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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024464
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】無線通信システム及び受令確認方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/40 20180101AFI20220202BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20220202BHJP
   H04W 28/08 20090101ALI20220202BHJP
【FI】
H04W76/40
H04W4/06
H04W28/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127079
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙太
(72)【発明者】
【氏名】秋濃 智宣
(72)【発明者】
【氏名】下条 忍
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA15
5K067CC06
5K067CC14
5K067DD13
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE71
(57)【要約】
【課題】 一斉指令に対する受令確認結果を、迅速に、且つ輻輳を防いで確実に通知することができる無線通信システム及び受令確認方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 回線制御装置20が、一斉指令を行う第1のチャネルとは別に、受令確認に用いる第2のチャネル(受令確認用チャネル)を用意しておき、指令卓10が、一斉指令中に通話状態を保持したまま受令確認開始通知を送信し、回線制御装置20が、基地局3に第2のチャネルを割り当てて受令確認開始通知を端末40に送信させ、端末40からら第2の無線チャネルを用いて順次送信された受令確認結果を、基地局3を介して受信して、指令卓10に送信する無線通信システム及び受令確認方法としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、前記指令卓及び前記複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、
前記指令卓が、一斉指令の送話中に、前記一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、
前記回線制御装置が、前記指令卓からの一斉指令があると、前記複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、前記指令卓から受令確認開始指示が入力されると、前記第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを前記複数の基地局に割り当てて前記受令確認開始指示を送信させ、前記受令確認開始指示を受信した端末から前記第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、前記複数の基地局を介して受信して、前記指令卓に送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記指令卓は、受令確認開始指示を複数の端末に一斉に送信し、前記複数の端末からの受令確認結果を異なるタイミングで個別に受信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記指令卓からの一斉指令を受信する端末を備え、
前記端末が、ランダムなタイミングでタイムアップするランダムタイマを有し、受令確認開始指示を受信すると、前記ランダムタイマを起動して、前記ランダムタイマが前記端末毎に異なるタイミングでタイムアップすると、受令確認結果を第2の無線チャネルを用いて送信し、
前記回線制御装置が、前記受令確認結果を送信する端末に前記第2の無線チャネルの送信権を与えることを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、前記指令卓及び前記複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムにおける受令確認方法であって、
前記回線制御装置が、前記指令卓からの一斉指令があると、前記複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、
前記指令卓が、前記一斉指令の送話中に、前記一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、
前記回線制御装置が、前記指令卓から受令確認開始指示が入力されると、前記第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを前記複数の基地局に割り当てて前記受令確認開始指示を送信させ、前記受令確認開始指示を受信した端末から前記第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、前記複数の基地局を介して受信して、前記指令卓に送信することを特徴とする受令確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、特に指令卓からの一斉指令に対する端末からの受令確認を迅速かつ確実に行うことができる無線通信システム及び受令確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明:図3
防災行政無線等に用いられる無線通信システムの構成例について図3を用いて説明する。図3は、無線通信システムの概略構成を示す説明図である。
図3に示すように、無線通信システムは、指令卓1と、回線制御装置2と、複数の基地局3a、3b、…3n(基地局3と記載することもある)と、ネットワーク5とを備えている。
基地局3のエリア内には、移動局(端末)4a、4b、…4n(端末4と記載することもある)が存在(在圏)し、端末4同士の通信や、指令卓1と端末4との通信を実現する。
尚、ここでは、下位装置として基地局3と端末4のみを示しているが、有線卓や遠隔制御器といった他の装置がネットワーク5を介して回線制御装置に接続される場合もある。
【0003】
指令卓1は、指令本部等に設けられた有線卓であり、有線回線を介して回線制御装置2に接続する。そして、指令卓1は、全ての端末4に対して同時に同一の指令を送信する一斉指令の機能を備える。
回線制御装置2は、回線接続、切断等の回線制御を行って、通信を実現する。
【0004】
基地局3は、ネットワーク5を介して回線制御装置2に接続すると共に、自己のエリア内に在圏する端末4と無線通信を行う。図では、各基地局3のエリア内にそれぞれ1台の端末4が在圏している様子を示しているが、複数台であってもよい。
ネットワーク5は、回線制御装置2と基地局3とを接続する通信網であり、LAN(Local Area Network)等で実現される。
【0005】
[一斉指令]
上述したように、例えば自治体が運用している防災行政無線システムは、災害情報等をシステム内の端末4に一斉に配信する、一斉指令機能を有する。一斉指令では、指令卓1からシステム内の端末4に対して、同時に情報を送信する。
端末4は、一斉指令を受信すると、指令卓1からの要求に基づいて、受信したか否かを指令卓1に通知する(受令確認)。
【0006】
[従来の受令確認のシーケンス:図4
ここで、従来の受令確認のシーケンスについて図4を用いて説明する。図4は、従来の受令確認のシーケンスを示す説明図である。
図4では、基地局3a、3bを備え、基地局3aのエリアに端末41,42が在圏し、基地局3bのエリアに端末43,44が在圏している場合を例として説明する。各端末を区別しない場合には、端末4と記載することもある。
【0007】
図4に示すように、指令卓1が回線制御装置2に一斉指令開始要求を送信し、回線制御装置2が一斉指令開始要求を受信すると(S101)、回線制御装置2は、基地局3a、3bに一斉指令開始通知を送信し、基地局3bは端末43,44に、基地局3aは端末41,42にそれぞれ一斉指令開始通知を送信する(S102)。
【0008】
そして、指令卓1は一斉指令送話を行って、端末41,42,43,44に対して一方向に情報を送信する。(S103)。
指令卓101から一斉指令を行う際には、指令卓1と端末4が呼接続される。この時、送信権は常に指令卓1にあり、端末4は一斉指令の内容を受信することはできるが、送信権を得られないため、発信することはできない。
各端末4では、操作者による受令ボタンの押下や、端末のプレス等の受令確認操作が行われると、受令確認結果を内部に保持しておく(S104)。
【0009】
そして、一斉指令送話終了後、指令卓1は、端末4に受令確認開始通信を送信する(S105)。
回線制御装置2は、受令確認開始通知を基地局3a,3bに送信し、指令卓1に受令確認中通知を送信する(S107)。
【0010】
端末4は、回線制御装置2、基地局3a,3bを介して受令確認開始通知を受信すると(S106)、内部に保持していた受令確認結果を読み出して、指令卓1からの受令確認結果問い合わせを待ち受ける。
そして、指令卓1は、各端末4に対して1台ずつ順番に受令確認結果の問い合わせを行う(S108)。
端末4は、受令確認結果問い合わせを受信すると、受令確認結果を指令卓1に通知する(S109)。
【0011】
従来の無線通信システムでは、指令卓1は、1台の端末4(例えば端末41)に受令確認結果問い合わせを送信し、端末41から受令確認結果を受信してから、次の端末42に対して問い合わせを送信する。これを全端末4に対して受令確認が完了するまで行う。
そのため、一斉指令を行ってから全端末4の受令確認が完了するまでには、時間がかかってしまう。
【0012】
[関連技術]
尚、無線通信システムにおける受令確認に関する従来技術としては、特開2004-15774号公報「無線通信システムの受令確認方式」(特許文献1)がある。
特許文献1には、一斉通信後の受令確認信号を一斉通信の扱いで1回送出し、全移動局が、当該受令確認信号の受信時を起点として予め設定された通し番号の順に受令確認応答信号を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004-15774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、従来の無線通信システムでは、一斉指令中は端末に送信権がないため、受令確認結果を送信することができず、更に、一斉指令終了後に指令卓から1台ずつ端末に問い合わせを行って受令確認を行うため、一斉指令から受令確認完了までに時間がかかるという問題点があった。
【0015】
尚、特許文献1には、一斉指令中であっても端末から受令確認結果を通知でき、また当該通知における通信の集中を防ぐことは記載されていない。
【0016】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、一斉指令に対する受令確認結果を、迅速に、且つ輻輳を防いで確実に通知することができる無線通信システム及び受令確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、指令卓及び複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、指令卓が、一斉指令の送話中に、一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、回線制御装置が、指令卓からの一斉指令があると、複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、指令卓から受令確認開始指示が入力されると、第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを複数の基地局に割り当てて受令確認開始指示を送信させ、受令確認開始指示を受信した端末から第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、複数の基地局を介して受信して、指令卓に送信することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記無線通信システムにおいて、指令卓は、受令確認開始指示を複数の端末に一斉に送信し、複数の端末からの受令確認結果を異なるタイミングで個別に受信することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、上記無線通信システムにおいて、指令卓からの一斉指令を受信する端末を備え、端末が、ランダムなタイミングでタイムアップするランダムタイマを有し、受令確認開始指示を受信すると、ランダムタイマを起動して、ランダムタイマが端末毎に異なるタイミングでタイムアップすると、受令確認結果を第2の無線チャネルを用いて送信し、回線制御装置が、受令確認結果を送信する端末に第2の無線チャネルの送信権を与えることを特徴としている。
【0020】
また、本発明は、一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、指令卓及び複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムにおける受令確認方法であって、回線制御装置が、指令卓からの一斉指令があると、複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、指令卓が、一斉指令の送話中に、一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、回線制御装置が、指令卓から受令確認開始指示が入力されると、第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを複数の基地局に割り当てて受令確認開始指示を送信させ、受令確認開始指示を受信した端末から第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、複数の基地局を介して受信して、指令卓に送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、指令卓及び複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、指令卓が、一斉指令の送話中に、一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、回線制御装置が、指令卓からの一斉指令があると、複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、指令卓から受令確認開始指示が入力されると、第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを複数の基地局に割り当てて受令確認開始指示を送信させ、受令確認開始指示を受信した端末から第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、複数の基地局を介して受信して、指令卓に送信する無線通信システムとしているので、一斉指令の終話を待つことなく、送話中に受令確認結果の通知を開始でき、指令卓において迅速に受令確認結果を集約することができる効果がある。
【0022】
また、本発明によれば、指令卓は、受令確認開始指示を複数の端末に一斉に送信し、複数の端末からの受令確認結果を異なるタイミングで個別に受信する上記無線通信システムとしているので、受令確認開始指示を個別の端末に送るのに比べて大幅に時間を短縮でき、また、端末からの受令確認結果の通知において通信が集中するのを防いで確実に受令確認結果を通知できる効果がある。
【0023】
また、本発明によれば、指令卓からの一斉指令を受信する端末を備え、端末が、ランダムなタイミングでタイムアップするランダムタイマを有し、受令確認開始指示を受信すると、ランダムタイマを起動して、ランダムタイマが端末毎に異なるタイミングでタイムアップすると、受令確認結果を第2の無線チャネルを用いて送信し、回線制御装置が、受令確認結果を送信する端末に第2の無線チャネルの送信権を与える上記無線通信システムとしているので、端末からの通信が集中することなく、輻輳を防ぎ、受令確認結果を確実に通知できる効果がある。
【0024】
また、本発明によれば、一斉指令を行う指令卓と、端末と無線通信する複数の基地局と、指令卓及び複数の基地局に接続し、回線制御を行う回線制御装置とを備えた無線通信システムにおける受令確認方法であって、回線制御装置が、指令卓からの一斉指令があると、複数の基地局に第1の無線チャネルを割り当てて送信させ、指令卓が、一斉指令の送話中に、一斉指令を受信する端末に対して受信の成否を示す受令確認結果を要求する受令確認開始指示を出力し、回線制御装置が、指令卓から受令確認開始指示が入力されると、第1の無線チャネルとは異なる第2の無線チャネルを複数の基地局に割り当てて受令確認開始指示を送信させ、受令確認開始指示を受信した端末から第2の無線チャネルを用いて送信された受令確認結果を、複数の基地局を介して受信して、指令卓に送信する受令確認方法としているので、一斉指令の終話を待つことなく、送話中に受令確認結果の通知を開始でき、指令卓において迅速に受令確認結果を集約することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本無線通信システムにおける受令確認のシーケンスを示す説明図である。
図2】無線チャネルの使用例を示す説明図である。
図3】無線通信システムの概略構成を示す説明図である。
図4】従来の受令確認のシーケンスを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本無線通信システム)は、一斉指令を行う無線チャネルとは別に、受令確認の通知に用いる無線チャネル(受令確認用チャネル)を備え、指令卓は、一斉指令中に通話状態を保持したまま受令確認開始通知を送信し、回線制御装置は、基地局に受令確認用チャネルを割り当てて端末に受令確認開始通知を送信させ、端末は、受令確認開始通知を受信すると、これを起点としてランダムタイマを起動し、ランダムタイマがタイムアップすると、受令確認用チャネルを用いて受令確認結果を通知するようにしており、一斉指令中でも受令確認結果を通知でき、また、ランダムタイマによって通知を分散させて輻輳を防ぎ、迅速かつ確実に受令確認結果を通知することができるものである。
また、本発明の実施の形態に係る受令確認方法は、本無線通信システムにおける受令確認方法である。
【0027】
[本無線通信システムの構成]
本無線通信システムの基本的な構成は、図3に示した一般的な無線通信システムと同様であるため、説明は省略する。
但し、本無線通信システムでは、指令卓、回線制御装置、及び端末における一斉指令に伴う受令確認の処理が従来とは異なっており、本無線通信システムでは、それぞれ指令卓10、回線制御装置20、端末40と称するものとする。基地局3は従来と同様である。
そして、本無線通信システムでは、受令確認のシーケンスが特徴となっている。
【0028】
本無線通信システムの各部が従来と異なる点について簡単に説明する。
回線制御装置20は、一斉指令用の無線チャネルの他に、受令確認専用のチャネルを割り当て可能に保持しており、指令卓10から、一斉指令要求後に受令確認開始要求を受信すると、基地局3に当該受令確認専用のチャネルを用いて端末40と通信を行うように制御する。
【0029】
本無線通信システムの指令卓10は、一斉指令送話開始後、通話中であっても受令確認開始要求を送信すると共に、通話中であっても端末40からの受令確認結果を受信する。
また、本無線通信システムの端末40は、ランダムタイマを備えており、指令卓10からの受令確認開始要求を受信すると、ランダムタイマを起動し、ランダムタイマがタイムアップしたタイミングで受令確認結果の送信を行う。
ランダムタイマを設けることにより、複数の端末40が同時に送信を開始しないようにしてトラフィックを分散させることができるものである。
【0030】
[チャネルの使用例の比較:図2
受令確認のシーケンスについて説明する前に、従来の無線通信システムと本無線通信システムにおける無線チャネルの使用例について図2を用いて説明する。図2は、無線チャネルの使用例を示す説明図であり、(a)は従来の無線通信システム、(b)は本無線通信システムにおける使用例を示している。
図2(a)(b)に示すように、無線通信システムで用いられる無線チャネルは、回線接続制御に用いられるCチャネル(Cch(制御チャネル))と、データ通信や通話に用いられる複数のSチャネル(S1ch,S2ch,…SNch(通話等チャネル))を備えている。
ここで、S1チャネルは、指令卓1からの一斉指令用の専用チャネルとしている。
【0031】
図2(a)に示すように、従来の無線通信システムにおいて、一斉指令中は、Cチャネルは制御用の電文に使用され、S1チャネルは一斉指令の送話に使用される。
具体的には、回線制御装置2が、指令卓1から一斉指令開始要求を受信すると、基地局3にS1チャネルを指定して一斉指令開始要求を送出し、基地局3は当該S1チャネルを用いてエリア内の端末4に一斉指令を送信する。一斉指令中は他の通信は行われないため、S2~SNチャネルは未使用となる。
【0032】
そして、一斉指令の終了後、指令卓1から全端末4への一斉送信で受令確認開始通知が送信されると、回線制御装置2は、基地局3に、それまで一斉指令に用いていたS1チャネルを指定して受令確認開始通知を送出し、基地局3はS1チャネルを用いて受令確認開始通知を端末4に送信する。
【0033】
更に、指令卓1から各端末4に向けて受令確認結果問い合わせが送信されると、基地局3はS1チャネルを用いて各端末4に受令確認結果問い合わせを送信し、各端末4はS1チャネルを用いて受令確認結果を基地局3に送信し、当該受令確認結果は、回線制御装置2を介して指令卓1に送信される。
このように、従来の無線通信システムでは、一斉指令と受令確認で用いる無線チャネルを共通としていた。
【0034】
一方、本無線通信システムでは、図2(b)に示すように、S1チャネルを一斉指令専用とするのに加え、S2チャネルを受令確認専用として用意しており(受令確認用チャネル)、一斉指令中は、Cチャネルは制御用の電文に利用され、S1チャネルは一斉指令に利用され、S2チャネルが受令確認用に利用される。
つまり、本無線通信システムの回線制御装置20は、S1チャネルは一斉指令用、S2チャネルは受令確認用として保持しており、一般の通信には割り当てないものである。
【0035】
そのため、本無線通信システムでは、基地局30は、S1チャネルを用いて一斉指令を送信している間でも、S2チャネルを用いて受令確認開始通知の送信、端末40毎の受令確認結果問い合わせ送信、端末40からの受令確認結果の受信を行うことが可能となるものである。
これにより、本無線通信システムは、一斉指令が終了する前に受令確認結果の処理を開始することができ、従来に比べて受令確認を迅速に完了することができるものである。
【0036】
[本無線通信システムにおける受令確認のシーケンス:図1
次に、本無線通信システムにおける受令確認のシーケンスについて図1を用いて説明する。図1は、本無線通信システムにおける受令確認のシーケンスを示す説明図である。
尚、本無線通信システムでは、端末401,402が基地局3aのエリアに存在し、端末403,404が基地局3bのエリアに存在している場合を示している。端末401~404を端末40と記載することがある。
【0037】
図1に示すように、本無線通信システムでは、指令卓10から一斉指令開始要求が送信され、回線制御装置20で受信されると(S201)、回線制御装置20は、基地局3a、3bにS1チャネルを指定して一斉指令開始通知を送信し、基地局3bは403,404に、基地局3aは端末401,402に、それぞれS1チャネルを用いて一斉指令開始通知を送信する(S202)。
【0038】
指令卓10は、一斉指令開始要求の送信後、一斉指令の送話を行う(S203)。一斉指令送話では、常に指令卓10が送信権を持つ。
そして、端末401~404において、S1チャネルを介して一斉指令が受信されると、操作者によって受令確認操作(プレス、受令確認ボタンの押下等)が行われ、各端末401~404は受令確認結果を内部に保存しておく(S204)。
【0039】
指令卓10は、一斉指令の送話開始後、通話中に、受令確認開始要求を送信する(S205)。受令確認開始要求は、指令卓10の制御部によって出力され、一斉指令で用いている回線とは異なる回線で回線制御装置20に送信される。指令卓10の操作者が特別な操作を行う必要はない。
【0040】
回線制御装置20は、受令確認開始要求を受信すると、基地局3a、3bにS2チャネルを割り当てて受令確認開始通知を送信し、基地局3bは403,404に、基地局3aは端末401,402に、それぞれS2チャネルを用いて受令確認開始通知を送信する(S206)。
そして、回線制御装置20は、指令卓10に受令確認開始中通知を送信する(S207)。尚、請求項に記載した受令確認開始指示は、指令卓10からの受令確認開始要求と基地局3からの受令確認開始通知を含むものとする。
【0041】
端末401~404(端末40とする)は、基地局3a,3bから受令確認開始通知を受信すると、これをトリガとしてランダムタイマを起動する(S301、S302,S303,S304)。
【0042】
ランダムタイマは、予め設定された特定時間の範囲内で、ランダムなタイミングでタイムアップするものである。特定時間は、例えば、従来の受令確認の動作に要していた時間を参考にして、それより短い時間に設定される。
各ランダムタイマのタイムアップするタイミングが一致する可能性は極めて低く、複数の端末40において、タイムアップするタイミングは全て異なるとみなせるものである。
【0043】
そして、端末40は、ランダムタイマがタイムアップすると、内部に記憶している受令確認結果をS2チャネルを用いて指令卓10に送信する。
回線制御装置20は、受令確認結果を送信する端末40にS2チャネルの送信権を与え、送信完了後に開放する。つまり、複数の端末40のいずれかがS2チャネルの送信権を持って受令確認結果の送信を行う。
【0044】
上述したように、ランダムタイマがタイムアップするタイミングは全て異なるため、同時に複数の端末40が送信を開始することはなく、送信権は1台の端末40に与えられるため、単一のチャネルを用いて確実に受令確認結果を送信できるものである。
【0045】
図1の例では、まず、端末401のランダムタイマがタイムアップして、端末401が受令確認結果を送信する(S311)。
次に、端末403のランダムタイマがタイムアップして、端末403が受令確認結果を送信する(S312)。
以下、ランダムタイマがタイムアップした順に、端末402,404が受令確認結果を送信する(S313,S314)。
【0046】
従来は、輻輳を防ぐために、端末4のそれぞれに対して、指令卓1が1つずつ受令確認結果の問い合わせを送信し、端末4は問い合わせに応答して受令確認結果を送信していたが、本無線通信システムでは、指令卓10から一斉送信される受令確認開始通知をトリガとして、全ての端末40が動作を開始でき、受令確認に要する時間を大幅に短縮できるものである。
【0047】
これにより、指令卓10では、一斉指令の終話を待つことなく、端末40からの受令確認結果を収集することができ、指令が届いているかどうかを迅速に確認することができるものである。
【0048】
[実施の形態の効果]
本無線通信システム及び本受令確認方法によれば、回線制御装置20が、一斉指令を行うS1チャネルとは別に、受令確認の通知に用いるS2チャネル(受令確認用チャネル)を用意しておき、指令卓10が、一斉指令中に通話状態を保持したまま受令確認開始通知を送信し、回線制御装置20が、基地局3にS2チャネルを割り当てて受令確認開始通知を端末40に送信させ、端末40が、受令確認開始通知を受信するとランダムタイマを起動し、ランダムタイマがタイムアップすると、S2チャネルを用いて受令確認結果を通知するようにしており、一斉指令中でも受令確認結果を通知でき、また、ランダムタイマによって通知を分散させて輻輳を防ぎ、迅速かつ確実に受令確認結果を通知することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、一斉指令に対する受令確認結果を、迅速に、且つ輻輳を防いで確実に通知することができる無線通信システム及び受令確認方法に適している。
【符号の説明】
【0050】
1,10…指令卓、 2,20…回線制御装置、 3…基地局、 4,40,41,42,43,401,402,403,404…端末、 5…ネットワーク
図1
図2
図3
図4