(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024716
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】式典の演出方法及び式典の演出用具
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
A47G33/00 G
A47G33/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127466
(22)【出願日】2020-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)株式会社田中染工場との打ち合わせ (1-1)電話及びLINE 令和2年4月30日 (1-2)現地打ち合わせ 令和2年5月11日、5月15日、5月18日、5月21日、5月23日、5月24日、5月27日、6月1日、6月8日、6月9日 株式会社田中染工場 福岡県柳川市大和町鷹ノ尾863 (2)株式会社ハカタフラッグとの打ち合わせ (2-1)電話及びLINE 令和2年4月30日 (2-2)現地打ち合わせ 令和2年5月11日、5月15日、5月18日、5月21日、5月23日、5月24日、5月27日、6月1日、6月8日、6月9日 株式会社ハカタフラッグ 福岡県福岡市南区塩原3-3-13 (3)株式会社サヌイ織物との打ち合わせ (3-1)電話及びLINE 令和2年4月30日、5月11日 (3-2)現地打ち合わせ 令和2年5月15日、6月15日 株式会社サヌイ織物 福岡県福岡市西区小戸3丁目51-22 (3-3)電子メール 令和2年5月18日、5月21日、5月23日、5月26日、5月28日、5月29日、6月1日、6月4日 (4)池尻紐房工場との打ち合わせ 現地打ち合わせ 令和2年5月15日、5月18日、5月21日、5月23日、5月24日、5月27日、6月1日、6月8日、6月9日 池尻紐房工場 福岡県久留米市朝妻町13-33
(71)【出願人】
【識別番号】520244337
【氏名又は名称】株式会社ミラポートジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】田中 香利
(57)【要約】
【課題】縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能な式典の演出方法及び式典の演出用具を提供する。
【解決手段】本発明を適用した式典の演出方法の一例である演出方法Aは、結婚式の演出に関するものである。また、演出方法Aは、新郎新婦が縁起柄を付した暖簾をくぐる入場演出工程と、式の会場内の装飾または会場内でのイベントを演出する場内演出工程とを備えている。また、演出方法Aでは、暖簾1を用いて、結婚式において、日本らしさがあり、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に縁起柄を付した暖簾を配置して、所定のタイミングで前記暖簾を人がくぐる第1のイベント工程と、
前記縁起柄を付した布体で会場または道具を装飾して、所定のイベントを行う第2のイベント工程とを備える
式典の演出方法。
【請求項2】
前記縁起柄は、式典を行う土地に特有のご当地柄である
請求項1に記載の式典の演出方法。
【請求項3】
前記所定のタイミングは、挙式のシーン、披露宴の入場シーン、または、結納のシーンである
請求項1または請求項2に記載の式典の演出方法。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、披露宴の入場シーンであり、
前記第2のイベント工程は、
前記布体がテーブルクロスであり、前記テーブルクロスをテーブルに配置して、食事を行う会食工程と、
前記布体が風呂敷であり、前記風呂敷で花束を包み、前記花束を新郎新婦の両親へと贈呈する花束贈呈工程を含む
請求項3に記載の式典の演出方法。
【請求項5】
前記会食工程の前記縁起柄は、博多織の献上柄を含み、
新郎新婦が座るテーブルのテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターの少なくとも1つに孝行縞を付し、
新郎新婦の両親が座るテーブルのテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターの少なくとも1つに親子縞を付す
請求項4に記載の式典の演出方法。
【請求項6】
新郎が着用するネクタイ、蝶ネクタイ、及び、ポケットチーフの少なくとも1つに前記縁起柄を付し、
新婦が着用する帯、帯締め、扇子、及び、新郎が使用するブーケの少なくとも1つに前記縁起柄を付す
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の式典の演出方法。
【請求項7】
新郎の父、及び、新婦の父の少なくとも一方が着用するネクタイ、蝶ネクタイ、及び、ポケットチーフの少なくとも1つに前記縁起柄を付し、
新郎の母、及び、新婦の母の少なくとも一方が着用する帯、及び、帯締めの少なくとも一方に前記縁起柄を付す
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の式典の演出方法。
【請求項8】
前記所定のタイミングは、葬儀場から出棺するシーンである
請求項1または請求項2に記載の式典の演出方法。
【請求項9】
前記第2のイベント工程は、
前記布体が前記暖簾であり、供花と共に前記暖簾を会場に飾り、通夜、葬儀または告別式を行う
請求項8に記載の式典の演出方法。
【請求項10】
前記第2のイベント工程は、
前記布体が前記暖簾であり、火葬場において、棺の中に前記暖簾を入れる
請求項8または請求項9に記載の式典の演出方法。
【請求項11】
所定の位置に配置されると共に、縁起柄を付した暖簾と、
所定のイベントに用いられると共に、前記縁起柄が付され、会場または演出道具を装飾する布体とを備える
式典の演出用具。
【請求項12】
前記縁起柄は、式典を行う土地に特有のご当地柄である
請求項11に記載の式典の演出用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式典の演出方法及び式典の演出用具に関する。詳しくは、縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能な式典の演出方法及び式典の演出用具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
冠婚葬祭の様々な式典において、その内容に応じて良好な雰囲気を演出するために、種々の手法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された結婚式の演出方法では、式場内に設けた正面側スクリーン、側面側スクリーン及び上部スクリーンに画像を投影し、更に、式場に設けたステージにより、セレモニーを高揚させる手法が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された結婚式の演出方法をはじめ、従前の式典の演出方法では、日本古来の伝統文様であり、縁起が良いとされる縁起柄を活用する点において改善の余地があった。
【0006】
このような縁起柄として、例えば、日本に古くから伝わる吉祥文様が数多くある。この吉祥文様は図案化され、優れた文様、図案として、着物、財布やポーチ等の袋物、風呂敷、皿等の食器、お守り等、和の事物に幅広く取り入れられている。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能な式典の演出方法及び式典の演出用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の式典の演出方法は、所定の位置に縁起柄を付した暖簾を配置して、所定のタイミングで前記暖簾を人がくぐる第1のイベント工程と、前記縁起柄を付した布体で会場または道具を装飾して、所定のイベントを行う第2のイベント工程とを備える。
【0009】
ここで、第1のイベント工程で、所定の位置に縁起柄を付した暖簾を配置して、所定のタイミングで暖簾を人がくぐることによって、式典において、日本らしさがあり、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0010】
また、第2のイベント工程で、縁起柄を付した布体で会場または道具を装飾して、所定のイベントを行うことによって、縁起柄を付した暖簾をくぐる第1のイベントの効果に加えて、式典において、より一層、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0011】
また、縁起柄が、式典を行う土地に特有のご当地柄である場合には、第1のイベント工程及び第2のイベント工程において、暖簾や布体にご当地柄が付され、その土地ならではの伝統や文化を取り入れた演出を行うことができる。
【0012】
また、所定のタイミングが、挙式のシーン、披露宴の入場シーン、または、結納のシーンである場合には、結婚に関連するイベントにおいて、華やかで、おめでたく、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0013】
また、所定のタイミングが、披露宴の入場シーンであり、第2のイベント工程が、布体がテーブルクロスであり、テーブルクロスをテーブルに配置して、食事を行う会食工程を含む場合には、結婚披露宴のイベントにおける、新郎新婦の入場シーンや、披露宴中の会食のシーンにおいて、より一層、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0014】
即ち、例えば、第1のイベント工程では、披露宴会場の出入り口に縁起柄を付した暖簾を設けて、その暖簾をくぐって新郎新婦が会場に入場することで、入場シーンを盛り上げると共に、華やかで、縁起が良い雰囲気を演出することができる。また、第2のイベント工程では、披露宴会場の参加者のテーブルに縁起柄が付されたテーブルクロスを配置したことで、暖簾の縁起柄と相まって、会場をより縁起が良い雰囲気にすることができる。
【0015】
また、所定のタイミングが、披露宴の入場シーンであり、第2のイベント工程が、布体が風呂敷であり、風呂敷で花束を包み、花束を新郎新婦の両親へと贈呈する花束贈呈工程を含む場合には、結婚披露宴のイベントにおける、新郎新婦から両親への花束贈呈のシーンにおいて、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0016】
また、会食工程の縁起柄が、博多織の献上柄を含む場合には、博多織に特有の縁起柄(献上柄)を用いて、会食工程の雰囲気を演出することができる。ここで、博多織の献上柄には、親子縞、独鈷、孝行縞及び華皿の柄が含まれている。これらの縁起が良い柄を、単独、または、複数を組み合わせて、テーブルクロスを装飾して、雰囲気を演出することができる。
【0017】
なお、これらの献上柄には、各々に意味があり、親子縞は、太い縞が細い縞を挟むように配された縞模様で、「親が子を守る」という意味がある。また、独鈷は、煩悩を打ち砕くとされる仏具・法器を模している。また、孝行縞は、細い縞が太い縞を挟むように配された縞模様で、「子が親を慕う」という意味がある。さらに、華皿は、仏の供養の際に散布する花を入れる皿を模している。
【0018】
また、会食工程の縁起柄が、博多織の献上柄を含み、新郎新婦が座るテーブルのテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターの少なくとも1つに孝行縞を付す場合には、単に縁起が良い雰囲気をテーブルクロス等の布体で演出するだけでなく、孝行縞の有する「子が親を慕う」という意味を介して、新郎新婦からの両親への思いを、縁起柄で表現することができる。
【0019】
また、会食工程の縁起柄が、博多織の献上柄を含み、新郎新婦の両親が座るテーブルのテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターの少なくとも1つに親子縞を付す場合には、単に縁起が良い雰囲気をテーブルクロス等の布体で演出するだけでなく、親子縞の有する「親が子を思う」という意味を介して、両親からの新郎または新婦への思いを、縁起柄で表現することができる。
【0020】
また、新郎が着用するネクタイ、蝶ネクタイ、及び、ポケットチーフの少なくとも1つに縁起柄を付し、新婦が着用する帯、帯締め、扇子、及び、新郎が使用するブーケの少なくとも1つに縁起柄を付す場合には、新郎の衣装、または、新婦の衣装や道具に縁起柄を付して、より一層、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0021】
また、新郎の父、及び、新婦の父の少なくとも一方が着用するネクタイ、蝶ネクタイ、及び、ポケットチーフの少なくとも1つに縁起柄を付し、新郎の母、及び、新婦の母の少なくとも一方が着用する帯、及び、帯締めの少なくとも一方に縁起柄を付す場合には、新郎新婦の両親の衣装や道具に縁起柄を付して、より一層、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0022】
また、所定のタイミングが、葬儀場から出棺するシーンである場合には、葬儀または告別式の後に、葬儀場から出棺する際に、日本らしさがあり、かつ、厳かな雰囲気を演出することができる。
【0023】
また、第2のイベント工程が、布体が暖簾であり、供花と共に暖簾を会場に飾り、通夜、葬儀または告別式を行う場合には、故人の冥福を祈り、死者を葬る式典の会場において、日本らしさがあり、かつ、厳かな雰囲気を演出することができる。
【0024】
また、第2のイベント工程が、布体が暖簾であり、火葬場において、棺の中に暖簾を入れる場合には、縁起柄を付した暖簾を、極楽浄土への扉の前の道標として棺に入れて、故人を見送る演出を行うことができる。
【0025】
また、上記の目的を達成するために、本発明の式典の演出用具は、所定の位置に配置されると共に、縁起柄を付した暖簾と、所定のイベントに用いられると共に、前記縁起柄が付され、会場または演出道具を装飾する布体とを備える。
【0026】
ここで、縁起柄を付した暖簾と、縁起柄が付され、会場または演出道具を装飾する布体により、式典において、日本らしさがあり、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0027】
また、縁起柄が、式典を行う土地に特有のご当地柄である場合には、式典において、その土地ならではの伝統や文化を取り入れた演出を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る式典の演出方法は、縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能なものとなっている。
また、本発明に係る式典の演出用具は、縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明を適用した式典の演出方法に用いる暖簾の一例を示す概略図である。
【
図2】(a)及び(b)は、
図1に示す暖簾において縁起柄が付された領域の一部を示す概略図である。
【
図3】博多織の献上柄を示す図であり、(a)は親子縞、(b)は独鈷、(c)は孝行縞、及び、(d)は華皿の柄を示している。
【
図4】新郎新婦が暖簾をくぐる状態を示した概略図である。
【
図5】挙式において暖簾を式場内に飾った状態を示す概略図である。
【
図6】結納において暖簾を式場内(または宴席)に飾った状態を示す概略図である。
【
図7】結婚披露宴の式場のテーブルを、博多織の献上柄を付したテーブルクロスで装飾した状態を示す概略図である。
【
図8】結婚披露宴の花束贈呈において、博多織の献上柄を付した風呂敷で包んだ花束で、花束贈呈を行う状態を示す概略図である。
【
図9】新郎の蝶ネクタイ及びポケットチーフに献上柄を付すことを示す概略図である。
【
図10】新婦の帯、帯締め、扇子及びしめ縄ブーケに博多織の献上柄を付すことを示す概略図である。
【
図11】(a)は、新郎の父または新婦の父のネクタイ及びポケットチーフに博多織の献上柄を付すことを示す概略図であり、(b)は、新郎の母または新婦の母の帯及び帯締めに博多織の献上柄を付すことを示す概略図である。
【
図12】通夜、葬儀または告別式の式場に飾る暖簾の一例を示す図である。
【
図13】葬儀場から出棺する際に、葬儀場の出入り口に暖簾を設けて、暖簾をくぐる状態を示した概略図である。
【
図14】通夜、葬儀または告別式の式場に、供花と共に暖簾を飾った状態を示す概略図である。
【
図15】火葬場において、棺の中に暖簾を入れて、故人をお見送りする際の状態を示す概略図である。
【
図16】縁起柄(またはご当地柄)の一例を示す図であり、(a)は久留米絣の柄の一例、(b)は吉祥文様の市松、(c)は吉祥文様の麻の葉、(d)は吉祥文様の青海波、(e)は吉祥文様の井桁である。
【
図17】ご当地柄(大島紬)の一例を示す図であり、(a)は龍郷柄、(b)~(d)は亀甲柄である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[本発明の第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は本発明を適用した式典の演出方法の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0031】
本発明を適用した式典の演出方法の一例である演出方法Aは、結婚式の演出に関するものである。また、演出方法Aは、新郎新婦が縁起柄を付した暖簾をくぐる入場演出工程と、式の会場内の装飾または会場内でのイベントを演出する場内演出工程とを備えている。
【0032】
なお、ここでいう入場演出工程が、本願請求項における第1のイベント工程に該当する。また、また、ここでいう場内演出工程が、本願請求項における第2のイベント工程に該当する。
【0033】
また、演出方法Aでは、
図1に示すような暖簾1を用いて、結婚式において、日本らしさがあり、おめでたい印象を強め、かつ、縁起が良い雰囲気を醸し出すことができる。
【0034】
この暖簾1は、縁起柄の1種として、博多織の献上柄2が付されている(
図1~
図5参照)。また、暖簾1は、新郎新婦の両家の家紋3が付されている。また、暖簾1には、新郎新婦の好みに合わせた種々の柄4が付されている。
【0035】
なお、博多織とは、福岡県福岡市の主に博多地区で特産とされる絹織物であり、日本三大織物の一つに数えられる伝統的な織物である。また、献上柄とは、博多織独特の柄の種類である。
【0036】
また、博多織の献上柄2は、複数の柄で構成されている。具体的には、
図3に示す各種の柄である。
【0037】
これらの献上柄2には、各々に意味があり、親子縞(
図3(a)参照)は、太い縞が細い縞を挟むように配された縞模様で、「親が子を守る」という意味がある。また、独鈷(
図3(b)参照)は、煩悩を打ち砕くとされる仏具・法器を模している。また、孝行縞(
図3(c)参照)は、細い縞が太い縞を挟むように配された縞模様で、「子が親を慕う」という意味がある。さらに、華皿(
図3(d)参照)は、仏の供養の際に散布する花を入れる皿を模している。
【0038】
このように暖簾1には、ベースの布地に印刷または織り込みにより複数の献上柄2が付され、更に、その布地に対して、例えば、色鮮やかな両家の家紋3や種々の柄4が付されている。
【0039】
ここで、暖簾1に付される縁起柄は、博多織の献上柄2に限定されるものではなく、縁起が良いとされる柄であれば暖簾に付す柄として採用しうる。また、暖簾1に付される縁起柄は、必ずしも、式典を行う土地に特有のご当地柄である必要はない。但し、その土地ならではの伝統や文化を取り入れた演出を行うことができ、式典の雰囲気をより一層、盛り上げることができることから、暖簾に付す縁起柄として、式典を行う土地に特有のご当地柄が採用されることが好ましい。
【0040】
また、暖簾1には、複数の献上柄2が付されているが、必ずしも、複数の献上柄2が付される必要はなく、単一の献上柄2を付した暖簾となってもよい。
【0041】
また、暖簾1では、献上柄2がベースの布地に織り込まれ、家紋3や種々の柄4よりも目立たない態様で献上柄2が付されているが、必ずしもそのような態様に限定される必要はない。例えば、献上柄2を色鮮やかで目立つ態様として暖簾に付すこともできる。
【0042】
また、演出方法Aの入場演出工程では、
図4に示すように、暖簾1を結婚式披露宴の式場の出入り口に配置して、新郎新婦の式場への入場の際に、新郎新婦が暖簾1をくぐって、式場に入場する演出が行われる。
【0043】
このような、献上柄2が付された華やかな暖簾1をくぐって、新郎新婦が式場に入場する演出により、結婚式披露宴において、新郎新婦が入場する際の雰囲気を盛り上げることができる。また、会場を華やかにし、日本らしく、おめでたい印象を強くすることができる。
【0044】
さらに、暖簾1に付された献上柄2が有する意味により、縁起がよい雰囲気を更に一層高めることができる。また、新郎新婦から両親への感謝の思いや、両親から新郎新婦への思いを表すことができる。
【0045】
また、本発明を適用した式典の演出方法では、
図5に示すように、挙式のシーンにおいて、挙式の式場に暖簾1を配置することができる。また、
図6に示すように、新郎新婦の両家の結納のシーンにおいて、結納を行う場所や宴席に、暖簾1を配置することができる。
【0046】
このように、本発明を適用した式典の演出方法では、結婚式披露宴のシーンだけでなく、挙式や結納のシーンにおいても、暖簾1を配置して、各イベントの雰囲気を盛り上げることができる。
【0047】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図7に示すように、結婚式披露宴の式場内に配置されたテーブルに、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付されたテーブルクロス5が置かれ、同テーブルにて食事を行う会食工程が含まれている。
【0048】
このテーブルクロス5は、例えば、式場内の出席者が食事を行うテーブルに置かれる。また、図示しないが、新郎新婦のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターには、同様に献上柄2が付され、ここでの献上柄2には孝行縞(
図3(c)参照)が含まれている。
【0049】
また、図示しないが、新郎新婦の両親のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターには、同様に献上柄2が付され、ここでの献上柄2には親子縞(
図3(a)参照)が含まれている。
【0050】
このように、結婚式披露宴の式場内における出席者が行うテーブルに設けられたテーブルクロス5や、新郎新婦のテーブル、または、新郎新婦の両親のテーブルに設けられたテーブルクロス等に献上柄2を付して、式場内にて食事を行うことで、式場の雰囲気をより一層縁起が良い雰囲気にすることができる。
【0051】
ここで、必ずしも、結婚式披露宴の式場内に配置されたテーブルに献上柄2が付されたテーブルクロス5が置かれる必要はない。但し、暖簾1に付された献上柄2と相まって、披露宴の式場を、より縁起が良い雰囲気にすることができる点から、結婚式披露宴の式場内に配置されたテーブルに献上柄2が付されたテーブルクロス5が置かれることが好ましい。
【0052】
また、必ずしも、新郎新婦のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターに献上柄2が付され、その献上柄2に孝行縞が含まれる必要はない。但し、暖簾1に付された献上柄2と相まって、披露宴の式場を、より縁起が良い雰囲気にすることができる点、及び、孝行縞の持つ「子が親を慕う」という意味から、新郎新婦から両親への思いを表現できる点から、新郎新婦のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターに献上柄2が付され、その献上柄2に孝行縞が含まれることが好ましい。
【0053】
また、必ずしも、新郎新婦の両親のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターに献上柄2が付され、その献上柄2に親子縞が含まれる必要はない。但し、暖簾1に付された献上柄2と相まって、披露宴の式場を、より縁起が良い雰囲気にすることができる点、及び、親子縞の持つ「親が子を思う」という意味から、新郎新婦の両親から、新郎新婦への思いを表現できる点から、新郎新婦の両親のテーブルに置かれたテーブルクロス、ランチョンマット及びコースターに献上柄2が付され、その献上柄2に親子縞が含まれることが好ましい。
【0054】
また、上述した内容では、テーブルクロス等に、博多織の献上柄2を付す態様を示したが、ここで用いる柄は献上柄2に限定されるものではなく、その他の縁起柄や、式典を行う土地に固有のご当地柄が採用されてもよい。
【0055】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図8に示すように、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付された風呂敷6a及び風呂敷6bで花束を包み、その花束を新郎新婦が両親に渡す花束贈呈工程が含まれている。
【0056】
また、風呂敷6aは、新郎の両親用(新郎家)の花束を包む風呂敷であり、風呂敷6bは、新婦の両親用(新婦家)の花束を包む風呂敷である。
【0057】
このように、新郎新婦が両親に渡す花束を、献上柄2が付された風呂敷6a及び風呂敷6bで包み、新郎新婦から両親への花束贈呈のイベントを行うことで、式場の雰囲気をより一層縁起が良い雰囲気にすることができる。
【0058】
また、
図8に示す風呂敷6cは、風呂敷6a及び風呂敷6bとお揃いの柄が、色違いで付された新郎新婦の持ち帰り用の風呂敷である。
【0059】
この風呂敷6a、風呂敷6b及び風呂敷6cは、新郎新婦の両家の両親と、夫婦に新郎新婦の3つの家族が、結婚式の記念として、色違いの風呂敷をもつことで、両家の繋がりを深め、縁起のよい献上柄2(縁起柄)に見守られ、共に繁栄していくことを願う意味を有している。
【0060】
ここで、必ずしも、新郎新婦が両親に渡す花束を、献上柄2が付された風呂敷6a及び風呂敷6bで包み、新郎新婦から両親への花束贈呈のイベントを行う必要はない。但し、暖簾1に付された献上柄2と相まって、披露宴の式場を、より縁起が良い雰囲気にすることができる点から、新郎新婦が両親に渡す花束を、献上柄2が付された風呂敷6a及び風呂敷6bで包み、新郎新婦から両親への花束贈呈のイベントを行うことが好ましい。
【0061】
また、必ずしも、博多織の献上柄2が風呂敷6a、風呂敷6b及び風呂敷6cに付される必要はなく、その他の縁起柄や、式典を行う土地に固有のご当地柄が各風呂敷に付される柄として採用されてもよい。
【0062】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図9に示すように、蝶ネクタイ7及びポケットチーフ8に、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付され、新郎が蝶ネクタイ7及びポケットチーフ8を着用している。
【0063】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図10に示すように、帯9及び帯締め10(
図10(a)参照)、扇子11(
図10(b)参照)、及び、しめ縄ブーケ12(
図10(c)参照)に、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付され、新婦が帯9及び帯締め10扇子11を着用している。また、新婦がしめ縄ブーケ12を用いて、ブーケトスを行う。
【0064】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図11(a)に示すように、ネクタイ13及びポケットチーフ14に、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付され、新郎新婦の父親が、ネクタイ13及びポケットチーフ14を着用している。
【0065】
また、演出方法Aの場内演出工程では、
図11(b)に示すように、帯15及び帯締め16に、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付され、新郎新婦の母親が、帯15及び帯締め16を着用している。
【0066】
このように、新郎新婦が着用する身飾品や道具、または、新郎新婦の両親が着用する身飾品に、献上柄2が付されることで、式場の雰囲気をより一層縁起が良い雰囲気にすることができる。
【0067】
ここで、必ずしも、新郎新婦が着用する身飾品や道具、または、新郎新婦の両親が着用する身飾品に、博多織の献上柄2が付される必要はなく、その他の縁起柄や、式典を行う土地に固有のご当地柄が採用されてもよい。
【0068】
また、縁起柄が付される身飾品は、蝶ネクタイ、ネクタイ、ポケットチーフ、帯、帯締め、扇子、及び、しめ縄ブーケに限定されるものではなく、新郎新婦や、その両親または出席者が身に着けるその他の身飾品に、縁起柄を付すことも考えられる。
【0069】
以上のように、本発明の式典の演出方法の一例である演出方法Aでは、入場演出工程で、暖簾1を結婚式披露宴の式場の出入り口に配置して、新郎新婦の式場への入場の際に、新郎新婦が暖簾1をくぐって、式場に入場する演出を行うことで、新郎新婦が入場する際の雰囲気を盛り上げ、会場を華やかにし、日本らしく、おめでたい印象を強くすることができる。
【0070】
また、演出方法Aでは、場内演出工程で、暖簾1に付された献上柄2と同様の献上柄2が付されたテーブルクロス5等を配置して会食を行うことで、式場の雰囲気をより一層縁起が良い雰囲気にすることができる。
【0071】
[本発明の第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は本発明を適用した式典の演出方法の一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0072】
本発明を適用した式典の演出方法の一例である演出方法Bは、葬儀に関連する式典の演出に関するものである。また、演出方法Bは、縁起柄を付した暖簾をくぐって出棺する出棺演出工程と、式の会場内の装飾またはイベントを演出する場内演出工程とを備えている。
【0073】
なお、ここでいう出棺演出工程が、本願請求項における第1のイベント工程に該当する。また、また、ここでいう場内演出工程が、本願請求項における第2のイベント工程に該当する。
【0074】
また、演出方法Bでは、
図12に示すように、暖簾17を用いて、葬儀に関連する式典において、式典の厳かな雰囲気を演出することができる。
【0075】
この暖簾17は、上述した暖簾1と同様に、博多織の献上柄2(
図3及び
図12参照)が付されている。また、暖簾17には種々の柄18が付されている(
図12参照)。
【0076】
ここで、暖簾17に付される縁起柄は、博多織の献上柄2に限定されるものではなく、縁起が良いとされる柄であれば暖簾に付す柄として採用しうる。また、暖簾17に付される縁起柄は、必ずしも、式典を行う土地に特有のご当地柄である必要はない。但し、その土地ならではの伝統や文化を取り入れた演出を行うことができ、式典の雰囲気をより一層、厳かなものにできることから、暖簾に付す縁起柄として、式典を行う土地に特有のご当地柄が採用されることが好ましい。
【0077】
また、暖簾1には、複数の献上柄2が付されているが、必ずしも、複数の献上柄2が付される必要はなく、単一の献上柄2を付した暖簾となってもよい。また、暖簾17には、献上柄2のうち、柄が有する意味から、独鈷、または、華皿の柄が含まれていることが好ましい。
【0078】
また、演出方法Bの入場演出工程では、
図13に示すように、暖簾17を葬儀場の出入り口に配置して、出棺の際に、棺19と棺19を運ぶ人が暖簾17をくぐって、葬儀場を出る演出が行われる。
【0079】
このような、献上柄2が付された暖簾17をくぐって、葬儀場から棺19を運びだす演出により、葬儀に関連する式典において、厳かな雰囲気を醸し出すことができる。なお、
図13~
図15で示す暖簾17は、献上柄2が付されているが、
図12で示す暖簾17とは異なる模様が付されている。
【0080】
また、演出方法Bの場内演出工程では、
図14に示すように、通夜、葬儀または告別式を行う式場の中で、供花20と共に暖簾17を会場に飾って、各式典を行う。
【0081】
また、図示しないが、棺19の上にかぶせる布、祭壇周りの献花や写真の下に置く布、または、受付周りのデスクの上に敷く布に、暖簾17と同様の献上柄2を付して、各式典を行う。
【0082】
このように、通夜、葬儀または告別式を行う式場内に、暖簾17を飾ったり、会場内等で使用する布に、暖簾17と同様の献上柄2を付した布を用いたりすることで、式場の雰囲気をより一層厳かなものにすることができる。
【0083】
ここで、必ずしも、通夜、葬儀または告別式を行う式場内で、供花と共に暖簾17を会場に飾って、各式典を行う必要はない。但し、上述したように、献上柄2を付した暖簾17を飾ることで、式場の雰囲気をより一層厳かなものにすることができる点から、通夜、葬儀または告別式を行う式場内で、供花と共に暖簾17を会場に飾って、各式典を行うことが好ましい。
【0084】
また、必ずしも、通夜、葬儀または告別式を行う式場内で使用する布に、暖簾17と同様の献上柄2を付した布を用いる必要はない。但し、暖簾17に付された献上柄2と相まって、式場の雰囲気をより一層厳かなものにすることができる点から、通夜、葬儀または告別式を行う式場内で使用する布に、暖簾17と同様の献上柄2を付した布を用いることが好ましい。
【0085】
また、上述した内容では、暖簾17や布に、博多織の献上柄2を付す態様を示したが、ここで用いる柄は献上柄2に限定されるものではなく、その他の縁起柄や、式典を行う土地に固有のご当地柄が採用されてもよい。
【0086】
また、演出方法Bでは、
図15に示すように、火葬場において、棺19の中に暖簾17を入れて、故人のお見送りを行う。
【0087】
このように、棺19に暖簾17を入れることで、暖簾17を極楽浄土への扉の前の道標に見立てて、故人を見送る演出を行うことができる。
【0088】
以上のように、本発明の式典の演出方法の一例である演出方法Bでは、縁起柄を付した暖簾17をくぐって出棺する出棺演出工程や、暖簾17を用いて式の会場内の装飾等する場内演出工程によって、式典の雰囲気を厳かなものにできる。
【0089】
以下、暖簾等に付される縁起柄の更なる例を説明する。
例えば、採用しうる縁起柄として、久留米絣(
図16(a)参照)に多く見られる種々の吉祥文様の図柄(
図16(b)~
図16(e)参照)が存在する
【0090】
ここで、久留米絣とは、福岡県久留米市および周辺の旧久留米藩地域で製造されている絣であり、藍染めが主体の綿織物である。
【0091】
また、久留米絣に見られる吉祥文様では、例えば、市松(
図16(b)参照)は、正方形を交互に並べた模様であり、その柄が途切れることなく続いて行くことから、繁栄の意味が込められている。また、麻の葉(
図16(c)参照)は、古くから神聖なものとして神事に用いられる、植物の「麻」を模した模様であり、魔除けや、健やかな子供の成長を願う意味を有している。
【0092】
また、青海波(
図16(d)参照)は、半円形を重ねたものを鱗状に並べることで「波」を表した模様であり、無限に広がる穏やかな波に未来永劫と平和な暮らしへの願いが込められている。さらに、井桁(
図16(e)参照)は、井戸の縁に組まれた木製の枠の名で、それを象徴化した「井」を模様にした柄であり、生活になくてはならない井戸を守ることを表すことから家内安全の意味が込められている。
【0093】
また、例えば、採用しうるご当地柄として、大島紬の種々の図柄(
図17(a)~
図17(d)参照)が存在する。大島紬とは、鹿児島県南方にある奄美群島(主に奄美大島)の伝統工芸品としてつくられる織物である。
【0094】
また、大島紬の図柄では、例えば、龍郷柄(
図17(a)参照)は、奄美を代表する古典柄で女性用として奄美に自生するソテツをデザインしたものであり、ソテツの葉と実を幾何学模様で表現した大島紬の代表的な図柄である。
【0095】
また、亀甲柄(
図17(b)~(d)参照)は、男物の小付け模様の代表であり、縁起が良い亀甲の形の模様である。この亀甲柄には、更に、西郷柄、有馬柄、伝優柄、白雲柄、花ん華柄などがある。
【0096】
なお、上述した久留米絣や大島紬の柄は、縁起柄の一例であり、本発明を適用した式典の演出方法では、暖簾等に付す縁起柄として、その他の縁起が良い柄や、その土地特有のご当地柄を採用することができる。
【0097】
以上のように、本発明の式典の演出方法及び式典の演出用具は、縁起が良い柄を付した道具を活用し、式典において良好な雰囲気を演出することが可能なものとなっている。
【符号の説明】
【0098】
1 暖簾
2 献上柄
3 家紋
4 種々の柄
5 テーブルクロス
6a (新郎家用)風呂敷
6b (新婦家用)風呂敷
6c (新郎新婦用)風呂敷
7 蝶ネクタイ
8 ポケットチーフ
9 帯
10 帯締め
11 扇子
12 しめ縄ブーケ
13 ネクタイ
14 ポケットチーフ
15 帯
16 帯締め
17 暖簾
18 種々の柄
19 棺
20 供花