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特開2022-24493情報処理装置と情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024493
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】情報処理装置と情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20220202BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220202BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G09B29/00 F
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127114
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】特許業務法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江副 陸也
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 諒
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC08
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB19
2F129BB22
2F129BB26
2F129BB33
2F129BB48
2F129BB49
2F129BB54
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD20
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE50
2F129EE52
2F129EE57
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE94
2F129EE96
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF41
2F129FF59
2F129FF62
2F129FF64
2F129FF65
2F129FF71
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129GG11
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH02
2F129HH03
2F129HH14
2F129HH15
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH22
2F129HH24
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF07
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
5H181MC15
5H181MC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正しい勾配情報が設定された地図情報を得ることができる情報処理装置と情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】地図情報処理部32は、勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、地図情報に設定されている勾配情報を修正する。走行情報は、移動装置20に設けたセンサで取得されたセンサ情報を含み、勾配情報は、センサ情報に基づいて算出される。地図情報処理部32は、移動装置20によって取得された走行情報に基づいて生成した勾配検出情報および同じ移動位置で既に生成されている勾配検出情報を用いたフィルタ処理後の勾配情報によって、地図情報に設定されている移動位置に対応する勾配情報を修正する。また、地図情報に勾配情報が設定されていない場合、地図情報処理部32は、移動装置で取得された走行情報に基づいて生成した勾配検出情報を地図情報に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報を修正する地図情報処理部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記地図情報処理部は、前記移動装置によって取得された走行情報に基づいて生成された勾配検出情報を用いて、前記勾配検出情報を生成した移動位置と対応する前記地図情報の位置の勾配情報を修正する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記地図情報処理部は、前記移動装置によって取得された走行情報に基づいて生成された勾配検出情報と同じ移動位置で既に生成されている勾配検出情報を用いたフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の勾配情報を用いて前記移動位置と対応する前記地図情報の位置の勾配情報を修正する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地図情報処理部は、勾配情報が設定されていない地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、勾配情報が設定された地図情報を生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記走行情報は、前記移動装置に設けたセンサで取得されたセンサ情報を含み、
前記勾配検出情報は、前記センサ情報に基づいて生成される
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサ情報は、前記移動装置の並進運動または回転運動のいずれか少なくとも1以上を検出した情報である
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサは、慣性計測装置である
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記慣性計測装置は、加速度センサと角速度センサの少なくともいずれかを備え、前記加速度センサにより前記並進運動を検出して、前記角速度センサにより前記回転運動を検出する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記地図情報処理部で修正された前記地図情報に基づいて目的地までの経路計画を作成する経路計画作成部をさらに備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記経路計画作成部は、前記地図情報に設定されている勾配情報を用いて前記経路計画を作成する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記移動装置は、前記地図情報に設定されている前記勾配情報を用いて自己位置推定を行う自己位置推定部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報の修正を地図情報処理部で行うこと
を含む情報処理方法。
【請求項13】
移動装置で取得された情報を用いた処理をコンピュータで実行させるプログラムであって、
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報の修正を行う手順
を前記コンピュータで実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、情報処理装置と情報処理方法およびプログラムに関し、正しい勾配情報が設定された地図情報を得られるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、移動装置を自律的に移動するため、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)などのセンサを使って周囲環境を計測して地図情報を生成することが行われている。また、特許文献1は、勾配情報を設定した地図情報を利用して、走行不可能な勾配領域に掃除ロボットが立ち入らないように制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-109845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1で用いられる地図情報は、掃除運転が可能な勾配等を示す勾配情報が関連付けられた家庭内の地図情報であり、限られた狭い領域のみを示しており、屋外等を示す広い領域の地図情報ではない。また、広い領域を示す容易に入手可能な地図情報は、一般的に二次元平面で位置を示しており勾配情報が設けられていない。
【0005】
そこで、この技術では、正しい勾配情報が設定された地図情報を得ることができる情報処理装置と情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術の第1の側面は、
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報を修正する地図情報処理部
を備える情報処理装置にある。
【0007】
この技術において、地図情報処理部は、勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、地図情報に設定されている勾配情報の修正を行う。また、地図情報処理部は、地図情報に勾配情報が設定されていないとき、勾配情報が設定されていない地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、勾配情報が設定された地図情報を生成する。走行情報は、移動装置に設けたセンサで取得されたセンサ情報を含み、勾配情報はセンサ情報に基づいて算出する。センサ情報は、移動装置の並進運動または回転運動のいずれか少なくとも1以上を検出した情報であり、例えば、加速度センサと角速度センサの少なくともいずれかを備えた慣性計測装置を用いて、加速度センサにより並進運動、角速度センサにより回転運動をそれぞれ検出する。
【0008】
地図情報処理部は、移動装置によって取得された走行情報に基づいて生成された勾配検出情報を用いて、勾配検出情報を生成した移動位置と対応する地図情報の位置の勾配情報を修正する。例えば、地図情報処理部は、移動装置によって取得された走行情報に基づき生成された勾配検出情報および同じ移動位置で既に生成されている勾配検出情報を用いたフィルタ処理後の勾配情報を用いて、移動位置と対応する地図情報の位置の勾配情報を修正する。
【0009】
経路計画作成部は、地図情報処理部で生成または修正された地図情報に基づいて目的地までの経路計画を作成する。また、経路計画作成部は、地図情報に設定されている勾配情報を用いて経路計画を作成する。なお、移動装置は、地図情報に設定されている勾配情報を用いて自己位置推定を行う自己位置推定部を備える。
【0010】
この技術の第2の側面は、
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報の修正を地図情報処理部で行うこと
を含む情報処理方法にある。
【0011】
この技術の第3の側面は
移動装置で取得された情報を用いた処理をコンピュータで実行させるプログラムであって、
勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報の修正を行う手順
を前記コンピュータで実行させるプログラムにある。
【0012】
なお、本技術のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ上でプログラムに応じた処理が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】情報処理装置を用いたシステムの構成を例示した図である。
図2】システムの動作を例示したシーケンス図である。
図3】経路探索地図情報の作成動作を説明するための図である。
図4】経路計画の作成例を示した図である。
図5】補正自己位置情報を説明するための図である。
図6】車両制御システムの構成例を示した図である。
図7】センシング領域の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.システムの構成
2.システムの動作
3.応用例
【0015】
<1.システムの構成>
図1は、本技術の情報処理装置を用いたシステムの構成を例示している。システム10は、移動装置20とサーバ30を有しており、サーバ30に情報処理装置の機能が設けられている。移動装置20は、サーバ30から供給された経路計画に基づいて移動動作を行う。また、サーバ30は、勾配情報が設定された地図情報と移動装置20で取得された走行情報に基づいて、地図情報に設定されている勾配情報を修正する。また、サーバ30は、勾配情報が設定された地図情報が生成されていない場合、勾配情報が設定されていない地図情報と移動装置20で取得された走行情報に基づいて、勾配情報が設定された地図情報を生成する。さらに、サーバ30は、路面の勾配情報(路面勾配情報ともいう)を設定した地図情報(以下「経路探索地図」という)を利用して経路計画を作成する。
【0016】
移動装置20は、車輪オドメトリ21、勾配検出部22、自己位置推定部23、通信部24、経路追従部25、駆動制御部26、駆動部27を有している。
【0017】
車輪オドメトリ21は、車輪の回転量(回転数や回転角)を計測して移動装置20の移動量を算出する。車輪オドメトリ21は、算出した移動量を示す移動量情報を自己位置推定部23と通信部24へ出力する。なお、移動量の算出は、車輪の回転量に限らず車輪を回転させる駆動ギヤ等の回転量を用いてもよい。
【0018】
勾配検出部22は、路面の勾配を検出する。勾配検出部22は、例えば慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いて構成されており、IMUで生成されたセンサ情報に基づき路面の勾配を検出する。センサ情報は、移動装置の並進運動または回転運動のいずれか少なくとも1以上を検出した情報であり、IMUは、加速度センサと角速度センサを少なくとも備え、加速度センサにより並進運動を検出して、角速度センサにより回転運動を検出する。勾配検出部22は、検出した並進運動あるいは回転運動の少なくともいずれかから移動装置20が走行している路面の勾配を示す勾配検出情報を生成する。例えば、勾配検出部22は、特許文献「特開2003-097945号公報」「特開2013-044562号公報」等に記載されている手法を用いて算出した勾配を示す勾配検出情報を生成して通信部24へ出力する。
【0019】
自己位置推定部23は、車輪オドメトリ21で算出された移動量情報と通信部24で受信したサーバ30からの路面勾配情報に基づいて自己位置を推定する。自己位置推定部23は、自己位置を示す自己位置推定情報を通信部24と経路追従部25へ出力する。また、自己位置推定部23は、路面勾配情報が得られていない場合、サーバ30に対して路面勾配情報(あるいは経路探索地図情報)の要求や更新を行うようにしてもよい。
【0020】
通信部24は、サーバ30と無線通信を行う。無線通信は、例えば、LTE、WCDMA(登録商標)、5Gなどのいずれかを使用するセルラ通信を含んでもよく、Wi-Fi、ブルートゥース(登録商標)などのいずれかを使用する近距離無線通信を含んでもよい。通信部24は、サーバ30と無線通信を行い、例えば車輪オドメトリ21で生成された移動量情報や勾配検出部22で生成された勾配検出情報、自己位置推定部23で生成された自己位置推定情報をサーバ30へ送信する。また、通信部24は、サーバ30から送信された路面勾配情報(あるいは経路探索地図情報)と経路計画を受信して、路面勾配情報を自己位置推定部23、経路計画あるいは経路計画と経路探索地図情報を経路追従部25へそれぞれ出力する。
【0021】
経路追従部25は、サーバ30から供給された経路計画で示された経路を移動装置20で追従させる。経路追従部25は、サーバ30から取得した経路計画および自己位置推定部23で生成された自己位置推定情報に基づき、周辺環境の認識や目的地までの軌道探索を行い、障害物との衝突等を回避して移動動作を行えるように移動装置20の軌道を計画する。経路追従部25は、計画した軌道を駆動制御部26へ出力する。なお、周辺環境の認識は、サーバ30から取得した経路探索地図情報を用いてもよく、移動装置20に設けられた外界センサ(例えば測距センサ(LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)やToF(Time of Flight),ステレオカメラ等)からのセンサ信号を用いてもよい。
【0022】
駆動制御部26は、経路追従部25で計画された軌道を移動するように駆動信号を生成して駆動部27へ出力する。
【0023】
駆動部27は、車輪と駆動源等を用いて構成されており、駆動制御部26からの駆動信号に基づき駆動源で車輪を駆動して移動装置20を移動させる。
【0024】
サーバ30は、通信部31、地図情報処理部32、経路計画部33を有している。
【0025】
通信部31は、移動装置20の通信部24と無線通信を行うことができるように構成されている。無線通信は、上述のようにセルラ通信を含んでもよく、近距離無線通信を含んでもよい。通信部31は、移動装置20と無線通信を行い、移動装置20で生成された情報、例えば移動量情報や勾配検出情報を受信する。通信部31は、受信した移動量情報と自己位置情報および勾配検出情報を地図情報処理部32へ出力する。また、通信部31は、経路計画部33で作成された経路計画等を移動装置20へ送信する。
【0026】
地図情報処理部32は、事前に取得している地図情報と移動装置20で生成された勾配検出情報に基づいて、路面勾配情報が設定された経路探索地図情報の生成または経路探索地図情報に設定されている路面勾配情報の修正を行う。地図情報処理部32は、情報格納部321と路面勾配情報生成部322を有している。
【0027】
情報格納部321は、外部機器等から取得した例えば入射が容易である二次元平面の地図情報を格納する。また、情報格納部321は、二次元平面の地図情報に路面勾配情報が設定された経路探索地図情報が生成された場合、生成された経路探索地図情報を格納する。さらに、情報格納部321は、移動装置20とは異なる他の装置で生成された勾配検出情報や移動装置20で過去に生成された勾配検出情報を、勾配の検出位置を示す位置情報と共に格納する。
【0028】
路面勾配情報生成部322は、移動装置20で生成された勾配検出情報を用いて、経路探索地図情報に設定されている路面勾配情報の修正を行う。また、路面勾配情報生成部322は、経路探索地図情報が生成されておらず、情報格納部321に勾配検出情報が格納されていない場合、移動装置20で生成された勾配検出情報を路面勾配情報として地図情報に設定して経路探索地図情報を生成する。
【0029】
路面勾配情報を生成する場合、路面勾配情報生成部322は、移動装置20の振動や勾配検出部22でのノイズ等の影響を少なくするために、例えば所定走行期間の勾配検出情報を平均化する。この場合、路面勾配情報は、走行方向の解像度が低下した情報となってしまう。そこで、路面勾配情報生成部322は、移動装置20で生成された勾配検出情報と、既に生成されて情報格納部321に格納されている同じ移動位置の勾配検出情報を用いたフィルタ処理あるいは統計処理(以下、まとめて「フィルタ処理」という)を行い、走行方向の解像度の低下を招くことなく、移動装置20の振動や勾配検出部22でのノイズ等の影響の少ない路面勾配情報を生成する。移動位置は、移動装置20から取得した移動量情報と移動量情報で示された移動位置の情報格納部321に格納されている勾配検出情報を用いて、移動装置20の自己位置推定部23と同様に補正を行い、補正後の自己位置の勾配検出情報を用いてフィルタ処理を行う。また、路面勾配情報生成部322は、移動装置20の自己位置推定部23で生成された補正自己位置情報で示された位置の勾配検出情報を用いてもよい。
【0030】
路面勾配情報生成部322は、例えばカルマンフィルタあるいはパーティクルフィルタ等を用いて複数の勾配検出情報を用いたフィルタ処理を行い、路面勾配情報を生成してもよく、複数の勾配検出情報の統計処理を行い、最頻値あるいは中央値または平均値を算出して、算出結果を路面勾配情報としてもよい。路面勾配情報生成部322は、生成した路面勾配情報を外部機器等から取得した地図情報に設定して、あるいは経路探索地図情報に設定されている路面勾配情報を、フィルタ処理後の路面勾配情報によって修正する。さらに、路面勾配情報生成部322は、情報格納部321に格納されている路探索地図情報を、路面勾配情報が修正されている経路探索地図情報に更新する。また、路面勾配情報生成部322は、勾配検出情報の送信元に対して路面勾配情報を出力する。
【0031】
経路計画部33は、路面勾配情報が最新の情報とされている経路探索地図情報で示された路面勾配情報に基づいて移動装置20で生成された自己位置推定情報で示された補正自己位置から目的地までの経路計画を作成する。また、経路計画部33は、経路探索地図情報に設定されている路面勾配情報を用いて最適な経路を示す経路計画を作成する。経路計画部33は、作成した経路計画を通信部31から移動装置20へ出力する。
【0032】
<2.システムの動作>
図2は、システムの動作を例示したシーケンス図である。ステップST1でサーバ30は、外部機器等で提供されている地図情報を取得して地図情報処理部32の情報格納部321に格納する。
【0033】
ステップST2で移動装置20は、車輪オドメトリ21で算出された移動量を示す移動量情報をサーバ30へ出力する。
【0034】
ステップST3でサーバ30は、勾配検出情報を路面勾配情報生成部322へ出力する。地図情報処理部32の情報格納部321は、移動装置20から供給された移動量情報に基づいた移動位置と等しい位置の勾配検出情報を格納している勾配検出情報から抽出して路面勾配情報生成部322へ出力する。また、情報格納部321に路面勾配情報が格納されている場合、移動装置20から供給された移動量情報と路面勾配情報に基づき、移動装置20の自己位置推定部23と同様に推定した自己位置(後述する補正自己位置情報が示す自己位置に相当)と等しい位置の勾配検出情報を抽出して、路面勾配情報生成部322へ出力する。
【0035】
ステップST4で移動装置20は、勾配検出情報をサーバ30へ出力する。移動装置20は、移動量情報と路面勾配情報に基づく位置で勾配検出部22が生成した勾配検出情報をサーバ30へ出力する。移動装置20の勾配検出部22は、例えばIMUで生成された加速度や角加速度等に基づき移動装置の姿勢に応じた勾配検出情報を生成する。なお、移動装置の振動や物品の搭載状況に応じて移動装置の姿勢が変化すると、勾配検出情報は路面の勾配に対して誤差を生じる。
【0036】
ステップST5でサーバ30は、路面勾配情報を移動装置20へ出力する。地図情報処理部32の路面勾配情報生成部322はステップST3で情報格納部321から供給された勾配検出情報とステップST4で移動装置20から供給された勾配検出情報を用いてフィルタ処理を行い、移動装置20の移動位置における路面の勾配を示す路面勾配情報を生成して移動装置20へ出力する。また、路面勾配情報生成部322は、生成した路面勾配情報を用いて情報格納部321に格納されている経路探索地図情報の路面勾配情報を修正する。さらに、路面勾配情報生成部322は、情報格納部321に経路探索地図情報が格納されていない場合、外部機器等から取得した地図情報に路面勾配情報を設定して、経路探索地図情報を情報格納部321に格納させる。
【0037】
図3は経路探索地図情報の作成動作を説明するための図である。図3の(a)は、勾配θが「θa」である路面を移動装置20が移動している状態を例示しており、図3の(b)は、移動位置Pmにおいて移動装置20の勾配検出部22で生成された勾配検出情報を例示している。図3の(c)は移動装置20や他の移動装置によって同じ移動位置で既に取得されている勾配検出情報を例示している。
【0038】
路面勾配情報生成部322は、図3の(b)に示す勾配検出情報と、図3の(c)に示す勾配検出情報から、同じ移動位置Pmの勾配検出情報を用いてフィルタ処理を行い、図3の(d)に示すように、位置毎の路面勾配情報を生成する。なお、図3の(e)は、移動位置Pmにおける勾配検出情報で示された勾配の分布を示している。
【0039】
また、路面勾配情報生成部322は、新たな勾配検出情報が供給される毎に、新たな勾配検出情報を追加してフィルタ処理を行い、路面勾配情報を修正する。情報格納部321は、路面勾配情報生成部322で生成された路面勾配情報を移動位置Pmに設定して経路探索地図情報を生成する。
【0040】
ステップST6で移動装置20は移動量情報を自己位置推定部23へ出力する。移動装置20の車輪オドメトリ21は、算出した移動量を示す移動量情報を自己位置推定部23へ出力する。
【0041】
ステップST7で移動装置20は補正自己位置情報をサーバ30へ出力する。自己位置推定部23は、ステップST5でサーバ30から供給された路面勾配情報とステップST6で車輪オドメトリ21から供給された移動量情報に基づき地図上の移動量を算出して、路面の勾配の影響を除いた自己位置を算出する。さらに、自己位置推定部23は、路面の勾配の影響を除いた自己位置を示す補正自己位置情報をサーバ30へ出力する。
【0042】
ステップST8でサーバ30は補正自己位置情報と経路探索地図情報を経路計画部33へ出力する。地図情報処理部32の情報格納部321は、移動装置20から供給された補正自己位置情報と、経路探索地図情報から補正自己位置情報で示された位置を基準として目的地を含む所定範囲の地図情報を経路計画部33へ出力する。
【0043】
ステップST9でサーバ30は経路計画を移動装置20へ出力する。サーバ30の経路計画部33は、補正自己位置情報が示す移動装置の現在位置から目的地までの経路を示す経路計画を生成する。また、経路計画部33は、現在位置から目的地までの地図上の距離だけでなく経路探索地図情報に含まれている路面勾配情報を用いて、最適な経路を示す経路計画を生成する。例えば、経路計画部33は、距離が長くなるに伴い増加するように設定した距離コストCaと勾配が急となるに伴い増加するように設定した勾配コストCbを用いて、経路毎にコスト値を算出して、コスト値が最小の経路を選択する。
【0044】
経路計画部33は、経路探索地図情報に基づき移動可能な経路を利用して目的地まで辿るルートを判別する。ここで、例えばルートR-1~ルートR-nが判別された場合、経路計画部33は、各ルートのコスト値CR-1~CR-nを式(1)に示すコスト関数fに基づき算出する。なお、式(1)において、パラメータxは「x=1~n」である。コストCeは、距離や路面の勾配とは異なり、路面の勾配に関係する要因(例えば運転制御の容易性や移動に必要なエネルギー等)のコストを示しており、コスト値CR-1~CR-nの算出に含まれなくともよい。
CR-x =f(Ca-x,Cb-x,Ce-x) ・・・(1)
【0045】
経路計画部33は、コスト値CR-1~CR-nから最小のコスト値を選択して、選択したコスト値に対応するルートに従い目的地まで移動する経路計画を作成する。
【0046】
図4は、経路計画の作成例を示している。図4の(a)は、移動開始位置Psから目的地Pgに向かうルートとして、例えば丘を越えて進むルートR-aと、丘を回避するルートR-bを例示している。また、図4の(b)は、ルートR-aを選択したときの移動開始位置Psから目的地Pgまでの地図上での移動距離と路面の勾配の関係を示しており、図4の(c)は、ルートR-bを選択したときの移動開始位置Psから目的地Pgまでの地図上での移動距離と路面の勾配の関係を示している。
【0047】
路面勾配情報が含まれていない地図情報を用いた場合、サーバ30は目的地までの距離が短いルートR-aを進む経路計画が作成される。しかし、本技術のように路面勾配情報を含む経路探索地図情報を用いれば、サーバ30は、路面勾配情報が含まれていない地図情報で示された距離よりも実際の移動距離が長くなる場合が生じることや目的地に移動するために必要なエネルギーが大きくなること等を判別できる。
【0048】
したがって、サーバ30は、式(1)に基づいてコスト値を算出して、コスト値がルートR-aよりもルートR-bが小さい場合、ルートR-bを進む経路計画を作成する。
【0049】
このように、経路計画部33は、移動装置20の現在位置と目的地および経路探索地図情報に含まれている路面勾配情報を用いて、最適な経路例えばアップダウンが少なく容易に移動可能なルートを示す経路計画を生成して移動装置20へ出力する。
【0050】
ステップST10で移動装置20は補正自己位置情報を経路追従部25へ出力する。移動装置20の自己位置推定部23は、路面の勾配の影響を除いた補正自己位置情報を経路追従部25へ出力する。
【0051】
図5は、補正自己位置情報を説明するための図である。路面SFが勾配θの傾斜面であり、移動装置20が路面SFを移動したときに車輪オドメトリ21で算出された移動量が「ML」である場合、図5の(a)に示すように、移動量「ML」に基づいて推定した自己位置は地図上の位置P1となる。しかし、移動装置20の実際の位置は、位置P2(=P1×Cosθa)である。したがって、推定した自己位置は誤差(P1-P2)を生じる。
【0052】
システム10における本技術を用いたサーバ30は、路面勾配情報を移動装置20に送信することから、図5の(b)に示すように、移動装置20が移動する路面の勾配が明らかとなる。なお、図5の(c)は、地図上の走行路(位置MPa乃至位置MPb)の位置MPaを基準とした高低差と路面勾配情報を例示している。
【0053】
したがって、移動装置20は、車輪オドメトリ21で生成された移動量情報と移動装置20が移動した路面の路面勾配情報に基づいて自己位置の誤差を補正できるので、移動装置20の地図上の位置を精度よく検出できる。
【0054】
ステップST11で移動装置20は制御情報を駆動制御部26へ出力する。移動装置20の経路追従部25は、自己位置推定部23から供給された補正自己位置情報が示す現在位置と、サーバ30から供給された経路計画に基づき、経路計画で示された経路を移動装置20が追従するように移動制御を行うための制御情報を生成して駆動制御部26へ出力する。
【0055】
このような本技術によれば、サーバ30は、移動装置で生成された勾配検出情報を利用して路面の勾配を精度よく算出することが可能となり、正しい路面勾配情報を含む経路探索地図情報を容易に生成できる。また、サーバ30は、路面勾配情報を含む経路探索地図情報を用いることで、路面の勾配を考慮した最適な経路計画を作成できるようになる。さらに、路面勾配情報が移動装置20に供給されるので、移動装置20は、走行した路面の路面勾配情報を利用することで、路面勾配情報が得られていない場合に比べて自己位置を精度よく検出できるようになる。
【0056】
<3.応用例>
次に、本技術の応用例について説明する。なお、応用例は、移動装置20が車両である場合を例示している。
【0057】
図6は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム111の構成例を示した図である。
【0058】
車両制御システム111は、車両100に設けられ、車両100の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0059】
車両制御システム111は、車両制御ECU(Electronic Control Unit )121、通信部122、地図情報蓄積部123、位置情報受信部124、外部認識センサ125、車内センサ126、車両センサ127、記録部128、走行支援・自動運転制御部129、DMS(Driver Monitoring System)130、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部132を備える。
【0060】
車両制御ECU121、通信部122、地図情報蓄積部123、位置情報受信部124、外部認識センサ125、車内センサ126、車両センサ127、記録部128、走行支援・自動運転制御部129、ドライバモニタリングシステム(DMS)130、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)131、及び、車両制御部132は、通信ネットワーク141を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク141は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったディジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク141は、通信される情報の種類によって使い分けられてもよく、例えば、車両制御に関する情報であればCANが適用され、大容量情報であればイーサネットが適用される。なお、車両制御システム111の各部は、通信ネットワーク141を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0061】
なお、以下、車両制御システム111の各部が、通信ネットワーク141を介して通信を行う場合、通信ネットワーク141の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU121と通信部122が通信ネットワーク141を介して通信を行う場合、単にプロセッサ121と通信部122とが通信を行うと記載する。
【0062】
車両制御ECU121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種プロセッサにより構成される。車両制御ECU121は、車両制御システム111全体若しくは一部の機能の制御を行う。
【0063】
通信部122は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種の情報の送受信を行う。このとき、通信部122は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
【0064】
通信部122が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部122は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部122が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部122による外部ネットワークに対して通信を行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でディジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0065】
また例えば、通信部122は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車など比較的低速で移動する移動装置が装着する端末、店舗などに位置が固定されて設置される端末、あるいは、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部122は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0066】
通信部122は、例えば、車両制御システム111の動作を制御するソフトウェアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部122は、さらに、地図情報、交通情報、車両100の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部122は、車両100に関する情報や、車両100の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部122が外部に送信する車両100に関する情報としては、例えば、車両100の状態を示す情報、認識部173による認識結果等がある。さらに例えば、通信部122は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0067】
通信部122が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部122は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部122は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部122は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部122は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部122は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0068】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク141に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0069】
例えば、通信部122は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System))により送信される電磁波を受信する。
【0070】
地図情報蓄積部123は、外部から取得した地図及び車両100で作成した地図の一方または両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部123は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0071】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップなどである。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両100に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群情報)により構成される地図である。ここで、ベクターマップは、車線や信号の位置といった交通情報などをポイントクラウドマップに対応付けた、ADAS(Advanced Driver Assistance System)に適合させた地図を指すものとする。
【0072】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、レーダ152、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)153等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両100で作成され、地図情報蓄積部123に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両100がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図情報が外部のサーバ等から取得される。
【0073】
位置情報受信部124は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両100の位置情報を取得する。受信したGNSS信号は、走行支援・自動運転制御部129に供給される。なお、位置情報受信部124は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0074】
外部認識センサ125は、車両100の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサ情報を車両制御システム111の各部に供給する。外部認識センサ、例えば外部認識センサ125は、カメラ151、レーダ152、LiDAR153、及び、超音波センサ154を備える。これに限らず、外部認識センサ125は、カメラ151、レーダ152、LiDAR153、及び、超音波センサ154のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ151、レーダ152、LiDAR153、及び、超音波センサ154の数は、現実的に車両100に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ125が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ125は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ125が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0075】
なお、カメラ151の撮影方式は、測距が可能な撮影方式であれば特に限定されない。例えば、カメラ151は、ToF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じて適用することができる。これに限らず、カメラ151は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0076】
また、例えば、外部認識センサ125は、車両100に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0077】
さらに、例えば、外部認識センサ125は、車両100の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0078】
車内センサ126は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサ情報を車両制御システム111の各部に供給する。車内センサ126が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両100に設置可能な数であれば特に限定されない。
【0079】
例えば、車内センサ126は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ126が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ126が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ126が備える生体センサは、例えば、シートやステリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。
【0080】
車両センサ127は、車両100の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサ情報を車両制御システム111の各部に供給する。車両センサ127が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両100に設置可能な数であれば特に限定されない。
【0081】
例えば、車両センサ127は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ127は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ127は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転数と回転速度を検出する車輪センサを備える。例えば、車両センサ127は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、及び、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0082】
記録部128は、不揮発性の記憶媒体および揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、情報やプログラムを記憶する。記録部128は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記録部128は、車両制御システム111の各部が用いる各種プログラムや情報を記録する。例えば、記録部128は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両100の情報や車内センサ126によって取得された生体情報を記録する。
【0083】
走行支援・自動運転制御部129は、車両100の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部129は、分析部161、行動計画部162、及び、動作制御部163を備える。
【0084】
分析部161は、車両100及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部161は、自己位置推定部171、センサフュージョン部172、及び、認識部173を備える。
【0085】
自己位置推定部171は、外部認識センサ125からのセンサ情報、及び、地図情報蓄積部123に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両100の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部171は、外部認識センサ125からのセンサ情報に基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両100の自己位置を推定する。車両100の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0086】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両100の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部173による車両100の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0087】
なお、自己位置推定部171は、GNSS信号、及び、車両センサ127からのセンサ情報に基づいて、車両100の自己位置を推定してもよい。
【0088】
センサフュージョン部172は、複数の異なる種類のセンサ情報(例えば、カメラ151から供給される画像情報、及び、レーダ152から供給されるセンサ情報)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサ情報を組み合わせる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0089】
認識部173は、車両100の外部の状況の検出を行う検出処理と、車両100の外部の状況の認識を行う認識処理と、を実行する。
【0090】
例えば、認識部173は、外部認識センサ125からの情報、自己位置推定部171からの情報、センサフュージョン部172からの情報等に基づいて、車両100の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0091】
具体的には、例えば、認識部173は、車両100の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0092】
例えば、認識部173は、LiDAR153又はレーダ152等によるセンサ情報に基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両100の周囲の物体を検出する。これにより、車両100の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0093】
例えば、認識部173は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両100の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両100の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0094】
例えば、認識部173は、カメラ151から供給される画像情報に対して、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示などを検出または認識する。また、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両100の周囲の物体の種類を認識してもいい。
【0095】
例えば、認識部173は、地図情報蓄積部123に蓄積されている地図、自己位置推定部171による自己位置の推定結果、及び、認識部173による車両100の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両100の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部173は、この処理により、信号の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線などを認識することができる。
【0096】
例えば、認識部173は、車両100の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部173が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0097】
行動計画部162は、車両100の行動計画を作成する。例えば、行動計画部162は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0098】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、経路計画で計画された経路において、車両100の運動特性を考慮して、車両100の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)の処理も含まれる。経路計画を長期経路計画、および起動生成を短期経路計画、または局所経路計画と区別してもよい。安全優先経路は、起動生成、短期経路計画、または局所経路計画と同様の概念を表す。
【0099】
経路追従とは、経路計画により計画した経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部162は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両100の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0100】
動作制御部163は、行動計画部162により作成された行動計画を実現するために、車両100の動作を制御する。
【0101】
例えば、動作制御部163は、後述する車両制御部132に含まれる、ステアリング制御部181、ブレーキ制御部182、及び、駆動制御部183を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両100が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部163は、衝突回避あるいは衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部163は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0102】
DMS130は、車内センサ126からのセンサ情報、及び、後述するHMI131に入力される入力情報等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。この場合にDMS130の認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0103】
なお、DMS130が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS130が、車内センサ126からのセンサ情報に基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0104】
HMI131は、各種の情報や指示等の入力と、各種の情報の運転者などへの提示を行う。
【0105】
HMI131による情報の入力について、概略的に説明する。HMI131は、人が情報を入力するための入力デバイスを備える。HMI131は、入力デバイスにより入力された情報や指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム111の各部に供給する。HMI131は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI131は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI131は、例えば、赤外線あるいは電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム111の操作に対応したモバイル機器若しくはウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0106】
HMI131による情報の提示について、概略的に説明する。HMI131は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI131は、生成されたこれら各情報の出力、出力内容、出力タイミングおよび出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI131は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両100の状態表示、警告表示、車両100の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成および出力する。また、HMI131は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成および出力する。さらに、HMI131は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成および出力する。
【0107】
HMI131が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウェアラブル機器といった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI131は、車両100に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプなどが有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0108】
HMI131が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0109】
HMI131が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両100の搭乗者が接触する部分に設けられる。
【0110】
車両制御部132は、車両100の各部の制御を行う。車両制御部132は、ステアリング制御部181、ブレーキ制御部182、駆動制御部183、ボディ系制御部184、ライト制御部185、及び、ホーン制御部186を備える。
【0111】
ステアリング制御部181は、車両100のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部181は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うECU等の制御ユニット、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0112】
ブレーキ制御部182は、車両100のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部182は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うECU等の制御ユニット等を備える。
【0113】
駆動制御部183は、車両100の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部183は、例えば、駆動システムの制御を行うECU等の制御ユニット等を備える。
【0114】
ボディ系制御部184は、車両100のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部184は、例えば、ボディ系システムの制御を行うECU等の制御ユニット等を備える。
【0115】
ライト制御部185は、車両100の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部185は、ライトの制御を行うECU等の制御ユニット等を備える。
【0116】
ホーン制御部186は、車両100のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部186は、例えば、カーホーンの制御を行うECU等の制御ユニット等を備える。
【0117】
図7は、図6の外部認識センサ125のカメラ151、レーダ152、LiDAR153、及び、超音波センサ154等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、図2において、車両100を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両100の前端(フロント)側であり、右端側が車両100の後端(リア)側となっている。
【0118】
センシング領域201F及びセンシング領域201Bは、超音波センサ154のセンシング領域の例を示している。センシング領域201Fは、複数の超音波センサ154によって車両100の前端周辺をカバーしている。センシング領域201Bは、複数の超音波センサ154によって車両100の後端周辺をカバーしている。
【0119】
センシング領域201F及びセンシング領域201Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両100の駐車支援等に用いられる。
【0120】
センシング領域202F乃至センシング領域202Bは、短距離又は中距離用のレーダ152のセンシング領域の例を示している。センシング領域202Fは、車両100の前方において、センシング領域201Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域202Bは、車両100の後方において、センシング領域201Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域202Lは、車両100の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域202Rは、車両100の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0121】
センシング領域202Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両100の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域202Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両100の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域202L及びセンシング領域202Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両100の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0122】
センシング領域203F乃至センシング領域203Bは、カメラ151によるセンシング領域の例を示している。センシング領域203Fは、車両100の前方において、センシング領域202Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域203Bは、車両100の後方において、センシング領域202Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域203Lは、車両100の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域203Rは、車両100の右側面の周辺をカバーしている。
【0123】
センシング領域203Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域203Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域203L及びセンシング領域203Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
【0124】
センシング領域204は、LiDAR153のセンシング領域の例を示している。センシング領域204は、車両100の前方において、センシング領域203Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域204は、センシング領域203Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0125】
センシング領域204におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
【0126】
センシング領域205は、長距離用のレーダ152のセンシング領域の例を示している。
センシング領域205は、車両100の前方において、センシング領域204より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域205は、センシング領域204より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0127】
センシング領域205におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
【0128】
なお、外部認識センサ125が含むカメラ151、レーダ152、LiDAR153、及び、超音波センサ154の各センサのセンシング領域は、図7以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ154が車両100の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR153が車両100の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0129】
このような車両制御システム111は、車両センサ127で検出された車輪の回転量に基づき算出した車両100の移動量を示す移動量情報の生成と、車両センサ127で検出された加速度や角速度に基づき勾配検出情報を生成する。また、自己位置推定部171は、通信部122で受信したサーバ30からの路面勾配情報に基づき自己位置を補正して補正自己位置情報を生成する。さらに、車両制御システム111は、生成した移動量情報と勾配検出情報および補正自己位置情報を、通信部122からサーバ30へ送信する。
【0130】
また、車両制御システム111は、通信部122で受信したサーバ30からの路面勾配情報を自己位置推定部171、経路計画を行動計画部162へそれぞれ出力する。
【0131】
行動計画部162は、経路計画により計画した経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する経路追従を行い、車両100の動作制御を行う制御情報を生成して動作制御部163へ出力する。
【0132】
このように、本技術の情報処理装置で生成された路面勾配情報や経路計画を車両100に供給することで車両100を最適な経路で目的地に移動させることができるようになる。また、車両100は、車両の走行量と路面勾配情報によって、自己位置を精度よく算出できるので、位置情報受信部124で位置情報を受信できない場合でも、車両100の現在位置を精度よく検出できる。なお、本開示に係る技術は、例えば自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の車両に限らす建設機械や農業機械(トラクター)などの移動装置で実現されてもよい。
【0133】
明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させる。または、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0134】
例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやSSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-Ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリカード等のリムーバブル記録媒体に、一時的または永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
【0135】
また、プログラムは、リムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトからLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して、コンピュータに無線または有線で転送してもよい。コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0136】
なお、本明細書に記載した効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、記載されていない付加的な効果があってもよい。また、本技術は、上述した技術の実施の形態に限定して解釈されるべきではない。この技術の実施の形態は、例示という形態で本技術を開示しており、本技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施の形態の修正や代用をなし得ることは自明である。すなわち、本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【0137】
また、本技術の情報処理装置は以下のような構成も取ることができる。
(1) 勾配情報が設定された地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、前記地図情報に設定されている前記勾配情報を修正する地図情報処理部を備える情報処理装置。
(2) 前記地図情報処理部は、前記移動装置によって取得された走行情報に基づいて生成された勾配検出情報を用いて、前記勾配検出情報を生成した移動位置と対応する前記地図情報の位置の勾配情報を修正する地図上の位置の勾配情報を修正する(1)に記載の情報処理装置。
(3) 前記地図情報処理部は、前記移動装置によって取得された走行情報に基づいて生成された勾配検出情報と同じ移動位置で既に生成されている勾配検出情報を用いたフィルタ処理を行い、フィルタ処理後の勾配情報を用いて前記移動位置と対応する前記地図情報の位置の勾配情報を修正する(2)に記載の情報処理装置。
(4) 前記地図情報処理部は、勾配情報が設定されていない地図情報と移動装置で取得された走行情報に基づいて、勾配情報が設定された地図情報を生成する(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5) 前記走行情報は、前記移動装置に設けたセンサで取得されたセンサ情報を含み、
前記勾配検出情報は、前記センサ情報に基づいて生成される(2)乃至(4)のいずれかに記載の情報処理装置。
(6) 前記センサ情報は、前記移動装置の並進運動または回転運動のいずれか少なくとも1以上を検出した情報である(5)に記載の情報処理装置。
(7) 前記センサは、慣性計測装置である(5)または(6)に記載の情報処理装置。
(8) 前記慣性計測装置は、加速度センサと角速度センサの少なくともいずれかを備え、前記加速度センサにより前記並進運動を検出して、前記角速度センサにより前記回転運動を検出する(7)に記載の情報処理装置。
(9) 前記地図情報処理部で修正された前記地図情報に基づいて目的地までの経路計画を作成する経路計画作成部をさらに備える(1)乃至(8)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10) 前記経路計画作成部は、前記地図情報に設定されている勾配情報を用いて前記経路計画を作成する(9)に記載の情報処理装置。
(11) 前記移動装置は、前記地図情報に設定されている前記勾配情報を用いて自己位置推定を行う自己位置推定部を備える(1)乃至(10)のいずれかに記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0138】
10・・・システム
20・・・移動装置
21・・・車輪オドメトリ
22・・・勾配検出部
23・・・自己位置推定部
24・・・通信部
25・・・経路追従部
26・・・駆動制御部
27・・・駆動部
30・・・サーバ
31・・・通信部
32・・・地図情報処理部
33・・・経路計画部
321・・・情報格納部
322・・・路面勾配情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7