(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024653
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】テーブル機能を備えた鞄
(51)【国際特許分類】
A45C 7/00 20060101AFI20220202BHJP
A45F 3/02 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A45C7/00 N
A45F3/02 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127366
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】520281022
【氏名又は名称】外間 政隆
(74)【代理人】
【識別番号】100190160
【弁理士】
【氏名又は名称】隅田 俊隆
(72)【発明者】
【氏名】外間 政隆
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CB05
3B045CE07
3B045EA03
3B045EB10
3B045FA01
3B045GA03
3B045GB04
3B045GC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車内や屋外のベンチ等の机上スペースがない場所であっても作業を可能にするテーブルとして使用することができる鞄であって、広いスペースと安定した使用状態を得ることが可能なテーブル機能を備えた鞄を提供すること。
【解決手段】物品が収納される空間を備える第一収納部110と第二収納部120とを、連結部を介して回動自在に連結し、この連結部を軸にして扇状に開閉可能とする。そして、第一収納部110と第二収納部120とが180°の角度をなすときに、第一収納部110と第二収納部120とに設けられる天板112a、122a同士が面一になるようにし、この面一面を載置面とする。このとき、第一収納部110と第二収納部120とに設けた当接板113a、123a同士を当接させて、第一収納部110と第二収納部120とがそれ以上の角度に回動しないようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一収納部と、第二収納部と、該第一収納部と該第二収納部とを回動自在に連結させて開閉可能とする連結部とを有し、
前記第一収納部と前記第二収納部とは、閉状態のときに互いに対向する面側に設けられる天板と、開状態のときに互いに対向する面側に設けられる当接板とを備え、
前記第一収納部と前記第二収納部とに設けられる前記天板は、前記第一収納部と前記第二収納部とが開状態のときに面一となるように組み合わさって載置面を形成し、
前記当接板は、前記天板が前記載置面を形成するときに互いに当接して前記第一収納部と前記第二収納部の開動作を規制することを特徴とするテーブル機能を備えた鞄。
【請求項2】
前記第一収納部と前記第二収納部とは、互いを閉状態または開状態に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項1記載のテーブル機能を備えた鞄。
【請求項3】
前記第一収納部と前記第二収納部とは、前記天板の反対面側に角度調整部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のテーブル機能を備えた鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞄に関するものであり、特には、椅子に着座した状態でひざ上に置くことでテーブルとしても使用することが可能な鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
電車や飛行機の座席には、前方の座席の背もたれの背面に格納・展開式のテーブルが設けられていることがある。こうした格納・展開式のテーブルは、小さな手荷物を載置したり、食事のときに食品を載置したりして、便利に使用することができる。しかしながら、例えば、ノートパソコンを載置して操作をしたり、筆記作業をしたりするにはスペースが狭く、また、設置位置が座席から離れているために作業がしにくいといった問題があった。また、屋外に設置されたベンチ等のように、そもそもテーブルが設けられていない場所では作業をすることが難しかった。このため、出先で作業を行いやすくするためには、鞄等の荷物と一緒に携帯サイズのテーブルを持ち運ぶ等して対処する必要があった。
【0003】
そこで、出先での作業性の向上を図る手段として、テーブルの機能を付加した鞄が提案されている。例えば、胴部分が平面な鞄の両側面の上部と下部に、それぞれ首掛け用と腰固定用の伸縮型ベルトを設けて、胴部分の平面をテーブルとして使用できるようにしたテーブルの機能を持たせた鞄(例えば、特許文献1参照)や、鞄の胴部分に開閉式脇カバーを設け、その内部の脇収納スペースに筆記版を取付収納し、主収納スペースと脇収納スペースとの中仕切りの上辺と筆記版とに留め具を設け、筆記版を引き出して鞄の上面にセットするようにした筆記版付き肩掛け鞄(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。これらによれば、テーブルがない場所であっても、鞄をテーブルとして使用することができるので作業が行いやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3121776号公報
【特許文献2】特開平11-290112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載の鞄は、いずれもテーブルとして機能する面部分の面積が、鞄の胴部分とほぼ同じ面積に制限される。このため、余裕のあるスペースを確保するには鞄自体を大型化しなければならず、そうすると持ち運びに支障をきたすこととなる。さらに、特許文献1のテーブルの機能を持たせた鞄は、伸縮型ベルトを首と腰に掛けて固定されるので、テーブルとして使用する際には、身体に負担がかかってしまう。また、特許文献2の筆記版付き肩掛け鞄は、テーブルとして使用する際に鞄を固定する手段を備えないため、安定性に欠ける。
【0006】
そこで、本発明は、スペースの狭いテーブルしかない車内や、屋外のベンチ等のテーブルが設置されていない場所で着座して作業を行えるようにするテーブル機能を備えた鞄であって、広いスペースが得られるとともに、テーブルとしての使用する際に身体に負担をかけず、安定した状態で使用することができるテーブル機能を備えた鞄を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、第一収納部と、第二収納部と、該第一収納部と該第二収納部とを回動自在に連結させて開閉可能とする連結部とを有し、前記第一収納部と前記第二収納部とは、閉状態のときに互いに対向する面側に設けられる天板と、開状態のときに互いに対向する面側に設けられる当接板とを備え、前記第一収納部と前記第二収納部とに設けられる前記天板は、前記第一収納部と前記第二収納部とが開状態のときに面一となるように組み合わさって載置面を形成し、前記当接板は、前記天板が前記載置面を形成するときに互いに当接して前記第一収納部と前記第二収納部の開動作を規制することを特徴とするテーブル機能を備えた鞄、である。
【0008】
本発明に係るテーブル機能を備えた鞄は、物品が収納される空間を備える第一収納部と第二収納部とが、連結部を軸にして扇状に開閉するように形成される。そして、第一収納部と第二収納部とが開状態(第一収納部と第二収納部との間の角度が180°となる状態)のときに、第一収納部と第二収納部のそれぞれに設けられる天板同士が面一となるようにし、この面をテーブルとして使用可能な載置面としている。このとき、第一収納部と第二収納部とに設けられる当接板同士を当接させることによって、両者が180°以上の角度に開かないようにしている。このように、本発明に係るテーブル機能を備えた鞄は、第一収納部と第二収納部とを開状態にして着座姿勢にある使用者の膝上に乗せることで、テーブルとして使用できるようにしている。
【0009】
また、前記第一収納部と前記第二収納部とは、互いを閉状態または開状態に固定する固定部材を備えてもよい。
【0010】
こうすることで、第一収納部と第二収納部とを、鞄の形態あるいはテーブルの形態で固定できるようになる。
【0011】
また、前記第一収納部と前記第二収納部とは、前記天板の反対面側に角度調整部材を備えてもよい。
【0012】
テーブル機能を備えた鞄をテーブルとして使用するときには、載置面の反対面側が使用者の膝上と接することとなる。そこで、第一収納部と第二収納部の天板の反対面側に角度調整部材を設けて、載置面を作業しやすい角度に調整できるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るテーブル機能を備えた鞄によれば、物品が収納される空間を備える第一収納部と第二収納部とが連結部を介して回動自在に連結されるので、第一収納部と第二収納部とを回動させて開状態にしてテーブルとして機能する載置面を形成することができる。この載置面は、第一収納部と第二収納部とに設けた2つの天板同士が面一となるように組み合わさって形成されるので、鞄の形態のときの胴部分の略2倍の面積となって、広い作業スペースを確保することができる。また、テーブルとしての使用は、着座姿勢にある使用者の膝上に乗せて行うので、使用者の身体に負担がかかりにくくかつ安定した状態で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄の斜視図である。
【
図2】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄であって、第一収納部と第二収納部とが少し開いた状態での斜視図である。
【
図3】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄であって、第一収納部と第二収納部とが開状態(両者の間の角度が180°の状態)での平面図である。
【
図4】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄であって、第一収納部と第二収納部とが開状態(両者の間の角度が180°の状態)での側面図である。
【
図5】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄であって、第一収納部と第二収納部とが開状態(両者の間の角度が180°の状態)での底面図である。
【
図6】実施例に係るテーブル機能を備えた鞄の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、着座姿勢にある使用者の膝上に乗せてテーブルとして使用することが可能なテーブル機能を備えた鞄である。
【0016】
以下に、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0017】
図1および
図2には、実施例に係るテーブル機能を備えた鞄10が示されている。テーブル機能を備えた鞄10(以下、便宜上単に鞄10という)は、使用者が背負って持ち運びすることができるリュック型に形成されている。鞄10は、本体100と、背負ベルト200とを備える。
【0018】
本体100は、内部に物品が収納される第一収納部110と第二収納部120とから形成される。第一収納部110と第二収納部120とは互いに対称な形状に形成されており、表面部111、121と、裏面部112、122と、表面部111、121と裏面部112、122とを接続する接続面部113、123と、接続面部113、123以外の周囲部分を開閉自在に接続するファスナー114、124とを備え、略箱型に形成される。第一収納部110の裏面部112と第二収納部120の裏面部122とには、硬質軽量なプラスチック材からなって、表面にフェルト生地が貼設された天板112a、122aが設けられている。さらに、第一収納部110の接続面部113と第二収納部120の接続面部123とには、天板112a、122aと同じく、表面にフェルト生地が貼設されたプラスチック材からなる当接板113a、123aが設けられている。天板112a、122aと、当接板113a、123aとの間には、図示しない側面視L型の補強部材が内設されており、両者の間の角度が略直角に保持されるようになっている。
【0019】
第一収納部110と第二収納部120とは、連結部としての蝶番130によって連結される。蝶番130は、第一収納部110の接続面部113の一辺113bと、第二収納部120の接続面部123の一辺123bとの間の上下2カ所に取り付けられる。これにより、
図2に示すように、第一収納部110と第二収納部120とは、蝶番130を軸にして扇状に回動するようになっている。
【0020】
第一収納部110の表面部111と第二収納部120の表面部121とには、角度調整部材140が設けられている。角度調整部材140は、後述のようにしてテーブルの形態にした鞄10を使用者の膝上に乗せた際に、適切な角度となるように調整する部材である。角度調整部材140は、膝上との当たりが良くなるように、クッション性を備えるウレタン素材やエラストマ素材、ゲル素材等から形成することが好ましい。
【0021】
背負ベルト200は、鞄10を背負う際に両肩に掛けられて、長さ調整が可能な一対のベルト材200a、200bからなり、第一収納部110の上方部分と左右下方部分とを掛け渡すように取り付けられている。
【0022】
図3から
図5には、本体100をテーブルの形態にした鞄10が示されている。
図3および
図4に示すように、鞄10をテーブルとして使用するときには、第一収納部110と第二収納部120とが180°の角度をなすように回動させる。そうすると、第一収納部110の天板112aと第二収納部120の天板122aとが組み合わさって一つの面一な平面をなして、物品を載置可能な載置面150が形成される。同時に、
図4に示すように、第一収納部110の当接板113aと第二収納部120の当接板123aの面同士が互いに当接した状態となって、第一収納部110と第二収納部120とが、載置面150を形成する角度以上に回動しないように規制される。
【0023】
また、
図5に示すように、本体100をテーブルの形態にしたときには、第一収納部110の表面部111と第二収納部120の表面部121とにそれぞれ設けた角度調整部材140が、載置面150の背面側に配置されるようになる。
【0024】
さらに、本体100は、第一収納部110と第二収納部120とを、両者が閉じた鞄の形態または両者が開いたテーブルの形態で固定させる固定部材としてのクリップ160を備える。クリップ160は、本体部分が側面視凹型に形成されており、この凹型の対向する面部のそれぞれが、いずれかの形態にある第一収納部110と第二収納部120の図示しない差込口に差し込まれることよって、両者が固定される。また、クリップ160の凹型の底面部には、クリップ160の取り外しを行いやすくするためのストラップ161が設けられる。
【0025】
図6には、鞄10をテーブルの形態としたときの使用状態が示されている。
図6に示すように、鞄10をテーブルとして使用するときには、本体100を、第一収納部110と第二収納部120とが180°の角度をなす開状態にして、載置面150を形成させる。そして、載置面150を上に向けた状態の鞄10を、着座した使用者の膝上に乗せることにより、テーブルとして使用することができる。このとき、角度調整部材140が、本体100と使用者の膝上との間に介在されるので、載置面150が適切な角度に調整される。このようにして、使用者は鞄10をテーブルとして使用して、ノートパソコンPの操作等の作業を行うことができるようになる。
【0026】
実施例に係るテーブル機能を備えた鞄10によれば、本体100が、第一収納部110と第二収納部120とが蝶番130を軸にして開閉するように形成されるので、第一収納部110と第二収納部120とを開状態にしたときに、第一収納部110の天板112aと第二収納部120の天板123aとが面一となるように組み合わさって載置面150を形成することができる。これを着座姿勢にある使用者の膝上に乗せれば、載置面150に物品を載置してテーブルとして使用できるようになるので、車内や屋外のベンチ等のテーブルがない場所であっても作業が行いやすくなる。また、載置面150が、鞄の形態のときの胴部分の略2倍の面積に形成されるので、鞄10を小型に保ちつつも広いテーブルのスペースを確保することができる。
【0027】
また、クリップ160を備えるので、本体100を鞄の形態あるいはテーブルの形態で固定することができる。さらに、テーブルの形態にして使用するときに、使用者の膝上と当接する角度調整部材140を備えるので、載置面150を適切な角度にして作業を行うことができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
【0029】
例えば、上記実施例では、鞄10をリュック型に形成しているが、手提げ型、ショルダー型等の他の形態に形成してもよい。また、第一収納部110と第二収納部120とは、布、天然皮革、合成皮革等の鞄に用いられている既知の素材から作製することができる。
【0030】
また、天板112a、122aと、当接板113a、123aとは、プラスチック材からなるものに限られず、例えば、木材、金属、皮革等の撓みにくい素材から作製することができる。
【0031】
また、固定部材として、クリップ160に替えて、線ファスナーや面ファスナー、ボタン、紐、マグネット等を用いることができる。
【0032】
また、連結部としての蝶番130に替えて、布や皮革等からなる屈曲可能なシート材を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るテーブル機能を備えた鞄は、物品を収納して持ち運びする鞄としてはもちろん、これを変形させることにより膝上に乗せて使用するテーブルとしても機能するので、この鞄を持ち運びすることで、出先での作業の効率化が図れるため、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0034】
10 テーブル機能を備えた鞄
100 本体
110 第一収納部
112a 天板
113a 当接板
120 第二収納部
122a 天板
123a 当接板
130 蝶番(連結部)
140 角度調整部材
150 載置面
160 クリップ(固定部材)