(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024587
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ストレーナ洗浄システム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20220202BHJP
F16L 55/24 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B01D46/24 C
F16L55/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127262
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】三宮 佳幸
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058MA12
4D058MA15
4D058MA17
4D058MA52
4D058PA04
4D058RA14
4D058UA30
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でありながら、自動的な洗浄を確実に行うことができるストレーナ洗浄システムの提供。
【解決手段】通常時においては、入口配管11を通じて蒸気がストレーナ2に流入し、ストレーナ2を通過して出口配管12に流出する。これに対して、ストレーナ2内に異物が集積してストレーナ2に詰まりが生じた場合、入口配管11の内部圧力が高くなって逆止弁4が開弁し、熱交換器6に蒸気が流入してドレンが生成される。生成されたドレンは
ストレーナ2に供給され、集積した異物が洗浄される。そして、入口配管11の内部圧力がさらに高まり、入口配管11の内部圧力と出口配管12の内部圧力との圧力差が大きくなって差圧弁8が開弁し、ストレーナ2内のドレンと異物は、高圧の勢いに従って一気に排水管17を通じて外部に排出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側配管から流入する移送流体を通過させ、二次側配管に流出させるストレーナ部であって、移送流体に混入している異物を捕捉するストレーナ部、
一次側配管の内部圧力が所定の生成基準圧力に達したとき、移送流体に基づいて洗浄流体を生成し、当該洗浄流体をストレーナ部に与えてストレーナ部を洗浄する洗浄流体生成手段、
を備えたことを特徴とするストレーナ洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に係るストレーナ洗浄システムにおいて、
所定の排出基準条件を満たしたとき、ストレーナ部内の洗浄流体を排出させる排出手段を備えており、
当該排出基準条件は、前記洗浄流体生成手段が洗浄流体をストレーナ部に与えた後に満たされる、
ことを特徴とするストレーナ洗浄システム。
【請求項3】
請求項2に係るストレーナ洗浄システムにおいて、
前記排出基準条件は、排出基準圧力差であり、
前記排出手段は、一次側配管の内部圧力と二次側配管の内部圧力との圧力差を認識し、当該圧力差が排出基準圧力差に達したとき、ストレーナ部内の洗浄流体を排出させる、
ことを特徴とするストレーナ洗浄システム。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3に係るストレーナ洗浄システムにおいて、
前記移送流体は、蒸気であり、
前記洗浄流体は、蒸気から発生するドレンであり、
前記洗浄流体生成手段は、蒸気からドレンを発生させる熱交換部を有している、
ことを特徴とするストレーナ洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係るストレーナ洗浄システムは、配管系統に設置されるストレーナを自動的に洗浄するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレーナはスクリーンを内蔵しており、たとえば蒸気等の流体を移送するための配管系統に設けられ、蒸気内に混入した異物を捕捉する。このため、ストレーナ内にはスクリーンで捕捉した異物が集積されて詰まりが生じることがある。ストレーナに詰まりが生じると流体の移送の妨げになるため、ストレーナを洗浄し集積した異物を除去する必要がある。
【0003】
このようなストレーナの洗浄技術として、後記特許文献1に記載された逆洗のできるストレーナがある。このストレーナのストレーナ本体1には、流体入口2及び流体出口3が形成されており、内部に漉取部4が設けられている。そして、流体入口2には入口管路7が接続されており、流体出口3には出口管路8が接続されている。
【0004】
入口管路7には分岐管9が接続されて分岐している。また、漉取部4に連通した管路5に差圧弁6が接続されている。そして、差圧弁6の一次圧検出管15を入口管路7と接続し、二次圧検出管12を出口管路8と接続している。異物の漉取部4に異物が詰まって出口管路8内の流体圧力が低下すると、差圧弁6が自動的に開弁する。差圧弁6が開弁すると、入口管14から高圧の洗浄液が管路5に流入し、ストレーナ本体1に内蔵されている漉取部4の異物が自動的に洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述の特許文献1に開示された技術には、ストレーナを洗浄するために、洗浄液源に管路5を接続して高圧の洗浄液を供給する必要があり、装置の構成が複雑化するという問題がある。
【0007】
そこで本願に係るストレーナ洗浄システムは、これらの問題を解決するため、簡易な構成でありながら、自動的な洗浄を確実に行うことができるストレーナ洗浄システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願に係るストレーナ洗浄システムは、
一次側配管から流入する移送流体を通過させ、二次側配管に流出させるストレーナ部であって、移送流体に混入している異物を捕捉するストレーナ部、
一次側配管の内部圧力が所定の生成基準圧力に達したとき、移送流体に基づいて洗浄流体を生成し、当該洗浄流体をストレーナ部に与えてストレーナ部を洗浄する洗浄流体生成手段、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願に係るストレーナ洗浄システムにおいては、洗浄流体生成手段は、一次側配管の内部圧力が所定の生成基準圧力に達したとき、移送流体に基づいて洗浄流体を生成し、当該洗浄流体をストレーナ部に与えてストレーナ部を洗浄する。
【0010】
すなわち、外部から洗浄流体を取り込み、ストレーナ部を洗浄する必要がないため、簡易な構成でありながら、自動的な洗浄を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願に係るストレーナ洗浄システムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係るストレーナ洗浄システムの下記の要素に対応している。
【0013】
ストレーナ2・・・ストレーナ部
逆止弁4及び熱交換器6・・・洗浄流体生成手段
熱交換器6・・・熱交換部
差圧弁8・・・排出手段
入口配管11・・・一次側配管
出口配管12・・・二次側配管
圧力の値a1・・・生成基準圧力
圧力差の値a2・・・排出基準条件、排出基準圧力差
蒸気・・・移送流体
ドレン・・・洗浄流体
【0014】
[第1の実施形態]
本願に係るストレーナ洗浄システムの第1の実施形態を
図1に基づいて説明する。ストレーナは配管上に設けられ、配管内を流れる流体に混入している錆やスケール(水垢)等の異物を捕捉する。本実施形態では、スクリーンを内蔵したY型ストレーナを例に掲げる。
【0015】
(本実施形態におけるストレーナ洗浄システムの構成の説明)
ストレーナ2の両側には、同軸上に配置される入口配管11及び出口配管12が各々接続され、入口配管11を通じて移送される蒸気がストレーナ2を通過して出口配管12に流出する。
【0016】
ストレーナ2の下方に延びるスクリーン管2a内には、円筒形状を有しメッシュ素材から構成されるスクリーン(図示せず)が収納されている。ストレーナ2を通過する蒸気が、このスクリーンを透過することによって、スクリーンのメッシュ部分の内周に蒸気に混入した異物が付着して捕捉される。
【0017】
ストレーナ2の内周に異物が集積されてストレーナ2に詰まりが生じた場合、入口配管11から出口配管12に向かう蒸気の移送が妨げられるため、適切なタイミングで洗浄を行い、異物を除去する必要がある。このため、本実施形態では入口配管11に接続された熱交換器6が設けられている。
【0018】
すなわち、入口配管11には分岐管13が分岐して接続されており、この分岐管13が熱交換器6に接続されている。そして、分岐管13には逆止弁4が設けられている。逆止弁4は通常時においては閉弁しているが、入口配管11の内部圧力が高くなったときに開弁し、分岐管13を通じて熱交換器6に蒸気を送り込む。逆止弁4は、入口配管11の内部圧力の値がa1になったときに開弁するよう設定されている。
【0019】
熱交換器6は、送り込まれた蒸気を周辺空気との間で熱交換させ、蒸気からドレンを発生させる。すなわち、蒸気は熱交換器6内で周辺空気に放熱し、この熱損失によって蒸気が変化してドレンが生成される。生成されたドレンは、ドレン供給管14を通じ、熱交換器6からストレーナ2の直前の入口配管11に流入して、ストレーナ2にドレンが供給される。
【0020】
また、ストレーナ2のスクリーン管2a先端には排水管17が接続されている。つまり、スクリーン管2aの内部を介して、入口配管11と排水管17とが接続されている。この排水管17上には差圧弁8が設置されており、差圧弁8の開閉に従ってストレーナ2内のドレンを排水(ブロー)する。
【0021】
差圧弁8には、入口配管11に連通する入口圧検出管15、及び出口配管12に連通する出口圧検出管16が接続されている。そして差圧弁8は、入口配管11の内部圧力が出口配管12の内部圧力よりも高くなった場合に開弁し、排水管17を通じてドレンを排水する。差圧弁8は、出口配管12の内部圧力に対する入口配管11の内部圧力の圧力差が、値a2高くなったときに開弁するように設定されている。
【0022】
なお本実施形態では、この差圧弁8が開弁する圧力差の値a2は、前述の逆止弁4が開弁する内部圧力の値a1よりも大きく設定され、逆止弁4が開弁した後、所定の時間的間隔をおいて差圧弁8が開弁するようになっている。
【0023】
(本実施形態におけるストレーナ洗浄システムの動作の説明)
次に、本実施形態におけるストレーナ洗浄システムの動作を説明する。まず、通常時においては、前述の通り入口配管11を通じて蒸気がストレーナ2に流入し、ストレーナ2を通過して出口配管12に流出する。この場合、入口配管11の内部圧力と出口配管12の内部圧力とはほぼ同じであり安定している。このため、逆止弁4及び差圧弁8は、双方とも閉弁した状態である。
【0024】
そして、ストレーナ2内に異物が集積されてストレーナ2に詰まりが生じた場合、異物の集積の度合いに応じてストレーナ2を通過する蒸気量が徐々に低下し、蒸気がストレーナ2をまったく通過することができない状態に至る。入口配管11には通常時と同様、引き続き蒸気が送り込まれるため、ストレーナ2の詰まりによって入口配管11の内部圧力は徐々に高くなる。
【0025】
そして、入口配管11の内部圧力の値がa1に達したとき、逆止弁4が開弁し、分岐管13を通じて熱交換器6に蒸気が送り込まれる。なお、前述のように逆止弁4が開弁した後、時間的間隔をおいて差圧弁8が開弁するように設定されているため、この時点では差圧弁8は閉弁したままの状態である。熱交換器6に蒸気が送り込まれたことによって、この蒸気からドレンが生成される。
【0026】
生成されたドレンはドレン供給管14を通じて流出し、ストレーナ2に供給される。この供給されたドレンによってストレーナ2内に集積した異物が洗浄される。なお、本実施形態においては、前述のようにドレンはストレーナ2の直前の入口配管11に流入するようになっている。このため、ストレーナ2に供給されるドレンは、通常時において入口配管11を通じて流入する蒸気と同じ経路に沿ってストレーナ2に流入するため、蒸気に混入してストレーナ2内に集積した異物をより確実に洗浄して除去することができる。
【0027】
ストレーナ2にドレンが供給された後、入口配管11の内部圧力はさらに高まり、入口配管11の内部圧力が出口配管12の内部圧力より値a2(圧力差)高くなったとき、差圧弁8が開弁する。これによって、ストレーナ2内のドレンと異物は、高圧の勢いに従って一気に排水管17を通じて外部に排出(ブロー)される。
【0028】
ストレーナ2からドレンと異物が一気に排出されたことによって、ストレーナ2内には蒸気が通過する流路が形成され、出口配管12に蒸気が流出する。これによって、入口配管11の内部圧力は低下して値a1を下回り、逆止弁4は閉弁する。逆止弁4の閉弁によって、熱交換器6には蒸気が流入しなくなり、ドレンが生成されなくなってストレーナ2へのドレンの供給は停止される。
【0029】
こうして、入口配管11からの蒸気はストレーナ2を通過して出口配管12に流出するようになり、通常時の動作に復帰する。この過程で、入口配管11の内部圧力と出口配管12の内部圧力との圧力差は値a2を下回り、これによって差圧弁8は閉弁するため、以後、排水管17から蒸気漏れが生じることはない。
【0030】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、Y型ストレーナを例示したが、U型ストレーナ、T型ストレーナ又は配管型ストレーナ等、他の形式のストレーナに本願に係るストレーナ洗浄システムを適用することもできる。
【0031】
また、前述の実施形態においては、洗浄流体生成手段として逆止弁4及び熱交換器6を例示したが、一次側配管の内部圧力が所定の生成基準圧力に達したとき、移送流体に基づいて洗浄流体を生成し、当該洗浄流体をストレーナ部に与えてストレーナ部を洗浄するものであれば、他の構成を用いることができる。
【0032】
さらに、前述の実施形態においては、排出手段として、入口配管11の内部圧力が出口配管12の内部圧力よりも高くなった場合に開弁する差圧弁8を例示したが、所定の排出基準条件を満たしたとき、ストレーナ部内の洗浄流体を排出させるものであれば他の構成を採用することもできる。たとえば、入口配管11(一次側配管)の内部圧力が予め設定した値に達したとき、これを排出基準条件として開弁し、ストレーナ2(ストレーナ部)からドレン(洗浄流体)を排出するような弁を用いてもよい。
【0033】
また、前述の実施形態においては、熱交換器6に蒸気を流入させる構成として逆止弁4を例示したが、通常時には閉弁しており、入口配管11(一次側配管)の内部圧力が所定の生成基準圧力に達したときに開弁するものであれば、他の構造の弁を用いてもよい。
【0034】
さらに前述の実施形態においては、熱交換器6が送り込まれた蒸気を周辺空気との間で熱交換し、蒸気からドレンを発生させる例を示したが、熱交換器6に冷却水を供給して冷却水との間で熱交換させ効率的にドレンを発生させることもできる。
【0035】
また、前述の実施形態においては、熱交換器6で生成されたドレンが、ストレーナ2の直前の入口配管11に流入する例を示したが、生成されたドレンを直接、ストレーナ2に流入させる構成を採用してもよい。
【0036】
また、前述の実施形態においては、分岐管13に逆止弁4を設けて熱交換器6への蒸気の流入を制御し、排水管17に差圧弁8を設けてストレーナ2からのドレンの排水を制御する例を示した。しかし、逆止弁4や差圧弁8の代わりに電磁弁を設けることもできる。そしてこの場合、一次側配管又は二次側配管のいずれか一方又は双方の内部圧力をセンサで検出し、この検出データを有線又は無線でコントローラに送信し、コントローラが受信して認識した内部圧力に基づき電磁弁の開閉を制御すれば、熱交換器6への蒸気の流入やストレーナ2からのドレンの排水を適切に制御することができる。
【符号の説明】
【0037】
2:ストレーナ 4:逆止弁 6:熱交換器 8:差圧弁 11:入口配管
12:出口配管 a1、a2:値