(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024540
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】リールシート
(51)【国際特許分類】
A01K 87/06 20060101AFI20220202BHJP
A01K 87/08 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A01K87/06 B
A01K87/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127192
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 勝
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA06
2B019CB03
2B019CB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】魚釣用リールと共に釣竿を握持、保持した際のグリップ性が良く、軽量で強度的に優れたリールシートを提供する。
【解決手段】リールシート1のシート本体2は、リール脚載置部3と、リール脚載置部3の軸方向一端側に固定フード12が形成されると共に、竿杆100が挿通、固定される挿通孔10aが形成された第1筒部10と、リール脚載置部の軸方向他端側で移動フード22が配設されると共に、竿杆が挿通、固定される挿通孔20aが形成された第2筒部20とを備える。シート本体2は、第1筒部10と第2筒部20との間を連結し、固定される竿杆100を覆うように径方向に離間して形成されるブリッジ部30は、挿通、固定される竿杆の両サイドに凹部30a´を備えており、凹部30a´を規定する縁部30aの最も窪んだ位置が、側面視において竿杆を超えないように形成され、ブリッジ部30の内面には、補強リブ35が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣用リールのリール脚を載置するリール脚載置部と、
前記リール脚載置部の軸方向一端側に固定フードが形成されると共に、竿杆が挿通、固定される挿通孔が形成された第1筒部と、
前記リール脚載置部の軸方向他端側に移動フードが軸方向に沿って移動可能に配設されると共に、前記竿杆が挿通、固定される挿通孔が形成された第2筒部と、
を備えたシート本体を有するリールシートにおいて、
前記シート本体は、前記第1筒部と第2筒部との間を連結し、前記固定される竿杆を覆うように径方向に離間して形成されるブリッジ部を備えており、
前記ブリッジ部は、挿通、固定される竿杆の両サイドに凹部を備えており、
前記凹部は、凹部を規定する縁部の最も窪んだ位置が、側面視において前記挿通孔に挿通、固定される竿杆を超えないように形成されており、
前記ブリッジ部の内面には、補強リブが形成されていることを特徴とするリールシート。
【請求項2】
前記ブリッジ部は、軸方向と直交する断面視において、径方向外方に膨出する湾曲形状を備えており、前記挿通孔に挿通、固定される竿杆の先端側よりも基端側の膨出量が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリールシート。
【請求項3】
前記補強リブは、軸方向に沿った軸方向リブを備えており、
前記軸方向リブは、前記挿入孔に挿通される竿杆のガイド機能を有する高さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリールシート。
【請求項4】
前記第1筒部のリール脚載置部と反対側には、トリガーが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリールシート。
【請求項5】
前記ブリッジ部の肉厚、及び、補強リブの肉厚は、1.0~2.0mmに形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のリールシート。
【請求項6】
上記した請求項1から5のいずれか1項に記載のリールシートを固着したことを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーロッドや船竿等、軽量な釣竿に取り付けられ、リールを装着、固定するのに用いられるリールシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リールを使用する釣竿には、リールを装着するリールシートが固定されており、例えば、特許文献1に開示されているように、元竿杆の外周面に装着、固定される筒状のリールシートが知られている。特許文献1には、スピニングリールを用いるのに適した筒状のリールシートが開示されており、筒状に形成された本体には、基端側の第一筒部の下面側に固定フードが配設され、先端側の第二筒部には、雄螺子部が形成されて、その部分にナットによって前後動される移動フードが配設されている。
【0003】
上記したリールシートは、硬質樹脂や繊維強化樹脂を射出成形することで一体形成されており、前記第一筒部と第二筒部との間には、リール脚載置が形成されると共に、両側に湾曲状の凹部を有するブリッジ部が形成されている。このブリッジ部による凹部は、第一筒部と第二筒部に挿通される竿杆よりも径方向外方に位置するように形成されており、リールシートの軽量化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に開示されたリールシートのように、シート本体の外形状の肉をくり抜いて軽量化をすると、グリップ性(握り心地)が低下するという問題が生じる。すなわち、ブリッジ部に形成された凹部の縁部が、スピニングリールを装着した際、竿杆よりも下方に位置するように湾曲形成されているため、握り込んだ際の指の当接領域が少なくなってしまい、グリップ性が低下する。また、ブリッジ部は、肉厚が薄いため、強く握り込むと変形し易く、強度的に問題がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、魚釣用リールと共に釣竿を握持、保持した際のグリップ性が良く、軽量で強度的に優れたリールシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るリールシートは、魚釣用リールのリール脚を載置するリール脚載置部と、前記リール脚載置部の軸方向一端側に固定フードが形成されると共に、竿杆が挿通、固定される挿通孔が形成された第1筒部と、前記リール脚載置部の軸方向他端側に移動フードが軸方向に沿って移動可能に配設されると共に、前記竿杆が挿通、固定される挿通孔が形成された第2筒部と、を備えたシート本体を有しており、前記シート本体は、前記第1筒部と第2筒部との間を連結し、前記固定される竿杆を覆うように径方向に離間して形成されるブリッジ部を備えており、前記ブリッジ部は、挿通、固定される竿杆の両サイドに凹部を備えており、前記凹部は、凹部を規定する縁部の最も窪んだ位置が、側面視において前記挿通孔に挿通、固定される竿杆を超えないように形成されており、前記ブリッジ部の内面には、補強リブが形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記した構成のリールシートによれば、実釣時において、前記第1筒部と第2筒部との間に形成されたブリッジ部が握り込まれる。すなわち、両軸受け型リールを装着した場合は、主に指の部分が当接して握り込まれ、スピニングリールを装着した場合、主に掌の部分が当接して握り込まれる。ブリッジ部は、上記のように、挿通、固定される竿杆の両サイドに凹部を備えており、その凹部は、凹部を規定する縁部の最も窪んだ位置が、側面視において挿通孔に挿通、固定される竿杆を超えないように形成されているので、リールシートを握り込んだ際、握り込む部分が残った状態となり、切欠部分(開口を規定する縁部)に指や掌が当接することはなく、グリップ性の向上が図れる。また、ブリッジ部には、その内面側に補強リブが形成されているので、強く握り込んでも変形等し難くなり、薄肉厚化することも可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、魚釣用リールと共に釣竿を握持、保持した際のグリップ性が良く、軽量で強度的に優れたリールシートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るリールシートの第1の実施形態を示す斜視図。
【
図2】(a)は
図1に示すリールシートの平面図、(b)は
図1に示すリールシートの側面図。
【
図3】
図1に示すリールシートの軸方向に沿った断面図。
【
図4】(a)は
図3のA-A線に沿った断面図、(b)は
図3のB-B線に沿った断面図、(c)は
図3のC-C線に沿った断面図、(d)は
図3のD-D線に沿った断面図、(e)は
図3のE-E線に沿った断面図。
【
図5】本発明に係るリールシートの第2の実施形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図(下面図)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るリールシートの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では、軸方向(前後方向)、上下方向は、左右方向(サイド方向)は、
図2で示す方向を意味する。
【0012】
図1から
図4は、本発明に係るリールシートの第1の実施形態を示す図であり、
図1は斜視図、
図2(a)は平面図、
図2(b)は側面図、
図3は軸方向に沿った断面図、
図4(a)は
図3のA-A線に沿った断面図、(b)は
図3のB-B線に沿った断面図、(c)は
図3のC-C線に沿った断面図、(d)は
図3のD-D線に沿った断面図、(e)は
図3のE-E線に沿った断面図である。
本発明に係るリールシート1は、釣竿を構成する竿杆(元竿杆)100の外周面に接着等によって固定され、本実施形態では、魚釣用リールとして、両軸受け型リールを装着、固定するものとして構成されている。このため、後述するリール脚載置部は、上方側に位置する。また、リールシートが固定される釣竿については、振出式、継合式、1本竿等、その構成については限定されることはなく、
図1では、釣竿の一部(元竿杆の一部)が示され、全体構成については省略されている。
【0013】
前記リールシート1を構成するシート本体2は、上方側に魚釣用リールのリール脚を載置するリール脚載置部3と、リール脚載置部3に載置された魚釣用リールのリール脚の軸方向両側を締め付け、固定するための一対のフード部が設けられている。本実施形態では、後方側に固定フード12が設けられ、前方側に回転操作式の移動フード22が軸方向に移動可能に配設されている。すなわち、シート本体2は、一端側(後方側)に、固定フード12が形成されると共に、竿杆100が挿通、固定される挿通孔10aが形成された第1筒部10と、リール脚載置部3の軸方向他端側(前方側)に、移動フード22が軸方向に沿って移動可能に配設されると共に、前記竿杆100が挿通、固定される挿通孔20aが形成された第2筒部20と、を備えている。前記竿杆100は、挿通孔10a,20aに挿通されて、その外周面が接着剤等によって固定されるようになっている。
【0014】
また、シート本体2には、前記第1筒部10と第2筒部20との間を連結し、前記固定される竿杆100を覆うように径方向に離間して形成されるブリッジ部30が形成されている。本実施形態のシート本体2は、両軸受けリールに適した構造であるため、ブリッジ部30は、前記挿通孔10a,20aに挿通、固定される竿杆の下側領域を覆うように形成されており、前記第1筒部10と第2筒部20との関係では、前記挿通孔10a,20aに竿杆が挿通、固定された状態で、竿杆100の外周面との間で径方向に離間する(隙間が生じる)ように形成されている。
【0015】
具体的に、ブリッジ部30は、軸方向において、挿通、固定される竿杆100の径方向両サイドから、竿杆100の下側の外周面を所定の隙間をおいて覆うように、断面略半円形状となる膨出湾曲部30Aを備えている(
図4(b)~(e)参照)。また、ブリッジ部30の両側の上端縁(縁部)30aは、第1筒部10に形成された固定フード12のリール脚を受け入れる開口12aを規定する前側両端縁12bから下方に向けて凹状に湾曲しながら第2筒部20に繋がる凹部30a´を規定している。この両側の上端縁30aは、左右方向で竿杆100の外周面から離間するように形成されており、その最下端位置(凹部の最も窪んだ位置)P1は、
図2(b)に示すように、ブリッジ部30の軸方向中間位置よりも後方側(第1筒部側)に存在している。
【0016】
このようなブリッジ部30を第1筒部と第2筒部との間に形成することで、リールシートとして軽量化が図れるようになる。このため、前記リール脚載置部3は、第1筒部10の前端側に形成される載置部3a及び第2筒部20の後端側に形成される載置部3bで構成され、リール脚載置部3は、その中間部分(ブリッジ部30が形成される部分)が分断された状態となっている。すなわち、魚釣用リールの脚部は、後端側が固定フード12の開口12aに嵌入された状態で載置部3a上に載置され、前端側が載置部3b上に載置された状態で、軸方向に移動する固定フード22の開口22aに嵌入して締め付け、固定される。
【0017】
前記シート本体2の第2筒部20の前側端部の外周面には、雄螺子部20bが形成されている。前記リール脚載置部3bの前方側に配設される移動フード22は、前記第2筒部20を覆った状態で軸方向に移動可能に配設されている。前記移動フード22には、前記雄螺子部20bと螺合するナット部材22Aが係止されており、移動フード22は、ナット部材22Aを回転操作することで軸方向に移動するようになっている。この場合、雄螺子部20bには、軸線方向に直線状に延出するガイド溝20dが1カ所以上(本実施形態では、180°間隔で2か所)形成されており、ナット部材22Aを回転操作した際、移動フード22は回転することなく、軸方向のみに摺動するようになっている。また、前記シート本体2の前端面(膨出湾曲部30Aの前側の両サイド端面)には、前記載置部3bの両サイドから側方に突出する段差30Bが形成されており、前記雄螺子部20bに螺合するナット部材22Aよって軸方向に移動する移動フード22は、その開口22aを規定する端面が段差30Bに当て付くことで、軸方向後方側への移動が規制されるようになっている。
【0018】
上記した構成により、リール脚をリール脚載置部3(3a,3b)に載置した状態で後方の脚部を固定フード12の開口12aに嵌入し、この状態でナット部材22Aを回転操作して移動フード22を固定フード側に摺動させると、リール脚の前方の脚部が移動フード22の開口22aに嵌入し、リール脚は、両フード12,22間で締め付け固定される。そして、ナット部材22Aを反対方向に回転操作することで、フード12,22間に装着、固定された魚釣用リールを取り外すことが可能となる。
【0019】
また、本実施形態では、シート本体2に、リール本体と共にシート本体を握持、保持した際、その手の指を掛けることが可能なトリガー15が形成されている。トリガー15は、シート本体2の第1筒部10に形成されており、固定フード12とは反対側に突出するように形成されている。
【0020】
前記ブリッジ部30の凹部30a´を形成する両側の上端縁30aは、下側に向けて大きく窪ませる程、リールシートとして軽量化を図ることが可能となるが、あまり窪ませると、グリップ性が損なわれると共に、グリップ部の強度が低下してしまう。このため、本発明では、凹部の最下端位置(凹部の最も窪んだ位置)P1が、側面視において、前記挿通孔10a,20aに挿通、固定された竿杆100を超えない(挿通孔10a,20aよりも下側にならない)ように形成されている。
【0021】
前記ブリッジ部30の両側に上記したような凹部30a´を形成したことで、ブリッジ部30は、軸方向と直交する断面視において、径方向外方に膨出する湾曲形状を備えた状態となり(
図4(b)~(d))、その内外面が共に外方に湾曲状に突出する膨出湾曲部30Aを構成する。
【0022】
そして、このブリッジ部30を構成する膨出湾曲部30Aの内面には、潰れ強度を向上できるように、補強リブ35が形成されている。補強リブは、膨出湾曲部30Aの内面のいずれかの部分に形成されていれば良いが、手によって握り込まれた際、膨出湾曲部30Aの最下端領域に大きな圧力が作用することから、本実施形態のように、少なくとも膨出湾曲部30Aの中央部で軸方向に沿うように軸方向リブを備えていることが好ましい(以下、このような軸方向リブを補強リブ35と称する)。
【0023】
膨出湾曲部30Aの内面に補強リブ35を形成することで、膨出湾曲部30Aを薄肉厚化することができると共に、膨出湾曲部30Aの表面形状を適宜、変形しても全体として軽量化を図ることが可能となる。この場合、膨出湾曲部30A(ブリッジ部30)、及び、補強リブ35の肉厚については、1.0mm~2.0mm程度にすることで軽量化を図りつつ強度を維持することができる。また、膨出湾曲部30Aの下面形状(表面形状)については、
図2(b)及び
図3で示すように、第2筒部20から第1筒部10に向けて次第に膨出させると共に、リール脚載置部3aの反対位置付近から、次第に窪むように湾曲させてトリガー15の付け根部分との間で湾曲した凹部16が得られるように形成することが好ましい。すなわち、ブリッジ部30(膨出湾曲部30A)の膨出量については、先端側よりも基端側の方が大きくなるように形成することで、リール本体と共にリールシート1が握り込まれた際のグリップ性の向上が図れるようになり、湾曲した凹部16によって、トリガー15に指を掛けた際に違和感が生じることはない。
【0024】
また、前記補強リブ35については、挿通孔10a,20aに挿通される竿杆100のガイド機能を有する高さに形成することが好ましい。具体的には、補強リブ35は、軸方向に亘って、その上端縁35aが各挿通孔10a,20aの開口縁と一致するような高さとなるように形成することで、リールシート1に対して竿杆100を挿入する際、スムーズに案内されて第1筒部10と第2筒部20を貫通し易くすることができると共に、ブリッジ部30の部分においても竿杆100を安定化させることができる。
【0025】
前記シート本体2は、例えば、ナイロン、ABS等の硬質の合成樹脂材、或いは、ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を混入したプラスチック複合材(FRP)によって一体形成することが可能であり、強度を向上させつつ軽量化を図ることが可能となる。
【0026】
上記したリールシート1は、実釣時において、トリガー15に薬指、或いは、中指が掛けられた状態で、前記第1筒部10と第2筒部20との間に形成されたブリッジ部30(膨出湾曲部30A)に手の指の腹部が当接して握り込まれる。ブリッジ部30は、上記のように、挿通、固定される竿杆100の両サイドに凹部30a´を備えており、その凹部30a´は、凹部を規定する両側の上端縁30aの最も窪んだ位置P1が、側面視において、挿通孔10a,20aに挿通、固定される竿杆100を超えないように形成されているので、リールシートを握り込んだ際、握り込む部分が残った状態となってグリップ性の向上が図れる。また、ブリッジ部30の内面側には、補強リブ35が形成されているので、ブリッジ部を薄肉厚化して軽量化することができると共に、強く握り込んでも変形等し難くなり、軽量化と高強度化を効率良く達成することができ、釣竿としても軽量化が図れ、操作性の向上を図ることが可能となる。
【0027】
なお、上記したリールシートには、握り込んで指が当たる部分に、別途、グリップ性の良い軟質部材(例えば、ウレタン、EVA、熱可塑性エラストマー、ゴム等)を設けておいても良い。例えば、ナット部材22Aをそのような部材で被着しても良いし、第1筒部10の固定フード12から後方から突出する部分の外周面に、上記した材料で形成されるグリップ部材を被着しても良い。
【0028】
また、上記した構成のシート本体2は、必要に応じて、リブ、空洞部、切欠き、凹部等を形成して強度を維持しつつ軽量化を図ることが可能である。例えば、第1筒部10のリール脚載置部3aが形成される部分では、
図4(e)に示すように、竿杆が挿通される部分と膨出湾曲部30Aとの間を複数の径方向リブ18a,18bで連結すると共に、そのリブ間に隙間Sを形成することで、強度を維持しながら軽量化を図ることができる。また、例えば、第2筒部20のリール脚載置部3bが形成される部分では、
図4(a)に示すように、外周面に適宜、補強用のリブ27,28を形成することで、強度の向上を図ることが可能となる。そして、このようなリブ、空洞部、切欠きや凹凸等については、グリップ性に影響を与えない部分に形成しておくことが好ましい。
【0029】
図5は、本発明の第2の実施形態を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図(下面図)である。
この実施形態のリールシートは、スピニングリールが装着されるように構成されており、リール脚載置部3(3a,3b)が下向きになってスピニングリールが装着、固定されるようになっている。なお、
図5では、上記の第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の参照符号が付されている。
【0030】
本実施形態のリールシート1Aのシート本体2Aは、使用時には、リール脚載置部3、固定フード12、移動フード22が下向きに配設された状態となり、ブリッジ部30は、主に掌で上方から握り込まれることから、握持、保持し易いように、第1の実施形態よりも多少、大径に形成しておくことが好ましい。また、ブリッジ部30の凹部30a´を形成する両側の上端縁(縁部)30aは、凹部の最上端位置(凹部の最も盛り上がった位置)P1が、側面視において、挿通孔に挿通、固定された竿杆100を超えない(挿通孔10a,20aよりも上側にならない)ように形成されている。
このような構成のリールシート1Aであっても、上記した実施形態と同様な作用、効果が得られる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることは無く種々変形することが可能である。
上記したリールシート1は、図に示した形状に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、リール脚を固定するフード部については、後方側を移動フードで構成しても良く、各フード部の構成については適宜変形することができる。また、膨出湾曲部30A(ブリッジ部30)の内面に形成される補強リブについては、軸方向に延出する以外にも、横方向にも形成する等、一部を交差させたり格子状に形成しても良く、更には、軸方向に延出するリブを複数個形成したものであっても良い。また、補強リブの高さについては、挿通される竿杆に干渉しなければ、その高さや肉厚を適宜変形することが可能である。更に、ブリッジ部30(膨出湾曲部30A)の形状(膨出形状)、凹部30a´の形状は適宜、変形することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 リールシート
2 シート本体
3(3a,3b) リール脚載置部
10 第1筒部
12 固定フード
20 第2筒部
22 移動フード
30 ブリッジ部
30A 膨出湾曲部
30a 上端縁(縁部)
30a´ 凹部