(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024821
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】温度ヒューズ型感知装置、防火設備制御システム、防火信号伝達方法及び防火区画形成装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/06 20060101AFI20220202BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220202BHJP
E06B 9/82 20060101ALI20220202BHJP
E05F 15/72 20150101ALI20220202BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20220202BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220202BHJP
A62C 2/24 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
G08B17/06 E
E06B9/17 M
E06B9/17 N
E06B9/82 B
E05F15/72
A62C2/06 503
G08B17/00 E
G08B17/00 C
A62C2/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127630
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
【テーマコード(参考)】
2E042
2E052
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CA12
2E042CB04
2E042CB12
2E042CC05
2E052AA04
2E052BA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA02
2E052GB06
2E052HA01
2E052KA08
5C085AA01
5C085AA03
5C085BA23
5C085CA19
5C085CA20
5C085CA21
5C085FA04
5G405AA01
5G405AA03
5G405AA06
5G405AB01
5G405AB02
5G405AC01
5G405CA15
5G405CA19
5G405CA27
5G405CA30
(57)【要約】
【課題】温度ヒューズを用いて電気的な感知信号を出力する。
【解決手段】温度ヒューズ107は所定の条件で溶断する。この温度ヒューズ107の溶断によって、機械的に可動する可動手段として化粧カバー104、リセットレバー106等を設ける。可動手段の可動に連動して設定状態がオン状態/オフ状態に変化するスイッチ手段(マイクロスイッチ112)を設ける。スイッチ手段のオン状態又はオフ状態を電気的に検出することで温度ヒューズ107の溶断を電気信号として検知することができる。温度ヒューズ型感知装置は、温度ヒューズの溶断によって電気的な感知信号を出力するようになる。この温度ヒューズ型感知装置を用いて防火設備制御システム、防火信号伝達方法及び防火区画形成装置を構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件で溶断する温度ヒューズ手段と、
前記温度ヒューズ手段の溶断に応じて機械的に可動する可動手段と、
前記可動手段の可動に応じて接点がオン/オフするスイッチ手段と
を備えたことを特徴とする温度ヒューズ型感知手段。
【請求項2】
建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、
前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、
前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、
前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、
前記断路手段及び前記中継手段を介さずに前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに前記受信機から出力される閉鎖指示信号を伝達する複数の信号伝達手段とを備えた防火設備制御システムにおいて、
請求項1に記載の温度ヒューズ型感知手段を前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設け、
前記中継手段が前記断路手段によって前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記温度ヒューズ型感知手段の感知信号を前記閉鎖指示信号として前記信号伝達手段を介して直接伝達することを特徴とする防火設備制御システム。
【請求項3】
建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、
前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、
前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、
前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、
前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設けられた請求項1に記載の温度ヒューズ型感知手段からの感知信号を前記閉鎖指示信号として対応する防火区画形成手段に出力する予備感知手段と
を備えたことを特徴とする防火設備制御システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の防火設備制御システムにおいて、
前記感知手段が、火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されることを特徴とする防火設備制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の防火設備制御システムにおいて、
前記受信機は、前記断路手段によって前記中継手段が前記受信機から切り離された場合に、前記受信機から切り離された中継手段に接続されている防火区画形成手段に対して前記信号伝達手段を介して前記閉鎖指示信号を送信することを特徴とする防火設備制御システム。
【請求項6】
建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、
前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、
前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段とを備えた防火設備制御システムの防火信号伝達方法において、
請求項1に記載の温度ヒューズ型感知手段を前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設け、
前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離し、
前記中継手段が前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記温度ヒューズ型感知手段の感知信号を前記閉鎖指示信号として直接伝達するようにしたことを特徴とする防火信号伝達方法。
【請求項7】
請求項6に記載の防火信号伝達方法において、
前記感知手段が、火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されることを特徴とする防火信号伝達方法。
【請求項8】
請求項1に記載の温度ヒューズ型感知手段を備えたことを特徴とする防火区画形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場、倉庫などの建物の出入口や大きな部屋、通路、ホール空間あるいは地下街、立体駐車施設などの構造物などの開口部を仕切るために防火戸や引き戸、シート状、シャッター状、スクリーン状、スラット状又はパネル状、耐火クロスなどの防火シャッターなどの遮蔽部材を用い建物内部の通路ホール空間などを自動的に閉鎖する防火設備制御システム及び防火信号伝達方法に係り、特に遮蔽部材の非常時における自動閉鎖動作を確実に実行できるように構成された温度ヒューズ型感知装置、防火設備制御システム、防火信号伝達方法及び防火区画形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の大きいビル等の建物内部の通路などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と同時に自動的に閉じる防火シャッターや防火戸などの遮蔽部材を用いて、柱、壁、天井、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画を形成するように動作する防火設備(防火シャッター、防火戸などの防火区画形成装置)を用いた防火設備制御システムが備え付けられている。
【0003】
従来の防火設備制御システムにおいては、随時閉鎖式の防火戸や防火シャッターを建物の防火区画に使用する場合、通常時は温度ヒューズを用いて防火戸や防火シャッターを開放状態に保持しておき、火災時には火災による熱で温度ヒューズが溶解することで、防火戸や防火シャッターが温度ヒューズから解放さることで保持が解除され、それによって防火戸を自動閉鎖させたり、シャッターカーテンなどの防火シャッターを自重降下させていた。
【0004】
しかし、竪穴区画や異種用途区画に、温度ヒューズ装置の付いた防火戸や防火シャッターを用いると、温度ヒューズが作動する前に、火災により発生した煙が階段室や吹き抜け、エレベータ昇降路、エスカレータ部分に拡散することで、避難中の人が有害な煙を吸い込み、避難に支障のあるおそれがあるため、現在は、煙感知器などの感知手段を用いることになっている。
【0005】
既存の建物に設置された防火戸や防火シャッターは、温度ヒューズを煙感知器などに取り換え、煙感知器、中継器、危害防止用連動中継器(防火シャッターのみ)、及び自動閉鎖装置を設置し、これらの機器を建物内で信号伝達のために電線でそれぞれ接続して制御している。
特許文献1には、1基の中継器で同時に多くの防火設備(複数の防火シャッター)を作動させるように構成したものが記載されている。
【0006】
この特許文献1に記載されたものは、中継器に電線を介して接続された複数の防火シャッターを同時に制御するように構成されている。すなわち、大規模倉庫などのように床面積の大きな場所に防火シャッターを設置する場合、各区画に火災発生時に対応した異常事態を感知する感知手段として煙の発生を感知する煙感知器を複数設置すると共に中継器も各区画にそれぞれ設け、感知手段から中継器を介して中央の受信機に信号を送信することによって、全ての防火シャッターの作動を制御している。
【0007】
ところが、火災等の発生によって感知手段である煙感知器がショートしてしまうと、これによって全ての防火シャッターが作動しなくなるという可能性がある。そこで、中継器と受信機との間に断路器を設け、感知手段がショートした場合、断路器を用いてショートした感知手段の接続されている中継器だけを中央の受信機から切り離すことにした。これによって、断路器が作動した区画以外に設置された防火シャッターは受信機によって作動させることが可能となる。
一方、断路器によって切り離された中継器によって作動制御されていた区画の防火シャッターは、その後自動閉鎖しなくなるため、その区画においては防火シャッターによる延焼を有効に防止することが困難となる。断路器を設ける以外に感知器の配線を耐火テープで巻くなどの手段もあるが、コストが課題となり、多くが断路器で対応している。
【0008】
そこで、本願出願人は、断路器によって切り離された区画の防火区画形成装置を、中継器を用いることなく作動させることができる防火設備制御システム及び防火設備信号伝達方法として、特許文献2を出願している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007-244607号公報
【特許文献2】特開2019-198640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の防火設備制御システムは、防火区画に設けられている感知手段よりも感度が低くなるように構成された予備感知手段を複数の防火区画形成手段にそれぞれ設け、予備感知手段から出力される感知信号に応じて防火区画形成手段が自動閉鎖を開始するようにしている。防火区画に設けられている感知手段が火災発生に対応した異常事態を真っ先に感知し、それに基づいて中継手段を介して防火区画形成手段が自動閉鎖を開始する場合には、この予備感知手段は機能しないことになる。しかしながら、中継手段が断路手段によって受信機から電気的に切り離された場合は、防火区画に設けられている感知手段は最早感知器として機能しないので、防火区画形成手段は自動閉鎖を実行しなくなる。そこで、特許文献2に記載の発明では、予備感知手段から出力される感知信号に応じて防火区画形成手段が個々に自動閉鎖を開始するように構成し、個々に自動閉鎖する防火区画形成手段のよって火災の延焼を最小限に留めることができるようにした。
【0011】
そして、この特許文献2には、防火区画に設置されている感知手段が煙感知器の場合は、予備感知手段として炎感知器を使用することが好ましく、また、防火区画に設置されている感知手段が熱感知器や炎感知器の場合には、設置されている感知器よりも感度の低い感知器を予備感知手段として使用することが好ましいと記載してある。さらに、同程度の感度の感知器を用いる場合には、感知信号を所定時間遅延させて使用することによって感度を調節することが可能であることが記載してある。さらに、感度の低い感知器として、火災時の熱で溶解する温度ヒューズをセンサとして使用してもよいとの記載もある。
【0012】
一般的に火災を感知した場合に温度ヒューズを用いて自動閉鎖させる機構は、温度ヒューズが熱で溶けると開閉機のブレーキをワイヤーなどで引くことによって、シャッターを閉鎖させるという単純な構造が主流であり、電気を一切使わない機械的な構造のため停電時の対応を考慮する必要がないというものである。
ところが、特許文献2に記載の防火区画形成手段は、電気信号を用いて制御しているため、機械的機構によって火災を感知する温度ヒューズを用いた場合に、機械的機構を電気信号に変換する必要がある。
【0013】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、温度ヒューズを用いて電気的な感知信号を出力することができる温度ヒューズ型感知装置、これを用いた防火設備制御システム、防火設備信号伝達方法及び防火区画形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る温度ヒューズ型感知装置の特徴は、所定条件で溶断する温度ヒューズ手段と、前記温度ヒューズ手段の溶断に応じて機械的に可動する可動手段と、前記可動手段の可動に応じて接点がオン/オフするスイッチ手段とを備えたことにある。
従来の温度ヒューズ型感知装置は、開閉機のブレーキ機構に接続されたワイヤーと温度ヒューズとを所定のテンションで係合させておき、温度ヒューズが溶断することによってワイヤーへのテンションが無くなり、ワイヤーが弛み、開閉機のブレーキが解除され、シャッターが自動閉鎖するという機械的機構で構成されていた。この発明では、温度ヒューズが溶断することによって、機械的に可動する可動手段を設け、この可動手段の可動に応じて設定がオン/オフするスイッチ手段を設けることによって、スイッチ手段のオン状態又はオフ状態を電気的に検出することで温度ヒューズの溶断を電気信号として検知するようにした。これによって、電気的な感知信号を出力することのできる温度ヒューズ型感知装置を特許文献2に記載の予備感知手段として応用することが可能となる。
【0015】
本発明に係る防火設備制御システムの第1の特徴は、建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、前記断路手段及び前記中継手段を介さずに前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに前記受信機から出力される閉鎖指示信号を伝達する複数の信号伝達手段とを備えた防火設備制御システムにおいて、前記温度ヒューズ型感知手段を前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設け、前記中継手段が前記断路手段によって前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記温度ヒューズ型感知手段の感知信号を前記閉鎖指示信号として前記信号伝達手段を介して直接伝達することにある。
【0016】
感知手段は、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力するものであり、熱感知器、煙感知器、炎感知器などが対応し、建物内に配置される。防火区画形成手段は、建物内の複数個所に設けられ、火災発生時などに閉鎖指示信号の入力に応じて建物内に所定の防火区画を形成するものであり、防火シャッター装置、防火カーテン装置、防火戸などの遮蔽部材が対応し、これ以外にも防火のための遮蔽部材が降下方式や回転方式、横引き方式、折り畳み方式、水平方式、上昇方式などで繰り出されたりするものが対応する。防火戸の場合は、建物開口部の周縁部横側に設けられた収納部に収納されており、火災発生時に、この周縁部横側に収納された状態から回転移動して周縁部の例えば上(天井)側又は下(床)側に設けられた戸当たり部に当接することによって停止して、建物開口部の一部を仕切るものである。また、この防火戸によって仕切られなかった開口部の残りの部分を仕切る(閉鎖する)防火シャッター装置が防火戸に併設されている場合もある。通常、防火戸は戸袋などの収納部内に係合部材によって拘束されており、火災発生時等の非常時には、危害防止用連動中継器からの起動信号を入力した防火戸用自動閉鎖装置によってその係合部材の拘束が解除され、閉鎖動作を開始するように構成されている。これらの防火区画形成手段は、建物内の複数個所に設けられている。
【0017】
中継手段には、防火区画内に設けられている感知手段が接続されると共に受信機が接続されている。中継手段は、感知手段からの感知信号を入力し、受信機に送信すると共にその感知信号の入力に応じて、複数の防火区画形成手段に閉鎖指示信号を出力する。感知手段の1又は複数が火災発生時にショートした場合、中継手段と受信機との間に設けられている断路手段が両者を電気的に切り離すようになっている。この発明では、断路手段及び中継手段を介さずに複数の防火区画形成手段のそれぞれに受信機から出力される閉鎖指示信号を伝達する複数の信号伝達手段を設け、中継手段が断路手段によって受信機から電気的に切り離された場合でも、その切り離された中継手段に接続されている防火区画形成手段に対して、受信機から閉鎖指示信号を伝達するようにした。これによって、断路手段によって切り離された区画の防火設備(防火シャッター、防火戸などの防火区画形成装置)を、中継手段を用いることなく作動させることができるという効果を奏する。
さらに、この発明では、防火区画に設けられている感知手段よりも感度が低くなるように構成された温度ヒューズ型感知装を複数の防火区画形成手段にそれぞれ設け、温度ヒューズ型感知装置から出力される感知信号に応じて防火区画形成手段が自動閉鎖を開始するように構成してある。防火区画に設けられている感知手段が火災発生に対応した異常事態を真っ先に感知し、それに基づいて中継手段を介して防火区画形成手段が自動閉鎖を開始する場合には、この温度ヒューズ型感知装置は機能しないことになる。しかしながら、中継手段が断路手段によって受信機から電気的に切り離された場合は、防火区画に設けられている感知手段は最早感知器として機能しないので、防火区画形成手段は自動閉鎖を実行しなくなる。そこで、この発明では、温度ヒューズ型感知装置から出力される感知信号に応じて防火区画形成手段が個々に自動閉鎖を開始するように構成してあるので、個々に自動閉鎖する防火区画形成手段によって火災の延焼を最小限に留めることができる。
【0018】
本発明に係る防火設備制御システムの第2の特徴は、建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段と、前記中継手段と前記受信機との間に設けられ、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離す断路手段と、前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設けられた温度ヒューズ型感知手段からの感知信号を前記閉鎖指示信号として対応する防火区画形成手段に出力する予備感知手段とを備えたことにある。
これは、上記第1の特徴に記載の防火設備制御システムの必須要件である信号伝達手段を省略したものである。
【0019】
本発明に係る防火設備制御システムの第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記感知手段が、火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成されることにある。
これは、火災発生に対応した異常事態を感知する感知手段を、煙を感知する煙感知手段に限定したものである。火災により発生した煙が建物内を拡散するのが早いので、煙感知手段を用いることによって、早期に異常自体を感知でき、速やかな避難を促すことができる。
【0020】
本発明に係る防火設備制御システムの第4の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火設備制御システムにおいて、前記受信機は、前記断路手段によって前記中継手段が前記受信機から切り離された場合に、前記受信機から切り離された中継手段に接続されている防火区画形成手段に対して前記信号伝達手段を介して前記閉鎖指示信号を送信することにある。
これは、断路手段によって中継手段が受信機から切り離された場合、受信機は切り離された中継手段を特定することができるので、その中継手段に接続されている防火区画形成手段に対して信号伝達手段を介して閉鎖指示信号を送信することによって、速やかに防火区画を形成するようにしたものである。
【0021】
本発明に係る防火信号伝達方法の第1の特徴は、建物内に設けられ、受信機から出力される閉鎖指示信号の入力に応じて建物内の空間を遮蔽部材で仕切ることによって前記建物内に複数の防火区画を形成する複数の防火区画形成手段と、前記複数の防火区画内にそれぞれ設けられ、火災発生に対応した異常事態を感知し、その感知信号を出力する感知手段と、前記防火区画内の感知手段に接続され、前記感知信号を前記受信機に出力すると共に前記防火区画形成手段に前記閉鎖指示信号として出力する中継手段とを備えた防火設備制御システムの防火信号伝達方法において、前記温度ヒューズ型感知手段を前記複数の防火区画形成手段のそれぞれに設け、前記感知手段がショートした場合に、前記ショートした感知手段が接続されている前記中継手段を前記受信機から電気的に切り離し、前記中継手段が前記受信機から電気的に切り離された場合でも、切り離された前記中継手段に接続されている前記防火区画形成手段に対して前記温度ヒューズ型感知手段の感知信号を前記閉鎖指示信号として直接伝達するようにしたことにある。
これは、前記防火設備制御システムの第2の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
【0022】
本発明に係る防火信号伝達方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の防火信号伝達方法において、前記感知手段を、火災発生時の煙を感知する煙感知手段で構成したことにある。
これは、前記防火設備制御システムの第3の特徴に対応した防火信号伝達方法の発明である。
【0023】
本発明に係る防火区画形成装置の特徴は、温度ヒューズ型感知手段を備えたことにある。
これは、電気的な感知信号を出力することのできる温度ヒューズ型感知装置を備えた防火区画形成装置の発明である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の防火設備制御システム及び防火信号伝達方法によれば、断路器によって切り離された区画の防火設備(防火シャッター、防火戸などの防火区画形成装置)を、中継器を用いることなく作動させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の防火設備制御システムの設置された3階建て建造物の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明に係る防火設備制御システムを構成する防火シャッター装置及び防火戸の概略構成を示す図である。
【
図3】
図2に示した防火シャッター装置及び防火戸によって防火設備制御システムが建築空間上でどのように配置されるのか、その一例を示す図である。
【
図4】火災時の熱で溶解する温度ヒューズをセンサとして使用した予備感知器の概略構成を示し、温度ヒューズが熱で溶解する前の状態を示し図である。
【
図5】火災時の熱で溶解する温度ヒューズをセンサとして使用した予備感知器の概略構成を示し、温度ヒューズが熱で溶解した後の状態を示す図である。
【
図6】防火シャッター装置及び防火戸の自動閉鎖処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付図面に従って本発明に係る温度ヒューズ型感知装置を用いた防火設備制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体手段として上下に開閉制御されるシャッター装置群を例に説明する。
図1は、本発明の防火設備制御システムの設置された3階建て建造物の概略構成を示す図である。
図2は、本発明に係る防火設備制御システムを構成する防火シャッター装置及び防火戸の概略構成を示す図である。本発明に係る防火設備制御システムでは、各階に
図2に示すような防火シャッター装置及び防火戸が複数個所に設けられている。なお、防火シャッター装置又は防火戸のみが単独で複数設けられている場合もある。
【0027】
図1に示す防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32は同じ構成なので、
図2では1階に設けられている防火シャッター装置11及び防火戸12の構成について説明する。また、
図1では、各階に設けられる防火シャッター装置11,21,32、防火戸12,22,32及び煙感知器13,23,33を一つだけ示しているが、実際には各階に複数の防火シャッター装置、防火戸及び煙感知器が設けられている。
【0028】
防火シャッター装置11は、基本的に開閉機110、ブレーキ111、自動閉鎖装置112、シャッターカーテン114、ガイドレール115,116、危害防止用連動中継器118、電気式手動閉鎖装置119、座板スイッチ11a、予備感知器11dなどから構成される。この防火シャッター装置11は、通常は開閉機110がシャッターカーテン114を巻取り軸(図示せず)に巻き取るなどして開口部の周縁部の上部に設けられた収納部に収納した開放状態にある。なお、別例のものとして、シャッターカーテン114を巻き取らずに閉鎖状態としておき、火災発生時などにシャッターカーテン114を収納部に収納して開放状態とするものもある。防火シャッター装置11の開放状態はブレーキ111で機械的に保持されることによって維持されている。
【0029】
自動閉鎖装置112は、火災発生時には、中継器41及び危害防止用連動中継器118を介して入力される防火信号BS、電気式手動閉鎖装置119(非常時のシャッター閉鎖ボタンを含む)から危害防止用連動中継器118を介して入力される閉鎖指示信号、又は危害防止用連動中継器118を介して予備感知器11dから入力される感知信号に応じて、それぞれブレーキ111による開放状態の保持を解除し、シャッターカーテン114を自重で降下させて収納部から繰り出させることによって、開口部を閉鎖し又は仕切って、所定の防火区画を形成するようになっている。なお、防火信号BSは、各階に設けられた、火災発生時に対応した異常事態として煙を感知する煙感知器13から出力され、それが中継器41及び危害防止用連動中継器118を介して閉鎖指示信号として自動閉鎖装置112に入力される。予備感知器11dから出力される感知信号は、直接危害防止用連動中継器118に入力される。
【0030】
煙感知器13,23,33、防火シャッター装置11,21,31、防火戸12,22,32、中継器41,42,43及び断路器51,52,53などは建物の内部構造や設置環境などによって複数箇所にそれぞれ設けられていてもよい。また、各階に複数の煙感知器などを設け、複数の煙感知器が中継器にそれぞれ接続されるように構成しても良い。この場合、中継器は、複数の内一つ以上の煙感知器などが感知した場合に複数の防火信号BSの感知に応じた数の防火信号を出力してもよい。これによってどの煙感知器が感知したのか時間と場所を把握することが可能とある。また、中継器は、複数の内一つ以上の煙感知器などが感知した場合に単一の防火信号BSを出力しても良い。
【0031】
中継器41,42,43は、各区画の煙感知器13,23,33に接続されると共に断路器51,52,53を介して防災センターの受信機70に接続される。中継器41,42,43は、煙感知器13,23,33からの防火信号BSを入力又は受信した場合、この防火信号BSに基づいて防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32の閉鎖指示信号を危害防止用連動中継器118,218,318に送信する。また、中継器41,42,43は、受信機70からの防火信号BSを入力又は受信した場合も同様に、この防火信号BSに基づいて防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32の閉鎖指示信号を危害防止用連動中継器118,218,318に送信する。
【0032】
断路器51,52,53は、煙感知器13,23,33のいずれかがショートした場合に、中継器41,42,43と受信機70との間の回線を切り離し、そのショートの影響が他の区画(中継器)に及ぶのを防止するものである。断路器51,52,53には、配線用遮断器(ブレーカー)が用いられ、感知器13,23,33のいずれかがショートし、中継器41,42,43に異常な過電流が流れたときに、中継器41,42,43と受信機70との間の電路を開放し、受信機70側へそのショートによる影響が他の区画に及ぶのを回避している。
【0033】
開閉機110は、シャッターカーテン114を電動で開放、閉鎖するための駆動モータである。危害防止用連動中継器118は、中継器41を介して煙感知器13,23,33からの防火信号BS(閉鎖指示信号)及び受信機70からの防火信号BSを入力した場合、並びに予備感知器11dからの感知信号(マイクロスイッチの接点オン/オフ)を入力した場合に、自動閉鎖装置112に有電圧信号である直流24V信号を出力するものである。危害防止用連動中継器118は、通常は、商用電源を使用して直流24V信号を出力するが、停電時などには危害防止用連動中継器118に内蔵されている予備電源(蓄電池などのバッテリー)からの電力によって直流24V信号を出力する。
【0034】
自動閉鎖装置112は、従来の防火シャッター等に用いられる既知の自動閉鎖装置のように危害防止用連動中継器118を介して供給される商用電源又は危害防止用連動中継器118に内蔵されている予備電源(蓄電池)からの電力(直流24V信号)によって動作する。また、自動閉鎖装置112は、シャッター用予備電源を内蔵する危害防止用連動中継器118から供給される24V信号の電力を用いて動作することによって、火災発生時に防火シャッター装置11に対する商用電源の供給がなくとも、煙感知器13又は受信機70から中継器41を介して入力される防火信号BS(閉鎖指示信号)、又は予備感知器11dからの感知信号(マイクロスイッチの接点オン/オフ)に応じて、ブレーキ111を解放し、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン114を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖するようになっている。また、防火シャッター装置11及び防火戸12には、避難等のために通過可能な扉やスリットが設けられている場合がある。この実施の形態では、防火戸12には、潜り戸121が設けられている。
【0035】
この防火シャッター装置11には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知装置が設けられている。障害物感知装置は、シャッターカーテン114の下端の座板上に設けられた座板スイッチ11aと、シャッターカーテン114の収納ボックス内に設けられた有線式障害物感知装置11bと、これらの間を電気的に接続する信号線11cとによって構成される。
【0036】
座板スイッチ11aは、シャッターカーテン114の座板に取り付けてあり、この座板が人や物などの障害物に接触することによって接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵しており、この接点が閉じた場合にそれを感知信号として有線式障害物感知装置11bに信号線11cを介して有線方式で送信する。信号線11cは、座板スイッチ11aの感知信号を有線式障害物感知装置11bに伝送するケーブルである。このケーブルは、コードリールや移動式プーリー等によって収納したりガイドしたりすることによって、シャッターカーテン114の開閉を阻害する撓みを避けられるようにしている。
【0037】
有線式障害物感知装置11bは、通常時は商用電源によって動作し、座板スイッチ11aからの感知信号の入力に応じて開閉機110の動作を制御し、さらに少なくとも火災発生時など非常時には、座板スイッチ11aからの障害物感知信号を自動閉鎖装置112へスルー出力するものである。
【0038】
自動閉鎖装置112は、この有線式障害物感知装置11bからの障害物感知信号の入力に応じてシャッターカーテン114の閉動作を停止してその回避動作を行う。従って、火災発生時にシャッターカーテン114が自重下降している際に座板などが障害物に接触し、座板スイッチ11aから感知信号が検出された場合に、シャッターカーテン114の自重下降を停止してその回避動作を行う。すなわち、有線式障害物感知装置11bは、通常時、シャッターカーテン114が下降中に障害物感知信号を入力した場合、シャッターカーテン114の下降動作を停止し、一定時間だけ上昇させるという制御を行う。
【0039】
一方、有線式障害物感知装置11bは、火災発生時などのように自動閉鎖装置112が起動して、シャッターカーテン114が下降中に、障害物感知信号を入力した場合には、その障害物感知信号を自動閉鎖装置112にスルー出力し、自動閉鎖装置112の動作を停止させ、開閉機110のブレーキ111の解放状態を戻して、一旦、シャッターカーテン114を停止させるという制御を行う。なお、有線式障害物感知装置11bは
図2に示すように独立した装置でもよいし、危害防止用連動中継器118やその他の装置に内蔵されていてもよい。
【0040】
図1及び
図2に示すようなシャッターカーテン114に併設して防火戸12を備える防火シャッター装置11の一般的な構成では、シャッターカーテン114の両サイドに、開口部側端部に設けられるガイドレール115と、シャッターカーテン114と防火戸12との間の開口部に設けられる中柱と呼ばれるガイドレールが存在する。この実施の形態では、シャッターカーテン114の片側(図の左側)にガイドレール115が設けられているが、中柱は存在せず、防火戸12の側端部の一部に凹状の溝部を設け、それをガイドレール116として利用している。従って、この実施の形態に係る開閉体装置の場合、防火戸12が回転可動して空間を閉鎖した状態(仕切った状態)になって、シャッターカーテン114の両サイドにガイドレール115,116が存在することになる。
【0041】
この実施の形態では、遮蔽戸手段として設けられた袖扉である防火戸12の閉鎖動作に連動してシャッターカーテン114を閉鎖動作させるために、防火戸12が確実に閉鎖したことを検知する閉鎖確認用スイッチ24が戸当り部又は開口部のまぐさ上部に設置してあり、防火戸12が先に閉鎖して閉鎖確認用スイッチ24から防火戸閉鎖完了信号が出力されることによってシャッターカーテン114が閉鎖動作を開始するような構成になっている。
【0042】
閉鎖確認用スイッチ24から出力される防火戸閉鎖完了信号は、ガイドレール116の近傍を通って、シャッターカーテン114と干渉しない位置を通過して危害防止用連動中継器118に出力される。防火戸閉鎖完了信号を入力した危害防止用連動中継器118は、自動閉鎖装置112を動作させて、ブレーキ111を解放し、巻取り状態にある防火構造のシャッターカーテン114を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖する。なお、防火戸12は、常時開放式のものであり、通常は開口部側面の柱や躯体壁面などに設けられた戸袋等に収納されている。この常時開放式の防火戸12には、閉鎖した防火戸12に別途設けられた潜り戸121によって避難通路が確保されるようになっている。
【0043】
防火戸用自動閉鎖装置122は、防火戸12の戸袋123を構成する躯体壁面内に埋め込まれた形状で設けられている。防火戸12は、平常時には防火戸用自動閉鎖装置122によって開放状態となるように拘束保持されている。そして、防火戸用自動閉鎖装置122によってその拘束保持を解かれると、防火戸12は自重(所謂グレビティーヒンジ使用など)やばね力(クローザー使用など)などの付勢力によって閉鎖するように構成されている。
【0044】
防火戸用自動閉鎖装置122は、危害防止用連動中継器118に設けられた外部機器電源供給端子(24[V]出力端子)に電気的に接続されており、危害防止用連動中継器118が防火信号BSや電気式手動閉鎖装置119の操作に基づいた起動信号の入力に応じて外部機器電源供給端子から24[V]の電圧を防火戸用自動閉鎖装置122へ有電圧信号として出力する。防火戸用自動閉鎖装置122は、この有電圧信号を用いて防火戸12の拘束を解き、防火戸12を閉鎖させる。
【0045】
危害防止用連動中継器118から防火戸用自動閉鎖装置122へ出力される有電圧信号は、シャッターカーテン114及び閉鎖確認用スイッチ24と干渉しない位置、すなわち当接や接触等を回避できる位置であって防火戸12の戸袋123の上枠及び防火戸12の戸袋123を構成する躯体壁面内を通過して防火戸用自動閉鎖装置122に導入されるようになっている。なお、
図2では、防火戸用自動閉鎖装置122及び危害防止用連動中継器118までの配線であって躯体壁面内に埋設された部分については点線で図示してある。
【0046】
電気式手動閉鎖装置119は、主にシャッター電動開閉駆動用の開閉機110を操作し、危害防止用連動中継器118に防火信号BSが入力したときと同様の動作をさせるための起動信号を手動で発生させるものである。電気式手動閉鎖装置119には、開閉機110へのシャッター開放、閉鎖、停止の指示に対応した管理併用操作入力スイッチPBS(押しボタンスイッチ)と、非常用シャッター閉鎖ボタンである動作ボタン、復旧ボタン及び電池試験ボタンなどが設けられ、さらに電池試験結果、予備電源の状態、コード断線状態などを表示したりする種々の表示手段が設けられている。なお、入力スイッチPBSは通常時の管理用に使用されるものなので、必ずしも開閉体装置の近傍に設けられている必要は無く、リモコンとして管理者が持っていてもよいし、遠隔操作可能な構成としてもよい。
【0047】
図2では防火戸12の上側に電気式手動閉鎖装置119が図示してあるが、実際は防火戸12近くの躯体側などやガイドレール115の人が操作可能な位置に設置されている。電気式手動閉鎖装置119の動作ボタンは、樹脂製の透明パネル(押し破りキャップ)に覆われ、非常時にこの樹脂製の透明パネルを押し込むことによって、操作可能に構成された非常用シャッター閉鎖ボタン(動作ボタン)を備えている場合が多い。
【0048】
この実施の形態に係る防火設備制御システムにおいては、煙感知器13,23,33がアナログ式感知器で構成されているので、煙感知器13,23,33に係る電線等がショートすると、その影響が広範囲におよんで多数の防火シャッター装置11,21,31が正常に動作しなくなる可能性がある。そこで、この実施の形態では、中継器41,42,43と受信機70との間に断路器51,52,53を設け、煙感知器13,23,33のいずれかがショートした場合に、そのショートした煙感知器13,23,33の接続された中継器41,42,43を受信機70から切り離し、ショートによる影響が他の区画に及ばないように構成している。例えば、火災発生時に3階に設置してある煙感知器33が火災熱によってショートした場合、断路器53が中継器43と受信機70の間の回線を切り離すので、煙感知器33のショートによる影響は他の1階及び2階の中継器41,42に及ぶことはなく、1階及び2階の防火シャッター装置11,21及び防火戸12,22は正常な動作を維持することが可能となる。
【0049】
一方、断路器51,52,53が作動することによって、受信機70から切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び防火戸に関しては、自動閉鎖機能を実行することができない状況となる。そこで、この実施の形態では、煙感知器13,23,33よりも感度の低い予備感知器11d,21d,31dとして、火災時の熱で溶解する温度ヒューズをセンサとして用いた温度ヒューズ型感知器を防火シャッター装置のまぐさ付近(開口部の上側)に設置し、この予備感知器11d,21d,31dからの感知信号(マイクロスイッチの接点オン/オフ)を危害防止用連動中継器118,218,318側で検知するようにしている。なお、予備感知器11d,21d,31dは、防火シャッター装置だけでなく、防火戸の上側に設置しても良いし、防火シャッター装置及び防火戸の両方の上側に設置しても良いし、防火戸の上側だけに設置しても良い。
【0050】
上述のように、個々の防火シャッター装置及び/又は防火戸に、煙感知器13,23,33よりも感度の低い予備感知器11d,21d,31dを設けることで、受信機70から切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び/又は防火戸自身で自動閉鎖機能を作動させることが可能となる。
【0051】
一方、個々の防火シャッター装置及び/又は防火戸に設けられる予備感知器11d,21d,31dは通常の感知器よりも比較的感度が低いため、自動閉鎖動作が開始するまでに若干の遅れを生じ、その間に他の区画へ火災の延焼を招く可能性がある。そこで、この実施の形態では、全ての防火シャッター装置及び防火戸に対して、防火信号BSである閉鎖指示信号を伝達可能な配線(信号線)を施し、受信機70から切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び/又は防火戸に対して直接閉鎖指示信号を送信している。
【0052】
例えば、
図1に示すように受信機70と断路器51,52,53とを接続する配線とは別個に防火シャッター装置11,21,31の危害防止用連動中継器118,218,318に閉鎖指示信号を送信するための耐火耐熱性能に優れた構造の配線11e,21e,31eを敷設する。これによって、断路器51,52,53の動作によって、切り離された区画に設置してある防火シャッター装置及び/又は防火戸に対して直接閉鎖指示信号を送信することができるので、速やかに自動閉鎖動作を開始させることが可能となる。
【0053】
上述の実施の形態によれば、断路器51,52,53によって、区画が切り離された場合でも、別途敷設された配線11e,21e,31eを使用して、閉鎖指示信号を直接送信することができる。また、配線11e,21e,31eが何らかの不具合によって切断等され、機能しなくなっても、予備感知器11d,21d,31dによって、個々の防火シャッター装置及び/又は防火戸が自動閉鎖を開始するので、火災の延焼を最小限に留めることができるという優れた効果を奏する。
【0054】
図3は、
図2に示した防火シャッター装置及び防火戸によって防火設備制御システムが建築空間上でどのように配置されるのか、その一例を示す図である。
図3は、
図1の2階部分の外壁55~58に囲まれた正方形状の建築空間を示す。
図3の防火設備制御システムでは、この建築空間の中間部分を4つの防火区画91~94として管理している。すなわち、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱73、柱73と柱77、柱63と柱83、柱83と柱87のそれぞれの柱間に、
図2に示すような防火シャッター装置21及び防火戸22がそれぞれ設けられている。この柱間に設けられた防火シャッター装置21及び防火戸22によって、4つの防火区画91~94が形成されている。なお、
図3では、中継器42,断路器52、感知器21d、配線21e等の図示を省略してある。
【0055】
各柱61~65,73,77,83,87には、防火シャッター装置21のシャッターカーテン114のガイドレール115と防火戸22の枠がそれぞれ設置される。この4つの防火区画91~94はそれぞれ階段を含む区画(階段区画)を含んでいる。また、防火区画91~94内の柱75,85,71,81には、煙感知器231~234が設置されている。煙感知器231~234は、図示していない中継器42に接続されている。
【0056】
なお、図示していないが、四隅の階段区画にも同様の煙感知器がそれぞれ設けられている。階段区画に設置されている防火戸が常時閉鎖式の場合は、その防火区画から外側に、つまり避難方向に防火戸が開き、ドアチェック等により自動的に閉鎖するようになっている。一方、常時開放式の防火戸の場合には、通常時は柱などの側面に防火戸は収納されており、煙感知器231~234から中継器42を介して入力される防火信号BSに連動して自動的に閉鎖するようになっている。階段区画に設置されている防火戸に対しても上述のように通常の感知器よりも比較的感度が低い感知器並びに受信機70からの閉鎖指示信号を直接伝達可能な配線(信号線)が設けられる。
【0057】
常時開放式の防火戸の場合には、閉鎖した防火戸に別途設けられた潜り戸121によって避難通路が確保される。この実施の形態に使用される防火戸としては、建物の構造に応じて、常時閉鎖式でも常時開放式でもいずれの防火戸でもよい。また、防火シャッター装置がシート状の場合には、そこに避難通路用の開口(スリット)が設けられている場合もある。なお、階段区画は、防火戸によってそれぞれ別の防火区画を形成している。
【0058】
図3の実施の形態では、平面的に見て十字状に防火区画を形成する場合について説明したが、左右方向、上下方向またはT字状に防火区画を形成し、これ以他の複雑な形状に防火区画を形成してもよいことは言うまでもない。また、防火区画をシート状又はシャッター状の防火カーテンだけを用いて形成し、その防火カーテンに避難上有効なように防火戸や防火口を複数設けるようにしてもよい。シート状の防火カーテンの場合は、防火戸に代えて、人の通過することのできる防火口を設けるのが一般的だからである。いずれの場合もシャッターあるいは防火戸の非常時における閉鎖は、煙感知器231~234が作動した場合に中継器42から出力される閉鎖指示信号に応じて閉動作を開始する。
【0059】
図1では、受信機70は、防火シャッター装置11,21,31及び防火戸12,22,32をそれぞれ1つのグループとした場合を示しているが、
図3に示すように各階に防火シャッター装置及び防火戸のグループ、又は単独の防火シャッターや防火戸が設けられている場合には、これらを複数のグループに分けた場合のグループ毎に受信子が設けられ、受信機を介してグループ毎に各動作を制御するようにしてもよい。また、グループは防火シャッター装置及び防火戸、又は単独の防火シャッターや防火戸が重複してグループを構成することが好ましい。
【0060】
例えば、
図3において、防火区画91を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱73、柱73と柱77の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸で第1のグループを形成し、これに一つの第1の中継器及び断路器が設けられる。また、防火区画92を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱63と柱64、柱64と柱65、柱63と柱83、柱83と柱87の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第2のグループを形成し、これに一つの第2の中継器及び断路器が設けられる。同様に、防火区画93を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱73、柱73と柱77の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第3のグループを形成し、これに一つの第3の中継器及び断路器が設けられる。また、防火区画94を形成するための防火シャッター装置及び防火戸として、柱61と柱62、柱62と柱63、柱63と柱83、柱83と柱87の間に設けられている防火シャッター装置及び防火戸が第4のグループを形成し、これに一つの第4の中継器及び断路器が設けられる。
【0061】
さらに、階段区画の出入口に設けられている防火戸であって、竪穴区画に存在する防火戸群で一つのグループを形成し、そのグループに一つの中継器及び断路器を設け、この竪穴区画に存在する防火戸群をその階における前述のような第1から第4のグループにそれぞれ属するものとして登録する。このように、防火シャッター装置及び防火戸が複数のグループに重複して登録されることによって、受信機70から中継器を介して送信される閉鎖指示信号は、少なくとも2系統の通信網を介して防火シャッター装置及び防火戸に送信されるようになるので、火災発生時に何らかの不具合が発生した場合でも、防火信号BSである閉鎖指示信号を伝達することができるようになる。
【0062】
図4及び
図5は、火災時の熱で溶解する温度ヒューズをセンサとして使用した予備感知器の概略構成を示す図である。
図4は温度ヒューズが熱で溶解する前の状態を示し、
図5は温度ヒューズが熱で溶解した後の状態を示す。
図5において、
図4と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。
【0063】
予備感知器11dは、高さ約30mm、全長約210mm、奥行き約15mmの全体形状が直方体形状をした厚さ約1~2mmの薄板からなるフレーム101で構成される。
図4及び
図5では、手前側のフレーム101を省略し、その内部構成を示している。このフレーム101の上部には、直径約4mmのまぐさ取り付け用穴が形成されている。
【0064】
フレーム101の左側下面にはフレーム101の薄板は存在せず、第1軸103を回転軸として回動する化粧カバー104が設けられている。化粧カバー104は、左側から見た形状が凹状をしている。第1軸103は、フレーム101の前後の薄板に鋏まれるように取り付けられている。化粧カバー104の左端には第1軸103側を挿通させるための穴を有した山形状の凸部が存在する。この第1軸103に化粧カバー104の穴が挿通され、回動可能に取り付けられている。化粧カバー104は、第1軸103を中心として、フレーム101の下面から時計方向に回動するようになっている。
【0065】
化粧カバー104のほぼ中央には、第2軸105を貫通させるための穴が山形状の凸部に存在する。化粧カバー104のほぼ中央に形成された山形状の凸部に第2軸105が挿通される。化粧カバー104には、第2軸105を回転軸として回動するリセットレバー106がさらに設けられている。リセットレバー106はZ形状をしており、その一端部に第2軸105を挿通させるための開口部を有する。
【0066】
リセットレバー106の右側他端部及び化粧カバー104の右端端部には、それぞれ温度ヒューズ107の係合部材107aを挿通させるための細長い長尺状の開口部を有する。この長尺状の開口部は、フレーム101の長手方向(紙面の左右方向)に沿って形成されている。温度ヒューズ107の係合部材107aには、長尺状の開口部を挿通する形状の長尺部材が
図4の紙面の前後方向に有する。すなわち、温度ヒューズ107の係合部材107aが長尺状の開口部を挿通した後に、温度ヒューズ107を係合部材107aの長手方向を中心軸として約90度回転させることで、この長尺状の開口部の長手方向と、係合部材107aの長尺部材の長手方向とが互いに90度を成すように互いに係合し、温度ヒューズ107は、長尺状の開口部からは抜けないような構造になっている。
【0067】
リセットレバー106の左側平坦部のほぼ中央には、コイル状の戻りバネ108の右端を係合するための突起部からなる係合部材109が設けられている。戻りバネ108の左端は、フレーム101の前後の薄板に鋏まれるように取り付けられて第3軸110に係合される。この戻りバネ108の戻り力によって、リセットレバー106には、第2軸103を中心とする反時計方向への引っ張り応力が常時架かるようになっている。従って、温度ヒューズ107が熱によって溶融することによって、温度ヒューズ107と係合部材107aはリセットレバー106の回動に応じて分離される。温度ヒューズ107から係合部材107aが分離することによって、リセットレバー106は、
図5に示すように反時計方向に回動する。一方、化粧カバー104は逆の時計方向に回動する。
【0068】
フレーム101の右側にはレバー112aを備えたマイクロスイッチ112がネジ等でフレーム101の側面に取り付けられている。マイクロスイッチ112の2つの端子には、耐熱電線113の2本のリード線が熱収縮チューブによって取り付けられている。マイクロスイッチ112のレバー112aは、化粧カバー104の右端上面側に接触しており、化粧カバー104が時計方向に回転することによって、マイクロスイッチ112のレバー112aが下側(反時計方向)に回動するようになるので、マイクロスイッチ112の接点が切り換わり、マイクロスイッチ112はオン状態となる。このオン状態の事象は、予備感知器11dからの電気的な感知信号として、耐熱電線113の接続先である危害防止用連動中継器118に出力されることとなる。
【0069】
図4及び
図5において、所定条件で溶断する温度ヒューズ手段には温度ヒューズ107が対応する。温度ヒューズ手段の溶断に応じて機械的に可動する可動手段には化粧カバー104及びリセットレバー106等が対応する。可動手段の可動に応じて接点がオン/オフするスイッチ手段にはマイクロスイッチ112が対応する。なお、温度ヒューズ107の溶断する条件は、建築基準法で定められている通りであり、50度に熱した空気を風速毎秒1mで5分間あて、作動せず、90度では1分以内に作動するものとして規定してあるので、この実施の形態でもこの条件を適用する。なお、防火区画形成装置の設置される場所等によっては、この条件を種々変更して適用してもよい。また、この条件を確実なものとするために、この実施の形態では、化粧カバー104と温度ヒューズ107との間に断熱107bを設けている。これは、フレーム101、化粧カバー104及びリセットレバー106等の可動手段が金属で構成されているため、これらの熱が温度ヒューズ107に直接伝達しないようにするためである。
【0070】
図6は、防火シャッター装置及び防火戸の自動閉鎖処理の一例を示すフローチャート図である。この実施の形態では、防火シャッター装置11,21,31と防火戸12,22,32とは互いに連動して動作する。以下、防火シャッター装置11と防火戸12の自動閉鎖処理について説明する。
ステップS60では、危害防止用連動中継器118に対して、煙感知器13,23,33からの防火信号BSを受信した中継器41から出力される閉鎖指示信号、電気式手動閉鎖装置119から起動信号に基づいた閉鎖指示信号、または予備感知器11d,12d,13dからの感知信号が入力される。
ステップS61では、防火信号BS、起動信号又は感知信号に基づいた閉鎖指示信号の入力に応じて危害防止用連動中継器118が起動する。
ステップS62では、袖扉側の戸袋内にある防火戸用自動閉鎖装置122が危害防止用連動中継器118からの有電圧信号に対応して、防火戸12のフックプレート(図示してない)に係合している防火戸用自動閉鎖装置122の係合金具を開放する。
【0071】
ステップS63では、前のステップで防火戸用自動閉鎖装置122の係合金具が開放されたことによって、防火戸12が自重(所謂グレビティーヒンジ使用など)やばね力(クローザー使用など)などの付勢力によって閉鎖処理を開始する。
ステップS64では、防火戸12が図示してない戸当たり部に当接することによって、その上枠に設置してある内蔵リミットスイッチすなわち閉鎖確認用スイッチ24から防火戸閉鎖完了信号が入力したか否かの判定を行い、入力した(yes)と判定された場合は次のステップS65に進み、入力していない(no)と判定された場合は防火戸閉鎖完了信号が入力されるまでステップS64の処理を繰り返し実行し、防火戸閉鎖完了信号の入力待機状態を維持する。なお、この防火戸閉鎖完了信号が所定時間だけ入力しなかった場合には、ステップS64の処理を終了して次のステップS65に進むようにしてもよい。
【0072】
ステップS65では、ステップS64で防火戸閉鎖完了信号の入力によって防火戸12の閉鎖完了を確認できたので、危害防止用連動中継器118は防火シャッター装置11のシャッターカーテン114用の自動閉鎖装置112を動作させるための遅延タイマーをスタートさせる。
ステップS66では、危害防止用連動中継器118は、前のステップでスタートした作動遅延タイマーが所定時間(例えば10秒相当時間)だけカウントアップしたか否かの判定を行い、カウントアップした(yes)と判定した場合は次のステップS67に進み、カウントアップしていない(no)と判定された場合はカウントアップするまでこのステップの処理を繰り返し実行する。
【0073】
ステップS67では、前のステップで作動遅延タイマーがカウントアップしたと判定されたので、危害防止用連動中継器118は、防火シャッター装置11のシャッターカーテン114の自動閉鎖装置112を起動させる。
ステップS68では、自動閉鎖装置112によるシャッターカーテン114の閉鎖処理が実行される。閉鎖処理が終了したら、危害防止用連動中継器118は中継器41を介して閉鎖処理終了信号を受信機70へ送信する。
【0074】
図4の袖扉である防火戸12とシャッターカーテン4を互いに連動して動作するフローでは、起動信号の入力に応じて、袖扉である防火戸12の自動閉鎖を実行し、その後タイマーのカウントアップ処理後にシャッターカーテン4を自動閉鎖している。なお、シャッターカーテン4の自動閉鎖の途中に障害物感知装置が障害物を感知した場合には、所定の障害物の回避動作などを行なうが、この実施の形態ではその動作については省略してある。
【0075】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、防煙垂れ壁装置、開き戸装置、折れ戸装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
防火シャッター装置及び防火戸の周辺に監視カメラや人感センサなどを設置し、カメラの撮影画像や人感センサの感知情報等に基づいて各動作を制御するようにしてもよい。
【0076】
また、上述の実施の形態では、煙感知器13,23,33が中継器41,42,43に有線にて感知信号を送信する場合について説明したが、煙感知器13,23,33と中継器41,42,43との間を無線方式にて感知信号を送信可能としてもよい。同様に予備感知器11d,21d,31dと危害防止用連動中継器118,218,318との間を無線方式にて送信可能としてもよい。
上述の実施の形態では、中継器を1階に一つ設ける場合について説明したが、
図3に示すように各階に複数の区画が存在する場合には、中継器を各階の区画毎に設け、各階の中継器と受信機とを接続するようにしてもよい。また、受信機を建物の複数個所に設け、それぞれが独立して動作するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
11,21,31…防火シャッター装置
110…開閉機
111…ブレーキ
112,212,312…自動閉鎖装置
114…シャッターカーテン
115,116…ガイドレール
117,217,317…送受信子機
118,218,318…危害防止用連動中継器
119…電気式手動閉鎖装置
11a…座板スイッチ
11b…有線式障害物感知装置
11c…信号線
11d,21d,31d…予備感知器
11e,21e,31e…配線
12,22,32…防火戸
121…潜り戸
122…防火戸用自動閉鎖装置
123…戸袋
13,23,33…煙感知器
231~234…煙感知器
24…閉鎖確認用スイッチ
41,42,43…中継器
70…受信機
51,52,53…断路器
55~58…外壁
61~65,71~78,81~88…柱
91~94…防火区画
101…フレーム
103…第1軸
104…化粧カバー
105…第2軸
106…リセットレバー
107…温度ヒューズ
107a…係合部材
108…戻りバネ
109…係合部材
110…第3軸
112a…レバー
112…マイクロスイッチ
113…耐熱電線