(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022024960
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】光造形法による成形体の生成型構築のための方法
(51)【国際特許分類】
B28B 1/30 20060101AFI20220202BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20220202BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20220202BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20220202BHJP
B29C 64/343 20170101ALI20220202BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20220202BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220202BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220202BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20220202BHJP
【FI】
B28B1/30
B29C64/124
B29C64/214
B29C64/241
B29C64/343
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020204095
(22)【出願日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】19207967
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL-9494 Schaan Liechtenstein
(71)【出願人】
【識別番号】509213990
【氏名又は名称】テクニッシュ ユニべルシタット ウィーン
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イエルク エーベルト
(72)【発明者】
【氏名】カイ リスト
(72)【発明者】
【氏名】ソーニャ バウムガルトナー
(72)【発明者】
【氏名】マルテ ハルトマン
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
【Fターム(参考)】
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF46
4F213WL06
4F213WL13
4F213WL52
4F213WL85
4F213WL95
4G052DA05
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光造形法を用いた光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法を提供する。
【解決手段】光造形法を用いた光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法に関し、本方法において、a)構築材料が、バット2の平面状の透明な底部上に分注され、b)バット2は、ドクターブレード4に対してバット底部3の平面に平行な方向に移動され、そのドクターブレードは、バット底部3の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊され、これにより、分注された構築材料がドクターブレード4の下に移動され、バット底部に対するドクターブレード4の位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する、平滑化層20を形成するようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光造形法を用いた粘性光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法であって、
a)構築材料が、バット(2)の平面状の透明な底部上に分注され、
b)前記バット(2)は、ドクターブレード(4)に対して前記バット底部(3)の平面に平行な方向に移動され、前記ドクターブレードは、前記バット底部(3)の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊され、これにより、分注された構築材料が前記ドクターブレード(4)の下に移動され、それによって、前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の前記位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する平滑化層(20)を形成するようにし、
c)前記平滑化層(20)は、前記バット底部(3)の下に位置する露光ユニット(6)と、高さが調節可能な、前記バットの上方に懸吊される構築プラットフォーム(8)との間の領域に、前記バット(4)の相対移動によって持ち込まれ、
d)前記構築プラットフォーム(8)は、制御される様式で、前記バット底部に対して降下され、これにより、構築材料を変位させる間に、間隙内の残りの層が所定の層厚に形成されるようにし、
e)前記層は、現在の層のために所望される輪郭内で、前記露光ユニット(6)の制御される動作によって空間選択的な様式で固化され、
f)その後、前記構築プラットフォーム(8)は、上昇され、構築材料が、前記バット底部上に分注され、ステップb)~f)が、前記成形体が相互の上に固化される複数の層によって蓄積されるまで繰り返され、
前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の前記位置付けが、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、前記構築プラットフォーム(8)を降下させることによって設定されるべき前記所定の層厚よりも高くなるが、前記所定の層厚を50%よりも多く超過しないような様式で調節されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の位置が、前記結果として生じる予め決定される均一な層厚が、前記所定の層厚の110%~130%の範囲内になるような様式で調節されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バット(2)および前記ドクターブレード(4)の相対移動が、定常様式で懸吊されるドクターブレード(4)に対して、前記バット底部(3)に直交する中心軸まわりに前記バット(2)を回転させることによって、または定常状態にあるバット(2)に対して述べられる前記軸まわりに前記ドクターブレード(4)を回転させることによってもたらされることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記バット底部(3)の上方での前記ドクターブレード(4)の位置が、前記回転軸に最も近接している前記ドクターブレードの直線状の下縁の点における前記バット底部(3)への最小距離によって画定される前記ドクターブレードの前記下縁と一致する直線によって、かつ前記下縁の直線と、直線によって交差される前記バット底部(3)に平行な平面とによって画定される勾配角(α)によって画定され、前記勾配角は、前記バット底部(3)までの前記下縁の距離が、前記回転軸までの増加する半径方向距離に伴って前記最小距離から増加するように、0°よりも大きく、かつ15°よりも小さいことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ドクターブレード(4)が、平面状ブレードを備えること、および前記ドクターブレードが、前記バット底部(3)に対して傾斜角(κ)に傾斜され、0°よりも大きくかつ90°よりも低い前記傾斜角(κ)は、好ましくは、30°~75°の範囲内にあり、前記傾斜角は、バット底部(3)とドクターブレード(4)との間の相対移動の方向に関連して、前記バット底部に対する前記ドクターブレード(4)の相対移動の方向にある前記ドクターブレード(4)の前記下縁が、前記ドクターブレード(4)の上縁の背後を辿るような様式で画定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記バット(2)および前記ドクターブレード(4)の相対移動が、前記バット(2)を線形にシフトさせる、または前記ドクターブレード(4)を線形にシフトさせることによってもたらされることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記バット底部の上方の前記ドクターブレード(4)の位置が、前記ドクターブレード(4)の前記下縁と一致する直線の延設によって画定され、前記直線は、前記バット底部(3)に対して一定の距離において、かつ前記バット底部(3)と平行に延設されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
平滑な薄い層の表面が、前記構築プラットフォーム(8)の降下の前かつ空間選択的な露光の前の中間ステップにおいて、選択される着色剤を空間選択的な様式で適用することによって着色されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
色および透光性を設定するための前記着色剤が、
a)構築材料として光重合体の場合、染料分子を含む溶液および/または顔料を含む懸濁液、
b)構築材料としてガラスセラミックを含むスラリの場合、有機媒体中に分散される、着色顔料、特に、酸化物、酸化スズ、または酸化ジルコニウム、
c)構築材料としてZrO2スラリの場合、硝酸塩の溶液(水溶液または別の溶媒に基づくもの)またはエタノール中に溶解されるアセチルアセトネート
から、現在使用されている構築材料に適合される様式で選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記着色剤が、インク中に溶解および/または分散され、インクジェットプリンタによって前記平滑化層上に空間選択的な様式で適用されることを特徴とする、請求項8または9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記着色剤が、光硬化性または熱硬化性であり、前記平滑化層上への空間選択的な適用の後、電磁放射線によって固定され、固定のために使用される前記電磁放射線は、前記構築材料の光開始剤の吸光スペクトルの外側にあることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ドクターブレードとして、ポリテトラフルオロエチレンから作製される、ドクターブレードが、使用され、ポリテトラフルオロエチレンから作製される前記バット(2)の円周方向の側壁が、使用されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
バット底部(3)として、ガラスまたはポリメタクリル酸メチルの板が、使用され、前記板の上で前記バット底部に面するその表面上にエチレンテトラフルオロエチレンフィルムが接合されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光造形法を用いた粘性光重合構築材料の層毎の固化による成形体の生成型構築のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構築材料は、有機物ベースのセラミックスラリ、すなわち、粘性がセラミック粒子の量の増加に伴って増加するセラミック粒子で充填される流動性光重合材料であり得る、または高い粘性の光硬化性複合体もしくは光重合体から成り得る。構築材料としてセラミックスラリを使用するとき、素地は、成形体として生成され、その素地は、次いで、脱バインダおよび焼結によってセラミック体にさらに処理される。本発明は、特に、歯科修復物の生産の分野において適用可能である。
【0003】
歯科修復物のための審美的に満足の行く結果を達成するために、多くの場合、位置依存的様式で種々の構築材料と協働すること、および/または場所依存的様式で種々の着色物と協働することが望まれる。セラミックスラリから素地を層状に蓄積するための従来の光造形法プロセスでは、構築されているプロセスにある本体が、現在の層の固化の後、構築区域の外に移動されること、および顔料を含む光重合体が、インクジェット印刷方法を使用して、最後に硬化された層に選択的に適用されることが公知である。そのようなプロセスは、例えば、WO2013/182547A1号から公知であり、そこで、ドラム形状のキャリアが使用され、その上に4つの構築プラットフォームが、相互に対して90°の距離を空けてその円周の周囲に配列される。作業ステーションが、同様に、90°の距離を空けてドラム形状のキャリアの周囲に分散される。その下に露光ユニットが位置する透明な底部を有するバットと、最後に硬化された層上に顔料で充填されている光重合体を印刷するためのインクジェットプリンタと、空間選択的にインプリントされた顔料充填光重合体を固化させるためのさらなる露光ユニットとが、作業ステーションの間にある。ドラム形状のキャリアは、構築プラットフォームのそれぞれの構築プラットフォームが、作業ステーションのうちの1つの領域内にあり、その中で処理されるように、回転可能であるように搭載される。それぞれの作業ステーションにおける作業ステップの完了後、ドラム形状のキャリアは、構築プラットフォーム上のそれぞれの部分上で、次の作業ステップが、次の作業ステーション内で実行され得るように、90°回転される。本プロセスにおいて、作業ステップは、いくつかの構築プラットフォーム上の部分上で並行して実行され得るが、本プロセスは、非常に時間がかかり、多くの時間が、作業ステーション間での構築プラットフォームの機械的移動の間に費やされる。
【0004】
代替として、異なる材料が、層を形成するために使用されることができ、その異なる材料は、異なるバット内に準備ができた状態で保持される。次いで、構築プラットフォームは、続いて、異なるバット内で異なる構築材料を用いて硬化されるべき層のサブ区域を連続的に固化させるために、異なるバットの中に降下される。そのようなプロセスが、DE 10 2007 010 624 B4号に説明されている。相互汚染(異なる構築材料を伴うバットの中へのある量の構築材料の移送)を回避するために、構築プラットフォームが、その上に吊下された部品を伴った状態で持ち上げられた後、その部品が次のバット内の別の構築物材料の中に降下される前に、その部分を洗浄することが必要である。したがって、構築材料の変更毎に、洗浄手順を実施することが、必要であり、これはまた、本方法を時間がかかるものにしている。加えて、異なるバットの間で変更するために必要な移送も、時間がかかる。
【0005】
DE 10 2011 117 005 B4号は、単一のスラリ層が、層毎に連続的に堆積および固化される生成型製造方法に基づく、セラミック歯科修復物の製造のための方法に関する。スラリ層を堆積した後、この層の層厚は、ドクターブレードによって低減され、これはまた、平滑化層をもたらし、その後、インク液の空間選択的な堆積が、実施される。このインクは、また、着色および固化が同時に生じるように、着色剤以外にも、化学反応を誘起してスラリ層の固化を引き起こす開始剤を含有する。
【0006】
US 5,975,323 B2号は、概して、生成型3D印刷方法に関し、バット内の液体が、レーザまたは別のエネルギー源によって空間選択的な様式で固化される生成型方法も、述べられる。説明される方法は、特に、層が、相互の上に選択的に形成されることを強調しており、ここで、相互の上の層によって作成されるボリュームが、相互に隣接して存在する複数のカラムから成り、各カラムは、上下に重なって存在する複数のボクセル要素またはボクセル(ボリュームピクセル)から成り、各カラムでは、ボクセル要素のそれぞれの着色/透明性が、選択される様式で作成される。単一のボクセル要素の個々の着色、およびボクセル要素毎の個々の色の適用に関する具体的な詳細は、説明されていない。
【0007】
EP 2 337 667 B1号は、請求項1の前提部分による方法を開示する。本方法では、粘性光重合構築材料が、バットの平面状の透明な底部上に分注される。ドクターブレードが、バット底部の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊される。バットは、分注された構築材料が、ドクターブレードの下に、かつドクターブレードを越えて移動するように押動されるように、ドクターブレードに対してバット底部の平面に平行な方向に移動され、それによって、バット底部に対するドクターブレードの位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する、平滑化層が、形成される。これは、例えば、バット底部が、非回転式ドクターブレードの下に移動されるように、バット底部に直交する回転軸まわりにバットを回転させることによって遂行され得る。分注された構築材料が、ドクターブレードの上流に蓄積しており、蓄積された構築材料の一部のみが、ドクターブレードの下の間隙を通過し、これにより、この通過した構築材料が、予め決定される均一な層厚の平滑化層に形成される。平滑化層は、バットの相対移動によって、バット底部の下方に位置する露光ユニットと、高さが調節可能な様式でバットの上方に懸吊される構築プラットフォームとの間の領域に移動される。その後、構築プラットフォームは、平滑化層から構築材料を変位させる間、精密に制御される様式で、バット底部に対して降下され、これにより、構築プラットフォームとバット底部との間のクリアランス内の残りの層が、バット底部までの構築プラットフォームの下側表面(または最後に硬化された層の下側表面)の距離によって決定される、予め決定される層厚に設定される。本様式では、予め決定される層厚は、高精度で設定されることができる。その後、予め決定された層厚を伴う層は、固化されるべき現在の層の所望の輪郭内での露光をもたらすような露光ユニットの制御される動作によって、空間選択的な様式での露光によって固化される。最後に、構築プラットフォームは、上昇され、構築材料が、バット底部上に分注され、上記に説明されるステップが、成形体が、相互の上に選択的に固化される複数の層によって形成されるまで繰り返される。
【0008】
高粘性の構築材料のためにも迅速かつ精密に実行され得るような様式で実行され得る、上記に説明されるタイプの方法を提供することが、本発明の目的である。また、成形体の連続的に固化された層が、空間選択的な様式で着色され得る場合も、望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/182547号
【特許文献2】独国特許発明第10 2007 010 624号明細書
【特許文献3】独国特許発明第10 2011 117 005号明細書
【特許文献4】米国特許第5,975,323号明細書
【特許文献5】欧州特許第2 337 667号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、請求項1の特徴を含む方法によって達成される。好ましい実施形態が、従属請求項に提示されている。
故に、光造形法を用いた粘性光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法であって、
a)構築材料が、バットの平面状の透明な底部上に分注され、
b)バットは、ドクターブレードに対してバット底部の平面に平行な方向に移動され、そのドクターブレードは、バット底部の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊され、分注された構築材料がドクターブレードの下に移動され、それによって、バット底部に対するドクターブレードの位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する平滑化層を形成するようにし、
c)平滑化層は、バット底部の下に位置する露光ユニットと、高さが調節可能な、バットの上方に懸吊される構築プラットフォームとの間の領域に、バットの相対移動によって持ち込まれ、
d)構築プラットフォームは、制御される様式で、バット底部に対して降下され、これにより、構築材料を変位させる間に、間隙内の残りの層が所定の層厚に形成されるようにし、
e)層は、現在の層のために所望される輪郭内で、露光ユニットの制御される動作によって空間選択的な様式で固化され、
f)その後、構築プラットフォームは、上昇され、構築材料が、バット底部上に分注され、ステップb)~f)が、成形体が相互の上に固化される複数の層によって蓄積されるまで繰り返される、
方法が、提供される。
【0011】
本発明によると、バット底部に対するドクターブレードの位置付けが、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、構築プラットフォームを降下させることによって設定されるべき所定の層厚よりも大きくなるが、所定の層厚を50%よりも多く超過しないように調節される。言い換えると、バット底部上に分注される構築材料は、調節される位置付けを用いてバット底部の上部に懸吊されるドクターブレードに対する相対移動によって、構築プラットフォームを降下させることによって設定されるべきである所定の層厚よりも大きくなるが、すでに所定の層厚に近接する(所定の層厚よりも最大で50%高い)予め決定される均一な層厚を有する層にすでに形成されている。
【0012】
バット底部に対するドクターブレードの位置付けによって決定されるように、層厚が、ある程度まで、構築プラットフォームによって設定されるような所定の層厚を超過しているとき、このように、いずれの場合でも、ドクターブレードによって予め決定される層厚の定義のずれまたは公差(特に、予め決定される層厚の局所的な不足)が生じた場合でも、画定されるべき層の区域内のあらゆる場所において、十分な構築材料が存在し、これにより、あらゆる場所に、所定の層厚が、依然として、構築プラットフォームを降下させることによって設定され得るようにすることが確実にされるため、有利である。言い換えると、バット底部への間隙が所定の層厚に設定されるとき、全体的区域にわたる構築プラットフォームの下側表面(または最後に硬化された層の下側表面)が構築材料に接触するように、あらゆる場所に十分な構築材料が、存在する。多くの構築材料、特に、低または中程度の粘性値を有するものに関して、予め決定される均一な層厚は、いかなる問題も伴わず、層の全体的区域にわたって実現されることができる。より高い粘性値を伴う構築材料に関して、層の区域内の位置の関数としての実際の層厚値が、事実上、層厚値の分布となり、その分布が、非常に狭く、平均層厚の周囲に非常に小さい半値全幅を有するように、実際の層厚のある変動が、層の区域にわたって存在し得る。そのような場合、「予め決定される均一な層厚」は、厚さの分布の平均層厚として見なされ、また、そのような場合、呼称「均一な層厚」は、正当化され、技術的に意味があるものになる。なぜなら、厚さの分布の標準偏差が、いずれの場合も、平均層厚と比較して小さいからである。そのような場合、予め決定される均一な(平均)層厚が、構築プラットフォームを降下させることよって設定されるべき所定の層厚よりもわずかに高くなるように、例えば、実践的には、構築プラットフォームの層の区域にわたる全ての位置において、設定されるべき所定の層厚まで降下されるときに、構築材料と接触した状態になるように、分布の3標準偏差だけより大きくなるように設定されることが望ましい。代替として、予め決定される層厚はまた、所定の層厚により近接し得、区域にわたる層厚の潜在的な変動の補償が、構築プラットフォームが降下されるときに側方向に構築材料を変位させることによって達成され得る。
【0013】
構築材料が、ドクターブレードによって、最大で50%所定の層厚を超過する、非常に低い、予め決定される層厚を有する層に形成されるという事実に起因して、ドクターブレードによって形成される予め決定される均一な層厚が、すでに、構築プラットフォームによって設定されるべき所定の層厚に近接していること、および結果として、構築プラットフォームがバット底部に向かって降下されるとき、少量の構築材料のみが、間隙から変位される必要があることが確実にされる。これに関連して、高粘性構築材料を使用するとき、高い力が、構築プラットフォームを降下させるため、かつ高粘性構築材料が変位される必要がある残りの間隙から構築材料を変位させるために必要とされることが、考慮される必要がある。印加され得る最大の力が、(例えば、バット底部の破損または他の故障を回避するために)バット材料によって限定される場合、構築プラットフォームは、その力を限定するために緩徐に降下される必要がある。この理由のために、所定の層厚を設定するための構築プラットフォームの降下は、高粘性構築材料のために長い時間を要する。逆に、変位されるべき構築材料の最大量の低減は、そのために必要とされる時間を短縮させる。ドクターブレードによって分注された構築材料を構築プラットフォームによって設定されるべき所定の層厚の最大で150%の均一な予め決定される層厚の層に形成することの結果として、変位されるべき構築材料の最大量の厳しい限定は、したがって、構築プラットフォームを降下させることによって層厚を急速に設定することを可能にし、したがって、より短い周期時間を可能にする。
【0014】
構築プラットフォームによって所定の層厚を設定することが、層の固化の後、より大量の構築材料が所定の層厚を設定するために変位されている状況と比較して、構築プラットフォームを持ち上げるためにより低い分離力が必要とされるというさらなる利点を有するとき、少量の構築材料が、変位されることになる。構築プラットフォームを持ち上げるとき、構築プラットフォームを持ち上げるときに構築されている部品の下側表面とバット底部との間に作成される容積が、流入する空気によって充填される必要があるため、要求される分離力は、負圧を克服する必要がある。大量の変位される構築材料の場合、この変位される材料は、構築プラットフォームおよび構築されている部品の周囲に障壁を形成し、その障壁は、構築プラットフォームが上昇されると、バット底部の上方の成長する容積の中への環境空気の流動を妨害する。変位される構築材料の量を最小限にすることによって、バット底部の上方の成長する容積の中への空気の流入が、改良され、それによって、構築プラットフォームを持ち上げるための分離力が、低減される。
【0015】
所定の層厚を設定するために構築プラットフォームを降下させることが、大量の構築材料の変位を引き起こす場合、これはまた、特に、z方向(バット底部の平面に直交する方向)の精度に基づく、光造形法によって蓄積される部品の寸法の精度に悪影響を及ぼす。本発明の場合におけるように、「ボトムアップ」プロセスにおいて、固化されるべき層は、構築プラットフォーム(または、すでに1つまたは複数の層が固化されている場合、構築されている部品の下側表面)とバット底面表面との間に狭入される。この間隙の高さは、固化されるべき層の所定の層厚を決定する。この区域では、最大硬化深度が、選定される露光パラメータ(強度および露光時間)における、構築材料に応じた光の透過深度が、より深い硬化深度を引き起こす場合でも、間隙の高さ(所定の層厚)によって決定される。現在固化されるべき層が、以前に硬化された最後の層を越えて側方向に突出する場合、現在固化層になるべきものの層厚を設定する間に変位される構築材料もまた、現在固化されるべき層が最後に硬化された層を越えて突出する部分に到達し、これは、現在固化されるべき層のこの側方に突出する部分に2つの大量の材料と、2つの高い層厚とをもたらす。露光の実際の硬化深度は、常時、所定の層厚よりも大きいため、これらの部分では、材料の固化は、最後に固化された層の深部領域におけるz方向に所定の層厚を越えて生じ、これは、いくつかの層厚のz方向における1桁低下した精度(過定寸)につながり得る。変位される構築材料の最小限化、または言い換えると、したがって、ドクターブレードによる予め決定される層厚の構築プラットフォームによって設定されるべき所定の層厚への最適な近似もまた、構築されるべき部品の改良された精度をもたらす。概して、ドクターブレードの位置付けによって決定されるように、予め決定される層厚を、構築プラットフォームによって設定されるべき所定の層厚に近似させることによって、変位される構築材料の量を可能な限り少なく保つことが、有利である。
【0016】
構築プロセスの終了時において、常時、構築される部品上に、ある変位された、過剰な、かつ未硬化の構築材料が存在する。したがって、特に、その部品が脱バインダおよび焼結等の熱後処理ステップを受けることになるとき、洗浄手順の必要性が存在する。生成型製造プロセスの文脈では、洗浄手順は、些細なものではない。複雑な形状を伴う部品に関して、微小な間隙または空洞は、相当の努力の下でのみ、洗浄液にとってアクセス可能である。さらに、モノマー混合物を除去するための優れた能力を伴う溶媒が、ある状況下において部品の表面を損傷させ得、懸濁液(スラリ)の場合、微粒子充填材料が、表面上に留まり得る。構築プロセスの間の変位される構築材料の量を可能な限り少なく保つことによって、また、最終的に部品上に接着する過剰な構築材料の量も、可能な限り少なく保たれ得、これは、洗浄手順の複雑性を緩和させる。部品が、異なる材料で構築され、部品が、構築プロセスの間に異なる構築材料を伴うバット間で変更される場合、そのような場合に、洗浄するステップが、構築されている部品が、別の構築材料を伴う次のバットに移送される前に、各材料の変更に関する原理上、実施される必要があるため、これらの側面は、いっそう関連する。層厚を設定することに応じて変位される構築材料の量の実質的な最小限化の場合では、材料の変更に応じた洗浄が、次いで、次のバット内の別の構築材料と接触する部品上の接着性構築材料の少量の残留物によるわずかな汚染が、受容され得る場合、省略され得る。
【0017】
好ましくは、バット底部に対するドクターブレードの位置付けは、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、構築プラットフォームを降下させることによって設定されるべき所定の層厚の110~130%の範囲内になるように調節される。
【0018】
好ましい実施形態では、バットおよびドクターブレードの相互に対する相対移動が、ドクターブレードを定常状態で懸吊される状態に保ちながら、バット底部上で中心を合わせられかつバット底部に直交する回転軸まわりにバットを回転させることによって、または定常状態に保たれているバットに対して述べられる軸まわりにドクターブレードを回転させることによってもたらされる。定常状態のドクターブレードおよび回転可能なバットの場合、バット底部は、ディスクの中心を通して延在する回転軸を伴う円形ディスクの形状を有することができる。定常状態のドクターブレードは、回転軸に対して半径方向に配向される方向成分を有し、回転軸に半径方向に最も近接する点から半径方向に外向きの方向に延在する。
【0019】
好ましい実施形態では、バット底部の上方のドクターブレードの位置付けは、ドクターブレードの下縁と一致する直線によって画定される。本直線は、ドクターブレードの下縁の半径方向における回転軸に最も近接する点において、バット底部への最小距離を有する。直線の位置付けはさらに、直線と、直線によって交差されるバッド底部に平行な平面との間に画定され、0°よりも大きく15°よりも小さい勾配角によって画定される。0°より大きい勾配角は、バット底部までの下縁の垂直(バット底部に直交する)距離が、半径方向に回転軸に最も近接する点における最小距離から増加し、回転軸までの半径方向距離の増加に伴って増加するという結果を有する。
【0020】
ドクターブレードは、バット底部に対するある傾斜角に配向される平面を画定する平面状のドクターブレードを備え得、その傾斜角は、0°~90°である。好ましくは、平面状のドクターブレードは、バット底部に対して傾斜され、傾斜角は、好ましくは、30°~75°の範囲内であり、ドクターブレードの下縁が、相対移動の方向に、ドクターブレードの上縁の背後を辿っているように、バット底部とドクターブレードとの間の移動方向に対して画定される。
【0021】
バットおよびドクターブレードの相対回転移動に対する代替として、バットおよびドクターブレードの相対移動はまた、バットの線形シフトまたはドクターブレードの線形シフトによってももたらされることができる。そのような実施形態では、バット底部の上方へのドクターブレードの位置付けが、ドクターブレードの下縁と一致する直線によって画定され、その直線が、バット底部に対して一定の距離を空けて、かつバット底部に平行に延設されることが望ましい。
【0022】
全体的なバット底部が、空隙を伴わない構築材料で湿潤され、したがって、構築材料が、バット底部を全体にわたってコーティングしていることを確実にするために、界面張力に対して構築材料およびバット底部表面を適合させることが有用であり得る。これは、消泡剤または界面活性剤等の添加剤を使用して構築材料の表面張力を設定することによって、ならびに/もしくは、例えば、シラン処理によってバット底部の表面を修正することによって、達成されることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、平滑な薄い層の表面が、構築プラットフォームの降下の前かつ場所依存的露光の前の中間ステップにおいて、選択される着色剤の位置依存的適用によって着色される。
好ましくは、部品の色および透光性を適合させるための着色剤は、以下のような実際に使用される構築材料に依存する。
a)構築材料として光重合体の場合、染料分子を含む溶液および/または顔料を含む懸濁液
b)構築材料としてガラスセラミックを含むスラリの場合、着色顔料、特に、有機媒体中に分散される、酸化物、すなわち、酸化スズまたは酸化ジルコニウム
c)構築材料としてのZrO2スラリの場合、硝酸塩の溶液(水溶液または別の溶媒に基づくもの)もしくはエタノール中に溶解されるアセチルアセトネート。
【0024】
好ましい実施形態では、着色剤は、インク中に溶解および/または分散され、インクジェット印刷方法によって平滑化層上に適用される。
【0025】
好ましい実施形態では、着色剤は、光硬化性または熱硬化性であり、平滑化層上への空間選択的な適用の後、電磁放射線によって固定され、固定のために使用される電磁放射線は、構築材料の光開始剤の吸光スペクトルの外側にある。
【0026】
好ましい実施形態では、ポリテトラフルオロエチレンから作製されるドクターブレードが、使用され、バットの円周方向の側壁のために、ポリテトラフルオロエチレンから作製される側壁が、使用される。
【0027】
バット底部として、好ましくは、ガラスまたはポリメタクリル酸メチル(PMMA)で作製されるディスクが、使用され、その上でバット底部に面するその表面上にエチレンテトラフルオロエチレンフィルムが接合される。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
光造形法を用いた粘性光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法であって、
a)構築材料が、バット(2)の平面状の透明な底部上に分注され、
b)前記バット(2)は、ドクターブレード(4)に対して前記バット底部(3)の平面に平行な方向に移動され、前記ドクターブレードは、前記バット底部(3)の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊され、これにより、分注された構築材料が前記ドクターブレード(4)の下に移動され、それによって、前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の前記位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する平滑化層(20)を形成するようにし、
c)前記平滑化層(20)は、前記バット底部(3)の下に位置する露光ユニット(6)と、高さが調節可能な、前記バットの上方に懸吊される構築プラットフォーム(8)との間の領域に、前記バット(4)の相対移動によって持ち込まれ、
d)前記構築プラットフォーム(8)は、制御される様式で、前記バット底部に対して降下され、これにより、構築材料を変位させる間に、間隙内の残りの層が所定の層厚に形成されるようにし、
e)前記層は、現在の層のために所望される輪郭内で、前記露光ユニット(6)の制御される動作によって空間選択的な様式で固化され、
f)その後、前記構築プラットフォーム(8)は、上昇され、構築材料が、前記バット底部上に分注され、ステップb)~f)が、前記成形体が相互の上に固化される複数の層によって蓄積されるまで繰り返され、
前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の前記位置付けが、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、前記構築プラットフォーム(8)を降下させることによって設定されるべき前記所定の層厚よりも高くなるが、前記所定の層厚を50%よりも多く超過しないような様式で調節されることを特徴とする、方法。
(項目2)
前記バット底部(3)に対する前記ドクターブレード(4)の位置が、前記結果として生じる予め決定される均一な層厚が、前記所定の層厚の110%~130%の範囲内になるような様式で調節されることを特徴とする、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記バット(2)および前記ドクターブレード(4)の相対移動が、定常様式で懸吊されるドクターブレード(4)に対して、前記バット底部(3)に直交する中心軸まわりに前記バット(2)を回転させることによって、または定常状態にあるバット(2)に対して述べられる前記軸まわりに前記ドクターブレード(4)を回転させることによってもたらされることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記バット底部(3)の上方での前記ドクターブレード(4)の位置が、前記回転軸に最も近接している前記ドクターブレードの直線状の下縁の点における前記バット底部(3)への最小距離によって画定される前記ドクターブレードの前記下縁と一致する直線によって、かつ前記下縁の直線と、直線によって交差される前記バット底部(3)に平行な平面とによって画定される勾配角(α)によって画定され、前記勾配角は、前記バット底部(3)までの前記下縁の距離が、前記回転軸までの増加する半径方向距離に伴って前記最小距離から増加するように、0°よりも大きく、かつ15°よりも小さいことを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記ドクターブレード(4)が、平面状ブレードを備えること、および前記ドクターブレードが、前記バット底部(3)に対して傾斜角(κ)に傾斜され、0°よりも大きくかつ90°よりも低い前記傾斜角(κ)は、好ましくは、30°~75°の範囲内にあり、前記傾斜角は、バット底部(3)とドクターブレード(4)との間の相対移動の方向に関連して、前記バット底部に対する前記ドクターブレード(4)の相対移動の方向にある前記ドクターブレード(4)の前記下縁が、前記ドクターブレード(4)の上縁の背後を辿るような様式で画定されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記バット(2)および前記ドクターブレード(4)の相対移動が、前記バット(2)を線形にシフトさせる、または前記ドクターブレード(4)を線形にシフトさせることによってもたらされることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記バット底部の上方の前記ドクターブレード(4)の位置が、前記ドクターブレード(4)の前記下縁と一致する直線の延設によって画定され、前記直線は、前記バット底部(3)に対して一定の距離において、かつ前記バット底部(3)と平行に延設されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
平滑な薄い層の表面が、前記構築プラットフォーム(8)の降下の前かつ空間選択的な露光の前の中間ステップにおいて、選択される着色剤を空間選択的な様式で適用することによって着色されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
色および透光性を設定するための前記着色剤が、
a)構築材料として光重合体の場合、染料分子を含む溶液および/または顔料を含む懸濁液、
b)構築材料としてガラスセラミックを含むスラリの場合、有機媒体中に分散される、着色顔料、特に、酸化物、酸化スズ、または酸化ジルコニウム、
c)構築材料としてZrO2スラリの場合、硝酸塩の溶液(水溶液または別の溶媒に基づくもの)またはエタノール中に溶解されるアセチルアセトネート
から、現在使用されている構築材料に適合される様式で選択されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記着色剤が、インク中に溶解および/または分散され、インクジェットプリンタによって前記平滑化層上に空間選択的な様式で適用されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記着色剤が、光硬化性または熱硬化性であり、前記平滑化層上への空間選択的な適用の後、電磁放射線によって固定され、固定のために使用される前記電磁放射線は、前記構築材料の光開始剤の吸光スペクトルの外側にあることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
ドクターブレードとして、ポリテトラフルオロエチレンから作製される、ドクターブレードが、使用され、ポリテトラフルオロエチレンから作製される前記バット(2)の円周方向の側壁が、使用されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
バット底部(3)として、ガラスまたはポリメタクリル酸メチルの板が、使用され、前記板の上で前記バット底部に面するその表面上にエチレンテトラフルオロエチレンフィルムが接合されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
本発明は、光造形法を用いた光重合構築材料の層状固化によって成形体を構築するための方法に関し、本方法において、
a)構築材料が、バット(2)の平面状の透明な底部上に分注され、
b)バット(2)は、ドクターブレード(4)に対してバット底部(3)の平面に平行な方向に移動され、そのドクターブレードは、バット底部(3)の上方に調節可能な位置付けを用いて懸吊され、これにより、分注された構築材料がドクターブレード(4)の下に移動され、バット底部に対するドクターブレード(4)の位置付けによって予め決定される、均一な層厚を有する、平滑化層(20)を形成するようにし、
c)平滑化層(20)は、バット底部(3)の下に位置する露光ユニット(6)と、高さが調節可能な、バットの上方に懸吊される構築プラットフォーム(8)との間の領域に、バット(4)の相対移動によって持ち込まれ、
d)構築プラットフォーム(8)は、制御される様式で、バット底部に対して降下され、これにより、構築材料を変位させる間に、間隙内の残りの層が所定の層厚に成されるようにし、
e)層は、現在の層のために所望される輪郭内で、露光ユニット(6)の制御される動作によって空間選択的な様式で固化され、
f)構築プラットフォーム(8)は、上昇され、構築材料が、バット底部上に分注され、ステップb)~f)が、成形体が相互の上に固化される複数の層によって蓄積されるまで繰り返され、
バット底部(3)に対するドクターブレード(4)の位置付けが、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、構築プラットフォーム(8)を降下させることによって設定されるべき所定の層厚よりも高くなるが、所定の層厚を50%よりも多く超過しないような様式で調節されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、ここで、図面内の実施形態を参照して説明される。
【
図1】
図1は、本発明に従った方法を実行するための装置の構成要素の概略斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明に従った本方法の実施の間の4つの後続のステップのシーケンスとして、本発明に従った方法を実行するための装置の概略上面図を示す。
【
図3】
図3は、本発明に従った本方法の実施の間の4つの後続のステップのシーケンスとして、対応する上面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明に従って本方法を実施するための装置のバット底部およびドクターブレードを通した断面における詳細図を示す。
【
図5】
図5は、バット底部およびドクターブレードの
図4の平面A-Aからの部分的断面における平面図、ならびに右手側の、上方からのこれらの構成要素の上面図である。
【
図6】
図6は、ドクターブレードとバットとの間の相対移動をもたらすための、代替実施形態のための、
図5におけるような対応する図を示す。
【
図7】
図7は、その上に平滑化された構築材料層を伴う、バット底部の一部の断面図を示す。
【
図8】
図8は、
図7に対応する断面図を示し、バット底部の一部がインクジェットプリンタの下方の位置に移動している。
【
図9】
図9は、
図7に対応する断面図を示し、バット底部の一部が、すでにインクジェットプリンタの区域を離れており、かつバットの上方に構築プラットフォームが配置され、バット底部の下方に露光ユニットが配置される、構築区域に向かった移動状態にある。
【
図10】
図10は、
図7に対応する断面図であり、ここで、バット底部の一部が、構築プラットフォームの下方の構築領域に移動している。
【
図11】
図11は、構築プラットフォームを降下させた後、かつ着色剤が適用された構築材料の画定された層の露光の間の、
図10に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に従った方法を実行するための装置の不可欠な構成要素の概略的な、非常に単純化された斜視図を示す。本装置は、回転可能なバット2を備え、回転可能なバット2は、単純化の理由のために、実際には円形のディスクを囲繞する側壁を伴わない、円形のディスクの形態にあるバット底部3として示される。バット底部3は、少なくとも、露光ユニット6が構築区域を露光し得る領域において透明である。露光ユニット6の反対に、垂直に移動可能な構築プラットフォーム8が、バット底部2の上方に配置される。製作中の部品10が、構築プラットフォーム10上に吊下されている。
【0030】
ドクターブレード4が、バット底部3の上方に調節可能な位置付けにおいて懸吊される。バット2は、水平なバット底部3の円形のディスクの中心から延在している、垂直に延在する回転軸まわりに回転可能である。制御ユニット(図示せず)の制御下でバット2を回転させ、制御ユニットによって決定される位置においてバットを停止させる、回転式駆動部(図示せず)が、提供される。矢印によって示されているバット2の回転方向と反対の方向に、粘性構築材料のための分注デバイス(
図1に図示せず)が、ドクターブレード4の上流に配置され、その分注デバイスが、粘性構築材料を分注する。これは、例えば、カートリッジであり得、駆動されるピストンが、カートリッジから出力排出口を通して構築材料を送達し得る。バット2の回転に起因して、構築材料が、ドクターブレード4の前に蓄積している。バット2の回転に起因して、分注された構築材料の一部が、ドクターブレード4の下に、かつドクターブレード4を越えて移動され、それによって、バット底部3に対するドクターブレード4の位置付けによって決定される、予め決定される均一な層厚を伴う平滑化層20を形成する。
【0031】
ドクターブレード4に対して円周方向に約90°変位された状態で、インクジェットプリンタ12が、バット2の上方に移動可能に支持される。インクジェットプリンタ12は、バット2の回転を停止した後、使用され、次に固化されるべき層のための所望の場所依存的着色を取得するために、平滑化層20の予め決定される領域に着色剤を空間選択的な様式で適用する。
【0032】
インクジェットプリンタ12による印刷プロセスの完了後、バット2は、着色剤がインクジェットプリンタによって適用されている平滑化層20の区域が、露光ユニット6と構築プラットフォーム8との間の領域に移動されるように、90°さらに回転される。次いで、構築プラットフォーム8は、(構築プラットフォーム上で固化されるべき第1の層の場合)構築プラットフォームの下側表面、または構築されている部品10の最後に硬化された層の下側表面が、予め決定される層厚に等しいバット底部までの距離になるような程度まで、制御ユニットの制御下で、バット底部3の表面に対して降下され、これにより、構築材料が、間隙から変位され、所定の層厚を有する残りの層が作成される。本発明によると、バット底部3の上方へのドクターブレード4の位置付けは、平滑化層20が、すでに、所定の層厚に近接し、適宜、所定の層厚をごくわずかにのみ上回るような様式で設定される。本目的のために、バット底部に対するドクターブレードの位置付けは、ドクターブレードを通過した後、結果として生じる予め決定される均一な層厚が、構築プラットフォームを降下させることによって設定されるべき所定の層厚の100%~150%の範囲内になるように調節される。上記に解説されているように、構築プラットフォームを降下させることによって層厚を設定する間に変位されるべき構築材料の量が、少ない、理想的には、無視できるほど少ない場合、いくつかの利点が存在する。
【0033】
バット底部に対する構築プラットフォームの制御された降下によって所定の層厚を設定した後、間隙の中に画定された、着色剤を用いてインプリントされた構築材料の層は、空間選択的な様式で、バット底部を通して露光ユニット6によって露光され、それによって、固化される。その後、その上に吊下された状態で構築されている部品10を伴う、構築プラットフォームは、現在固化される層がバット底部3から係脱され、上に持ち上げられるように、上昇される。
【0034】
インクジェットプリンタ12の動作および露光ユニット6の動作は、制御ユニット(図示せず)によって制御され、制御ユニットにおいて、蓄積されるべき成形体の3次元形状データが、特に、連続的に固化されるべき個々の層の輪郭形状のデータ、ならびに固化されるべきそれぞれの層の区域内での着色剤の分布のデータとしても記憶される。
【0035】
図2は、
図1に示されるような装置に関する、上方からの概略上面図内の方法ステップのシーケンスを示し、本シーケンスは、本発明に従った本方法の実施の間の一連の4つの作業ステップを図示する。
図2の左縁に図示される、第1のステップでは、バットは、バット底部3に直交する垂直回転軸まわりに反時計回りに回転される。同時に、構築材料、例えば、微粒子セラミック材料で充填される光重合材料が、例えば、構築材料18のある後続部分がドクターブレード4において発現するように、バット底部上のドクターブレード4の上流の回転方向にカートリッジから分注される。バット底部3の回転に起因して、構築材料が、ドクターブレード4の下に、かつドクターブレードを越えて移動され、ドクターブレード4は、ドクターブレードの下縁によって、バット底部3に対するドクターブレード4の位置付けによって決定される、予め決定される均一な層厚を有する、平滑化層20が形成されるように、バット底部の上方に調節可能な位置付けにおいて懸吊される。平滑化層20は、ドクターブレード4に対して反時計回り方向に90°シフトされている、インクジェットプリンタ12の下方の区域に、バットの回転によって移動される。後にさらなる層を固化させるための構築区域となる平滑化層20の領域が、インクジェットプリンタ12の下方の区域に到達するとすぐに、バットが、停止される。この相において、構築材料の層は、空間選択的な様式で着色剤を用いてインプリントされる。着色剤の適用の結果が、
図2の左から2番目の図に図式的に示され、印刷された文字DLPが、空間選択的な様式でインプリントされている、適用された着色剤を表象することを意図している(当然ながら、歯科用製品を製造するための方法では、概して、文字等の離散した着色構造は、適用されず、むしろ、連続的に変動する着色が、適用される)。インクジェットプリンタ12の移動可能な懸吊が、交差された矢印によって示され、インクジェットプリンタは、制御ユニット(図示せず)によって制御される、制御された様式で移動され、構築領域における着色料の空間選択的な適用を実現する。
【0036】
その後、バットは、再び、反時計回り方向に90°回転され、次いで、再び停止され、本停止状態は、
図2の右から2番目の図に示される。おの回転に起因して、直前のステップにおいて、DLPによって表象される着色剤が適用されている領域が、ドクターブレード4の反対の露光ユニット6に到達し、そこで、所定の層厚を設定するために構築プラットフォームを降下させた後、露光によって空間選択的な様式で固化される。これは、ドクターブレード4の反対のグリッドによって、
図2に示され、そのグリッドは、露光ユニットの画素(ピクセル)を示す。(構築プラットフォームは、構築プラットフォームの下方の構築区域が可視の状態であるように、
図2の図内では省略されている)。露光と同時に、6時の位置にある、後に続く湿潤構築材料層の構築区域が、DLPによって逆行表象されている着色剤を用いてインプリントされる。回転相の間、ドクターブレード4は、予め決定される均一な層厚を伴う平滑化層20を形成し続ける。再び、
図2の図では、例証の理由のために、バット底部の上方の露光ユニットにわたって実際に配置される構築プラットフォームが、露光ユニットの露光区域が可視であるように省略されていることに留意されたい。
【0037】
図2の右縁上に示される状態の遷移において、バット底部3のさらなる90°の回転が、生じ、ドクターブレード4は、継続的に、予め決定される均一な層厚を有する平滑化層20を形成し続ける。バット底部の90°の回転およびその回転を停止させるステップの後、インクジェットプリンタ12は、再び、次の構築区域において着色剤を適用している一方、
図2の右の図から2番目の図の中で着色剤を用いて以前にインプリントされた構築区域が、ここで、
図2の右縁の図の3時の位置における、露光ユニットの領域内にあり、構築プラットフォーム(図示せず)の降下の後、露光される。本例では、文字DLPに対応する区域が、露光され、固化されることが仮定されている。
【0038】
右の図から2番目の図において露光される区域DLPは、
図2の右縁上に示される後続の方法ステップにおいて、12時の位置まで回転されており、バット底部が可視である文字シーケンスDLPを伴う区域として、そこに示されている。なぜなら、この区域の固化の後、構築プラットフォームが、再び上昇され、それによって、構築プラットフォームが
図2に示されていないため、層20内の固化された層の残りのネガ画像が、残った、すなわち、文字シーケンスDLPの形状で直前に固化された層とともに構築プラットフォームを上昇させた後、この区域が、層20内でネガ画像または空隙として残るからである。
【0039】
図3は、本発明に従った方法の実施の間に
図2に対応する方法段階のシーケンスを示し、本方法を実行するための装置は、
図2に図示される装置から以下の点において異なる。
図3では、
図2には示されていなかった、構築材料分注デバイス30が、示され、本構築材料分注デバイスは、異なる構築材料を伴う2つのカートリッジを備える。カートリッジは、構築材料の選択された混合物を調製し、混合物を分注する、一般的な混合デバイスに接続される。本場合におけるドクターブレード4は、二重またはツイン型のドクターブレードとして構成される、すなわち、これは、2つの平行なドクターブレードを備え、2つの平行なドクターブレードの間に底部において開放している空洞が形成される。構築材料は、混合デバイスによって、2つのドクターブレードの間の空洞に直接送達される。回転方向に対して下流にあるドクターブレードの位置付けは、再び、バット底部に対するドクターブレード4の位置付けによって決定される、予め決定される均一な層厚を有する平滑化層20が形成されるように設定される。
【0040】
12時の位置において、真空ドクターブレード34が、搭載され、これは、同様に、底部において開放している空洞を間に有する二重またはツイン式ドクターブレードとして形成される。真空ドクターブレード34の空洞は、3時の位置における露光ステップおよび構築プラットフォームを持ち上げて離すステップの後、背後に残された残りの構築材料が、吸い取られるように、負圧下に保たれる。
【0041】
図4および
図5を参照すると、平滑化層20を形成するための調節可能なドクターブレードのある実施形態が、説明され、その層20は、バット底部に対するドクターブレード4の位置付けによって決定される、予め決定される均一な層厚を有する。
図5の右手側の図では、上方からのバット底部3の概略平面図が、示されている。ドクターブレード4の長手方向が、ここで、円形のバット底部3の回転軸に近接する開始点から半径方向に外向き方向に、円形のバット底部3の外周に近接する終了点まで延在する。
図4では、バット底部3の一部およびドクターブレード4の一部の断面図が、示されており、断面平面は、
図5において可視のドクターブレード4の半径方向かつ長手方向の延在に直交する。
図4の図に見られ得るように、ドクターブレード4のブレードは、バット底部3に直交するようには配向されないが、バット底部3に対して傾斜され、バット底部に対して傾斜角κを形成する。傾斜角は、鋭角、好ましくは、30°~75°の角度範囲内にあり、ドクターブレード4は、傾斜角が、バット底部に対するドクターブレード4の相対移動の方向にあるドクターブレード4の下縁が、ドクターブレード4の上縁の背後を辿っているように、バット底部に対するドクターブレードの相対移動の方向に対して配置されるように、この傾斜角κに傾斜される。
図4を参照すると、これは、バット底部3に対するドクターブレード4の相対移動の方向が、右手側に指向され、次いで、ドクターブレード4の下縁が、バット底部に対するドクターブレードの相対移動の間に上縁の背後を辿っていることを意味する。ドクターブレード4の正面のバット底部3に対するドクターブレード4の移動方向に、バット底部上に分注される構築材料が、蓄積している。バット底部に対するドクターブレードの位置付けは、バット底部とドクターブレードの下縁との間の間隙を通過する構築材料の一部が、バット底部3に対するドクターブレードの位置付けによって決定される、予め決定される均一な層厚D
Nを伴う平滑化層20に形成されるように調節される。説明される傾斜角は、漏斗効果を引き起こす、すなわち、構築材料は、傾斜されたドクターブレードの相対移動によって、ドクターブレードの下縁とバット底部との間の間隙に向かって押勢される。
【0042】
回転可能なバット2と、非回転式ドクターブレード4とを有する、本明細書に説明される装置の実施形態に関して、ここで、
図5に関連して説明される、さらなる角度を調節することが、有利である。
図5は、
図4の平面A-Aから得られる平面図を示し、すなわち、視認方向は、x方向にあり、ドクターブレード4の側面に指向されている。バット底部に対するドクターブレード4の位置付けは、ドクターブレード4の下縁と一致する直線の進路によって画定される。ドクターブレード4の下縁と一致する直線は、本質的には、回転可能なバット2に対して半径方向に延在するが、バット底部3の表面に平行ではなく、バット底部の表面に対して勾配角αに傾斜され、その勾配角αは、バット底部3までのドクターブレード4の下縁の距離が、最小距離から開始し、回転軸からの半径方向距離の増加に伴って増加しているように、0°よりも大きく、15°よりも小さい。回転軸からの半径方向距離の増加に伴って、構築材料の増加する量が、半径方向距離の増加に伴って構築材料が横断して分散されるべき区域が増加しているという理由から、必要とされるため、そのような勾配角αの調節が、回転するバットのために必要である。言い換えると、バット底部に対するドクターブレードの下縁の相対速度は、半径方向が大きいほど、対応してより多くの構築材料が必要とされ、次いで、ドクターブレードに対するバット底部の比較的により高い速度のため、より大きい区域を横断して分散されることになるような、回転軸までの半径方向距離の線形に成長する関数である。ドクターブレード材料の上流が、構築材料が半径方向範囲内に分注される全体的長さに沿って、ドクターブレードにおいて蓄積することが、観察されている。さらに、回転式バットを備える本実施形態において、また、回転軸からより大きい半径方向距離において、層厚が、バット底部までのドクターブレードの下縁の距離によって決定されるが、回転軸までの半径方向距離に依存する間隙幅が、間隙幅よりも低い、ドクターブレードの半径方向に外側の領域内にある、結果として生じる層厚に等しくないことが、見出された。むしろ、表面張力およびバット底部上での粘着挙動と関連する、構築材料の粘弾性等の材料性質が、より大きい半径方向距離における区域において、構築材料がドクターブレードの下縁とバット底部との間の間隙幅によってそこに決定される層よりも薄い層にさらに引き離す効果に関わる。これは、粘性、表面張力、および接着性質の点において異なる、別の構築材料への変更の場合、バット底部に対するドクターブレードの位置付けが、所望の予め決定される均一な層厚が分注された構築材料の全体的区域においてもたらされるように適合される必要があることを要求する。これに関連して、バット底部に対するドクターブレードの最適な位置付けが、ドクターブレードの調節可能な懸吊を使用するとき、幾分迅速に見出され得、その懸吊は、作動駆動部を連続的に使用して、ドクターブレードの下縁の高さおよび勾配角を調節し、ドクターブレードの位置付けを変動させることを可能にし、これは、所望の層が形成されるまでその位置付けを変動させることによって、ドクターブレードの位置付けの急速な適合を可能にすることが見出された。
【0043】
構築プラットフォームを降下させ、構築材料の変位を引き起こすことによって設定される、所定の層厚は、典型的な構築プロセスでは、20μm~100μmの範囲内にあり、所定の層厚は、例えば、50μmであり得る。ドクターブレードによって、所定の層厚よりも高いが、所定の層厚よりも50%超も高くない、予め決定される均一な層厚を生成するために、バット底部3に対するドクターブレード4の下縁の最小距離を調節すること、および調節された位置付けが動作の間に変化するというリスクを伴わない精密かつ再現可能な様式で、
図4および
図5に関連して上記に説明される2つの角度を調節することを可能にする、ドクターブレードの調節可能な懸吊を実現することが、必要である。これは、例えば、2つの位置付けテーブルを使用して遂行され得、2つの位置付けテーブルは、高い精度でテーブル位置を調節するために構成され、ドクターブレードのために結合された懸吊を形成する。位置付けテーブルは、相互と結合される。位置付けテーブルの一方は、バット底部に対するドクターブレードの下縁の最小距離を調節する役割を果たし、他方のものは、角度計を介してバット底部に対するドクターブレードの下縁の勾配角α(
図4参照)を調節する。
【0044】
図6において、ドクターブレード4およびバット底部3の相対移動を実現する、代替実施形態が、図示されている。この場合、上方からの平面図(z方向の図)として、
図6の右手側に示される、長方形のバット底部3が、使用される。この場合、バットは、
図6の右手側の図において矢印によって示される、x方向に線形に移動可能である。
図6の左手側に、側面からのドクターブレードおよびバット底部の平面図(視認方向=x方向)が、示されている。この場合、ドクターブレード4は、その下縁がバット底部3の表面に平行に延在し、バット底部3までのドクターブレード4の下縁の距離が調節可能であるように懸吊される。この場合、バット底部までのドクターブレードの下縁からの距離は、バット底部に対するドクターブレードの下縁の相対速度が、あらゆる場所で同一であるため、あらゆる場所で同一である。バット底部までのドクターブレードの下縁の距離は、ドクターブレード4によって形成されることになる、予め決定される均一な層厚に等しい。
【0045】
図6の右手側に見られ得るように、分注された構築材料の後続部分18が、ドクターブレード4の正面のバットの移動方向に形成される一方、ドクターブレード4の背後の移動方向に、予め決定される均一な層厚を伴う平易な層20が、形成されている。多くのタイプの構築材料に関して、ドクターブレードの背後の平滑化された構築物の実際に生成された層厚が、ドクターブレードの下縁とバット底部との間の間隙幅に厳密には等しくないが、層厚が、多くの場合、わずかにより小さいことが観察された。これに関連して、例えば、制御ユニットによって制御される作動駆動部を用いてドクターブレードの下縁の位置付けを変動させることによって、バット底部に対するドクターブレードの正しい位置付けが、迅速に見出され得、そのドクターブレードの正しい位置付けは、所望される予め決定される均一な層厚をもたらすこともまた、見出された。
【0046】
図7-12では、本発明の方法の実施の間の方法ステップのシーケンスの別の表現が、示されている。
図7は、バット底部3の一部に関する概略平面図を示しており、バット底部3上にドクターブレード4が、すでに、予め決定される均一な層厚を伴う平滑化層20を形成した。本平滑化層は、バットの回転によって、インクジェットプリンタ12の下方の領域まで移動され、そこで、バットの回転が停止される。本段階は、空間選択的な様式で着色剤22を適用する、インクジェットプリンタ12の移動および動作が図示されている、
図8の平面図に示されている。インクジェットプリンタの動作の終結後、バットは、さらに回転され、
図9は、本回転の段階の間のバットの平面図を示し、以前に着色剤を提供された、層20の区域が、示されている。バットの回転は、インプリントされた層区域が、構築プラットフォーム8と露光ユニットとの間の構築領域に到達するまで、継続される。本状態が、
図10に図示されている。本方法の本ステップにおいて、構築プラットフォーム8は、現在構築されている部品10の最後に硬化された層の下側表面とバット底部の表面との間の距離が、所定の層厚に等しくなるまで、制御ユニットによって制御される駆動部によって降下される。本ステップは、
図11において完了され、それ以降、バット底部3の上方の現在画定されている層は、露光ユニットの制御される動作によって空間選択的な様式で固化される。露光によってこのように硬化する層は、進行中の重合によって、以前に最後に硬化された層にしっかりと付着され、これは、2つの層のしっかりとした付着につながり、これは、最終的には相互にしっかりと接続される層の成形体につながる。
【0047】
露光ステップの終結後、構築プラットフォーム8は、
図11において以前に硬化された最後の層を伴う、その上に懸吊する部品10が、バット底部から離れるように持ち上げられるように、再び、
図12において上昇される。空の領域または孔が、
図12に見られ得るように、バット底部上に、最後に硬化された層の領域内に残る。これらの領域は、バットが回転され、空の領域が、ドクターブレードの正面の構築材料の分注区域に到達すると、再び、完全に充填される。
【0048】
ドクターブレード、バット底部、およびバットの側壁の材料を選定するとき、以下が、考慮される必要がある。ドクターブレードおよびバットの側壁に関して、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が、最も好適な材料である。その低い表面エネルギーのため、PTFEは、処理されるべき構築材料と直接接触する、全ての成分に関して有利である。本場合において処理されるべき構築材料は、ドクターブレードまたはバットの側壁に接着しない。他方では、ポリカーボネートまたはポリアミド等の他のプラスチック材料のドクターブレードを使用するとき、コーティングにおける空のゾーン、観察された。
【0049】
ドクターブレードがバットの側壁と直接接触する状況が生じるはずである場合、バットの回転機構の遮断が概して生じないように、PTFEの優れた摺動特性が、効力を生じる。PTFEは、溶媒、反応性成分、ならびに懸濁液中の着色剤に関して化学的に不活性である。摩耗性セラミック懸濁液に対するPTFEの剛度ならびにその耐摩耗性は、実験において、引裂および摩耗効果が観察されることができなかったほど十分である。
【0050】
バット底部のための材料を選定するとき、2つの側面が、考慮される必要がある。第1に、バット底部は、十分な剛度を有する必要がある。第2に、表面は、非常に平滑かつ平面状である必要がある。第3に、バット底部表面は、構築材料の懸吊によって湿潤可能である必要がある。本側面のために、構築材料の接触角および粘性は、重要である。これらの要件は、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、厚さ3mm)と、その上のETFE(エチレンテトラフルオロエチレン、厚さ80μm)フィルムとの組み合わせによって最良に満たされた。バット底部に関して、PMMAの代わりに、ガラスまたは類似の材料もまた、考慮されることができる。バット底部のための材料選定に関する制限が、露光のための透明性、および光造形構築プロセスの間の引抜力に関する付加的要件から結果として生じる。本発明に関連して使用されるETFEフィルムは、PMMA支持ディスク上へのETFEフィルムの泡のない平面状接合を可能にする、自己接着側面を具備する。高精度に平面状である、このように形成されるバット底部は、ドクターブレードを用いて高正確度で薄い構築材料層を形成するための、前提条件の1つである。PTFEのように、また、ETFEも、ETFEフィルムと接触する、使用される化学物質に対して不活性である。ETFEを用いる本発明と関連して使用される、構築材料調合物との組み合わせにおいて、FEP(フルオロエチレンプロピレン)と比較して、より小さい接触角、したがって、より良好な湿潤性が、取得され得る。
【0051】
低い接触角(湿潤性を表すものと見なされる)は、構築材料層の層厚の薄い設定と深く相関する。湿潤性が、十分に良好ではない場合、構築材料が局所的に収縮または萎縮するため、これは、構築材料層の「溶解」および「島形成」をもたらす。孔が、コーティング内に形成され、可能性として、液滴が、形成される。これらの影響は、構築材料懸濁液の増加される粘性によって、大いに低減または遅延されることができる。実験では、10~50Pa・sの粘性が、使用される典型的構築材料のための50°~60°の接触角のために好適であることが見出された。
【0052】
本発明による方法では、依然として湿潤である構築材料層は、構築プラットフォームが層まで降下され、層が、露光ユニットによって露光され、固化される前に、着色剤を用いて空間選択的な様式でインプリントされてもよい。着色剤は、構築材料のタイプに従って選択される必要があり、以下の割当が、望ましい。
【0053】
構築材料として非充填光重合体および充填光重合体のために、染料分子を含む溶液および/または顔料を含む懸濁液が、使用されることができる。
【0054】
着色剤としての構築材料として、ガラスセラミックスラリの使用の場合、好ましくは、有機媒体中に分散される着色顔料、特に、酸化物、酸化スズまたは酸化ジルコニウムが、使用される。
【0055】
構築材料としてのZrO2スラリの場合、好ましくは、硝酸塩の溶液(水溶液または別の溶媒に基づくもの)もしくはエタノール中に溶解されるアセチルアセトネートが、使用される。
【外国語明細書】