(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024658
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】荷電粒子線装置および試料ステージの制御方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20220202BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20220202BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20220202BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20220202BHJP
H01J 37/24 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/28 B
H01J37/20 A
H01J37/22 502H
H01J37/22 502B
H01J37/24
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127374
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】前川 大智
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 仁嗣
【テーマコード(参考)】
5C001
5C033
【Fターム(参考)】
5C001AA01
5C001AA03
5C001CC04
5C033FF06
5C033UU01
5C033UU03
5C033UU04
5C033UU05
(57)【要約】
【課題】精度よく目的の視野に移動できる荷電粒子線装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る荷電粒子線装置では、制御部は、移動情報に基づいて偏向器を動作させて第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、第2視野で試料像を撮影して基準画像を取得する処理と、偏向器を動作させて第2視野から第1視野に視野を移動させる処理と、移動情報に基づいて試料ステージを動作させて第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、第3視野で試料像を撮影して比較画像を取得する処理と、基準画像と比較画像の位置ずれ量を計算する処理と、基準画像と比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する処理と、基準画像と比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に基準画像と比較画像の位置ずれ量に基づいて試料ステージを動作させて第1視野から第4視野に視野を移動させる処理と、を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線を試料に照射して、試料像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
前記試料を移動させる試料ステージと、
前記試料像を撮影するための検出器と、
前記偏向器および前記試料ステージを制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する処理と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる処理と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第3視野から第4視野に視野を移動させる処理と、
を行う、荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動情報を入力するための操作部を含む、荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記移動情報を取得する処理は、
前記試料像を取得する処理と、
テンプレート画像を取得する処理と、
前記試料像と前記テンプレート画像を比較して、前記試料像から前記テンプレート画像との類似度の高い箇所を抽出する処理と、
抽出された前記箇所の位置情報を取得し、前記箇所の位置情報に基づいて前記移動情報を生成する処理と、
を含む、荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記試料像を拡大するための光学系を含み、
前記移動情報を取得する処理は、
前記試料像を拡大する指示が入力された場合に、前記試料像の中心の画像を取得する処理と、
前記光学系を用いて前記試料像を拡大する処理と、
前記中心の画像と拡大された前記試料像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記中心の画像と拡大された前記試料像の位置ずれ量に基づいて、前記移動情報を生成する処理と、
を含む、荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記制御部は、前記第4視野に視野を移動させる処理の後に、前記第4視野で前記試料像を撮影して、前記比較画像を取得する処理を行う、荷電粒子線装置。
【請求項6】
荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
試料を移動させる試料ステージと、
試料像を撮影するための検出器と、
を含む荷電粒子線装置における試料ステージの制御方法であって、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する工程と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる工程と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第4視野に視野を移動させる工程と、
を含む、試料ステージの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線装置および試料ステージの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡などの電子顕微鏡や、集束イオンビーム装置などの荷電粒子線装置では、目的の視野への移動精度が求められる。荷電粒子線装置では、視野の移動は、試料ステージを用いて機械的に試料を移動させることで行われる。また、例えば、特許文献1に開示されているように、視野の移動は、偏向器を用いて試料に照射させる電子線を電磁的に偏向させることで行うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料ステージを用いた視野の移動では、機械的に視野を移動させるため、精度よく目的の視野に移動させることは難しい。
【0005】
これに対して、偏向器を用いた視野の移動では、電磁的に視野を移動させるため、精度よく目的の視野に移動させることができる。しかしながら、偏向器を用いた視野の移動では、電子線の軌道が光軸からずれてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子線を試料に照射して、試料像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
前記試料を移動させる試料ステージと、
前記試料像を撮影するための検出器と、
前記偏向器および前記試料ステージを制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する処理と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる処理と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではない判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第4視野に視野を移動させる処理と、
を行う。
【0007】
このような荷電粒子線装置では、試料ステージを用いて、精度よく目的の視野に移動できる。
【0008】
本発明に係る試料ステージの制御方法の一態様は、
荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
試料を移動させる試料ステージと、
試料像を撮影するための検出器と、
を含む荷電粒子線装置における試料ステージの制御方法であって、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する工程と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる工程と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第4視野に視野を移動させる工程と、
を含む。
【0009】
このような試料ステージの制御方法では、試料ステージを用いて、精度よく目的の視野に移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を示す図。
【
図2】処理部の試料ステージを制御する処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】第2視野で撮影された試料像を模式的に示す図。
【
図5】第3視野で撮影された試料像を模式的に示す図。
【
図6】基準画像と比較画像の位置ずれ量を算出する処理を説明するための図。
【
図7】第4視野で撮影された試料像を模式的に示す図。
【
図8】移動情報を取得する処理の変形例を説明するための図。
【
図9】処理部の試料ステージを制御する処理の変形例を示すフローチャート。
【
図10】移動情報を取得する処理の変形例を示すフローチャート。
【
図11】移動情報を取得する処理の変形例を説明するための図。
【
図12】移動情報を取得する処理の変形例を説明するための図。
【
図13】試料像の倍率を変更している様子を示す図。
【
図14】移動情報を取得する処理の変形例を示すフローチャート。
【
図15】試料像の中心の画像を取得する処理を説明するための図。
【
図16】光学系を用いて拡大された画像を模式的に示す図。
【
図17】拡大前の画像と拡大後の画像の位置ずれ量を算出する処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説
明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
以下では、本発明に係る荷電粒子線装置として、試料に電子線を照射して試料の観察を行う透過電子顕微鏡を例に挙げて説明するが、本発明に係る荷電粒子線装置は、電子線以外の荷電粒子線(イオンビーム等)を照射して試料の観察を行う装置であってもよい。
【0013】
1. 透過電子顕微鏡
まず、本発明の一実施形態に係る透過電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成を示す図である。
【0014】
透過電子顕微鏡100では、試料Sに電子線を照射し、試料Sを透過した電子を結像することによって、試料Sの透過電子顕微鏡像(試料像)を取得することができる。
【0015】
透過電子顕微鏡100は、
図1に示すように、電子銃10と、照射レンズ11と、偏向器12と、試料ステージ14と、試料ホルダー15と、対物レンズ16と、中間レンズ17と、投影レンズ18と、検出器20と、偏向器制御装置30と、試料ステージ制御装置32と、制御装置40(制御部の一例)と、を含む。
【0016】
電子銃10は、電子線(荷電粒子線の一例)を放出する。電子銃10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する。
【0017】
照射レンズ11は、電子銃10から放出された電子線を集束して試料Sに照射する。
【0018】
偏向器12は、試料Sに照射される電子線を偏向する。偏向器12は、電子線を磁界で偏向させてもよいし、電子線を電界で偏向させてもよい。偏向器12で試料Sに照射される電子線を偏向することによって、試料像の視野を移動させることができる。このように、透過電子顕微鏡100では、試料Sに照射される電子線を電磁的に偏向させることで、視野を移動させるイメージシフトの機能を有する。
【0019】
試料ステージ14は、試料ホルダー15を介して、試料Sを保持している。試料ステージ14は、試料Sを水平方向に移動させる移動機構を有している。試料ステージ14を用いて試料Sを水平方向に移動させることによって、視野を移動させることができる。試料ステージ14では、例えば、モーターによる駆動、ピエゾ素子による駆動、またはこれらの組み合わせによって、試料Sを移動させる。
【0020】
対物レンズ16は、試料Sを透過した電子線で試料像を結像する初段のレンズである。対物レンズ16、中間レンズ17、および投影レンズ18は、結像レンズ系を構成し、結像レンズ系は、試料Sを透過した電子線で検出器20上に試料像を結像する。
【0021】
検出器20は、結像レンズ系によって結像された試料像を撮影する。検出器20は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等のデジタルカメラである。検出器20で撮影された試料像の画像データは、制御装置40に出力される。
【0022】
偏向器制御装置30は、偏向器12を制御する。偏向器制御装置30は、例えば、制御装置40から出力された制御信号に基づいて偏向器12を動作させる。
【0023】
試料ステージ制御装置32は、試料ステージ14を制御する。試料ステージ制御装置32は、例えば、制御装置40から出力された制御信号に基づいて試料ステージ14を動作させる。
【0024】
制御装置40は、透過電子顕微鏡100の各部を制御する。制御装置40は、後述する「2. 処理」で説明する試料ステージ14を制御して視野を移動させる処理を行う。制御装置40は、処理部42と、操作部44と、表示部46と、記憶部48と、を含む。
【0025】
操作部44は、ユーザーからの指示を信号に変換して処理部42に送る処理を行う。操作部44は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどの入力機器により実現できる。ユーザーは、操作部44を介して、視野の移動情報や倍率を変更する指示などを入力することができる。
【0026】
表示部46は、処理部42で生成された画像を表示する。表示部46の機能は、例えば、LCD(liquid crystal display)、CRT(cathode ray tube)、操作部44としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
【0027】
記憶部48は、処理部42が各種計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータを記憶している。また、記憶部48は、処理部42のワーク領域としても用いられる。記憶部48は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。
【0028】
処理部42の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部42は、移動情報取得部420と、画像取得部422と、偏向器制御部424と、試料ステージ制御部426と、位置ずれ量算出部428と、を含む。
【0029】
移動情報取得部420は、試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する。
【0030】
画像取得部422は、試料像を取得する。画像取得部422は、検出器20に試料像を撮影させる。検出器20で試料像が撮影されると、試料像(画像データ)が制御装置40に送られる。画像取得部422は、検出器20から出力された試料像(画像データ)を取得する。
【0031】
偏向器制御部424は、偏向器12を制御する。例えば、偏向器制御部424は、偏向器12を動作させるための制御信号を生成し、偏向器制御装置30に送る。これにより、偏向器12を制御できる。
【0032】
試料ステージ制御部426は、試料ステージ14を制御する。例えば、試料ステージ制御部426は、試料ステージ14を動作させるための制御信号を生成し、試料ステージ制御装置32に送る。これにより、試料ステージ14を制御できる。
【0033】
位置ずれ量算出部428は、2つの画像間の位置ずれ量を計算する。2つの画像間の位置ずれ量は、例えば、パターンマッチングなどの公知の手法を用いて計算できる。
【0034】
処理部42の処理の詳細については、以下の「2. 処理」で説明する。
【0035】
2. 処理
透過電子顕微鏡100では、試料ステージ14を用いて、試料像の視野を正確に移動させることができる。
図2は、処理部42の試料ステージ14を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
ユーザーが操作部44を介して試料像の視野を移動させるための移動情報を入力すると
、移動情報取得部420は、入力された移動情報を受け付けて、移動情報を取得する(S100)。
【0037】
図3は、移動情報を説明するための図である。
図3には、試料像の第1視野を図示している。第1視野は、視野を移動させる処理を開始したときの視野である。
【0038】
視野の移動量Dは、例えば、
図3に示すX方向を試料ホルダー15の挿入方向とし、X方向に直交する方向をY方向として、X方向の移動量DxおよびY方向の移動量Dyとして表される。
【0039】
ここでは、観察対象Aを視野の中心に移動させる場合について説明する。ユーザーが、操作部44を介して、X方向の移動量DxおよびY方向の移動量Dyを入力すると、移動情報取得部420は、観察対象Aを視野の中心に移動させるための移動情報として、移動量Dxおよび移動量Dyを取得する。
【0040】
偏向器制御部424は、移動量Dxおよび移動量Dyに基づいて偏向器12を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる(S102)。
【0041】
図4は、第2視野で撮影された試料像を模式的に示す図である。
【0042】
偏向器制御部424は、移動量Dxおよび移動量Dyに基づいて偏向器12を動作させる。これにより、電子線が偏向され、視野がX方向に移動量Dx移動し、Y方向に移動量Dy移動する。この結果、視野が第1視野から第2視野に変更される。
【0043】
偏向器12を用いた視野の移動では、電磁的に視野を移動させるため、精度よく目的の視野に移動させることができる。なお、電子線は偏向器12で偏向されるため、電子線の軌道は、光軸からずれる。
【0044】
画像取得部422は、
図4に示す第2視野で試料像を撮影して、基準画像I2を取得する(S104)。画像取得部422は、検出器20に試料像を撮影させて、第2視野の試料像、すなわち、基準画像I2を取得する。基準画像I2では、観察対象Aが画像の中心に位置している。
【0045】
偏向器制御部424は、偏向器12を動作させて、
図4に示す第2視野から
図3に示す第1視野に視野を戻す(S106)。これにより、偏向器12の動作は、リセットされる。この結果、電子線の軌道は、光軸に合った状態となる。
【0046】
試料ステージ制御部426は、移動量Dxおよび移動量Dyに基づいて試料ステージ14を動作させて、第1視野から第3視野に視野を移動させる(S108)。
【0047】
図5は、第3視野で撮影された試料像を模式的に示す図である。
【0048】
試料ステージ制御部426は、移動量Dxおよび移動量Dyに基づいて試料ステージ14を動作させる。これにより、試料Sが移動し、理想的には、視野がX方向に移動量Dx移動し、Y方向に移動量Dy移動する。
【0049】
ここで、試料ステージ14を用いた視野の移動では、機械的に視野を移動させるため、精度よく目的の視野に移動させることができない。したがって、第3視野では、観察対象Aが画像の中心からずれる。
【0050】
画像取得部422は、
図5に示す第3視野で試料像を撮影して、比較画像I4を取得する(S110)。比較画像I4では、観察対象Aが画像の中心からずれている。
【0051】
位置ずれ量算出部428は、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量を算出する(S112)。
【0052】
図6は、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δを算出する処理を説明するための図である。位置ずれ量Δは、例えば、基準画像I2と比較画像I4のパターンマッチングにより算出できる。
【0053】
位置ずれ量算出部428は、位置ずれ量Δが、あらかじめ指定された位置ずれ量(指定量)以下か否かを判定する(S114)。
【0054】
位置ずれ量Δが指定量以下ではない、すなわち、指定量よりも大きいと判定された場合(S114のNo)、試料ステージ制御部426は、処理S112で算出された位置ずれ量Δに基づいて、試料ステージ14を動作させて、第3視野から第4視野に視野を移動させる(S116)。すなわち、試料ステージ制御部426は、位置ずれ量Δがゼロとなるように、試料ステージ14を動作させて、視野を移動させる。
【0055】
ここで、位置ずれ量Δは、例えば、X方向のずれ量ΔX、Y方向のずれ量ΔYで表すことができる。したがって、X方向のずれ量ΔXおよびY方向のずれ量ΔYがゼロとなるように試料ステージ14を動作させることで、位置ずれ量Δをゼロに近づけることができる。
【0056】
なお、位置ずれ量Δは、例えば、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれを示すベクトルの大きさであってもよい。すなわち、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれを、位置ずれ量Δと、位置ずれの方向で表して、位置ずれ量Δがゼロとなるように試料ステージ14を動作させてもよい。
【0057】
図7は、第4視野で撮影された試料像を模式的に示す図である。
【0058】
試料ステージ制御部426は、位置ずれ量Δに基づいて試料ステージ14を動作させる。これにより、試料Sが移動し、視野が第4視野に変更される。そして、処理S110に戻って、画像取得部422は、
図7に示す第4視野で試料像を撮影して、比較画像I6を取得する(S110)。位置ずれ量算出部428は、基準画像I2と比較画像I6の位置ずれ量Δを算出し(S112)、位置ずれ量Δが指定量以下であるか否かを判定する(S114)。
【0059】
このように、処理S110、処理S112、処理S114、および処理S116を、位置ずれ量Δが指定量以下となるまで繰り返す。
【0060】
位置ずれ量が指定量以下と判定された場合(S114のYes)、処理部42は、処理を終了する。以上の処理により、試料ステージ14を用いて、精度よく視野を移動させることができ、観察対象Aを画像の中心に配置することができる。
【0061】
3. 作用効果
透過電子顕微鏡100では、処理部42は、試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、移動情報に基づいて偏向器を動作させて第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、第2視野で試料像を撮影して基準画像I2を取得する処理と、偏向器12を動作させて第2視野から第1視野に視野を移動させる処理と、移動情報に基づい
て試料ステージ14を動作させて第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、第3視野で試料像を撮影して、比較画像I4を取得する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δを計算する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δが指定量以下か否かを判定する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量が指定量以下ではないと判定した場合に、基準画像と比較画像の位置ずれ量に基づいて試料ステージ14を動作させて、第1視野から第4視野に視野を移動させる処理と、を行う。
【0062】
そのため、透過電子顕微鏡100では、試料ステージ14を用いて、精度よく目的の視野に移動できる。
【0063】
透過電子顕微鏡100では、処理部42は、第4視野に視野を移動させる処理の後に、第4視野で試料像を撮影して、比較画像I6を取得する処理を行う。そのため、透過電子顕微鏡100では、試料ステージ14を用いて視野の位置ずれ量を、指定量以下にできる。
【0064】
透過電子顕微鏡100における試料ステージ14の制御方法は、試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、移動情報に基づいて偏向器12を動作させて第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、第2視野で試料像を撮影して、基準画像I2を取得する工程と、偏向器12を動作させて第2視野から第1視野に視野を移動させる工程と、移動情報に基づいて試料ステージ14を動作させて第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、第3視野で試料像を撮影して、比較画像I4を取得する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量を計算する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δが指定量以下か否かを判定する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量が指定量以下ではないと判定した場合に、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量に基づいて試料ステージ14を動作させて第1視野から第4視野に視野を移動させる工程と、を含む。
【0065】
そのため、透過電子顕微鏡100における試料ステージ14の制御方法では、試料ステージ14を用いて、精度よく目的の視野に移動できる。
【0066】
4. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0067】
4.1. 第1変形例
上述した実施形態では、
図2に示す移動情報を取得する処理S100において、移動情報取得部420は、ユーザーが操作部44を介して入力した移動情報を取得したが、移動情報を取得する処理S100は、これに限定されない。
【0068】
図8は、移動情報を取得する処理の変形例を説明するための図である。
【0069】
図8に示すように、表示部46に表示された試料像において、ユーザーがマウスやタッチパネルなどのポインティング手段(操作部44の一例)を用いて、観察対象Aを指定する操作を行うと、移動情報取得部420は、指定された観察対象Aの位置情報を取得する。
【0070】
観察対象Aを指定する操作は、例えば、
図8に示すように、ユーザーがタッチパネルに表示された試料像上の観察対象Aの位置に、指先FGを接触させること(接触操作)により行われる。なお、観察対象Aを指定する操作は、これに限定されず、タッチペンによる接触操作であってもよいし、観察対象A上にマウスポインタを移動させた状態でマウスを
クリックする操作などであってもよい。
【0071】
移動情報取得部420は、指定された観察対象Aの位置と画像の中心の位置を比較して、位置ずれ量を計算し、移動情報を生成する。
【0072】
このようにして取得した移動情報を用いて、
図2に示す試料ステージ14を制御する処理を行うことによって、ユーザーが指定した観察対象Aを画像の中心に精度よく移動させることができる。
【0073】
4.2. 第2変形例
上述した実施形態では、
図2に示す移動情報を取得する処理S100において、移動情報取得部420は、ユーザーが操作部44を介して入力した移動情報を取得したが、移動情報を取得する処理S100は、これに限定されない。
【0074】
第2変形例では、制御装置40は、試料像からテンプレート画像と類似度の高い箇所を抽出し、抽出された箇所が画像の中心となるように視野を移動させる。
【0075】
図9は、処理部42の試料ステージ14を制御する処理の変形例を示すフローチャートである。
図10は、移動情報を取得する処理の変形例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、処理部42は、視野の移動情報を取得する(S200)。
【0077】
具体的には、
図10に示すように、まず、画像取得部422は、ユーザーが指定した視野で、試料像を取得する(S20)。
【0078】
図11は、ユーザーが指定した視野で取得された試料像I10を示している。
図11に示すように、試料像I10には、パターンA1、パターンA2、パターンA3、パターンA4、パターンA5、パターンA6が含まれている。
【0079】
次に、画像取得部422は、テンプレート画像を取得する(S21)。
【0080】
図12は、テンプレート画像ITを示している。テンプレート画像ITは、例えば、観察対象となるパターンの画像である。テンプレート画像ITは、例えば、あらかじめ記憶部48に記憶されている。
【0081】
次に、移動情報取得部420は、試料像I10とテンプレート画像ITを比較して、試料像I10からテンプレート画像ITとの類似度の高い箇所を抽出する(S22)。類似度の高い箇所の抽出は、例えば、テンプレートマッチングにより行われる。類似度は、適宜変更可能である。
【0082】
図11に示す試料像I10では、パターンA1、パターンA2、パターンA4、およびパターンA5が、テンプレート画像ITとの類似度が高い箇所として抽出される。
【0083】
次に、移動情報取得部420は、抽出された類似度が高い箇所の位置情報を取得し、当該類似度が高い箇所の位置情報に基づいて、移動情報を生成する(S24)。ここでは、移動情報は、類似度が高い箇所を、画像の中心に移動させるための情報である。
【0084】
本処理において、パターンA1を画像の中心に移動させるための移動情報、パターンA2を画像の中心に移動させるための移動情報、パターンA4を画像の中心に移動させるための移動情報、パターンA5を画像の中心に移動させるための移動情報が生成される。
【0085】
次に、処理部42は、パターンA1を画像の中心に移動させるための試料ステージ14の制御処理を行う。具体的には、パターンA1の移動情報を用いて、処理S202、処理S204、処理S206、処理S208、処理S210、処理S212、処理S214、処理S216を行う。処理S202、処理S204、処理S206、処理S208、処理S210、処理S212、処理S214、および処理S216は、それぞれ
図2に示す処理S102、処理S104、処理S106、処理S108、処理S110、処理S112、処理S114、処理S116と同様であり、その説明を省略する。
【0086】
パターンA1を画像の中心に移動させるための試料ステージ14の制御処理において、位置ずれ量が指定量以下と判定された場合(S214のYes)、移動情報取得部420は、抽出された全ての箇所で処理が終了したか否かを判定する(S218)。
【0087】
移動情報取得部420は、抽出された全ての箇所で処理が終了していないと判定した場合(S218のNo)、パターンA2の移動情報を用いた視野の移動処理を行う。具体的には、パターンA2の移動情報を用いて、処理S202、処理S204、処理S206、処理S208、処理S210、処理S212、処理S214、処理S216を行う。
【0088】
このようにして、抽出された全ての箇所、すなわち、パターンA1、パターンA2、パターンA4、およびパターンA5について、試料ステージ14の制御処理が行われるまで、処理S202、処理S204、処理S206、処理S208、処理S210、処理S212、処理S214、処理S216、および処理S218を繰り返す。
【0089】
抽出された全ての箇所で処理が終了したと判定された場合(S218のYes)、処理部42は処理を終了する。
【0090】
第2変形例によれば、自動で、試料像からテンプレート画像と類似度の高い箇所を抽出し、抽出された箇所が画像の中心となるように視野を移動させることができる。
【0091】
4.3. 第3変形例
上述した実施形態では、
図2に示す移動情報を取得する処理S100において、移動情報取得部420は、ユーザーが操作部44を介して入力した移動情報を取得したが、移動情報を取得する処理S100は、これに限定されない。
【0092】
透過電子顕微鏡100では、光学系(対物レンズ16等)を用いて、試料像の倍率を変更することができる。
【0093】
図13は、試料像の倍率を変更している様子を示す図である。
図13の画像I12は、拡大する前の試料像であり、画像I14は、拡大した後の試料像である。
【0094】
光学系を用いて試料像を拡大すると、画像の中心を拡大中心として、像が拡大される。しかしながら、光学系を用いて試料像を拡大した場合に、画像の中心が拡大中心とならずに、拡大する前の画像I12と拡大した後の画像I14では、視野がずれる場合がある。
図13に示す例では、画像I12の中心に観察対象Aを配置して、像を拡大したにも関わらず、拡大した後の画像I14では、観察対象Aが画像の中心に位置していない。
【0095】
第3変形例では、拡大した後の画像において、観察対象Aが画像の中心に位置するように、試料ステージ14を用いて視野を移動させる。第3変形例では、
図2に示す移動情報を取得する処理S100が異なる。
【0096】
図14は、移動情報を取得する処理の変形例を示すフローチャートである。
【0097】
まず、処理部42は、試料像の倍率を変更する指示(倍率変更指示)があったか否かを判定する(S10)。例えば、ユーザーが操作部44で倍率を入力する操作を行った場合に、倍率変更指示があったと判定される。処理部42は、倍率変更指示があるまで待機する(S10のNo)。
【0098】
倍率変更指示があったと判定された場合(S10のYes)、画像取得部422は、試料像の中心の画像I20(
図15参照)を取得する(S11)。以下、倍率変更指示として、TEM像を4倍に拡大する指示があったものとして説明する。
【0099】
図15は、試料像の中心の画像I20を取得する処理を説明するための図である。
【0100】
倍率変更指示が入力された場合、画像取得部422は、倍率を変更する視野で試料像を撮影し、画像I12を取得する。そして、画像取得部422は、画像処理により、画像I12から画像I12の中心部分を切り出して試料像を4倍に拡大した画像I20を生成する。
図15に示すように、画像I20は、画像処理によって、画像I12の視野の中心を拡大中心として4倍に拡大した像である。
【0101】
次に、画像取得部422は、光学系(対物レンズ16等)を用いて、試料像を拡大する(S12)。画像取得部422は、拡大された試料像を撮影して、画像I22(
図16参照)を取得する(S13)。
【0102】
図16は、光学系を用いて試料像を拡大して得られた画像I22を模式的に示す図である。
図16に示すように、画像I22は、光学系を用いて拡大された像であるため、画像I22の視野の中心の位置と、画像I12の視野の中心の位置は、ずれている。
【0103】
次に、移動情報取得部420は、
図17に示すように、
図15に示す画像I20と
図16に示す画像I22の位置ずれ量dを計算し(S14)、位置ずれ量dに基づいて移動情報を生成する(S15)。移動情報は、観察対象Aを画像の中心に位置させるための情報である。
【0104】
このようにして、移動情報を取得できる。この移動情報を用いて、
図2に示す試料ステージ14を制御する処理(処理S100~処理S114)を行う。この結果、光学系を用いて拡大する前の画像と拡大した後の画像の位置ずれを補正できる。
【0105】
4.4. 第4変形例
上述した実施形態では、本発明に係る荷電粒子線装置が透過電子顕微鏡である場合について説明したが、本発明に係る荷電粒子線装置は、透過電子顕微鏡に限定されない。例えば、本発明に係る荷電粒子線装置は、走査透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、オージェ電子分光装置、集束イオンビーム装置などであってもよい。
【0106】
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0107】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する
構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0108】
10…電子銃、11…照射レンズ、12…偏向器、14…試料ステージ、15…試料ホルダー、16…対物レンズ、17…中間レンズ、18…投影レンズ、20…検出器、30…偏向器制御装置、32…試料ステージ制御装置、40…制御装置、42…処理部、44…操作部、46…表示部、48…記憶部、100…透過電子顕微鏡、420…移動情報取得部、422…画像取得部、424…偏向器制御部、426…試料ステージ制御部、428…位置ずれ量算出部
【手続補正書】
【提出日】2021-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線を試料に照射して、試料像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
前記試料を移動させる試料ステージと、
前記試料像を撮影するための検出器と、
前記偏向器および前記試料ステージを制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する処理と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる処理と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第3視野から第4視野に視野を移動させる処理と、
を行う、荷電粒子線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動情報を入力するための操作部を含む、荷電粒子線装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記移動情報を取得する処理は、
前記試料像を取得する処理と、
テンプレート画像を取得する処理と、
前記試料像と前記テンプレート画像を比較して、前記試料像から前記テンプレート画像との類似度の高い箇所を抽出する処理と、
抽出された前記箇所の位置情報を取得し、前記箇所の位置情報に基づいて前記移動情報を生成する処理と、
を含む、荷電粒子線装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記試料像を拡大するための光学系を含み、
前記移動情報を取得する処理は、
前記試料像を拡大する指示が入力された場合に、前記試料像の中心の画像を取得する処理と、
前記光学系を用いて前記試料像を拡大する処理と、
前記中心の画像と拡大された前記試料像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記中心の画像と拡大された前記試料像の位置ずれ量に基づいて、前記移動情報を生成する処理と、
を含む、荷電粒子線装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記制御部は、前記第4視野に視野を移動させる処理の後に、前記第4視野で前記試料像を撮影して、前記比較画像を取得する処理を行う、荷電粒子線装置。
【請求項6】
荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
試料を移動させる試料ステージと、
試料像を撮影するための検出器と、
を含む荷電粒子線装置における試料ステージの制御方法であって、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する工程と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる工程と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第3視野から第4視野に視野を移動させる工程と、
を含む、試料ステージの制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子線を試料に照射して、試料像を取得する荷電粒子線装置であって、
前記荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
前記試料を移動させる試料ステージと、
前記試料像を撮影するための検出器と、
前記偏向器および前記試料ステージを制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する処理と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる処理と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する処理と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではない判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第3視野から第4視野に視野を移動させる処理と、
を行う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係る試料ステージの制御方法の一態様は、
荷電粒子線を偏向させる偏向器と、
試料を移動させる試料ステージと、
試料像を撮影するための検出器と、
を含む荷電粒子線装置における試料ステージの制御方法であって、
前記試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、
前記移動情報に基づいて前記偏向器を動作させて、第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、
前記第2視野で前記試料像を撮影して、基準画像を取得する工程と、
前記偏向器を動作させて、前記第2視野から前記第1視野に視野を移動させる工程と、
前記移動情報に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、
前記第3視野で前記試料像を撮影して、比較画像を取得する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量を計算する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下か否かを判定する工程と、
前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量が指定された位置ずれ量以下ではないと判定した場合に、前記基準画像と前記比較画像の位置ずれ量に基づいて前記試料ステージを動作させて、前記第3視野から第4視野に視野を移動させる工程と、
を含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
3. 作用効果
透過電子顕微鏡100では、処理部42は、試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する処理と、移動情報に基づいて偏向器を動作させて第1視野から第2視野に視野を移動させる処理と、第2視野で試料像を撮影して基準画像I2を取得する処理と、偏向器12を動作させて第2視野から第1視野に視野を移動させる処理と、移動情報に基づいて試料ステージ14を動作させて第1視野から第3視野に視野を移動させる処理と、第3視野で試料像を撮影して、比較画像I4を取得する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δを計算する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δが指定量以下か否かを判定する処理と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量が指定量以下ではないと判定した場合に、基準画像と比較画像の位置ずれ量に基づいて試料ステージ14を動作させて、第3視野から第4視野に視野を移動させる処理と、を行う。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
透過電子顕微鏡100における試料ステージ14の制御方法は、試料像の視野を移動させるための移動情報を取得する工程と、移動情報に基づいて偏向器12を動作させて第1視野から第2視野に視野を移動させる工程と、第2視野で試料像を撮影して、基準画像I2を取得する工程と、偏向器12を動作させて第2視野から第1視野に視野を移動させる工程と、移動情報に基づいて試料ステージ14を動作させて第1視野から第3視野に視野を移動させる工程と、第3視野で試料像を撮影して、比較画像I4を取得する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量を計算する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量Δが指定量以下か否かを判定する工程と、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量が指定量以下ではないと判定した場合に、基準画像I2と比較画像I4の位置ずれ量に基づいて試料ステージ14を動作させて第3視野から第4視野に視野を移動させる工程と、を含む。