(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024756
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】固体酸化物形燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20220202BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220202BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20220202BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220202BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20220202BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20220202BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/0612
H01M8/04 J
H01M8/0444
H01M8/04089
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127533
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】森 哲哉
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126BB06
5H126JJ03
5H127AA07
5H127AC05
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA34
5H127BA37
5H127BA47
5H127BB02
5H127BB19
5H127BB27
5H127DB04
5H127DB78
(57)【要約】
【課題】燃料電池セルの内部の温度分布が過度に悪化しない固体酸化物形燃料電池の提供。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池であって、燃料極とインターコネクタ12の燃料極側との間に形成される燃料極側空間12aには燃料ガスが燃料ガス流入部23から流入し、燃料ガスは燃料極側空間12aを流れている間に燃料極に供給され、燃料極側空間12aを流れた燃料ガスの残部及び反応生成ガスが燃料ガス流出部24から燃料極側空間12aの外部に流出し、複数の燃料極と相対して設けられる少なくとも一つのインターコネクタ12の、燃料極と相対する側の表面には、燃料ガスを燃料ガス流入部23の近傍から燃料極側空間12aの中央部に向けて流れ易くする第1構造部15を含み、燃料ガスにとっての流路抵抗が小さくなる第1構造部15の周囲に、燃料ガスにとっての流路抵抗が大きくなる第2構造部16を含む第1燃料極側構造が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の固体電解質膜の一方の平面に相対して燃料極を設け、他方の平面に相対して空気極を設けて構成される平板型の固体酸化物形の燃料電池セルを、前記燃料電池セル同士の間にインターコネクタを挟んだ状態で複数積層して形成されるセルスタックを備える固体酸化物形燃料電池であって、
前記燃料極の表面と前記インターコネクタの前記燃料極側の表面との間に形成される燃料極側空間には燃料ガスが燃料ガス流入部から流入し、燃料ガスは前記燃料極側空間を流れている間に前記燃料極に供給され、前記燃料極側空間を流れた燃料ガスの残部及び反応生成ガスが燃料ガス流出部から前記燃料極側空間の外部に流出するように構成され、
前記空気極の表面と前記インターコネクタの前記空気極側の表面との間に形成される空気極側空間には空気が空気流入部から流入し、空気は前記空気極側空間を流れている間に前記空気極に供給され、前記空気極側空間を流れた空気の残部が空気流出部から前記空気極側空間の外部に流出するように構成され、
複数の前記燃料極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、少なくとも一つの前記インターコネクタの、前記燃料極と相対する側の表面には、第1燃料極側構造が形成されており、
前記第1燃料極側構造は、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、燃料ガスを前記燃料ガス流入部の近傍から前記燃料極側空間の中央部に向けて流れ易くする第1構造部を含み、前記第1構造部の周囲に、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第2構造部を含む固体酸化物形燃料電池。
【請求項2】
前記第1燃料極側構造は、前記燃料ガス流入部の近傍から前記第1構造部によって前記燃料極側空間の中央部まで到達した燃料ガスの流れを阻止し、前記第2構造部の方へ向かわせる第3構造部を含む請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
平面視で矩形の一つの前記燃料極側空間を形作る4つの辺のうち、前記燃料ガス流入部が設けられる第1辺と前記燃料ガス流出部が設けられる第2辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記燃料極側空間を、前記第1辺の長さ方向に沿い且つ前記第1辺の長さを1とするX軸と、前記第1辺から前記第2辺へ向かう方向に沿い且つ前記第1辺と前記第2辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第1燃料極側構造において、少なくとも一つの前記燃料ガス流入部はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成され、前記第1構造部は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
複数の前記燃料極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、残りの前記インターコネクタの、前記燃料極と相対する側の表面には、前記第1燃料極側構造とは異なる第2燃料極側構造が形成されている請求項1~3の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
平面視で矩形の一つの前記燃料極側空間を形作る4つの辺のうち、前記燃料ガス流入部が設けられる第1辺と前記燃料ガス流出部が設けられる第2辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記燃料極側空間を、前記第1辺の長さ方向に沿い且つ前記第1辺の長さを1とするX軸と、前記第1辺から前記第2辺へ向かう方向に沿い且つ前記第1辺と前記第2辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第2燃料極側構造において、前記燃料ガス流入部はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項6】
複数の前記空気極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、少なくとも一つの前記インターコネクタの、前記空気極と相対する側の表面には、第1空気極側構造が形成されており、
前記第1空気極側構造は、空気にとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、空気を前記空気流入部の近傍から前記空気極側空間の中央部に向けて流れ易くする第4構造部を含み、前記第4構造部の周囲に、空気にとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第5構造部を含む請求項1~5の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項7】
前記第1空気極側構造は、前記空気流入部の近傍から前記第4構造部によって前記空気極側空間の中央部まで到達した空気の流れを阻止し、前記第5構造部の方へ向かわせる第6構造部を含む請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項8】
平面視で矩形の一つの前記空気極側空間を形作る4つの辺のうち、前記空気流入部が設けられる第3辺と前記空気流出部が設けられる第4辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記空気極側空間を、前記第3辺の長さ方向に沿い且つ前記第3辺の長さを1とするX軸と、前記第3辺から前記第4辺へ向かう方向に沿い且つ前記第3辺と前記第4辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第1空気極側構造において、少なくとも一つの前記空気流入部はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成され、前記第4構造部は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている請求項6又は7に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項9】
複数の前記空気極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、残りの前記インターコネクタの、前記空気極と相対する側の表面には、前記第1空気極側構造とは異なる第2空気極側構造が形成されている請求項6~8の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項10】
平面視で矩形の一つの前記空気極側空間を形作る4つの辺のうち、前記空気流入部が設けられる第3辺と前記空気流出部が設けられる第4辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記空気極側空間を、前記第3辺の長さ方向に沿い且つ前記第3辺の長さを1とするX軸と、前記第3辺から前記第4辺へ向かう方向に沿い且つ前記第3辺と前記第4辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第2空気極側構造において、前記空気流入部はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項11】
前記燃料ガス流入部に供給される燃料ガスを、炭化水素ガスの改質処理により生成する改質部を備え、
前記改質部では、前記燃料ガス流入部に供給される燃料ガスに、改質処理されていない炭化水素ガスが20%以上残存しているように改質処理が行われる請求項1~10の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項12】
前記燃料ガス流入部から前記燃料ガス流出部へ向かう方向と、前記空気流入部から前記空気流出部へ向かう方向とが同じである請求項1~11の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の固体電解質膜の一方の平面に相対して燃料極を設け、他方の平面に相対して空気極を設けて構成される平板型の固体酸化物形の燃料電池セルを、燃料電池セル同士の間にインターコネクタを挟んだ状態で複数積層して形成されるセルスタックを備える固体酸化物形燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸化物イオンを伝導する膜として固体電解質膜を用いたセルスタックを備えた固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)が知られている。固体酸化物形燃料電池においては、セルスタックは複数の燃料電池セルを積層して構成され、各燃料電池セルにおける固体電解質膜の片面側に燃料ガスを酸化するための燃料極が設けられ、その他面側に空気(酸化剤ガス)中の酸素を還元するための空気極が設けられている。この固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルの作動温度は約600℃~約800℃と高く、このような高温下において、燃料ガス(改質燃料ガス)中の水素や一酸化炭素、炭化水素と空気中の酸素とが電気化学反応を起こすことによって発電が行われる。
【0003】
SOFCの一つの形式として長方形や正方形の平板状のセルを用いる平板型SOFCがある。その種類としては、厚い燃料極(数百μm~2mm)で薄い固体電解質膜(数~数十μm)を支持する支持膜式や、固体電解質膜自体で燃料電池セルを保持する自立膜式などがある。実用的な電力を得るため、複数の燃料電池セルはインターコネクタを介して積層配置してスタック化される。インターコネクタにはセル材料と熱膨張率が近いフェライト系ステンレスやクロムを主成分とする合金が用いられる。
【0004】
燃料極の表面とインターコネクタの燃料極側の表面との間に形成される燃料極側空間には燃料ガスが燃料ガス流入部から流入し、燃料ガスは燃料極側空間を流れている間に燃料極に供給され、燃料極側空間を流れた燃料ガスの残部及び反応生成ガス(水蒸気、炭酸ガス)が燃料ガス流出部から燃料極側空間の外部に流出するように構成される。空気極の表面とインターコネクタの空気極側の表面との間に形成される空気極側空間には空気が空気流入部から流入し、空気は空気極側空間を流れている間に空気極に供給され、空気極側空間を流れた空気の残部が空気流出部から空気極側空間の外部に流出するように構成される。
【0005】
特許文献1(特開2008-21596号公報)には、固体酸化物形燃料電池として、燃料ガス(原燃料ガス)を改質するための改質部と、改質部にて改質された改質燃料ガス及び酸化剤ガスの酸化及び還元によって発電を行うセルスタックと、セルスタックの空気極側に酸化剤ガスとしての空気を供給するための空気供給手段(酸化剤ガス供給手段)と、改質部に燃料ガス(原燃料ガス)を供給するための燃料ガス供給手段とを備え、セルスタック及び改質部、燃焼部が高温状態に保たれる高温ハウジング(高温空間)に収容されているものが提案されている。
【0006】
セルスタックは、高温ハウジングの中に収容され、発電中に発熱している。セルスタックに反応ガス(燃料ガス、空気)を供給し、排出する反応ガスで一部の発熱を持ち出したり、セルスタック自体の熱伝導で熱を抜き出したりという条件で高効率の発電がおこなわれる。
【0007】
セルスタックでは、温度が高くなるほど燃料電池セルの内部抵抗(電解質抵抗、電極抵抗)が低下し性能が上がる。一方、温度が高くなると、インターコネクタに用いられているステンレス材料の表面や燃料電池セル内の電解質/電極界面で経時的に(数万時間レベルで)抵抗が上昇していく劣化現象が知られている。ステンレス表面の酸化物層の成長や電解質/電極界面での高抵抗層の生成、電極のシンタリングなどは高温で進行する。
【0008】
従って、セルスタックは最高温度を管理範囲以内に抑制しながら(耐久性のために)、高い性能(出力・効率)を発揮できる方法が望まれる。固体酸化物形燃料電池は作動温度が600℃~800℃程度と高いので、水冷(狭い温度分布に管理するのに優れている)を用いることが困難であって、セルスタックの冷却・温度管理が重要な技術課題となっている。このように性能、耐久性で温度分布は重要だが、加えて、平板型セルスタックの一般課題として、セルスタック内の温度分布や温度勾配が大きくなりすぎると、内部応力により破損することがあることも挙げられる。
【0009】
図10は、燃料電池セルの燃料ガス流入部と燃料ガス流出部との間での温度分布の例を示す図である。図示するように、燃料ガス流入部の近傍では、発電反応による発熱はあるものの、改質部から供給される燃料ガスの温度が低いこと、燃料ガスに含まれている炭化水素ガスの改質反応(吸熱反応)が起こることなどにより、温度はそれほど高くない。
それと比較して、燃料ガス流入部と燃料ガス流出部との間、即ち、燃料電池セルの中央部分では、発電反応が促進されて電流密度が高くなり、温度が高くなる。
【0010】
このように、セルスタックでは、燃料電池セルでの発電により発熱する。セルスタック内では燃料ガス流入部の近傍では燃料ガスが消費されていないためモル当たりの熱量が高く、燃料ガス流出部の近傍では低くなる。また、温度が高いほど電解質、電極の内部抵抗が減少するので大きな電流が流れやすくなる。従って、燃料電池セル内の各部のガス濃度、温度にしたがった発電電流の分布が生じる。燃料電池セル内の主たる発熱はジュール発熱である。
【0011】
セルスタック周囲に断熱材を設置することで、セルスタックから外部への放熱量を抑制し、セルスタックの動作温度を維持している。尚、セルスタックから外部への放熱量を抑制しているとはいえ、燃料電池セルの内部の熱はセルスタックの外部へと伝達される。そして、場合によっては、燃料電池セル内の発熱(発熱分布)に対して、セルスタック内(セル面、インターコネクタ面)の伝熱能力が小さいことで、セルスタック内の温度分布や温度勾配が大きくなりすぎることもある。
【0012】
このような場合、セルスタックの内部側の燃料電池セルの温度が高くなり、セルスタックの外縁に近い燃料電池セルは温度が低くなるので、内部の熱膨張量(寸法の延び)は大きく、それに対して縁付近の延びは小さくなる。その結果、内部応力が大きくなるということになり、燃料電池セル(特に、セラミックスの固体電解質膜)が破損する可能性が高まる。こうしたことが制約要因となり、出力密度を高めたり、セルスタック構成材料の薄肉化することによるコスト低減が難しくなっている。
【0013】
特許文献2(特開2002-141081号公報)では、平板型SOFCセルスタックにおいて、複数積層される燃料電池セルのそれぞれで、燃料ガスを流す向きを変えることで、セル面内の温度分布を改善する(均一化する)技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008-21596号公報
【特許文献2】特開2002-141081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献2に記載の発明は、燃料電池セル面内の温度分布の緩和を目的としたものであるが、効果として十分ではない。最高温度になりやすい燃料電池セルの中央部付近を冷却する方策がないためである。
【0016】
発電効率の高い固体酸化物形燃料電池を普及拡大するためには、コスト低減やコンパクト化が重要な課題である。固体酸化物形燃料電池の主要部品であるセルスタックのコスト低減やコンパクト化については、セルスタックの高出力密度化や材料の薄肉化といったことが改良の方向性となるが、それらを行うと発熱密度が高く、燃料電池セルとインターコネクタとの接合面の熱伝導が下がるので(薄くなると、面方向(x-y平面内)の熱伝導能力が低下する)、セルスタックの温度管理、つまり適切な温度範囲(分布)内、温度勾配内で作動させることが困難になるとの課題がある。
【0017】
尚、温度分布・温度勾配が過大となった場合の影響は前述のとおりであり、燃料電池セルのセラミックス電解質の破損、それを回避するために高い出力密度で発電させられないことによるセルスタックのコストアップやサイズ増大といった問題が生じる。
【0018】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池セルの内部の温度分布が過度に悪化しない固体酸化物形燃料電池を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、平板状の固体電解質膜の一方の平面に相対して燃料極を設け、他方の平面に相対して空気極を設けて構成される平板型の固体酸化物形の燃料電池セルを、前記燃料電池セル同士の間にインターコネクタを挟んだ状態で複数積層して形成されるセルスタックを備える固体酸化物形燃料電池であって、
前記燃料極の表面と前記インターコネクタの前記燃料極側の表面との間に形成される燃料極側空間には燃料ガスが燃料ガス流入部から流入し、燃料ガスは前記燃料極側空間を流れている間に前記燃料極に供給され、前記燃料極側空間を流れた燃料ガスの残部及び反応生成ガスが燃料ガス流出部から前記燃料極側空間の外部に流出するように構成され、
前記空気極の表面と前記インターコネクタの前記空気極側の表面との間に形成される空気極側空間には空気が空気流入部から流入し、空気は前記空気極側空間を流れている間に前記空気極に供給され、前記空気極側空間を流れた空気の残部が空気流出部から前記空気極側空間の外部に流出するように構成され、
複数の前記燃料極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、少なくとも一つの前記インターコネクタの、前記燃料極と相対する側の表面には、第1燃料極側構造が形成されており、
前記第1燃料極側構造は、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、燃料ガスを前記燃料ガス流入部の近傍から前記燃料極側空間の中央部に向けて流れ易くする第1構造部を含み、前記第1構造部の周囲に、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第2構造部を含む点にある。
ここで、前記燃料ガス流入部から前記燃料ガス流出部へ向かう方向と、前記空気流入部から前記空気流出部へ向かう方向とが同じであってもよい。
【0020】
上記特徴構成によれば、少なくとも一つのインターコネクタの、燃料極と相対する側の表面には、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、燃料ガスを燃料ガス流入部の近傍から燃料極側空間の中央部に向けて流れ易くする第1構造部を含む第1燃料極側構造が形成されている。加えて、第1燃料極側構造は、第1構造部の周囲に、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第2構造部を含む。つまり、燃料ガス流入部から燃料極側空間に流入した燃料ガスは、第2構造部を通るよりも、第1構造部を通って燃料極側空間の中央部へ向けて流れ易くなる。つまり、燃料極側空間の中央部には燃料ガスが比較的温度の低いまま供給される。また、燃料ガス中に残存している炭化水素ガスの改質反応(吸熱反応)が起こることにより、燃料ガス及び燃料電池セルの温度の過剰な上昇が抑制される。その結果、燃料極側空間の中央部の温度が高くなり過ぎることを回避できる。
従って、燃料電池セルの内部の温度分布が過度に悪化しない固体酸化物形燃料電池を提供できる。
【0021】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の別の特徴構成は、前記第1燃料極側構造は、前記燃料ガス流入部の近傍から前記第1構造部によって前記燃料極側空間の中央部まで到達した燃料ガスの流れを阻止し、前記第2構造部の方へ向かわせる第3構造部を含む点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、第3構造部によって燃料ガスが第2構造部の方へと流れる。つまり、燃料ガス流入部から燃料極側空間に供給された燃料ガスは、第1構造部に流れ易くなるものの、第1構造部の周囲の第2構造部にも確実に流れる。その結果、燃料極側空間に相対する燃料極の全体へ燃料ガスを供給することができる。
【0023】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、平面視で矩形の一つの前記燃料極側空間を形作る4つの辺のうち、前記燃料ガス流入部が設けられる第1辺と前記燃料ガス流出部が設けられる第2辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記燃料極側空間を、前記第1辺の長さ方向に沿い且つ前記第1辺の長さを1とするX軸と、前記第1辺から前記第2辺へ向かう方向に沿い且つ前記第1辺と前記第2辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第1燃料極側構造において、少なくとも一つの前記燃料ガス流入部はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成され、前記第1構造部は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、燃料ガスは、第1辺の中央部分(x=0.35~0.65且つy=0の範囲)に形成される燃料ガス流入部から燃料極側空間に流入し、そこから第1構造部を通って燃料極側空間の中央部に到達し易くなる。また、そのような第1構造部の周囲の第2構造部(即ち、x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)にも、第1構造部から拡散した燃料ガスを供給できる。
【0025】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、複数の前記燃料極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、残りの前記インターコネクタの、前記燃料極と相対する側の表面には、前記第1燃料極側構造とは異なる第2燃料極側構造が形成されている点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、第2燃料極側構造が形成されているインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間での燃料ガスの流れ易さの分布と、第1燃料極側構造が形成されているインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間での燃料ガスの流れ易さの分布とは異なる。そのため、第2燃料極側構造が形成されているインターコネクタと相対する燃料極での温度分布と、第1燃料極側構造が形成されているインターコネクタと相対する燃料極での温度分布とは異なる。つまり、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタックにおいて、各燃料電池セルの温度の高い部分と低い部分とは位置がずれる。その結果、燃料電池セル同士の間での熱伝達が起り易くなり、燃料電池セルの特定の部分のみが高温又は低温になるといった問題が起こり難くなる。
【0027】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、平面視で矩形の一つの前記燃料極側空間を形作る4つの辺のうち、前記燃料ガス流入部が設けられる第1辺と前記燃料ガス流出部が設けられる第2辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記燃料極側空間を、前記第1辺の長さ方向に沿い且つ前記第1辺の長さを1とするX軸と、前記第1辺から前記第2辺へ向かう方向に沿い且つ前記第1辺と前記第2辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第2燃料極側構造において、前記燃料ガス流入部はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、第2燃料極側構造が形成されたインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間では、燃料ガスは、第1辺の中央以外の部分(x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)に形成される燃料ガス流入部から燃料極側空間に流入し、そこから燃料極側空間の中央部に到達するようになる。それと比較して、第1燃料極側構造が形成されたインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間では、燃料ガスは、第1辺の中央部分(x=0.35~0.65且つy=0の範囲)に形成される燃料ガス流入部から燃料極側空間に流入し、そこから周囲の第2構造部(即ち、x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)に到達するようになる。つまり、第2燃料極側構造が形成されているインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間での燃料ガスの流れ易さの分布と、第1燃料極側構造が形成されているインターコネクタと燃料極との間の燃料極側空間での燃料ガスの流れ易さの分布とは異なる。そのため、第2燃料極側構造が形成されているインターコネクタと相対する燃料極での温度分布と、第1燃料極側構造が形成されているインターコネクタと相対する燃料極での温度分布とは異なる。つまり、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタックにおいて、各燃料電池セルの温度の高い部分と低い部分とは位置がずれる。その結果、燃料電池セル同士の間での熱伝達が起り易くなり、燃料電池セルの特定の部分のみが高温又は低温になるといった問題が起こり難くなる。
【0029】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、複数の前記空気極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、少なくとも一つの前記インターコネクタの、前記空気極と相対する側の表面には、第1空気極側構造が形成されており、
前記第1空気極側構造は、空気にとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、空気を前記空気流入部の近傍から前記空気極側空間の中央部に向けて流れ易くする第4構造部を含み、前記第4構造部の周囲に、空気にとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第5構造部を含む点にある。
【0030】
上記特徴構成によれば、少なくとも一つのインターコネクタの、空気極と相対する側の表面には、空気にとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、空気を空気流入部の近傍から空気極側空間の中央部に向けて流れ易くする第4構造部を含む第1空気極側構造が形成されている。加えて、第1空気極側構造は、第4構造部の周囲に、空気にとっての流路抵抗が相対的に大きくなる第5構造部を含む。つまり、空気流入部から空気極側空間に流入した空気は、第5構造部を通るよりも、第4構造部を通って空気極側空間の中央部へ向けて流れ易くなる。その結果、空気極側空間の中央部には空気が比較的温度の低いまま供給される。そのため、燃料電池セルにおいて、温度が高くなり易い燃料極側空間の中央部の温度が空気極側空間の中央部に伝達され易くなり、結果として、燃料極側空間の中央部の温度が高くなり過ぎることを回避できる。
【0031】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、前記第1空気極側構造は、前記空気流入部の近傍から前記第4構造部によって前記空気極側空間の中央部まで到達した空気の流れを阻止し、前記第5構造部の方へ向かわせる第6構造部を含む点にある。
【0032】
上記特徴構成によれば、第6構造部によって空気が第5構造部の方へと流れる。つまり、空気流入部から空気極側空間に供給された空気は、第4構造部に流れ易くなるものの、第4構造部の周囲の第5構造部にも確実に流れる。その結果、空気極側空間に相対する空気極の全体へ空気を供給することができる。
【0033】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、平面視で矩形の一つの前記空気極側空間を形作る4つの辺のうち、前記空気流入部が設けられる第3辺と前記空気流出部が設けられる第4辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記空気極側空間を、前記第3辺の長さ方向に沿い且つ前記第3辺の長さを1とするX軸と、前記第3辺から前記第4辺へ向かう方向に沿い且つ前記第3辺と前記第4辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第1空気極側構造において、少なくとも一つの前記空気流入部はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成され、前記第4構造部は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている点にある。
【0034】
上記特徴構成によれば、空気は、第3辺の中央部分(x=0.35~0.65且つy=0の範囲)に形成される空気流入部から空気極側空間に流入し、そこから第4構造部を通って空気極側空間の中央部に到達し易くなる。また、そのような第4構造部の周囲の第5構造部(即ち、x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)にも、第4構造部から拡散した空気を供給できる。
【0035】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、複数の前記空気極のそれぞれと相対して設けられる複数の前記インターコネクタのうち、残りの前記インターコネクタの、前記空気極と相対する側の表面には、前記第1空気極側構造とは異なる第2空気極側構造が形成されている点にある。
【0036】
上記特徴構成によれば、第2空気極側構造が形成されているインターコネクタと空気極との間の空気極側空間での空気の流れ易さの分布と、第1空気極側構造が形成されているインターコネクタと空気極との間の空気極側空間での空気の流れ易さの分布とは異なる。そのため、第2空気極側構造が形成されているインターコネクタと相対する空気極での温度分布と、第1空気極側構造が形成されているインターコネクタと相対する空気極での温度分布とは異なる。つまり、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタックにおいて、各燃料電池セルの温度の高い部分と低い部分とは位置がずれる。その結果、燃料電池セル同士の間での熱伝達が起り易くなり、燃料電池セルの特定の部分のみが高温又は低温になるといった問題が起こり難くなる。
【0037】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、平面視で矩形の一つの前記空気極側空間を形作る4つの辺のうち、前記空気流入部が設けられる第3辺と前記空気流出部が設けられる第4辺とは互いに対向しており、
前記矩形の前記空気極側空間を、前記第3辺の長さ方向に沿い且つ前記第3辺の長さを1とするX軸と、前記第3辺から前記第4辺へ向かう方向に沿い且つ前記第3辺と前記第4辺との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、前記第2空気極側構造において、前記空気流入部はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている点にある。
【0038】
上記特徴構成によれば、第2空気極側構造が形成されたインターコネクタと空気極との間の空気極側空間では、空気は、第3辺の中央以外の部分(x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)に形成される空気流入部から空気極側空間に流入し、そこから空気極側空間の中央部に到達するようになる。それと比較して、第1空気極側構造が形成されたインターコネクタと空気極との間の空気極側空間では、空気は、第3辺の中央部分(x=0.35~0.65且つy=0の範囲)に形成される空気流入部から空気極側空間に流入し、そこから周囲の第5構造部(即ち、x=0.35~0.65且つy=0以外の範囲)に到達するようになる。つまり、第2空気極側構造が形成されているインターコネクタと空気極との間の空気極側空間での空気の流れ易さの分布と、第1空気極側構造が形成されているインターコネクタと空気極との間の空気極側空間での空気の流れ易さの分布とは異なる。そのため、第2空気極側構造が形成されているインターコネクタと相対する空気極での温度分布と、第1空気極側構造が形成されているインターコネクタと相対する空気極での温度分布とは異なる。つまり、複数の燃料電池セルが積層されたセルスタックにおいて、各燃料電池セルの温度の高い部分と低い部分とは位置がずれる。その結果、燃料電池セル同士の間での熱伝達が起り易くなり、燃料電池セルの特定の部分のみが高温又は低温になるといった問題が起こり難くなる。
【0039】
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の更に別の特徴構成は、前記燃料ガス流入部に供給される燃料ガスを、炭化水素ガスの改質処理により生成する改質部を備え、
前記改質部では、前記燃料ガス流入部に供給される燃料ガスに、改質処理されていない炭化水素ガスが20%以上残存しているように改質処理が行われる点にある。
【0040】
上記特徴構成によれば、燃料ガス中に残存している炭化水素ガスの改質反応による吸熱が発生するため、燃料ガス及び燃料電池セルの温度の上昇が過剰に進むことが抑制される。その結果、燃料極側空間の中央部には温度上昇が抑制された燃料ガスが供給されるため、燃料極側空間の中央部の温度が高くなり過ぎることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】固体酸化物形燃料電池の構成を示す図である。
【
図2】固体酸化物形燃料電池が備えるセルスタックの構成を示す図である。
【
図3】インターコネクタの表面の構造例を示す図である。
【
図4】インターコネクタの表面の構造例を示す図である。
【
図5】シミュレーションで用いたインターコネクタの表面の構造例を示す図である。
【
図6】シミュレーションで用いたインターコネクタの表面の構造例を示す図である。
【
図7】シミュレーションで用いたインターコネクタの表面の構造例を示す図である。
【
図10】燃料ガス流入部と燃料ガス流出部との間での温度分布の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池について説明する。
図1は固体酸化物形燃料電池の構成を示す図である。
図2は固体酸化物形燃料電池が備えるセルスタック6の構成を示す図である。図示するように、固体酸化物形燃料電池は、平板状の固体電解質膜9の一方の平面に相対して燃料極7を設け、他方の平面に相対して空気極8を設けて構成される平板型の固体酸化物形の燃料電池セルCを、燃料電池セルC同士の間にインターコネクタ12を挟んだ状態で複数積層して形成されるセルスタック6を備える。加えて、本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、脱硫部1と、気化部3と、改質部4と、燃焼部5と、熱交換部10とを備える。このうち、容器2の内部に、気化部3と、改質部4と、燃焼部5と、熱交換部10と、セルスタック6とが収容され、容器2の内部が高温に保たれている。
【0043】
各燃料電池セルCの燃料極7には改質部4で生成された水素を主成分とする燃料ガスが供給され、空気極8には空気(酸素)が供給される。そして、燃料電池セルCからは、発電反応に用いられなかった水素を含むガス(燃料極排ガス)が排出され、発電反応に用いられなかった空気(空気極排ガス)が排出される。
【0044】
燃料極排ガス及び空気極排ガスは、燃焼部5に供給されて燃焼される。そして、燃焼部5から排出される燃焼排ガスは熱交換部10に供給され、容器2の内部に導入された空気と熱交換した後(即ち、空気極8に供給される空気を加熱した後)で容器2の外部に排気される。
【0045】
脱硫部1では、炭化水素ガスを含む原燃料ガス(例えば、都市ガス等)に含まれる硫黄化合物が取り除かれる。気化部3には、改質用水と脱硫部1を通過した後の原燃料ガスとが供給される。気化部3は、供給される改質用水を、燃焼部5から伝達される燃焼熱を用いて加熱して蒸発させる。気化部3で生成された原燃料ガスと水蒸気との混合ガスは、改質部4に供給される。改質部4にも、燃焼部5で発生した燃焼熱が伝達される。そして、改質部4は、気化部3から供給される混合ガスに含まれる原燃料ガスの改質処理を行うことで、水素を主成分とする燃料ガスを生成する。
【0046】
制御部11は、固体酸化物形燃料電池の動作を制御する。例えば、制御部11は、脱硫部1に供給される単位時間当たりの原燃料ガスの量、気化部3に供給される単位時間当たりの改質用水の量、セルスタック6から出力される電流などを調節することで、改質部4の温度、セルスタック6での発電反応、燃焼部5の温度などを制御している。図示は省略するが、気化部3の温度、改質部4の温度、燃焼部5の温度などの情報が制御部11に伝達され、固体酸化物形燃料電池の動作制御に利用される。
【0047】
セルスタック6に供給される燃料ガスは、燃料ガス流入部23(
図3等に記載)から、燃料極7の表面とインターコネクタ12の燃料極7側の表面との間に形成される燃料極側空間12aに流入し、燃料ガスは燃料極側空間12aを流れている間に燃料極7に供給され、燃料極側空間12aを流れた燃料ガスの残部及び反応生成ガス(水蒸気、炭酸ガス)を含む上記燃料極排ガスが燃料ガス流出部24から燃料極側空間12aの外部に流出するように構成されている。
【0048】
セルスタック6に供給される空気は、空気流入部25(
図3等に記載)から、空気極8の表面とインターコネクタ12の空気極8側の表面との間に形成される空気極側空間12bに流入し、空気は空気極側空間12bを流れている間に空気極8に供給され、空気極側空間12bを流れた空気の残部が空気流出部26から空気極側空間12bの外部に流出するように構成されている。
【0049】
本実施形態では、燃料ガス流入部23から燃料ガス流出部24へ向かう方向と、空気流入部25から空気流出部26へ向かう方向とが同じである。つまり、燃料電池セルCにおいて燃料ガスと空気とは並行して流れる。
【0050】
本実施形態では、燃料極7と相対する側のインターコネクタ12の表面の構造には2種類がある。以下の説明では、その内の一方の表面構造である第1燃料極側構造をA面と記載し、他方の表面構造である第2燃料極側構造をB面と記載する。同様に、空気極8と相対する側のインターコネクタ12の表面の構造には2種類がある。空気極8と相対する側のインターコネクタ12の表面についても、一方の表面構造である第1空気極側構造はA面と同じであり、他方の表面構造である第2空気極側構造はB面と同じである。インターコネクタ12は例えばステンレス製などである。
【0051】
図3はA面(第1燃料極側構造、第1空気極側構造)の例を平面視で示す図であり、
図4はB面(第2燃料極側構造、第2空気極側構造)の例を平面視で示す図である。
図3では、A面が第1燃料極側構造である場合の参照符号を記載し、A面が第1空気極側構造である場合の参照符号を括弧内に記載する。
【0052】
〔A面(第1燃料極側構造、第1空気極側構造)〕
図3に例示するように、平面視で矩形の一つの燃料極側空間12aを形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23が設けられる第1辺L1と燃料ガス流出部24が設けられる第2辺L2とは互いに対向している。
図3に示す例では、燃料ガス流入部23は、第1辺L1の5箇所に設けられ、燃料ガス流出部24は第2辺L2の1箇所に設けられている。矩形の燃料極側空間12aを、第1辺L1の長さ方向に沿い且つ第1辺L1の長さを1とするX軸と、第1辺L1から第2辺L2へ向かう方向に沿い且つ第1辺L1と第2辺L2との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、少なくとも一つの燃料ガス流入部23はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成されている。本例では、燃料ガス流入部23は、x=0の近傍且つy=0と、x=0.25の近傍且つy=0と、x=0.5の近傍且つy=0と、x=0.75の近傍且つy=0と、x=1の近傍且つy=0との合計5箇所に設けられている。このうち、x=0.5の近傍且つy=0に形成される燃料ガス流入部23が最も大きいため、そこから最も多くの燃料ガスが流入する。燃料ガス流出部24は、x=0.5の近傍且つy=1の1箇所に設けられている。
【0053】
インターコネクタ12の、燃料極7と相対する側の表面には、第1構造部15と、第2構造部16とを含む第1燃料極側構造が形成されている。加えて、本実施形態では、第1燃料極側構造は、第3構造部17を含む。燃料極側空間12aを形作る4つの辺のうち、第1辺L1及び第2辺L2以外の残りの2辺に沿ってシール部13が設けられており、燃料ガスが外部に漏れ出すことが防止される。インターコネクタ12の表面には、燃料ガス流入部23(空気流入部25)の場所を定める流入側規制部21と、燃料ガス流出部24(空気流出部26)の場所を定める流出側規制部22も形成されている。
【0054】
第1構造部15は、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、燃料ガスを燃料ガス流入部23の近傍から燃料極側空間12aの中央部に向けて流れ易くする構造である。例えば、第1構造部15は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている。尚、本発明は上記数値には限定されない。例えば、第1構造部15は、x=0.4~0.6且つy=0の範囲からx=0.4~0.6且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されていてもよい。また、第1構造部15は上記範囲よりも広い範囲に形成されていてもよい。例えば、
図3に示す例では、第1構造部15は、y=0~1の範囲に形成され、第3構造部17がy=0.6の位置に形成されている。
【0055】
図示するように、第1構造部15は、インターコネクタ12の平坦な表面上に突起14が低密度で設けられることで、インターコネクタ12の表面と燃料極7の表面との間の燃料極側空間12aの断面積が大きくなり、その結果、燃料ガスの流路抵抗が小さくなる構造になっている。
【0056】
第2構造部16は、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に小さくなる第1構造部15の周囲に、燃料ガスにとっての流路抵抗が相対的に大きくなるように形成された構造になっている。
図3に示す例では、第2構造部16は、インターコネクタ12の平坦な表面上に突起14が高密度で設けられることで、インターコネクタ12の表面と燃料極7の表面との間の燃料極側空間12aの断面積が小さくなり、その結果、燃料ガスの流路抵抗が大きくなる構造になっている。
【0057】
第3構造部17は、燃料ガス流入部23の近傍から第1構造部15によって燃料極側空間12aの中央部まで到達した燃料ガスの流れを阻止し、第2構造部16の方へ向かわせる構造である。
図3に示す例では、第3構造部17は、X軸と平行に延びるリブである。例えば、
図3に示す例では、第3構造部17は、x=0.25且つy=0.6の位置から、x=0.75且つy=0.6の位置に延びる直線状のリブである。
【0058】
以上のような構造の第1燃料極側構造を採用することで、
図3に矢印で例示するような経路で燃料ガス流入部23から燃料ガス流出部24へと燃料ガスが流れる。そして、燃料ガスは、燃料極側空間12aを流れている間に燃料極7に供給される。具体的に説明すると、x=0.5の近傍且つy=0の付近に形成されている、最も幅広の燃料ガス流入部23から燃料極側空間12aに流入した燃料ガスは、第1構造部15を通って燃料極側空間12aの中央部へと直進して、第3構造部17へ到達する。但し、第1構造部15を流れている燃料ガスの一部は、その両側の第2構造部16へと拡散する。つまり、A面は大部分の燃料ガスが一旦燃料電池セルCの中央部(x=0.5且つy=0.5の近傍)に供給され、その後、周辺部に広がる構造である。例えば、燃料ガスの流路で、y=0(ガス入口側)においてx=0.35~0.65の内側(全体の3割)の第1構造部15に例えば2/3以上の量の燃料ガスが集まる。その結果、x=0.35~0.65且つy=0~0.5の範囲では、燃料ガスは、他の領域よりも流路抵抗が低く直進しやすい流路となる。そして、第1構造部15からその周囲の第2構造部16の方へ燃料ガスが流れていく。
【0059】
本実施形態の固体酸化物形燃料電池の代表的な動作条件としては、燃料電池セルCに供給される燃料ガス及び空気の温度が共に例えば580℃~620℃程度、セルスタック6内が最高750℃程度である。これは、改質部4において原燃料ガス(天然ガス)が580℃で水蒸気改質(S/C(スチーム/カーボン)が2.5)されている場合の数値である。このような代表的動作条件において、燃料ガス流入部23の近傍では燃料電池セルCの発電による発熱を打ち消す、残余炭化水素ガスの改質反応の吸熱がある。具体的に説明すると、改質部4では、原燃料ガスに含まれる炭化水素の全てが水素と一酸化炭素とに改質されるのではなく、燃料極7に供給される燃料ガスには、改質されていない炭化水素も残存している。そのため、セル面積全体の電流の例えば10%~20%の発電が済むまで、もしくは700℃を超えるまでは、燃料ガス中の残存炭化水素ガスの燃料電池セルCでの改質反応(CH4+H2O⇒3H2+CO)が進むための吸熱の寄与が大きく、通常の発電電圧(平均セル電圧0.8V程度)の場合、発電に伴うジュール熱(抵抗発熱)をほぼ打ち消す。その結果、発電による発熱が不十分な段階で燃料ガスが燃料極側空間12aの中央部に届くことになる。尚、この効果を強めるためには、燃料ガス流入部23に導入する燃料ガスを生成するための改質温度を低くすればよい。つまり、制御部11は、改質部4での改質温度を調節することで、燃料ガス流入部23に供給される燃料ガスでの、改質処理されていない炭化水素ガスの割合を調節できる。
【0060】
本実施形態では、制御部11は、改質部4において、燃料ガス流入部23に供給される燃料ガスに、改質処理されていない炭化水素ガスが20%以上残存しているように改質処理を行う。言い換えると、燃料電池セルCの燃料ガス流入部23において、炭化水素ガスの改質率を0.8以下にする。例えば、制御部11は、改質部4での水蒸気改質においてS/C=2.5の場合、改質率を0.8以下にするために(即ち、改質処理されていない炭化水素ガスが20%以上残存しているように)、改質部4の出口温度が620℃以下になるように制御する。改質率は、以下の式で表されるように、原燃料ガス(CH4)を改質した場合に生成されるCO及びCO2の分圧の和を、全炭素種(CH4、CO、CO2)の分圧の合計で割った値である。
【0061】
改質率=〔P(CO)+P(CO2)〕÷〔P(CO)+P(CO2)+P(CH4)〕
【0062】
上述したように、
図3に示すA面は、空気極8と相対する側のインターコネクタ12の表面の第1空気極側構造でもある。
図3に示すように、平面視で矩形の一つの空気極側空間12bを形作る4つの辺のうち、空気流入部25が設けられる第3辺L3と空気流出部26が設けられる第4辺L4とは互いに対向している。
図3に示す例では、空気流入部25は、第3辺L3の5箇所に設けられ、空気流出部26は第4辺L4の1箇所に設けられている。矩形の空気極側空間12bを、第3辺L3の長さ方向に沿い且つ第3辺L3の長さを1とするX軸と、第3辺L3から第4辺L4へ向かう方向に沿い且つ第3辺L3と第4辺L4との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、少なくとも一つの空気流入部25はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成されている。本例では、空気流入部25は、x=0の近傍且つy=0と、x=0.25の近傍且つy=0と、x=0.5の近傍且つy=0と、x=0.75の近傍且つy=0と、x=1の近傍且つy=0との合計5箇所に設けられている。このうち、x=0.5の近傍且つy=0に形成される空気流入部25が最も大きいため、そこから最も多くの空気が流入する。空気流出部26は、x=0.5の近傍且つy=1の1箇所に設けられている。
【0063】
複数の空気極8のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、少なくとも一つのインターコネクタ12の、空気極8と相対する側の表面には、第4構造部18と、第5構造部19とを含む第1空気極側構造が形成されている。加えて、本実施形態では、第1空気極側構造は、空気流入部25の近傍から第4構造部18によって空気極側空間12bの中央部まで到達した空気の流れを阻止し、第5構造部19の方へ向かわせる第6構造部20を含む。
【0064】
第4構造部18は、空気にとっての流路抵抗が相対的に小さいことで、空気を空気流入部25の近傍から空気極側空間12bの中央部に向けて流れ易くする構造である。例えば、第4構造部18は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている。尚、
図3に示す例では、第4構造部18は、y=0からy=1の範囲の間に連続して形成されている。尚、本発明は上記数値には限定されない。例えば、第4構造部18は、x=0.4~0.6且つy=0の範囲からx=0.4~0.6且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されていてもよい。また、第4構造部18は上記範囲よりも広い範囲に形成されていてもよい。例えば、
図3に示す例では、第4構造部18は、y=0~1の範囲に形成され、第6構造部20がy=0.6の位置に形成されている。
【0065】
図示するように、第4構造部18は、インターコネクタ12の平坦な表面上に突起14が低密度で設けられることで、インターコネクタ12の表面と空気極8の表面との間の空気極側空間12bの断面積が大きくなり、その結果、空気の流路抵抗が小さくなる構造になっている。
【0066】
第5構造部19は、空気にとっての流路抵抗が相対的に小さくなる第4構造部18の周囲に、空気にとっての流路抵抗が相対的に大きくなるように形成された構造である。図示するように、第5構造部19は、インターコネクタ12の平坦な表面上に突起14が高密度で設けられることで、インターコネクタ12の表面と空気極8の表面との間の空気極側空間12bの断面積が小さくなり、その結果、空気の流路抵抗が大きくなる構造になっている。
【0067】
第6構造部20は、空気流入部25の近傍から第4構造部18によって空気極側空間12bの中央部まで到達した空気の流れを阻止し、第5構造部19の方へ向かわせる構造である。
図3に示す例では、第6構造部20は、X軸と平行に延びるリブである。例えば、
図3に示す例では、第6構造部20は、x=0.25且つy=0.6の位置から、x=0.75且つy=0.6の位置に延びる直線状のリブである。
【0068】
以上のような構造の第1空気極側構造を採用することで、
図3に矢印で示すような経路で空気流入部25から空気流出部26へと空気が流れる。そして、空気は空気極側空間12bを流れている間に空気極8に供給される。具体的に説明すると、x=0.5の近傍且つy=0の付近に形成されている、最も幅広の空気流入部25から空気極側空間12bに流入した空気は、第4構造部18を通って空気極側空間12bの中央部へと直進して、第6構造部20へ到達する。但し、第4構造部18を流れている空気の一部は、その両側の第5構造部19へと拡散する。つまり、A面は大部分の空気が一旦燃料電池セルCの中央部(x=0.5且つy=0.5の近傍)に供給され、その後、周辺部に広がる構造である。例えば、空気の流路で、y=0(ガス入口側)においてx=0.35~0.65の内側(全体の3割)の第4構造部18に例えば2/3以上の量の空気が集まる。その結果、x=0.35~0.65且つy=0~0.5の範囲では、空気は、他の領域よりも流路抵抗が低く直進しやすい流路となる。そして、第4構造部18からその周囲の第5構造部19の方へ空気が流れていく。
【0069】
〔B面(第2燃料極側構造、第2空気極側構造)〕
図4はB面(第2燃料極側構造、第2空気極側構造)の例を示す図である。
図4でも、B面が第2燃料極側構造である場合の参照符号を記載し、B面が第2空気極側構造である場合の参照符号を括弧内に記載する。
【0070】
図4に例示するように、平面視で矩形の一つの燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23(空気流入部25)が設けられる第1辺L1(L3)と燃料ガス流出部24(空気流出部26)が設けられる第2辺L2(L4)とは互いに対向している。
図4に示す例では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)は、第1辺L1(L3)の4箇所に設けられ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)は第2辺L2(L4)の2箇所に設けられている。燃料ガス流入部23(空気流入部25)の場所は流入側規制部27によって定められ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)の場所は流出側規制部28によって定められる。
図4に示すB面のインターコネクタ12の表面構造は、
図3に示した表面構造とは異なっている。
【0071】
具体的に説明すると、
図4に例示するインターコネクタ12の、燃料極7(空気極8)と相対する側の表面には、突起14が低密度で形成された低流路抵抗領域30と、突起14が高密度で形成された高流路抵抗領域31とを含む第2燃料極側構造(B面)が形成されている。平面視で矩形の一つの燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23(空気流入部25)が設けられる第1辺L1(第3辺L3)と燃料ガス流出部24(空気流出部26)が設けられる第2辺L2(第4辺L4)とは互いに対向しており、矩形の燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を、第1辺L1(第3辺L3)の長さ方向に沿い且つ第1辺L1(第3辺L3)の長さを1とするX軸と、第1辺L1(第3辺L3)から第2辺L2(第4辺L4)へ向かう方向に沿い且つ第1辺L1(第3辺L3)と第2辺L2(第4辺L4)との間の長さを1とするY軸とで定まり、X軸とY軸とが互いに長さが0の位置で直交する座標平面で考えた場合、第2燃料極側構造(B面)において、燃料ガス流入部23(空気流入部25)はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている。
図4に示す例では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)は、x=0の近傍且つy=0と、x=0.25の近傍且つy=0と、x=0.75の近傍且つy=0と、x=1の近傍且つy=0との合計4箇所に設けられている。言い換えると、第2燃料極側構造(B面)において、燃料ガス流入部23(空気流入部25)はx=0.35~0.65且つy=0の範囲には形成されていない。
【0072】
加えて、第2燃料極側構造(B面)は、中間規制部29を含む。中間規制部29は、燃料ガス流入部23(空気流入部25)の近傍から燃料極側空間12a(空気極側空間12b)のy=0.5近傍に到達した燃料ガス(空気)の流れを阻止する構造である。中間規制部29は、X軸と平行に延びるリブである。その結果、第2燃料極側構造(B面)では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)から流入した燃料ガス(空気)は、燃料極側空間12a(空気極側空間12b)の中央部(x=0.5且つy=0.5の近傍)に集まり、その後、燃料ガス流出部24(空気流出部26)に向けて拡散する。燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、残りの2辺に沿ってシール部13が設けられており、燃料ガスが外部に漏れ出すことが防止される。つまり、このB面でのガスの流れは、A面でのガスの流れとは異なる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、燃料極7と相対する側のインターコネクタ12の表面の構造には2種類(A面、B面)があり、空気極8と相対する側のインターコネクタ12の表面の構造には2種類(A面、B面)がある。
図2に示したように、複数の燃料極7のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、少なくとも一つのインターコネクタ12の、燃料極7と相対する側の表面には、第1燃料極側構造(
図3に示したA面)が形成されている。そして、複数の燃料極7のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、残りのインターコネクタ12の、燃料極7と相対する側の表面には、第1燃料極側構造とは異なる第2燃料極側構造(
図4に示したB面)が形成されている。特に、本実施形態では、複数の燃料極7のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12の表面には、A面とB面とが燃料電池セルCの積層方向に沿って交互に設けられている。
【0074】
同様に、複数の空気極8のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、少なくとも一つのインターコネクタ12の、空気極8と相対する側の表面には、第1空気極側構造(
図3に示したA面)が形成されている。そして、複数の空気極8のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、残りのインターコネクタ12の、空気極8と相対する側の表面には、第1空気極側構造とは異なる第2空気極側構造(
図4に示したB面)が形成されている。特に、本実施形態では、複数の空気極8のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12の表面には、A面とB面とが燃料電池セルCの積層方向に沿って交互に設けられている。つまり、
図2に示したように、本実施形態では、一方の表面がA面であり、他方の表面がB面であるインターコネクタ12を用いている。
【0075】
以上のように、本実施形態では、インターコネクタ12の燃料極7側の表面構造が2種あって、その内の一つがA面の表面構造であって、もう一つがA面とは異なる表面構造(本実施形態ではB面)であり、それらを順次積層している。つまり、B面(第2燃料極側構造)が形成されているインターコネクタ12と燃料極7との間の燃料極側空間12aでの燃料ガスの流れ易さの分布と、A面(第1燃料極側構造)が形成されているインターコネクタ12と燃料極7との間の燃料極側空間12aでの燃料ガスの流れ易さの分布とは異なる。そのため、B面が形成されているインターコネクタ12と相対する燃料極7での温度分布と、A面が形成されているインターコネクタ12と相対する燃料極7での温度分布とは異なる。つまり、複数の燃料電池セルCが積層されたセルスタック6において、各燃料電池セルCの温度の高い部分と低い部分とは位置がずれる。その結果、熱伝導距離の短い隣接する燃料電池セルC同士の間での熱伝達が起り易くなり、燃料電池セルCの特定の部分のみが高温又は低温になるといった問題が起こり難くなる。特に、高出力密度発電時、及び/又は、燃料電池セルCとインターコネクタ12とを薄肉化をした場合のセルスタック6内の熱伝導能力不足により問題となる温度分布の悪化(温度分布の過度な拡大)を回避できる。
【0076】
次に、本実施形態の固体酸化物形燃料電池で採用するインターコネクタ12の表面構造の効果を確認するために行った実験例(コンピュータシミュレーション)について説明する。本発明の効果を確認するために行った実験例(コンピュータシミュレーション)では、A面とは異なる表面構造として、B面の表面構造を採用した。但し、必ずしも、この例ほど吸熱部位を端に寄せる必要はなく、A面と差をつければよい。
【0077】
コンピュータシミュレーションのために、モデルとなる燃料電池セルCを用意した。これは固体酸化物形のセルスタック6の形状として代表的な平板型の燃料極支持型セルの構造・性能をモデルとしている。このモデルでは、燃料電池セルCは燃料極7と空気極8と固体電解質膜9とを備え、燃料極7(支持体+機能層)の厚みは0.3mm、固体電解質膜9の厚みは13μmであり、これらの平面視でのサイズは115mm×115mmである。尚、燃料極7の厚みである0.3mmというサイズは肉薄のセルを代表している。そしてこのうち、縁を除く100mm×100mmの固体電解質膜9上に空気極8及び接合層が形成されており、発電有効面積が100cm2になっている。実施例の燃料電池セルCと比較例の燃料電池セルCとでは、セル縁のシール部13の幅が違い、比較例では7.5mm幅、実施例1,2,3,4では2.5mm幅とした。
【0078】
コンピュータシミュレーションのために用意したインターコネクタ12の形状の斜視図を
図5~
図7に示す。
図5は実施例のセルスタック6のインターコネクタ12のA面の表面構造を示す図であり、
図6は実施例のセルスタック6のインターコネクタ12のB面の表面構造を示す図である。
図5及び
図6に例示するA面及びB面は、上記
図3及び
図4と同様の特徴を有していることから、図中では同じ参照符号を用いている。
図7は比較例のセルスタック6のインターコネクタ12の表面構造を示す図である。つまり、比較例のセルスタック6では、インターコネクタ12の全ての面を
図7に示す構造にしてある。
【0079】
図5~
図7に示す実施例(A面、B面)及び比較例のインターコネクタ12はすべて0.3mm厚みのステンレス薄板の上に同材料で突起14が形成されており、燃料電池セルCと接合されることでその間にガス流路が形成される。インターコネクタ12の0.3mm厚みは現在の技術水準に比して、かなり薄いといえるレベルである。以下に説明するように、
図5に示すA面は、
図3を用いて説明したA面と同様の特徴を有しており、
図6に示すB面は、
図4を用いて説明したB面と同様の特徴を有している。つまり、
図5及び
図6に示す燃料ガス流入部23、燃料ガス流出部24、空気流入部25、空気流出部26、第1構造部15、第2構造部16、第3構造部17、第4構造部18、第5構造部19、第6構造部20などの特徴は、
図3及び
図4に示したのと同様である。
【0080】
A面は、
図5に例示するように、平面視で矩形の一つの燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23(空気流入部25)が設けられる第1辺L1と燃料ガス流出部24(空気流出部26)が設けられる第2辺L2とは互いに対向している。
図5に示す例では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)は、第1辺L1の2箇所に設けられ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)は第2辺L2の2箇所に設けられている。燃料ガス流入部23(空気流入部25)の場所は流入側規制部21によって定められ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)の場所は流出側規制部22によって定められる。インターコネクタ12の、燃料極7(空気極8)と相対する側の表面には、突起14が形成されていない第1構造部15(第4構造部18)と、突起14が高密度で形成された第2構造部16(第5構造部19)とを含む第1燃料極側構造(A面)が形成されている。加えて、第1燃料極側構造(A面)は、第3構造部17(第6構造部20)を含む。燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、残りの2辺に沿ってシール部13が設けられており、燃料ガス(空気)が外部に漏れ出すことが防止される。また、シール部13に沿ってガス透過部36が設けられている。
【0081】
図5ではX軸及びY軸の記載を省略しているが、
図3を用いて説明したのと同様に、燃料ガス流入部23(空気流入部25)はx=0.35~0.65且つy=0の範囲に形成されている。また、第1構造部15(第4構造部18)は、x=0.35~0.65且つy=0の範囲からx=0.35~0.65且つy=0.5の範囲の間に連続して形成されている
【0082】
更に、
図5に示す例では、インターコネクタ12の燃料極側空間12a(空気極側空間12b)は分割リブ37によって2つに分割されている。これは、燃料極側空間12a(空気極側空間12b)において分割リブ37を境にして対称性を持たせることで、シミュレーションの計算負荷を低減するために行っているものである。
【0083】
B面は、
図6に例示するように、平面視で矩形の一つの燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23(空気流入部25)が設けられる第1辺L1(L3)と燃料ガス流出部24(空気流出部26)が設けられる第2辺L2(L4)とは互いに対向している。
図6に示す例では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)は、第1辺L1(L3)の2箇所に設けられ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)は第2辺L2(L4)の2箇所に設けられている。燃料ガス流入部23(空気流入部25)の場所は流入側規制部27によって定められ、燃料ガス流出部24(空気流出部26)の場所は流出側規制部28によって定められる。
【0084】
図6ではX軸及びY軸の記載を省略しているが、
図4を用いて説明したのと同様に、燃料ガス流入部23(空気流入部25)はx=0.35~0.65且つy=0以外の範囲に形成されている。
【0085】
図6に示すB面のインターコネクタ12の表面構造は、
図5に示したA面の表面構造とは異なっている。具体的に説明すると、
図6に例示するインターコネクタ12の、燃料極7(空気極8)と相対する側の表面には、突起14が形成されていない低流路抵抗領域30と、突起14が高密度で形成された高流路抵抗領域31とを含む第2燃料極側構造(B面)が形成されている。加えて、第2燃料極側構造(B面)は、中間規制部29を含む。中間規制部29は、燃料ガス流入部23(空気流入部25)の近傍から燃料極側空間12a(空気極側空間12b)の中央部まで到達した燃料ガス(空気)の流れを阻止する構造である。
図6に示す例では、中間規制部29は、X軸と平行に延びるリブである。その結果、第2燃料極側構造(B面)では、燃料ガス流入部23(空気流入部25)から流入した燃料ガス(空気)は、燃料極側空間12a(空気極側空間12b)の中央部(x=0.5且つy=0.5の近傍)に集まり、その後、燃料ガス流出部24(空気流出部26)に向けて拡散する。燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、残りの2辺に沿ってシール部13が設けられており、燃料ガス(空気)が外部に漏れ出すことが防止される。つまり、このB面でのガスの流れは、A面でのガスの流れとは異なる。また、シール部13に沿ってガス透過部36が設けられている。
【0086】
比較例のインターコネクタ12の表面構造では、
図7に例示するように、平面視で矩形の一つの燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、燃料ガス流入部23(空気流入部25)が設けられる第1辺L1と燃料ガス流出部24(空気流出部26)が設けられる第2辺L2とは互いに対向している。そして、燃料極側空間12a(空気極側空間12b)の全体で突起14が均等に形成され、燃料ガス(空気)の流路抵抗が一様になっている。燃料極側空間12a(空気極側空間12b)を形作る4つの辺のうち、残りの2辺に沿ってシール部13が設けられており、燃料ガス(空気)が外部に漏れ出すことが防止される。
【0087】
本シミュレーションで用いるセルスタック6は、
図2に例示したのと同様に、モデルとなる燃料電池セルCとインターコネクタ12を順次積層して形成される。平板型の燃料電池セルCを備えるセルスタック6では、燃料電池セルCとインターコネクタ12との積層構造を保持するための締結構造若しくは荷重を与える部分が必要となるが、本シミュレーションには不要のため図示していない。燃料電池セルCの燃料極7及び空気極8はそれぞれ導電性の接合層(図示せず)を介してインターコネクタ12と電気的に接続されており、ガスの入口側・出口側でない燃料電池セルCの2辺の縁はガス遮断性を有する電気絶縁性材料(シール部13)で接合されている。
【0088】
本シミュレーションでも、燃料ガス流入部23から燃料ガス流出部24へ向かう方向と、空気流入部25から空気流出部26へ向かう方向とが同じである。つまり、燃料電池セルCにおいて燃料ガスと空気とは並行して流れる。
【0089】
また、インターコネクタ12の表面に上述したような突起14を設けることで、その突起14による圧力損失特性、導電特性、熱伝導特性が定まるが、本シミュレーションでは、インターコネクタ12の表面に突起14が形成された状態を、多孔質体が燃料極側空間12a(空気極側空間12b)に充填された状態で置き換えて計算を行っている。
【0090】
尚、インターコネクタ12の表面構造が空気極側及び燃料極側の両方で複数種(A面及びB面)あることで、表面構造が単一である場合に比べ、燃料電池セル毎の燃料ガス流量、空気流量を均一に分配しにくいとの課題も生じ得る。これに関しては、燃料極側空間12a(空気極側空間12b)の圧力損失設計を均一にするための絞り部分を設けることや、流体シミュレーションを活用した設計で技術対応可能である。本シミュレーションにおいては、各燃料極側空間12a及び空気極側空間12bへの燃料ガス分配及び空気分配は等モル流量と設定した。
【0091】
〔実施例1〕
実施例1では、インターコネクタ12のA面及びB面の順序を、
図2に示したのと同様の順序にした。つまり、燃料極7側のインターコネクタ12の表面に対して、A面及びB面を交互に形成し、空気極8側のインターコネクタ12の表面に対して、A面及びB面を交互に形成した。その他の条件は以下の通りである。改質部4に供給される原燃料ガスは天然ガスであり、水蒸気改質におけるS/C=2.5であり、改質部4の出口温度は580℃である。燃料ガス流入部23の温度は580℃であり、燃料利用率は75%である。空気流入部25の温度は600℃であり、空気利用率は40%である。そして、実施例1と比較例とがほぼ同出力になる条件での比較とした。
【0092】
〔比較例〕
比較例では、全てのインターコネクタ12の表面構造を
図7に示すものにした。その他の条件は実施例1で記載したのと同様である。
【0093】
以下の表1に示すように、実施例1では、同一燃料ガス、空気入口温度条件、発電電流において、比較例と同等の発電電圧(同等出力)が得られ、最高温度は18℃低減できた。このことから、実施例1は、燃料電池セルC内の過大な温度分布を回避するのに有効なことがわかる。
【0094】
【0095】
図8は実施例1のインターコネクタ12の温度分布を示す図であり、
図9は比較例の温度分布を示す図である。但し、インターコネクタ12の半分の領域(上述した分割リブ37で分割される領域)のみを示している。図示するように、実施例1の方が、中間の温度領域が広がり、温度の立ち上がりが緩やかになっていることが分かる。
【0096】
〔実施例2〕
実施例2では、燃料極7側のインターコネクタ12の表面はA面、B面の繰り返しだが、空気極8側のインターコネクタ12の表面はすべて比較例の表面を用いた。
【0097】
以下の表2に示すように、実施例2では、同一燃料ガス、空気入口温度条件、発電電流において、比較例と同等の発電電圧(同等出力)が得られ、最高温度は4℃低減できた。セル内の温度分布勾配を緩和できるが、効果は大きくなかった。
【0098】
【0099】
〔実施例3〕
実施例3では、燃料極7側のインターコネクタ12の表面はA面、B面の繰り返しだが、空気極8側のインターコネクタ12の表面はすべてA面を用いた。
【0100】
以下の表3に示すように、燃料電池セル内の過大な温度分布を回避するのに有効なことがわかる。
【0101】
【0102】
〔実施例4〕
実施例4では、燃料極7側のインターコネクタ12の表面は全てA面であり、空気極8側のインターコネクタ12の表面はすべてA面である。
【0103】
以下の表4に示すように、燃料電池セル内の過大な温度分布を回避するのに有効なことがわかる。
【0104】
【0105】
以上のように、比較例と比べて、実施例1、3、4で効果が明確に見られ、実施例2では少し効果が見られた。平板型SOFCスタックは異なるセル材料・厚み、インターコネクタ12厚み、出力密度、スタック周囲の断熱で構成されるものであり、それらのバリエーションに対して実施例1、3、4は、それぞれ効果の出方が変わってくる。これらの手段を適宜選択して実行することが効果を得るために必要である。
【0106】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、本発明の固体酸化物形燃料電池の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、B面の表面構造を、第1燃料極側構造及び第1空気極側構造(A面)とは異なる第2燃料極側構造及び第2空気極側構造の例として説明したが、第2燃料極側構造及び第2空気極側構造はB面の表面構造に限定されない。
【0107】
<2>
上記実施形態では、燃料極側空間12a及び空気極側空間12bのそれぞれに対して燃料ガス流入部23及び空気流入部25を複数個設けた例を説明したが、燃料極側空間12a及び空気極側空間12bのそれぞれに対して設ける燃料ガス流入部23及び空気流入部25の数及び位置は適宜変更可能である。
【0108】
例えば、
図3に例示したA面において、燃料ガス流入部23及び空気流入部25を、x=0.5且つy=0の近傍に1個だけ設けることでもよい。また、
図4に例示したB面において、燃料ガス流入部23及び空気流入部25を、x≦0.15且つy=0の近傍と、x≧0.85且つy=0の近傍とに1個ずつ設けることでもよい。
【0109】
<3>
図2に示したセルスタック6では、一方の表面がA面であり且つ他方の表面がB面であるインターコネクタ12を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されず、複数の燃料極7のそれぞれと相対して設けられる複数のインターコネクタ12のうち、少なくとも一つのインターコネクタ12の、燃料極7と相対する側の表面に第1燃料極側構造(具体例としてはA面)が形成されていればよい。従って、上記実施例4のように、燃料極7側のインターコネクタ12の表面が全てA面であってもよい。
また、インターコネクタ12自体に着目した場合、セルスタック6において、一方の表面がA面であり且つ他方の表面がB面であるインターコネクタ12が用いられる場合、両方の表面がA面であるインターコネクタ12が用いられる場合、両方の表面がB面であるインターコネクタ12が用いられる場合なども考えられる。
【0110】
<4>
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、燃料電池セルの内部の温度分布が過度に悪化しない固体酸化物形燃料電池に利用できる。
【符号の説明】
【0112】
4 改質部
6 セルスタック
7 燃料極
8 空気極
9 固体電解質膜
12 インターコネクタ
12a 燃料極側空間
12b 空気極側空間
15 第1構造部
16 第2構造部
17 第3構造部
18 第4構造部
19 第5構造部
20 第6構造部
23 燃料ガス流入部
24 燃料ガス流出部
25 空気流入部
26 空気流出部
C 燃料電池セル
L1 第1辺
L2 第2辺
L3 第3辺
L4 第4辺