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  • 特開-ウエハの加工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024867
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】ウエハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20220202BHJP
   B23H 9/14 20060101ALI20220202BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20220202BHJP
   B23B 35/00 20060101ALI20220202BHJP
   B28D 5/02 20060101ALI20220202BHJP
   B28D 5/04 20060101ALI20220202BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20220202BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
H01L25/08 C
B23H9/14
B23K26/382
B23B35/00
B28D5/02 A
B28D5/04 A
B26F1/16
B26F3/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127691
(22)【出願日】2020-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】519368965
【氏名又は名称】株式会社多摩川ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】西野 仁
【テーマコード(参考)】
3C036
3C059
3C060
3C069
4E168
【Fターム(参考)】
3C036LL02
3C059AA01
3C059HA15
3C060AA10
3C060BA05
3C060BG15
3C060BH01
3C060CE20
3C060CE24
3C069AA04
3C069BA07
3C069BA09
3C069CA05
3C069CB01
3C069EA01
4E168AD11
4E168DA24
(57)【要約】
【課題】複数のウエハについてまとめて加工することができるウエハの加工方法を提供する。
【解決手段】複数のウエハ11を樹脂を含む接着層13を介して重ねて固定する。重ねて固定した各ウエハ11に対して、機械加工により貫通孔12を形成する。機械加工としては、例えば、切削加工、サンドブラスト、ウォータージェット加工、レーザー加工、又は、放電加工が挙げられ、これらの1又は複数を組み合わせて用いてもよい。その後、接着層13を剥離し、各ウエハ11に分離する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウエハを重ねて固定し、機械加工により前記各ウエハに貫通孔を形成することを特徴とするウエハ加工方法。
【請求項2】
前記機械加工は、切削加工、サンドブラスト、ウォータージェット加工、レーザー加工、及び、放電加工からなる群のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のウエハ加工方法。
【請求項3】
前記各ウエハは、前記各ウエハを接着層を介して積層して固定する方法、前記各ウエハを積層して固定具により固定する方法、又は、前記ウエハを金属接合により積層して固定する方法により、重ねて固定することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のウエハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハに貫通孔を形成するウエハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体業界では、加工・成膜等を用いたボトムアップによる加工方法が行われてきたが、近年は、加工したウエハを重ねて高密度化する技術が用いられるようになってきている。ウエハの接合をする際は、電気的な接続も必要とし、一般に貫通配線がつかわれる。この貫通配線は、主にウエハに貫通孔を開け、内部に銅などの金属を成膜して作成される。このように、ウエハの貫通孔の加工は、近年、増えてきており、シリコンウエハでは、電気的絶縁処理を行う必要があるため、特にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の分野では、ガラスなどの絶縁材料のウエハに貫通孔を開け、金属などを成膜することが行われている。
【0003】
ウエハの穴あけ加工には、例えば、ドライエッチングやウエットエッチングによる加工方法があり、特に、シリコンウエハの加工においては、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)を用いた加工が一般に広く使われている(例えば、特許文献1参照)。原理は、SF(六フッ化硫黄)ガスとC(パーフルオロシクロブタン)ガスを交互にチャンバ中に流し、SFガス雰囲気では、プラズマエッチングを、Cガス雰囲気中では、プラズマを用いてパッシベーション膜をつくり、側壁保護膜を成膜する。この工程を繰り返すことで、垂直にシリコンを加工する。この加工方法では、ウエットエッチング等では困難であった垂直加工が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-129260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DRIEでは、実際は垂直面があるわけではなく、スキャロップとよばれるDRIE特有の凹凸構造が側壁にできるほか、側壁にCのフッ素樹脂膜が形成されてしまう。このため、真空封止やパッケージング後、加熱処理を行うとガスが発生し、デバイスに影響を及ぼしてしまうという問題があった。
【0006】
また、DRIE以外の加工方法として、ドリル、バイト等を用いた機械加工、砥粒を利用したサンドブラストやウォータージェット加工、放電加工等があるが、これらは、パターンを一つ一つ加工しなければならないため、コストが高く、手間もかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、複数のウエハについてまとめて加工することができるウエハの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウエハの加工方法は、複数のウエハを重ねて固定し、機械加工により各ウエハに貫通孔を形成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のウエハを重ねて、機械加工により各ウエハに貫通孔を形成するようにしたので、複数のウエハをまとめて加工することができる。よって、低コスト化を図ることができると共に、工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るウエハの加工方法における各工程を表すものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(一実施の形態)
図1は、一実施の形態に係るウエハの加工方法の各工程を表すものである。このウエハの加工方法は、例えば、シリコンウエハ等のウエハ11に、貫通電極用等の貫通孔12を形成するものである。まず、図1(A)に示したように、複数枚のシリコンウエハ等のウエハ11を用意する。各ウエハ11の直径はどのような大きさでもよいか、互いに同一直径とすることが好ましい。加工を容易とすることができるからである。各ウエハ11の厚みは限定されない。
【0013】
次いで、図1(B)に示したように、複数のウエハ11を重ねて固定する。重ねる枚数は限定されないが、例えば、10枚から40枚程度とすることが好ましい。各ウエハ11は、例えば、樹脂又はろう(ワックス)を含む接着層13を介して積層し固定することが好ましい。具体的には、例えば、各ウエハ11の一面に接着層13を形成し、1つのウエハ11の接着層13を形成した一面と、他の1つのウエハ11の接着層13を形成していない他面とを対向させて、2枚のウエハ11を接着層13により接着する。また、1つのウエハ11の一面に接着層13の一部を形成すると共に、他の1つのウエハ11の他面に接着層13の一部を形成して、1つのウエハ11の一面と他の1つのウエハ11の他面とを対向させて接着層13により接着するようにしてもよい。更に、これを複数繰り返すことにより、3枚以上のウエハ11を積層することができる。
【0014】
接着層13を形成する樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂が好ましく挙げられ、具体的には、エポキシ樹脂又はシリコーン等を含む合成高分子が好ましく挙げられる。接着層13は、例えば、ウエハ11に液状の接着剤の原料を用いて、スピンコーティングすることにより形成することができる。接着層13の厚みは、例えば、200nmから20μmとすることが好ましい。
【0015】
続いて、図1(C)に示したように、重ねて固定した各ウエハ11に対して、機械加工により各ウエハ11に貫通孔12を形成する。形成する貫通孔12の直径は、例えば、100μmから20mm程度である。機械加工としては、例えば、切削加工、サンドブラスト、ウォータージェット加工、レーザー加工、又は、放電加工が挙げられ、これらの1又は複数を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
切削加工は、ドリル又はバイト等の切削工具を用いた加工方法である。サンドブラストは、研磨材を吹き付けて加工する加工方法である。研磨材としては、例えば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、又は、ガーネットが好ましい。ウォータージェット加工は、ウォータージェット(例えば、加圧した水を0.1mm~1mm程度の小さい穴を通して得られる細い水流)を用いて加工する加工方法であり、研磨材を混合して用いてもよい。レーザー加工は、レーザー光を用いて加工する加工方法である。レーザー光としては、例えば、YAGレーザーが好ましい。放電加工は、アーク放電を用いて加工する加工方法である。
【0017】
次いで、図1(D)に示したように、接着層13を剥離し、各ウエハ11に分離する。接着層13は、例えば、剥離液にウエハ11を浸して剥離する。ウエハ11を剥離液に浸すことで、接合されたウエハ11を分離することができる。
【0018】
このように、本実施の形態によれば、複数のウエハ11を重ねて、機械加工により各ウエハ11に貫通孔12を形成するようにしたので、複数のウエハ11をまとめて加工することができる。よって、低コスト化を図ることができると共に、工程を簡素化することができる。
【0019】
また、各ウエハ11を樹脂を含む接着層13を介して積層するようにしたので、各ウエハ11を容易に積層して固定することができると共に、容易に各ウエハ11を剥離することができる。
【0020】
(変形例)
上記実施の形態では、各ウエハ11を重ねて固定する方法として、接着層13を介して積層して固定する場合について具体的に説明したが、各ウエハ11を積層し、クランプ等の固定具により固定するようにしてもよい。また、各ウエハ11を金属接合により積層して固定するようにしてもよい。具体的には、例えば、ウエハ11に金や銅などの金属の接合層を成膜し、ウエハ11を重ねた後、加圧と加熱をして接合する。金属接合した場合の剥離は、例えば、接合層に金を用いた場合は、剥離液にヨウ素とヨウ化カリウムの混合溶液を用いる。また、接合層に銅を用いた場合は、アンモニア水等のアルカリ溶液等を用いて剥離する。
【0021】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各工程について具体的に説明したが、全ての工程を備えなくてもよく、また、他の工程を備えていてもよい。また、各工程における具体的な条件は一例を示したものであり、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
11…ウエハ、12…貫通孔、13…接着層
図1