(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024212
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20220202BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
F04D25/08 306F
F04D29/60 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020111360
(22)【出願日】2020-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】503076641
【氏名又は名称】株式会社ナカトミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 哲
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA96A
3H130BA96C
3H130BA96Z
3H130BA97A
3H130BA97C
3H130BA97Z
3H130CA24
3H130DJ06X
3H130EA03A
3H130EA03C
3H130EA03Z
3H130EA04A
3H130EA04C
3H130EA04Z
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA07Z
3H130ED02A
3H130ED02C
3H130ED02Z
(57)【要約】
【課題】収納時における平面スペースを省スペース化することが可能であると共に、収納状態から使用状態にする際に組み立て作業を不要にした扇風機を提供すること。
【解決手段】ベース10と、連結角度が調整可能な連結具40を介してベース10に連結された起立用フレーム20と、連結具40を介して起立用フレーム20に連結された送風部30とを具備する扇風機100であって、少なくとも起立用フレーム20がベース10の平面領域内に折り畳まれて収納されると共に、送風部30の正面を上向きにした収納状態にした扇風機100を高さ方向に複数積層させる際に用いられ、下側に位置する扇風機100のベース10または送風部30と、上側に位置する扇風機100のベース10との間に掛け渡される支持部材55を有していることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、連結角度が調整可能な連結具を介して前記ベースに連結された起立用フレームと、前記連結具を介して前記起立用フレームに連結された送風部とを具備する扇風機であって、
少なくとも前記起立用フレームが前記ベースの平面領域内に折り畳まれて収納されると共に、前記送風部の正面を上向きにした収納状態の前記扇風機を高さ方向に複数積層させる際に用いられ、下側に位置する前記扇風機の前記送風部と、上側に位置する前記扇風機の前記ベースとの間に掛け渡される支持部材を有していることを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記支持部材は、前記ベース、前記送風部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1記載の扇風機。
【請求項3】
前記支持部材は、柱部と柱保持部とを有し、
前記柱保持部は、前記ベースおよび前記送風部に予め配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の扇風機。
【請求項4】
前記柱保持部は、前記ベースと前記送風部における周方向の複数箇所に均等間隔をあけて配設されていると共に、前記柱保持部の前記ベースの前記周方向における配設位置と前記柱保持部の前記送風部の前記周方向における配設位置が一致していることを特徴とする請求項3記載の扇風機。
【請求項5】
前記ベースの上面と前記送風部の下面との間に掛け渡される補助支持部材をさらに有していることを特徴とする請求項1~4のうちいずれか一項記載の扇風機。
【請求項6】
前記補助支持部材は、
前記ベースの上面または前記送風部の下面に設けられ、前記ベースの上面または前記送風部の下面に対して平行な状態と高さ方向に起立する状態に回動可能に設けられた回動体を有する回動部と、
前記送風部の下面または前記ベースの上面に設けられ、前記ベースの上面または前記送風部の下面に対して高さ方向に起立させた前記回動体を係合保持する係合保持体と、を具備していることを特徴とする請求項5記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扇風機に関し、より詳細には、複数の扇風機を積み重ねた状態で収容することが可能な扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
不使用時においてコンパクトな状態にすることが可能な脚部付きの扇風機がある。このような扇風機としては、例えば特許文献1(登録実用新案公報第3063491号公報)に開示されているような構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報第3063491号公報(明細書段落0034-0036、第4図、第6図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている扇風機200の構成は、
図6に示すように、回転翼および駆動モータを有する送風部210と折り畳み可能な脚部220とを備え、不使用時には互いを分離させることでコンパクトな状態で収容することが可能な構成が採用されている。しかしながら、分離させた状態の送風部210と脚部220を収容するためには意外と平面スペースが必要であって省スペースでの収納が困難であると共に、扇風機200を再び使用する際には分離した状態の送風部210と脚部220とを組み立てる作業が必要になるといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、送風部と脚部とが一体化されている状態で高さ方向に積み重ねて収容することにより、収納時における平面スペースを省スペース化することが可能であって、収納状態から使用状態にする際に組み立て作業を不要にした扇風機の提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、ベースと、連結角度が調整可能な連結具を介して前記ベースに連結された起立用フレームと、前記連結具を介して前記起立用フレームに連結された送風部とを具備する扇風機であって、少なくとも前記起立用フレームが前記ベースの平面領域内に折り畳まれて収納されると共に、前記送風部の正面を上向きにした収納状態の前記扇風機を高さ方向に複数積層させる際に用いられ、下側に位置する前記扇風機の前記送風部と、上側に位置する前記扇風機の前記ベースとの間に掛け渡される支持部材を有していることを特徴とする扇風機である。
【0007】
これにより、送風部と脚部とが一体化されている状態で高さ方向に積み重ねて収容することができ、収納時における平面スペースを省スペース化することが可能である。また、収納状態から使用状態にする際には単純な展開作業のみで使用状態に戻すことが可能になる。
【0008】
また、前記支持部材は、前記ベース、前記送風部に対して着脱可能であることが好ましい。
【0009】
また、前記支持部材は、柱部と柱保持部とを有し、前記柱保持部は、前記ベースおよび前記送風部に予め装着されていることが好ましい。
【0010】
これらにより、使用時における扇風機の構成を簡素化することができる。
【0011】
また、前記柱保持部は、前記ベースと前記送風部における周方向の複数箇所に均等間隔をあけて配設されていると共に、前記柱保持部の前記ベースの前記周方向における配設位置と前記柱保持部の前記送風部の前記周方向における配設位置が一致していることが好ましい。
【0012】
これにより、扇風機を高さ方向に積み重ねて収納した際において、上側からの荷重を一直線上に配置した支持部材で確実に支持させることができる。
【0013】
また、前記ベースの上面と前記送風部の下面との間に掛け渡される補助支持部材をさらに有していることが好ましい。
【0014】
これにより、扇風機を収納状態にした際におけるベースと送風部との距離を一定に維持することができる。また、ベースと起立用フレームの連結部分における垂直荷重の負担を軽減することができる。
【0015】
また、前記補助支持部材は、前記ベースの上面または前記送風部の下面に設けられ、前記ベースの上面または前記送風部の下面に対して平行な状態と高さ方向に起立する状態に回動可能に設けられた回動体を有する回動部と、前記送風部の下面または前記ベースの上面に設けられ、前記ベースの上面または前記送風部の下面に対して高さ方向に起立させた前記回動体を係合保持する係合保持体と、を具備していることが好ましい。
【0016】
これにより、補助支持部材を扇風機と一体化させることができ、補助支持部材の紛失を防止でき、必要時において短時間で使用状態にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における扇風機の構成によれば、送風部と脚部とが一体化されている状態で高さ方向に積み重ねて収容することができ、収納時における平面スペースを省スペース化することが可能である。また、使用時および収納時のいずれの場合においても送風部と脚部が一体化されているので、収納状態と使用状態を変更する際における組み立て作業が不要で使い勝手に優れた扇風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態における扇風機の使用状態における斜視図である。
【
図2】本実施形態における扇風機の使用状態における側面図である。
【
図4】
図3に示す扇風機を高さ方向に積層した状態を示す斜視図である。
【
図5】他の形態における扇風機を高さ方向に積層した状態を示す斜視図である。
【
図6】従来技術における扇風機の収納状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1と
図2に示すように、使用状態における本実施形態の扇風機100は、ベース10、起立用フレーム20、送風部30および連結具40を具備している。ベース10、起立用フレーム20および送風部30の各々は、連結角度が調整可能な連結具40によって連結されている。
【0020】
本実施形態におけるベース10は、平面視形状が円環形状をなすフレーム体により形成されている。ベース10の下面(接地面)には、ベース10の周方向に沿ってすべり止め12が所定間隔をあけて複数箇所に取り付けられている。ベース10の後方部には連結具40を介して起立用フレーム20の下端縁が取り付けられていて、ベース10と起立用フレーム20の連結角度が調整可能な状態で連結されている。
【0021】
また、ベース10の上面には、ベース10の上面に対して平行な状態と高さ方向に起立する状態に回動体52Aを回動可能に保持する回動体保持部52Bからなる回動部52が設けられている。回動体52Aは第1端部が回動体保持部52Bにより回動可能に連結されていて、第2端部が後述する係合保持体54により係合保持される。本実施形態においては、回動部52と係合保持体54とによりベース10の上面と送風部30の下面とに掛け渡され、収納状態における送風部30をベース10で支持する補助支持部材50が構成されている。
【0022】
本実施形態における起立用フレーム20は、平面視形状が正方形状のフレーム体により形成されている。起立用フレーム20はベース10の平面領域内に収納可能な大きさに形成されていて、ベース10との間に取り付けられた連結具40の連結角度を調整することにより起立用フレーム20をベース10の内側部分に収納させることができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、ベース10および起立用フレーム20の平面視形状をそれぞれ円環形状や角丸の正方形状に形成しているが、ベース10および起立用フレーム20の平面視形状は以上に例示した形状に限定されるものではない。起立用フレーム20がベース10の平面領域内に収納可能に(ベース10の内周面位置よりも内側位置)形成されていればよい。
【0024】
本実施形態における送風部30は、回転翼32と回転翼32を収容する収容枠34と、回転翼32を回転駆動させる駆動モータ36と、駆動モータ36の動作を制御するコントローラ38を有している。なお、図示はしないが、コントローラ38には商用電源に接続可能な電源コードが接続されている。このような構成を有する送風部30の構成は公知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。駆動モータ36とコントローラ38はいずれも収容枠34の背面に取り付けられている。送風部30は、収容枠34の背面下側部分に取り付けられた連結具40を介して起立用フレーム20に角度調整可能な状態で連結されている。
【0025】
本実施形態における連結具40は、いわゆるクリックヒンジまたはラチェット機構と称されるような所定の角度位置または複数の角度位置で連結対象を固定することが可能な構成が好適に用いられるが、連結具40はクリックヒンジやラチェット機構に限定されるものではない。連結対象どうしの連結角度を任意の角度または所定の角度に調整することが可能な連結具40を採用することもできる。
【0026】
このような連結具40を採用することにより、使用状態における扇風機100は、ベース10に対する起立用フレーム20の連結角度を調整して送風部30の高さ位置を調整することができる。また、起立用フレーム20に対する送風部30の連結角度を調整することで送風部30の送風面(正面)の水平方向における回転軸周りの角度(水平面に対する傾斜角度)を調整することが可能である。
【0027】
次に、本実施形態における扇風機100の収納状態について説明する。使用者は、送風部30の背面に取り付けられている取手31を上方に引き上げることにより、ベース10と起立用フレーム20に取り付けられた連結具40の角度固定を解除することができる。これにより起立用フレーム20をベース10の平面領域内に収納した状態にすることができる。次に使用者は、取手31を引き上げると同時に送風部30と起立用フレーム20に取り付けられた連結具40の角度固定を解除して、送風部30と脚部(ベース10と起立用フレーム20)を一体にした状態で
図3に示されているような収納状態に変形することができる。
【0028】
図3に示す収納状態に変形された扇風機100は、補助支持部材50の回動体52Aをベース10の上面に起立させ、送風部30の下面に取り付けられたフック状の係合保持体54に係合保持させることで、収納状態における扇風機100のベース10と送風部30との間が回動体52Aにより掛け渡された状態になり、収納状態の扇風機100におけるベース10と送風部30との高さ方向における離間距離を一定に維持することができる。これにより
図4に示すように、高さ方向に複数の扇風機100を積み重ねても、設置面に対して直立させた状態で積み重ねることができ、積み重ね状態における安定性を向上させることができる。
【0029】
また、本実施形態においては、下側に位置する扇風機100の送風部30の上面と上側に位置する扇風機100のベース10の下面との間に支持部材55を配している。支持部材55は、柱部58と柱部58の両端部に取り付けられる柱保持部56とを有し、柱保持部56は予めベース10および送風部30の外周縁35に取り付けておくこともできる。柱保持部56はベース10および送風部30における周方向の複数箇所に均等間隔をあけて配設されていると共に、ベース10における配設位置と送風部30における配設位置が周方向において一致している。また、ベース10の下面(接地面)に取り付けられている柱保持部56の下端部位置は、すべり止め12の下端部位置よりも上方位置(ベース10の側)になっており、扇風機100の使用時において柱保持部56が邪魔にならず、安定した起立状態にすることができる。
【0030】
図3に示す収納状態の扇風機100を
図4に示すように高さ方向に積み重ねる際には、下側の扇風機100の送風部30の上面に配設した柱保持部56と上側の扇風機100のベース10の下面に配設した柱保持部56との間に柱部58を掛け渡しながら行うことにより、安定した状態で扇風機100を積み上げることができる。ベース10の正面側上面に配設された2箇所の送風部保持体59により収納状態にした扇風機100の送風部30が水平状態で保持されることになる。送風部保持体59は合成ゴム等の弾性部材により形成されていることが好ましい。
【0031】
なお、本実施形態においては、補助支持部材50と支持部材55が扇風機100の積層方向の全体にわたって一直線上に配置されているので、扇風機100の積み重ね状態を安定させることができる。なお、補助支持部材50と支持部材55の配設形態は以上に例示した形態に限定されるものではない。
【0032】
このように、本実施形態における扇風機100は不使用時において脚部に相当するベース10および起立用フレーム20と送風部30とを分離させずに、コンパクトに折り畳んだ状態で高さ方向に複数の扇風機100を積み重ねて収容することができる。これにより、従来技術に比較して収納スペースの平面領域を大幅に削減することができる。
【0033】
また、扇風機100を収納状態から使用状態に変更する際には、ベース10および起立用フレーム20と送風部30が折り畳まれている状態を展開するだけでよい。特に本実施形態における扇風機100は、連結具40としてクリックヒンジやラチェット機構を採用しているので、収納状態の扇風機100の送風部30の頂部(起立用フレーム20との連結部と対向する部分)を上側に持ち上げるだけで扇風機100を使用状態にすることができる。このように使用状態と不使用状態との切り替えが容易であると共に、不使用状態で保管にした際において、ベース10、起立用フレーム20または送風部30の紛失等がない点で好都合である。
【0034】
また、本実施形態における連結具40には、ストッパ42が配設されている。このストッパ42により、ベース10と起立用フレーム20との角度調整時または送風部30の角度調整時において、連結具40のロック状態が意図せず解除されない(扇風機100が意図せず収納状態にならない)ようにすることができる。
【0035】
他の形態における扇風機100を収納状態にして積み重ねた状態を示す側面図を
図5に示す。
図5に示す扇風機100は、補助支持部材50を支持部材55と同様に柱保持部56と柱部58で構成している点で
図1~
図4に示した扇風機100の形態と異なっている。
図5に示す扇風機100の積み重ね形態であっても、
図4に示す扇風機100の積み重ね形態と同様に、高さ方向に折り畳み状態の複数の扇風機100を安定した状態で積み重ねることができる。
【0036】
以上に説明したとおり本願発明にかかる扇風機100について実施形態に基づいて説明を行ったが、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、ベース10の下面にすべり止め12を配設した形態について説明しているが、すべり止め12の配設は省略することもできる。このとき、ベース10の下面に取り付ける柱保持部56をすべり止め12を代用することができる材料により形成しておけば好適である。
【0037】
また、柱保持部56をベース10および送風部30(収容枠34の外周縁35)の周方向において、所要長さ範囲にわたってベース10および送風部30(収容枠34の外周縁35)に当接する当接板構造に形成することもできる。この場合、ベース10および外周縁35の表面形状に倣った形状に形成することで、上からの扇風機100の荷重を分散させた状態で下側の扇風機100のベース10および送風部30に伝達させることができ、ベース10や送風部30の変形を最小限に抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態における補助支持部材50はベース10の上面に回動部52を配設していると共に、送風部30の下面に係合保持体54を配設した形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。ベース10の上面に係合保持体54を配設すると共に、送風部30の下面に回動部52を配設した形態を採用することもできる。
【0039】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
10 ベース,12 すべり止め,
20 起立用フレーム,
30 送風部,31 取手,32 回転翼,34 収容枠,35 外周縁,
36 駆動モータ,38 コントローラ,
40 連結具,42 ストッパ,
50 補助支持部材,52回動部,52A 回動体,52B 回動体支持部,
54 係合保持体,55 支持部材,56 柱保持部,58 柱部,
59 送風部保持体,
100 扇風機,
200 扇風機,210 送風部,220 脚部