(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024398
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】開錠制御装置、および扉開錠システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20220202BHJP
G07C 9/25 20200101ALI20220202BHJP
【FI】
E05B49/00 Z
E05B49/00 J
E05B49/00 R
G07C9/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126954
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108177
【氏名又は名称】セントラル警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】石津 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】大用 剛
(72)【発明者】
【氏名】舘野 勇気
(72)【発明者】
【氏名】三谷 武士
(72)【発明者】
【氏名】原田 茂雄
【テーマコード(参考)】
2E250
3E138
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250AA03
2E250AA12
2E250BB05
2E250BB09
2E250BB47
2E250CC12
2E250DD06
2E250DD08
2E250FF08
2E250FF11
2E250FF27
2E250FF36
3E138AA01
3E138CA03
3E138CC03
3E138FA03
3E138GA02
3E138JA03
3E138JB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ICカードの認証を受ける最終段階で利用者がICカードを探し始めた場合に、認証動作の認証期限を延長できる開錠制御装置、および扉開錠システムを提供する。
【解決手段】開錠制御装置は、ICカードから取得した識別情報に基づいてICカードを認証する認証動作を行うICカード認証部と、ICカードが認証された場合に、開錠装置に開錠指令を入力する開錠指令部と、を有する。ICカード認証部は、カメラからの映像を監視し、カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、認証動作の認証期限を第1時点までとし、カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、認証期限を第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする認証期限設定動作を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開錠装置に開錠指令を入力して当該扉を開錠させる開錠制御装置において、
カメラと、
温度検出装置と、
ICカードからICチップに記録された識別情報を取得するカード情報取得装置と、
前記カメラ、前記温度検出装置、および前記カード情報取得装置が通信可能に接続された制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記カメラからの映像を監視して、前記映像内の顔を検知する顔検知部と、
前記映像内に顔が検知されると、前記温度検出装置からの温度情報に基づいて前記カメラが撮影している対象者の体温を取得する体温取得部と、
前記体温が予め定めた設定体温以下であるか否かを判定する発熱判定部と、
前記発熱判定部が、前記対象者の前記体温が前記設定体温以下であると判定すると、前記カメラからの映像に基づいて前記対象者がマスクを着用しているか否かを判定するマスク着用判定部と、
前記マスク着用判定部が、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記カード情報取得装置に前記識別情報を取得させて当該識別情報に基づいて前記ICカードを認証する認証動作を行うICカード認証部と、
前記ICカードが認証された場合に、前記開錠装置に前記開錠指令を入力する開錠指令部と、を有し、
前記ICカード認証部は、前記カメラからの映像を監視し、前記カメラからの映像に前記顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、前記認証動作の認証期限を予め定めた第1時点までとし、前記カメラからの映像に前記顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、前記認証期限を前記第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする認証期限設定動作を行うことを特徴とする開錠制御装置。
【請求項2】
表示装置を有し、
前記制御部は、前記マスク着用判定部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記表示装置にマスクの着用を促すメッセージを表示するとともに、前記カメラからの映像に基づいて前記対象者がマスクを着用しているか否かを再判定する再判定部を有し、
前記ICカード認証部は、前記再判定部が前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記認証動作および前記認証期限設定動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の開錠制御装置。
【請求項3】
前記再判定部は、前記マスク着用判定部による判定の時点から予め定めた判定時間が経過するまでの間に前記対象者がマスクを着用していると判定できない場合には、前記対象者がマスクを着用していないと判定することを特徴とする請求項2に記載の開錠制御装置。
【請求項4】
前記再判定部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記ICカード認証部は、前記認証動作を行わないことを特徴とする請求項2または3に記載の開錠制御装置。
【請求項5】
記憶装置を有し、
前記記憶装置には、予め、前記扉の開錠にマスクの着用が必須か否かを示す開錠条件情報が記憶保持され、
前記ICカード認証部は、前記記憶装置を参照し、前記開錠条件情報として前記扉の開錠にマスクの着用が必須でないことが記憶保持されている場合には、前記マスク着用判定
部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記認証動作および前記認証期限設定動作を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の開錠制御装置。
【請求項6】
熱源検出装置を有し、
前記制御部は、前記カメラの撮影範囲に侵入した熱源を検出する熱源検出部を備え、
前記熱源検出部は、前記熱源検出部が前記熱源を検出すると前記カメラに撮影を開始させることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の開錠制御装置。
【請求項7】
前記熱源検出装置は、前記温度検出装置であることを特徴とする請求項6に記載の開錠制御装置。
【請求項8】
音声装置、を有し、
前記熱源検出部は、前記熱源を検出すると、前記音声装置からマスクの着用を促す音声を流すことを特徴とする請求項7に記載の開錠制御装置。
【請求項9】
タイマーを有し、
前記発熱判定部は、前記体温が予め定めた設定体温以下であると判定すると、前記タイマーを動作させ、
前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とすることを特徴とする請求項1に記載の開錠制御装置。
【請求項10】
タイマーを有し、
前記マスク着用判定部は、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記タイマーを動作させ、
前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とすることを特徴とする請求項1に記載の開錠制御装置。
【請求項11】
タイマーを有し、
前記再判定部は、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記タイマーを動作させ、
前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とすることを特徴とする請求項2から4のうちのいずれか一項に記載の開錠制御装置。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の開錠制御装置と、
前記開錠制御装置から開錠指令が入力されると扉を開錠する開錠装置と、
を有することを特徴とする扉開錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を開錠する開錠装置を動作させる開錠制御装置に関する。また、開錠装置および開錠制御装置を備える開錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が所有するICカードを、認証装置により認証して、建物の入り口に設置されたゲートやオフィスのドアなどの扉を開錠する入場管理システムは、特許文献1、2に記載されている。
【0003】
特許文献1の入場管理システムでは、ICカードとして、鉄道用ICカードを用いる。利用者は、入場の許可を得る際に、ICカードをカード情報取得装置に接近或いは接触させる。これにより、ICカードのICチップに保持された識別情報は、近距離無線通信によりカード情報取得装置に取得される。取得された識別情報は、カード情報取得装置から認証装置に送信される。認証装置では、識別情報に基づいてICカードの認証動作を行う。認証動作では、認証装置は、入場許可者のデータベースを参照し、データベースに記録された入場許可者の識別情報とICカードから取得した識別情報とが一致する場合に、ICカードを認証する。ICカードが認証されると、認証装置は、扉を開錠する開錠装置に開錠指令を入力する。
【0004】
特許文献2に記載の入場管理システムは、ウイルスなどによる感染症の流行を防止するために、利用者のマスクの着用と、利用者の体温とを確認した後に、ICカードの認証を行う。マスクの着用の有無は、カメラによって利用者を撮影し、顔画像の撮像データを画像解析して、判定する。体温は、サーモグラフィーによって取得した利用者のサーモグラフを解析して、取得する。マスクの着用が認められ、かつ、体温が平熱であることが確認されると、利用者は、ICカードの識別情報をカード情報取得装置に読み取らせる。これにより、ICカードの認証動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-310683号公報
【特許文献2】特開2010-217999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスクの着用や体温の確認を行う入場管理システムでは、利用者は、ICカードをカード情報取得装置に読み取らせる前に、マスクを着用したり、体温測定を受けたり、する必要がある。従って、マスクの着用が確認され、かつ、体温が平熱であることが確認されたときに、利用者の手元にICカードが準備されていない場合がある。例えば、マスクの着用が確認され、かつ、体温が平熱であることが確認されたときに、ICカードが利用者のカバンの中に入っている場合がある。このような場合に、利用者は、カバンの中からICカードを探し出し、しかる後に、ICカードをカード情報取得装置に読み取らせなければならない。
【0007】
ここで、マスクの着用が確認された時点、或いは平熱が確認された時点を起点としてICカードの認証動作の認証期限が設定されていない場合には、利用者がカバンの中のICカードを探し出せないときに、第三者が利用者の前に割り込んでICカードの認証を受けて不正に入場するという事態が発生する可能性がある。この一方で、ICカードの認証動
作に認証期限を設定した場合には、利用者がICカードを探している間に認証期限が過ぎてしまい、扉が開錠されない場合が発生する。この場合、利用者は、マスクの着用の確認、体温の確認、およびICカードの認証を、最初からやり直す必要がある。従って、入場希望者が複数いる場合には、扉の前で入場希望者の渋滞が発生するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、ICカードの認証を受ける段階で利用者がICカードを探し始めた場合などに、ICカードの認証動作の認証期限を延長できる開錠制御装置、および扉開錠システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、扉の開錠装置に開錠指令を入力して当該扉を開錠させる開錠制御装置において、カメラと、温度検出装置と、ICカードからICチップに記録された識別情報を取得するカード情報取得装置と、前記カメラ、前記温度検出装置、および前記カード情報取得装置が通信可能に接続された制御部と、を有し、前記制御部は、前記カメラからの映像を監視して、前記映像内の顔を検知する顔検知部と、前記映像内に顔が検知されると、前記温度検出装置からの温度情報に基づいて前記カメラが撮影している対象者の体温を取得する体温取得部と、前記体温が予め定めた設定体温以下であるか否かを判定する発熱判定部と、前記発熱判定部が、前記対象者の前記体温が前記設定体温以下であると判定すると、前記カメラからの映像に基づいて前記対象者がマスクを着用しているか否かを判定するマスク着用判定部と、前記マスク着用判定部が、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記カード情報取得装置に前記識別情報を取得させて当該識別情報に基づいて前記ICカードを認証する認証動作を行うICカード認証部と、前記ICカードが認証された場合に、前記開錠装置に前記開錠指令を入力する開錠指令部と、を有し、前記ICカード認証部は、前記カメラからの映像を監視し、前記カメラからの映像に前記顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、前記認証動作の認証期限を予め定めた第1時点までとし、前記カメラからの映像に前記顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、前記認証期限を前記第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする認証期限設定動作を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の開錠制御装置は、カメラからの映像と、温度検出装置からの温度情報に基づいて、マスクの着用と対象者の体温とを確認し、しかる後に、ICカードの認証を行う。これにより、マスクの着用がない者、および体温が設定体温以上の者に対する扉の開錠を制限できるので、対象者が屋内や室内に入場することを規制できる。従って、ウイルスなどによる感染症の広がりを防止あるいは抑制できる。
【0011】
また、本発明では、対象者がマスクを着用していると判定されると、カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、ICカード認証部による認証動作の認証期限を予め定めた第1時点までとし、カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、ICカード認証部による認証期限を第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする。カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合とは、カメラからの映像内の顔を検知可能な状態であって、映像から検知した顔がカメラに向かってほぼ正面を向いている状態が維持されている場合をいう。また、カメラからの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合とは、映像から検知した顔が正面を向いていないと状態となる場合であり、例えば、カメラからの映像内の顔を検知できなくなった場合、カメラからの映像内の顔を検知可能な状態であって映像から検知した顔が下方を向いた場合、或いは、カメラからの映像内の顔を検知可能な状態であって映像から検知した顔が側方を向いた場合、である。
【0012】
ここで、対象者について体温が設定体温以下であり、かつ、マスクを着用していると判定された時点で、対象者が手元にICカードを準備している場合には、対象者はそのまま
の姿勢でICカードの識別情報をカード情報取得装置に取得させることができる。従って、対象者が手元にICカードを準備している場合には、カメラからの映像に対象者の顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が維持される。よって、ICカードの認証動作の認証期限は、早く到来する第1時点に設定される。この一方で、対象者について体温が設定体温以下であり、かつ、マスクを着用していると判定された時点で、対象者の手元にICカードが準備されておらず、対象者がカバンの中に入っているICカードを探し始めた場合などには、対象者は、カバンの中を見るために、顔を側方や下方に向ける。この結果、カメラからの映像に対象者の顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶える。従って、この場合には、ICカードの認証動作の認証期限が、第1時点よりも遅くに到来する第2時点に延長される。よって、対象者がICカードを探している間に認証期限が過ぎてしまい、扉が開錠されない事態を防止、或いは、抑制できる。これにより、入場希望者が複数いる場合などに、扉の前で入場希望者の渋滞が発生することを防止できる。ここで、対象者がカバンの中に入っているICカードを探し出せない場合に、ICカードの認証動作の認証期限が設定されていなければ、第三者が対象者の前に割り込んでICカードの認証を受けて不正に入場するという事態が発生する可能性がある。これに対して、本発明では、ICカードの認証動作の認証期限は、必ず設定される。よって、第三者による不正な入場を、防止或いは抑制できる。
【0013】
本発明において、表示装置を有し、前記制御部は、前記マスク着用判定部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記表示装置にマスクの着用を促すメッセージを表示するとともに、前記カメラからの映像に基づいて前記対象者がマスクを着用しているか否かを再判定する再判定部を有し、前記ICカード認証部は、前記再判定部が前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記認証動作および前記認証期限設定動作を行うものとすることができる。このようにすれば、対象者にマスクの着用を促すことができる。また、マスクの着用が認められなかった対象者がマスクを着用した場合には、その後に、ICカードの認証を行うことが可能となる。
【0014】
この場合において、前記再判定部は、前記マスク着用判定部による判定の時点から予め定めた判定時間が経過するまでの間に前記対象者がマスクを着用していると判定できない場合には、前記対象者がマスクを着用していないと判定するものとすることができる。すなわち、表示装置にマスクの着用を促すメッセージが表示された状態で、対象者が所定の判定時間を経過するまでの間にマスクを着用できない場合には、対象者がマスクを所有しておらず、マスクの着用が不可能な可能性がある。従って、再判定部は、対象者がマスクを着用していないと判定する。
【0015】
本発明において、前記再判定部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記ICカード認証部は、前記認証動作を行わないものとすることができる。このようにすれば、マスクを着用していない対象者に対して、扉の開錠を制限できる。
【0016】
本発明において、記憶装置を有し、前記記憶装置には、予め、前記扉の開錠にマスクの着用が必須か否かを示す開錠条件情報が記憶保持され、前記ICカード認証部は、前記記憶装置を参照し、前記開錠条件情報として前記扉の開錠にマスクの着用が必須でないことが記憶保持されている場合には、前記マスク着用判定部が、前記対象者がマスクを着用していないと判定すると、前記認証動作および前記認証期限設定動作を行うものことができる。このようにすれば、扉から入場した対象者に対してマスクが用意されている場合などに、マスクの着用がない対象者の入場を許可できる。
【0017】
本発明において、熱源検出装置を有し、前記制御部は、前記カメラの撮影範囲に侵入した熱源を検出する熱源検出部を備え、前記熱源検出部は、前記熱源検出部が前記熱源を検出すると前記カメラに撮影を開始させるものとすることができる。このようにすれば、熱
源検出部が熱源を検出するまでの間、カメラをスリープ状態としておき、熱源が検出されたときにカメラを動作させることができる。これにより、開錠制御装置の消費電力を抑制することが容易となる。
【0018】
この場合において、前記熱源検出装置は、前記温度検出装置であるものとすることができる。熱源検出装置と、温度検出装置とが同一の装置であれば、これらを別々に備える場合と比較して、開錠制御装置の製造コストを抑制することができる。
【0019】
本発明において、音声装置、を有し、前記熱源検出部は、前記熱源を検出すると、前記音声装置からマスクの着用を促す音声を流すものとすることができる。このようにすれば、扉を通過しようとする者に、マスクの着用を指示できる。
【0020】
本発明において、タイマーを有し、前記発熱判定部は、前記体温が予め定めた設定体温以下であると判定すると、前記タイマーを動作させ、前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とするものとすることができる。このようにすれば、発熱判定部が、対象者の体温が予め定めた設定体温以下であると判定した時点を基準として、ICカードの認証動作の認証期限を設定できる。
【0021】
本発明において、タイマーを有し、前記マスク着用判定部は、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記タイマーを動作させ、前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とするものとすることができる。このようにすれば、対象者がマスクを着用していると判定した時点を基準として、ICカードの認証動作の認証期限を設定できる。
【0022】
本発明において、タイマーを有し、前記再判定部は、前記対象者がマスクを着用していると判定すると、前記タイマーを動作させ、前記ICカード認証部は、前記第1時点を、前記タイマーの動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、前記第2時点を、動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とするものとすることができる。このようにすれば、対象者がマスクを着用していると判定した時点を基準として、ICカードの認証動作の認証期限を設定できる。
【0023】
次に、本発明の扉開錠システムは、上記の開錠制御装置と、前記開錠制御装置から開錠指令が入力されると扉を開錠する開錠装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ICカードの認証を受ける段階で対象者がICカードを探し始めた場合などに、ICカードの認証動作の認証期限を延長できる。よって、対象者がICカードを探している間に認証期限が過ぎてしまい、扉が開錠されない事態を防止、或いは、抑制できる。これにより、入場希望者が複数いる場合などに、扉の前で入場希望者の渋滞が発生することを防止できる。また、ICカードの認証動作の認証期限は常に設定される。従って、対象者がICカードを探し出せない場合でも、第三者による不正な入場を、防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】扉開錠システムの制御系の概略ブロック図である。
【
図3】映像内の顔が正面を向いている状態と下方を向いている状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明を適用した扉開錠システムの実施の形態を説明する。
【0027】
(扉開錠システム)
図1は、扉開錠システムの概略構成図である。扉開錠システム1は、ICカード2を利用して、建物の入り口に設置されたゲート或いはオフィスのドアなどの扉3の開錠を行う。本例では、ICカード2は、Suica(登録商標)などの鉄道用ICカードである。ICカード2は、ICチップ2a内に、固有の識別情報を記憶保持する。ICカード2は、近距離無線通信機能を備える。
【0028】
図1に示すように、扉開錠システム1は、扉3を施錠している電子錠を開錠する開錠装置4と、開錠装置4に通信可能に接続された開錠制御装置5と、を備える。開錠制御装置5は、ICカード2が認証されたときに開錠装置4に開錠指令を入力する開錠制御動作を行う。
【0029】
開錠制御装置5は、一次認証装置6と、ICカード2からICチップ2aに記録された状態を取得するカード情報取得装置7と、一次認証装置6およびカード情報取得装置7が接続されたコントローラ8と、ネットワークを介してコントローラ8に接続されたコンピュータ9と、を備える。一次認証装置6およびカード情報取得装置7は、各扉3に対応付けられている。また、一次認証装置6およびカード情報取得装置7は、対応付けられた扉3の近傍に設置されている。従って、扉開錠システム1は、一次認証装置6とカード情報取得装置7とからなる組を、扉3の数に対応する数だけ備える。
【0030】
一次認証装置6は、温度検出装置11と、タブレット型端末12と、を備える。温度検出装置11は、赤外カメラ、または放射温度計である。タブレット型端末12は、カメラ13、表示装置14、および第1制御部15を、備える。第1制御部15は、CPUおよびメモリを備える。第1制御部15には、温度検出装置11、カメラ13、および表示装置14が通信可能に接続されている。ここで、温度検出装置11は、タブレット型端末12に固定されている。温度検出装置11は、カメラ13が撮影する撮影範囲において、タブレット型端末12から所定の距離内に人間がいる場合に、この人間の熱や体温を検出できる。
【0031】
カード情報取得装置7は、ICカード2が接近或いは接触したときに、近距離無線通信により、ICチップ2aに保持された識別情報を取得する。
【0032】
コントローラ8は、CPUおよびメモリを備える第2制御部16と、記憶装置17と、タイマー18と、を備える。第2制御部16には、カード情報取得装置7、記憶装置17、タイマー18、および、一次認証装置6が通信可能に接続されている。記憶装置17には、扉開錠システム1の各種の設定情報が記憶保持されている。設定情報には、扉3の開錠にマスクの着用が必須か否かを示す開錠条件情報が含まれる。また、記憶装置17には、ICカード2の認証に必要な入場許可者のデータベースが記憶保持されている。
【0033】
ここで、コントローラ8は、ICカード2から取得した識別情報に基づいて、ICカード2を認証する認証動作を行う。認証動作によりICカード2が認証された場合には、コントローラ8は開錠装置4に開錠指令を入力する。開錠装置4に開錠指令が入力されると、開錠装置4は、電子錠を動作させて、扉3を開錠する。
【0034】
コンピュータ9からは、入場許可者のデータベースの更新が可能である。例えば、新規の入場許可者のデータベースへの登録は、コンピュータ9を介して行われる。データベー
スには、入場許可者を特定する氏名などの情報と、入場許可者が保有するICカード2の識別番号とが関連づけられた形態で記憶保持されている。また、コンピュータ9からは、設定情報の変更が可能である。ここで、コンピュータ9は、コントローラ8に対し、扉3の開錠にマスクの着用が必須であるとする第1開錠条件情報、および扉3の開錠にマスクの着用が必須でないとする第2開錠条件情報のいずれか一方の開錠条件情報を設定できる。さらに、コンピュータ9は、自己の記憶装置に、入場管理データベースを備える。コンピュータ9は、コントローラ8が開錠装置4に開錠指令を入力した場合に、ICカード2の識別情報と、開錠指令が開錠装置4に入力された時刻とを関連づけた入場管理情報を、入場管理データベースに記録する。
【0035】
(制御系)
図2は、開錠制御装置5の制御系を示す概略ブロック図である。開錠制御装置5では、タブレット型端末12の第1制御部15と、コントローラ8の第2制御部16とは、互いに連携して開錠装置4を制御する一つの制御部20を構成する。
【0036】
制御部20は、タブレット型端末12の第1制御部15の側に、顔検知部21、体温取得部22、発熱判定部23、熱源検出部24、マスク着用判定部25、および再判定部26を備える。本例では、タブレット型端末12においてアプリケーションプログラムを動作させることにより、タブレット型端末12の第1制御部15を、顔検知部21、体温取得部22、発熱判定部23、熱源検出部24、マスク着用判定部25、および再判定部26として機能させる。
【0037】
顔検知部21は、カメラ13からの映像を監視して、映像内の顔を検知する。カメラ13からの映像を画像処理して映像内の顔を検知するアルゴリズムとしては、周知の技術を用いることができる。例えば、顔検知部21は、カメラ13からの映像に基づいて人間の目や口に相当する部分を検出できた場合に、顔を検知しているものとする。なお、顔検知部21は、映像内の顔を、個人を特定できる程度までには認識しない。すなわち、顔検知部21は、顔認識を行うものではない。
【0038】
体温取得部22は、顔検知部21が映像内の顔を検知すると、温度検出装置11からの温度情報に基づいてカメラ13が撮影している対象者の体温を取得する。
【0039】
発熱判定部23は、体温取得部22が体温を取得すると、取得した体温が予め定めた設定体温以下であるか否かを判定する。設定体温は、例えば、37℃である。ここで、発熱判定部23は、体温取得部22が取得した体温が予め定めた設定体温以下であると判定すると、コントローラ8の第2制御部16に、タイマー起動指令を送信する。第2制御部16は、タイマー起動指令を受信すると、タイマー18を動作させる。また、発熱判定部23は、体温取得部22が取得した体温が予め定めた設定体温よりも高いと判定すると、表示装置14に、体温が高いことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示する。そして、発熱判定部23は、開錠制御装置5による開錠制御動作を停止させる。
【0040】
熱源検出部24は、温度検出装置11からの温度情報に基づいてカメラ13の撮影範囲に侵入した熱源を検出する。熱源検出部24は、熱源が検出されると、カメラ13に撮影を開始させる。また、顔検知部21に、カメラ13からの映像内の顔の検知を行わせる。ここで、熱源検出部24は、温度検出装置11からの温度情報に基づいてカメラ13の撮影範囲に熱源がないと判定できる場合には、カメラ13の動作モードをスリープ状態として、カメラ13による撮影を停止させる。ここで、カメラ13による撮影が開始すると、表示装置14には、カメラ13からの映像が写し出される。
【0041】
マスク着用判定部25は、発熱判定部23が、対象者の体温が設定体温以下であると判
定すると、カメラ13からの映像に基づいて対象者がマスクを着用しているか否かを判定する。対象者がマスクを着用しているか否かを判断するアルゴリズムは、周知の技術を用いることができる。例えば、マスク着用判定部25は、カメラ13からの映像に画像処理を施して、人間の顔に相当する部分の下側部分が遮蔽物により覆われていると認められる場合に、対象者がマスクを着用しているものと判断する。
【0042】
再判定部26は、記憶装置17を参照し、記憶装置17に記憶保持された開錠条件情報が、扉3の開錠にマスクの着用が必須であるとする第1開錠条件情報が記憶保持されているか、扉3の開錠にマスクの着用が必須でないとする第2開錠条件情報であるか、を取得している。
【0043】
再判定部26は、記憶装置17に、扉3の開錠にマスクの着用が必須であるとする第1開錠条件情報が記憶保持されている場合に、マスク着用判定部25が、対象者がマスクを着用していないと判定すると、表示装置14にマスクの着用を促すメッセージを表示する。また、カメラ13からの映像に基づいて対象者がマスクを着用しているか否かを判定する再判定動作を行う。ここで、再判定部26は、マスク着用判定部25による判定の時点から予め定めた判定時間が経過するまでの間に対象者がマスクを着用していると判定できない場合には、対象者がマスクを着用していないと判定する。
【0044】
次に、制御部20は、コントローラ8の第2制御部16の側に、ICカード認証部31、および開錠指令部32を備える。本例では、コントローラ8においてアプリケーションプログラムを動作させることにより、コントローラ8の第2制御部16を、ICカード認証部31、および開錠指令部32として機能させる。
【0045】
ICカード認証部31は、記憶装置17を参照し、記憶装置17に記憶保持された開錠条件情報が、扉3の開錠にマスクの着用が必須であるとする第1開錠条件情報が記憶保持されているか、扉3の開錠にマスクの着用が必須でないとする第2開錠条件情報であるか、を取得している。
【0046】
ICカード認証部31は、マスク着用判定部25または再判定部26が、対象者がマスクを着用していると判定すると、カード情報取得装置7を駆動して、ICカード2から識別情報を取得する。また、ICカード認証部31は、取得した識別情報に基づいてICカード2を認証する認証動作を行う。認証動作では、ICカード認証部31は、記憶装置17に記憶保持された入場許可者のデータベースを参照する。そして、ICカード認証部31は、データベースに記録された入場許可者の識別情報と、ICカード2から取得した識別情報と、が一致する場合に、ICカード2を認証する。
【0047】
ここで、ICカード認証部31は、認証動作と並行して、カメラ13からの映像を監視し、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、認証動作の認証期限を第1時点までとし、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、認証期限を第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする認証期限設定動作を行う。
【0048】
また、ICカード認証部31は、再判定部26が、対象者がマスクを着用していないと判定すると、表示装置14に、マスクの着用がないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示して、認証動作、および認証期限設定動作を行わない。すなわち、ICカード認証部31は、開錠制御装置5による開錠制御動作を停止させる。
【0049】
さらに、ICカード認証部31は、記憶装置17に扉3の開錠にマスクの着用が必須でないとする第2開錠条件情報が記憶保持されている場合には、マスク着用判定部25が判
定を行うと、この判定結果が、対象者がマスクを着用していないという場合でも、認証動作および認証期限設定動作を行う。
【0050】
ここで、認証期限設定動作において、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合とは、カメラ13からの映像内の顔を検知可能な状態であって、
図3(a)に示すように、映像から検知した顔がカメラ13に向かってほぼ正面を向いている状態が維持されていることをいう。一方、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合とは、カメラ13からの映像内の顔を検知できなくなった場合、カメラ13からの映像内の顔を検知可能な状態であって映像から検知した顔が下方を向いた場合、或いは、カメラ13からの映像内の顔を検知可能な状態であって映像から検知した顔が側方を向いた場合、などである。従って、
図3(b)に示すように、カメラ13からの映像内の顔が、側方を向き、かつ、下方を向いている状態となると、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えたと判断される。なお、カメラからの映像を画像処理して、映像内の顔の向きを判断するアルゴリズムは、既存である。
【0051】
また、第1時点とは、タイマー18の動作開始時点から第1時間が経過する時点である。第2時点とは、タイマー18の動作開始時点から前記第1時間よりも長い第2時間が経過する時点である。タイマー18の動作開始時点は、発熱判定部23が、体温取得部22が取得した体温が予め定めた設定体温以下であると判定した時点である。ここで、ICカード認証部31による認証期限は、予め第1時点に定められている。すなわち、第1時点は、ICカード認証部31にデフォルトで設定されている認証期限である。
【0052】
開錠指令部32は、認証期限設定動作で設定された認証期限内にICカード2の認証が行われると、開錠装置4に、開錠指令を入力する。これにより、開錠装置4は、扉3を開錠する。また、開錠指令部32は、開錠指令を入力した時刻とICカード2の識別情報とを関連づけた入場管理情報をコンピュータ9に送信する。コンピュータ9では、受信した入場管理情報を、入場管理データベースに記録する。
【0053】
また、開錠指令部32は、認証期限設定動作で設定された認証期限内にICカード2が認証されない場合に、認証動作を不能とする。また、開錠指令部32は、表示装置14に、ICカード2が認証できないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示する。これにより、開錠指令部32は、開錠制御装置5による開錠制御動作を停止させる。
【0054】
(開錠制御動作)
図4は、開錠制御装置5による開錠制御動作のフローチャートである。開錠制御動作が開始される前の時点では、コントローラ8の記憶装置17には、開錠条件情報と、入場許可者のデータベースが記憶保持されている。また、開錠制御動作が開始される前の時点では、扉3は施錠されている。カメラ13は、スリーブ状態とされており、撮影を行っていない。ICカード認証部31によるICカード2の認証期限は、第1時点とされている。
【0055】
熱源検出装置により、カメラ13の撮影範囲に侵入した熱源が検出されると(熱源検出工程ST1)、カメラ13が動作して、撮影を開始する。また、開錠制御装置5は、カメラ13からの映像を監視して、映像内の顔の検知を開始する(顔検知工程ST2)。
【0056】
映像内に顔が検知されると、開錠制御装置5は、温度検出装置11からの温度情報に基づいてカメラ13が撮影している対象者の体温を取得する(体温取得工程ST3)。また、開錠制御装置5は、取得した体温が予め定めた設定体温以下であるか否かを判定する(発熱判定工程ST4)。ここで、取得した体温が予め定めた設定体温より高いと判定された場合には(発熱判定工程ST4:No)、表示装置14に、体温が高いことを理由に入
場を許可できない旨のメッセージを表示する。そして、開錠制御装置5は、対象者に対する開錠制御動作を停止する。すなわち、ICカード認証部31による認証動作、および認証期限設定動作を不能とする。(開錠制御動作停止工程ST5)。
【0057】
一方、対象者の体温が設定体温以下であると判定された場合には(発熱判定工程ST4:Yes)、ICカード2の認証動作の認証期限を設定するためのタイマー18が駆動される。また、対象者の体温が設定体温以下であると判定された場合には、開錠制御装置5は、カメラ13からの映像に基づいて対象者がマスクを着用しているか否かを判定する(マスク着用判定工程ST6)。
【0058】
マスク着用判定工程ST6において、対象者がマスクを着用していると判定された場合には(マスク着用判定工程ST6:Yes)、開錠制御装置5は、ICカード2の認証動作を行う。すなわち、開錠制御装置5は、ICカード2からICチップ2aに記録された識別情報を取得して、入場許可者のデータベースと照合する。また、開錠制御装置5は、認証動作と並行してカメラ13からの映像を監視し、認証動作の認証期限を設定する認証期限設定動作を行う(ICカード認証工程ST7)。認証期限設定動作では、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、認証動作の認証期限が第1時点に設定される。すなわち、認証動作の認証期限は、デフォルトで設定されている第1時点に維持される。カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、認証期限は、第1時点よりも時間が経過した第2時点に設定される。従って、認証期限は、延長される。ここで、第1時点および第2時点は、発熱判定部23が対象者の体温を設定体温以下であると判定した時点、すなわち、タイマー18の駆動開始時点からの経過時間として設定される。
【0059】
その後、認証期限内にICカード2が認証されると(認証判定工程ST8:Yes)、開錠制御装置5は、開錠装置4に開錠指令を入力する(開錠指令工程ST9)。これにより、開錠装置4は、扉3を開錠する。また、開錠制御装置5は、開錠指令が入力された時刻とICカード2の識別情報と関連づけた入場管理情報をコンピュータ9に送信する。コンピュータ9は、入場管理情報を入場管理データベースに記憶する。これにより、開錠制御装置5による開錠制御動作は、終了する。
【0060】
一方、ICカード2が認証されない場合には(認証判定工程ST8:No)、認証期限が経過した後に、ICカード2の認証動作が不能となる。ここで、開錠制御装置5は、表示装置14に、ICカード2が認証できないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示して、開錠制御動作を終了する(開錠制御動作停止工程ST10)。
【0061】
次に、マスク着用判定工程ST6において、対象者がマスクを着用していないと判定された場合であって、コントローラ8の記憶装置17に扉3の開錠にマスクの着用が必須であるとする第1開錠条件情報が記憶保持されている場合には(開錠条件確認工程ST11:Yes)、開錠制御装置5は、表示装置14にマスクの着用を促すメッセージを表示する。また、メッセージの表示と並行して、開錠制御装置5は、カメラ13からの映像に基づいて対象者がマスクを着用しているか否かを判定する再判定動作をおこなう(再判定工程ST12)。再判定工程ST12では、マスク着用判定工程ST6による判定の時点から予め定めた判定時間が経過するまでの間に対象者がマスクを着用していると判定できない場合には、対象者がマスクを着用していないと判定する。
【0062】
再判定工程ST12において、対象者がマスクを着用していると判定された場合には(再判定工程ST12:Yes)、開錠制御装置5は、認証動作を行う。また、開錠制御装置5は、認証動作と並行して、認証期限設定動作を行う(ICカード認証工程ST7)。一方、再判定工程ST12において、対象者がマスクを着用していないと判定された場合
には(再判定工程ST12:No)、開錠制御装置5は、表示装置14に、マスクの着用がないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示して、開錠制御動作を終了する。すなわち、ICカード認証部31による認証動作、および認証期限設定動作を不能とする。(開錠制御動作停止工程ST13)。
【0063】
その後、ICカード認証工程ST7において、認証期限内にICカード2が認証されると(認証判定工程ST8:Yes)、開錠制御装置5は、開錠装置4に開錠指令を入力する(開錠指令工程ST9)。また、開錠制御装置5は、開錠指令が入力された時刻とICカード2の識別情報と関連づけた入場管理情報をコンピュータ9に送信する。コンピュータ9は、入場管理情報を入場管理データベースに記憶する。これにより、開錠制御装置5による開錠制御動作は、終了する。一方、ICカード2が認証されない場合には(認証判定工程ST8:No)、認証期限が経過した後に、ICカード2の認証動作が不能となる。ここで、開錠制御装置5は、表示装置14に、ICカード2が認証できないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示して、開錠制御動作を終了する。(開錠制御動作停止工程ST10)。
【0064】
次に、マスク着用判定工程ST6において、対象者がマスクを着用していないと判定された場合であって、コントローラ8の記憶装置17に扉3の開錠にマスクの着用が必須でないとする第2開錠条件情報が記憶保持されていることが確認された場合には(開錠条件確認工程ST11:No)、開錠制御装置5は、認証動作、および認証期限設定動作を行う。また、開錠制御装置5は、認証動作と並行して、認証期限設定動作を行う(ICカード認証工程ST7)。
【0065】
その後、ICカード認証工程ST7において、認証期限内にICカード2が認証されると(認証判定工程ST8:Yes)、開錠制御装置5は、開錠装置4に開錠指令を入力する(開錠指令工程ST9)。また、開錠制御装置5は、開錠指令が入力された時刻とICカード2の識別情報と関連づけた入場管理情報をコンピュータ9に送信する。コンピュータ9は、入場管理情報を入場管理データベースに記憶する。これにより、開錠制御装置5による開錠制御動作は、終了する。一方、ICカード2が認証されない場合には(認証判定工程ST8:No)、認証期限が経過した後に、ICカード2の認証動作が不能となる。ここで、開錠制御装置5は、表示装置14に、ICカード2が認証できないことを理由に入場を許可できない旨のメッセージを表示して、開錠制御動作を終了する。(開錠制御動作停止工程ST10)。
【0066】
(作用効果)
本例では、開錠制御装置5は、カメラ13からの映像と、温度検出装置11からの温度情報に基づいて、マスクの着用と対象者の体温とを確認し、しかる後に、ICカード2の認証を行う。これにより、マスクの着用がない者、および体温が設定体温以上の者に対する扉3の開錠を制限できるので、対象者が屋内や室内に入場することを規制できる。従って、ウイルスなどによる感染症の広がりを防止あるいは抑制できる。また、開錠制御装置5は、ICカード2の識別情報を、近距離無線通信により、取得する。これにより、対象者は、カード情報取得装置7との接触を最小限とすることができる。よって、ウイルスなどによる感染症の広がりを防止あるいは抑制できる。
【0067】
また、ICカード認証工程ST7では、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている場合には、ICカード認証部31による認証動作の認証期限を第1時点までとし、カメラ13からの映像に顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶えた場合には、ICカード認証部31による認証期限を第1時点よりも時間が経過した第2時点までとする。
【0068】
ここで、ICカード認証工程ST7に移行した時点で、対象者が手元にICカード2を準備している場合には、対象者はそのままの姿勢でICカード2をカード情報取得装置7に取得させることができる。従って、対象者が手元にICカード2を準備している場合には、カメラ13からの映像に対象者の顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が維持される。よって、ICカード2の認証動作の認証期限は、予め定められた第1時点に設定される。
【0069】
この一方で、ICカード認証工程ST7に移行した時点で、対象者の手元にICカード2が準備されておらず、対象者がカバンの中に入っているICカード2を探し始めた場合などには、対象者は、カバンの中を見るために、顔を側方や下方に向ける。この結果、カメラ13からの映像に対象者の顔が所定の状態で継続的に映し出されている状態が途絶える。従って、この場合には、ICカード2の認証動作の認証期限が、第1時点よりも遅くに到来する第2時点に延長される。よって、対象者がICカード2を探している間に認証期限が過ぎてしまい、扉3が開錠されない事態を防止、或いは、抑制できる。これにより、入場希望者が複数いる場合などに、扉3の前で入場希望者の渋滞が発生することを防止できる。
【0070】
ここで、対象者がカバンの中に入っているICカード2を探し出せない場合に、ICカード2の認証動作の認証期限が設定されていなければ、第三者が対象者の前に割り込んでICカード2の認証を受けて不正に入場するという事態が発生する可能性がある。これに対して、本例では、ICカード2の認証動作の認証期限は、必ず設定される。よって、第三者による不正な入場を、防止或いは抑制できる。
【0071】
また、本例は、表示装置14を有し、制御部20は、対象者がマスクを着用していないと判定されると、表示装置14にマスクの着用を促すメッセージを表示するとともに、カメラ13からの映像に基づいて対象者がマスクを着用しているか否かを判定する再判定部26を有する。ICカード認証部31は、マスク着用判定部25または再判定部26が対象者がマスクを着用していると判定すると、認証動作および認証期限設定動作を行う。従って、対象者にマスクの着用を促すことができる。また、マスクの着用が認められなかった対象者が、再判定動作の途中でマスクを着用した場合には、その後に、ICカード2の認証を行うことが可能となる。
【0072】
さらに、再判定部26は、マスク着用判定部25による判定の時点から予め定めた判定時間が経過するまでの間に対象者がマスクを着用していると判定できない場合には、対象者がマスクを着用していないと判定する。すなわち、表示装置14にマスクの着用を促すメッセージが表示された状態で、対象者が所定の判定時間を経過するまでの間にマスクを着用できない場合には、対象者がマスクを所有しておらず、マスクの着用が不可能な可能性がある。従って、対象者がマスクを着用していないと判定する。
【0073】
また、本例では、再判定部26が、対象者がマスクを着用していないと判定すると、ICカード認証部31は、認証動作を行わない。従って、マスクを着用していない対象者に対して、扉3の開錠を制限できる。
【0074】
さらに、開錠制御装置5は、記憶装置17を有する。記憶装置17には、予め、扉3の開錠にマスクの着用が必須か否かを示す開錠条件情報が記憶保持されている。ICカード認証部31は、記憶装置17を参照し、開錠条件情報を取得している。また、ICカード認証部31は、開錠条件情報として扉3の開錠にマスクの着用が必須でないことが記憶保持されている場合には、マスク着用判定部25が、対象者がマスクを着用していないと判定すると、認証動作および認証期限設定動作を行う。従って、扉3から入場した対象者に対してマスクが用意されている場合などに、マスクの着用がない対象者の入場を許可でき
る。
【0075】
また、本例では、開錠制御装置5は、制御部20は、カメラ13の撮影範囲に侵入した熱源を検出する熱源検出部24を備える。また、顔検知部21は、熱源が検出されると、カメラ13に撮影を開始させる。従って、熱源検出部24が熱源を検出するまでの間、カメラ13をスリープ状態としておき、熱源が検出されたときにカメラ13を動作させることができる。これにより、開錠制御装置5の消費電力を抑制することが容易となる。
【0076】
この場合において、熱源検出部24は、熱源を検出するための熱源検出装置として、温度検出装置11を用いる。熱源検出装置と、温度検出装置11とが同一の装置なので、これらを別々に備える場合と比較して、開錠制御装置5の製造コストを抑制することができる。
【0077】
また、本例では、開錠制御装置5は、タイマー18を有する。発熱判定部23は、体温が予め定めた設定体温以下であると判定すると、タイマー18を動作させる。ICカード認証部31は、第1時点を、タイマー18の動作開始時点から第1時間が経過する時点とし、第2時点を、動作開始時点から第1時間よりも長い第2時間が経過する時点とする。これにより、ICカード2の認証動作の認証期限を、発熱判定部23が、対象者の体温が予め定めた設定体温以下であると判定した時点を基準として、設定できる。
【0078】
(変形例)
本例において、開錠制御装置5は、タブレット型端末12にスピーカなどの音声装置を有するものとすることができる。また、この場合には、熱源検出部24は、熱源を検出すると、音声装置からマスクの着用を促す音声を流すものとすることができる。このようにすれば、扉3を通過しようとする者に、マスクの着用を指示できる。
【0079】
ここで、ICカード2の認証動作の認証期限を規定するためのタイマー18の動作開始時点は、マスク着用判定部25が、対象者がマスクを着用していると判定した時点としてもよい。この場合には、マスク着用判定部25は、対象者がマスクを着用していると判定すると、コントローラ8の第2制御部16に、タイマー起動指令を送信する。第2制御部16は、タイマー起動指令を受信すると、タイマー18を動作させる。このようにすれば、ICカード2の認証動作の認証期限を、対象者がマスクを着用していると判定した時点を基準として、設定できる。
【0080】
また、ICカード2の認証動作の認証期限を規定するためのタイマー18の動作開始時点は、再判定部26が、対象者がマスクを着用していると判定した時点としてもよい。この場合には、再判定部26は、対象者がマスクを着用していると判定すると、コントローラ8の第2制御部16に、タイマー起動指令を送信する。第2制御部16は、タイマー起動指令を受信すると、タイマー18を動作させる。このようにすれば、ICカード2の認証動作の認証期限を、対象者がマスクを着用していると判定した時点を基準として、設定できる。
【0081】
なお、タブレット型端末12の第1制御部15の側に設けた機能は、全て、コントローラ8の側の第2制御部16に設けてもよい。また、入場許可者のデータベース、および、設定情報は、コンピュータ9が備える記憶装置17に記憶保持してもよい。この場合には、コントローラ8は、これらの情報を参照する際に、ネットワークを介して、コンピュータ9にアクセスする。
【0082】
また、熱源検出部24は、温度検出装置11とは別に設けた熱源検出装置からの温度情報に基づいて熱源を検出してもよい。このようにすれば、熱源検出装置の配置の自由度が
上昇する。
【符号の説明】
【0083】
1…扉開錠システム、2…ICカード、3…扉、4…開錠装置、5…開錠制御装置、6…一次認証装置、7…カード情報取得装置、8…コントローラ、9…コンピュータ、11…温度検出装置、12…タブレット型端末、13…カメラ、14…表示装置、15…第1制御部、16…第2制御部、17…記憶装置、18…タイマー、20…制御部、21…顔検知部、22…体温取得部、23…発熱判定部、24…熱源検出部、25…マスク着用判定部、26…再判定部、31…ICカード認証部、32…認証制御部、33…開錠指令部