(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024663
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ルアー及びルアーの製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 85/00 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
A01K85/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127381
(22)【出願日】2020-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトへの掲載 令和2年4月8日 https://www.lurenewsr.com/97007/ 令和2年2月18日、2月25日、2月29日、3月17日、6月17日、7月4日、7月9日 https://twitter.com/_DRANCKRAZY 令和2年2月19日、2月29日 https://twitter.com/Takeyoidore 令和2年2月18日、2月19日、2月25日、2月29日、3月17日、6月17日、7月4日 https://twitter.com/dranckrazy_dk 令和2年7月4日、 https://ameblo.jp/riakure/entry-12608867956.html 令和2年7月8日 https://ameblo.jp/riakure/entry-12609704548.html?frm=theme 令和2年2月18日、2月19日、2月25日、2月29日、3月17日、6月17日、6月26日、6月30日、7月4日、7月8日、7月10日 https://www.facebook.com/jyunya.riakure 令和2年2月25日、2月29日、6月30日、7月9日 https://www.facebook.com/Dranckrazy-401399246553784/販売 令和2年6月3日~7月28日 インターネットでの販売 https://dranckrazy.com/product/deros/ https://store.shopping.yahoo.co.jp/shop-dranckrazy/deroos.html?fbclid=IwAR0LgKssp7qF93zQVOFg2qD6ytgJTe_LcpzkgPDuUfuo9JSvu2egWXHTRrA 令和2年6月16日~7月22日 取引先への販売 令和2年6月10日~7月27日 取引先への販売 配布物 令和2年4月1日 取引先へのパンフレット配布 令和2年7月8日 取引先へのパンフレット配布
(71)【出願人】
【識別番号】520281044
【氏名又は名称】DRANCKRAZY株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177921
【弁理士】
【氏名又は名称】坂岡 範穗
(72)【発明者】
【氏名】谷田 宣征
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA45
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】ボディに亀裂が入っても、内部に水が染み込まず、長期にわたって設計当初の浮力を維持することができる。
【解決手段】中空状のボディ10a,10bと、前記ボディの中に充填される、中空ビーズと合成樹脂とが混合された充填剤20と、釣糸又は釣針をつなぐ1以上の金具41,42,43と、を備える。これにより、ボディに亀裂が入ったり破損したりしてボディの内側が浸水しても、充填剤に水が染み込むことがない。また、中空ビーズの含有率によって充填剤の比重を変えることができ、様々な仕様のルアーに対応させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状のボディと、
前記ボディの中に充填される、中空ビーズと合成樹脂とが混合された充填剤と、
釣糸又は釣針をつなぐ1以上の金具と、
を備えることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記ボディが半割体であり、前記半割体同士が前記充填剤が接合されることで重ね合わされている請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記ボディの前部に設けられた係止部と、
前記ボディとは別体に構成されるとともに前記金具の少なくとも一部が設けられ、前記係止部にその基部が係止されるリップと、
をさらに備える請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項4】
前記金具が貫通ワイヤーで構成され、前記貫通ワイヤーの一部に錘が設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項5】
前記ボディの中に空気室を設けるための中空状の空気室容器が備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記ボディの内面に設けられ、前記空気室容器を位置決めするための第1突出部と、
前記ボディの内面に設けられ、前記空気室容器を前記ボディの内面から離隔させる第2突出部と、
をさらに備える請求項5に記載のルアー。
【請求項7】
半割体にされた中空状のボディに、中空ビーズと合成樹脂とが混合された充填剤を充填する充填工程と、
前記充填剤が硬化する前に、釣糸又は釣針をつなぐ金具を一方の前記半割体に装着する金具装着工程と、
前記充填剤が硬化する前に、一方の前記半割体と他方の前記半割体とを重ね合わせるとともに、一方の前記半割体と他方の前記半割体に充填された前記充填剤同士を接合させる接合工程と、
を含むことを特徴とするルアーの製造方法。
【請求項8】
前記ボディとは別体に構成されるとともに前記金具の少なくとも一部が設けられるリップを予め用意するリップ組立工程と、
前記充填工程と前記接合工程との間に、前記ボディの前部に設けられた係止部に前記リップの基部を係止させるリップ係止工程を含む請求項7に記載のルアーの製造方法。
【請求項9】
前記金具が貫通ワイヤーで構成され、前記金具装着工程が前記リップ係止工程で代替される請求項8に記載のルアーの製造方法。
【請求項10】
前記リップ係止工程の前に、前記貫通ワイヤーの所定の位置に錘を設ける錘取付け工程を含む請求項9に記載のルアーの製造方法。
【請求項11】
前記充填工程の前に、前記半割体に空気室を設けるための空気室容器を装着する空気室容器装着工程を含む請求項7ないし10のいずれか1項に記載のルアーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りの際に疑似餌として用いられるルアー及びルアーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛距離を向上させるとともに、水中に沈む速度の設定範囲を拡大でき、また水中での姿勢の安定や動きの多様化を得ることを目的として、特開2002-281866号公報(特許文献1)に、内部に水に浮かぶことのできる浮力体を有し、この浮力体を囲んで水よりも比重の重い成形材料によりボディーが一体成形されているルアーが開示されている。また、この浮力体の例として中空体、又は木材や発泡合成樹脂による充実体が用いられることが記載されている(特許文献1明細書段落番号「0020」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されているルアーでは、浮力体が中空体の場合、ボディや中空体に衝撃が加わり亀裂が入ったときに、浮力体の中が浸水してしまい、設計当初の浮力を得ることができなくなってしまう恐れがある。また、浮力体が充実体である場合でも、ボディに亀裂が入ったときに、水が浮力体である木材や発泡合成樹脂の発泡部分に染み込み、やはり設計当初の浮力を得ることができなくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、ボディに亀裂が入っても、内部に水が染み込まず、長期にわたって設計当初の浮力を維持することができるルアー及びルアーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルアーは、
中空状のボディと、
前記ボディの中に充填される、中空ビーズと合成樹脂とが混合された充填剤と、
釣糸又は釣針をつなぐ1以上の金具と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のルアーによれば、充填剤が中空ビーズと合成樹脂とで構成されている。このため、ボディに亀裂が入ったり破損したりしてボディの内側が浸水しても、充填剤に水が染み込むことがない。これにより、長期にわたって設計当初の浮力を得ることができる。また、中空ビーズの含有率によって充填剤の比重を変えることができ、様々な仕様のルアーに対応させることができる。
【0008】
本発明のルアーの好ましい例は、
前記ボディが半割体であり、前記半割体同士が前記充填剤が接合されることで重ね合わされている。
【0009】
本発明のルアーの好ましい例によれば、半割体となっているボディが、それぞれの半割体に充填された充填剤同士が接合されることで重ね合わされる。すなわち、充填剤が半割体となったボディ同士の接着剤として機能する。このため、ボディを接合する工程が不要となり、製造時において工数の削減を図ることができる。
【0010】
本発明のルアーの好ましい例は、
前記ボディの前部に設けられた係止部と、
前記ボディとは別体に構成されるとともに前記金具の少なくとも一部が設けられ、前記係止部にその基部が係止されるリップと、
をさらに備える。
【0011】
本発明のルアーの好ましい例によれば、ボディとリップとが別体に構成され、ボディの係止部とリップの基部とが係止されることでルアーが構成される。また、リップには金具の一部が設けられる。このため、ボディとリップとを別々に製造することが可能であり、リップに所望の強度を持たせることができる。
【0012】
本発明のルアーの好ましい例は、
前記金具が貫通ワイヤーで構成され、前記貫通ワイヤーの一部に錘が設けられている。
【0013】
本発明のルアーの好ましい例によれば、金具が貫通ワイヤーで構成されているため、金具の強度に優れる。また、貫通ワイヤーに錘が設けられているため、錘の大きさ、位置、数を所望のものとすることができる。このため、製造時においてルアーの特性を容易に変更することができ、様々な仕様のルアーを製造することができる。
【0014】
本発明のルアーの好ましい例は、
前記ボディの中に空気室を設けるための中空状の空気室容器が備えられる。
【0015】
本発明のルアーの好ましい例によれば、ルアーの内部に空気室容器によって空気室が設けられる。このため、製造時においてルアーの姿勢等の特性を変更することができる。また、隔壁の周囲は充填剤が充填されているため、ボディに亀裂等が入っても空気室が浸水することがない。
【0016】
本発明のルアーの好ましい例は、
前記ボディの内面に設けられ、前記空気室容器を位置決めするための第1突出部と、
前記ボディの内面に設けられ、前記空気室容器を前記ボディの内面から離隔させる第2突出部と、
をさらに備える。
【0017】
本発明のルアーの好ましい例によれば、ボディの内面に第1突出部が設けられているため、空気室容器の位置決めが容易にできる。また、ボディの内面に第2突出部が設けられているため、空気室容器がボディの内面から離隔され、仮にルアーに衝撃が加えられてボディ割れることがあっても、空気室容器の割れを防ぐことができる。
【0018】
本発明のルアーの製造方法は、
半割体にされた中空状のボディに、中空ビーズと合成樹脂とが混合された充填剤を充填する充填工程と、
前記充填剤が硬化する前に、釣糸又は釣針をつなぐ金具を一方の前記半割体に装着する金具装着工程と、
前記充填剤が硬化する前に、一方の前記半割体と他方の前記半割体とを重ね合わせるとともに、一方の前記半割体と他方の前記半割体に充填された前記充填剤同士を接合させる接合工程と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のルアーの製造方法の好ましい例は、
前記ボディとは別体に構成されるとともに前記金具の少なくとも一部が設けられるリップを予め用意するリップ組立工程と、
前記充填工程と前記接合工程との間に、前記ボディの前部に設けられた係止部に前記リップの基部を係止させるリップ係止工程を含む。
【0020】
本発明のルアーの製造方法の好ましい例は、
前記金具が貫通ワイヤーで構成され、前記金具装着工程が前記リップ係止工程で代替される。
【0021】
本発明のルアーの製造方法の好ましい例は、
前記リップ係止工程の前に、前記貫通ワイヤーの所定の位置に錘を設ける錘取付け工程を含む。
【0022】
本発明のルアーの製造方法の好ましい例は、
前記充填工程の前に、前記半割体に空気室を設けるための空気室容器を装着する空気室容器装着工程を含む。
【0023】
これらの発明のルアーの製造方法によれば、上述した発明のルアーと同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明のルアー及びルアーの製造方法によれば、ボディに亀裂が入っても、内部に水が染み込まず、長期にわたって設計当初の浮力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るルアーの斜視図である。
【
図3】錘取付け工程及びリップ組立工程を説明する図である。
【
図4】ボディの半割体を用意した状態を示す図である。
【
図7】リップ係止工程及び接合工程をを説明する図である。
【
図8】接合工程を終えた状態のルアーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のルアー1及びルアーの製造方法の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。先ずは、本実施形態のルアー1の構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態のルアー1は、ボディ10a,10bと、充填剤20(
図6及び
図7参照)と、リップ30a,30bと、金具40と、空気室容器50a,50bとを備える。
【0027】
ボディ10a,10bは、中空状に形成され、本実施形態ではABS樹脂やポリカーボネイト等の硬質プラスチックを用いている。また、ボディ10a,10bは、半割体となっているとともに、係止部11と、第1突出部12と、第2突出部13とを備える。係止部11は、リップ30a,30bの基部31a,31bが係止されるもので、ボディ10a,10bの前部に設けられた窪みである。第1突出部12は、空気室容器50a,50bを位置決めするもので、ボディ10a,10bの内面から内側方向に突出されている壁状の部材である。本実施形態ではこの第1突出部12が、ボディ10a,10bの半割体の1つにつき、空気室容器50a,50bの周囲を囲むよう複数箇所に設けられている。第2突出部13は、ボディ10a,10bの内面から内側方向に突出されている部材であり、複数の第1突出部12の内側に配置される。この第2突出部13で、空気室容器50a,50bをボディ10a,10bの内面から離隔させることができる。
【0028】
充填剤20(
図6及び
図7参照)は、中空状にされたボディ10a,10bの中に充填されるもので、中空ビーズ(図示せず)と合成樹脂とが混合されて構成される。中空ビーズは、マイクロバルーンとも呼ばれるもので、ガラスや合成樹脂からなる中空状の粒である。ここで、一般的に合成樹脂は比重が水より重く、中空ビーズは浮力を得ることができる。このため、中空ビーズの調合比率を変えることで、充填剤20としての比重を変更することができ、ルアー1の種類や大きさによって求められる最適な比重とすることができる。合成樹脂は、スポンジ状や発泡状等の水が浸透するものでなければよい。本実施形態では、例えば主剤と硬化剤とで硬化する2液性の樹脂である、液状ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等を採用することができる。
【0029】
また、充填剤20は、半割体にしたボディ10a,10b同士を接着させる機能も有する。これは、ボディ10a,10bの半割体にそれぞれ充填剤20を充填した状態で、半割体同士を重ね合わせて、双方の半割体の充填剤20を接合させることで実現される。これにより、半割体としたボディ10a,10b自体の接着や接合が不要となる。なお、ボディ10a,10bは必ずしも本実施形態のように半割体である必要はなく、リップ30a,30bも含めて一体的に成型した中空状のボディ10a,10bに穴を設けて、その穴から充填剤20を充填させることもできる。また、リップ30a,30bも必須の構成ではなく、省略することもできる。
【0030】
リップ30a,30bは、ボディ10a,10bの前部に設けられる舌辺状の部材で、その基部31a,31bがボディ10a,10bの係止部11に嵌め合わされるように係止される。このリップ30a,30bは、半割体で構成され、金具40である貫通ワイヤー40の一部を挟み込んだ状態で接着又は接合される。このため、リップ30a,30bには貫通ワイヤー40を嵌み込むための溝32が設けられる。
【0031】
金具40は、釣糸又は釣針をつなぐものであり、ボディ10a,10b又はリップ30a,30bから突出した状態で固定され、突出した部分は略U字状をなしている。本実施形態では、この金具40として貫通ワイヤー40を用いている。そして、貫通ワイヤー40の前端41がリップ30a,30bから突出され、釣糸が結びつけられる部分となる。また、貫通ワイヤー40の中央部下端42がボディ10a,10bの下に突出され、後端43がボディ10a,10bの後部から突出され、これらの部分に釣針が接続される。また、貫通ワイヤー40の所望の位置に、錘44が設けられている。この錘44は、例えば錘44に設けられた穴に貫通ワイヤー40の端部を差込んで、又は錘44で貫通ワイヤー40を挟み込む様にして固定される。また、充填剤20が充填された後は、充填剤20によっても貫通ワイヤー40とともにその位置が固定される。なお、金具として貫通ワイヤー40以外にも、エイト環と呼ばれる金具やその他の金具を用いることもできる。
【0032】
空気室容器50a,50bは、ボディ10a,10bの中に空気室を設けるためのものであり、本実施形態では半割体にされたカプセル状のものを採用している。この空気室によって、ルアー1の重心の調整をすることができるとともに、空気室容器50a,50bの中にラトル音と呼ばれる音を出すためのラトル材(図示せず)を入れることもできる。
【0033】
次に、上述した本実施形態のルアー1の各構成要素を踏まえながら、
図3から
図8を参照して、ルアーの製造方法を説明する。本実施形態のルアーの製造方法は、錘取付け工程と、リップ組立工程と、空気室容器装着工程と、充填工程と、リップ係止工程と、接合工程とを含む。
【0034】
錘取付け工程及びリップ組立工程は、
図3(A)~(D)に示すように、リップ30a,30bとともに貫通ワイヤー40と錘44とを組立てるものである。順を追って説明する。先ず、
図3(A)に示すように、金具40としての貫通ワイヤー40を用意する。次に、錘取付け工程として、
図3(B)に示すように、錘44を貫通ワイヤー40に取付ける。このとき、例えば、錘44に設けられた穴に貫通ワイヤー40の端部を差込む、又は貫通ワイヤー40の所望の位置に錘44を挟み込み等して、貫通ワイヤー40に錘44を固定することができる。また、錘44の大きさと数も、任意の大きさの錘44を任意の数ほど設けることができる。次に、リップ組立工程として、
図3(C)に示すように、リップ30aの一方の半割体の溝32に、貫通ワイヤー40の一部を嵌め込む。次に、
図3(D)に示すように、リップ30bの他方の半割体を重ね合わせ、接着又は接合させる。これにより、貫通ワイヤー40とリップ30a,30bとが一体化される。このリップ30a,30bの接合方法として、例えば、超音波接合等を用いることができる。なお、錘取付け工程とリップ組立工程とは、その順序が入れ替わっても良い。
【0035】
次に、
図4に示すように、準備として半割体にされた中空状のボディ10a,10bを用意する(ボディ10bは図示せず)。次に、空気室容器50a,50b装着工程として、
図5に示すように、半割体にされた中空状のボディ10a,10bにの第1突出部12の内側に、半割体にされた中空状の空気室容器50a,50bを装着する(ボディ10b、空気室容器50bは図示せず。
図6についても同様。)。このとき、第2突出部13によって、ボディ10a,10bの内面から空気室容器50a,50bは離隔される。また、第1突出部12と空気室容器50a,50bとの間に多少の隙間が空いていても問題ない。後で充填される充填剤20によって、空気室容器50a,50bも固定されるためである。なお、ラトル音を出すためのラトル材を用いるときは、このときに空気室容器50aにラトル材を入れておく。
【0036】
次に、充填工程として、
図6に示すように、ボディ10a,10bの内部に充填剤20を充填させる。このとき、ボディ10a,10bの第2突出部13の周囲にも充填剤20を行き渡らせるために、空気室容器50a,50bを少し持ち上げた状態で充填剤20を充填しても良い。また、充填工程の後に、空気室容器50a,50b装着工程を行なっても良い。また、第1突出部12の突出方向における長さL1は、第1突出部12の長さL1に対応する方向の空気室容器50a,50bの長さL2より短く構成されている(
図2参照)ため、特に半割体にされた空気室容器50a,50bの重ね合わせ部分において、その全周に渡って充填剤20が充填される。これにより、空気室容器50a,50bの密閉性がより強固になる。なお、上記の空気室容器装着工程と充填工程は、図示しないボディの他方の半割体にも同様に行なわれる。
【0037】
次に、リップ係止工程として、
図7(A)に示すように、充填剤20が硬化する前に、リップ組立工程で組み立てられたリップ30a,30bと貫通ワイヤー40と錘44とを、ボディ10aの一方の半割体の係止部11にリップ30aの基部31aを嵌め込んで係止させる。このとき、充填剤20が硬化する前のため、貫通ワイヤー40と錘44は、充填剤20に半ば埋め込まれるようになる。
【0038】
また、例えば、リップとボディとが一体的に成型されているような実施形態、又はリップを備えない構成の実施形態の場合、上記のリップ組立工程とリップ係止工程を省くとともに、充填工程の後に金具をボディの一方の半割体に装着する金具装着工程を行なうことができる。この場合、金具は貫通ワイヤーであっても、エイト環でも良い。また、金具が貫通ワイヤーの場合、事前に錘取付け工程を行なうことで、所望の位置に錘を設けることもできる。
【0039】
次に、接合工程として、
図8に示すように、充填剤20が硬化する前に、ボディ10a,10bの一方の半割体と他方の半割体とを重ね合わせる。このとき、ボディ10a,10bの一方の半割体と他方の半割体とに充填された充填剤20同士が接合され、ボディ10a,10bの半割体同士もあわせて接着される。また、同時に半割体にされた空気室容器50a,50bも接着されるとともに、その周囲に充填剤20が充填されることで、空気室自体の密閉性が担保される。そして、ボディ10a,10bの重ね合わせた部分からはみ出た充填剤20を拭き取れば良い。次に、必要に応じてサンディング、塗装、コーティング等を施せば、ルアー1として完成する。
【0040】
以上、説明したように、本実施形態のルアー1及びルアー1の製造方法によれば、半割体にされたボディ10a,10b及び空気室容器50a,50bが、充填剤20によって接着される。このため、従来であれば、半割体にされたボディ10a,10b同士を超音波接合等によって接合又は接着しなければならないが、この工程が不要となり、工数削減を図ることができる。
【0041】
また、充填剤20がボディ10a,10bの略全てに充填されているため、ルアー1の一部に重量が集中することがなく、重量バランスに優れる。このため、ルアー1を投てきしたときに、不要な回転や姿勢変化が起こりにくく、遠くまで飛ばすことができるとともに、コントロール性に優れたルアー1とすることができる。また、充填剤20が充填されるとともに、充填剤20によってボディ10a,10bが接着されることで、これらが一体となっている。これにより強度に優れたルアー1とすることができる。
【0042】
また、充填剤20の中に中空ビーズが含まれているため、中空ビーズの配合を変えることで充填剤20の比重の調整が容易にできる。これにより、ルアー1の用途にあわせて様々な仕様のルアー1を製造することができる。また、中空ビーズと合成樹脂からなる充填剤20には水が染み込むことがなく、充填剤20とボディ10a,10bとの間も略隙間なく接着されている。これにより、万一、ボディ10a,10bが割れたときでも水がルアー1の内部に染み込まず、破損や経年変化によるルアー1の浮力や沈み方の変化が実質的に発生しない。
【0043】
また、第2突出部13によって、ボディ10a,10bの内面と空気室容器50a,50bとの間が離隔されているとともに、その隙間にも充填剤20が充填され、さらに空気室容器50a,50bの周囲の略全てが充填剤20で充填される。このため、空気室自体の破損も通常の使用では発生することがなく、設計当初の浮力やラトル音を長期間維持することができる。
【0044】
また、錘44を所望の数だけ所望の位置に設けることができるため、ルアー1の用途に応じて重心の変更や重さの変更をすることができる。これは、従来のルアー1であれば、錘44を配置する部屋をボディ10a,10bの金型設計の段階から緻密に検討する必要があった。そして、一度決定した錘44の位置は後で変更することができなかった。一方、本実施形態のルアー1では、貫通ワイヤー40で錘44が仮固定され、その後に充填剤20によって錘44が完全に固定されるため、ボディ10a,10bを汎用性のある形状にして、後で錘44の位置と大きさをルアー1の仕様にあわせて決定することができる。
【0045】
また、貫通ワイヤー40とリップ30a,30bとが一体的に強固に接続されているため、強度にさらに優れたルアー1とすることができる。
【0046】
なお、上述のルアー及びルアーの製造方法は、本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更することができる。例えば、空気室容器や錘を除いた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1・・ルアー、
10a,10b・・ボディ、11・・係止部、12・・第1突出部、13・・第2突出部、
20・・充填剤、
30a,30b・・リップ、31a,31b・・基部、32・・溝、
40・・金具(貫通ワイヤー)、41・・前端、42・・中央部下端、43・・後端、44・・錘、
50a,50b・・空気室容器、