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  • 特開-警棒型電撃装置 図1
  • 特開-警棒型電撃装置 図2
  • 特開-警棒型電撃装置 図3
  • 特開-警棒型電撃装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024638
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】警棒型電撃装置
(51)【国際特許分類】
   F41B 15/02 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
F41B15/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127340
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】500008126
【氏名又は名称】寺田 將二
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】寺田 將二
(57)【要約】
【課題】放電電極及び警棒本体の変形や破損が発生し難く、耐久性及び動作の安定性に優れる警棒型電撃装置を提供する。
【解決手段】複数の管状部材11~13が摺動可能に連結された伸縮式の警棒本体14と、電源部及び高電圧発生回路を有し警棒本体14の基側に収容された高電圧発生器と、警棒本体14の先端部に設けられた二対の放電電極16、17と、一側が高電圧発生器に電気接続され各管状部材11~13の内部を通って他側が各放電電極16、17に電気接続された電気接続線19、20とを備え、電気接続線19、20は、少なくとも一部が螺旋状に形成され、警棒本体14の伸縮に対応して伸縮可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管状部材が摺動可能に連結された伸縮式の警棒本体と、電源部及び高電圧発生回路を有し前記警棒本体の基側に収容された高電圧発生器と、前記警棒本体の先端部に設けられた少なくとも一対の放電電極と、一側が前記高電圧発生器に電気接続され前記各管状部材の内部を通って他側が前記各放電電極に電気接続された電気接続線とを備え、該電気接続線は、少なくとも一部が螺旋状に形成され、前記警棒本体の伸縮に対応して伸縮可能であることを特徴とする警棒型電撃装置。
【請求項2】
請求項1記載の警棒型電撃装置において、前記各管状部材の材質はカーボンスチール又はアルミニウムであることを特徴とする警棒型電撃装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の警棒型電撃装置において、前記警棒本体の基側にグリップ部が形成され、該グリップ部に、前記高電圧発生器を作動させて前記放電電極から放電を発生させる放電スイッチと、該放電スイッチをロックし又は前記高電圧発生器の高電圧発生回路を遮断して前記放電電極からの放電を防止する安全スイッチが取付けられていることを特徴とする警棒型電撃装置。
【請求項4】
請求項3記載の警棒型電撃装置において、前記グリップ部に落下防止用ストラップが取付けられていることを特徴とする警棒型電撃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に不正、不法な侵入者や暴漢等に対し、威嚇を行い、必要に応じて電撃を加えることにより、撃退することができる警棒型電撃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、強盗や暴漢(侵入者)等から身を守るための護身用品として、相手に高電圧による電撃(電気ショック)を与え、身動きを止めるスタンガンが知られている。そして、このスタンガンには、携帯型のハンディータイプをはじめ、様々な形態が提案されている。
例えば、特許文献1には、スタンガンの本体と警杖とを接合し、警杖の側面にスタンガンの電極を取り付けたスタンガン付き警杖が開示されている。また、特許文献2には、複数の短筒状管部材を伸縮可能に嵌合連接して、各管部材の外周に全長にわたって導電ワイヤを巻き付けた伸縮自在な電撃警棒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-292368号公報
【特許文献2】実開昭60-122694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のスタンガン付き警杖は、警杖の側面にスタンガンの電極を取り付けただけのものであり、警杖の先端部を暴漢等の相手に対して突き出し、相手に接触させることにより電極間に放電を起こさせ、電気ショックを与えて暴漢を撃退しようとするものであるため、効果を発揮することができる範囲が、警杖の全長によって制約を受け、至近距離では使い辛いという問題があった。また、電極が警杖の側面に露出しているため、使用中に外部からの力(衝撃)によって変形又は破損が発生し易く、電極の耐久性に欠けるという問題もあった。
これに対し、特許文献2の伸縮自在な電撃警棒は、必要に応じて長さを調整する(変化させる)ことができ、汎用性を有するが、導電ワイヤが各管部材の外周に露出しているため、特許文献1と同様に、電極の耐久性に欠けるという問題があった。また、導電ワイヤが、各管部材の外周に螺旋状に取付けられるため、製造に手間がかかり、生産性に欠けるという問題もあった。さらに、電撃警棒の伸縮に関わらず、各管部材に巻き付けた導電ワイヤ同士の導通を確保する必要があるが、その構造は複雑で、動作の安定性に欠けるという問題があった。また、使用時に、相手の身体に大きな危害を与えないことを目的として、短筒状管部材が、硬質ゴム又は硬質合成樹脂等の絶縁材料で形成されているため、電撃警棒そのものが外部からの衝撃に弱く、耐久性及び実用性に欠けるという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡素な構成で生産性に優れると共に、使用時に、打撃等による衝撃が加わっても、放電電極及び警棒本体の変形や破損が発生し難く、耐久性及び動作の安定性に優れる警棒型電撃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る警棒型電撃装置は、
複数の管状部材が摺動可能に連結された伸縮式の警棒本体と、電源部及び高電圧発生回路を有し前記警棒本体の基側に収容された高電圧発生器と、前記警棒本体の先端部に設けられた少なくとも一対の放電電極と、一側が前記高電圧発生器に電気接続され前記各管状部材の内部を通って他側が前記各放電電極に電気接続された電気接続線とを備え、該電気接続線は、少なくとも一部が螺旋状(コイル状)に形成され、前記警棒本体の伸縮に対応して伸縮可能である。
ここで、放電用電極に印加される高電圧は、無負荷で10万~150万V(好ましくは30万~150万V)である。
【0006】
本発明に係る警棒型電撃装置において、前記各管状部材の材質はカーボンスチール(炭素鋼)又はアルミニウムであることが好ましい。
【0007】
本発明に係る警棒型電撃装置において、前記警棒本体の基側にグリップ部が形成され、該グリップ部に、前記高電圧発生器を作動させて前記放電電極から放電を発生させる放電スイッチと、該放電スイッチをロックし又は前記高電圧発生器の高電圧発生回路を遮断して前記放電電極からの放電を防止する安全スイッチが取付けられていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る警棒型電撃装置において、前記グリップ部に落下防止用ストラップが取付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る警棒型電撃装置は、伸縮式の警棒本体の基側に収容された高電圧発生器と、先端部に設けられた放電電極を電気接続する電気接続線の少なくとも一部が螺旋状に形成され、警棒本体の伸縮に対応して電気接続線が伸縮する構造となっていることにより、警棒本体の伸縮(長さの変化)に関わらず、確実に放電電極から放電を発生させ、侵入者や暴漢等を威嚇したり、電撃を加えたりして撃退することができる。また、電気接続線が警棒本体の内部を通っているので、打撃等により警棒本体に外力(衝撃)が加わっても、電気接続線が破損(断線)することがなく、放電動作の確実性に優れる。
【0010】
本発明に係る警棒型電撃装置において、警棒本体を構成する各管状部材の材質がカーボンスチール又はアルミニウムである場合、警棒本体の耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る警棒型電撃装置において、警棒本体の基側にグリップ部が形成され、グリップ部に、高電圧発生器を作動させて放電電極から放電を発生させる放電スイッチと、放電スイッチをロックし又は高電圧発生器の回路を遮断して放電電極からの放電を防止する安全スイッチが取付けられている場合、グリップ部を手で握ったまま簡単に放電スイッチを操作できると共に、安全スイッチで放電スイッチの誤動作による放電を防止することができ、操作性及び安全性に優れる。
【0012】
本発明に係る警棒型電撃装置において、グリップ部に落下防止用ストラップが取付けられている場合、使用時に落下防止用ストラップに手首を通してグリップ部を手で握ることにより、衝撃等により手を開いたり、手が滑ったりしてグリップ部から手が離れても、落下防止用ストラップで警棒本体を繋ぎ止めることができ、警棒型電撃装置が落下したり、他人(犯罪者等)に強奪されたりすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る警棒型電撃装置の側面図であり、(B)は(A)のA-A線端面図である。
図2図1(A)のB-B線断面図である。
図3】同警棒型電撃装置の警棒本体を伸張させた状態を示す側面図である。
図4】同警棒型電撃装置の警棒本体を伸張させたときの電気接続線の動作を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図4に示す本発明の一実施の形態に係る警棒型電撃装置10は、主に不正、不法な侵入者や暴漢等の相手に対し、威嚇を行い、必要に応じて打撃や電撃を加えて、相手を撃退するために用いられる。
警棒型電撃装置10は、図1(A)、図2図4に示すように、複数の管状部材11~13が摺動可能に連結された伸縮式の警棒本体14を有している。この警棒本体14の基側(内径の最も大きい管状部材13の内部)には、電源部及び高電圧発生回路を有する高電圧発生器(図示せず)が収容されている。そして、警棒本体14の先端部(内径の最も小さい管状部材11の先端面)には、図1(B)に示すように、二対の放電電極16、17が設けられている。二対の放電電極16、17は、それぞれ+電極16a、17aと-電極16b、17bを備えており、対となる+電極16aと-電極16b及び+電極17aと-電極17bはそれぞれ管状部材11の内周側に180度の間隔で対向配置されている。このとき、二対の放電電極16、17は、90度の位相差で配置されており、その結果、+電極16a、17a、-電極16b、17bが管状部材11の円周方向に90度間隔で均等配置されている。なお、放電電極16、17(+電極16a、17aと-電極16b、17b)の材質としては、純銅が好適に用いられ、その表面には、金メッキ又はニッケルメッキを施すことが好ましい。
【0015】
また、警棒型電撃装置10は、図2図4に示すように、一側が高電圧発生器(図示せず)に電気接続され各管状部材11~13の内部を通って他側が各放電電極16、17に電気接続された電気接続線19、20を備えている。この電気接続線19、20は、少なくとも一部が螺旋状(コイル状)に形成され、警棒本体14の伸縮に対応して伸縮することが可能となっている。電気接続線19、20を螺旋状に形成する長さは、図3図4に示したように、警棒本体14を伸張させた際に、電気接続線19、20に負荷がかからない範囲で適宜、選択することができる。
【0016】
本実施の形態では、二本の電気接続線19、20を二重螺旋状に配置することで警棒本体14の伸縮時に、電気接続線19、20が互いに干渉することなくスムーズに伸縮できる構造としたが、電気接続線19、20の配置はこれに限定されるものではない。例えば、一方の電気接続線の螺旋の直径を他方の電気接続線の螺旋の直径よりも小さく形成し、両者を同心円状に配置することもできる。また、本実施の形態では、二対の放電電極16、17を有することにより、警棒本体14(管状部材11)の先端面を相手の身体に押し当てた際に、+電極16aと-電極16b及び/又は+電極17aと-電極17bを相手の身体に接触させて放電を発生させることができるが、放電電極は一対でもよいし、三対でもよい。なお、+電極及び-電極の形状及び大きさは適宜、選択することができる。
各管状部材11~13の材質としてはカーボンスチール(炭素鋼)が好適に用いられるが、カーボン(炭素)及びその他の成分の含有量は適宜、選択することができる。また、各管状部材の材質として、炭素鋼以外の鋼材、その他のアルミニウム等の金属又は合金を適宜、選択することができる。
【0017】
図1(A)、図3に示すように、警棒本体14の基側(最も末端側の管状部材13の基側)には、使用者が握り易いようにグリップ部21が形成されているが、このグリップ部の形状は適宜、選択することができる。そして、グリップ部21には、高電圧発生器を作動させて放電電極16、17から放電を発生させるための放電スイッチ22が取付けられている。このとき、放電スイッチ22をグリップ部21の先側(前方)の上部位置(図1(A)及び図3の上側)に配置することにより、使用者が手でグリップ部21を握った際に、親指を使って簡単に放電スイッチ22を操作することができる。なお、放電スイッチの配置は、本実施の形態に限定されるものではなく、適宜、選択することができ、例えばグリップ部の下部位置又は側部位置でもよい。また、放電スイッチはスライド式でも押しボタン式でもよい。
【0018】
グリップ部21には、放電スイッチ22に加え、放電スイッチ22をロックし又は高電圧発生器の高電圧発生回路を遮断して放電電極16、17からの放電を防止する安全スイッチ(図示せず)が取付けられていることが好ましい。このような安全スイッチを備えることにより、必要時以外に放電が発生することを防止して安全性を高めることができる。安全スイッチとしてはスライド式又は回転式が好ましいが、これらに限定されるものではない。また、安全スイッチは、放電スイッチの位置に応じて、例えばグリップ部21の先側の下部位置(図1(A)及び図3の下側)、側部位置又は底部位置((図1(A)及び図3の右端))等を適宜、選択して配置することができる。
【0019】
さらに、グリップ部21には、図1(A)、図3に示すように、落下防止用ストラップ24が取付けられている。これにより、使用者は、警棒型電撃装置10の使用時に、落下防止用ストラップ24に手首を通した状態でグリップ部21を手で握ることができ、衝撃等により手を開いたり、手が滑ったりしてグリップ部21から手が離れても、落下防止用ストラップ24で警棒本体14を繋ぎ止めることができ、警棒型電撃装置10が落下したり、他人(犯罪者等)に強奪されたりすることを防止できる。
図1(A)に示した状態から、使用者が、グリップ部21を手で握って警棒本体14を上から下に振り下ろすと、管状部材11、12が先側に移動(摺動)して、図3図4に示した伸張状態となり、警棒本体14で相手の攻撃から身を守ったり、相手に打撃を加えたりできる。そして、必要に応じて、安全スイッチを解除し、放電スイッチ22を操作することにより、放電電極16、17から放電を発生させることができ、相手を威嚇したり、放電電極16、17を相手の身体に押し当てて電撃を加えたりすることができる。
【0020】
警棒型電撃装置10に用いられる高電圧発生器は、先に説明したように、電源部と、電源部から電力の供給を受けて放電用電極16、17に高電圧を印加する高電圧発生回路が内蔵された構造となっている。この高電圧発生器の構造は、従来のスタンガンと同様の構造であり、電気接続線19、20の末端は、高電圧発生器の高電圧発生回路に接続されている。放電用電極16、17に印加する高電圧は、10万~150万V(好ましくは30万~150万V)の範囲で選択(設定)することができる。例えば、30万V以上では、やや厚手の服の上からでも電撃を加えることができ、直接、相手の皮膚に接触させる必要はなく、50万V以上では、皮製のジャンパーや毛皮のコートの上からでも電撃を加えることができる。なお、電源部には充電式バッテリー(リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の二次電池)を用いることが好ましいが、乾電池を用いてもよい。
【0021】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
上記実施の形態では、伸縮式の警棒本体を3段構造としたが、それぞれの管状部材の直径及び長さに応じて、連結する管状部材の数(警棒本体の段数)は、増減させてもよい。また、各管状部材の断面形状は円形に限らず、多角形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0022】
10:警棒型電撃装置、11~13:管状部材、14:警棒本体、16:放電電極、16a:+電極、16b:-電極、17:放電電極、17a:+電極、17b:-電極、19、20:電気接続線、21:グリップ部、22:放電スイッチ、24:落下防止用ストラップ
図1
図2
図3
図4