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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024344
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】路上機器の倒壊防止構造
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20220202BHJP
   H02B 1/54 20060101ALI20220202BHJP
   H02G 9/04 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
H02B3/00 D
H02B1/54
H02G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122603
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】木島 忍
【テーマコード(参考)】
5G016
5G369
【Fターム(参考)】
5G016BA02
5G369AA19
5G369BA06
(57)【要約】
【課題】路上機器が倒壊するのを防止する。
【解決手段】地中に形成されたハンドホール2の上に設置された路上機器3が倒壊するのを防止する、路上機器の倒壊防止構造であって、細長い線状で路上機器3内およびハンドホール2内に配設され、一端部が路上機器3に固定され、他端部がハンドホール2に固定された補強ワイヤー41、42を備え、補強ワイヤー41、42は、路上機器3が衝撃を受けた場合に張って路上機器3が倒れないように配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に形成されたハンドホールの上に設置された路上機器が倒壊するのを防止する、路上機器の倒壊防止構造であって、
細長い線状で前記路上機器内および前記ハンドホール内に配設され、一端部が前記路上機器に固定され、他端部が前記ハンドホールに固定された補強ワイヤーを備え、
前記補強ワイヤーは、前記路上機器が衝撃を受けた場合に張って前記路上機器が倒れないように配設されている、
ことを特徴とする路上機器の倒壊防止構造。
【請求項2】
前記補強ワイヤーは、前記路上機器が所定の方向に倒れないように配設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の路上機器の倒壊防止構造。
【請求項3】
前記補強ワイヤーの一端部は、前記路上機器に設けられた吊りボルト用のネジ穴を介して前記路上機器に固定されている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の路上機器の倒壊防止構造。
【請求項4】
前記補強ワイヤーの他端部は、前記ハンドホールに設けられた植え込みボルトを介して前記ハンドホールに固定されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の路上機器の倒壊防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上機器が倒壊するのを防止・抑制する路上機器の倒壊防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力線や通信線などのケーブルを地中に配設する電線類地中化が進められており、地中化に伴って路上機器(路上変圧器等)が設置される。この路上機器は、電柱に設置されていた変圧器や開閉器、分岐装置などの電気機器をキャビネット・収容箱に収容し、歩道の車道側などに設置される。この際、地中にコンクリートなどで形成されたハンドホールの上に路上機器が設置され、ハンドホール内に敷設されたケーブルが路上機器の底部から路上機器内に導入されて、電気機器と電気的に接続される。
【0003】
ところで、路上機器は、歩道の車道側などに設置されるため、車両が路上機器に衝突して路上機器が倒壊・転倒するおそれがある。この場合、路上機器やケーブルが損傷するばかりでなく、路上機器が歩道側に倒れた場合に、周囲の人やものにも損傷、弊害を与えるおそれがある。
【0004】
一方、車両が路上機器に衝突してハンドホールに衝撃が加えられても、容易に修理することができる、というハンドホールが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このハンドホールは、路面から突出して路上機器を支持する台座部が設けられ、この台座部が、複数のパーツからなる上側台座部と枠状の下側台座部とで構成されている。そして、上側台座部に加えられた衝撃が下側台座部に伝達しないように、連結部材によって下側台座部と上側台座部とが連結されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-14048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、車両が路上機器に衝突してハンドホールに衝撃が加えられた場合に、ハンドホールを容易に修理できるものの、路上機器が倒壊するのを防止・抑制することはできない。従って、路上機器が歩道側に倒れて、周囲の人やものに損傷、弊害を与えるのを防止・抑制することはできない。
【0007】
そこで本発明は、路上機器が倒壊・転倒するのを防止可能な路上機器の倒壊防止構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、地中に形成されたハンドホールの上に設置された路上機器が倒壊するのを防止する、路上機器の倒壊防止構造であって、細長い線状で前記路上機器内および前記ハンドホール内に配設され、一端部が前記路上機器に固定され、他端部が前記ハンドホールに固定された補強ワイヤーを備え、前記補強ワイヤーは、前記路上機器が衝撃を受けた場合に張って前記路上機器が倒れないように配設されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の路上機器の倒壊防止構造において、前記補強ワイヤーは、前記路上機器が所定の方向に倒れないように配設されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の路上機器の倒壊防止構造において、前記補強ワイヤーの一端部は、前記路上機器に設けられた吊りボルト用のネジ穴を介して前記路上機器に固定されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の路上機器の倒壊防止構造において、前記補強ワイヤーの他端部は、前記ハンドホールに設けられた植え込みボルトを介して前記ハンドホールに固定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、車両が衝突などして路上機器が衝撃を受けた場合に、一端部が路上機器に固定され他端部がハンドホールに固定された補強ワイヤーが張って(ピンと張って)、補強ワイヤーを介して路上機器がハンドホールで支えられるため、路上機器が倒壊・転倒するのを防止・抑制することが可能となる。また、細長い線状の補強ワイヤーが配設されているだけであるため、構成が簡易であるとともに、路上機器内の電気機器やハンドホール内のケーブルなどの配設や点検作業などの邪魔になることも少ない。換言すると、電気機器の配設や点検作業などの邪魔になることなく(制限されることなく)、所望・任意の位置に補強ワイヤーを配設して路上機器の倒壊を防止することが可能で、配設自由度が高い。しかも、補強ワイヤーが路上機器のキャビネット内およびハンドホール内に配設され、外部に露出していないため、外観が良好なばかりでなく、補強ワイヤーが風雨などにさらされて劣化することがない。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、路上機器が所定の方向に倒れないように、例えば、歩道側に倒れないように補強ワイヤーが配設されているため、路上機器が倒れることで周囲の人やものに損傷、弊害を与えるのを防止・抑制することが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、路上機器に設けられた吊りボルト用のネジ穴を介して、補強ワイヤーの一端部が路上機器に固定されている。つまり、吊りボルトのために設けられたネジ穴を活用して補強ワイヤーが固定されているため、補強ワイヤーを固定するためだけのネジ穴などを路上機器に設ける必要がない。さらに、吊りボルト用のネジ穴を有する既設の路上機器に対して、追加工などすることなく補強ワイヤーを固定することができる。すなわち、既設の路上機器に対しても、本倒壊防止構造を容易かつ迅速に適用することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、ハンドホールに設けられた植え込みボルトを介して、補強ワイヤーの他端部がハンドホールに固定されているため、補強ワイヤーが強固にハンドホールに固定される。このため、補強ワイヤーを介して路上機器を強固にハンドホールで支えて、路上機器が倒壊・転倒するのをより防止・抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態に係る路上機器の倒壊防止構造を示す概略構成図であり、(a)は、平常状態を示し、(b)は、路上機器が僅かに傾いた状態を示し、(c)は、路上機器がさらに僅かに傾いた状態を示す。
図2図1の倒壊防止構造における路上機器を示す正面図(a)と平面図(b)と側面図(c)である。
図3図2の路上機器の基礎台を示す平面図である。
図4図1の倒壊防止構造における路上機器とハンドホールを示す断面図(一部側面図)である。
図5図1の倒壊防止構造における第1の補強ワイヤーの一端部の固定方法を示す図である。
図6図1の倒壊防止構造における第1、第2の補強ワイヤーの他端部の固定方法を示す図である。
図7図1の倒壊防止構造における第2の補強ワイヤーの一端部の固定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
図1図7は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この発明の実施の形態に係る路上機器3の倒壊防止構造(以下、適宜「倒壊防止構造」という)1を示す概略構成図であり、(a)は、平常状態を示し、(b)は、路上機器3が僅かに傾いた状態を示し、(c)は、路上機器3がさらに僅かに傾いた状態を示す。この倒壊防止構造1は、地中に形成されたハンドホール2の上に設置された路上機器3が倒壊するのを防止・抑制する構造であり、ハンドホール2と路上機器3とが補強ワイヤー41、42で連結されている。
【0019】
ハンドホール2と路上機器3は、既設・既存のものと基本的構成が同等のため詳述は省略するが、概略次のような構成となっている。
【0020】
ハンドホール2は、地中にコンクリートなどで形成されたホール・穴で、地面Gから垂直下方に延びてその後略水平に延びるように形成されている。また、地面G側には、四角い枠状で路上機器3を設置するための台座部21と、枠状で人が出入りするためのマンホール22が形成され、マンホール22にはマンホール蓋23が設けられている。
【0021】
路上機器3は、図2に示すような箱型のキャビネット・収容箱31に、変圧器や開閉器、分岐装置などの電気機器が収容され、底面側に図3に示すような四角い枠状の基礎台32が配設されている。そして、図4に示すように、基礎台32が台座部21に重なるようにして、路上機器3がハンドホール2の上に設置され、ハンドホール2内に敷設された電力線や通信線などのケーブルが、台座部21および基礎台32からキャビネット31内に導入されて、電気機器と電気的に接続されている。
【0022】
ここで、基礎台32と台座部21、つまり、路上機器3とハンドホール2は、図3に示すように、基礎台32の四隅側に形成されたアンカー孔32aを介して、アンカーボルトで連結されている。また、この実施の形態では、図1図4に示すように、路上機器3が歩道の車道側に設置され、路上機器3の正面側が歩道側(マンホール蓋23側)に向いているものとする。
【0023】
補強ワイヤー41、42は、金属製で細長い線状のワイヤーで、その外径と強度は、後述するようにして配設されることで、車両などが路上機器3に衝突しても、路上機器3を支持して路上機器3が倒壊・転倒しないように設定されている。この補強ワイヤー41、42は、路上機器3のキャビネット31内およびハンドホール2内に配設され、一端部がキャビネット31に固定・接続され、他端部がハンドホール2に固定されている。さらに、補強ワイヤー41、42は、路上機器3が衝撃を受けた場合(傾いた場合)にピンと張って、路上機器3が歩道側(所定の方向)に倒れないように配設されている。
【0024】
具体的には、図4に示すように、第1の補強ワイヤー41は、路上機器3の上部からハンドホール2の上部にわたって延び、路上機器3の背面側に沿って真っ直ぐ延びて配設されている。また、その一端部・上端部が、キャビネット31の天板311に設けられた吊りボルト用のネジ穴31aを介してキャビネット31に固定されている。すなわち、キャビネット31の天板311の略四隅には、図5に示すように、路上機器3を吊り上げるための吊りボルトを取り付けたり、防水キャップ33を取り付けたりするためのネジ穴31aが形成され、背面側のネジ穴31aに固定キャップ5が取り付けられて第1の補強ワイヤー41の一端部が固定されている。
【0025】
この固定キャップ5は、ネジ穴31aに螺合する雄ネジ部51と六角ヘッド52とが同心に一体的に形成された固定ボルト50を備え、六角ヘッド52と天板311との間に、防水リング53と衝撃吸収盤54と押さえ板55が配設されている。すなわち、防水リング53は、ゴムなどで構成されたパッキンで、リング状で天板311の上面に配設されて、雨水などがキャビネット31内に浸水しないようにするものである。衝撃吸収盤54は、防水リング53のリング内に配設され、ゴムやバネで構成された円盤状で衝撃を吸収するものであり、中心部に雄ネジ部51を挿入するための孔が形成されている。押さえ板55は、防水リング53と衝撃吸収盤54の上面に配設された円盤状で、防水リング53と衝撃吸収盤54を押圧するものであり、中心部に雄ネジ部51を挿入するための孔が形成されている。そして、固定ボルト50がネジ穴31aに締め付けられることで、これらが一体的な固定キャップ5として取り付けられている。ここで、押さえ板55を隣接するネジ穴31aまで配設してもよい。
【0026】
また、固定ボルト50の中心を貫通するワイヤー挿入孔50aが形成され、このワイヤー挿入孔50aに第1の補強ワイヤー41の一端部が挿入されている。そして、一端部の先端に留め金411が取り付けられることで、第1の補強ワイヤー41の一端部が、固定キャップ5つまりキャビネット31の上部に固定されている。
【0027】
一方、第1の補強ワイヤー41の他端部・下端部は、ハンドホール2に設けられた植え込みボルト61を介してハンドホール2に固定されている。すなわち、図6に示すように、ハンドホール2の上部の側壁に、植え込みボルト(アンカーボルトなど)61が水平方向に2つ並列に配設され、さらに、植え込みボルト61間に支持ピン62が配設されている。ここで、植え込みボルト61と支持ピン62は、ハンドホール2の形成時に設けてもよいし、既設のハンドホール2に対して後加工・追加工して設けてもよい。
【0028】
また、略長方形の板状で、両端にボルト挿入孔63aが形成され、その間にピン挿入孔63bが形成された第1の取付板63を備える。そして、第1の補強ワイヤー41の他端部が支持ピン62に巻き付くように曲げられた状態で、支持ピン62が第1の取付板63のピン挿入孔63bに挿入され植え込みボルト61がボルト挿入孔63aに挿入されて、第1の取付板63で第1の補強ワイヤー41の他端部が押さえられて、ナット64が締め付けられている。このようにして、第1の補強ワイヤー41の他端部が、植え込みボルト61つまりハンドホール2の上部に固定されている。
【0029】
また、第2の補強ワイヤー42は、路上機器3の下部からハンドホール2の上部にわたって延び、第1の補強ワイヤー41と略並行に(路上機器3の背面側に沿って)真っ直ぐ延びて配設されている。また、その一端部・上端部が、路上機器3の基礎台32に固定されている。すなわち、この実施の形態では、図7に示すように、キャビネット31と基礎台32とを連結する連結ボルト321などや、それらの挿入孔を利用して固定されている。具体的には、円板状で中心にボルト挿入孔7aが形成された第2の取付板7を備える。
【0030】
そして、第2の補強ワイヤー42の一端部が連結ボルト321の雄ネジ部に巻き付くように曲げられた状態で、連結ボルト321の雄ネジ部がボルト挿入孔7aに挿入され、第2の取付板7で第2の補強ワイヤー42の一端部が押さえられて、ナット322が締め付けられている。このようにして、第2の補強ワイヤー42の一端部が、連結ボルト321つまり路上機器3の基礎台32に固定されている。ここで、既設の路上機器3に第2の補強ワイヤー42を配設する場合であって、既設の連結ボルト321の長さが短い場合には、長い連結ボルト321に差し替えて、第2の補強ワイヤー42の一端部を挟持できるようにする。
【0031】
一方、第2の補強ワイヤー42の他端部・下端部は、第1の補強ワイヤー41の他端部と同様に、植え込みボルト61を介してハンドホール2に固定されている。
【0032】
このような補強ワイヤー41、42がそれぞれ、路上機器3の正面から見て左右に1本ずつ配設されている。つまり、第1の補強ワイヤー41が路上機器3の左右に2本配設され、第2の補強ワイヤー42も路上機器3の左右に2本配設されている。ここで、倒壊しないように効果的に路上機器3を支持できれば、第1の補強ワイヤー41と第2の補強ワイヤー42を重なるように配設してもよいし、重ならないように配設してもよい。また、路上機器3の重量や大きさなどに応じて、より多くの補強ワイヤー41、42を配設してもよいし、複数の補強ワイヤー41、42をまとめて(束ねて)配設してもよい。
【0033】
また、この実施の形態では、車両の衝突などによって車道側から路上機器3が衝撃を受けた場合に、まず、図1(b)に示すように、路上機器3が僅かに傾いた状態で第1の補強ワイヤー41がピンと張って衝撃を吸収する。さらに、図1(c)に示すように、路上機器3がさらに僅かに傾いた状態で第2の補強ワイヤー42もピンと張って衝撃を吸収し、両補強ワイヤー41、42で路上機器3を支えて路上機器3が歩道側に倒壊・転倒しないように、補強ワイヤー41、42が配設されている。
【0034】
ここで、路上機器3が倒壊・転倒しないとは、路上機器3が全く傾かない(倒れない)、あるいは、所定角度よりも傾かないという意であり、所定角度とは、周囲の人やものに損傷、弊害を与えたり、路上機器3内の電気機器やケーブルなどが損傷したりしない角度である。従って、補強ワイヤー41、42がピンと張る図1(b)、(c)の状態は、所定角度以下に路上機器3が傾いた状態、あるいは、全く傾いていない状態であり、図1(a)に示す平常状態から(衝撃を受ける前から)、補強ワイヤー41、42をピンと張った状態に配設してもよい。
【0035】
以上のように、この倒壊防止構造1によれば、車両が衝突などして路上機器3が衝撃を受けた場合に、一端部がキャビネット31に固定され他端部がハンドホール2に固定された補強ワイヤー41、42がピンと張って、補強ワイヤー41、42を介して路上機器3がハンドホール2で支えられるため、路上機器3が倒壊・転倒するのを防止・抑制することが可能となる。また、細長い線状の補強ワイヤー41、42が配設されているだけであるため、構成が簡易であるとともに、路上機器3内の電気機器やハンドホール2内のケーブルなどの配設や点検作業などの邪魔になることも少ない。換言すると、電気機器の配設や点検作業などの邪魔になることなく(制限されることなく)、所望・任意の位置に補強ワイヤー41、42を配設して路上機器3の倒壊を防止することが可能で、配設自由度が高い。しかも、補強ワイヤー41、42が路上機器3のキャビネット31内およびハンドホール2内に配設され、外部に露出していないため、外観が良好なばかりでなく、補強ワイヤー41、42が風雨などにさらされて劣化することがない。
【0036】
また、路上機器3が所定の方向に倒れないように、この実施の形態では、歩道側に倒れないように補強ワイヤー41、42が配設されているため、路上機器3が倒れることで周囲の人やものに損傷、弊害を与えるのを防止・抑制することが可能となる。
【0037】
さらに、キャビネット31に設けられた吊りボルト用のネジ穴31aを介して、第1の補強ワイヤー41の一端部がキャビネット31に固定されている。つまり、吊りボルトのために設けられたネジ穴31aを活用して第1の補強ワイヤー41が固定されているため、第1の補強ワイヤー41を固定するためだけのネジ穴などをキャビネット31に設ける必要がない。さらに、吊りボルト用のネジ穴31aを有する既設のキャビネット31に対して、追加工などすることなく第1の補強ワイヤー41を固定することができる。すなわち、既設のキャビネット31つまり路上機器3に対しても、本倒壊防止構造1を容易かつ迅速に適用することが可能となる。
【0038】
また、ハンドホール2に設けられた植え込みボルト61を介して、補強ワイヤー41、42の他端部がハンドホール2に固定されているため、補強ワイヤー41、42が強固にハンドホール2に固定される。このため、補強ワイヤー41、42を介して路上機器3を強固にハンドホール2で支えて、路上機器3が倒壊・転倒するのをより防止・抑制することが可能となる。
【0039】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、補強ワイヤー41、42の端部の固定位置・固定方法は、上記のような方法以外であってもよい。例えば、連結ボルト321を介して第2の補強ワイヤー42の一端部を固定しているが、第2の補強ワイヤー42の一端部を基礎台32の部材に巻き付けて留め金で固定するようにしてもよい。あるいは、補強ワイヤー41、42の端部にフックを設けて、このフックをキャビネット31や基礎台32の部材に係止させて固定してもよい。さらに、吊りボルトのリングに補強ワイヤー41、42の端部を固定してもよい。あるいは、ハンドホール2内の既設のケーブル引入用フックなどに固定してもよい。
【0040】
また、補強ワイヤー41、42の配設位置や配設方向は、上記以外であってもよい。例えば、補強ワイヤー41、42をキャビネット31の正面(前面)側に沿って配設したり、キャビネット31の背面側から正面側に斜めに延びるように配設したりしてもよい。
【0041】
ところで、既設の路上機器3に対して本倒壊防止構造1を適用する場合において、ケーブルを通してハンドホール2と路上機器3を仕切る仕切部材が、基礎台32に配設されている場合がある。この場合、仕切部材に孔を形成して補強ワイヤー41、42を通したり、基礎台32と仕切部材との隙間などから補強ワイヤー41、42を通したりすることで、補強ワイヤー41、42を配設することが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 路上機器の倒壊防止構造
2 ハンドホール
3 路上機器
31 キャビネット
31a 吊りボルト用のネジ穴
32 基礎台
321 連結ボルト
41 第1の補強ワイヤー(補強ワイヤー)
42 第2の補強ワイヤー(補強ワイヤー)
5 固定キャップ
61 植え込みボルト
63 第1の取付板
7 第2の取付板
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7