(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024414
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】車両情報収集処理システムおよび車両情報収集処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220202BHJP
G01D 9/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G01D9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020126995
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】岡村 淳
【テーマコード(参考)】
2F070
5H181
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070CC03
2F070CC06
2F070CC11
2F070FF02
2F070FF12
2F070GG07
2F070GG10
2F070HH05
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC04
5H181CC12
5H181EE02
5H181EE11
5H181FF05
5H181FF10
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】収集された車両情報の時間的連続性と異なる車両情報の時間的関連性を損なわずに車両情報を収集可能な情報収集装置を提供する。
【解決手段】情報収集装置1は、情報収集装置1は、情報の記憶が可能な記憶部2と、時刻を出力するリアルタイムクロック3と、車両に関する異なる複数の車両情報を記憶部2に記憶させる制御部Cとを備え、制御部Cが車両情報の種類毎に車両情報のデータが得られた際にリアルタイムクロック3が出力する時刻を関連付けして車両情報を記憶部2に記憶させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集装置と処理装置とを備え、
前記情報収集装置は、
振動情報の記憶が可能な記憶部と、
時刻を出力するリアルタイムクロックと、
車両に関する異なる複数の車両情報のデータとともに前記リアルタイムクロックが出力する時刻を前記データに関連付けして前記記憶部に記憶させる制御部とを有し、
前記処理装置は、
前記情報収集装置で収集された前記データを処理し、
前記車両情報のデータに関連付けされた時刻に得られた種類の異なる車両情報のデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成するとともに、
複数の異なる車両情報のデータのうち、或る時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けして前記解析用ファイルを生成する
ことを特徴とする車両情報収集処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、所定の情報蓄積時間毎に同じサンプルタイミングで得られた情報を纏めて記録するファイルにして前記記憶部へ記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両情報収集処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記ファイルの先頭に前記時刻の日付および時分のみを記録し、それに引き続く、前記データに前記時刻の秒以下を関連付けする
ことを特徴とする請求項2に記載の車両情報収集処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ファイルのファイル名の一部に前記時刻の日付及び時分を記録し、前記データに、前記時刻の秒以下を関連付けする
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両情報収集処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記データが得られる度にインクリメントまたはデクリメントした値を前記データの番号として前記データに関連付けして前記記憶部へ記憶させる
ことを特徴とする請求項2に記載の車両情報収集処理システム。
【請求項6】
異なる複数の車両情報のデータを収集するデータ収集ステップと、
前記車両情報のデータとともに、前記リアルタイムクロックが出力する時刻を前記データに関連付けしてメモリに記憶させるデータ記憶ステップと、
前記車両情報のデータに関連付けされた時刻に得られた種類の異なる車両情報のデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成するファイル生成ステップとを備え、
前記ファイル生成ステップでは、複数の異なる車両情報のデータのうち、或る時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報のうちから前記時刻の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けして前記解析用ファイルを生成する
ことを特徴とする車両情報収集処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報収集処理システムおよび車両情報収集処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路は、車両から受ける輪荷重の作用、温度変化や雨水の影響によって損傷して、ひび割れ、轍掘れ、コルゲーションやポットホールが発生する。このような道路の損傷を迅速に把握し、道路を維持管理するために、道路の路面性状を把握する作業が日常的に行われている。
【0003】
路面性状を把握する方法としては、一般に、検査員による目視でのパトロールや、路面の凹凸を把握するための情報を収集する情報収集装置を検査車に設置しておき、当該検査車で道路を走行した際に情報収集装置で収集された情報を処理装置で解析することで路面性状を把握する方法がとられている。情報収集装置は、たとえば、検査車の車体の振動情報としてバウンス、ピッチングおよびローリング方向の角速度、前後・左右および上下の加速度、車体と路面との距離、検査車の走行速度、検査車の位置情報等といった多岐にわたる情報を収集している。
【0004】
このように検査車の道路走行時にセンサ類で得られた情報は、インターネット通信網等を介してサーバへ送信されて蓄積され、その後の処理装置による道路性状の解析に供される。道路性状の解析では、たとえば、国際ラフネス指標(International Roughness Index)を求めることが行われる。なお、国際ラフネス指数とは、2軸4輪の車両の1輪だけを取り出した仮想車両モデルをクォーターカーとし、クォーターカーを時速80kmで路面を走行させたときに車両が受ける上下方向の運動変位の累積値と走行距離の比を路面のラフネスとするものであり、舗装路面の凹凸の評価指数である(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、車両の経時変化を調べるために、車両の各所に設置したセンサを備えた子機と、無線通信機から送信される情報を収集する親機とでなる情報収集装置も開発されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-108755号公報
【特許文献2】特開2019-125967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、情報収集装置が収集する車両に関する情報は、車体の3軸の角速度、前後・左右および上下の加速度、車体と路面との距離、走行速度、位置情報等といった多岐にわたっており、情報収集装置は、これらの情報を検知するために多数のセンサを備える他、車両のオン・ボード・ダイアグノーシス(OBD)やCANバス等を介して情報を収集する。
【0008】
従来の情報収集装置は、一般的に、自身が備えるクロックで一定時間を計測し、この一定時間の間に収集した各種情報を一纏まりのファイルにして記憶しておき、記憶したファイルを解析のために処理装置としての外部サーバへ送信する。
【0009】
ところが、車両の情報を検知するセンサは、アナログセンサ、デジタルセンサの違いの他、センサと情報収集装置間の通信形式の違いも影響し、それぞれ検知対象の情報のサンプリングレートが異なっており、また、OBDを通じて収集される情報のサンプリングレートも位置情報のサンプリングレートも区々となっている。さらに、従来の情報収集装置では、情報収集装置自体がファイルを生成するための一定時間を独自にカウントしていることから、生成したファイルに含まれる情報数が完全には一定しない。すべてのセンサが完全に同期しており、情報収集装置のクロックも同期しているのであれば、生成されるファイル内の各種情報のデータ数は、必ずサンプリングレートに応じた数だけ含まれ一定するのであるが、実際には、前述した通りの如く一定しない。
【0010】
たとえば、サンプリング周波数が1000.00Hzのセンサの信号Aとサンプリング周波数が1000.01Hzのセンサの信号Bを取り込む場合、信号Aのサンプリング周波数と信号Bのサンプリング周波数の差が10ppmとなる。一般的な水晶発振子の精度は、±100ppm程度であるから、この誤差は個体差といえる。つまり、信号Aのサンプル数100000個につき、信号Bのサンプル数が1個多くなる。なお、この場合、信号Aを100000個サンプルするのに要する時間は、100秒である。
【0011】
信号Aのデータを基準にとると、100秒後の信号Aのデータは信号Bの10001個のデータと同じタイミングでサンプルされることになり、この関係で信号Aと信号Bのデータを10時間記録すると、10時間後に36,000,000個目の信号Aのデータと36,000,360個目の信号Bのデータが同じタイミングでサンプルされる。
【0012】
このようなデータ間の時間的な不整合を解消するために情報収集装置で常に情報を受信して最新の情報をレジスタに書き込み、所定の周期で最新の情報をDirect Memory Access(DMA)等によってメモリに転送することで非同期性を解消しようとする試みがある。
【0013】
このようなシステムでは信号Aと信号Bのデータは、それぞれのサンプル時間に対応するサンプルデータレジスタに更新されつつ保存される。よって、その瞬間の信号Aと信号Bの最新の値がそれぞれ対応するサンプルデータレジスタに保持される。
【0014】
DMAは、タイマから情報収集装置自身のサンプリング周期に相当する一定時間ごとのトリガを受けて、すべてのセンサに対応するサンプルデータレジスタの内容をDMAデータバッファレジスタに転送して、それをメモリに転送することで、このセンサ間のサンプリング周期のズレの問題を解決することができる。
【0015】
しかしながら、このような方法を採用する場合、各センサによるデータのサンプリング周期と、DMAによる読み出し周期の非同期により、DMAが取り込む信号Aの情報と信号Bの情報のうち一方或いは両方の更新タイミングによっては、情報を飛ばしてしまったり、同じ情報を複数回記録したりすることになる場合がある。よって、この方法では、信号Aと信号Bのデータ数、及びサンプリング時刻については一致させ得るが、情報が時間的に連続せず、複数回の同一データが記録されたり、せっかくサンプルされたデータを落としてしまったりする。このように、この方法では、ファイル内の情報の時間的な連続性が担保されていないため、フィルタ処理等の処理装置での解析において正しい解析結果が得られなくなってしまう恐れがある。
【0016】
なお、特開2019-125967号公報に開示された情報収集装置では、データ収集器から同期信号を子機に送信して、子機におけるカウンタをリセットし、サンプリング時間中に得られたデータ数をカウントして、カウント値と正しいサンプリングが行われた際に取得されるべきデータ数との差分によって、データの値を補正する。しかしながら、このような補正の方法では、補正の為に051505非同期サンプルレート変換を行うため、データに対する低域フィルタ処理を行う必要が出てくるため、そもそも、サンプルした信号の帯域が劣化してしまう。よって、特許文献2の技術によっても、処理装置でのファイル内の情報の解析時に正しい解析結果が得られなくなってしまう恐れがある。
【0017】
そこで、本発明は、収集された車両情報のデータの時間的連続性と異なる車両情報のデータ同士の時間的関連性を損なわず、且つ、データのフィルタ処理等も行わずに、車両情報を収集して、その後の解析に応じた処理をかけることで、良好化解析結果が得られる車両情報収集処理システムおよび車両情報収集処理方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した目的を達成するため、本発明の車両情報収集処理システムは、情報収集装置と処理装置とを備え、前記情報収集装置は、振動情報の記憶が可能な記憶部と、時刻を出力するリアルタイムクロックと、車両に関する異なる複数の車両情報のデータとともに前記記憶部に記憶させる制御部とを備え、前記制御部は、前記車両情報のデータとともに、前記リアルタイムクロックが出力する時刻を前記データに関連付けして、前記記憶部に記憶させ、前記処理装置は、前記情報収集装置で収集された前記データを処理し、前記車両情報のデータに関連付けされた前記時刻情報によって、種類の異なる車両情報のデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成するとともに、複数の異なる車両情報のデータのうち、或る時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報のうちから前記時刻の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けして前記解析用ファイルを生成する。
【0019】
また、車両情報収集処理方法は、異なる複数の車両情報のデータを収集するデータ収集ステップと、車両情報のデータとともに、リアルタイムクロックが出力する時刻をデータに関連付けしてメモリに記憶させるデータ記憶ステップと、車両情報のデータに関連付けされた時刻に得られた種類の異なる車両情報のデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成するファイル生成ステップとを備えている。ファイル生成ステップでは、複数の異なる車両情報のデータのうち、或る時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報のうちから前記時刻の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けして前記解析用ファイルを生成する。
【0020】
このように構成された車両情報収集処理システムおよび車両情報収集処理方法では、リアルタイムクロックの時刻を基準に各車両情報に関連付けするので、各車両情報を検知する各センサの同期がとれていなくとも、同時刻に得られた車両情報のデータの特定が可能となり、処理装置側でリアルタイムクロックの時刻を利用して、各センサの同期がとれていなくとも同時刻に得られたデータ同士を互いに関連付けするので、データ同士の時間的なアライメント調整が可能となり、データ相互の正しい時間的関連性が保たれた解析用ファイルを生成できる。また、処理装置が複数の異なる車両情報のデータのうち、或る瞬間の時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報のうちから当該時刻の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けするので、全ての車両情報において時間差の極力少ないデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成できるので、良好な解析結果を得ることができる。
【0021】
なお、処理装置は、複数の異なる車両情報のデータのうち、サンプリングタイムの違いによって、ある特定の瞬間にはデータが取得されていない場合、その特定の瞬間のデータを前後のデータを用いて推定することで、そのデータを生成してもよい。その推定においては、サンプリングレート変換のインターポレーション方式をつかってもよい。また、各センサにサンプリングレートに差があっても、各センサが検知した全ての車両情報のデータ同士を抜けなく関連付けできるので、解析用ファイルを用いての解析が容易となる。
【0022】
また、車両情報収集処理システムにおける制御部は、所定の情報蓄積時間毎に同じサンプルタイミングで得られる情報を纏めて記録したファイルにして記憶部へ記憶させてもよい。このように構成された車両情報収集処理システムは、同じサンプルタイミングで得られる車両情報を纏めたファイルを生成し、それに対して、リアルタイムクロックが出力する時刻を関連付ける。よって、このように構成された車両情報収集処理システムによれば、各種車両情報毎に一つ一つファイルにするのではなく、同じサンプリングレートで得られたデータについては種類の異なるデータであっても一つのファイルに記録するので、複数のデータに対して1つの時刻のみが記録されるため生成されるファイルのファイルサイズを小さくでき、メモリリソースを効率的に利用できる。
【0023】
また、異なるサンプルタイミングを持つ情報群を格納した各データファイルは、個々に時刻の関連付けによるタイムスタンプを記録しているため、異なるサンプルタイミングで車両情報を検知する各センサのデータ収集開始時間と終了時間とを同期させる必要がない。また、このように構成された情報収集装置が同じサンプルタイミングで得られた車両情報を纏めたファイルを生成しても、ファイル中のデータにリアルタイムクロックの時刻が関連付けられているので、ファイル間のデータ同士の相互の時間的関連性は失われない。
【0024】
さらに、車両情報収集処理システムにおける制御部は、一つのファイルに格納するデータ数を1分とし、ファイルの先頭に格納されるデータにはリアルタイムクロックが出力する時刻の日付および時分等のファイルに含まれるデータに対応した時刻を関連付けし、先頭以外のデータには時刻の秒以下等の各データで異なる時刻の部分(分未満のミリ秒でカウントした時刻等)を関連付けしてもよい。このように構成された車両情報収集処理システムによれば、個々のデータに関連付けられる時刻を16ビット等のバイナリデータで表現できるようになるので、安価なCPUの利用が可能となり、データサイズを小さくできるので、情報収集装置を安価にできる。また、データの転送時にファイルサイズを小さくできるので、短時間しか基地局付近に停車していない場合でも、有効にデータの転送をすることが可能である。
【0025】
また、車両情報収集処理システムにおける制御部は、ファイルのファイル名の一部に時刻の日付及び時分を記録し、データ中で時刻の秒以下を関連付けしてもよい。このように構成された車両情報収集処理システムによれば、ファイル名を見るだけで何時何分のファイルかが分かるのでファイルをいちいち開き、日時を確認する必要がなく、処理装置のオペレータのデータ解析時のプログラムの実行時間を削減できる。
【0026】
また、情報収集装置における制御部は、データのサンプル時に、データが得られる度にインクリメントまたはデクリメントするカウンタを設けて、その値をデータの番号としてデータに関連付けして記憶部へ記憶させてもよい。このように構成された情報収集装置によって生成されたファイルを参照すれば、各センサのサンプリングに異常がある場合、ファイル中のデータの番号に抜けや飛びが発生するので、情報収集装置のオペレータは、ファイル中のデータの番号を参照することにより或いは処理装置の処理によって、サンプリング異常を容易に発見できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の情報収集装置によれば、異なるサンプリングレートで収集された車両情報のデータ同士を時間的関連性を損なわずに収集できる。また、本発明の処理装置によれば、情報収集装置で収集された車両情報を、データを収集後に、目的に応じて最適に処理することができるため、後に車両情報の解析を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施の形態における情報収集装置を搭載した車両と基地局とを示した図である。
【
図2】一実施の形態における情報収集装置のシステム構成を示した図である。
【
図3】一実施の形態の情報収集装置における情報検知部の構成を示した図である。
【
図4】一実施の形態の情報収集装置におけるデジタルセンサであるジャイロセンサの構成例を示した図である。
【
図5】一実施の形態の情報収集装置が生成する角速度のファイルのデータ構成の一例を示した図である。
【
図6】一実施の形態の情報収集装置が生成するストローク変位のファイルのデータ構成の一例を示した図である。
【
図7】一実施の形態における処理装置のシステム構成を示した図である。
【
図8】一実施の形態の処理装置が生成する解析用ファイルのデータ構成の一例を示した図である。
【
図9】解析用ファイルの生成過程を説明する図である。
【
図11】時刻とファイル中のデータ番号との関係を示した図である。
【
図12】一実施の形態の情報収集装置の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図13】一実施の形態の処理装置の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図14】一実施の形態の処理装置が解析用ファイルを生成する処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。
図1に示すように、一実施の形態の車両情報収集処理システムは、情報収集装置1と処理装置としてのサーバSとを備えて構成されている。
【0030】
以下、車両情報収集処理システムの各部について詳細に説明する。まず、情報収集装置1は、四輪自動車である車両Vに搭載されて、情報を収集して、基地局に設置されたサーバSへ収集した情報を送信する。情報収集装置1は、
図1および
図2に示すように、情報の記憶が可能な記憶部2と、時刻を出力するリアルタイムクロック3と、車両Vに関する異なる複数の車両情報を検知する情報検知部5と、前記車両情報を記憶部2に記憶させる制御部Cとを備えて構成されている。
【0031】
情報収集装置1は、電源Bからの電力の供給を受けて動作する。本実施の形態では、電源Bは、車両Vのバッテリとされているが、情報収集装置1は、専用電源から電力の供給を受けてもよい。なお、本実施の形態では、情報収集装置1は、車両Vのイグニッションスイッチを経由せず、電源Bから電力供給を受けるようになっており、電源Bと制御部Cとの間に設けられたスイッチMSと、車両のイグニッションスイッチがオンされるとスイッチMSをオン作動させるスイッチ制御部4とを備えている。スイッチ制御部4は、イグニッションスイッチのオンとオフの作動を検知し、イグニッションスイッチのオン動作を検知するとスイッチMSをオンし、イグニッションスイッチのオフ動作を検知すると、制御部Cにオフ信号を入力する。また、スイッチ制御部4は、制御部Cからオフ信号が入力されるとスイッチMSをオフ動作させる。
【0032】
記憶部2は、制御部Cによって制御され、制御部Cからの指令によって情報検知部5および車載センサで検知した車両情報を記憶する。記憶部2は、たとえば、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリで構成されているが、フラッシュメモリに限定されず磁気ディスクなどとされてもよい。また、記憶部2は、光学ディスク等の記憶媒体と記憶媒体のデータを読み書き可能なドライブとでなる補助記憶装置を備えていてもよい。
【0033】
また、本実施の形態の情報収集装置1は、イグニッションスイッチがオフされると、記憶部2に記憶された車両情報を外部に設置されたサーバSへ送信する通信部6を備えている。通信部6は、制御部Cによって制御されており、外部に設置されたサーバSと通信可能である場合、記憶部2に記憶されている情報およびその他データをサーバSへ送信する。通信部6は、図示しないアンテナユニットを備えており、本実施の形態では、IEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)通信を行うが、携帯電話回線やインターネット通信網等を通じてサーバSと通信してもよい。
【0034】
リアルタイムクロック3は、たとえば、
図4に示した情報検知部5におけるジャイロセンサ5aのサンプリングレートを作り出す水晶発振器5a2が生成するクロックで動作して1/1000秒でカウントするカウンタを備えており、1/1000秒時刻を制御部Cへ与える。本実施の形態では、リアルタイムクロック3は、図示はしないが、32bitの秒カウンタ部と、16bitの秒未満カウンタ部とで構成されており、秒カウンタ部が出力する1970年1月1日0時0分0秒からの秒数により日付、時分秒を表す32bitのバイナリ値と、秒未満カウンタ部が出力する秒未満の時間(0から999ms)を表す16bitのバイナリ値とを時刻として出力する。リアルタイムクロック3は、情報収集装置1の起動時に制御部Cが備えている日付時分秒をカウントする図示しないクロックICから日付時分秒のデータを読み込んで、これを初期時刻として、以降はジャイロセンサ5aにおける水晶発振器5a2が生成するクロックを基準として1/1000秒でカウントして、時刻を更新して出力する。リアルタイムクロック3は、後述する制御部Cのインターフェース12に時刻を出力する。また、リアルタイムクロック3に入力される水晶発振器5a2のクロックは、制御部Cのバス14を介してCPU(Central Processing Unit)10、メモリ11等へ入力されて制御部Cの各部の動作クロックにも利用される。なお、図示しないクロックICは、バッテリでバックアップされており、情報収集装置1の電源を落としても時間をカウントし続けるものであり、本発明におけるリアルタイムクロック3とは異なる時計である。なお、リアルタイムクロック3は、時刻を出力できればよいので、前述した構成以外の構成を採ってもよい。また、リアルタイムクロックの最小時刻刻みは、1/1000秒でなくてもよい。
【0035】
情報検知部5は、
図3に示すように、車両Vの車体に装着されて車体の前後、左右、上下の3軸回りの角速度、つまり、車体のロール方向、ピッチ方向およびヨー方向の角速度を検知する3軸のジャイロセンサ5aと、車両Vの車体に装着されて車体の前後、左右、上下の3軸の加速度を検知する加速度センサ5bと、車両Vの四輪各輪と車体との間に介装される図示しないダンパのストローク変位を検知する4つのストロークセンサ5cと、全球測位衛星システムを利用して車両Vの位置情報を取得する位置検知装置5dと、車両のばね下の加速度を検知する加速度センサ5eと、を備えている。
【0036】
たとえば、ジャイロセンサ5aおよび加速度センサ5bは、本実施の形態では、500sps(サンプル/秒)のサンプリングレートで角速度および加速度を検知し、制御部Cへ入力する。より詳細には、ジャイロセンサ5aは、
図4に示すように、角速度を検知するセンサ部5a1と、発振周波数が20Mhzの水晶発振器5a2と、水晶発振器5a2の周波数を分周する分周器5a3と、分周期5a3が生成したサンプリングレートでセンサ部5a1が検知したアナログ電圧をデジタル信号に変換して出力するA/Dコンバータ5a4と、番号カウンタ5a5とを備えている。このようにジャイロセンサ5aは、水晶発振器5a2が生成したクロックを基準として、これを分周して得た500sps(サンプル/秒)のサンプリングレートで角速度を検知して制御部Cへ入力する。
【0037】
番号カウンタ5a5は、センサ部5a1で検知する角速度のデータがA/Dコンバータ5a4からデジタル信号として出力されるタイミングで、インクリメントするカウントを行ってカウントした番号をデータ番号として出力する。番号カウンタ5a5が出力したデータ番号は、角速度のデータとともに制御部Cに送られて、制御部Cによって両者が時刻と関連付けされた状態でバッファメモリに蓄積される。加速度センサ5bの加速度のデータのデータ番号も同様にして加速度センサ5bによって生成されて加速度データとデータ番号と時刻とが関連付けされたうえで後述するバッファメモリに蓄積される。
【0038】
加速度センサ5bもジャイロセンサ5aとほぼ同様の構成とされており、自身が備える水晶発振器5b1が生成したクロックを基準としたサンプリングレートで加速度を検知して制御部Cへ入力する。
【0039】
また、各ストロークセンサ5cは、本実施の形態では、2Kspsのサンプリングレートでストローク変位を検知して制御部Cへ入力する。各ストロークセンサ5cは、1つの水晶発振器5c1が生成したクロックを基準として2Kspsのサンプリングレートでストローク変位を検知して制御部Cへ入力する。なお、各ストロークセンサ5cが検知したストローク変位のデータに対して図示しない一つの番号カウンタでデータ番号を与えるようにしてもよいし、ストロークセンサ5cごとに番号カウンタを設けてもよい。
【0040】
位置検知装置5dは、1spsのサンプリングレートで車両Vの位置情報を検知して制御部Cへ入力する。さらに、加速度センサ5eは、1Kspsのサンプリングレートでばね下の加速度を検知して制御部Cへ入力する。加速度センサ5eは、本実施の形態では、詳しく図示はしないが、専用のインターフェースを有するデジタルセンサーモジュールであり、センサ部、アンチエリアスフィルタを内蔵したA/Dコンバータ(以下、単に「A/Dコンバータ」という)、サンプリングレートを生成する水晶発振器5e1、PSI5インターフェース、マイクロコンピュータを備えており、自身が備える水晶発振器5e1が生成するクロックを基準として1Kspsのサンプリングレートで加速度を検知して制御部Cへ入力する。また、各加速度センサ5eは、それぞれ図示しない番号カウンタを備えており、加速度データとデータ番号を制御部Cに入力する。
【0041】
また、情報収集装置1は、本実施の形態では、情報検知部5で検知する車両情報以外にも、車両VのOBD端子17を通じて、予め車両Vに搭載されている車載センサ等で検知した車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度等の車両情報を収集する。具体的には、車載センサで検知した車両情報は、ECUによって収集され、ECUからOBD端子を介して情報収集装置1に入力される。なお、制御部Cは、OBD端子17を通じて前述した各種車両情報を約10sps程度のサンプリングレートで入手する。さらに、情報収集装置1は、直接、CANバスを通じて車両情報を収集してもよい。なお、本明細書では、ジャイロセンサ5a、加速度センサ5b、ストロークセンサ5c、位置検知装置5d、加速度センサ5eおよび前記車載センサを総称する場合、符号を付さず、単に「各センサ」と表現する。なお、情報検知部5が備える各センサにおける構成は一例であり、各センサ内に水晶発振器を備えず、他のセンサ或いは制御部Cが備える水晶発振器が生成するクロックを利用したサンプリングレートでデータをサンプルするように構成されてもよい。また、後述するデータの飛びなどの異常の検知の必要がない場合、情報検知部5の各センサは番号カウンタを備えていなくともよい。
【0042】
制御部Cは、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10と、メモリ11と、インターフェース12と、DMA13と、これら装置を互いに通信可能に接続するバス14とを備えている。また、制御部Cは、記憶部2および通信部6に対してバス14を通じて相互に通信可能に接続されている。また、制御部Cは、情報検知部5が検知した情報を受け取ることができるように、情報検知部5にインターフェース12を介して接続されるともに、インターフェース12およびOBD端子17を通じて車載センサが検知した情報を受け取り可能となっている。リアルタイムクロック3は、バス14を通じて水晶発振器5a1が生成したクロックを制御部Cの各部へ送る他、インターフェース12へ前述した過程を経て生成した時刻を入力する。
【0043】
CPU10は、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によって情報収集装置1における記憶部2および通信部6を制御し、また、情報検知部5および車載センサが検知した各種情報を処理する。メモリ11は、ROM(Read Only Memory)の他に、CPU10の演算処理に必要な記憶領域を提供するRAM(Random Access Memory)を備えており、CPU10の演算処理に使用されるプログラムをROMに格納している。なお、CPU10の演算処理に使用されるプログラムは、記憶部2に格納しておき、実行時にRAMに読み出して、RAM上で実行してもよい。
【0044】
DMA13は、情報検知部5および車載センサが検知した各種車両情報のデータを一旦メモリ11に確保したバッファメモリに転送する。
【0045】
そして、制御部Cは、CPU10が情報収集装置1として機能するために必要なプログラムを実行することで、バッファメモリに蓄積された車両情報のデータを処理してファイルを生成して記憶部2にファイルを記憶させ、さらに、記憶部2に記憶されたファイルを通信部6から外部のサーバSへ送信する。なお、DMA13を設けない場合、CPU10は、CPU10が情報収集装置1として機能するために必要なプログラムを実行することで、DMA13の代わりに情報検知部5および車載センサが検知した各種車両情報のデータをメモリ11に確保したバッファメモリに転送する処理をしてもよい。
【0046】
具体的には、制御部Cは、イグニッションスイッチがオンされて、電力供給を受けて起動する。制御部Cは、起動処理が終了すると、情報検知部5および車載センサが検知した各車両情報のデータをサンプルタイミングが同じセンサで得られたデータ同士を一つに纏めたファイルを生成して記憶部2に記憶させるロガープロセスを実行する。より詳細には、制御部Cは、ファイルを生成する際には、データが得られた際にリアルタイムクロック3が出力した時刻と関連付けしつつ、所定の情報蓄積時間毎に同じ水晶発振器からのクロックで生成されるとともに同じサンプルタイミングで得られたデータ同士を纏めて記録したファイルを生成して、記憶部2に記憶させる。このように、サンプルタイミングが同じセンサとは、同じ水晶発振器のクロックを用い、同じサンプリングレートでデータを収集するセンサのことを言う。
【0047】
制御部Cは、前述の情報検知部5から得られる情報を例にして、情報蓄積時間を1分とすると、ジャイロセンサ5aが検知した角速度、加速度センサ5bが検知した加速度、位置検知装置5dが取得した位置情報、加速度センサ5eが検知したばね下の加速度、OBD端子17から入手した車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報におけるデータのそれぞれをリアルタイムクロック3の時刻と関連付けしてバッファメモリに蓄積する。また、制御部Cは、サンプリングレートが同じ各ストロークセンサ5cが検知した4つストローク変位に対して1つのリアルタイムクロック3の時刻のみを関連付けしてバッファメモリに蓄積する。
【0048】
そして、制御部Cは、バッファメモリ内に蓄積されたデータのうち、情報蓄積時間である1分間の間に得られた角速度、加速度、ストローク変位、ばね下の加速度、位置情報、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各データのうちサンプルタイミングが同じセンサで得られたデータ同士を一つのファイルに格納して記憶部2に記憶させる。よって、たとえば、情報収集装置1が各情報を1時間にわたって収集すると、3軸回りの角速度のデータが格納されるファイル、3軸の加速度のデータが格納されるファイル、サンプルタイミングが同じストロークセンサ5cで得られる4つのストローク変位のデータが纏めて格納されるファイル、各ばね下の加速度のデータが格納される4つのファイル、位置情報のデーが格納されるファイル、OBD端子17から同じサンプリングレートで得られる車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温およびアクセル開度のデータが格納されるファイルの計9種類のファイルが60個ずつ生成されて記憶部2に記憶される。各車両情報のデータが記録されるファイルには、サンプルタイミングが同じセンサ同士から得られたデータ同士が格納される。このように、制御部Cは、メモリ11に確保したバッファメモリに各車両情報のデータを蓄積して、バッファメモリがデータで一杯になったか否か、或いは、所定の時間(本実施例では1分間)が経過したかを判断して、情報蓄積時間分の各車両情報のデータをサンプルタイミングが同じセンサで得られた車両情報のデータ同士を纏めて1つのファイルにして記憶部2に記憶させる。なお、情報収集装置1が路面を撮影するカメラを備えていて、画像についても収集する場合、画像データが格納されるファイルを、これとは独立に記録してもよい。
【0049】
前述した通り、各車両情報のサンプルタイミングは、各センサで区々であるがサンプルタイミングが同じセンサで得られたデータについては一つのファイルに格納する。前述した通り、ジャイロセンサ5aと加速度センサ5bのサンプリングレートは、500spsであるが、クロックを生成する水晶発振器5a2と水晶発振器5b1とで異なっているため、3軸回りの角速度のデータと3軸の加速度のデータとは別々のファイルに格納する。
【0050】
この実施例では、加速度センサ5bのサンプリングレートは、前記ジャイロセンサ5aの水晶発振器5a2とは異なる水晶発振器5b1で生成する。そのため、加速度センサ5bとジャイロセンサ5aのサンプリングレートがともに500spsであっても、水晶発振器5b1の発振周波数と水晶発振器5a2の発振周波数に誤差があると、加速度と角速度データの取り込みのタイミングが時間的に異なってしまう。このため、本実施の形態の情報収集装置1では、異なる水晶発振器5b1を利用してサンプリングレートを作り出す加速度センサ5bで得られる加速度のデータに、水晶発振器5a2のクロックで生成したリアルタイムクロック3から読み出したタイムスタンプの値を関連付けして記憶部2に記憶させることで、ジャイロセンサ5aおよび加速度センサ5bのデータとの時間の相関関係をとっている。
【0051】
なお、ジャイロセンサ5aの水晶発振器5a2および加速度センサ5bの水晶発振器5b1が生成するクロックの周波数が正確であれば、1分ごとに生成される角速度と加速度がそれぞれ格納されるファイルには、3軸の角速度および3軸の加速度についてそれぞれ30000個のデータが記録される。ところが、このサンリングレートを作っている水晶発振器5a2,5b1の精度を一般の±100ppmとすると、サンプルクロックは500±0.05spsとなるため、1分のデータは、30000±3個の範囲の数データとなる。よって、1つのファイルに含まれる角速度と加速度のそれぞれのデータ数は、30000±3個の範囲の数データとなる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ジャイロセンサ5aの水晶発振器5a2が生成したクロックを利用してリアルタイムクロック3が出力する時刻をデータに関連付けしているが、リアルタイムクロック3に水晶発振器を設けて、リアルタイムクロック3が生成するクロックを利用して情報収集装置1のシステムのクロックと各センサのサンプリングレートを作り出すようにしてもよい。
【0053】
制御部Cは、角速度と加速度のデータのそれぞれのファイルの生成に当たり、ジャイロセンサ5aと加速度センサ5bとで測定したデータ、および、サンプルを行った時刻のリアルタイムクロックから読み出したタイムスタンプの分以下の値と、データのサンプルごとに加算される値を一組として、順次メモリ11に格納していく。なお、リアルタイムクロック3は、CPU10にクロックを与えて、CPU10がメモリ11にデータを記憶させる際にデータに時間情報を関連付けして格納するようにしてもよい。
【0054】
その際に、メモリ11中の一番古い角速度のデータを一番先頭のデータとし、以降、収集された順番にデータを並べて30000個±3個分のデータアレイを作成し、それを格納するファイルを記憶部2に生成する。その際、制御部Cは、ファイル名をリアルタイムクロック3が出力する時刻のうちの日付、時、分までの時刻とし、角速度のデータに秒以下の時刻を付加し、データアレイ全体をファイルに記録する。よって、
図5に示すように、角速度のファイル名は、分以上の時刻を含む名前とされる。また、ファイル中の、角速度のデータは、バッファメモリに蓄積される際に関連付けられる各データが得られた際にリアルタイムクロック3が出力した時刻のうち、秒以下の時刻である0.0000秒とセンサ側で付加されるデータ番号とともに格納される。なお、角速度データには、番号カウンタ5a5によって1ずつインクリメントされたデータ番号が関連付けされているため、
図5に示したように、ファイル中の一番目のデータのデータ番号が「0」である場合、2番目の角速度のデータには一つ前のデータの番号「0」を1増加させた値の「1」が、3番目の角速度データにはデータ番号の値として「2」が関連付けされているので、そのまま角速度のデータとともにファイルに格納される。4番目以降も同様に、角速度のデータと、このデータに関連付けされた時刻のうち秒以下および番号カウンタ5a5が出力したデータ番号とともにファイルに格納される。制御部Cは、加速度のデータについても前述の角速度のデータをファイルにする処理と同様の処理を行って、加速度のデータと時刻とをファイルに格納する。制御部Cは、このように、角速度または加速度のデータについて、格納されるそれぞれのファイルを生成する際に、角速度または加速度のデータとともに、データに予め関連付けされたデータ番号と時刻とを、それぞれのファイルに格納する。
【0055】
なお、ファイル中のデータは、実際にはバイナリデータで記述されるが、データの構成を説明する各図において理解を容易にするためテキストデータとして表示としている。そして、制御部Cは、ファイルのファイル名の一部に時刻の日付及び時分を記録し、データに時刻の秒以下を関連付けして、ファイルを生成している。このように制御部Cがファイルを生成すれば、ファイル名を見るだけで何時何分のファイルかが分かるのでファイルをその都度開く必要がなく、処理装置としてのサーバSのオペレータのデータ解析時の工数を削減できる。
【0056】
また、予め、角速度または加速度のデータが1つのファイルに格納されるデータ数を30000個ずつと決めてしまうと、ファイル名を分以上の時刻を含んだ名前にする場合、水晶発振器5a2,5b1の精度誤差によって1分間に30000個以上のデータが採取された場合、次のファイルの先頭のデータの時刻と前のファイルの先頭のデータの分以上の時刻とが同じとなってしまう場合があり、その場合、前のファイルが次のファイルで上書きされてしまう場合が出てくる。このようにファイルに格納されるデータ数を決めるのでなく、1分間に得られたデータ全部を1つのファイルに格納するようにしておけば、次のファイルで前のファイルが上書きされる問題が解消される。
【0057】
角速度および加速度以外の車両情報についても、制御部Cは、前述の通りの処理を行ってファイルにする。ストロークセンサ5cは、単一の水晶発振器5c1が生成するクロックを基準として同じ2Kspsのサンプリングレートでストローク変位のデータを取得するので、4つのストローク変位のデータは1つのファイルに格納される。つまり、4つのストロークセンサ5cは、1つの水晶発振器5c1が生成する同じクロックを用いてサンプリングレートが同じ2Kspsのセンサであって、サンプルタイミングが同じセンサであるので、制御部Cは、1分間に得られる120000個±精度誤差分のダンパのストローク変位のデータのそれぞれに、前述と同様にしてリアルタイムクロック3が出力する時刻と番号の値を関連付けして一つのファイルに格納して、記憶部2に記憶させる。
【0058】
この実施例では、ストロークセンサ5cのサンプリングレートは、前記ジャイロセンサ5aとは異なる水晶発振器5c1で生成する。そのため、水晶発振器5c1の発振周波数の精度が、ジャイロセンサ5aのサンプリングレートを生成する水晶発振器5a2に対して、±100ppmであるとすると、1分間のデータ数に最大±12サンプルの誤差が発生する。つまり、リアルタイムクロック3で1分間分のデータ数は、119988個~120012個の範囲のいずれかとなる。このため、本実施の形態の情報収集装置1では、
図6に示す通り、ストローク変位のデータのそれぞれに、水晶発振器5a2のクロックで生成したリアルタイムクロック3から読み出したタイムスタンプの値を関連付けして一つのファイルに格納して記憶部2に記憶させることで、ジャイロセンサ5aおよび加速度センサ5bのデータとの時間の相関関係をとる。
【0059】
同様に、制御部Cは、位置検知装置5dのサンプリングレートが1spsであるので、1分間に得られる60個の位置情報のデータのそれぞれに、前述と同様にしてリアルタイムクロック3が出力する時刻と番号の値を関連付けして一つのファイルに格納して、記憶部2に記憶させる。位置検出装置5dは、人工衛星から時刻を受けて衛星からの距離を利用して、三角測量で位置をもとめるが、同時に、人工衛星に搭載されている正確な時刻を検出することができる。そこで、位置情報のほかに、正確な時刻情報を格納する。位置検出装置から得られる情報には、位置データのほかに、正確な時間データをリアルタイムクロック3から読み出したタイムスタンプの値と関連付けて、一つのファイルに格納し、記憶部2に記憶させてもよい。
【0060】
さらに、制御部Cは、4つの加速度センサ5eのサンプリングレートが1Kspsであり、各加速度センサ5eのサンプリングクロックは、ジャイロセンサ5aのサンプリングレートを生成する水晶発振器5a2とは別の、精度100ppmの自身がそれぞれ備える水晶発振器5e1でそれぞれ生成されている。そのため、加速度センサ5eのそれぞれで1分間に得られるデータ数は、60000個±6個となり、制御部Cは、そのそれぞれに、前述と同様にしてリアルタイムクロック3が出力する時刻と番号の値を関連付けしてそれぞれの加速度センサ5eが出力する加速度のデータを4つのファイルに格納して、記憶部2に記憶させる。
【0061】
そしてさらに、制御部Cは、OBD端子17から約10spsのサンプリングレートでそれぞれ車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報を収集するので、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報については、それぞれ、約600個の各データのそれぞれに、前述と同様にしてリアルタイムクロック3が出力する時刻を関連付けして一つのファイルに格納して、記憶部2に記憶させる。OBD端子は、リクエスト―レスポンスベースでのデータ収集となるため、正確なタイミングでデータを送ってくるわけではない為、この方法は、非常に都合がよい。
【0062】
以上のように、制御部Cは、情報検知装置5およびOBD端子から得られるデータのうち同じサンプルタイミングが同じセンサで検知されるデータ同士を纏めて一つのファイルにして記憶部2に記憶させる。本実施の形態では、ジャイロセンサ5aと加速度センサ5bとはサンプリングレートが同じであるがクロックソースが異なっており、ストロークセンサ5c、位置検知装置5d、加速度センサ5eおよびOBD端子17から入力されるデータのサンプリングレートは互いに異なっている。よって、制御部Cは、クロックソースとサンプリングレートとが同じでサンプルタイミングが同じストロークセンサ5cで検知される4つのストローク変位のデータについては1つのファイルに格納する他、ジャイロセンサ5aが検知した角速度のデータが格納されるファイルを生成し、加速度センサ5bが検知した加速度のデータが格納されるファイルを生成し、位置検知装置5dが検知した位置情報のデータが格納されるファイルを生成し、4つの加速度センサ5eが検知したそれぞれのばね下の加速度のデータを個別に格納する4つのファイルを生成し、OBD端子17から入力される各種データが格納されるファイルを生成する。
【0063】
なお、ジャイロセンサ5a、加速度センサ5b、ストロークセンサ5cおよび加速度センサ5eが単一の水晶発振器が生成するクロックを用いて同じサンプリングレートでデータをサンプルする場合、制御部Cは、ファイルの生成にあたってジャイロセンサ5a、加速度センサ5b、ストロークセンサ5cおよび加速度センサ5eが検知したデータを1つのファイルに格納してもよい。
【0064】
つづいて、制御部Cは、イグニッションスイッチのオフ動作を検知したスイッチ制御部4からのオフ信号が入力されると、情報検知部5および車載センサから得られる情報を収集してファイルを生成する処理であるロガープロセスを終了する。この場合、制御部Cは、ファイル化されていない情報を情報蓄積時間に満たなくとも纏めたファイルを生成した後に記憶部2に記憶させる。
【0065】
制御部Cは、全ての情報のファイル化が終了すると、通信部6を介してサーバSへ送信する転送プロセスを実行する。具体的には、制御部Cは、通信部6とサーバSとの通信が確立された場合には、記憶部2に記憶されている複数のデータファイル、本実施の形態では8つファイルを同時に並列してサーバSへ送信する。制御部Cは、記憶部2に記憶されている全ファイルを古いものから順に一覧化(リスト化)し、一覧(リスト)に従って順番にファイルをサーバSへ送信する。制御部Cは、8つのファイルを並列して通信部6を介してサーバSへ同時に送信するが、1つのファイルの送信が完了するごとに、送信が完了したファイルを記憶部2から消去し、前記リスト中で未送信のファイルの順番の若いファイルを選択して送信する。つまり、制御部Cは、8つの転送プロセスを同時に処理しており、各転送プロセスで1つのファイルの送信が終了すると記憶部2から転送が完了したファイルを消去すると、次のファイルを送信するという処理を継続して行う。
【0066】
制御部Cは、こうしてファイルの送信処理を行って記憶部2に記憶されていたすべてのファイルの送信が完了すると、全てのファイル転送プロセスを終了して、スイッチ制御部4へオフ信号を入力する。
【0067】
制御部Cは、イグニッションスイッチがオフされても電源Bから電力供給を受けて、ロガープロセスを終了して転送プロセスを実行して全ファイルの送信が終了するまではオフ信号を出力しない。制御部Cからオフ信号の入力がない場合、スイッチ制御部4はスイッチMSをオン状態に維持するため、制御部Cは、イグニッションスイッチがオフされても全ファイルの送信が完了するまで電源Bから電力供給を受けることができる。
【0068】
情報収集装置1から前述のようにファイルを受信するサーバSは、車両Vの基地局に設置されている。サーバSは、本実施の形態では、情報収集装置1から受信したファイルを蓄積するとともに処理する処理装置を構成している。処理装置としてのサーバSは、
図7に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置20と、情報収集装置1から受信した車両情報のファイルを記憶するとともにサーバSの制御および前記車両情報の処理及び解析に必要なプログラムを記憶するとともに前記演算処理装置20における処理に必要な記憶領域を提供する記憶装置21と、キーボードやマウスといったオペレータの指示の入力を受け付ける入力装置22と、表示装置23と、プリンター24と、これら装置を互いに通信可能に接続するバス25とを備えている。
【0069】
サーバSが設置される基地局には、車両Vの駐車スペースが設けられており、駐車スペースの至近に、情報収集装置1における通信部6と相互に無線LAN通信が可能な通信部26が設置されている。通信部26は、図示しないアンテナユニットを備えておりサーバSに接続されていて、サーバSは、通信部26を介して情報収集装置1から送信されるファイルを受け取る。通信部26とサーバSは、有線で接続されてもよいし、駐車スペースとサーバSとの距離が長い場合、図示しない中継器を介して無線通信できるようになっていてもよい。
【0070】
サーバSは、情報収集装置1から情報を纏めたファイルを受け取ると、ファイルを記憶装置21内の図示しないデータベースに格納する。ファイルは、サーバSを操作するオペレータによる解析に供され、たとえば、国際ラフネス指標の算出に用いられる他、その他道路の路面性状の把握に利用される。
【0071】
サーバSは、各車両情報のファイルを受信した後、各ファイルに格納されているデータの時刻を利用して、各車両情報のデータを関連付けして解析用ファイルを生成する。サーバSは、
図8に示すように、時刻を先頭として角速度、加速度、ストローク変位、ばね下の加速度、位置情報、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報における同一時刻に得られたデータを関連付けて同一行に記述し、次の時刻に得られた各車両情報のデータを次の列の行に記述するようにして解析用ファイルを生成する。解析用ファイルは、
図8に示すように、各行に同一時刻に採取されたセンサーデータ値を、コンマで区切ったテキスト形式で表現したCSV形式で生成されてもよいし、他の形式で生成されてもよい。ほかの形式で生成される場合は、関連付けられた一纏まりのデータ群がわかるようにグループ分けできていれば、同一行でなくてもよい。
【0072】
また、サーバSは、このデータを数秒から10秒程度の短い時間区切り、その間に得られた各車両情報のデータをサンプリングレートの早いデータを基準にしてリアルタイムクロック3の時刻の順に各データが並んだ解析用ファイルを生成する。
【0073】
このようにして得られた解析用ファイルは、サーバSによる解析に供される。サーバSは、オペレータの指示によって解析用ファイル内のデータを解析して、たとえば、国際ラフネス指標の算出、道路性状の判定、道路の補修の要否の判定などを行う。
【0074】
サーバSの処理について、より詳細に説明する。演算処理装置20は、情報収集装置1から得た各ファイル名を参照し、年月日時分を把握し、各ファイルを年月日時分の古い順に並べ替える。ファイル内の各データは、情報収集装置1でのファイル生成の際に、時刻順に並んで格納されている。よって、情報収集装置1が保存したファイルをファイル名の年月日時分で日時順に並べ替えると、それぞれのデータは、連続のデータとしてつながることになる。情報収集装置1が、一度キーオフされ、情報の収集が停止し、再度キーオンによって情報収集が開始された場合(データ収集車両が、一度エンジンをオフにし、再度、収集を開始するために、エンジンをオンしたケース)にはファイルとファイルの間の時間が、連続にならない。このようにデータが連続しない場合、サーバSは、解析用ファイルの生成に当たり、不連続なデータが同じ解析用ファイル内に格納されないようする。
【0075】
前述した通り、各ファイル名は日付、時、分とされており、ファイル内のそれぞれのデータには秒以下の時間が関連付けされている。リアルタイムクロック3が出力する時刻の単位が予め決められているので、演算処理装置20がファイルを参照する際、ファイル名を参照し、先頭のデータの時刻を読み込めば、抽出すべきデータが当該ファイル内にあるか否かを判断できる。なお、先頭のデータが得られた時刻は、秒以下の時刻となっているため、演算処理装置20は、ファイル中のデータの採取時刻は、ファイル名に含まれている年月日時分と、データの秒以下の値を足し合わせたものとすればよい。また、一つのファイル中に記録されるデータは、おおよそ1分となっており、1分より、若干の多少を許すこともできる。この場合、秒データは、599999から、000000に、更新される。その場合は、そのデータの年月日時分のデータに1分を加算する更新によって、正しい連続な時刻を求めることができる。なお、ファイル名に分以上の時刻を含めない場合、ファイルの先頭に格納されるデータにのみ分以上の時刻を関連付けして格納し、先頭以外のデータについては秒以下の時刻を関連付けして格納してもよい。また、情報収集装置1のメモリ11や記憶部2の記憶容量に余裕がある場合、日時分秒の時刻を各データに関連付けして記憶させることも可能である。
【0076】
また、本実施の形態では、リアルタイムクロック3の分以下の時刻を16ビットのバイナリデータとしてファイルに格納している。、このようにリアルタイムクロック3が出力する時刻の進みよりもサンプリングレートが早い場合、ファイル内に同じ時刻が関連付けされた複数のデータが記録される場合がある。このような場合、情報収集装置1で生成するファイルにはサンプル時刻の古いデータから順に記録されているので、演算処理装置20は、
図9に示すように、同一時刻のデータがある場合、古い方のデータを優先的に抽出して、他のセンサから同一時刻に得られたデータとともに解析用ファイル内の同一行に記述し、新しい方のデータは次の行に記載されるべきデータとともに記述する。
【0077】
演算処理装置20は、サンプリングレートが一番早いセンサ、本実施例では、ストロークセンサ5cのデータを基準として、他の各センサで同一のリアルタイムクロックに関連付けられた時刻に検知された各車両情報のデータを同一行に記述して出力する。よって、演算処理装置20は、ストロークセンサ5cのデータに関連付けされたリアルタイムクロック3の時刻と同一時刻の他の車両情報の同一時刻のデータを抽出する。すると、各センサのサンプリングレートの関係で、各車両情報のデータのうち当該時刻に関連付けられたデータを見いだせない場合がある。たとえば、演算処理装置20は、基準となるストロークセンサ5cで検知したデータの時刻と、同一時刻の加速度センサ5bで検知したデータが加速度のファイル群に存在しない場合がある。その場合は、加速度センサ5bで検知したデータのうち直前の時刻に得られたデータを抽出して、解析用ファイル中の同一行に記述する。路面性状分析では、一つの解析用ファイル中に含まれるデータ群は、数秒から10秒程度の短い時間(解析用データ抽出時間)内に得られたデータ群となっており、リアルタイムクロック3の時刻で関連付けされるので、非同期の複数のクロックソースを持つ各センサで採取することで一定時間内のデータ数に若干の誤差が生じていても解析用ファイル中で各車両情報のデータ同士を容易に同期させ得る。この処理を以下により詳細に説明する。
【0078】
各センサのサンプリングレートが異なるため、1秒間に得られるデータ数は、各車両情報によって異なる。10秒間に得られた各車両情報のデータ群を格納した解析用ファイルをサーバSが生成する場合を考える。ジャイロセンサ5aおよび加速度センサ5bのサンプリングレートは、500spsであるので、解析用ファイルに格納される角速度および加速度のデータ数は5000個となる。ストロークセンサ5cのサンプリングレートは、2Kspsであるので、解析用ファイルに格納されるストローク変位のデータ数は20000個となる。位置検知装置5dのサンプリングレートは、1spsであるので、解析用ファイルに格納される位置情報のデータ数は10個となる。加速度センサ5eのサンプリングレートは、1Kspsであるので、解析用ファイルに格納されるばね下の加速度のデータ数は10000個となる。また、情報収集装置1がOBD端子17から10spsのサンプリングレートでそれぞれ車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報のデータを収集できたとすると、解析用ファイルに格納される車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度のデータ数はそれぞれ100個となる。
【0079】
演算処理装置20は、前述したように、解析用ファイルの生成の際、一番早いサンプリングレートで取得されるストローク変位のデータ数を基準として、たとえば、データ数と同数の行と、少なくとも各車両情報のデータの数に時刻とデータ番号の2を加えた数の列とを備えた表を用意し、このデータに合わせて他の各センサで検知された各車両情報のデータの同一時刻にサンプルされたデータで表の該当セルを埋める。なお、表の行と列は入れ替えてもよいし、ソフトウェア上では、表の行に相当する同一時刻に取得されたデータの組を一つの構造体とて取り扱ってよい。つまり、解析用ファイルには、角速度、加速度、四輪の各ストローク変位、位置情報、ばね下加速度、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報のデータ数は、それぞれ20000個ずつ格納される。前述した通り、ストローク変位のデータは、10秒間で20000個のサンプリングされるのに対して、加速度のデータは5000個となる。このように、ストローク変位のデータ数に合わせて角速度、加速度、四輪の各ストローク変位、ばね下の加速度、位置情報、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度といった他のデータの値を同一行に記述するには、データ数の少ない情報を最も多いデータ数に合わせて補完する必要がある。サーバSは、前述した通り、ストローク変位のデータに関連付けされた時刻と同一時刻の加速度のデータが存在しない場合、
図10に示すように、ストローク変位のデータに関連付けされた時刻の直前の時刻に得られた加速度のデータを複製して同一行に記述する。このように、サーバSは、同一時刻に得られたデータがない車両情報については、直前の時刻に得られたデータを同一時刻に得られたデータとして取り扱って、データ数が少ない車両情報を補完して解析用ファイルを生成する。このようにすると、各センサにサンプリングレートに差があっても、各センサが検知した全ての車両情報のデータ同士を抜けなく関連付けできるので、解析用ファイルを用いての解析が容易となる。なお、基準となるデータが得られた時刻に最も近い時刻に得られたデータを同一時刻に得られたデータとして取り扱っても良い。また、前後のデータを用いて値を推定しても良いし、インターポレーション処理を行ってもよい。直前の時刻に得られた加速度のデータを複製して同一行に記述する方法は、他の方法と比較して、複製し、記述するのみなので処理速度が速い。
【0080】
また、サーバSは、車両情報のデータが格納されているファイルを参照する際に、各ファイルにおける各データに関連付けられているデータ番号の値を参照し、データ番号に抜けや飛びがある場合、そのファイル中の車両情報の収集に異常があったと判断して、解析用ファイルの該当行にマークを付けるとともに、表示装置23にエラーが検出されたデータを含むファイル名を出力する。たとえば、ストロークセンサ5cが検知するストローク変位のデータは、情報収集装置1が生成する1分間で得られるデータをまとめたファイル中に120000個格納される。ストローク変位のデータが得られる度に番号カウンタが番号を1ずつ繰り上げてデータ番号を出力する場合、ストローク変位のデータに関連付けられている最初のデータ番号を0であると、最後のデータ番号は119999となる。サーバSは、ストローク変位のデータの番号が古いものから新しいものへ順に1ずつ繰り上がっている場合には、ストロークセンサ5cが正常にストローク変位をサンプリングしたと判断する。ところが、センサ側からうまく制御部Cでデータを取り込めておらず、或るデータの番号に対して次のデータの番号が1繰り上がっていない場合、データに抜けがある可能性があり、サーバSは、このようなデータを含むファイルをサンプリング異常と判断し、解析用ファイルの該当行にマークを付けるとともに、表示装置23にファイル名を表示させる。センサ側では常にデータ番号をインクリメントして更新して制御部Cへ送出しているが、制御部Cでデータの取りこぼしがあると、記憶部2に格納される車両情報のデータのデータ番号が連続しない現象が生じる。サーバSのオペレータは、異常があったファイルの名が表示装置23に表示されるので、ファイル中のデータのサンプリングに異常があったことを知り得る。なお、このサンプリング異常の判断を行うことに加え、或いは判断に代えて、サーバSは、縦軸に時間を採り、横軸にデータの番号を採ったグラフを表示装置23に出力させてもよい。このようにサーバSによって処理されたグラフにおいてサンプリングが正常に行われていれば時間に比例するように推移する線を描く筈であるが、データに抜けがあると
図11に示すように線Aに歪d,eが生じる。データの番号が飛んで大きくなる場合には、線Aに歪dが生じ、データの番号が戻ってしまう場合には、線Aに歪eが生じる。また。サーバSは、エラーがあった場合には、処理結果を格納するログファイルにエラーを出力してもよい。オペレータは、ログファイルの処理結果を確認することで、サンプリングの異常を知ることができる。このように、情報収集装置1が車両情報のデータをファイルにする場合に、データに古いものから順に1ずつインクリメントされる番号を付しておくと、情報収集装置1によるデータのサンプリングの異常の有無を簡単に判断できる。なお、センサ側でのインクリメントによってデータに付される番号は、1ずつ増加するものでなくともよく決められた数値ずつ値が増加するものでもよいし、決められた法則に従ってデータに付される値、文字や記号が変化するようにしてデータの抜けを判断できるようにしてもよい。また、センサ側の番号カウンタは、インクリメントではなく値を減じるデクリメントによってデータに関連付けされるデータ番号を出力してもよい。
【0081】
本実施の形態の情報収集装置1およびサーバSは、以上のように構成されており、以下、情報収集装置1およびサーバSの具体的な処理手順を
図12および
図13に示したフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0082】
イグニッションスイッチがオンされて電力供給を受けると情報収集装置1は、起動する(ステップF1)。情報収集装置1は、情報検知部5および車載センサの各センサで車両情報を検知して車両情報を収集する(ステップF2、データ収集ステップ)。そして、制御部Cは、メモリ11をバッファメモリとして情報検知部5および車載センサの各センサから得られる車両情報のデータとリアルタイムクロック3が出力する時刻とデータの番号とを関連付けして一時格納する(ステップF3)。さらに、制御部Cは、バッファメモリがデータで一杯になったか否か、または所定の時間(本実施例では1分間)が経過したかを判断する(ステップF4)。制御部Cは、バッファメモリがデータで一杯になっていないか、所定の時間が経過していない場合、ステップF2に戻り処理を継続する。制御部Cは、バッファメモリがデータで一杯になるか、または所定の時間が経過したら、所定の時間に得られたデータを抽出して車両情報毎にファイルを生成して、得られたファイルを記憶部2に記憶させる(ステップF5、データ記憶ステップ)。なお、ファイルの生成時にも制御部Cは、情報検知部5および車載センサの各センサから得られる車両情報とリアルタイムクロック3が出力する時刻とデータの番号とを関連付けしてメモリ11に一時格納する処理を継続する。このステップF2からステップF6までの情報収集装置1の処理は、車両情報を収集して記憶するロガープロセスとされる。
【0083】
制御部Cは、ロガープロセスを実行中、常時、イグニッションスイッチのオンオフ状態のモニタをして、イグニッションスイッチがオフされたか否かの判断を行っている(ステップF6)。制御部Cは、イグニッションスイッチがオフされていない場合には、ステップF2からステップF6までの処理を繰り返し実行する。そして、イグニッションスイッチがオフされた場合、記憶部2に記憶されたデータファイルの一覧(リスト)を取得し(ステップF7)、リストの順に従って通信部6から記憶部2に記憶されているファイルを古い順にサーバSへ送信する(ステップF8)。制御部Cは、全てのファイルを転送し終わると同期処理を行って、情報収集装置の電源オフ信号をスイッチ制御部4へ入力する(ステップF9)。
【0084】
なお、制御部Cは、ファイルの転送の処理において、転送にかかる時間が長時間になる場合に電源Bの電機エネルギの消費を抑えるべく、転送時間を制限するようにしてもよい。具体的には、制御部Cは、ファイルの転送を実行中、イグニッションスイッチのオフされてからの時間をカウントし続け、全てのファイルの転送が終了していなくても、カウントした時間が所定の待ち時間以上となると、ファイルを転送する処理を終了し同期処理を行ってオフ信号をスイッチ制御部4へ入力する。このように構成された情報収集装置1によれば、時間的に制限なく情報を送信するようなことがなくなるので電源Bの電気エネルギの消耗を押さえることができ、車両Vのバッテリを電源Bとする場合にはバッテリのあがりを防止できる。
【0085】
また、異なるサンプル周期をもつセンサ群ごとに、ロガープロセスを並列に動作させてもよい。その場合は、ロガープロセスを管理するプロセスにより、ロガープロセスの並列起動と停止、イグニッションスイッチの監視、データの転送の管理を行う。
【0086】
他方、サーバSは、情報収集装置1からファイルを受信するとファイルを記憶装置21に格納する。そして、サーバSは、オペレータから指示があるとき、または、あらかじめ設定された時間に、記憶装置21に格納された各車両情報のファイルを参照して解析用ファイルを生成する(ファイル生成ステップ)。
【0087】
具体的には、ファイル生成ステップでは、サーバSは、角速度、加速度、ストローク変位、位置情報、ばね下加速度、車両Vの速度、エンジン回転数、エンジン水温、アクセル開度の各車両情報のファイルを参照して、解析対象時間に対応するデータの中から、時刻の早い順に、同一時刻に得られたデータを順次抽出して解析用ファイルを生成して、生成した解析用ファイルをデータベースへ格納する(ステップF21)。ステップF21では、サーバSは、
図14に示した処理を行う。サーバSは、基準となるセンサのデータのファイルを時刻順に並べる(ステップF31)。具体的には、サーバSは、サンプリングレートが一番早いストロークセンサ5cが検知したストローク変位のファイル中のデータを基準として解析用ファイルを生成する。まず、ストローク変位が格納されたファイルを時刻順に並べる。つづいて、サーバSは、ファイル中に格納されているデータ数に応じてストローク変位のデータを入力するための表を作成する(ステップF32)。表は、たとえば、4つストローク変位のデータに関連付けされた時刻毎に列を形成し、同一の列に4つのストローク変位のデータの他、他のセンサで検知した各データの入力が可能となるように行を備える。表は、先頭列に時刻のエントリを備えており、行を追うごとに時刻が進む構成となっていて、センサ毎のデータが同一列のエントリに行を追うごとに時系列に書き込まれることになる。なお、サンプリングレートが一番早いセンサのデータ数が一番多いので、このデータを基準として表を作成すれば、他のセンサで検知したデータを表中に必ず入力できる。
【0088】
そして、サーバSは、基準となるストローク変位のデータのうち一番古いストローク変位のデータが格納されているファイルから順に開き(ステップF33)、古いデータから順に、開いたファイルから前記表にデータをコピーする(ステップF34)。サーバSは、データのコピーを終了したらストローク変位のデータファイルを閉じる(ステップF35)。さらに、サーバSは、同一時刻または近接する時刻の、基準となるストロークセンサ5c以外のセンサのデータが格納されたファイルを順次、開き、表に転記された時刻と同一時刻のデータを選んで(ステップF36)、前記表の同時刻の列の該当セルにコピーする(ステップF37)。なお、ストローク変位のデータに関連付けされた時刻(抽出対象時刻)と同一時刻のデータがない場合、前記抽出対象時刻と最も近い直前の時刻に得られたデータを利用して表を埋めていく。具体的には、ステップF36およびステップF37の処理では、サーバSは、以下のように処理する。サーバSは、基準となるストロークセンサ5c以外のセンサのデータが格納されたファイル(以下、「参照中ファイル」と言う)中から、前記表の先頭の時刻と同時刻または、同時刻のデータが存在しない場合は直前の時刻に関連付けされたデータを前記表中で当該データを書き込むべき列の先頭の行のエントリにコピーする(手順1)。次に、サーバSは、前記表中でデータをコピーしたエントリと同じ列の次の行のエントリをポイントするとともに、参照中ファイルの前の手順でコピーしたデータ(以下、「前回書込データ」という)と同じ列の次の行のデータをポイントし、表中でポイントしているエントリの時刻と参照中ファイル中でポイントしているデータの時刻とを比較する(手順2)。サーバSは、参照中ファイル中で現在ポイントしているデータの時刻が前記表中でポイントしているエントリの時刻よりも後の時刻であった場合、参照中ファイル中でポイントしている行と同じ列の1つ前の行のデータ、つまり、前回書込データを現在前記表中でポイントしているエントリに書き込む。また、サーバSは、参照中ファイル中で現在ポイントしているデータの時刻が前記表中でポイントしているエントリの時刻よりも後の時刻でない場合、参照中ファイル中で現在ポイントしているデータを前記表中でポイントしているエントリに書き込む(手順3)。サーバSは、表中で参照中ファイルのデータを書き込むべき列の全てのエントリが書き込まれるまで、前記手順2および前記手順3を繰り返し実行する。
【0089】
なお、抽出対象時刻と同一時刻のデータが参照ファイル中にない場合、同じ車両情報のデータを格納したファイルであって隣接する時刻帯のデータを格納したファイルをも参照して抽出対象時刻と最も近い直前の時刻に得られたデータを抽出してもよい。
【0090】
そして、サーバSは、表がすべて埋まっているか判断し(ステップF38)、表がすべて埋まるまで、順次、ステップF36およびF37の処理を繰り返し、表が埋まったら、解析用ファイルとして、データベースへ格納する(ステップF39)。
【0091】
なお、サーバSは、解析用ファイルを生成する処理において、
図10のように、CSV形式でファイルを保存する場合には、時刻を左側のカラムにして同一時刻に得られたデータ同士を同一行に記述して得られるファイルを解析用ファイルとして生成し、解析用ファイルをデータベースへ格納する(ステップF21)。このように、サーバSは、基準となるデータと同一時刻のデータを含む他のセンサのファイルを参照して、基準となるデータとペアになるデータを抽出し、抽出したデータと同時刻または近い時刻のエントリにデータをコピーして解析用ファイルを生成する。
【0092】
そして、サーバSは、解析用ファイルの生成の後、ステップF21で未処理のファイルがあるか判断し(ステップF22)、未処理のファイルがある場合には、ステップF21の処理(ステップF31からステップF3)までの処理)を繰り返し、未処理のファイルがない場合には処理を終了する。つまり、サーバSは、全てのファイルを残すことなく処理して解析用ファイルを生成できる。
【0093】
なお、サーバSは、あらかじめ指定された時間になるか、または、オペレータの要求に従って、新しく取得されたデータについての解析用ファイルを生成する。また、サーバSが実行する解析用ファイルを生成するソフトウェア上で、解析用データ抽出時間の設定、解析用ファイルに含むべき車両情報の選択等の詳細の設定をオペレータが指示できるようにしてもよい。
【0094】
以上のように、情報収集装置1は、情報の記憶が可能な記憶部2と、時刻を出力するリアルタイムクロック3と、車両に関する異なる複数の車両情報を記憶部2に記憶させる制御部Cとを備え、制御部Cが車両情報の種類毎に車両情報のデータが得られた際にリアルタイムクロック3が出力する時刻を関連付けして車両情報を記憶部2に記憶させる。このように構成された情報収集装置1は、リアルタイムクロック3の時刻を各センサが各車両情報に関連付けするので、各センサの同期がとれていなくとも、同時刻に得られた車両情報のデータの特定が可能となり、異なる車両情報のデータ同士の時間的関連性を損なわずに複数の車両情報を収集できる。
【0095】
また、情報収集装置1における制御部Cは、所定の情報蓄積時間毎に得られたデータを同じサンプルタイミングのセンサで得られた車両情報を纏めて記録したファイルにして記憶部2へ記憶させる。このように構成された情報収集装置1は、同じサンプルタイミングで得られた車両情報を纏めて記録したファイルを生成するので、1つのファイルに格納される複数のデータに対して1つの時刻のみを格納すればよいから生成されたファイルのファイルサイズを小さくできる。また、このように異なるサンプルタイミングを持つ各データファイルは、個々に時刻の関連付けによるタイムスタンプを記録しているため、各車両情報を検知する各センサのサンプリング開始時間と終了時間とを同期させる必要がない。さらに、このように構成された情報収集装置1が同じサンプルタイミングのセンサで得られた車両情報を纏めて記録したファイルを生成しても、各ファイル中のデータにリアルタイムクロックの時刻が関連付けられているので、ファイル間のデータ同士の相互の時間的関連性は失われない。また、センサ毎にサンプリング時間のベースとなる水晶発振器が違っており、その水晶発振器の周波数に誤差があり、サンプリング時間が、微妙に違っていた場合も、異なるセンサ間のデータの同時刻のデータのマージをすることが可能である。
さらに、このように構成された情報収集装置1は、全ての車両情報のデータを一纏まりのファイルにするのではなく、車両情報毎にデータをファイルするので、メモリ領域を有効に利用できる。つまり、全車両情報のデータを一纏まりのファイルにする場合、早いサンプリングレートのデータに合わせて遅いサンプリングレートのデータも早いサンプリングレートのデータ数と同数がファイルに格納されることになり、ファイルサイズが大きくなってしまうので取り扱いにくいが、車両情報毎にデータをファイルするとこのような無駄なデータの格納が無くなって個々のファイルサイズが小さくなってメモリ領域を有効に活用できる。
【0096】
さらに、情報収集装置1における制御部Cは、ファイルの先頭には時刻の日付および時分を記録し、以降に時刻の秒以下の時刻を関連付けしたデータを記録している。このように構成された情報収集装置1によれば、データに関連付けられる時刻を16ビット以内のバイナリデータで表現できるようになるので、安価なCPUの利用が可能となり、且つデータメモリやファイルも小さくできるので、情報収集装置1を安価にできる。
【0097】
また、情報収集装置1における制御部Cは、データが得られる度に1ずつインクリメントした値をデータの番号としてデータと同時に取得して、記憶部2へ記憶させる。このように構成された情報収集装置1によって生成されたファイルを参照すれば、各センサのサンプリングに異常がある場合、ファイル中のデータの番号に抜けや飛びが発生するので、情報収集装置1のオペレータは、ファイル中のデータの番号を参照することにより或いはサーバ(処理装置)Sの処理によって、サンプリング異常を容易に発見できる。
【0098】
なお、本実施の形態の情報収集装置1において制御部Cは、イグニッションスイッチがオフされてから待ち時間経過すると、記憶部2に記憶された情報全部のサーバ(処理装置)Sへの送信が完了していなくても、スイッチ制御部4へオフ信号を入力する。このように構成された情報収集装置1によれば、時間的に制限なく情報を送信するようなことがなくなるので電源Bの電気エネルギの消耗を押さえることができ、車両Vのバッテリを電源Bとする場合にはバッテリのあがりを防止できる。
【0099】
さらに、本実施の形態のサーバ(処理装置)Sは、情報収集装置1で収集された各車両情報のデータを処理して、各車両情報のデータに関連付けされた時刻に得られた種類の異なる車両情報のデータ同士を関連付けて解析用ファイルを生成する。このように構成された車両情報収集システムおよび車両情報収集方法によれば、情報収集装置1がリアルタイムクロック3の時刻を利用して、各センサの同期がとれていなくとも同時刻に得られたデータ同士を互いに関連付けするので、サーバ(処理装置)Sでリアルタイムクロック3の時刻を基準として同時刻に得られたデータ同士を抽出する処理が可能となって、データ同士の時間的なアライメント調整が可能となり、データ相互の正しい時間的関連性が保たれた解析用ファイルを生成できる。つまり、車両情報収集システムおよび車両情報収集方法によれば、センサ毎のサンプリングレートが異なっていることに起因するサンプリングレートが速いデータのスキップや、センサ側とDMA側とが非同期であるために生じてしまうデータの飛びや同じデータの複数回記録等といったデータの時間的連続性が損なわれることなく、データ同士の時間的なアライメントが取れた解析用ファイルを生成できるのである。
【0100】
よって、本実施の形態の車両情報収集システムおよび車両情報収集方法によれば、時間的なアライメント調整が済んだ解析用ファイルを生成できるので、正しい解析結果を得ることができる。このように、本実施の形態の車両情報収集システムおよび車両情報収集方法によれば、情報収集装置1で収集された車両情報をサーバ(処理装置)Sにて最適に処理できる。
【0101】
また、本実施の形態の車両情報収集システムおよび車両情報収集方法におけるサーバ(処理装置)Sは、複数の異なる車両情報のデータのうち、或る時刻に取得されていない車両情報のデータがある場合、同一種類の車両情報のうちから当該時刻の直前の時刻に得られた車両情報のデータを関連付けする。このように構成された車両情報収集システムおよび車両情報収集方法によれば、全ての車両情報において時間差の極少ないデータ同士を関連付けして解析用ファイルを生成できるので、良好な解析結果を得ることができる。また、各センサにサンプリングレートに差があっても、各センサが検知した全ての車両情報のデータ同士を抜けなく関連付けできるので、解析用ファイルを用いての解析が容易となる。
【0102】
なお、本実施の形態では、解析用ファイルを用いて国際ラフネス指標の算出、道路性状の判定、道路の補修の要否の判定などを行う例を挙げて本発明を説明しているので、車両情報も国際ラフネス指標の算出などの向くものを選択しているが、これら車両情報は、一例であって、前述した車両情報以外の車両に関する情報を車両情報としてもよい。
【0103】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
1・・・情報収集装置、2・・・記憶部、5・・・情報検知部、C・・・制御部、S・・・サーバ(処理装置)