(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024865
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】評価方法、プログラム、及び、評価システム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20220202BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127687
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 靖之
(72)【発明者】
【氏名】花井 陽介
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 千晶
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 浩司
(72)【発明者】
【氏名】守法 篤
(72)【発明者】
【氏名】新家 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】葉山 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中谷 将也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 廉
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紘介
(72)【発明者】
【氏名】西田 桃子
(72)【発明者】
【氏名】水野 誠
(72)【発明者】
【氏名】成 英次
(72)【発明者】
【氏名】坂田 修
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 美樹
(72)【発明者】
【氏名】上原 静香
(72)【発明者】
【氏名】菅野 浩平
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】東福寺 留佳
(72)【発明者】
【氏名】小竹山 祐輝
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB02
4B029BB04
4B029BB06
4B029BB13
4B029FA04
4B063QA01
4B063QQ05
4B063QS12
4B063QS39
4B063QS40
4B063QX10
(57)【要約】
【課題】課題は、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える、評価方法、プログラム、及び、評価システムを提供することである。
【解決手段】評価方法は、取得ステップS11と、生成ステップS12とを含む。取得ステップS11は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素を含み、対象生物において微生物群が生息する所定箇所からの気体を受け取るセンサから、複数のセンサ要素それぞれの反応パターンを含む反応情報を取得するステップである。生成ステップS12は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成するステップである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素を含み、対象生物において微生物群が生息する所定箇所からの気体を受け取るセンサから、前記複数のセンサ要素それぞれの反応パターンを含む反応情報を取得する、取得ステップと、
前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する、評価ステップと、
を含む、
評価方法。
【請求項2】
前記複数のセンサ要素それぞれの反応パターンの各々は、気体成分の検出値の時間変化を含む、
請求項1の評価方法。
【請求項3】
前記評価ステップは、前記反応情報から得られる特徴量情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成し、
前記特徴量情報は、前記複数のセンサ要素それぞれにおける、検出値の変化量、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量の少なくとも一つを含む、
請求項1又は2の評価方法。
【請求項4】
前記評価情報は、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の種類と、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の存在状態との少なくとも一方を含む、
請求項1~3のいずれか一つの評価方法。
【請求項5】
前記存在状態は、前記微生物群における対応する微生物の存在割合を含む、
請求項4の評価方法。
【請求項6】
前記評価情報は、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の代謝状態を含む、
請求項1~5のいずれか一つの評価方法。
【請求項7】
前記取得ステップは、前記気体を前記所定箇所から直接的に収集して前記センサに与えることを含む、
請求項1~6のいずれか一つの評価方法。
【請求項8】
前記評価ステップは、前記反応情報に対して所定の演算処理を実行して、前記微生物群に含まれる2以上の微生物を特定する、
請求項1~7のいずれか一つの評価方法。
【請求項9】
前記評価ステップは、評価モデルを用いて、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成し、
前記評価モデルは、前記反応情報を含む学習用データを用いた機械学習の実行により得られた学習済みモデルである、
請求項1~8のいずれか一つの評価方法。
【請求項10】
1以上のプロセッサに、請求項1~9のいずれか一つの評価方法を実行させるための、
プログラム。
【請求項11】
検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素を含み、対象生物において微生物群が生息する所定箇所からの気体を受け取るセンサから、前記複数のセンサ要素それぞれの反応パターンを含む反応情報を取得する、取得部と、
前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する、評価部と、
を含む、
評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、評価方法、プログラム、及び、評価システムに関する。本開示は、特に、微生物に関する評価のための評価方法、プログラム、及び、評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、細菌判定装置(評価システム)を開示する。特許文献1の細菌判定装置は、細菌の代謝物としてのVOC(Volatile Organic Compounds)ガスを検出する代謝物検出手段と、代謝物検出手段によって検出されたVOCガスの種類に基づいて細菌の種類を判定する種類判定手段と、代謝物検出手段によって検出されたVOCガスの量に基づいて細菌の量を判定する量判定手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、細菌(微生物群)の種類や量を判定するにあたっては、VOCガス(気体成分)の種類や量を特定する必要がある。そのため、特許文献1では、判定対象となる細菌に対応するVOCガスが予め特定されている必要がある。
【0005】
課題は、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える、評価方法、プログラム、及び、評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の評価方法は、取得ステップと、評価ステップと、を含む。前記取得ステップは、センサから、反応情報を取得するステップである。前記センサは、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素を含み、対象生物において微生物群が生息する所定箇所からの気体を受け取る。前記反応情報は、前記複数のセンサ要素それぞれの反応パターンを含む。前記評価ステップは、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成するステップである。
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、前記評価方法を実行させるための、プログラムである。
【0008】
本開示の一態様の評価システムは、取得部と、評価部と、を含む。前記取得部は、センサから、反応情報を取得する。前記センサは、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素を含み、対象生物において微生物群が生息する所定箇所からの気体を受け取る。前記反応情報は、前記複数のセンサ要素それぞれの反応パターンを含む。前記評価部は、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態の評価方法の概略説明図である。
【
図2】
図2は、上記評価方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は、上記評価方法を実施するシステムのブロック図である。
【
図4】
図4は、センサのセンサ要素から得られる反応パターンの一例のグラフである。
【
図5】
図5は、実測値と評価モデルによる予測値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、本実施形態の評価方法の概略説明図を示す。本実施形態の評価方法は、対象生物100の所定箇所110に生息する微生物群に関する評価を行うための方法である。
【0012】
対象生物100は、微生物群に関する評価を受ける対象となる生物である。本実施形態では、対象生物100は、人である。人は対象生物100の一例である。対象生物100は、人以外の動物、植物等であり得る。微生物群が生息する可能性がある生物であれば、対象生物100として採用され得る。本実施形態では、所定箇所110は、対象生物100の一部であって、微生物群が生息すると考えられる箇所であってよい。所定箇所110は、対象生物100の体外の一部であってもよいし、対象生物100の体内の一部であってもよい。本実施形態では、所定箇所110は、人の頭皮である。所定箇所110は、人の頭皮に限定されず、毛髪、肌等の体表面であり得る。また、所定箇所110は、対象生物100によって様々である。
【0013】
本開示において、微生物群は、1種類以上の微生物を含む群であるとする。微生物は、肉眼では観察できない微小な生物である。微生物の例としては、真核生物、細菌(真正細菌)、及び、古細菌が挙げられる。真核生物は、藻類、原生動物(アメーバ、ゾウリムシ等)、真菌(カビ、酵母、マラセチア等)、粘菌を含み得る。細菌は、藍藻(藍色細菌)を含み得る。更に、細菌としては、アクネ菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、コリネバクテリウム、エンテロコッカス、セラチア菌、クラミジア、リケッチア、放線菌が挙げられる。古細菌は、高度好熱菌、高度好塩菌、メタン菌、好熱菌を含み得る。また、微生物は、ウイルス、寄生生物も含む。
【0014】
図2に示すように、評価方法は、取得ステップS11と、評価ステップS12と、を含む。取得ステップS11は、センサ20から、反応情報を取得するステップである。センサ20は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素21を含み、対象生物100において微生物群が生息する所定箇所110からの気体200を受け取る。反応情報は、複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンを含む。評価ステップS12は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成するステップである。
【0015】
本実施形態の評価方法では、センサ20によって、対象生物100の所定箇所110からの気体200を受けて、センサ20から得た複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンを含む反応情報から、対象生物100の所定箇所110に生息する微生物群に関する評価情報を生成する。つまり、センサ20の複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンそれ自体を、微生物群に関する評価に利用する。よって、気体200に含まれる気体成分自体の特定をする必要はない。このように、本実施形態の評価方法によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0016】
(1-2)詳細
以下、本実施形態の評価方法について、図面を参照して更に詳細に説明する。本実施形態の評価方法は、
図1に示す評価システム10で実行される処理に含まれている。
【0017】
評価システム10は、センサ20に通信可能に接続される。
【0018】
センサ20は、対象生物100の所定箇所110からの気体200を受け取るように配置される。一例として、センサ20は、人の頭部に装着可能な装具に設けられる。装具は、例えば、ヘッドバンドであってよい。装具は、人の頭部からの気体200を吸入して、直接的にセンサ20に送る機構を有していてよい。装具は、所定箇所110からの気体200を取り込む吸気口と、吸気口とセンサ20とを接続する搬送路と、を備えてよい。つまり、気体200を所定箇所110から直接的に収集してセンサ20に与えてよい。
【0019】
センサ20は、
図3に示すように、複数のセンサ要素21を含む。複数のセンサ要素21は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせ(つまり、検出可能な気体成分の組み合わせ)に対する検出感度との少なくとも一方が異なる2以上のセンサ要素21を含む。ここで、「検出可能な気体成分の組み合わせが異なる」とは、センサ要素が感度を有する(反応する)気体成分の組み合わせが異なることを意味し得る。本開示では、気体成分の組み合わせは、複数の気体成分に限らず、単一の気体成分だけの場合も含む。つまり、本開示において、「検出可能な気体成分の組み合わせが異なる複数のセンサ要素」は、検出可能な気体成分又は検出可能な気体成分の組み合わせが異なる複数のセンサ要素をいう。一例として、センサ要素Aが気体成分a,bを検出可能であり、センサ要素Bが気体成分a,cを検出可能である場合、センサ要素A,Bはともに気体成分aを検出可能ではあるものの、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせが異なるといえる。別例として、センサ要素Aが気体成分aを検出可能であり、センサ要素Bが気体成分a,cを検出可能である場合も、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせが異なるといえる。センサ要素Aが気体成分aを検出可能であり、センサ要素Bが気体成分cを検出可能である場合も、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせが異なるといえる。「検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が異なる」とは、検出可能な気体成分の組み合わせで特定される気体成分に対する検出感度(反応の度合い)の少なくとも一つが異なることを意味し得る。逆に、「検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が同じである」とは、検出可能な気体成分の組み合わせで特定される気体成分に対する検出感度の全てが同じであることを意味し得る。上述したように、本開示では、気体成分の組み合わせは、複数の気体成分に限らず、単一の気体成分だけの場合も含む。つまり、本開示において、「検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が異なる複数のセンサ要素」は、検出可能な気体成分又は検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が異なる複数のセンサ要素をいう。一例として、センサ要素A,Bがそれぞれ気体成分a,bを検出可能である場合、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせが同じであるといえる。ここで、センサ要素Aは、気体成分aに対する検出感度がセンサ要素Bの10倍であり、気体成分bに対する検出感度がセンサ要素Bの1/10倍であるとする。この場合、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせで特定される気体成分に対する検出感度の全てに対する検出感度(気体成分a,bに対する検出感度)が異なる。よって、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が異なるといえる。一方、センサ要素Aは、気体成分aに対する検出感度がセンサ要素Bの10倍であるものの、気体成分bに対する検出感度がセンサ要素Bと同じであるとする。この場合、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせで特定される気体成分に対する検出感度の一つ(気体成分aに対する検出感度)が異なる。よって、センサ要素A,Bは、検出可能な気体成分の組み合わせに対する検出感度が異なるといえる。このように、上述した2以上のセンサ要素21は、検出可能な気体成分の組み合わせが異なっているか、検出可能な気体成分の組み合わせが同じでも少なくとも一つの気体成分に対する検出感度が異なっていればよい。
【0020】
本実施形態では、センサ20は、16個のセンサ要素21を含む。16個のセンサ要素21は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる。本実施形態では、複数のセンサ要素21での検出しようとする気体成分は、有機物と無機物のいずれであってもよい。本実施形態では、複数のセンサ要素21での検出しようとする気体成分は、微生物に関連する気体成分を含むことが好ましい。微生物に関連する気体成分の分子としては、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)及びアンモニア等がある。センサ要素21がどのような気体成分に反応するかは、センサ要素21に用いられる物質によって決まる。このような物質は、ポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、シリコーン類、グリセロール類、ニトリル類、シロキサン類、ジカルボン酸モノエステル類及び脂肪族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでよい。一例として、センサ要素21には、ポリアルキレングリコール類であるポリエチレングリコールが利用され得る。この場合に、ポリエチレングリコールの分子量が3000~20000000であってよい。
【0021】
センサ20が気体200を受け取ると、気体200が複数のセンサ要素21に接触して、複数のセンサ要素21は、個々に、気体200に対する反応パターンを示す。反応パターンは、センサ要素21から得られる検出値の時間変化を含む。例えば、検出値は、センサ要素21が単一の気体成分を検出可能である場合は、当該気体成分の量に対応し、センサ要素21が複数の気体成分を検出可能である場合は、当該複数の気体成分の量の合計に対応する。検出値の例としては、センサ要素21から得られる電圧値、電流値、抵抗値、及び周波数が挙げられる。
【0022】
各センサ要素21は、気体200に検出可能な気体成分が含まれていれば、気体成分に応じた反応を示す。
図4は、センサ要素21の反応パターンの一例を示す。
図4において、G1は、検出値の実測値を示す。G2は、G1の増加部分のカーブフィッティングにより得られた曲線である。G3は、G1の減少部分のカーブフィッティングにより得られた曲線である。
図4では、時刻t1においてセンサ要素21への気体200の供給が開始され、これによって、センサ要素21の検出値が増加する。その後、時刻t2においてセンサ要素21への気体200の供給が停止され、センサ要素21の検出値が減少する。このように、センサ20では、気体200に含まれる気体成分の種類や量に応じて、複数のセンサ要素21から反応パターンを出力可能である。
【0023】
図3に示すように、評価システム10は、入力部11と、出力部12と、記憶部13と、処理部14と、を備える。
【0024】
入力部11は、出力部12と、評価システム10への情報の入力、及び、評価システム10からの情報の出力のための入出力インタフェースを構成する。入出力インタフェースを通じて、評価システム10には、反応情報が入力可能である。入出力インタフェースを通じて、評価システム10から、微生物に関する評価の結果が出力可能である。
【0025】
入力部11は、評価システム10の操作の入力装置を備え得る。入力装置は、例えば、タッチパッド及び/又は1以上のボタンを有する。また、入力部11は、通信インタフェースを備え、有線通信又は無線通信により、センサ20と通信可能に接続される。出力部12は、情報を表示するための画像表示装置を備え得る。画像表示装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。なお、入力部11のタッチパッドと出力部12の画像表示装置とでタッチパネルが構成されてもよい。
【0026】
記憶部13は、処理部14が利用する情報を記憶するために用いられる。処理部14が利用する情報は、例えば、反応情報、及び、評価モデルを含む。記憶部13は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0027】
処理部14は、評価システム10の動作を制御する制御回路である。処理部14は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部14として機能する。プログラムは、ここでは処理部14のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0028】
処理部14は、
図3に示すように、取得部141と、評価部142と、提示部143と、を有している。
図3において、取得部141と、評価部142と、提示部143とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部14によって実現される機能を示している。
【0029】
取得部141は、センサ20から反応情報を取得する。つまり、取得部141は、センサ20から反応情報を取得する取得ステップS11を実行する。反応情報は、複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンを含む情報である。本実施形態では、取得部141は、入力部11を通じてセンサ20から、複数のセンサ要素21の反応パターンを取得し、これによって、反応情報を得る。
【0030】
評価部142は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成する。つまり、評価部142は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成する評価ステップS12を実行する。本実施形態では、評価情報は、微生物群に含まれる1以上の微生物の種類と、微生物群に含まれる1以上の微生物の存在状態とを含む。ここで、存在状態は、微生物群における対応する微生物の存在割合を含む。微生物の存在割合が0%であることは、当該微生物が微生物群に含まれていないことと同義である。よって、本実施形態では、評価情報は、微生物群に含まれると想定される複数の微生物の存在割合を示す。例えば、表1~表3は、評価情報の一例を示す。なお、微生物の種類A~Fは、所定箇所110に生息する微生物群に含まれると想定される微生物の種類を示す。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
表1の場合、評価情報は、微生物群に含まれる微生物の種類がA~Fの6種類であり、6種類の微生物A~Fの存在状態(存在割合)が、10%、15%、30%、20%、20%、5%であることを示している。表2の場合、評価情報は、微生物群に含まれる微生物の種類がB,C,D,Fの4種類であり、4種類の微生物B,C,D,Fの存在状態(存在割合)が、10%、30%、45%、15%であることを示している。表3の場合、評価情報は、微生物群に含まれる微生物の種類がFの1種類であり、1種類の微生物Fの存在状態(存在割合)が、100%であることを示している。
【0035】
特に、評価部142は、反応情報から得られる特徴量情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成する。特徴量情報は、複数のセンサ要素21それぞれにおける、検出値の変化量、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量を含む。
図4を参照すれば、検出値の変化量の一例としては、H1が利用できる。H1は、第1飽和値Zkと第2飽和値ZRkとの差分である。第1飽和値Zkは、気体200存在下でのセンサ要素21の検出値の最大値に対応する。これは、気体200の供給から十分な時間が経過した後のセンサ要素21の検出値であるといえる。本実施形態では、G1の増加部分のカーブフィッティングにより得られた曲線G2によって、第1飽和値Zkを求めている。これによって、第1飽和値Zkを得るための時間の短縮を図っている。第2飽和値ZRkは、気体200非存在下でのセンサ要素21の検出値の最大値に対応する。これは、気体200の供給の停止から十分な時間が経過した後のセンサ要素21の検出値であるといえる。本実施形態では、G1の減少部分のカーブフィッティングにより得られた曲線G3によって、第2飽和値ZRkを求めている。これによって、第2飽和値ZRkを得るための時間の短縮を図っている。単位時間当たりの検出値の増加量としては、G1の増加部分の増加量を時間で除した値や、G1の増加部分の微分値の代表値(最大値、最小値、平均値、最頻値等)が利用できる。単位時間当たりの検出値の減少量としては、G1の減少部分の減少量を時間で除した値や、G1の減少部分の微分値の代表値(最大値、最小値、平均値、最頻値等)が利用できる。
【0036】
本実施形態では、評価部142は、評価モデルを用いて、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成する。評価モデルは、反応情報を含む学習用データを用いた機械学習の実行により得られた学習済みモデルである。本実施形態では、反応情報それ自体ではなく、反応情報から得られる特徴量情報が利用される。反応情報は、複数のセンサ要素21からの反応パターンを含む。特徴量情報は、反応パターン毎に、検出値の変化量(例えば、
図4に示すH1)、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量の3つである。よって、複数のセンサ要素21の数が16であれば、48の値が得られる。上述したように、評価情報は、微生物群に含まれると想定される複数の微生物の存在割合を示す。評価モデルは、反応情報(反応情報から得られる特徴量情報)と評価情報(複数の微生物の存在割合)との入出力関係を学習した学習済みモデルである。特徴量情報と評価情報との入出力関係の学習のための、学習用データは、同一対象生物100の所定箇所110に関して、反応情報から得られる特徴量情報と、既知の測定方法により得られる評価情報とを含む。このような学習用データを含む学習用データセットにより、評価モデルが生成される。学習用データセットを用いた教師あり学習により、人工知能のプログラム(アルゴリズム)に、反応情報(特徴量情報)と評価情報(存在割合)との関係を学習させる。学習用データセットには、反応情報(特徴量情報)と評価情報(存在割合)とを含む学習用データが複数含まれている。人工知能のプログラムは、機械学習のモデルであって、例えば、階層モデルの一種であるニューラルネットワークが用いられる。
【0037】
このような評価モデルに用いられる機械学習のモデルは、反応情報(特徴量情報)の入力に対して、評価情報(複数の微生物の存在割合)を出力するように構成されている。例えば、モデルは、入力層と、複数の隠れ層と、出力層とを備える。モデルでは、入力層に反応情報(特徴量情報)が入力される。上述したように複数のセンサ要素21の数が16であれば、特徴量情報として48の値が入力層に与えられる。出力層からは、評価情報として、微生物群に含まれると想定される複数の微生物の存在割合が出力される。隠れ層には、コンボリューション層、プーリング層、グローバルアベレージプーリング層、全結合層、コンカット(Concat)層、ドロップアウト(Dropout)層等が含まれ得る。
【0038】
機械学習のモデルに学習用データセットを用いて教師ありの機械学習(例えば、深層学習)を行わせることで、評価モデルが生成される。
【0039】
ここで、アクネ菌に関して、評価モデルにより反応情報から得られる予測値と既知の測定方法による実測値との相関関係を確かめるために、評価モデルで得られる予測値と既知の測定方法による実測値との関係を確認した。既知の測定方法は、メタゲノム解析法や、qPCR法等である。
図5は、予測値と実測値との関係を示す。
図5の実測値は、人の頬からテープで採取した細菌叢に対してメタゲノム解析を行って得られた値である。測定は116人に対して実施した。116人の内訳は、20歳代が5人、30歳代が27人、40歳代が40人、50歳代が28人、60歳代が16人である。
図5からわかるように、予測値と実測値とは、直線で近似できている。特に、予測値と実測値との相関係数は0.99であった。つまり、直線の傾きは、予測値と実測値とが一致する場合の直線に近い。
図5のグラフから、アクネ菌に関して、評価モデルにより反応情報から得られる予測値と既知の測定方法による実測値との間には相関関係があることが確認された。
【0040】
評価部142は、取得部141を通じて反応情報を受け取ると、評価モデルに、受け取った反応情報を入力して、評価情報を出力させる。
【0041】
提示部143は、評価部142で生成された評価情報を提示する。本実施形態では、提示部143は、評価情報を、出力部12の画像表示装置に表示する。これによって、所定箇所110に生息する微生物群に関する評価情報の提示が行われる。
【0042】
(1-3)動作
次に、評価システム10の動作について
図2のフローチャートを参照して説明する。対象生物100の所定箇所110からの気体200をセンサ20が受け取ると、センサ20の複数のセンサ要素21で反応パターンが見られる。評価システム10では、取得部141が、センサ20から複数のセンサ要素21の反応パターンを得て反応情報を取得する(S11)。ここでは、気体200を所定箇所110から直接的に収集してセンサ20に与える。評価システム10では、評価部142が、反応情報から得られる特徴量情報を、評価モデルに入力して、評価モデルから、所定箇所110に生息する微生物群に関する評価情報を生成する(S12)。提示部143は、評価部142で生成された評価情報を、出力部12により提示する(S13)。
【0043】
(1-4)まとめ
以上述べたように、評価システム10は、取得部141と、評価部142と、を含む。取得部141は、センサ20から、反応情報を取得する。センサ20は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素21を含み、対象生物100において微生物群が生息する所定箇所110からの気体200を受け取る。反応情報は、複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンを含む。評価部142は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成する。このような評価システム10によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0044】
換言すれば、評価システム10は、
図2に示すような評価方法を実行しているといえる。評価方法は、取得ステップS11と、評価ステップS12と、を含む。取得ステップS11は、センサ20から、反応情報を取得するステップである。センサ20は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素21を含み、対象生物100において微生物群が生息する所定箇所110からの気体200を受け取る。反応情報は、複数のセンサ要素21それぞれの反応パターンを含む。評価ステップS12は、反応情報に基づいて、微生物群に関する評価情報を生成するステップである。このような評価方法によれば、評価システム10と同様に、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0045】
評価システム10は、コンピュータシステムを利用して実現されている。つまり、評価システム10が実行する方法(評価方法)は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、評価方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、評価システム10と同様に、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0046】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0047】
一変形例では、センサ20が備えるセンサ要素21の数は2以上であればよい。複数のセンサ要素21は、全てが検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なるように構成されていなくてもよく、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が同じセンサ要素21を含んでもよい。
【0048】
一変形例では、複数のセンサ要素それぞれの反応パターンの各々は、気体成分の検出値の時間変化を必ずしも含んでいる必要はない。複数のセンサ要素それぞれの反応パターンの各々は、気体成分の検出値の瞬時値を含んでよい。
【0049】
一変形例では、センサ20が設けられる装具は、所定箇所110に対応した構造であってよい。装具は、所定箇所110からの気体200をセンサ20に与えることが可能であればよい。所定箇所110が人の肌であれば、装具は、人の肌に取り付け可能なパッドを含んでよい。装具を利用することは必須ではない。
【0050】
一変形例では、評価システム10の取得部141は、センサ20から、複数のセンサ要素21の反応パターンを取得する代わりに、センサ20から反応情報を直接的に取得してもよい。つまり、センサ20は、複数のセンサ要素21からの反応パターンを含む反応情報を生成して評価システム10に与えてもよい。
【0051】
一変形例では、特徴量情報は、複数のセンサ要素21それぞれにおける、検出値の変化量、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量の少なくとも一つを含んでいればよい。
【0052】
一変形例では、評価情報は、微生物群に含まれる1以上の微生物の種類と、微生物群に含まれる1以上の微生物の存在状態との少なくとも一方を含んでいればよい。存在状態は、微生物群における対応する微生物の存在割合に限らない。存在状態は、微生物の量を含んでいてもよい。特に、評価情報は、微生物群に含まれる2以上の微生物の種類と、微生物群に含まれる2以上の微生物の存在状態とを含んでいてもよい。例えば、評価情報は、アクネ菌の存在割合と、レンサ球菌の存在割合と、ブドウ球菌の存在割合と、コリネバクテリウムの存在割合と、を含んでもよい。
【0053】
一変形例では、評価情報は、微生物群に含まれる1以上の微生物の代謝状態を含んでよい。微生物の代謝状態も、微生物の存在状態と同様に、反応情報との間に相関関係があることが確認された。したがって、反応情報から、1以上の微生物の代謝状態を含む評価情報を生成することが可能である。一例として、反応情報と微生物の代謝状態との入出力関係を学習した学習済みモデルを利用することができる。学習済みモデルによらず、所定の演算処理等を利用してもよい。
【0054】
一変形例では、評価部142は、反応情報に対して所定の演算処理を実行して、微生物群に含まれる2以上の微生物を特定してよい。一例として、反応情報から得られる特徴量情報から、微生物を特定してよい。例えば、特徴量情報が、センサ要素21毎の、検出値の変化量、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量を含む場合、これらの値の相対値から、微生物を特定することが可能な場合がある。一例として、評価部142は、特徴量情報から、微生物群に、アクネ菌、レンサ球菌、ブドウ球菌、及びコリネバクテリウムが含まれているかどうかを判定することができる。また、一例として、反応情報から得られる複数のセンサ要素21の反応パターンから、微生物を特定してもよい。
【0055】
一変形例では、評価モデルは、反応情報から得られる特徴量情報ではなく、反応情報自体を用いた学習によって得られる学習済みモデルであってもよい。学習済みモデルのアルゴリズムとしては、ニューラルネットワークに限らず、ランダムフォレストその他の周知のアルゴリズムを利用することが可能である。評価部142は、評価情報の生成に必ずしも評価モデルを用いる必要はない。評価部142は、所定の演算処理を実行して、評価情報を生成してよい。
【0056】
一変形例では、提示部143は、評価情報を、通信ネットワークを通じて端末装置に送信してよい。端末装置の例としては、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)が挙げられる。一変形例では、提示部143は、評価情報を、音声により提示してもよいし、印刷等により提示してもよい。
【0057】
本開示における評価システム10は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における評価システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0058】
また、評価システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは評価システム10に必須の構成ではなく、評価システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、評価システム10の少なくとも一部の機能、例えば、処理部14の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0059】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0060】
第1の態様は、評価方法であって、取得ステップ(S11)と、評価ステップ(S12)と、を含む。前記取得ステップ(S11)は、センサ(20)から、反応情報を取得するステップである。前記センサ(20)は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素(21)を含み、対象生物(100)において微生物群が生息する所定箇所(110)からの気体(200)を受け取る。前記反応情報は、前記複数のセンサ要素(21)それぞれの反応パターンを含む。前記評価ステップ(S12)は、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成するステップである。この態様によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0061】
第2の態様は、第1の態様に基づく評価方法である。第2の態様では、前記複数のセンサ要素(21)それぞれの反応パターンの各々は、気体成分の検出値の時間変化を含む。この態様によれば、微生物群に関する評価の精度の向上が図れる。
【0062】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく評価方法である。第3の態様では、前記評価ステップ(S12)は、前記反応情報から得られる特徴量情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する。前記特徴量情報は、前記複数のセンサ要素(21)それぞれにおける、検出値の変化量、単位時間当たりの検出値の増加量、及び、単位時間当たりの検出値の減少量の少なくとも一つを含む。この態様によれば、微生物群に関する評価の精度の向上が図れる。
【0063】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第4の態様では、前記評価情報は、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の種類と、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の存在状態との少なくとも一方を含む。この態様によれば、微生物のより詳細な情報を得ることができる。
【0064】
第5の態様は、第4の態様に基づく評価方法である。第5の態様では、前記存在状態は、前記微生物群における対応する微生物の存在割合を含む。この態様によれば、微生物の存在割合の情報を得ることができる。
【0065】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第6の態様では、前記評価情報は、前記微生物群に含まれる1以上の微生物の代謝状態を含む。この態様によれば、微生物の代謝状態の情報を得ることができる。
【0066】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第7の態様では、前記取得ステップ(S11)は、前記気体(200)を前記所定箇所(110)から直接的に収集して前記センサ(20)に与えることを含む。この態様によれば、微生物群に関する評価の精度の向上が図れる。
【0067】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第8の態様では、前記評価ステップ(S12)は、前記反応情報に対して所定の演算処理を実行して、前記微生物群に含まれる2以上の微生物を特定する。この態様によれば、微生物の特定が可能となる。
【0068】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく評価方法である。第9の態様では、前記評価ステップ(S12)は、評価モデルを用いて、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する。前記評価モデルは、前記反応情報を含む学習用データを用いた機械学習の実行により得られた学習済みモデルである。この態様によれば、微生物群に関する評価の精度の向上が図れる。
【0069】
第10の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第1~第9の態様のいずれか一つの評価方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0070】
第11の態様は、評価システム(10)であって、取得部(141)と、評価部(142)と、を含む。前記取得部(141)は、センサ(20)から、反応情報を取得する。前記センサ(20)は、検出可能な気体成分の組み合わせと当該組み合わせに対する検出感度との少なくとも一方が異なる複数のセンサ要素(21)を含み、対象生物(100)において微生物群が生息する所定箇所(110)からの気体(200)を受け取る。前記反応情報は、前記複数のセンサ要素(21)それぞれの反応パターンを含む。前記評価部(142)は、前記反応情報に基づいて、前記微生物群に関する評価情報を生成する。この態様によれば、微生物群が発生する気体成分の特定をしなくても、微生物群に関する評価が行える。
【0071】
なお、第2~第9の態様は、第11の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 評価システム
141 取得部
142 評価部
20 センサ
21 センサ要素
100 対象生物
110 所定箇所
200 気体
S11 取得ステップ
S12 評価ステップ