(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024503
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ガイド機構
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220202BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20220202BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20220202BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
E05D15/06 124Z
E06B3/46
E05D15/06 118
A01G9/14 Q
E05D13/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127133
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】597088591
【氏名又は名称】佐藤産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(72)【発明者】
【氏名】小川 泰紀
【テーマコード(参考)】
2B029
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2B029AA01
2B029BB11
2B029GA02
2E014FA04
2E014FA06
2E014FB05
2E034BE05
2E034CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビニールハウスの扉に対して、下側にレールを用いる必要がないものにしつつ、扉の下部側の隙間を発生させないようにしてビニールハウスの機能は維持し、さらに扉のスライド方向に対して垂直方向の揺れも抑えるガイド機構を提供する。
【解決手段】ガイド機構1は、上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドするビニールハウスに用いられる扉53aに対して下部側に設けられるガイド機構1であって、扉53aの下部にはスライド方向に沿って延びる板状部分57が形成されており、板状部分57を所定の位置で挟む一対のローラ3a,3bを有する第1ローラ部3と、第1ローラ部3からスライド方向における一定の距離を離れた位置で板状部分57を挟む他の一対のローラ5a,5bを有する第2ローラ部5とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドするビニールハウスに用いられる扉に対して下部側に設けられるガイド機構であって、
前記扉の下部にはスライド方向に沿って延びる板状部分が形成されており、
前記板状部分を所定の位置で挟む一対のローラを有する第1ローラ部と、
前記第1ローラ部からスライド方向における一定の距離を離れた位置で前記板状部分を挟む他の一対のローラを有する第2ローラ部とを備えた、ガイド機構。
【請求項2】
上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドするビニールハウスに用いられる扉に対して下部側に設けられるガイド機構であって、
前記扉の下部にはスライド方向に沿って延びる板状部分が形成されており、
前記板状部分を所定の位置で挟む一対の接触部分を有する第1接触部と、
前記第1接触部からスライド方向における一定の距離を離れた位置で前記板状部分を挟む他の一対の接触部分を有する第2接触部とを備えた、ガイド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド機構に関し、特に、上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドする扉に対して下部に設けられるガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、
図10に示すように、ビニールハウス100に用いられる扉101a,101bは、上部がガイドレール103に吊り下げられて
図10での左右の開閉に応じてスライドするものが用いられている。そして、地面にスライド方向に沿って延びるレール105が設けられ、このレール105は扉101a,101bの開閉に応じてスライドする際にガイドとしての機能も果たしている(特許文献1参照)。これにより、扉101a,101bが
図10での前後方向(スライド方向に対して垂直方向)に対しても揺れない状態とされている。
【0003】
なお、扉101a,101bは構造上丈夫なものにする必要もあり、上記レール105とともに、金属(鉄)が使われることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような扉の下側にレールが設けられると、そのレールの高さの分だけ地面から段差ができることになり、ユーザにとっては、邪魔になってしまうことがあるという問題がある。その段差を生じさせないように土に埋め込むレールにすればよいとも思えるが、段差がないことから砂や土などが入ってしまい、今度は扉の開閉に支障が生じかねない問題が起こってしまう。レールを土に埋めて、それに砂等が入ることを防止する段差を別途設けるとしても、段差の問題が上記と同様に発生するという問題が起こってしまう。
【0006】
ここで、レールを設けずに、上部だけで吊り下げることも可能ではあるが、地面との間に隙間があるとビニールハウスとしての機能を損なうことになるため、できるだけ隙間が発生しないような扉の取り付け方がよく、その点からはレールがあるほうが好ましいという事情がある。また、上記した前後の揺れは、風などが生じた場合の状況からすれば、できるだけ抑えたほうがよく、その点からもレールがあったほうが好ましいという事情もある。
【0007】
さらに、レールと扉が擦れてしまって大きな音が生じてしまうという問題も発生している。
【0008】
ゆえに、本発明は、上記レールを用いた場合の課題を解決すべくレールを不要とできるものの、扉の下部側の隙間をできるだけ小さいものにしてビニールハウスの機能は維持し、さらにスライド方向に対して垂直方向の揺れも抑えるガイド機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドするビニールハウスに用いられる扉に対して下部側に設けられるガイド機構であって、前記扉の下部にはスライド方向に沿って延びる板状部分が形成されており、前記板状部分を所定の位置で挟む一対のローラを有する第1ローラ部と、前記第1ローラ部からスライド方向における一定の距離を離れた位置で前記板状部分を挟む他の一対のローラを有する第2ローラ部とを備えたものである。
【0010】
本発明の第2の観点は、上部がガイドレールに吊り下げられて開閉に応じてスライドするビニールハウスに用いられる扉に対して下部側に設けられるガイド機構であって、前記扉の下部にはスライド方向に沿って延びる板状部分が形成されており、前記板状部分を所定の位置で挟む一対の接触部分を有する第1接触部と、前記第1接触部からスライド方向における一定の距離を離れた位置で前記板状部分を挟む他の一対の接触部分を有する第2接触部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の観点によれば、ローラが用いられることにより、レールと扉が擦れてしまうことによって生じる大きな音の発生を抑制できる。また、ローラとの関係で接触してスライドする際にガイドにもなる扉の下部に形成されたスライド方向に沿って延びる板状部分があり、二対のローラが板状部分を挟むことによって、扉がスライド方向に対して垂直方向に揺れることも抑制できる。さらに、レールを不要とでき、段差を生じさせないようにでき、レールに砂や土などが入って扉の開閉に支障が生じることもない。加えて、扉の下部には上記した板状部分があり、扉の下部に大きな隙間を生じさせなくて済み、ビニールハウスとしての機能を低下させなくて済む。
【0012】
また、本発明の第2の観点によれば、二対の接触部分のみで、扉と接触しているだけであり、レールと扉が擦れてしまうことによって生じる大きな音の発生を抑制できる。また、スライドする際にガイドにもなる扉の下部に形成されたスライド方向に沿って延びる板状部分があり、二対の接触部分のみが板状部分を挟むことによって、扉がスライド方向に対して垂直方向に揺れることも抑制できる。さらに、レールを不要とでき、段差を生じさせないようにでき、レールに砂や土などが入って扉の開閉に支障が生じることもない。加えて、扉の下部には上記した板状部分があり、扉の下部に大きな隙間を生じさせなくて済み、ビニールハウスとしての機能を低下させなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るガイド機構を示した斜視図である。
【
図5】
図1のガイド機構が用いられたビニールハウスの扉部分を示した斜視図である。
【
図6】
図5に示したガイド機構が用いられたビニールハウスの扉部分の開いた状態を示した正面図である。
【
図7】
図5に示したガイド機構が用いられたビニールハウスの扉部分が閉じた状態を示した正面図である。
【
図8】
図7に示した扉を閉じた状態における右側の扉の部分を内側から拡大した斜視図である。
【
図9】
図8のガイド機構の部分を拡大した斜視図である。
【
図10】従来のビニールハウスの扉部分を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図9を参照して、以下、ガイド機構1について説明する。
ガイド機構1は、ビニールハウス51に用いられる扉53a,53bのそれぞれの下部側に1つ設けられる。ここで、柱59と扉53aとの位置関係は、ビニールハウスの外から内に向かって、柱59から扉53aの順番である(
図9を参照)。扉53a,53bは、
図10に示したものと同様に上部がガイドレール55に吊り下げられてスライドするようになっているが、下部には
図9に示すようにスライド方向に沿って延びる板状部分57が形成されている。板状部分57は、断面L字状であり、垂直部分57aと水平部分57bから構成されている。水平部分57bは扉53aにネジで締結されて固定されている。垂直部分57aは、後述するガイド機構1のローラに挟まれている。
【0015】
ガイド機構1は、板状部分57の垂直部分57aを挟む一対のローラ3a、3bから構成される第1ローラ部3と、第1ローラ部3からスライド方向における一定の距離を離れた位置で、板状部分57の垂直部分57aを挟む他の一対のローラ5a,5bから構成される第2ローラ部5とを有している。
【0016】
また、ガイド機構1は、第1ローラ部3と第2ローラ部5が設けられた断面コ字状で地面に設置される台7を有し、台7に繋がった断面コ字状の連結部9も有している。この連結部9がビニールハウス51の柱59にネジで締結されて固定されている。
【0017】
このような構成により、ガイド機構1が設けられる位置は扉53a,53bが開いた状態において邪魔にならない位置で地面に固定されており、扉53a,53bの開閉に関係なくガイド機構1は移動しないものとなっている。
【0018】
以上のようなガイド機構1が用いられることにより、
図5~
図7に示すように、
図10で用いたレール105は不要になっている。これにより、
図10に示した段差を生じさせないようにでき、レールに砂や土などが入って扉の開閉に支障が生じることもないものになっている。加えて、扉53a,53bの下部にはローラ3a,3b,5a,5bとの関係で接触してスライドする際にガイドにもなるスライド方向に沿って延びる板状部分57があり、扉53a,53bの下部に大きな隙間を生じさせなくて済み、ビニールハウス51としての機能を低下させなくて済むものになっている。
【0019】
さらに、ローラ3a,3b,5a,5bが扉53a,53bとの摩擦を軽減でき、扉53a,53bがレールと擦れてしまうことによって生じる大きな音の発生を抑制できるものになっている。また、上記した板状部分57があり、ローラ3a,3b,5a,5bで板状部分57を挟むことによって、扉53a,53bがスライド方向に対して垂直方向に揺れることも抑制できる。
【0020】
なお、上記では、二対のローラを用いたが、必ずしもローラである必要はない。一対のローラのうち一方をローラにして、他の滑りの良いガイド部材にしてもよい。ローラを使わない場合の例としては、例えば、切り込みを介して対向部分を設け、その切り込みに上記板状部分57の垂直部分57aが差し込まれてスライドするようにしてもよい。この場合、この対向部分は板状部分57の垂直部分57aに接触するため、対向部分の接触面を減らすようにすることが好ましく、その工夫としては、例えば、溝をスライド方向に形成したり、対向する側に向かって互いに断面が凸の曲面形にすることも考えられる。さらに、接触面の面積だけでなく素材を工夫して、対向部分の素材を樹脂などにしたりして摩擦が小さいものにすること、潤滑剤を表面に塗るなどの工夫も考えられる。