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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024393
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】静電吸着板
(51)【国際特許分類】
   H01T 23/00 20060101AFI20220202BHJP
   H01T 19/00 20060101ALI20220202BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220202BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/00
F24F7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126946
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】304062432
【氏名又は名称】株式会社 リブレックス
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 宗敬
(57)【要約】
【課題】 空気中にイオンを供給するイオン発生器のイオンを制御し、帯電した粒子の吸着や反発を利用する空気清浄機構において、帯電防止材料を使用した安全な高電圧発生機構を用い、空気清浄機構の主たる構造物を機器本体の外部に、安全に設けることにより、部屋の各所に空気清浄機構を露出して、かつ、装置の外部で人が接触しても安全に配置できることを特徴とした、空気清浄機構の一部をなす帯電した粒子等の静電吸着、あるいは静電反発を行う装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン発生器と組み合わせて、空気中のイオンにより帯電した粒子状の構造物を吸着するため、もしくは、イオン反発させて、周囲の構造物にイオンが早期に吸収されること防止すイオン反発動作を行うイオンの吸収反発制御機構において、10の10乗~11乗の間の体積低効率を有す帯電防止樹脂を使用し、これを機器の外部に露出させて設置し、さらに圧電方式のコンパクトな直流電源を使用して絶対値として3~10kVの直流電圧を外部に露出設置された同帯電防止樹脂上発生させたことを特徴とするイオンの静電吸着または反発を制御する装置。
【請求項2】
請求項1において、透明な帯電防止板、または帯電防止ビニルを使用したエアパーテション構造からなる装置。
【請求項3】
イオン発生器と組み合わせて、空気中のイオンにより帯電した粒子状の構造物を吸着するため、もしくは、イオン反発させて、周囲の構造物にイオンが早期に吸収されること防止すイオン反発動作を行うイオンの吸収反発制御機構において、10の10乗~11乗の間の体積低効率を有す帯電防止樹脂を使用し、これを機器の外部に露出させて、一つ以上設置し、これらの周囲に電界を強化するための一つ以上の接地構造を有することを特徴とするイオンの静電吸着または反発を制御する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、イオン発生器等によるイオン帯電粒子等を効果的に吸着させて部屋を清浄に保つ静電吸着板、および、部屋のイオンの吸着を防止する静電反発板に関する。
【背景技術】
【0002】
田園地区では水場近傍で空気中に負イオンが多く発生し、都市部は負イオンの発生環境がないため、正イオンが多いこと知られている。これを受け、都市部での負イオン不足の健康等へ影響が1910年代からドイツ等で研究されてきた。近年の文献では、負イオンはストレスや不安の解消、減菌、ダニ等の減少等に効果があるとされている。これらの背景から、主として、空気中に負イオンの供給でイオンバランスを改善する各種のイオン発生器が提供されている。
【0003】
これらのイオン発生器の効果の一つとして、空気中のダストやウィルス等の粒子構造物をイオンが帯電させ、主として接地電位の周囲の構造物に付着することを促進することによる空気清浄効果がある。実際に部屋の中でイオンを発生させ、パーティクルカウンタで粒子数量をカウントすると、イオン発生直後から粒子の数量が減少していく様子が確認できる。その場合、例えばPM2.5等の非常に微細な粒子も低減するため、二次的に爽快感が得られることになる。
【0004】
このような、イオンによる帯電効果を用いた空気清浄手法は、たとえばトンネルの排気ガスを清浄化する電気集塵機等として知られている。また、その原理は一般家庭用の空気清浄機の一部にも使用されている。しかしながら、それらは、空気清浄器の機器の内部で限定的に行われ、部屋全体に期待しているものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2019-075928 (第22図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
イオン発生器の発生するイオンにより帯電した粒子は、イオン発生器の直近の椅子やテーブルなどの構造物に付着し、近接エリアの空気の正常化に貢献する。これは、イオン発生器が一種の部屋全体を空気清浄器であるかのような動作を行えることを示す。しかし、実際には構造物の表面電位は安定しないため、その効果は偶然の現象をともなうものとなる。
【0007】
また、イオン発生器から放出されるイオンを測定すると、現実環境では、到達距離は不安定となり、その多くが平均して1mの離隔程度で床に吸収されて、遠方までにイオンが到達することができないことが多い。このため、イオン発生器の多くは、床面より高所の棚の上等に設置して、少しでも遠方にイオンが届くようにすることが行われる。しかし、これによっても、イオン自身が周囲を帯電させて帯電環境を時々刻々と変化させるため、その方向が安定しない性質と、周囲の偶然の帯電状況による構造物に速やかに、かつ、ランダムに吸収あるいは反発されることが頻繁に発生することのため、イオンの到達現象は非常に不安定となる。あるときは部屋の中央まで届き、あるときは全く届かないという現象が発生する。これは、放電のアークが安定しないこととしてもよく知られている。
【0008】
これらのことより、周囲の構造物の帯電状態が偶然により大きく変化すること、イオンの挙動が安定しないことが主な原因となり、イオンを部屋に充満させて、それを空気清浄器として利用することを単純に行えなくしており、結果的に不安定な空気清浄器の構成となる。
【0009】
一方で、特許文献1に述べられている外部の電極や構造物を正負に課電させることで、イオンの吸収や、反発を制御して、このような不安定現象を制御することが提案されているが、外部の電極に課電させても安全な電圧は限られており、その電圧は現実的には400V前後となり、イオンの制御電圧として限界がある。
【0010】
たとえば、1000V程度の電圧を課電した場合は、その構造物の面積が大きければ、必ず周囲の漂遊容量で充電され、人が触るとバチっと放電し、痛みをともなう現象が頻発し、火花も発生するため、発火の可能性からもリスクが高くなる。このため、たとえば、面積を小さくし、そのブロックごとに放電制限抵抗を設ける、周囲の構造物に容易に触れられない構造等の複雑な機構が求められることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本案では、主としてウィルスや花粉等の人体に害をなす有害な粒子状構造物を、従来よりも効果的に、かつ、簡便に、安全に除去する手法を提案する。具体的には、イオン制御板として、高抵抗の素材を用いるものである。導電性の樹脂材料はその多くは低効率が低く、いわゆる導電性プラスチックとして10の6乗Ω前後の、導電性樹脂としては低い部類の樹脂が良く使用されている。これらは帯電防止機能としては優秀であるが、本案目的のイオン制御板とするには問題がある。なお、以降では電圧としてプラスであるかマイナスであるかは特に必要と思われるとき以外は言及せず、絶対値としての値として電圧を表現するものである。
【0012】
これらの導電性プラスチックでは低効率が小さすぎて、たとえば30cm四方の板材を構成すると、端と端の両端の抵抗は、樹脂材料にもよるが、たとえば1MΩ前後となる。この値の場合の短絡回路が生じたときを想定した漏れ電流は、1000Vで1mAとなり、充分に電気的ショックをともなった感電現象が発生する。このため、電流制限抵抗を挿入して漏れ電流を低減させるが、周囲の構造物との静電容量により、電荷が蓄積された場合は、やはり電気的なショックを伴う放電現象が発生する。
【0013】
このため、種々の体積低効率の板材により実験を行い、本案では10の10~11乗Ωの体積低効率の板材が最も効果的であることが判明し、その材料を主として採用している。この値の材料は、導電性プラスチックではなく、一般に帯電防止プラスチックと言われる領域の材料となる。この値より大きいと、帯電効果を得る為に時間がかかる、つまり、周囲の容量結合分を高抵抗で充電することとなり、帯電板の電圧が上がるまでに数十秒以上を要する結果となる。また、周囲の絶縁物や、固定の絶縁物の表面が汚損されて結露した状態とほぼ同等となるため、それらの合成抵抗となることから、安定した計算通りの帯電電圧を維持することが困難となる。さらに、この値よりも低い抵抗率の場合は、前述したパチっとした放電によるショックが発生し、人体への感電ショックや、火災リスクが増大するため好ましくない。結果的に10の10乗~11乗Ωのものが、安全に、安定した帯電電圧を維持できることが確認された。この低効率のものは導電材料ではなく、帯電防止材料なので、イオン制御板の名称も適切ではなく、触れても大丈夫なことから、本案では静電制御板、あるいは個別用途により静電吸着板、静電反発板としている。
【0014】
これらの10の10乗~11乗Ωの帯電防止材料を使用した構成の場合は、帯電電圧を用に上昇させても安全であり、たとえば10kVの帯電時の短絡時の放電現象もみられず、従来の400Vに比較して25倍の電圧まで上げても、安全であり、人体が触れても、なんのショックもなく、当然であるが微小な火花も発生せず、周囲の構造物との容量による放電の変化などのリスクもなく、充分に安全に使用できることが確認できた。通常の摩擦等で発生する着物の帯電とほぼ同等であり、さらに、電圧を10kV程度とすることでバチバチと微小な放電が起こることもないことも確認した。
【0015】
この構成で、10kVで帯電させ、たとえば髪の毛等を近づけると、いわゆる静電気と同等の現象が容易に再現できるようになり、イオンも従来よりも格段に制御できることを確認した。たとえば、イオンを反発できる距離や、イオンを吸収できる距離なども、従来の400Vタイプに比べて、容易にイオンの軌道を制御できるものとなった。たとえば、従来のタイプでは数cmまで近づけて、ようやくイオン軌道を変えられたが、本案の静電制御板の構成では安全を確保できることから電圧も高くできたため、周囲の電界にも依存するが、数10cm程度の離隔からイオン軌道への影響を確認することができたものである。
【0016】
また、従来方式では小型のトランスを使用して、400Vを発生させていたが、本案では10kVという大きな電圧をくわえられ、かつ、非常に高抵抗であることから電流容量を必要としない構造となる。このため、たとえば、圧電効果による非常に小型な高電圧発生ユニットを使用することができる。実際に、電流容量が100μA以下の圧電効果素子を使用して、本案の10の10乗~11乗Ωの静電制御板で実験した結果は良好であり、イオンの流れを充分に効果的に吸収したり、反発させたりすることができることも確認した。
【0017】
なお、これらの静電吸着板を、イオン発生器のたとえば前面等に設けることで、より効果的にホコリやウィルスなどを静電吸着板に吸収させることが可能となり、さらに、帯電電圧値が高いため、従来のようにどのくらい帯電しているか不明である周囲の構造物に影響されずに、偶然の帯電にあまり影響されずに制御することが可能となる。
【0018】
なお、圧電素子タイプの小型の高電圧発生器は、プラスとマイナスの両者を結合しても問題なく動作するため、プラスの発生器とマイナスの発生器の出力を直接接続することが可能となるため、大型の高電圧のスイッチを使用しなくても、容易にプラスに帯電させたり、マイナスに帯電させたりできる。このため、プラスのイオンやマイナスのイオンを検出して、自動で極性を変更する等の制御も可能となるものである。これらの圧電素子タイプの高電圧発生ユニットは一般で小型であり、また、電流容量も小さいため電池でも動作し、静電制御板の端に手のひらに乗るようなユニットとして構成することが可能であり、装置として意識されることなく構成することが可能となる。
【0019】
静電制御板、個別には静電吸着板、静電反発板となるが、これらの形状は、カーテンや棒状、糸状、あるいは透明なパーテション状にすることも、容易に可能となる。帯電防止のカーテンや、帯電防止のビニルシート等はすでに供給されており、それらの薄い透明シートによっても試験を行い、板状の材料と全く同一の効果が得られることを確認したものである。たとえば、パーテションに付属させたり、カーテンや天井照明の反射板として併用させたり等で、食堂や会議室などの人が集まる場所での、ウィルス防止に効果的に使用できるものである。たとえば、イオンにより帯電させた粒子は、人体の近傍に設けた静電吸収板により、人体に届く前に吸収され、有害な粒子を限りなく人体に近づけない防止装置としても動作させることも可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のイオン制御板
図2】イオンの吸収と反発のイメージ図
図3】ホコリのカウント値と、イオン制御板の電圧との関係説明図
図4】従来のイオン制御板の構成の例
図5】本案の静電吸収板の構成例
図6】把持型のイオンセンサの例
図7】パーテションに応用した例
図8】カーテンに応用した例
図9】ワンタッチ型の交換可能な静電吸収板構造の例
図10】壁掛け等で、背面に絶縁板を設けた、絶縁低下防止型の静電吸着板
図11】静電吸着板の多連構造の例
図12】穴あき型の静電吸着板の例
図13】穴あき型の静電吸着板の前に接地メッシュを置いた例
図14】静電吸着板の前に接地ワイヤーのすだれ構造を置いた例
図15】静電吸着板と接地ワイヤーを交互に置いた例
図16】極性の異なる静電吸着板と接地ワイヤーを交互に置いた例
図17】電源を不要とし、静電誘導で帯電する静電吸着板(負帯電)の例
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に従来例を示すが、イオンにより帯電した粒子を吸着するためには電極11はイオン制御板3、4とある程度導通している必要があり、体積低効率が10の6乗Ω程度の導電性樹脂12で導通していることから電撃ショックは避けられないため、電圧を400V程度に制限する構成となっている。
図2は、本案の動作例であるが、プラス高電圧発生ユニット8により+10kVの高電圧を発生させ、帯電防止樹脂13からなる静電吸着板6を構成する。これにより、従来の25倍高い電圧で、ほぼ静電気とおなじ状態でマイナスイオンに帯電した粒子を効果的に吸着させることが可能となる。
また、マイナス高電圧発生ユニット9が接続される静電反発板7は、マイナスイオンが途中で床面に吸収されないように反発させる効果がある。
【0022】
図3は、マイナスイオンに帯電した粒子の吸着効果の例である。電圧が高いほど、部屋のホコリのカウント数が低下する傾向を図示したものである。本案では、効果的な空気清浄効果を得るために、可能な限り高い電圧を使用することも一つの目的としている。
通常の空気清浄器と異なり、部屋全体をイオンで満たせて、部屋の一部に安全な吸着機構を設けることにより、部屋の一部に集中しておかれる空気清浄器と異なり、安全なほこり吸着や反発の制御部を装置の外部に露出させ、部屋全体を空気清浄器として動作させることを目的の一つとしているものである。
【0023】
図4は比較のための、従来例であるが、商用電源16をトランス17で昇圧して、電流を制限して感電を防ぐための限流抵抗18を経て、この例ではプラスの直流電圧を得るためのダイオード19を介して、安全な出力電圧400Vを得ている。400Vに保たれた電極11は、導電性樹脂11によりおおわれるが、導電性樹脂11は一般に体積低効率が低く、10の6乗前後となり、これ以上電圧を高くすると、周囲の静電容量で充電された電荷が低い抵抗により、短絡時には大きな値で流れるため、電撃ショックや、火花の派生現象がおきるものであり、装置外部に露出させて設置するためには電圧を低く抑えざるをえない。しかし、電圧を低くすると目的とする帯電粒子の吸着効果を充分に得られないこととなる。また、トランス17も一般的には大きなサイズとなる。
【0024】
図5は、これらを改善したものであり、電池等の直流電源15を圧電型高圧発生ユニット14に接続している。電源は電池などや、一般の直流電源でもよく、圧電型の高圧発生ユニットを使用しなくても同等の効果がえられればよい。しかし、この例では、従来では電流容量が小さくて使用できなかった圧電型高圧発生ユニットを使用しているものである。これは電流容量が小さいが、サイズも小さいこともあり、小型化に効果があるため、採用したものである。
従来型では、比較的に低抵抗の導電性樹脂12を使用していたため、外部の接地構造などに触れると容易に制御板の電圧が低下するため、電圧低下を抑える目的である程度の電流容量が必要であった。しかし、10の10乗~11乗の高い体積抵抗率の樹脂、すなわち帯電防止樹脂13を用いることで、周囲の接地構造物に触れても、電圧が低下するのは触れた部分の周囲だけであり、板全体が分布抵抗をなすことから、電流容量も低い容量で許容できる結果となるものである。この構造により、従来では安全上や偶然の接地構造に接触した場合の問題があった電圧で、特に3kV~10kVの電圧において、コンパクトでコスト的にも、性能的にもバランスの取れた効果的な動作が得られた。
【0025】
図6は、本案を透明なパーテションにしたものである。パーテションは帯電防止樹脂13で構成された、静電吸着板6を構成する。帯電防止樹脂のため、手で誤って触れても、その高い抵抗率により、感電のショックもなく、またその高い分布抵抗特性から、火花等も発生しないため安全であり、帯電しているというだけで、イオン吸収性能をなんら意識することなく使用できるものである。この例では、イオン発生器により発生し、部屋に充満するマイナスイオンが、ホコリ等の粒子をマイナス帯電させ、その粒子をパーテションで補足トラップして、人体に害をなす前に吸着してしまうものである。
【0026】
図7は、カーテン型の静電吸着シートの例である、帯電防止タイプの低効率であれば、ビニル等でも容易に供給できる。さらに、前述の小型のプラス圧電型高電圧発生ユニット8を使用すれば、特に装置を使用している感なく自然に使用できるものである。また、誤って触れたりしても、通常の帯電しているビニルとほぼ同等のため、なんら違和感なく。安全に使用できるものである。
【0027】
図8は、静電吸着板6を挟み込んで固定するタイプの構造25であり、静電吸着板6の形状を自由にカットしてデザインでき、好きなインテリア構造とすることも可能となる。
静電吸着板6はスリット構造26にはめ込まれ、内部のバネコンタクト27で高電圧に導通されるものである。
【0028】
図9は、静電吸着板6が裸の場合に、壁掛け等で壁の接地電位に高電圧が逃げることを防止するものである。帯電防止樹脂は高抵抗のため、壁に触れてもそれほど電圧降下しないが、全体が触れると無視できないほど低下する。このため、このような絶縁板を背面にはることにより、これを防止できる構造としたものである。
【0029】
なそ、前述において、主として吸着板について例を述べているが、反発板に置き換えてもよいことは当然であり、明示次項ゆえに説明簡便化のために言及を省略してあるものである。また、圧電型高電圧発生器の特徴として、プラス用とマイナス用を直接つないだ構成については、図示しないが、一つのものでプラスもマイナスも交互に帯電状況を変えることができる機器を提供できるものである。このように、特に低効率の高い、帯電防止型の樹脂等を使用し、それにより小型の圧電タイプの電源を使用した、コンパクトな高電圧の帯電装置の提供が可能となるものである。
【0030】
図11は、静電吸着板6を複数設けて、間に空気が流れるようにしたものである。あまり大きな静電吸着板6にすると、中央部の電界形状が均一になり、帯電した粒子等を吸着する電界力が小さくなる結果、静電吸着板6の端部にのみほこりが吸着して効率が悪化する。このため、適度なサイズに分割し、帯電粒子の吸着性を改善した例である。この例ではプラスの電源を使用しているが、当然であるがマイナスの電源でもよい。
【0031】
図12は、図11において、分割するかわりに、静電吸着板6の内側を適度にカットして、空気の通りをよくし、かつ、周囲とのエッジ構造を増やしたものである。エッジ構造部が増えると周囲のとの電界がエッジに集中するため、ほこりの吸着性が改善されるものである。
【0032】
図13は、前述のように静電吸着板6のエッジ部を増やすのではなく、前面に接地メッシュ構造31を設け、これにより静電吸着板6の周囲の電界を強制的に強化、改善する構造としたものである。このような構造は集塵器の基本構造でもある。言い方を変えると、本案は静電吸着板、または反発板を採用することにより、安全に集塵器の基本構造をそのままむき出しにすることを可能としているものである。
図14は、同様に静電吸着板6の前面側に、電界強化用の接地ワイヤーすだれ構造32を設けたものである。いずれも、機器内部の構造ではなく、機器の外部に構成されたむき出しの構造で、かつ、安全構造であることが重要である。機器の外部のむきだし構造であり、部屋のどこにでも置けるため、効率がよくなり、部屋の各所にインテリアとかねて設けることもでき、効率的な空気清浄効果とデザインによっては背景に溶け込ませる効果もえることが可能となる。
なお、本例ではワイヤーを使用しているが、針形状でもよい。また、高圧電源は大型になった場合は圧電型である必要はなく、トランス等を用いてもよいのは当然である。
【0033】
図15は、静電吸着板6と接地ワイヤー33を交互に配置した例であり、相互間の電界が強化され、空気が通過時にほこりを吸着しやすく、また、奥行きを小さくすれば、コンパクト化が可能となり、部屋の各所への配置も容易である。
図16は、より電界を強化するために、静電吸着板6の極性を交互にプラスとマイナスと分けたものである。
なお、接地ワイヤー33は同様に針形状でもよく、また、電源もトランスを使用してよいことも同様である。
【0034】
図17は、電源がない構成の例である。この構造の例では周囲の静電誘導、たとえば電源線などで自然に帯電させる、あるいは、専用に図示 しない高電圧の交流の電源線等を配置して静電誘導などで意図的に帯電させることを意図している。ダイオード19を使用し、静電吸着板6、これはダイオード9の極性を反転させて静電反発板7としてもよいが、これを図示しない近傍に配置した電源線の静電誘導により帯電させることが可能となる。放電抵抗35は安全のために必要な場合は挿入してもよいが、この値は有効に動作させるためには1000MΩを超えるので、通常は不要である。
【符号の説明】
【0035】
1 マイナスイオン発生器
2 マイナスイオン(または帯電した粒子)
3 イオン制御板(マイナスイオン吸収用)
4 イオン制御板(マイナスイオン反発用)
5 家の部屋のイメージ図
6 静電吸着板
7 静電反発板
8 プラス高電圧発生ユニット
9 マイナス高電圧発生ユニット
10 接地
11 電極
12 導電性樹脂
13 帯電防止樹脂
14 圧電型高圧発生ユニット
15 直流電源
16 商用電源
17 トランス
18 限流抵抗
19 ダイオード
20 テーブル
21 パーテション型静電吸着板
22 カーテン型の静電吸着シート
23 スイッチング電源(100V/3Wの例)
24 商用電源プラグ
25 静電吸着板を挟み込んで固定するタイプの構造
26 スリット構造
27 バネコンタクト
28 絶縁板
29 壁トメ用の釘
30 壁
31 接地メッシュ構造
32 接地ワイヤーすだれ構造
33 接地ワイヤー
34 接地板
35 放電抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17