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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024699
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】整髪料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20220202BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220202BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220202BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220202BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220202BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/31
A61K8/92
A61K8/891
A61K8/37
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127434
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】志村 幸一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC242
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC542
4C083AD092
4C083AD171
4C083AD172
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB14
4C083CC32
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、セット時に毛束が作りやすく、かつ、セット後はべたつかない品質であり、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力がありながら、洗い落ちにも優れる整髪料を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を3~10.2質量%と、45℃で固形の油脂(B)を6~25質量%と、揮発性油(C)を3~15質量%と、液状のエステル油(D)を5~18質量%と、水(E)とを含み、前記成分(A)全体のHLBが9.97~12.07であり、前記成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、0.5~2.51である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を3~10.2質量%と、
45℃で固形の油脂(B)を6~25質量%と、
揮発性油(C)を3~15質量%と、
液状のエステル油(D)を5~18質量%と、
水(E)とを含み、
前記成分(A)全体のHLBが9.97~12.07であり、
前記成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、0.5~2.51である、整髪料。
【請求項2】
前記成分(A)が、ステアレス-6、ステアレス-11、およびステアレス-30を含む、請求項1に記載の整髪料。
【請求項3】
前記45℃で固形の油脂(B)が、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、およびパラフィンから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の整髪料。
【請求項4】
前記揮発性油(C)が、シクロペンタシロキサンおよび水添ポリイソブテンから選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の整髪料。
【請求項5】
前記液状のエステル油(D)が、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、およびコハク酸ジエチルヘキシルから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の整髪料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルを維持するための整髪料として、ヘアワックスが知られている。ヘアワックスには、キャンデリラロウ、ミツロウなどのロウ・ワックス類や、マイクロクリスタリンワックス等の室温で半固形状~固形状の炭化水素が配合されている。これらの成分は、セット力を与える反面、べたつきがあり、セット時およびセット後の毛髪がべたつくという問題がある。また、洗い落ちが悪く、洗髪後でも毛髪に油分が残るといった問題もあった。
【0003】
べたつきを抑制するための技術としては、例えば、固形のロウ又は炭化水素と共に、変性コーンスターチを配合した整髪剤(特許文献1)や、特定の油剤と粘土鉱物を含む整髪剤用乳化組成物(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-172863号公報
【特許文献2】特開2013-63921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に開示された整髪剤は、べたつきが改善されるものの、粉体が配合されているためセット時にシャープな毛束を作りにくいという問題があった。また、セット力が低く、毛髪を立ち上げたスタイルを維持できないという問題があった。
【0006】
このようなことから、本発明は、セット時に毛束が作りやすく、かつ、セット後はべたつかない品質であり、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力がありながら、洗い落ちにも優れる整髪料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する整髪料により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[5]である。
【0008】
[1]3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を3~10.2質量%と、45℃で固形の油脂(B)を6~25質量%と、揮発性油(C)を3~15質量%と、液状のエステル油(D)を5~18質量%と、水(E)とを含み、前記成分(A)全体のHLBが9.97~12.07であり、前記成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、0.5~2.51である、整髪料。
【0009】
[2]前記成分(A)が、ステアレス-6、ステアレス-11、およびステアレス-30を含む、[1]に記載の整髪料。
[3]前記45℃で固形の油脂(B)が、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、およびパラフィンから選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の整髪料。
【0010】
[4]前記揮発性油(C)が、シクロペンタシロキサンおよび水添ポリイソブテンから選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の整髪料。
[5]前記液状のエステル油(D)が、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、およびコハク酸ジエチルヘキシルから選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の整髪料。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、セット時に毛束が作りやすく、かつ、セット後はべたつかない品質であり、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力がありながら、洗い落ちにも優れる整髪料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の整髪料について具体的に説明する。
<整髪料>
本発明の整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を3~10.2質量%と、45℃で固形の油脂(B)を6~25質量%と、揮発性油(C)を3~15質量%と、液状のエステル油(D)を5~18質量%と、水(E)とを含み、前記成分(A)全体のHLBが9.97~12.07であり、前記成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、0.5~2.51である。
【0013】
本発明の整髪料は、ヘアワックスであることが好ましい。
なお、本発明における各成分の含有量は、整髪料全体を100質量%とした場合の含有量を示している。
【0014】
<3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)>
本発明の整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を3~10.2質量%、好ましくは4.2~8.4質量%、より好ましくは4.8~7.2質量%含む。
【0015】
本発明の整髪料は、成分(A)を上記の量で含むことによって、べたつきを抑え、洗い落ちの良さを付与することができる。
成分(A)が、前記下限量より少ないと、洗い落ちが悪くなり、前記上限量より多いと、セット力が低下し、ヘアスタイルの持続性が不十分になることがある。
【0016】
成分(A)として、具体的には、ステアレス-1、ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5、ステアレス-6、ステアレス-7、ステアレス-8、ステアレス-9、ステアレス-10、ステアレス-11、ステアレス-12、ステアレス-13、ステアレス-14、ステアレス-15、ステアレス-16、ステアレス-17、ステアレス-18、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-25、ステアレス-27、ステアレス-30、ステアレス-40、ステアレス-50、ステアレス-80、およびステアレス-100が挙げられる。これらの中でも、成分(A)が、ステアレス-5、ステアレス-6、ステアレス-11、ステアレス-12、ステアレス-25、およびステアレス-30から選択される3種以上であることが好ましい。
【0017】
本発明の整髪料では、成分(A)が、ステアレス-6、ステアレス-11、およびステアレス-30を含むことがより好ましく、成分(A)が、ステアレス-6、ステアレス-11、およびステアレス-30であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明の整髪料では、成分(A)全体のHLBが9.97~12.07、好ましくは10.43~11.60、より好ましくは10.90~11.25である。
成分(A)全体のHLBが上記の値であることによって、べたつきを抑え、洗い落ちの良さを付与することができる。
【0019】
成分(A)全体のHLBが、前記下限値より低いと、セット後のべたつきが増し、洗い落ちが悪くなることがある。前記上限値より高いと、毛束が作りにくくなることがある。
本発明の整髪料では、成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、0.5~2.51、好ましくは0.71~1.66、より好ましくは0.82~1.14である。
【0020】
本発明の整髪料は、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が、上記の値であることによって、べたつきを抑え、洗い落ちの良さを付与することができる。
【0021】
前記質量比(a1/a2)が、前記下限値より少ないと、洗い落ちが悪くなることがあり、前記上限値より多いと、ヘアスタイルの持続性、および洗い落ちが悪くなることがある。
【0022】
HLBが10~12である成分(a1)として、具体的には、ステアレス-10、ステアレス-11、ステアレス-12、およびステアレス-15が挙げられる。これらの中でも、成分(a1)としては、ステアレス-11およびステアレス-12が好ましく、ステアレス-11がより好ましい。
【0023】
HLBが10~12ではない成分(a2)として、具体的には、ステアレス-1、ステアレス-2、ステアレス-3、ステアレス-4、ステアレス-5、ステアレス-6、ステアレス-7、ステアレス-8、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-25、ステアレス-27、ステアレス-30、ステアレス-40、ステアレス-50、ステアレス-80、およびステアレス-100が挙げられる。これらの中でも、成分(a2)としては、ステアレス-6、ステアレス-25、およびステアレス-30が好ましく、ステアレス-6、およびステアレス-30がより好ましい。
【0024】
本発明者は、本発明の整髪料が3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルからなる成分(A)を上述の量および割合で含むことで、べたつきの少なさとセット力の高さとを両立できると考えている。
【0025】
<45℃で固形の油脂(B)>
本発明の整髪料は、45℃で固形の油脂(B)を6~25質量%、好ましくは13~23、より好ましくは18~21質量%含む。
【0026】
本発明の整髪料は、45℃で固形の油脂(B)を上記の量で含むことによって、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力が得られ、毛束が作りやすくなる。
45℃で固形の油脂(B)が前記下限量より少ないと、セット力が低く毛束が作りにくくなることがある。前記上限量より多いと、セット時、およびセット後のべたつきが増す傾向がある。
【0027】
45℃で固形の油脂(B)としては、45℃で固形の油脂であれば特に制限なく用いることができる。
45℃で固形の油脂(B)として、具体的には、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、還元ラノリン等のロウ・ワックス類、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、高いセット力を付与できることから、45℃で固形の油脂(B)がキャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ、およびパラフィンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、キャンデリラロウ、ミツロウ、およびパラフィンから選択される少なくとも1種であることがより好ましく、高いセット力とヘアスタイルの持続性を付与できることから、キャンデリラロウが最も好ましい。
45℃で固形の油脂(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<揮発性油(C)>
本発明の整髪料は、揮発性油(C)を3~15質量%、好ましくは6~13質量%、より好ましくは9~11質量%含む。
【0030】
本発明の整髪料は、揮発性油(C)を上記の量で含むことによって、セット時のべたつきを抑制し、ヘアスタイルの作りやすさを付与できる。揮発性油(C)が前記下限量より少ないと、セット時のべたつきが増す傾向がある。前記上限量より多いと、セット力が低下する。また、毛束が作りにくくなることがある。
【0031】
揮発性油(C)として、具体的には、25℃で揮発性を有するオイル(油分)が挙げられる。本発明において、揮発性を有するとは、揮発性油(C)は、沸点が、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。
【0032】
揮発性油(C)としては、揮発性油であれば特に制限なく用いることができる。
揮発性油(C)としては、例えば、環状シリコーン油、メチルトリメチコン、エチルトリシロキサン、トリシロキサン、カプリリルメチコン、炭化水素油、25℃における粘度が0.1~2.0mm2/sであるジメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0033】
上記環状シリコーン油としては、例えば、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンが挙げられる。
【0034】
上記炭化水素油としては、例えば、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカンが挙げられる。
【0035】
これらの中でも、揮発性油(C)がシクロペンタシロキサンおよび水添ポリイソブテンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、剤の伸びに優れることから、揮発性油(C)がシクロペンタシロキサンであることがより好ましい。
揮発性油(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
<液状のエステル油(D)>
本発明の整髪料は、液状のエステル油(D)を5~18質量%、好ましくは7~15質量%、より好ましくは10~13質量%含む。
【0037】
本発明の整髪料は、液状のエステル油(D)を上記の量で含むことによって、セット時のべたつきを抑制し、毛束の作りやすさを付与できる。
液状のエステル油(D)が前記下限量より少ないと、セット時のべたつきが増し、毛束が作りにくくなることがある。前記上限量より多いと、セット後のべたつきが増し、ヘアスタイルの持続性が低下する傾向がある。
【0038】
液状のエステル油(D)としては、液状のエステル油であれば特に制限なく用いることができる。
液状のエステル油(D)としては、例えば、イソノナン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、ヘキサン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシルが挙げられる。
【0039】
これらの中でも、液状のエステル油(D)がイソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、およびコハク酸ジエチルヘキシルから選択される少なくとも1種であることが好ましく、毛束の作りやすさとべたつきの少なさのバランスに優れることから、液状のエステル油(D)がイソノナン酸エチルヘキシル、およびエチルヘキサン酸セチルから選択される少なくとも1種であることがより好ましく、液状のエステル油(D)がイソノナン酸エチルヘキシルであることが最も好ましい。
液状のエステル油(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0040】
<水(E)>
本発明の整髪料は、水(E)を好ましくは25~65質量%、より好ましくは35~55質量%含む。
水(E)として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
【0041】
<その他成分>
本発明の整髪料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、増粘剤、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、乳化剤、および色素等の添加剤を含有することができる。
【0042】
本発明の整髪料は、例えば、増粘剤としてカルボマー(カルボキシビニルポリマー)、乳化剤としてステアリン酸、pH調整剤としてトリエタノールアミンを用いることができる。
【0043】
<整髪料の製造等>
本発明の整髪料は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、乳化、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、好ましくは加熱条件下、例えば75~85℃の加熱条件下で、本発明の整髪料を製造することが好ましい。
【0044】
〔剤型〕
本発明の整髪料の状態としては、例えば、ミルク状、クリーム状、ジェル状、ローション状が挙げられる。これらの中でも、本発明の整髪料は、クリーム状、およびミルク状が好ましく、クリーム状であることがより好ましい。
本発明の整髪料は、白濁した外観であることが好ましく、白濁した均質の外観であることがより好ましい。
【0045】
<用途>
本発明の整髪料は、毛髪に塗布して使用することができる。
本発明の整髪料は、洗髪後の水分等が付着していない、乾いた状態の毛髪、および、セミドライの毛髪に塗布して使用することが好ましい。
本発明の整髪料は、毛髪を立ち上げたヘアスタイルを保持することに優れるため、乾いた状態の毛髪に塗布して使用することがより好ましい。
【0046】
本発明の整髪料は、適用する毛髪の長さに特に制限はないが、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力を有することから、ショートヘア、およびミディアムヘアの毛髪に適用することが好ましい。
【0047】
本発明の整髪料は、ヘアワックス、およびヘアミルクであることが好ましく、ヘアワックスであることがより好ましい。
本発明の整髪料は、セット時に毛束が作りやすく、かつ、セット後はべたつかない品質であり、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力がありながら、洗い落ちにも優れる。
【実施例0048】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0049】
〔実施例1~44、比較例1~20〕
実施例、および比較例では、表1に記載の市販品を使用した。
【0050】
【表1】
【0051】
表2~8の処方の数値は、整髪料全体を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表しており、純分換算した値を示す。
表2~8に示す処方で各成分を混合することにより整髪料を製造し、試料として以下の方法で評価した。
【0052】
〔評価方法〕
室温(25℃)の条件下で、専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、試料2gを手に取り、てのひらで伸ばし広げた後、トップ10cm、ネープ3cmにカットしたPAMS社製人毛ウイッグUNに万遍なく塗布し、ヘアスタイルを作った。一連の施術およびヘアスタイルについて、後述する(1)~(6)の各項目に記載した評価項目および評価基準に従って官能評価を行った。
【0053】
各項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均点が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均点が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均点が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均点が1.5点未満である。
【0054】
〔評価項目および評価基準〕
(1)セット力
毛髪全体に試料を塗布した後、根元を立ち上げ、毛束を作り、立体的なヘアスタイルを作った。その際の、毛流れ(ヘアスタイル)の作りやすさと根本の立ち上がりについて、触感で評価した。
4点:セット力が非常に高く、ヘアスタイルが非常に作りやすい
3点:セット力が高く、ヘアスタイルが作りやすい
2点:セット力が弱く、ヘアスタイルがやや作りづらい
1点:セット力が非常に弱く、ヘアスタイルが満足に作れない
【0055】
(2)セット時のべたつき
ヘアスタイルをセットする時の毛髪のべたつきを触感で評価した。
4点:べたつきがない
3点:べたつきが少ない
2点:べたつきがある
1点:べたつきがあり、不快に感じる
【0056】
(3)セット後のべたつき
毛髪全体に試料を塗布し、30分後の毛髪のべたつきを触感で評価した。
4点:べたつきがない
3点:べたつきが少ない
2点:べたつきがある
1点:べたつきがあり、不快に感じる
【0057】
(4)毛束の作りやすさ
ヘアスタイルをセットする時の、毛束の作りやすさを触感で評価した。
4点:手ぐしや毛髪を軽く握ることで自然に毛束ができる
3点:毛先をつまんで問題なく毛束を作ることができる
2点:毛束を作りにくい
1点:毛髪がまとまらず毛束にならない
【0058】
(5)ヘアスタイルの持続性
毛髪全体に試料を塗布した後、根元を立ち上げ、毛束を作り、立体的なヘアスタイルを作った。その後、湿度50%、室温28℃の条件下で6時間放置し、ヘアスタイルが維持されているか目視で評価した。
4点:ヘアスタイルが崩れることなく維持されている
3点:ヘアスタイルがほぼ維持されている
2点:部分的にヘアスタイルが維持されている
1点:ヘアスタイルが全体的にボリュームダウンし、維持されていない
【0059】
(6)洗い落ち
毛髪全体に試料を塗布し、毛髪が十分乾いた後、シャンプーを1.0g使用して30秒間洗い、水温38℃付近の水で1分間水洗した。その際の洗い落ちを触感で評価した。
シャンプーはシェルパ デザインサプリ シャンプー D-2(アリミノ社製)を使用した。
4点:非常に洗い落ちが良い
3点:洗い落ちが良い
2点:洗い落ちが悪い
1点:非常に洗い落ちが悪い
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
実施例1~44で製造した整髪料は、いずれも(1)~(6)の全ての評価項目において良好な結果となった。
本発明の整髪料は、セット時に毛束が作りやすく、かつ、セット後はべたつかない品質であり、毛髪を立ち上げて保持することができる高いセット力がありながら、洗い落ちにも優れる。
【0068】
比較例1で製造した整髪料は、成分(A)の配合量が少ないため、洗い落ちが悪かった。
比較例2で製造した整髪料は、成分(A)の配合量が多いため、セット力が低く、ヘアスタイルの持続性も悪かった。
【0069】
比較例3で製造した整髪料は、成分(A)全体のHLBが規定値よりも小さいため、セット後の毛髪がべたつき、洗い落ちも悪かった。
比較例4で製造した整髪料は、成分(A)全体のHLBが規定値よりも大きいため、毛束が作りにくかった。
【0070】
比較例5で製造した整髪料は、成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が規定値よりも大きいため、ヘアスタイルの持続性が悪く、洗い落ちも悪かった。
【0071】
比較例6で製造した整髪料は、成分(A)において、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が規定値よりも小さいため、洗い落ちが悪かった。
【0072】
比較例7で製造した整髪料は、45℃で固形の油脂(B)の配合量が少ないため、セット力が低く、毛束も作りにくかった。
比較例8で製造した整髪料は、45℃で固形の油脂(B)の配合量が多いため、セット時およびセット後の毛髪がべたついた。
【0073】
比較例9で製造した整髪料は、揮発性油(C)の配合量が少ないため、セット時の毛髪がべたついた。
比較例10で製造した整髪料は、揮発性油(C)の配合量が多いため、セット力が低く、毛束も作りにくかった。
【0074】
比較例11で製造した整髪料は、液状のエステル油(D)の配合量が少ないため、セット時の毛髪がべたつき、毛束も作りにくかった。
比較例12で製造した整髪料は、液状のエステル油(D)の配合量が多いため、セット後の毛髪がべたつき、ヘアスタイルの持続性も悪かった。
【0075】
比較例13~15、および17で製造した整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルを使用しておらず、HLBが10~12である成分(a1)の合計量と、HLBが10~12ではない成分(a2)の合計量との質量比(a1/a2)が規定値を満たしていないため、洗い落ちが悪かった。
【0076】
比較例16、および18で製造した整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルを使用しておらず、成分(A)全体のHLBが規定値を満たしていないため、洗い落ちが悪かった。
【0077】
比較例19および20で製造した整髪料は、3種以上のポリオキシエチレンステアリルエーテルではなく、ポリオキシエチレンセチルエーテルを使用しているため、セット力が低く、セット時およびセット後の毛髪がべたつき、ヘアスタイルの持続性も悪かった。