(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024719
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】フェースシールドおよびフェースシールド用シート
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220202BHJP
A42B 3/20 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127469
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】520281088
【氏名又は名称】株式会社OOYOO
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀彦
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA08
3B107CA04
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でかつ携帯性にも優れたフェースシールドを提供する。
【解決手段】このフェースシールド100は、顔面を覆うシールド部材110と、それを使用者の頭部に固定するためのバンド150とを備え、前記シールド部材110は一枚のシート1を折り曲げて形成されたものであり、顔面を立体的に覆うシールド部分111と、前記シールド部分111の上端部においてシートを切り起こすように形成され使用者の額に当接する当接部131と、フェースシールドを正面側から見て前記シールド部分111の上部左右両側に設けられた角部121であって、前記シートの隅部を折り曲げることによって形成され、前記バンド150が通されるバンドP1が設けられた角部121を有することを特徴する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面を覆うシールド部材と、そのシールド部材を使用者の頭部に固定するためのバンドとを備えるフェースシールドであって、
前記シールド部材は、
一枚のシートを折り曲げて形成されたものであり、
顔面を立体的に覆うシールド部分と、
前記シールド部分の上端部においてシートを切り起こすように形成され使用者の額に当接する当接部と、
フェースシールドを正面側から見て前記シールド部分の上部左右両側に設けられた角部であって、前記シートの隅部を折り曲げることによって形成され、前記バンドが通されるバンド孔が設けられた角部と、
を有することを特徴する、フェースシールド。
【請求項2】
前記角部どうしの間には前記バンドが掛け渡されている、請求項1に記載のフェースシールド。
【請求項3】
前記当接部は、
フェースシールドの使用時姿勢で使用者の額に押し当たる第1の当接面と、
フェースシールドを跳ね上げた姿勢で使用者の額に押し当たる第2の当接面と、
を有する、請求項1または2に記載のフェースシールド。
【請求項4】
請求項1に記載のフェースシールドを作成するためのフェースシールド用シートであって、
前記角部を形成するための、シート上隅部からシート中央部側に向かって延びる山折り線と、
前記角部を形成するための、前記山折り線の端部からシート上辺側に向かって延びる谷折り線と、
がシートの左右両側に表示されており、
前記山折り部および谷折り部を折り曲げることによって前記角部が形成されるようになっている、フェースシールド用シート。
【請求項5】
さらに、
使用者の額に当接する前記当接部を形成するための複数の切起し部がシート上辺部に表示されている、請求項4に記載のフェースシールド用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫感染防止のために用いられる使用者の顔面を覆うフェースシールドおよびフェースシールド用シートに関し、特に、簡単な構成で作成可能でしかも携帯性にも優れたフェースシールドおよびフェースシールド用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルスの感染拡大防止等のために、近年、マスクの着用や手洗いの励行、ソーシャルディスタンスの確保が重要視されるとともに、使用者の顔面を覆うフェースシールド等も広く利用されるようになってきている。フェースシールドとしては、例えば、頭部に固定される部材と透明なシールド部材とからなるものや、眼鏡のフレームのような保持部材に透明なシールド部材が保持されるもの等、種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、アイシールドではあるものの、1枚の透明なシート材とそれを保持するフレームとからなる比較的簡素な構造の飛沫感染防止器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェースシールドは、医療機関等のみならず、学校等の教育機関や市役所等の公共機関などで広く利用されることが想定され、利用場所や用途にもよるが、簡単な構造で安価に提供できるものが望ましい。特に、シールドフレームとシート材で構成されるフェースシールドの場合、シールドフレーム等が立体的な形状となっているため携帯性が悪いという課題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で作製可能でしかも携帯性にも優れたフェースシールドおよびフェースシールド用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る発明は下記の通りである:
顔面を覆うシールド部材と、そのシールド部材を使用者の頭部に固定するためのバンドとを備えるフェースシールドであって、
前記シールド部材は、
一枚のシートを折り曲げて形成されたものであり、
顔面を立体的に覆うシールド部分と、
前記シールド部分の上端部においてシートを切り起こすように形成され使用者の額に当接する当接部と、
フェースシールドを正面側から見て前記シールド部分の上部左右両側に設けられた角部であって、前記シートを部分的に折り曲げることによって形成され、前記バンドが通されるバンド孔が設けられた角部と、
を有することを特徴する、フェースシールド。
【0008】
このように構成されたフェースシールドによれば、シートを部分的に折り曲げて角部を形作るとともにシールド部が顔面を立体的に覆うように形成され、結果として、一枚のシートからシールド部材を作製することができ、また、角部にバンドを通してそのバンドによって頭部への固定を行うことができる。したがって、シート材とバンドという簡単な部材でフェースシールドを作製でき、特に、シートは平面状のものを使用することができるため使用前の状態で製品が嵩張ることもない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で作成可能でしかも携帯性にも優れたフェースシールド等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態のフェースシールドの斜視図である。
【
図2】フェースシールドを正面側から見た図である。
【
図3】フェースシールドを装着した状態の模式図である。
【
図4】フェースシールドの使用時状態と持ち上げた状態とを説明するための模式図である。
【
図5】額に当接する当接部の具体的な構造を示す断面図(フェースシールド左右方向の中心線に沿う断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の幾つかの形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する具体的な形態や方法はあくまで本発明の一形態に係るものであり、本発明はこれに必ずしもこれに限定されるものではない。まず、
図1、
図2を参照して本実施形態に係るフェースシールドについて説明する。
【0012】
図1に示すように、このフェースシールド100は、使用者の顔面を覆うシールド部材110と、それを使用者の頭部に固定するためのバンド150とを備えている。シールド部材110は、後述するように一枚の透明なシートを折り曲げて形成されたものである。
【0013】
バンド150は、長尺な紐状の部材であり、特に限定されるものではないが伸縮性のあるものであってもよい。この例では、円形断面のバンド150が描かれているが、これに限定されるものではない。バンド150は、使用者の頭部に固定できる程度の十分な長さを有している。バンド150の端部どうしを後頭部側で結んで固定するようにしてもよいし、いわゆるバンドストッパ(例えば、可動ボタンを有した樹脂製の筐体内に2本の紐を通し、スプリング等の付勢力で紐を押さえて固定を行う固定具)を利用して固定するものとしてもよい。
【0014】
シールド部材110は、部分ごとに大別すると、使用者の顔面を立体的に覆うシールド部分111と、そのシールド部分111の上端部に位置し使用者の額に当接する当接部131と、シールド部分111の上部左右両側に設けられた角部121、121とを含んでいる。
【0015】
シールド部分111は、より具体的には、使用者の顔面に沿うようになだらかにカーブした前面部111fと、その前面部111fから屈曲した上面部111tとを有している。前面部111fの形状・大きさに関し、使用者の顔面を全体的に覆うことができるようなサイズであれば特に限定されるものではないが、例えば、
図2に示す縦寸法d
111を120mm~200mm程度としてもよい。
【0016】
シールド部分111の上面部111tには、使用者の額に当接する部分である当接部131が複数形成されている。当接部131は、上面部111tの端部を上方に切り起こして形成された部位であり、このような当接部131が形成されていることによって、シート材のエッジが額に押し当たるのではなく、当接部131の一部が面で額に当接することとなるため、特にクッション材等を介在させなくても不快感なく装着することが可能となる。もっとも、これはクッション材の併用を排除するものではなく、本発明の一形態としてはクッション材(不図示)を介在させて装着するようにしてもよい。当接部131は、
図1の例では4つ形成されているが、3つ以下または5つ以上としてもよい。
【0017】
角部121、121は、1枚のシートを折り曲げることによって形成された部分であり、シールド部分111の形状を立体的に維持する役割を果たすとともに、バンド150を通すためのバンド孔が幾つか形成されている。
図1の例では、孔P1、P1’、孔P2、P2’、孔P3、P3’(後述する
図6も参照)が形成されている。バンド150は、図示するように、孔P2’、P2、P3、P3’(不図示)、P1’、P1の順で通され、角部121の側面から使用者の後頭部側へと引き出されるようになっている。
【0018】
バンド150をこのような態様で各孔に通すことで、角部121、121どうしを適当な距離に保って保持するとともに、それぞれ角部121、121をある程度折り曲げた形態に維持することができる。各孔のサイズは一例として5~7mmが好ましく、より具体的には6mm程度であってもよい。孔に対するバンド150の太さとしては、一例として、孔と同径もしくはやや小径とすることが好ましく、これによりバンド150が良好に保持されて孔からの抜け等も防止される。
【0019】
続いて、上述したフェースシールドを作成するためのシートについて説明する。
図6に、フェースシールド用シートの一例を示す。
【0020】
このフェースシールド用シート1は、1枚の透明な平面シート材に各種線や図形が印刷されたものである。フェースシールド用シート1としては、種々の形状のものとしてもよいが、例えば四角形(特には長方形)のものを利用でき、具体的には、A4サイズ(210mm×297mm)としてもよい。このように汎用的なサイズのシートは、製造コストを抑えることができる点で有利である。なお、当然ながら、A4サイズ以外としてもよいし、また、四角形に限らず任意の輪郭形状としてもよく、例えば、五角形や六角形のような多角形や、外形の一部に略円弧状のようなカーブした部分を含む任意形状(一例としてU字形等)としてもよい。
【0021】
フェースシールド用シート1は、可撓性があり、かつ、折り曲げた際にある程度形状保持性がある材質であればどのようなものを用いてもよいが、一例で、シート厚みが0.1~0.5mm程度、好ましくは0.15~0.3mm程度とすることができ、材質としてはPET、PP、PE、PVC、PC、PMMA等を利用可能である。
【0022】
図6に示すように、フェースシールド用シート1は、角部121、121(
図1参照)を形作るための部位として、山折り線11および谷折り線12を含んでいる。なお、右側の角部121のための山折り線11および谷折り線12と、左側の角部121のための山折り線11および谷折り線12は、シートの中心線(不図示)を挟んで左右対称であるので、ここでは、一方の角部121の山折り線11および谷折り線12のみについて説明する。
【0023】
山折り線11は、シートの上隅部から、シートの中央部側に向かって延びる直線である。山折り線11がシート上辺となす角度はこの例では約45°であり、これにより、山折り線11を基準としてシート部分Sa、Sbが対称形状となっている。山折り線11の近傍には、バンド150を通すための孔となる表示P1、P1’、P2、P2’、P3、P3’(孔P等とも表記する)が表示されている。これらの表示は山折り線11を挟んで対称に表示されていてもよい。これは、山折り線11を折った後に、穿孔器具を用いて2つの孔を1回の行程で形成可能なことを意味する。山折り線11に沿ってシートを折った際に鋭い角部が形成されないように、山折り線11の端部付近には円弧状にシートを切ることを示すカットラインR(
図6では一部のみに符号Rを付している)が表示されている。
【0024】
谷折り線12は、山折り線11の端部からシート上辺側に向かって延びる直線であり、角部121の内側根本部分を画定するための線である。谷折り線12と山折り線11とがなす角度は例えば70°~90°程度である。
【0025】
なお、本実施形態において角部121(
図1)どうしの距離は例えば120mm以上であることが、シールドを持ち上げた際に角部121が頭部に干渉しないため好ましい。ここで言う角部どうしの距離とは、シート1の点A(山折り線11、谷折り線12の交点)どうしの間隔としてもよい。
【0026】
図6に示すように、左側の谷折り線12と右側の谷折り線12との間には、緩やかな略アーチ型の谷折り線15が描かれている。この谷折り線15は、使用者の額のカーブに沿うような形状でカーブしたものであることが好ましい。この谷折り線15とシート上辺とで囲まれる領域をScとする。領域Scにおいては、当接部131(
図1参照)を形成するための複数のカットライン17が表示されている。各カットライン17の先端部には、孔を設けるための表示P5が表示されていてもよい。この理由は、カットライン17の先端側に円孔を設けることで、当接部131のどうしの間に円孔が存在することとなり、カットライン17に沿う切込み部の先端の応力集中を回避して切欠き効果を防止し、また、額にシート材のシャープなエッジが当たること等も防止できるためである。
【0027】
図6に示すように、本実施形態では、アーチ型の谷折り部15に加え、その外側にも同様のアーチ型谷折り部15’が表示されている。このような構成により、第1の谷折り部15と第2の谷折り部15’とをそれぞれ折り曲げることで、
図4、
図5に示すように、当接部131に、第1の当接面131sと、第2の当接面131tとが形成されることとなる。
【0028】
第1の当接面131sは、
図4(a)に示すようにフェースシールドの使用時姿勢で、使用者の額に押し当たる面である。
【0029】
第2の当接面131tは、
図4(b)に示すようにフェースシールドを持ち上げた姿勢で、使用者の額に押し当たる面である。このように、使用時姿勢で額に当接する面131sの他に別の当接面131tを設けられており、かつ、バンド150がストッパとして作用することにより(詳細下記)、本実施形態のフェースシールド100は簡単な構成にも係わらず、シールドを持ち上げた姿勢で保持できるようになっている。
図4(a)の使用時姿勢では、バンド150は、額の当接点Phと後頭部Pjとを結ぶ基準線Lよりも下方に位置し、フェースシールドには図示矢印Aの引張力が作用し、その結果、当接点Phを支点としてフェースシールド全体が顔側に引っ張られて安定的に保持される。
【0030】
これに対して、
図4(b)の状態では、バンド150は、基準線Lよりも上方に位置するととなり、フェースシールドには図示矢印A’の引張力が作用し、その結果、当接点Phを支点としてフェースシールド全体が跳ね上がる。本実施形態では、この状態で、角部121どうしの間に掛け渡されたバンド150が額に接触することによって、シールドを跳ね上げた姿勢で保持されるようになっている。シールド部分111を手で下げることによって、再び
図4(a)のような使用時姿勢に戻すことができる。なお、角部121どうしの間に掛け渡されたバンド150が額に接触して謂わばストッパの役割を果たすことを考慮すると、バンド150は、額の当接点Phからある程度上方に位置するように構成されていることが好ましい。フェースシールドの所定位置を基準としてこのことを規定するとすれば、例えば、
図5に示すように、谷折り線15から角部どうしの間に掛け渡されたバンド150までの距離da(組立時)が少なくとも10mm以上、好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上確保されている構成が望ましい。
【0031】
再び
図6を参照し、シート1の両側部には、孔を設けるための表示P4(孔P4ともいう)が表示されるとともに、シート側縁から表示P4に至るカットライン21および、カットライン21の切り込み始点付近のアール部Rが表示されている。これにより、眼鏡のつるとの干渉を防止または低減することができる。
【0032】
図6に示すように、シート1の下側の両隅部にもアール部Rが表示されている。
【0033】
なお、上記の例ではシート1に孔を形成するための表示のみが印刷されている態様を想定したが、本発明の一形態として、予め穿孔が行われたシート材としてもよい。カットラインおよび/またはR部のカットについても同様である。
【0034】
(組立て手順の一例)
以上のようなフェースシールド用シート1は、下記の手順で組み立てることができる。なお、下記の手順はあくまで一例であって行程の順序などは適宜変更可能である。まず、使用者はフェースシールド用シート1(
図6)を用意し、また、必要に応じてハサミ、孔開けパンチ等を用意する。
【0035】
次いで、シート1の所定のカット部分(カットライン17、21、R部)をハサミでカットする。なお、角部121のR部については折り曲げ後にカットを行ってもよい。また、孔P4、P5を孔開けパンチで穿孔する。孔P1、P2、P3等については角部121の折り曲げ後に穿孔すればよい。
【0036】
当接部131については、それぞれを谷折り線(直線)15、15’に沿って折り曲げシートから切り起こす。
【0037】
角部121については、それぞれ山折り線11、谷折り線12を折り曲げることによって
図1のように角部121が立ち上がる。またこれと同時にシート全体が湾曲して顔面を覆う立体的な形状が保持される。シート1の材質によっては、角部121を折り曲げてもその形態が保持しにくい場合も想定されるが、その場合には、ステープラー等の補助具を利用して角部121の形態を保つようにすればよい。
【0038】
その後、バンド150を、
図1を参照して上述したような経路で通すことによって、フェースシールド100を完成させることができる。なお、この例では、角部121に、孔P3、P3’が設けられているが、この孔を設けずに単にバンド150を角部121の後ろ側(
図1参照)を引き回して、前方側の孔P1’、P1に通すようにしてもよい。別の態様としては、左右の角部121どうしをバンド150で繋ぐのではなく、バンド150の端をそれぞれの角部121に締結するようにしてもよい。
【0039】
以上説明したような本実施形態のフェースシールド100は、シート1の一部を折り曲げて角部121を形作るとともにシールド部分111が顔面を立体的に覆うように形成され、結果として、一枚のシート1からシールド部材100を作製することができる。また、角部121に通したバンド150によって頭部への固定を行うことができる。したがって、シート1とバンド150という簡単な部材でフェースシールド1を作製でき、特に、シート1は平面状のものを使用することができるため使用前の状態で製品が嵩張ることもない。シールド部分111は、全体的に緩やかに湾曲した形状であって、折曲げによって顔の正面および両側面を覆うようにしたものではないので、折曲げ部(縦方向)が存在せず良好な視界も確保できる。つまり、この例では、折曲げは角部121および当接部131だけであり、シールド部分111はその結果として緩やかな湾曲を作り出し、上部側から下部側にかけて、一定の略円弧状から放物線状に変化するような形状をしており、これにより、良好な視界が確保できるものとなっている。加えて、シールド部分111の立体的形状によって顔の正面側だけではなく、両サイドや上方側も覆われるようになっているので顔面へのシールド性を向上させることができる。
【0040】
また、当接部131には、額に当たる第1の当接部131s、第2の当接部131tを形成しており、かつ、角部121どうしの間にバンド150が掛け渡されていてそれが跳上げ時のストッパの役割を果たすようになっているので、簡単な構成にも関わらず、フェースシールド100を使用時状態と跳上げ状態とに切替え可能とすることができる。
【0041】
バンド150は、端部どうしを結んでリング状としておきバンド150の伸縮性を利用して頭部に固定する方式であってもよいし、前述のとおりバンドストッパ(不図示)を用いてサイズ調整可能としてもよい。必要に応じて、複数のバンドストッパを用いるようにしてもよく、例えば、角部121の側面(孔P2付近)にそれぞれバンドストッパを設け、角部121の形状や左右の角部121の距離を適切に保つことができるようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態のフェースシールド100は、シールド部分111が立体的に形成され、上方、正面、左右側面をカバーし高いシールド効果を得ることができる。また、ステープラー等を使わずに全体の形を維持することもできるため、使用後には平坦な状態に戻すことも可能であり、コンパクトに携帯・収納することができる。
【0043】
以上本発明の一形態について具体的な例を参照しながら説明したが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0044】
(付記)
本出願は以下の内容を開示する:
1.顔面を覆うシールド部材(110)と、そのシールド部材(110)を使用者の頭部に固定するためのバンド(150)とを備えるフェースシールド(100)であって、
上記シールド部材(110)は、
一枚のシート(1)を折り曲げて形成されたものであり、
顔面を立体的に覆うシールド部分(111)と、
上記シールド部分(111)の上端部においてシートを切り起こすように形成され使用者の額に当接する当接部(130)と、
フェースシールドを正面側から見て上記シールド部分(111)の上部左右両側に設けられた角部(121、121)であって、上記シートの隅部を折り曲げることによって形成され、上記バンド(150)が通されるバンド孔(121a、121a)が設けられた角部(121、121)と、
を有することを特徴する、フェースシールド。
【0045】
2.上記角部(121)どうしの間には上記バンド(150)が掛け渡されている、上記記載のフェースシールド。
【0046】
3.上記当節部(130)は、
フェースシールドの使用時姿勢で使用者の額に押し当たる第1の当接面と、
フェースシールドを跳ね上げた姿勢で使用者の額に押し当たる第2の当接面と、
を有する、上記記載のフェースシールド。
【0047】
4.上記記載のフェースシールドを作成するためのフェースシールド用シート(1)であって、
上記角部を形成するための、上記シートの上隅部からシート中央部側に向かって延びる山折り線(11)と、
上記角部を形成するための、上記山折り線(11)の端部からシート上辺側に向かって延びる谷折り線(12)と、
がシートの左右両側に表示されており、
上記山折り部および谷折り部を折り曲げることによって角部が形成されるようになっている、フェースシールド用シート(1)。
【0048】
5.さらに、
使用者の額に当接する当接部(130)を形成するための複数の切起し部が、シート上辺部に表示されている、上記フェースシールド用シート(1)。
【符号の説明】
【0049】
1 シート
11 山折り線
12 谷折り線
15、15’ 谷折り線
17 カットライン
21 カットライン
100 フェースシールド
111 シールド部分
111f 全面部
111t 上面部
121 角部
131 当接部
131s、131t 当接面
150 バンド