(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024522
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】工具搬送システム、工具搬送システムの制御方法、および、工具搬送システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20220202BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B23Q3/157 E
B23Q3/155 F
B23Q3/155 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127165
(22)【出願日】2020-07-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩
(72)【発明者】
【氏名】中岡 寛光
(72)【発明者】
【氏名】黒石 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩司
【テーマコード(参考)】
3C002
【Fターム(参考)】
3C002AA00
3C002BB08
3C002CC06
3C002JJ01
3C002KK07
(57)【要約】
【課題】工具規格に依存しない工具収納部を備える工具搬送システムが望まれている。
【解決手段】工具搬送システムは、複数の工作機械と、複数の保持部を有する工具収納部とを備える。複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有する。工具搬送システムは、工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備える。複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有する。複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、共通の接続機構と、複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有し、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有する、工具搬送システム。
【請求項2】
前記工具搬送システムは、さらに、前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御するための制御装置とを含み、
前記制御装置は、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動する処理と、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動する処理とを実行する、請求項1に記載の工具搬送システム。
【請求項3】
前記セットアップ対象の工具には、当該工具を一意に識別するための読み取りコードが設けられており、
前記工具セットアップ装置は、さらに、前記読み取りコードを読み取るための読取装置を含み、
前記制御装置は、
前記読取装置による前記読み取りコードの読み取り結果に基づいて、前記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに前記セットアップ対象の工具が装着可能であるか否かを判断する処理と、
前記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに前記セットアップ対象の工具が装着不可能と判断した場合には、警告を出力する処理とを実行する、請求項2に記載の工具搬送システム。
【請求項4】
前記工具搬送システムは、さらに、搬送路を備え、
前記工具収納部は、前記搬送路と平行に設けられており、
前記搬送装置は、前記搬送路上を移動するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項5】
前記共通の接続機構は、
前記工具ホルダーの第1面に設けられる第1溝部と、
前記第1溝部と平行して前記第1面上に設けられる第2溝部と、
前記工具ホルダーの第2面に設けられる第3溝部と、
前記第2溝部と平行して前記第2面上に設けられる第4溝部とを有し、
前記第1面と前記第2面とは、対向しており、
前記共通の保持機構は、
前記第1溝部に嵌合する第1ガイド部と、
前記第2溝部に嵌合する第2ガイド部と、
前記第3溝部に嵌合する第3ガイド部と、
前記第4溝部に嵌合する第4ガイド部とを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項6】
前記工具収納部は、第1の板材と第2の板材とのが組み合わされて構成されており、
前記第1の板材と前記第2の板材とは、互いに対向するように設けられ、
前記第1ガイド部および前記第3ガイド部は、前記第1の板材に形成され、
前記第2ガイド部および前記第4ガイド部は、前記第2の板材に形成される、請求項5に記載の工具搬送システム。
【請求項7】
工具搬送システムの制御方法であって、
前記工具搬送システムは、
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有し、
前記工具搬送システムは、さらに、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記工具搬送システムは、さらに、前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部とを含み、
前記制御方法は、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動するステップと、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動するステップとを備える、制御方法。
【請求項8】
工具搬送システムの制御プログラムであって、
前記工具搬送システムは、
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有し、
前記工具搬送システムは、さらに、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記工具搬送システムは、さらに、前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部とを含み、
前記制御プログラムは、前記工具搬送システムに、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動するステップと、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動するステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の工作機械で共有される工具収納部を備える工具搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の工作機械を運用する企業が増えている。管理する工作機械の数が増えると、各工作機械で使用される工具の管理が難しくなる。これに関して、特許文献1(国際公開第2015/029232号)は、複数の工作機械で用いられる工具を管理する工具管理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、加工の完全自動化が進められている。加工の完全自動化を実現するためには、必要な工具を各工作機械に自動で搬送する技術が必要となる。特許文献1に開示される工具管理システムは、このような工具の自動搬送技術に関するものではない。
【0005】
工具搬送システムは、複数の工作機械と、当該複数の工作機械の間で共有される工具収納部と、ロボットなどの搬送装置とを含む。当該搬送装置は、指定された工具を工具収納部から取り出し、当該工具を指定された工作機械に搬入する。また、当該搬送装置は、使用済みの工具を工作機械から搬出し、当該工具を工具収納部に戻す。これにより、工具収納部の工具は、複数の工作機械で共有される。
【0006】
使用可能な工具の規格は、工作機械の種類に応じて決まっている。工具規格ごとに工具収納部を設ける必要があると、導入する工作機械に合わせて工具収納部を組み立てる必要があり、工具搬送システムの構成が複雑になる。また、工具規格ごとに工具収納部を設ける必要があると、ある工具収納部には空きがあり、他の工具収納部には空きが無い状態が生じ、工具収納部のスペースを十分に活用することができない。したがって、工具規格に依存しない工具収納部が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例では、工具搬送システムは、複数の工作機械と、複数の保持部を有する工具収納部とを備える。上記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有する。上記工具搬送システムは、上記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備える。上記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、上記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有する。上記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、上記共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有する。
【0008】
本開示の一例では、上記工具搬送システムは、さらに、上記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備える。上記工具セットアップ装置は、複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、上記マガジンを駆動するための駆動部と、上記駆動部の駆動を制御するための制御装置とを含む。上記制御装置は、セットアップ対象の工具として上記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に上記第1工具ホルダーを駆動する処理と、セットアップ対象の工具として上記第2工具が指定された場合には、上記所定のセットアップ位置に上記第2工具ホルダーを駆動する処理とを実行する。
【0009】
本開示の一例では、上記セットアップ対象の工具には、当該工具を一意に識別するための読み取りコードが設けられている。上記工具セットアップ装置は、さらに、上記読み取りコードを読み取るための読取装置を含む。上記制御装置は、上記読取装置による上記読み取りコードの読み取り結果に基づいて、上記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに上記セットアップ対象の工具が装着可能であるか否かを判断する処理と、上記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに上記セットアップ対象の工具が装着不可能と判断した場合には、警告を出力する処理とを実行する。
【0010】
本開示の一例では、上記工具搬送システムは、さらに、搬送路を備える。上記工具収納部は、上記搬送路と平行に設けられている。上記搬送装置は、上記搬送路上を移動するように構成されている。
【0011】
本開示の一例では、上記共通の接続機構は、上記工具ホルダーの第1面に設けられる第1溝部と、上記第1溝部と平行して上記第1面上に設けられる第2溝部と、上記工具ホルダーの第2面に設けられる第3溝部と、上記第2溝部と平行して上記第2面上に設けられる第4溝部とを有する。上記第1面と上記第2面とは、対向している。上記共通の保持機構は、上記第1溝部に嵌合する第1ガイド部と、上記第2溝部に嵌合する第2ガイド部と、上記第3溝部に嵌合する第3ガイド部と、上記第4溝部に嵌合する第4ガイド部とを有する。
【0012】
本開示の一例では、上記工具収納部は、第1の板材と第2の板材とのセットが組み合わされて構成されている。上記第1の板材と上記第2の板材とは、互いに対向するように設けられる。上記第1ガイド部および上記第3ガイド部は、上記第1の板材に形成される。上記第2ガイド部および上記第4ガイド部は、上記第2の板材に形成される。
【0013】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御方法が提供される。上記工具搬送システムは、複数の工作機械と、複数の保持部を有する工具収納部とを備える。上記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有する。上記工具搬送システムは、さらに、上記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備える。上記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、上記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有する。上記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、上記共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有する。上記工具搬送システムは、さらに、上記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備える。上記工具セットアップ装置は、複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、上記マガジンを駆動するための駆動部とを含む。上記制御方法は、セットアップ対象の工具として上記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に上記第1工具ホルダーを駆動するステップと、セットアップ対象の工具として上記第2工具が指定された場合には、上記所定のセットアップ位置に上記第2工具ホルダーを駆動するステップとを備える。
【0014】
本開示の他の例では、工具搬送システムの制御プログラムが提供される。上記工具搬送システムは、複数の工作機械と、複数の保持部を有する工具収納部とを備える。上記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有する。上記工具搬送システムは、さらに、上記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、上記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備える。上記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、上記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有する。上記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、上記共通の接続機構と、上記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有する。上記工具搬送システムは、さらに、上記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備える。上記工具セットアップ装置は、複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、上記マガジンを駆動するための駆動部とを含む。上記制御プログラムは、上記工具搬送システムに、セットアップ対象の工具として上記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に上記第1工具ホルダーを駆動するステップと、セットアップ対象の工具として上記第2工具が指定された場合には、上記所定のセットアップ位置に上記第2工具ホルダーを駆動するステップとを実行させる。
【0015】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】工具搬送システムの駆動機構の構成例を示す図である。
【
図3】工具収納部の一部である板材対を表わす図である。
【
図4】板材対を構成する1枚の板材を表わす図である。
【
図5】工具収納部に収納されている工具ホルダーを示す図である。
【
図6】工具ホルダーの収納構造の一例を説明するための図である。
【
図7】工具ホルダーの収納構造の他の例を説明するための図である。
【
図8】工具セットアップ装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図9】工具セットアップ装置を一方の側面から表した斜視図である。
【
図10】工具セットアップ装置を他方の側面から表した斜視図である。
【
図11】工具セットアップ装置から工具収納部への工具ホルダーの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【
図12】マガジン情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】工具情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図14】収納情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図15】工具収納部から工作機械への工具の搬送工程の流れを概略的に示す図である。
【
図16】工具収納部から工具セットアップ装置への工具の搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【
図17】管理装置のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【
図18】PLC(Programmable Logic Controller)の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図19】操作端末のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0018】
<A.工具搬送システム10の外観>
図1を参照して、工具搬送システム10について説明する。
図1は、工具搬送システム10の外観を示す図である。
【0019】
図1に示されるように、工具搬送システム10は、工具セットアップ装置200と、工具収納部250と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0020】
本明細書でいう「搬送装置」とは、ワークまたは工具などの搬送対象物を搬送する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。以下では、搬送装置300の一例として、4~7軸駆動の多関節ロボットを例に挙げて説明を行うが、搬送装置300は、多関節ロボットに限定されない。一例として、搬送装置300は、2~3軸駆動の直交ロボット(オートローダ)であってもよい。
【0021】
また、本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械400は、横形のマシニングセンタであってもよいし、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械400は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。
【0022】
以下では、説明の便宜のために、搬送装置300の移動方向に相当する方向を「X方向」とする。X方向は、水平方向の一方向である。また、X方向と直交する方向を「Y方向」とする。Y方向は、水平方向の一方向である。また、X方向およびY方向の両方に直交する方向を「Z方向」とする。「Z方向」は、鉛直方向(重力方向)である。
【0023】
工具セットアップ装置200は、搬送装置300による工具の搬送先の1つである。工具セットアップ装置200は、操作端末200Aを含む。操作端末200Aは、工具搬送システム10に対する各種の操作を受け付ける。
【0024】
工具収納部250は、搬送装置300による工具の搬送先の1つである。工具収納部250には、複数の工具が収納され得る。典型的には、工具収納部250は、レール331と平行に設けられる。
【0025】
搬送装置300は、アームロボット330と、レール331(搬送路)と、台車332とを含む。アームロボット330は、台車332の上に固定されている。台車332は、レール331上を移動可能に構成される。工具収納部250および工作機械400は、レール331を挟むように、かつ、レール331に沿って平行に配置される。搬送装置300は、工具セットアップ装置200と工具収納部250との間で工具を搬送するように構成されるとともに、工具収納部250と工作機械400との間で工具を搬送するように構成される。
【0026】
工作機械400は、搬送装置300による工具の搬送先の1つである。
図1には、工作機械400として、6台の工作機械400A~400Fが示されているが、工具搬送システム10に備えられる工作機械400の数は、2台以上であればよい。工作機械400は、予め設計された加工プログラムに従って、指定された工具を用いてワークを加工する。
【0027】
<B.工具搬送システム10の駆動機構>
次に、
図2を参照して、工具搬送システム10における各種の駆動機構について説明する。
図2は、工具搬送システム10の駆動機構の構成例を示す図である。
【0028】
図2に示されるように、工具搬送システム10は、制御装置50と、リモートI/O(Input/Output)ユニット61~63と、工具セットアップ装置200と、搬送装置300と、工作機械400とを含む。
【0029】
本明細書でいう「制御装置50」とは、工具搬送システム10を制御する装置を意味する。制御装置50の装置構成は、任意である。制御装置50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図2の例では、制御装置50は、管理装置100と、PLC150と、上述の操作端末200Aとで構成されている。
【0030】
管理装置100は、工具搬送システム10を管理するメインコンピュータである。PLC150は、加工工程を自動化するための種々の産業用機器を制御する。操作端末200Aは、工具の搬出入に関する各種の操作を受け付けるための端末である。
【0031】
管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される。管理装置100、PLC150、および操作端末200Aは、有線で通信接続されてもよいし、無線で通信接続されてもよい。ネットワークNW1には、EtherNET(登録商標)などが採用される。管理装置100および操作端末200Aは、ネットワークNW1を介して、PLC150に制御指令を送る。当該制御指令によって、搬送対象の工具、当該工具の搬送先、当該工具の搬送開始/停止などが指定される。
【0032】
リモートI/Oユニット61~63およびPLC150は、ネットワークNW2に接続されている。ネットワークNW2には、データの到達時間が保証される、定周期通信を行うフィールドネットワークを採用することが好ましい。このような定周期通信を行うフィールドネットワークとして、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0033】
工具セットアップ装置200は、1つ以上のモータドライバ234と、1つ以上のモータ235とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ234A,234Bと、2つのモータ235A,235Bとが示されている。
【0034】
工具セットアップ装置200内または工具セットアップ装置200周辺には、リモートI/Oユニット61が設置される。リモートI/Oユニット61は、工具セットアップ装置200内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ234)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ234は、リモートI/Oユニット61を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ235の駆動を制御する。
【0035】
モータ235Aは、たとえば、後述のマガジンM1(
図8参照)の駆動を制御する。モータ235Bは、たとえば、後述のマガジンM2(
図8参照)の駆動を制御する。
【0036】
モータドライバ234は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ235は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0037】
搬送装置300は、1つ以上のモータドライバ334と、1つ以上のモータ335とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ334A,334Bと、2つのモータ335A,335Bとが示されている。
【0038】
搬送装置300内または搬送装置300周辺には、リモートI/Oユニット62が設置される。リモートI/Oユニット62は、搬送装置300内の各種駆動ユニット(たとえば、モータドライバ334)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。一例として、モータドライバ334は、リモートI/Oユニット62を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従ってモータ335の駆動を制御する。
【0039】
モータ335Aは、たとえば、上述の台車332(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、たとえば、アームロボット330(
図1参照)の駆動を制御する。モータ335Bは、アームロボット330の関節の数に応じて設けられる。
【0040】
モータドライバ334は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ335は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0041】
工作機械400は、CNC(Computer Numerical Control)401と、1つ以上のモータドライバ411と、1つ以上のモータ412とを含む。
図2の例では、2つのモータドライバ411A,411Bと、2つのモータ412A,412Bとが示されている。
【0042】
工作機械400内または工作機械400周辺には、リモートI/Oユニット62が設置される。リモートI/Oユニット62は、工作機械400内の各種駆動ユニット(たとえば、CNC401)と、PLC150との間のデータのやり取りを仲介する。モータドライバ411は、モータドライバ334と同様に、リモートI/Oユニット62を介してPLC150からの制御指令を一定周期ごとに受け、当該制御指令に従って、モータ412の駆動を制御する。
【0043】
モータ412Aは、たとえば、工具を装着可能に構成される主軸を当該主軸の軸方向に駆動する。モータ412Bは、たとえば、主軸の軸方向を中心とした回転方向に主軸を回転駆動する。
【0044】
モータドライバ411は、たとえば、サーボモータ用のドライバであってもよいし、ステッピングモータ用のドライバであってもよい。モータ412は、サーボモータであってもよいし、ステッピングモータであってもよい。
【0045】
<C.工具収納部250>
次に、
図3~
図6を参照して、工具収納部250について説明する。
図3は、工具収納部250の一部である板材対252を表わす図である。
図4は、板材対252を構成する1枚の板材252Aを表わす図である。
【0046】
工具収納部250は、Z方向に延在する板材対252をX方向に複数並べて構成される。1つの板材対252は、たとえば、2枚の板材252A,252Bで構成される。
【0047】
板材252Aおよび板材252Bは、鉄などの金属で構成される。板材252Aおよび板材252Bのそれぞれは、複数のネジ穴253を有し、複数のカラー256を介してネジ止めされる。これにより、板材252Aおよび板材252Bは、互いに対向するように、かつ、互いに平行になるように固定される。
【0048】
工具収納部250は、複数の保持部254を有する。保持部254の各々は、工具ホルダーTPのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有する。
【0049】
一例として、1枚の金属板に複数の切り込みが形成されることで、切り込み群256Aと切り込み群256Bとが板材252Aに形成される。切り込み群256Aは、矩形の複数の切り込み257をZ方向に等間隔に有する。同様に、切り込み群256Bは、矩形の複数の切り込み257をZ方向に等間隔に有する。矩形の各切り込み257は、工具収納部250が設置された際に、水平方向(X軸方向)から所定の角度(たとえば、5°)を有する。
【0050】
板材252Bは、板材252Aと同じ構造を有する。板材252Aの切り込み257の各々と、板材252Bの切り込み257の各々とがY方向において対向するように配置される。Y方向に対向している2つの切り込み257で1つの保持部254が構成される。典型的には、1つの保持部254は、1つの工具ホルダーTPを保持するように構成される。
【0051】
次に、
図5を参照して、工具ホルダーTPについて説明する。
図5は、工具収納部250に収納されている工具ホルダーTP1,TP2を示す図である。
【0052】
工具ホルダーTP1(第1工具ホルダー)は、工具収納部250との接続機構258と、工具の装着機構259Aとを有する。接続機構258は、工具収納部250の保持部254と接続可能に構成される。装着機構259Aは、第1の工具規格に準拠した工具のシャンク部分が挿入されるソケットとして機能する。すなわち、装着機構259Aは、第1の工具規格に対応した工作機械400A(第1工作機械)で用いられる工具を装着可能に構成される。第1の工具規格としては、たとえば、NT、BT、BBT、HSK、CAPTOなどがある。
【0053】
工具ホルダーTP2(第2工具ホルダー)は、工具収納部250との接続機構258と、工具の装着機構259Bとを有する。接続機構258は、工具収納部250の保持部254と接続可能に構成される。工具ホルダーTP2の接続機構258の形状は、工具ホルダーTP1の接続機構258の形状と同じである。装着機構259Aは、第2の工具規格に準拠した工具のソケットとして機能する。すなわち、装着機構259Bは、第2の工具規格に対応した工作機械400B(第2工作機械)で用いられる工具を装着可能に構成される。当該第2の工具規格は、上記第1の工具規格とは異なる工具規格である。第2の工具規格としては、たとえば、NT、BT、BBT、HSK、CAPTOなどがある。
【0054】
このように、工具ホルダーTP1,TP2は、共通の接続機構258と、異なる工具規格に対応している装着機構259A,259Bとを有する。工具ホルダーTP1,TP2は、共通の接続機構258を介して工具収納部250の保持部254に収納されるため、工具規格ごとに工具収納部250を設ける必要が無くなる。その結果、工具収納部250の構成が簡素化され、工具搬送システム10の組み立て工数が減る。また、工具ホルダーTP1,TP2は、工具収納部250のいずれの場所にも収納され得るため、工具収納部250の収納スペースを十分に活用することが可能になる。
【0055】
次に、
図6を参照して、工具収納部250への工具ホルダーTPの収納態様についてさらに説明する。
図6は、工具ホルダーTPの収納構造の一例を説明するための図である。
図6には、工具ホルダーTPが工具収納部250に収納されている様子がX方向から示されている。
【0056】
まず、工具ホルダーTPの接続機構258の一例について説明する。接続機構258は、たとえば、溝部261~264で構成される。溝部261(第1溝部)と、溝部262(第2溝部)とは、工具ホルダーTPの一の面SF1に設けられる。溝部263(第3溝部)と、溝部264(第4溝部)とは、工具ホルダーTPの他の面SF2に設けられる。面SF2は、面SF1と対向(平行)する面である。面SF1,SF2は、互いに対向している面であれば、工具ホルダーTPのいずれの面であってもよい。
【0057】
次に、工具収納部250の保持部254における保持構造の一例について説明する。保持部254における保持機構は、たとえば、ガイド部271~274で構成される。ガイド部271(第1ガイド部)は、溝部261に嵌合する。ガイド部272(第2ガイド部)は、溝部262に嵌合する。ガイド部273(第3ガイド部)は、溝部263に嵌合する。ガイド部274(第4ガイド部)は、溝部264に嵌合する。ガイド部271~274は、溝部261~264上をスライドするように構成される。ガイド部271~274が溝部261~264にそれぞれ嵌められることで、工具ホルダーTPが工具収納部250に収納される。
【0058】
ガイド部271およびガイド部273は、板材対252の一方の板材252Aに形成される。一方で、ガイド部272およびガイド部274は、板材対252の他方の板材252Bに形成される。このように、2枚の板材252A,板材252Bが組み合わされて、工具収納部250の保持部254が形成される。
【0059】
次に、
図7を参照して、工具収納部250への工具ホルダーTPの収納態様の他の例について説明する。
図7は、工具ホルダーTPの収納構造の他の例を説明するための図である。
【0060】
上述の
図6の例では、ガイド部271~274が嵌合する4つの溝部261~264が工具ホルダーTPに形成されていた。これに対して、
図7の例では、工具ホルダーTPは、溝部261~264よりも溝幅が広い2つの溝部266,267を有する。
【0061】
溝部266は、工具ホルダーTPの一の面SF1に設けられる。溝部267は、工具ホルダーTPの他の面SF2に設けられる。
図7に示される保持部254の保持構造は、上述の
図6に示される保持部254の保持構造と同じである。
【0062】
工具ホルダーTPが保持部254に保持された状態で、溝部266の一方の側面は、保持部254のガイド部271に接し、溝部266の他方の側面は、保持部254のガイド部272に接する。同様に、工具ホルダーTPが保持部254に保持された状態で、溝部267の一方の側面は、保持部254のガイド部273に接し、溝部267の他方の側面は、保持部254のガイド部274に接する。また、保持部254のガイド部273,274は、工具ホルダーTP1を支持する。これにより、工具ホルダーTPは、保持部254に保持される。
【0063】
<D.工具セットアップ装置200の内部構成>
次に、
図8を参照して、工具セットアップ装置200の内部構成について説明する。
図8は、工具セットアップ装置200の内部構成の一例を示す図である。
【0064】
図8に示されるように、工具セットアップ装置200は、複数の工具ホルダーTPを保持可能に構成されるマガジンM1,M2を備える。
【0065】
マガジンM1は、モータ235Aと、ローラー236Aとによって張架される。モータ235Aの駆動によって、マガジンM1は、時計回りまたは反時計回りに回転する。また、マガジンM1は、複数のポット保持部237Aを有する。ポット保持部237Aの各々は、工具ホルダーTPを保持可能に構成される。
【0066】
マガジンM2は、モータ235Bと、ローラー236Bとによって張架される。モータ235Bの駆動によって、マガジンM2は、時計回りまたは反時計回りに回転する。また、マガジンM2は、複数のポット保持部237Bを有する。ポット保持部237Bの各々は、工具ホルダーTPを保持可能に構成される。
【0067】
工具セットアップ装置200は、工具搬入および工具搬出を担う装置である。「工具搬入」とは、工具セットアップ装置200から工具収納部250または工作機械400に工具または工具ホルダーを搬送することを言う。「工具搬出」とは、工具収納部250または工作機械400から工具セットアップ装置200に工具または工具ホルダーを搬送することを言う。
【0068】
工具搬入の手順として、まず、作業者は、マガジンM1に保持される工具ホルダーTPに搬入対象の工具をセットする。あるいは、作業者は、搬入対象の工具が装着された工具ホルダーTPをマガジンM1にセットしてもよい。作業者は、工具のセットが完了すると、上述の操作端末200Aに対して完了操作を行う。このことに基づいて、制御装置50は、マガジンM1を駆動し、予め定められた工具交換位置に搬入対象の工具ホルダーTPを駆動する。その後、搬送装置300は、搬入対象の工具ホルダーTPをマガジンM1から取り外し、当該工具を工具収納部250に搬入する。
【0069】
工具搬出の手順として、作業者は、上述の操作端末200Aに対して搬出対象の工具を指定する。このことに基づいて、搬送装置300は、工具収納部250または工作機械400から搬出対象の工具ホルダーTPを取得する。次に、制御装置50は、マガジンM2を駆動することで空のポット保持部237Bを予め定められた工具交換位置に駆動し、当該空のポット保持部237Bに搬出対象の工具ホルダーTPをセットする。その後、制御装置50は、マガジンM2を駆動し、搬出対象の工具ホルダーTPを出口に駆動する。その後、作業者は、マガジンM2から搬出対象の工具ホルダーTPまたは工具を取り出す。
【0070】
<E.工具セットアップ装置200の外観>
次に、
図9および
図10を参照して、工具セットアップ装置200の外観について説明する。
図9は、工具セットアップ装置200を一方の側面から表した斜視図である。
図10は、工具セットアップ装置200を他方の側面から表した斜視図である。
【0071】
工具セットアップ装置200は、カバー体231を有する。カバー体231は、たとえば、マガジンM1,M2と、上述のモータ235A,235B(
図8参照)とを収容する。
【0072】
カバー体231は、正面カバーCV0と、側面カバーCV1と、側面カバーCV2と、背面カバーCV3とを含む。カバー体231の上面には、搬入対象または搬出対象の工具ホルダーTPを通過させるための開口H0が形成される。
【0073】
図9を参照して、側面カバーCV1には、開口H1が形成されている。開口H1を覆うように、扉D1が設けられる。扉D1は、たとえば、スライド式の扉である。扉D1が開閉することによって、扉D1の状態は、開口H1が扉D1によって覆われていない開状態とされたり、開口H1が扉D1によって覆われた閉状態とされたりする。扉D1は、手動で駆動されてもよいし、モータ(図示しない)などによって自動で駆動されてもよい。
【0074】
扉D1は、作業者が搬入対象の工具ホルダーTPをマガジンM1にセットするために設けられている。すなわち、扉D1が開状態になると、作業者は、入口としての開口H1を介して搬入対象の工具ホルダーTPをマガジンM1にセットすることができる。
【0075】
図10を参照して、側面カバーCV1に対向している側面カバーCV2には、開口H2が形成されている。開口H2を覆うように、扉D2が設けられる。扉D2は、たとえば、スライド式の扉である。扉D2が開閉することによって、扉D2の状態は、開口H2が扉D2によって覆われていない開状態とされたり、開口H2が扉D2によって覆われた閉状態とされたりする。扉D2は、手動で駆動されてもよいし、モータ(図示しない)などによって自動で駆動されてもよい。
【0076】
扉D2は、作業者が搬出対象の工具ホルダーTPをマガジンM2から取り出すために設けられている。すなわち、扉D2が開状態になると、作業者は、出口としての開口H2を介してマガジンM2から搬出対象の工具ホルダーTPを回収することができる。
【0077】
<F.工具収納部250への工具搬入工程>
次に、
図11および
図12を参照して、工具ホルダーTPの搬入工程について説明する。
図11は、工具セットアップ装置200から工具収納部250への工具ホルダーTPの搬入工程の流れを概略的に示す図である。
【0078】
ステップS1において、作業者は、操作端末200Aに対してセットアップ対象の工具を指定したとする。このことに基づいて、制御装置50は、セットアップ対象として指定された工具の規格に合った工具ホルダーを予め規定されたセットアップ位置に駆動する。当該セットアップ位置は、たとえば、工具セットアップ装置200の扉D1(
図9参照)の前である。当該セットアップ位置は、プログラム上に規定されていてもよいし、設定ファイルに規定されていてもよい。
【0079】
制御装置50は、セットアップ対象の工具として第1工具が指定された場合には、当該第1工具の規格に合った第1工具ホルダーを所定のセットアップ位置に駆動する。一方で、制御装置50は、セットアップ対象の工具として第2工具が指定された場合には、当該第2工具の規格に合った空の工具ホルダーを所定のセットアップ位置に駆動する。
【0080】
セットアップ位置に駆動される工具ホルダーは、たとえば、
図12に示されるマガジン情報173と、
図13に示される工具情報174とに基づいて判別される。
図12は、マガジン情報173のデータ構造の一例を示す図である。
図13は、工具情報174のデータ構造の一例を示す図である。
【0081】
マガジン情報173において、マガジンM1,M2における各収納場所と、当該収納場所に収納される工具ホルダーと、当該工具ホルダーが保持可能な工具の規格と、当該工具ホルダーに保持される工具の識別情報とが対応付けられている。マガジン情報173に規定される工具の識別情報は、ID(Identification)などの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。
図12の例においては、工具ホルダーまたは工具が収納されていない空の収納場所は、「-」で示されている。
【0082】
工具情報174において、工具の識別情報と、工具規格とが対応付けられている。工具情報174に規定される工具の識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。
【0083】
制御装置50は、工具情報174を参照して、セットアップ対象として指定された工具について工具規格を特定する。次に、制御装置50は、マガジン情報173を参照して、特定した工具規格に合った空の工具ホルダーTPを特定する。次に、制御装置50は、当該特定された空の工具ホルダーTPを所定のセットアップ位置に駆動する。
【0084】
その後、作業者は、工具セットアップ装置200の扉D1(
図9参照)を開け、セットアップ対象の工具を空の工具ホルダーTPにセットする。このとき、制御装置50は、作業者がセットしようとしている工具が工具ホルダーTPの規格に対応しているか否かを判断する。
【0085】
一例として、工具セットアップ装置200は、工具に付されている読み取りコードを読み取るための読取装置(図示しない)を含む。読み取りコードは、工具の識別情報を含むコードであり、たとえば、バーコードまたはQRコード(登録商標)である。当該読取装置は、たとえば、二次元バーコードリーダーまたはQRコードリーダーである。当該読取装置は、たとえば、扉D1の付近に設けられ、工具に付されている読み取りコードを読み取る。
【0086】
制御装置50は、読取装置による読み取り結果に基づいて、所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーTPにセットアップ対象の工具が装着可能であるか否かを判断する。より具体的には、制御装置50は、工具情報174を参照して、読み取りコードから読み取られた工具の識別情報に対応する工具規格を特定する。その後、制御装置50は、当該特定された工具規格が、セットアップ位置に駆動された工具ホルダーTPの工具規格に一致しているか否かを判断する。
【0087】
制御装置50は、当該特定された工具規格がセットアップ位置に駆動された工具ホルダーTPの工具規格に一致した場合には、セットアップ対象の工具が当該工具ホルダーTPに装着可能と判断する。そうでない場合には、制御装置50は、セットアップ対象の工具が当該工具ホルダーTPに装着不可能と判断し、所定の警告を出力する。一例として、当該警告は、操作端末200Aのディスプレイ上に表示されてもよいし、音声で出力されてもよいし、レポート形式でデータとして出力されてもよい。
【0088】
作業者は、セットアップ位置に駆動された工具ホルダーTPに対する工具のセットアップが完了すると、操作端末200Aに対して完了操作を行う。
【0089】
再び
図11を参照して、ステップS2において、制御装置50は、モータ235A(
図8参照)を制御し、マガジンM1を駆動する。これにより、制御装置50は、搬入対象の工具ホルダーTPを所定の工具交換位置に移動する。当該工具交換位置の近傍には、ATC(Automatic Train Control)238が設けられている。ATC238は、当該工具交換位置にある工具ホルダーTPをマガジンM1から取り外し、半回転する。
【0090】
次に、ステップS3において、アームロボット330は、ATC238から工具ホルダーTPを取り外し、当該工具ホルダーTPを台車332上の仮置き場336に置く。搬入対象の工具ホルダーが他にある場合には、仮置き場336の収納最大数を超えない範囲で、ステップS1~S3の工程が繰り返される。
【0091】
次に、ステップS4において、制御装置50は、モータ335A(
図2参照)を制御し、台車332を駆動する。これにより、制御装置50は、指示された工具搬入位置に台車332を移動する。当該工具搬入位置は、たとえば、
図14に示される収納情報175に基づいて決定される。
【0092】
図14は、収納情報175のデータ構造の一例を示す図である。収納情報175において、工具収納部250内における各収納場所と、当該収納場所の座標値と、当該収納場所に収納されている工具の識別情報と、当該工具の規格と、当該収納場所における工具の収納状態と、当該収納場所に収納されている工具の残寿命とが対応付けられている。
【0093】
収納情報175に規定される収納場所は、IDなどの番号で示されてもよいし、収納場所名で示されてもよい。収納情報175に規定される収納場所の座標値は、2次元で規定されてもよいし、3次元で規定されてもよい。
図14の例では、当該座標値は、レール331と平行な方向における座標値「x」と、鉛直方向における座標値「z」とで示されている。収納情報175に規定される工具の識別情報は、IDなどの工具番号で示されてもよいし、工具名で示されてもよい。収納情報175に規定される収納状態は、たとえば、収納場所が空であるか否か、または、当該収納場所に収納されている工具が正常であるか否かなどを示す。収納情報175に規定される工具の残寿命は、工具の使用可能な最大時間に対する現在の使用総時間で示されてもよいし、工具の使用可能な最大回数に対する現在の使用総回数で示されてもよい。
【0094】
制御装置50は、収納情報175に規定される空の収納場所を参照して、工具ホルダーTPの収納先を決定する。空の収納場所が複数ある場合には、制御装置50は、複数の空の収納場所の中からランダムに1つの収納場所を収納先として決定してもよいし、複数の空の収納場所の中から搬送装置300により近い1つの収納場所を収納先として決定してもよい。
【0095】
再び
図11を参照して、ステップS5において、アームロボット330は、搬入対象の工具ホルダーTPを仮置き場336から取り外し、当該工具ホルダーTPを決定した収納先に収納する。その後、制御装置50は、工具ホルダーTPの収納場所と、工具ホルダーTPに保持される工具の情報とを収納情報175に書き込む。
【0096】
搬入対象の工具が他に仮置き場336に残っている場合には、制御装置50は、仮置き場336上の工具が無くなるまでステップS4,S5の工程を繰り返す。
【0097】
<G.工作機械400への工具搬送工程>
次に、
図15を参照して、
図11に引き続く工具の搬送工程について説明する。
図15は、工具収納部250から工作機械400への工具の搬送工程の流れを概略的に示す図である。
【0098】
あるタイミングにおいて、制御装置50は、工作機械400への工具の搬送指示を受け付けたとする。搬送対象の工具および搬送先の工作機械400は、たとえば、操作端末200Aに対して作業者によって指定される。制御装置50は、工具の搬送指示を受け付けたことに基づいて、上述の収納情報175(
図14参照)から当該工具の収納先を特定する。その後、制御装置50は、モータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、搬送対象の工具の収納先の前に台車332を移動する。
【0099】
次に、ステップS11において、アームロボット330は、搬送対象の工具を保持する工具ホルダーTPを工具収納部250から取り出し、台車332上の仮置き場336に工具ホルダーTPを置く。
【0100】
次に、ステップS12において、制御装置50は、モータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、搬送先の工作機械400の前に台車332を移動する。
【0101】
次に、ステップS13において、アームロボット330は、搬送先の工作機械400に備えられるATC438に工具ホルダーTPを渡す。その後、ATC438は、アームロボット330から受けた工具ホルダーTPを工作機械400内のATC438(
図15参照)に装着する。その後、ATC438は、工作機械400内のマガジンに工具ホルダーTPをセットする。これにより、工具が工作機械400で使用可能な状態になる。
【0102】
<H.工具セットアップ装置200への工具の搬出工程>
次に、
図16を参照して、工具の搬出工程について説明する。
図16は、工具収納部250から工具セットアップ装置200への工具の搬出工程の流れを概略的に示す図である。
【0103】
あるタイミングにおいて、制御装置50は、工具セットアップ装置200への工具の搬出指示を受け付けたとする。このことに基づいて、制御装置50は、上述の収納情報175(
図14参照)に基づいて、当該工具の収納先を特定する。その後、制御装置50は、上述のモータ335A(
図2参照)を制御することで台車332を駆動し、当該工具の収納先の前に台車332を移動する。次に、アームロボット330は、工具収納部250から工具ホルダーTPを取り出し、当該工具ホルダーTPを台車332上の仮置き場336に置く。また、制御装置50は、上述の収納情報175(
図14参照)から当該工具の識別情報を削除し、当該工具の収納元を空の状態に書き換える。
【0104】
次に、ステップS21において、制御装置50は、上述のモータ335Aを制御することで台車332を駆動し、工具セットアップ装置200の前に台車332を移動する。
【0105】
次に、ステップS22において、アームロボット330は、搬出対象の工具ホルダーTPを仮置き場336から取り外し、工具セットアップ装置200に備えられるATC238(
図11参照)に工具ホルダーTPを装着する。その後、ATC238は、工具セットアップ装置200のマガジンM2に工具ホルダーTPを装着する。
【0106】
次に、ステップS23において、制御装置50は、上述のモータ235B(
図8参照)を制御することで搬出用のマガジンM2を駆動し、搬出対象の工具ホルダーTPを扉D2(
図10参照)の前に移動する。その後、作業者は、扉D2を開き、工具セットアップ装置200から搬出対象の工具を取り出す。
【0107】
<I.管理装置100のハードウェア構成>
図17を参照して、管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図17は、管理装置100のハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0108】
管理装置100は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、表示インターフェイス105と、入力インターフェイス107と、記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、バス110に接続される。
【0109】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0110】
制御回路101は、工具管理プログラム122やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで管理装置100の動作を制御する。制御回路101は、工具管理プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120またはROM102からRAM103に工具管理プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、工具管理プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0111】
通信インターフェイス104には、LAN(Local Area Network)やアンテナなどが接続される。管理装置100は、通信インターフェイス104を介してネットワークNW1に接続される。これにより、管理装置100は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0112】
表示インターフェイス105には、ディスプレイ106が接続される。表示インターフェイス105は、制御回路101などからの指令に従って、ディスプレイ106に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ106は、たとえば、工具の搬入指示を受け付けるための操作画面や、搬送対象の工具を指定するための選択画面などを表示する。ディスプレイ106は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ106は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0113】
入力インターフェイス107には、入力デバイス108が接続される。入力デバイス108は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス108は、管理装置100と一体的に構成されてもよいし、管理装置100とは別に構成されてもよい。
【0114】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置120は、工具管理プログラム122およびスケジュール情報124などを格納する。スケジュール情報124において、工具の搬送順序などが規定される。工具管理プログラム122およびスケジュール情報124の格納場所は、記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0115】
工具管理プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、工具管理プログラム122による搬送制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う工具管理プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、工具管理プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが工具管理プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で管理装置100が構成されてもよい。
【0116】
<J.PLC150のハードウェア構成>
図18を参照して、PLC150のハードウェア構成の一例について説明する。
図18は、PLC150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0117】
PLC150は、制御回路151と、ROM(Read Only Memory)152と、RAM(Random Access Memory)153と、通信インターフェイス154,155と、記憶装置170とを含む。これらのコンポーネントは、バス160に接続される。
【0118】
制御回路151は、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGAまたはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0119】
制御回路151は、制御プログラム172など各種プログラムを実行することで搬送装置300や工作機械400の動作を制御する。制御回路151は、制御プログラム172の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置170からROM152に制御プログラム172を読み出す。RAM153は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム172の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0120】
通信インターフェイス154には、LANやアンテナなどが接続される。PLC150は、通信インターフェイス154を介してネットワークNW1に接続される。これにより、PLC150は、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、管理装置100やサーバー(図示しない)などを含む。
【0121】
通信インターフェイス155は、フィールドネットワークであるネットワークNW2に接続するためのインターフェイスである。PLC150は、通信インターフェイス155を介してネットワークNW2に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、上述のリモートI/Oユニット61~63などを含む。
【0122】
記憶装置170は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置170は、制御プログラム172、上述のマガジン情報173、上述の工具情報、および上述の収納情報175などを格納する。これらの格納場所は、記憶装置170に限定されず、制御回路151の記憶領域(たとえば、キャッシュ領域など)、ROM152、RAM153、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0123】
制御プログラム172は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム172の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム172によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム172の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態でPLC150が構成されてもよい。
【0124】
<K.操作端末200Aのハードウェア構成>
図19を参照して、
図1に示される操作端末200Aのハードウェア構成について説明する。
図19は、操作端末200Aのハードウェア構成の一例を示す模式図である。
【0125】
操作端末200Aは、制御回路201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、入力インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。これらのコンポーネントは、バス210に接続される。
【0126】
制御回路201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0127】
制御回路201は、制御プログラム222やオペレーティングシステムなどの各種プログラムを実行することで操作端末200Aの動作を制御する。制御回路201は、制御プログラム222の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置220またはROM202からRAM203に制御プログラム222を読み出す。RAM203は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム222の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0128】
通信インターフェイス204には、LANやアンテナなどが接続される。操作端末200Aは、通信インターフェイス204を介してネットワークNW1に接続される。これにより、操作端末200Aは、ネットワークNW1に接続される外部機器とデータをやり取りする。当該外部機器は、たとえば、PLC150やサーバー(図示しない)などを含む。
【0129】
表示インターフェイス205には、ディスプレイ206が接続される。表示インターフェイス205は、制御回路201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ206は、たとえば、工具の搬入指示を受け付けるための操作画面や、搬送対象の工具を指定するための選択画面などを表示する。ディスプレイ206は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはその他の表示機器である。なお、ディスプレイ206は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0130】
入力インターフェイス207には、入力デバイス208が接続される。入力デバイス208は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。なお、入力デバイス208は、操作端末200Aと一体的に構成されてもよいし、操作端末200Aとは別に構成されてもよい。
【0131】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。記憶装置220は、制御プログラム222などを格納する。制御プログラム222の格納場所は、記憶装置220に限定されず、制御回路201の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリなど)、ROM202、RAM203、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0132】
制御プログラム222は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、制御プログラム222による制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム222の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム222によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム222の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で操作端末200Aが構成されてもよい。
【0133】
<L.まとめ>
以上のようにして、工具ホルダーTP1,TP2は、共通の接続機構258と、異なる工具規格に対応している装着機構259A,259Bとを有する。工具ホルダーTP1,TP2は、共通の接続機構258を介して工具収納部250の保持部254に収納されるため、工具規格ごとに工具収納部250を設ける必要が無くなる。その結果、工具収納部250の構成が簡素化され、工具搬送システム10の組み立て工数が減る。また、工具ホルダーTP1,TP2は、工具収納部250のいずれの場所にも収納され得るため、工具収納部250の収納スペースを十分に活用することが可能になる。
【0134】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0135】
10 工具搬送システム、50 制御装置、61~63 リモートI/Oユニット、100 管理装置、101,151,201 制御回路、102,152,202 ROM、103,153,203 RAM、104,154,155,204 通信インターフェイス、105,205 表示インターフェイス、106,206 ディスプレイ、107,207 入力インターフェイス、108,208 入力デバイス、110,160,210 バス、120,170,220 記憶装置、122 工具管理プログラム、124 スケジュール情報、172,222 制御プログラム、173 マガジン情報、174 工具情報、175 収納情報、200 工具セットアップ装置、200A 操作端末、231 カバー体、234,234A,234B,334,334A,334B,411,411A,411B モータドライバ、235,235A,235B,335,335A,335B,412,412A,412B モータ、236A,236B ローラー、237A,237B ポット保持部、238,438 ATC、250 工具収納部、252 板材対、252A,252B 板材、253 ネジ穴、254 保持部、256 カラー、256A,256B 切り込み群、258 接続機構、259A,259B 装着機構、261~264,266,267 溝部、271~274 ガイド部、300 搬送装置、330 アームロボット、331 レール、332 台車、336 仮置き場、400,400A~400F 工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2020-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有し、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記第1工具は、第1工具規格に対応しており、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記第2工具は、前記第1工具規格とは異なる第2の工具規格に対応している、工具搬送システム。
【請求項2】
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有し、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置をさらに備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部と、
前記駆動部の駆動を制御するための制御装置とを含み、
前記制御装置は、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動する処理と、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動する処理とを実行する、工具搬送システム。
【請求項3】
前記セットアップ対象の工具には、当該工具を一意に識別するための読み取りコードが設けられており、
前記工具セットアップ装置は、さらに、前記読み取りコードを読み取るための読取装置を含み、
前記制御装置は、
前記読取装置による前記読み取りコードの読み取り結果に基づいて、前記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに前記セットアップ対象の工具が装着可能であるか否かを判断する処理と、
前記所定のセットアップ位置に駆動された工具ホルダーに前記セットアップ対象の工具が装着不可能と判断した場合には、警告を出力する処理とを実行する、請求項2に記載の工具搬送システム。
【請求項4】
前記工具搬送システムは、さらに、搬送路を備え、
前記工具収納部は、前記搬送路と平行に設けられており、
前記搬送装置は、前記搬送路上を移動するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項5】
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能な共通の保持機構を有し、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記共通の接続機構は、
前記工具ホルダーの第1面に設けられる第1溝部と、
前記第1溝部と平行して前記第1面上に設けられる第2溝部と、
前記工具ホルダーの第2面に設けられる第3溝部と、
前記第2溝部と平行して前記第2面上に設けられる第4溝部とを有し、
前記第1面と前記第2面とは、対向しており、
前記共通の保持機構は、
前記第1溝部に嵌合する第1ガイド部と、
前記第2溝部に嵌合する第2ガイド部と、
前記第3溝部に嵌合する第3ガイド部と、
前記第4溝部に嵌合する第4ガイド部とを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の工具搬送システム。
【請求項6】
前記工具収納部は、第1の板材と第2の板材とのが組み合わされて構成されており、
前記第1の板材と前記第2の板材とは、互いに対向するように設けられ、
前記第1ガイド部および前記第3ガイド部は、前記第1の板材に形成され、
前記第2ガイド部および前記第4ガイド部は、前記第2の板材に形成される、請求項5に記載の工具搬送システム。
【請求項7】
工具搬送システムの制御方法であって、
前記工具搬送システムは、
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有し、
前記工具搬送システムは、さらに、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記工具搬送システムは、さらに、前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部とを含み、
前記制御方法は、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動するステップと、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動するステップとを備える、制御方法。
【請求項8】
工具搬送システムの制御プログラムであって、
前記工具搬送システムは、
複数の工作機械と、
複数の保持部を有する工具収納部とを備え、前記複数の保持部の各々は、複数の工具ホルダーのいずれでも保持可能に構成される共通の保持機構を有し、
前記工具搬送システムは、さらに、
前記工具収納部に収納されている複数の工具ホルダーの内の指定された工具ホルダーを、前記複数の工作機械の内の指定された工作機械に搬送するための搬送装置を備え、
前記複数の工具ホルダーの第1工具ホルダーは、
前記共通の保持機構に接続され得る共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第1工作機械で用いられる第1工具が装着され得る第1装着機構とを有し、
前記複数の工具ホルダーの第2工具ホルダーは、
前記共通の接続機構と、
前記複数の工作機械の内の第2工作機械で用いられる第2工具が装着され得る第2装着機構とを有し、
前記工具搬送システムは、さらに、前記搬送装置と工具ホルダーをやり取りする工具セットアップ装置を備え、
前記工具セットアップ装置は、
複数の工具ホルダーを保持可能に構成されるマガジンと、
前記マガジンを駆動するための駆動部とを含み、
前記制御プログラムは、前記工具搬送システムに、
セットアップ対象の工具として前記第1工具が指定された場合には、所定のセットアップ位置に前記第1工具ホルダーを駆動するステップと、
セットアップ対象の工具として前記第2工具が指定された場合には、前記所定のセットアップ位置に前記第2工具ホルダーを駆動するステップとを実行させる、制御プログラム。