサ22からの出力に基づき、上記した光検出装置PDTの如く、光の入射方向を判定することができるため、観察者にとって表示装置DSPを視認しやすい方向に表示装置DSPを向けることができる。例えば、外光が表示装置DSPで正反射されたときに、外光の光源が観察者から視認されないように、表示装置DSPの向きを制御することで、表示された画像の視認性を向上することができる。なお、表示装置DSPの向きを制御する手法については、
図14及び
図15を参照して説明したソーラーシステムSSYSの制御例が適用できる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、小型且つ低コストの光検出装置及び表示装置を提供することができる。
【0065】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0066】
PDT…光検出装置
SS…センサ部 22…光センサ
LD…液晶素子 E1…第1制御電極 E2…第2制御電極 E3…第3制御電極 E4…第4制御電極
CT…制御部 M…記憶部
MD…変調素子 MA…変調部 NMA…無変調部 E5…第5制御電極 E6…第6制御電極
DSP…表示装置 PE…画素電極(第1表示電極) CE…共通電極(第2表示電極) LC…液晶層 LC1…第1領域 LC2…第2領域 210…透明絶縁層