(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024217
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】自筆証書遺言作成用郵送物セット及び自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220202BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020113546
(22)【出願日】2020-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】518046233
【氏名又は名称】株式会社朝日中央ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】神野 清孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC14
(57)【要約】
【課題】 遺言者の意思が正しく反映され、無効にならないよう要件が満たされた適式な自筆証書遺言を簡便に作成できるツールを提供する。
【解決手段】 遺言者の意思に沿って内容が作成され専門家により適式であることが確認されている遺言書案が記載された遺言書案シート2と、遺言書案シート2における遺言書の内容に対応して作成され専門家により適式であることが確認されている財産目録が記載され、署名及び押印の各欄31,32が設けられている財産目録シート3と、遺言書案シート2における遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄41、署名及び押印の各欄43,44が設けられた遺言書自書用紙4と、遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙4に自書すること等を解説したマニュアルシート5とが封筒1に同封されている。遺言書案シート2及び財産目録シート3にはそれらが同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合6が記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が記載された遺言書案シートと、
遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録が記載され、署名及び押印の各欄が設けられている財産目録シートと、
遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、
遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルが記載されたマニュアルシートとが封筒に同封されている郵送物である自筆証書遺言作成用郵送物セット。
【請求項2】
前記遺言書案シート及び前記財産目録シートには、当該遺言書案シート及び当該財産目録シートが同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が記載されていることを特徴とする請求項1記載の自筆証書遺言作成用郵送物セット。
【請求項3】
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が印刷された遺言書案シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録並びに署名及び押印の各欄が印刷された財産目録シートとが同封された自筆証書遺言作成用郵送物セットを製作する方法であって、
遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成する遺言者案シート作成ステップと、
遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言書から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成する財産目録シート作成ステップと
を有しており、
遺言書案シート作成ステップは、財産目録シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が遺言書案シートに記載されるステップであり、
財産目録シート作成ステップは、遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が財産目録シートに記載されるステップであることを特徴とする自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法。
【請求項4】
遺言の内容に関するQ&A形式の部分を含み前記遺言書案シート及び前記財産目録シートを作成する際に利用されるQ&Aシートを遺言者に送付して記入してもらうQ&Aシート記入ステップを有しており、
前記遺言書案シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して前記遺言書案シートを作成するステップであり、
前記財産目録シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して前記財産目録シートを作成するステップであり、
Q&Aシートには、当該Q&Aシートに従って作成される前記遺言書案シート及び前記財産目録シートに記載される各対応符号と同一の対応符号が記載されることを特徴とする請求項3記載の自筆証書遺言作成用郵便物セット製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、自筆証書遺言の作成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遺言は、被相続人(遺言者)の相続に関する意思表示である。遺言をきちんと残しておくことは、死後、自分の資産を自身の意思に沿った形で相続人に配分するだけではなく、相続人間で争いを予防する観点でも重要である。
遺言は、遺言書として書面化される。遺言書には幾つかの種類があるが、証書化する遺言のうち、自筆証書遺言は、証人が不要で、公証人役場に行く必要もなく、簡便に作成できるメリットがある。この自筆証書遺言の制度については、近年の法改正により要件が緩和され、別紙財産目録については自書しなくても良いことになった(署名押印は必要)。また、法務局での自筆証書遺言の保管制度も始まり、この制度を利用すると、遺言者の死後に遺言内容を実現する際に家庭裁判所の検認が不要とされ、この点でも簡便となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00240.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように要件が簡略化されて簡便となった自筆証書遺言ではあるが、全文を自書(自筆)すること、日付や氏名をきちんと自書にて記入すること、自書によらない財産目録は必ず別紙として署名及び押印をすることといった要件が課されており、要件が満たされていないと、せっかく作成しても遺言が無効になることがあり得る。このため、素人には依然として作成が難しい面がある。
その一方、遺言書の作成を弁護士に依頼して公証人役場で公正証書化することで公正証書遺言を作成する方法は、確実ではあるものの、費用や手間がかかる問題がある。
本願の発明は、自筆証書遺言に関するこれらの課題を解決するために為されたものであり、遺言者の意思が正しく反映され、無効にならないよう要件が正しく満たされた適式な自筆証書遺言を簡便に作成できるツールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この出願の発明は、自筆証書遺言を作成するためのツールとして、自筆証書遺言作成用郵送物セットという形態を取る。この郵送物セットは、自筆証書遺言を作成する者(遺言者)に郵送される郵送物セットである。
この郵送物セットは、
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が記載された遺言書案シートと、
遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録が記載され、署名及び押印の各欄が設けられている財産目録シートと、
遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、
遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印、並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルシートとが封筒に同封されている郵送物である。
また、この自筆証書遺言作成用郵送物セットは、遺言書案シート及び財産目録シートにそれらが同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が印刷されているという構成を持ち得る。
また、この出願の自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法の発明は、遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が印刷された遺言書案シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録並びに署名及び押印の各欄が印刷された財産目録シートとが同封された自筆証書遺言作成用郵送物セットを製作する方法である。
この製作方法は、
遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成する遺言者案シート作成ステップと、
遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言書から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成する財産目録シート作成ステップと
を有する。
遺言書案シート作成ステップは、財産目録シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が遺言書案シートに記載されるステップであり、財産目録シート作成ステップは、遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が財産目録シートに記載されるステップである。
また、自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法は、
遺言の内容に関するQ&A形式の部分を含み遺言書案シート及び財産目録シートを作成する際に利用されるQ&Aシートを遺言者に送付して記入してもらうQ&Aシート記入ステップを有しており、遺言書案シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成するステップであり、財産目録シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成するステップであり、Q&Aシートには、当該Q&Aシートに従って作成される遺言書案シート及び財産目録シートに記載される各対応符号と同一の対応符号が記載されるという構成を持ち得る。
【発明の効果】
【0007】
以下に説明する通り、この出願の発明に係る自筆証書遺言作成用郵送物セットによれば、それが郵送された遺言者は、遺言書案シートに記載されている遺言書案の本文を遺言書自書用紙にそのまま自書にて書き写し、日付を自書して署名及び押印をするとともに、財産目録シートの各頁に署名及び押印をして添付するだけで、適式な自筆証書遺言が出来上がる。このため、無効となって執行できなくなるといった問題が生じない確実な遺言を自筆証書遺言として簡便にのこすことができる。
遺言書自書用紙も同封されており、遺言書自書用紙は、日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられているので、この点でも、無効にならない適式な自筆証書遺言をのこすことがより確実に行える。
さらに、自書の際に日付記入や署名及び押印をすること、財産目録シートの各頁に署名及び押印をすること等を解説したマニュアルシートが同封されているので、この点でも、無効にならない自筆証書遺言をより確実に作成することができる。
また、遺言書案シートと財産目録シートとに対応符号が記載されている構成では、間違って別の遺言者の財産目録シートを同封してしまうことを防止でき、無効な自筆証書遺言となってしまう問題が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る自筆証書遺言作成用郵送物セットの概略図である。
【
図2】遺言書案シートの一例を示した概略図である。
【
図3】財産目録シートの一例を示した概略図である。
【
図6】実施形態の郵送物セットの製作方法について示した概略図である。
【
図7】Q&Aシートの一例を示した外観概略図である。
【
図8】Q&Aシートの各頁の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、実施形態に係る自筆証書遺言作成用郵送物セットの概略図である。
実施形態の自筆証書遺言作成用郵送物セットは、遺言者が自筆証書遺言を容易に作成できるように遺言者に対して郵送される郵送物セットである。「郵送物」というと「郵送された物」を意味する場合があるので、郵送される前の段階の物も含む概念として「郵送物セット」という用語を用いる。つまり、封筒と、封筒内に封入された内容物から成るセットであって、郵送される前の段階の物又は郵送された物を「郵送物セット」と呼んでいる。
【0010】
実施形態の自筆証書遺言作成用郵送物セット(以下、単に郵送物セットという。)は、自筆証書遺言を作成するためのツールとして遺言者に郵送される物である。この郵送物セットは、
図1に示すように、封筒1と、封筒1に封入された各シート2~5とから成っている。
各シートは、遺言書案が印刷された遺言書案シート2、財産目録が印刷された財産目録シート3、遺言書自書用紙4等を含んでいる。
【0011】
図2は、遺言書案シートの一例を示した概略図である。遺言書案シート2は、遺言書の案文(遺言書案)が記載されたシートである。遺言書案は、パソコンのワープロソフト等を使用して作成されてプリンタで印刷されている。
遺言書案の内容は、遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されたものである。具体的には、この実施形態では、遺言書案シート2は、遺言者が所定のフォームのシートに相続に関する情報を記入して専門家に送り、このシートを参照しながら電話等でやり取りをして専門家が完成させたものとなっている。このための具体的構成については後述する。
【0012】
図3は、財産目録シートの一例を示した概略図である。財産目録シート3は、自筆証書遺言の別紙として財産目録を記載したシートである。この財産目録シート3も、パソコンのワープロソフト又は表計算ソフト等を使用して作成されてプリンタで印刷されている。
図3に示すように、この実施形態では、財産目録シート3として、種類別に二つの物が作成されている。一つは、不動産目録を示した財産目録シート(
図3(1))であり、もう一つは預貯金等の動産の目録を示した財産目録シート(
図3(2))である。各財産目録シート3は、この例では1枚のみであるが、項目が多い場合には2枚(2頁)以上になる場合もある。尚、
図3に示すように、各財産目録シート3には、署名欄31及び押印欄32が設けられている。
【0013】
このような財産目録シート3は、遺言書案シート2に印刷されている遺言書の内容に対応して作成されており且つ専門家により適式であることが確認されたものとなっている。財産目録シート3の作成についても後述する。
図1に示すように、この実施形態では、自筆証書遺言作成用郵送物セットを構成するものとして、遺言書自書用紙4及びマニュアルシート5が封筒に同封されている。
【0014】
図4及び
図5は、遺言書自書用紙の一例を示した図である。遺言書自書用紙4は清書用紙であり、自筆証書遺言の本文を自書するための用紙である。遺言書の本文は、1頁のみの場合もあり、複数ページに亘る場合もある。このため、この実施形態では、1頁のみの場合の用紙と複数頁に亘る場合の用紙のいずれかを選択して同封するようになっている。どちらを選択するかは、遺言書案シート2に記載されている遺言書案のボリュームに応じて決められる。
【0015】
図4には、1頁のみの場合の遺言書自書用紙(以下、1頁タイプ用紙)4が示されており、
図5には、複数頁に亘る場合の遺言書自書用紙(以下、複数頁タイプ用紙)4が示されている。
図4及び
図5に示すように、いずれのタイプの遺言書自書用紙4も横書きとなっており、横方向の罫線が設けられている。そして、1頁タイプ用紙4では、用紙の上部にタイトル欄(「遺言書」と記載する)が設けられており、用紙の下部に、日付記入欄41、住所記入欄42、署名欄43、押印欄44が設けられている。複数頁タイプ用紙4は、先頭頁用の用紙と、中間頁用の用紙と、最終頁用の用紙とから成っている。
図5に示すように、先頭用の用紙の上部にはタイトル欄が設けられ、最終頁用の用紙の下部には、日付記入欄41、住所記入欄42、署名欄43、押印欄44が設けられている。また、各頁の右下には頁番号記入欄が設けられている。尚、遺言書案シート2における遺言書のボリュームが2頁分である場合、遺言書自書用紙4としては
図5の先頭頁用の用紙と最終頁用の用紙との二枚が同封される。
【0016】
マニュアルシート5は、遺言書の自筆について解説したマニュアルが印刷されたシートである。この例ではマニュアルシート5は冊子状であるが、1枚のみのシート状であっても良い。マニュアルシート5には、遺言書案シート2の記載をそのまま遺言書自書用紙4に自筆にて転記し、日付を自書にて記入して署名及び押印すること、各財産目録シート3の末尾に署名及び押印をすること等の作成要領が記載されている。
【0017】
実施形態の郵送物セットでは、同封されている遺言書案シート2と財産目録シート3が同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合6が遺言書案シート2及び財産目録シート3に記載されている。対応符号6は、この実施形態では、遺言者を特定可能な番号となっている。この実施形態では、郵送物セットは法律事務所、信託会社又は信託銀行等の専門事業者が製作するようになっており、遺言者は当該事業者にとっても顧客である。このため、対応符号6は、「お客様番号」の表記で示される番号(以下、顧客番号という。)となっている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、対応符号6としての顧客番号は、遺言書案シート2、財産目録シート3の各頁の右上に記載されている。対応符号6は、各シートがパソコン上で作成される場合にはプリンタで印刷される場合が多いが、ゴム印で印字されたり、手書きされたりする場合もある。尚、これらの各シート2~5が封入された封筒1には、当然ながら、宛先として遺言者の住所及び氏名が記載されている(図示略)。
【0019】
次に、このような実施形態の郵送物セットの製作方法や使用方法について説明する。以下の説明は、自筆証書遺言作成支援方法の発明の実施形態の説明でもある。
図6は、実施形態の郵送物セットの製作方法について示した概略図である。
上述したように、郵送物セットは、法律事務所、信託会社又は信託銀行等の専門事業者が製作する。この事業者は、自筆証書遺言の作成について相談を受け付け、適式な作成のサポートを事業とする事業者である。以下、この事業者を運営事業者という。運営事業者が法人である場合、そこに弁護士、税理士等の専門家が所属していることになる。専門家自身が運営事業者(個人事業)の場合もあり得る。また、信託会社又は信託銀行が運営事業者の場合もあり得る。
【0020】
運営事業者は、実施形態の郵送物セットを利用した自筆証書遺言の作成サービスについて広告宣伝を行い、利用を募る。自筆証書遺言の作成を考えていて、このサービスを利用しようと思った者(遺言者)は、サービスの利用を申し込む。申し込みを受け付けた運営事業者は、対応符号6としての顧客番号を新規に発行し、サービスの利用に関する契約書と、郵送物セットを製作するために遺言者に記入してもらうフォームシートと、電話相談の希望日程記入用紙とを遺言者に送付する。フォームシートは、Q&A形式になっている部分があるので、以下、Q&Aシートと呼ぶ。
【0021】
図7及び
図8は、Q&Aシートの一例を示した概略図であり、
図7は外観概略図、
図8はQ&Aシートの各頁を示した概略図である。
図7に示すように、Q&Aシート7は冊子(リーフレット)状となっている。フロントページ(表紙)には、対応符号6としての顧客番号が記入されている。運営事業者における担当者は、発行された顧客番号をこの記入欄に記入し、遺言者に送付する。
図8(1)には、Q&Aシート7の1頁めが示されており、この頁は、親族に関する質問とその回答欄が印刷された頁となっている。
図8(2)には、Q&Aシート7の2頁めが示されている。この頁は、財産を渡したい相手(相続人又は受遺者、以下、受遺者等という。)の名前、続柄、住所、生年月日(個人の場合)を記入する欄が印刷された頁となっている。
【0022】
Q&Aシート7の3頁めは
図8(2)と同様の頁となっている。
図8(3)には、Q&Aシート7の4頁めが示されている。この頁は、不動産に関する遺言情報を記入する欄となっており、不動産の保有状況、各不動産についての受遺者等の名前を記入する欄となっている。
Q&Aシート7の5頁めは
図8(3)と同様の頁となっている。
図8(4)には、Q&Aシート7の6頁めが示されている。この頁は、預貯金や有価証券等に関する遺言情報を記入する欄となっており、金融機関の名称や支店名、種別、金額等とともに各動産についての受遺者等の名前を記入する欄となっている。7頁めも6頁めと同様の頁となっている。
【0023】
Q&Aシート7の最終頁は、図示を省略するが、記入済みのQ&Aシート7とともに送付して欲しい書類(必要書類)の説明が記載されている。必要書類としては、遺言者の本人確認のための書類(運転免許証の写し等)と、不動産の表記について確認するための書類(課税証明書の写し等)である。この他、Q&Aシート7には、遺言に関して自由に記入する欄が設けられている。
【0024】
遺言者は、
図7及び
図8に示すQ&Aシート7に各事項を記入し、サービスの利用についての契約書に押印をし、電話相談の希望日程を幾つか用紙に記入してそれらを返信用封筒で運営事業者に送付する。そして、運営事業者は、遺言者が反社会的勢力ではない等の受託審査を行った後、運営事業者も契約書に押印をして契約を締結する。契約書は二部作成され、一部は遺言者に返送される。そして、運営事業者は、サービスの利用についての料金を遺言者に請求し、料金が支払われると、郵送物セットの製作の業務を開始する。
具体的には、
図6に示すように、記入済みのQ&Aシート7を受け取った運営事業者は、コピーを遺言者に返送するとともに、電話相談希望日程において対応可能な専門家(担当専門家)を決定する。コピーの返送の際、決定された電話相談の日程を記載したシートも同封される。
【0025】
電話相談日時において、遺言者と担当専門家は、Q&Aシート7を双方が見ながら自筆証書遺言の作成について電話で打ち合わせを行う。この打ち合わせは、担当専門家がQ&Aシート7の内容について不明な点や不足する点を質問し、これに遺言者が答える形が主となる。遺言者の更なる希望が聴取されたり、遺言者が自筆証書遺言について質問し、担当専門家が答えたりする場合もある。
【0026】
このような電話相談の後、担当専門家は、遺言者の意思に沿った内容(遺言者が希望する遺言の内容)であって適式な遺言書案及び別紙財産目録を作成する。ここでの「適式な」とは、遺言書案については自筆であることを除き適式なという意味であり、その文案が自筆された場合には適式な自筆証書遺言の本文として認められるという適式性である。別紙財産目録については、作成された遺言書案本文に対して添付されるものとして適式なという意味であり、遺言者による署名及び押印がされていないことを除き、適式なという意味である。
【0027】
担当専門家は、パソコン上のワープロソフトや表計算ソフトでこのような遺言書案及び別紙財産目録をそれぞれ作成し、プリンタでプリントアウトする。そして、それぞれに対応符号6としての顧客番号を記載する。顧客番号の記載は、ワープロソフトや表計算ソフト上の機能(ヘッダー機能等)を利用して同時にプリントアウトしたり、又はプリントアウトしたものに手書きや判子押しをして記載したりすることで行われる。これにより、遺言書案シート2及び財産目録シート3が完成する。
【0028】
そして、担当専門家又は別の担当者(事務担当者)が、完成した遺言書案シート2及び財産目録シート3を、遺言書自書用紙4及びマニュアルシート5とともに封筒1に入れて封をすると、郵送物セットが出来上がる。遺言書自書用紙4は、遺言書案シート2における遺言書のボリュームに応じて適宜の頁数のものを選択して封入する。
【0029】
図6に示すように、出来上がった郵便物セットは、遺言者に郵送される。遺言者は、封筒を開封し、遺言書案シート2等を取り出す。遺言者は、郵送された遺言書案シート2の内容や財産目録シート3の内容を確認し、伝えた意思が正しく反映されていることを確認すると、マニュアルシート5を参照しながら、遺言書案シート2に記載されている内容をそのまま遺言書自書用紙4に自筆にて書き写す。その上で、遺言書案自筆用紙4に日付を自書にて記入し、署名及び押印をすると、遺言書案自筆用紙4は、自筆証書遺言の本文となる。また、遺言者は、財産目録シート3の各頁に署名及び押印をする。これにより、財産目録シート3は、作成された自筆証書遺言の本文に対する別紙財産目録となる。
【0030】
これで、自筆証書遺言の作成は完了であるが、運営事業者は、自筆証書遺言の保管サービスも提供している。運営事業者は、自筆証書遺言作成支援サービスの申し込みの際、自筆証書遺言の保管サービスの利用の希望も確認している。遺言者が保管サービスも希望した場合、保管サービスも契約内容に含められる。保管サービスを利用する場合、
図6に示すように、遺言者は、作成された自筆証書遺言を書留郵便等で運営事業者に送付する。運営事業者は、自筆証書遺言を受け取ると、受取証を作成して遺言者に返送する。
尚、上記説明では、保管サービスの利用は任意であるように説明したが、運営事業者が信託会社又は信託銀行である場合、保管サービスの利用を必須とする場合が多い。
【0031】
このような実施形態の郵送物セットによると、それが郵送された遺言者は、遺言書案シート2に記載されている遺言書案の本文を遺言書自書用紙4にそのまま自書にて書き写し、日付を自書して署名及び押印をするとともに、財産目録シート3の各頁に署名及び押印をして添付するだけで、適式な自筆証書遺言が出来上がる。このため、無効となって執行できなくなるといった問題が生じない確実な遺言を自筆証書遺言として簡便にのこすことができる。
【0032】
また、実施形態の郵送物セットでは、遺言書案シート2と財産目録シート3とに対応符号6が記載されているので、間違って別の遺言者の財産目録シート3を同封してしまう問題が避けられる。対応符号6がなく間違って別の遺言者の財産目録シート3が同封されてしまった場合、郵送された遺言者が気がつく場合が多いが、見逃してそのまま署名及び押印をしてしまうと、遺言書の本文と財産目録とが対応していないので、無効な自筆証書遺言となってしまう。しかし、実施形態の郵送物セットによれば、この問題が避けられる。
【0033】
さらに、この実施形態では、遺言書自書用紙4も同封されており、遺言書自書用紙4は、日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられているので、この点でも、無効にならない適式な自筆証書遺言をのこすことがより確実に行える。遺言書自書用紙4が同封されていない場合、遺言者が用紙を用意することになるが、例えば完全な白紙の用紙を使用した場合、日付の記入を忘れてしまったり、押印を忘れてしまったりすることがあり得る。また、遺言者が用紙を用意する場合、一部にプリンタで印刷された文字が記載されていて、全文が自筆ではない場合があり得る。例えば、「遺言書」のタイトルのみをワープロで作成してプリンタで印刷をしたものを使用すると、遺言書の全文が自筆ではないとして遺言が無効になる可能性がある。実施形態によれば、専用の遺言書自書用紙4が用意されていて、遺言書案シート2をそのまま書き写すようになっているので、このような問題はなく、無効になってしまうようなことはない。
【0034】
また、遺言書案の書き写しの際に自書による日付記入や署名及び押印をすること、財産目録シート3の各頁に署名及び押印をすること等を解説したマニュアルシート5が同封されているので、この点でも、無効にならない自筆証書遺言をより確実に作成することができる。
尚、上記実施形態において、記入済みのQ&Aシート7のコピーを郵送物セットの構成物として同封しても良い。この構成では、Q&Aシート7にも対応符号6(顧客番号)が記載されているので、間違って別の遺言者用のシート2,3を送ってしまう問題がより確実に避けられる。
【0035】
上記実施形態において、対応符号6としての顧客番号は、運営事業者が管理するデータベースファイルに記録された情報であり得る。運営事業者は、多数の依頼者(遺言者)に対してサービスを提供することが想定されるため、各依頼者の情報をデータベースファイルに記録し、サーバ又はパソコン上で管理することがあり得る。この場合、担当専門家は、データベースファイルを参照して顧客番号を遺言書案シート2や財産目録シート3に記載したり、データベースファイルから自動的に顧客番号が取得されて遺言書案シート2や財産目録シート3に組み込まれて印刷されたりする場合があり得る。後者の場合、担当専門家又は事務担当者が操作するクライアントPCからサーバがアクセスされ、サーバ上のプログラムによりデータベースファイルから顧客番号が取得されて組み込まれる場合があり得る。
【0036】
尚、上述した説明は、自筆証書遺言作成支援方法の発明の実施形態の説明としても理解され得る。即ち、
「遺言者による自筆証書遺言の作成を支援する方法であって、
遺言の内容に関するQ&A形式の部分を含み遺言書案シート及び財産目録シートを作成する際に利用されるQ&Aシートを遺言者に送付して遺言者に記入してもらうQ&Aシート記入ステップと、
Q&Aシートから得られた情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成する遺言者案シート作成ステップと、
Q&Aシートから得られた情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成する財産目録シート作成ステップと、
作成された遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、遺言書案シートの内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルが記載されたマニュアルシートとを封筒に同封して郵送物セットを製作し、当該郵送物セットを遺言者に送付する郵送物セット製作送付ステップと
を有しており、
遺言書案シート作成ステップは、財産目録シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が遺言書案シートに記載されるステップであり、
財産目録シート作成ステップは、遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が財産目録シートに記載されるステップであり、
Q&Aシートには、当該Q&Aシートに従って作成される遺言書案シート及び財産目録シートに記載された各対応符号と同一の対応符号が記載されることを特徴とする自筆証書遺言作成支援方法。」
との構成の発明が把握され得る。
【0037】
尚、上記実施形態では、対応符号は顧客番号であったが案件番号のような構成もあり得る。また、対応符号はIDのような記号・番号に限られず、遺言者の名前や住所自体を用いても良い。例えば、遺言者の名前と住所とを小さい字で印字するようにして対応符号として用いても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 封筒
2 遺言書案シート
3 財産目録シート
31 署名欄
32 押印欄
4 遺言書自書用紙
41 日付記入欄
43 署名欄
44 押印欄
5 マニュアルシート
6 対応符号
7 Q&Aシート
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が記載された遺言書案シートと、
遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録が記載され、署名及び押印の各欄が設けられている財産目録シートと、
遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、
遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルが記載されたマニュアルシートとが封筒に同封されている郵送物であり、
遺言書自書用紙における日付記入欄、署名及び押印の各欄はそれぞれ個別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄であることを特徴とする自筆証書遺言作成用郵送物セット。
【請求項2】
前記遺言書自書用紙には、住所記入欄が設けられており、住所記入欄は、前記日付記入欄、前記署名及び押印の各欄とは別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄であることを特徴とする請求項1記載の自筆証書遺言作成用郵送物セット。
【請求項3】
前記遺言書案シート及び前記財産目録シートには、当該遺言書案シート及び当該財産目録シートが同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が記載されており、前記遺言書自書用紙には対応符号は記載されていないことを特徴とする請求項1又は2記載の自筆証書遺言作成用郵送物セット。
【請求項4】
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が印刷された遺言書案シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録並びに署名及び押印の各欄が印刷された財産目録シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルが記載されたマニュアルシートとが同封された自筆証書遺言作成用郵送物セットを製作する方法であって、
遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成する遺言者案シート作成ステップと、
遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成する財産目録シート作成ステップと
を有しており、
遺言書案シート作成ステップは、財産目録シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が遺言書案シートに記載されるステップであり、
財産目録シート作成ステップは、遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が財産目録シートに記載されるステップであり、
遺言書自書用紙における日付記入欄、署名及び押印の各欄はそれぞれ個別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄であり、遺言書自書用紙には対応符号は記載されていないことを特徴とする自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法。
【請求項5】
遺言の内容に関するQ&A形式の部分を含み前記遺言書案シート及び前記財産目録シートを作成する際に利用されるQ&Aシートを遺言者に送付して記入してもらうQ&Aシート記入ステップを有しており、
前記遺言書案シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して前記遺言書案シートを作成するステップであり、
前記財産目録シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して前記財産目録シートを作成するステップであり、
Q&Aシートには、当該Q&Aシートに従って作成される前記遺言書案シート及び前記財産目録シートに記載される各対応符号と同一の対応符号が記載されることを特徴とする請求項4記載の自筆証書遺言作成用郵便物セット製作方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するため、この出願の発明は、自筆証書遺言を作成するためのツールとして、自筆証書遺言作成用郵送物セットという形態を取る。この郵送物セットは、自筆証書遺言を作成する者(遺言者)に郵送される郵送物セットである。
この郵送物セットは、
遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が記載された遺言書案シートと、
遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録が記載され、署名及び押印の各欄が設けられている財産目録シートと、
遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、
遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印、並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルシートとが封筒に同封されている郵送物である。
そして、遺言書自書用紙における日付記入欄、署名及び押印の各欄はそれぞれ個別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄である。
また、この自筆証書遺言作成用郵送物セットは、前記遺言書自書用紙には、住所記入欄が設けられており、住所記入欄は、前記日付記入欄、前記署名及び押印の各欄とは別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄であるという構成を持ち得る。
また、この自筆証書遺言作成用郵送物セットは、遺言書案シート及び財産目録シートにそれらが同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が印刷されており、遺言書自書用紙には対応符号は記載されていないという構成を持ち得る。
また、この出願の自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法の発明は、遺言者の意思に沿って内容が作成されて専門家により適式であることが確認されている遺言書案が印刷された遺言書案シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の内容に対応して作成されて専門家により適式であることが確認されている財産目録並びに署名及び押印の各欄が印刷された財産目録シートと、遺言書案シートにおける遺言書案の長さに応じた頁数であって日付記入欄、署名及び押印の各欄が設けられている遺言書自書用紙と、遺言書案の内容をそのまま遺言書自書用紙に自書すること、遺言書自書用紙への自書による日付記入、署名及び押印並びに財産目録シートへの署名及び押印について解説したマニュアルが記載されたマニュアルシートとが同封された自筆証書遺言作成用郵送物セットを製作する方法である。
この製作方法は、
遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成する遺言者案シート作成ステップと、
遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者から得た情報に従って入力されて作成され、専門家により内容が適式であることが確認されている遺言書案シートにおける遺言書の内容に対応して作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成する財産目録シート作成ステップと
を有する。
遺言書案シート作成ステップは、財産目録シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が遺言書案シートに記載されるステップであり、財産目録シート作成ステップは、遺言書案シートにおける遺言者と同一の遺言者に係るものであることを示す対応符合が財産目録シートに記載されるステップである。
そして、遺言書自書用紙における日付記入欄、署名及び押印の各欄はそれぞれ個別に設けられた欄であって文字を全く印刷することなく線を印刷することで示された欄であり、遺言書自書用紙には対応符号は記載されていない。
また、自筆証書遺言作成用郵送物セット製作方法は、
遺言の内容に関するQ&A形式の部分を含み遺言書案シート及び財産目録シートを作成する際に利用されるQ&Aシートを遺言者に送付して記入してもらうQ&Aシート記入ステップを有しており、遺言書案シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された遺言書案文書ファイルをプリンタが印刷して遺言書案シートを作成するステップであり、財産目録シート作成ステップは、記入済みのQ&Aシートに従って作成された財産目録ファイルをプリンタが印刷して財産目録シートを作成するステップであり、Q&Aシートには、当該Q&Aシートに従って作成される遺言書案シート及び財産目録シートに記載される各対応符号と同一の対応符号が記載されるという構成を持ち得る。