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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024349
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】液体調味料
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220202BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20220202BHJP
   A23L 29/30 20160101ALI20220202BHJP
   A23L 27/50 20160101ALN20220202BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/20 Z
A23L29/30
A23L27/50 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020122655
(22)【出願日】2020-07-17
(71)【出願人】
【識別番号】301032517
【氏名又は名称】エバラ食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】相川 めぐみ
【テーマコード(参考)】
4B039
4B041
4B047
【Fターム(参考)】
4B039LB17
4B041LC01
4B041LD10
4B041LH04
4B041LK07
4B041LK09
4B041LK13
4B041LK41
4B047LB05
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF01
4B047LG03
4B047LG15
4B047LG27
4B047LG60
4B047LG62
(57)【要約】
【課題】食材に塩味を付与し、白濁が抑えられた液体調味料を提供する。
【解決手段】液体調味料は、塩味を有しており、食材に塩味を付与する液体の調味液である。液体調味料は、でん粉分解物を、0.5質量%以上30質量%以下の範囲内で含有しており、当該でん粉分解物は、DE値(デキストロース当量)が28以下である。液体調味料は明度が高い調味液であり、白濁が確認されない。この液体調味液に生鮮食材である青果などを浸漬し、漬け置きすることで、生鮮食材に塩味を含む味が付与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストロース当量が28以下であるでん粉分解物を0.5質量%以上30質量%以下の範囲内で含有する液体調味料。
【請求項2】
CIE1976L色空間におけるL値が20以上である請求項1に記載の液体調味料。
【請求項3】
加工でん粉の含有率は、高くても0.3質量%である請求項1または2に記載の液体調味料。
【請求項4】
食塩の含有率は、高くても7質量%である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体調味料。
【請求項5】
還元水あめを少なくとも4質量%の含有率で含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
食塩摂取量を抑えるための調味料として減塩調味料が広く流通している。しかし、食塩の含有量を抑えることで塩味が弱く感じられる等の理由から、塩味を増強する手法が提案されている。例えば特許文献1には、糊化でん粉(糊化したでん粉)を増粘剤として用いたドレッシング等の液体調味料が記載されている。
【0003】
また、液体調味料として、野菜や果物などの青果や魚、肉等の生鮮食材を漬け置きすることによりこれら食材に味を付与する調味料が知られている。例えば、野菜を短時間浸漬して塩味のある浅漬けにする液体調味料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-259822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、液体調味料においては、特許文献1に記載されるように糊化したでん粉を含有させた場合には、液体調味料が白濁した外観になることがある。このような白濁、すなわち白い微細な析出物が見える外観になることは、明度の高い液体調味料においては特に顕著に目立ち、製品としては好まれない場合もある。例えば、浅漬けに用いる液体調味料は明度の高いものが多く、これにより食材の外観を悪化させないという利点があるが、白濁はこうした利点を損なうので抑制されることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、食材に塩味を付与し、白濁が抑えられた液体調味料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体調味料は、デキストロース当量が28以下であるでん粉分解物を0.5質量%以上30質量%以下の範囲内で含有する。
【0008】
CIE1976L*a*b*色空間におけるL*値が20以上であることが好ましい。
【0009】
加工でん粉の含有率は、高くても0.3質量%であることが好ましい。
【0010】
食塩の含有率は、高くても7質量%であることが好ましい。
【0011】
還元水あめを少なくとも4質量%の含有率で含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、白濁が抑えられ、食材に塩味を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の一例である液体調味料(以下、調味液と称する)は、食材に塩味を含む味を付与するための液体の塩味調味料である。この調味液は、喫食される食材が例えば漬け置き(浸漬された状態で静置)されることにより、食材に浸み込む。漬け置きされた後の食材は、加熱処理(加熱調理)を経ることなくそのまま喫食に供することができる。このように、本例の調味液は漬物用途として用いることができる漬物用液体調味料であり、漬け置きした食材を非加熱で喫食に供することができる非加熱喫食用の液体調味料である。漬け置きに加えて、または代わりに、調味液に浸漬した状態の食材を揉むなど、食材を押圧することにより、調味液の食材に対する浸み込みを促進してもよい。
【0014】
漬け置きされる食材としては、生鮮食材でもよいし、生鮮食材を予め加熱処理(以下、予備加熱処理と称する)した加熱処理済み食材でもよい。生鮮食材は、野菜や果物などの青果、魚、肉である。予備加熱処理としては、焼く処理、茹でる処理、蒸す処理等があり、加熱には公知の手法を用いてよい。
【0015】
調味液が漬物用液体調味料である場合に、漬け置きする生鮮食材の野菜は特に限定されず、例えば、キュウリ、白菜、茄子、キャベツ、大根、カブ、トマト、人参、ミョウガ、セロリ等を挙げることができる。
【0016】
漬け置きする間の温度(以下、漬け置き温度と称する)は、2℃以上常温(室温,概ね25℃)以下の範囲内が好ましく、2℃以上であることにより2℃未満である場合に比べて調味液が食材の中により浸み込みやすく、味の同程度の濃さに達するまでの時間がより短時間で済む。漬け置き温度が常温以下であることにより、常温より高い温度である場合に比べて、食材の鮮度がより確実に維持される。漬け置き温度は、3℃以上10℃以下の範囲内がより好ましく、3℃以上8℃以下の範囲内がさらに好ましい。ただし、漬け置きの温度は食材に応じて適宜設定することができ、漬け置きしている途中で変えてもよい。
【0017】
短時間の漬け置き後に、非加熱でそのまま喫食に供する場合、すなわち浅漬けの場合の漬け置きする時間(以下、漬け置き時間と称する)は、3分以上12時間以下の範囲内が好ましく、5分以上8時間以下の範囲内がより好ましく、15分以上1時間以下の範囲内がさらに好ましい。浅漬けよりも十分に食材を漬ける場合の漬け置き時間は、浅漬けの場合の漬け置き時間よりも長くすればよい。漬け置きの時間は、食材、漬け置きする間の温度、喫食者の嗜好、漬け置き後の加熱処理の有無等に応じて、適宜設定してよい。
【0018】
食材によっては、漬け置きの後に加熱処理を施してから、喫食に供することもできる。調味液は、漬け置きとは異なる用途にも利用することができる。食材によっては、和えるだけで喫食に供することもできる。
【0019】
調味液は、水で希釈して喫食に供される場合もあるし、あるいは薄めることなく喫食に供される場合もある。希釈されて用いられる場合の調味液は、2倍以上5倍以下の範囲内に希釈されて用いられるように構成されていてもよい。すなわち、調味液11の質量をMAとし、水の体積をMWとするときに、調味液は、(MA+MW)/MAで求める希釈比率を2以上5以下の範囲内に設定するように構成されていてもよい。希釈比率が2以上であるように構成することにより、2未満であるように構成する場合に比べて、保存期間が長期化されるなどの利点がある。希釈比率が5倍以下であるように構成することにより、5倍を超えるように構成する場合に比べて、調味液の水以外の素材を十分に配合することができるから、喫食者の嗜好に応じた希釈比率に調整しやすい。
【0020】
調味液は、DE(Dextrose Equivalent,デキストロース当量)が28以下であるでん粉分解物を、0.5質量%以上30質量%以下の範囲内で含有している。含有率を示す質量%は、調味液の質量をMAとし、DEが28以下であるでん粉分解物の質量をMBとするときに、(MB/MA)×100で求める濃度である。DEは、還元糖をグルコースとして測定し、その還元糖の全固形分に対する割合を百分率の数値で表した値であり、でん粉分解物の分解度の指標となる値である。DEの最大は100である。「DEが100である」とは固形分の全てがぶどう糖であることを意味する。また、DEが小さくなるほど、少糖類や多糖類が多いことを意味する。でん粉分解物の場合には、多少なりとも分解しているので、DEは0より大きく100以下である。
【0021】
調味液は、DEが28以下、すなわち0より大きく28以下の範囲内であるでん粉分解物を0.5質量%以上含有しているから、含有率が0.5質量%未満である場合(含有率が0である非含有の場合を含む)と比べて、塩味物質(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)の含有率が互いに同じであっても塩味がより強く感じられる。そのため、塩味物質の含有率を下げた配合とすることができ、調味液は減塩液体調味料として有効である。調味液におけるDEが28以下のでん粉分解物の含有率が30質量%以下であるから、30質量%を超える場合に比べて、微細な白い析出物の発生が確実に抑えられ、白濁が確実に抑えられた調味液となる。例えば、DEが28以下のでん粉分解物としてDEが4であるでん粉分解物を40質量%の含有率で含有する調味液においては、白い濁りが確認されている。DEが28以下であるでん粉分解物の調味液における含有率は、0.5質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.5質量%以上2質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
【0022】
減塩液体調味料とするために食塩の含有率を下げると、酸味が強く感じられる傾向があり、一方、後味の厚みを強くすることで酸味は減退する(分かり辛くなる)。この点、DEが28以下であるでん粉分解物のうち、DEが低い(例えばDEが4の)でん粉分解物を用いた場合には、後味の厚みがやや弱めの調味液になり、酸味がやや強く感じられる傾向になる。一方、DEが16を超える高めのでん粉分解物を用いた場合には、しっかりと厚みが付与された後味の調味液になり、塩味を増強しながらも後味に厚みが出るのでより好ましい。このようにDEを28以下の範囲で高めにすることによる後味の厚みの向上は、DEが高いほど分子量は小さいため、調味液が舌に残りやすいことに起因すると推定される。また、DEが16を超える高めのでん粉分解物を用いた場合には、後味に厚みが出ながらも、酸味もバランスよく感じられる調味液となる。また、後味に厚みが付与されると塩味が強く感じられる傾向があり、DEが28以下のでん粉分解物の中でもDEが16を超えるでん粉分解物は、16以下であるでん粉分解物に比べて、食塩の含有率をより下げた調味液とすることができる。
【0023】
調味液は、DEが29以上であるでん粉分解物を含有してもよい。ただし、DEが29以上であるでん粉分解物の含有物は、調味液における含有率が高いほど、調味液の甘味が増す傾向と、塩味が弱まる傾向との少なくともいずれか一方の傾向があるから、できるだけ低い含有率に抑えることが好ましい。DEが29以上であるでん粉含有物の含有率は、具体的には、高くても1質量%とすることが好ましく、0質量%(非含有)であることが、DEが28以下であるでん粉分解物の含有率が5質量%以上30質量%以下の範囲内であることによる塩味の増強効果を減じない観点で好ましい。
【0024】
調味液は、DEが28以下、かつ、DEが互いに異なる複数種類のでん粉分解物を含有してもよい。このようにDEが28以下の範囲内で互いに異なる複数種類のでん粉分解物を含有する場合には、これらの総質量が調味液において0.5質量%以上30質量%以下の範囲内の含有率となるように、調味液に含有されていればよい。すなわち、DEが28以下の範囲内で互いに異なるn種類(nは2以上の自然数)のでん粉分解物の各質量をMB1,MB2,MB3,・・・,MBnとするときに、{(MB1+MB2+MB3+・・・+MBn)/MA}×100で求める含有率が0.5質量%以上30質量%以下の範囲内となっていればよい。
【0025】
調味液は、CIE(国際照明委員会)1976L色空間におけるL値(以下、単に「L値」と称する)が20以上であることが、例えば漬物用液体調味料などのように食材の外観を損なわないために好ましい。また、L値が20以上である明度の場合に、白濁は顕著に視認されやすいので、DEが28以下であるでん粉分解物の含有率が5質量%以上30質量%以下の範囲内であることによる白濁の抑制効果が、より顕著となる。
【0026】
白濁の視認されやすさを、参考実験1~5により確認している。参考実験1~5は、白濁を招きやすい加工でん粉の性質を利用して行っており、カラメルを互いに異なる含有率で含有させることにより、明度が互いに異なる調味液の参考サンプルを調製している。表1に参考サンプルの処方と、L*値と、白濁の視認されやすさの評価結果とを示す。
【0027】
【表1】
【0028】
値は、色の明度を表す指標であり、0を黒、100を白とし、0から100までの数値で明度を表す。L値は、市販の分光測色計によって測定することができる。本例でも市販の分光測色計を用いて測定しており、コニカミノルタジャパン(株)製の分光測色計CM-3600dを用いている。本例では、L値を、孔径12mmのターゲットマスクを用い、透過、2°視野、主光源Cの観察条件で測定している。なお、調味液は、野菜などの食材が細断された切片状の具材等を含有していてもよく、その場合には、具材をふるいなどで液体成分から除去する。そして液体成分のL値を測定して、測定したL値を調味液のL値とみなしてよい。
【0029】
調味液が漬物用液体調味料である場合には、透明な液体であることが、食材の外観を損なわないために好ましい。また、透明である場合に、白濁は顕著に視認されやすいので、DEが28以下であるでん粉分解物の含有率が5質量%以上30質量%以下の範囲内であることによる白濁の抑制効果が、より顕著となる。
【0030】
調味液は、加工でん粉(化工でん粉と表記される場合もある)を含有してもよい。ただし、加工でん粉は、調味液における含有率が高いほど、調味液の白濁を招く傾向があるから、できるだけ低い含有率に抑えることが好ましい。加工でん粉の含有率は、具体的には、高くても0.3質量%、すなわち0質量%以上0.3質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.3質量%であれば白濁が発生しないことが確認されている。加工でん粉を調味液の原料として用い、かつ、調味液の製造過程にて加熱処理を行った場合には、糊化したでん粉(以下、糊化でん粉と称する)を生じることがある。糊化でん粉は、調味液中で白い微細な析出物を形成しやすく、調味液に白濁を生じやすい。糊化でん粉による調味液の白濁を抑える観点でも、加工でん粉の含有率はできるだけ低く抑えることが好ましい。
【0031】
食塩の含有率は、高くても7質量%であることが、減塩調味料として利用するために好ましい。また、7質量%以下に食塩の含有率が抑えられていても、調味液にはDEが28以下であるでん粉分解物を0.5質量%以上30質量%以下の範囲内で含まれているから、塩味が十分に感じられる。食塩の含有率は、調味液を減塩調味料とする場合には、高くても6質量%であることがより好ましく、高くても5質量%であることがさらに好ましい。なお、食塩の含有率が数%以下というように極端に低い場合には、酸味が感じられやすくなる傾向があることが確認されている。なお、食塩の含有率は、食塩の質量をMCとするときに、(MC/MA)×100で算出している。
【0032】
食塩の含有率が低いほど、例えば野菜などの食材を浅漬けにする場合には漬かりが浅いが、調味液はDEが28以下のでん粉分解物を含有するから、漬かりが促進される。このような漬かりの促進化には、加工でん粉を調味液に含有させることも好ましい手法である。DEが28以下のでん粉分解物や加工でん粉は、食材の表面に対する食塩等の付着量を増やす効果があり、塩味等の味がより強く感じられるからである。
【0033】
調味液は、還元水あめを少なくとも4質量%の含有率で含有することが好ましい。すなわち、還元水あめの質量をMDとするときに、(MD/MA)×100で求める還元水あめの含有率は、4質量%以上であることが好ましい。これにより、例えば野菜を浅漬けにする場合の漬物用調味料として調味液を用いる場合に4質量%未満の場合と比べて野菜が漬かりやすい。このように、漬物用調味料としての調味液の場合には、還元水あめを含有させることで漬かりやすくなるため、漬物用調味料の中でも減塩液体調味料として用いる場合には、減塩タイプではない液体調味液の場合に比べて還元水あめの含有率を高くする方が好ましい。還元水あめの含有率は、減塩液体調味料として用いる場合には、4質量%以上15質量%以下の範囲内が好ましく、減塩タイプではない液体調味液として用いる場合には4質量%以上9質量%以下の範囲内が好ましい。なお、還元水あめは、水あめに水素を添加して得られる糖アルコールである。
【0034】
調味液は、その他の素材を含有してもよく、本例でもその他の素材として例えば醤油、食酢、グルタミン酸ナトリウム、水等を含有している。その他の素材としては、食塩の他、明度が高く保持されるもの、例えばL値が上述の範囲に保持されるものとして、どのような素材を加えてもよい。例として、砂糖、ショ糖、ブドウ糖液糖、果糖、異性化糖、及び高甘味度甘味料といった甘味料、畜産物や農産物や水産物等から得られる天然調味料、畜産物や農産物や水産物等から得られる具材、香辛料、品質改良剤、香料、保存料、安定剤、着色料、酸化防止剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。用いる形態は特に限定されず、液体、ペースト状、粉末及び顆粒状等のいずれであってもよい。
【0035】
調味液が漬物用液体調味料である場合には、油脂が含有されていない(非含有である)水系液体調味料であることが好ましい。油脂が含有されていないことにより、塩味がマスキングされることなく、過度に塩分を含有させずとも塩味を感じることができる。
【0036】
調味液は、含有させる原料(本例では水を含む)を混合して、例えば90℃まで加熱して透明になるまで溶解することで製造することができる。上記の加熱の処理は、行わなくてもよい場合もある。製造した調味液は、ペットボトルやガラスボトルなどの保存容器に充填して、容器を密封することが好ましく、本例でもそのようにしている。
【実施例0037】
[実施例1]~[実施例4]
DEが28以下で互いに異なるでん粉分解物を含有する4種の調味液を上記の製造方法により製造し、実施例1~4とした。各調味液の処方は、表2に示す。表2~後述の表3,表4において、処方は原料毎の質量%で示している。また、表2及び後述の表4における「DE〇〇」とは、DEが○○であることを意味し、例えばDE4とはDEが4であることを意味する。
【0038】
各原料は以下である。
還元水あめ;物産フードサイエンス(株)製
食塩 ;ナイカイ塩業(株)製
醤油 ;ヒゲタ醤油(株)製,塩分濃度16.9w/v%
醸造酢 ;キユーピー醸造(株)製
グルタミン酸ナトリウム;味の素(株)製
でん粉分解物 DE4;三和澱粉(株)製
でん粉分解物 DE16;三和澱粉(株)製
でん粉分解物 DE23;昭和産業(株)製
でん粉分解物 DE28;三和澱粉(株)製
でん粉分解物 DE42;昭和産業(株)製
【0039】
【表2】
【0040】
比較区としての調味液を表3に示す処方で製造し、各実施例で得られた調味液について、L値を測定するとともに、白濁、塩味、甘味を下記の方法及び基準で評価した。また、実施例4で得られた調味液については、キュウリの浅漬けでの塩味評価を下記のように行った。
【0041】
【表3】
【0042】
1.白濁
得られた調味液を目視で観察し、以下の基準で評価した。
合格 :白濁が視認されなかった
不合格:白濁が視認された
【0043】
2.塩味
得られた調味液を経口摂取し、以下の基準で評価した。
A:比較区と比べ塩味が強く感じられ、非常に好ましいものであった(合格)
B:比較区と比べ塩味がやや強く感じられ、好ましいものであった(合格)
C:比較区と塩味の強さが同等であり、塩味増強効果無し(不合格)
【0044】
3.甘味
得られた調味液を経口摂取し、以下の基準で評価した。
A:比較区と甘味が同等であり、非常に好ましいものであった(合格)
B:比較区と甘味がほぼ同等であり、好ましいものであった(合格)
C:比較区と比べて甘味がやや強いものの、許容できるレベルであった(合格)
D:比較区と比べて甘みがかなり強すぎて、塩味とのバランスを欠くレベルであった(不合格)
【0045】
4.キュウリの浅漬けでの塩味
実施例4で得られた調味液を用いて、キュウリの浅漬けをつくった。まず、キュウリを、5mm厚の斜め切りにした。キュウリ200gに対して、実施例4で得られた調味液を100mL加え、軽く揉んでキュウリに調味液をなじませた。その後、キュウリを調味液に浸漬させた状態で冷蔵庫に30分間静置し、静置後に余分な調味液を除去することで、キュウリの浅漬けとし、喫食して塩味を評価した。結果は、塩味がしっかりと感じられる良好なものであった。
【0046】
[比較例1]~[比較例2]
処方が実施例と異なる調味液を製造し、比較例1~2とした。各調味液の処方は、表2に示す。その他の条件は実施例1と同じである。
【0047】
各比較例で得られた調味液について、実施例1と同様の方法で評価した。結果は表2に示す。
【0048】
[実施例5]~[実施例9]
DEが28以下であるでん粉分解物として、DEが23であるでん粉分解物または4であるでん粉分解物を用い、互いに異なる処方の5種の調味液を製造し、実施例5~9とした。
【0049】
【表4】
【0050】
[比較例3]
処方が実施例と異なる調味液を製造し、比較例3とした。調味液の処方は、表4に示す。その他の条件は実施例1と同じである。
【0051】
比較例3で得られた調味液について、実施例1と同様の方法で評価した。結果は表4に示す。