(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025002
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】超長射程ADS-B検出を介して航空安全性を改善する二次レーダー
(51)【国際特許分類】
G01S 13/78 20060101AFI20220202BHJP
【FI】
G01S13/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021099192
(22)【出願日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】2007963
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ビヨー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マリー・パニエ
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB07
5J070AC01
5J070AE04
5J070AF01
5J070AK01
5J070BC02
5J070BC12
5J070BC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】超長射程ADS-B検出を介して航空安全性を改善する二次レーダーを提供する。
【解決手段】SUMと表記される和チャネルを形成する放射パターン、DIFFと表記される差チャネルを形成する放射パターン及びCONTと表記される制御チャネルを形成するパターンを有するアンテナを含み
-CONTチャネル102、SUMチャネル103、DIFFチャネル104を介して受け取られたADS-Bスキッタを検出するステップ
-少なくともスキッタのパワー及びレーダー110に対する方位角を計測するステップ
を実施することによって位置特定され、ADS-Bスキッタを送信するターゲットの位置は、レーダーの緯度及び経度と、レーダーに対する方位角とに鑑みて、少なくとも1つのADS-Bスキッタの検出を利用して演算され、スキッタ内にコード化されているCPRセルと表記される位置セルは、方位角計測を介して選択される、二次レーダー。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SUMと表記される和チャネルを形成する放射パターン、DIFFと表記される差チャネルを形成する放射パターン及びCONTと表記される制御チャネルを形成するパターンを有するアンテナ(1)を含む二次レーダーにより、ADS-Bスキッタを送信するターゲットを位置特定する方法であって、前記二次レーダーは、予め定義されたインテロゲーションカバレージ(43)を有する、方法において、前記ターゲットは、
- 前記CONTチャネル(102)を介して、前記SUMチャネル(103)を介して且つ前記DIFFチャネル(104)を介して受け取られたADS-Bスキッタを検出するステップ、
- 少なくとも前記スキッタのパワー及び前記レーダー(110)に対するその方位角を計測するステップ
を実施することによって位置特定され、前記ADS-Bスキッタを送信するターゲットの位置は、前記レーダーの緯度及び経度位置と、前記レーダーに対する前記方位角計測(71)とに鑑みて、少なくとも単一のADS-Bスキッタの前記検出を利用することによって演算され、前記スキッタ内にコード化されている、CPRセル(72)と表記される位置セルは、前記方位角計測を介して選択されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スキッタ内にコード化された2つのCPR位置(81、82)が場合により同じ方位角セクタ内に位置決めされる場合、前記2つの位置(81、82)は、前記計測されたパワー及び前記ADS-Bスキッタ内にコード化される高度を使用することの間で弁別され、前記保持された位置(82)は、前記ターゲットの可視性に基づくエスティメータと、前記レーダーによって受け取られたパワーの、前記ターゲットから前記レーダーまでの距離との一貫性とによる最大尤度の位置であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲットのロール-コール取得が、
- 前記ターゲットが前記レーダーの受信カバレージ(42)に進入すると直ちに前記ターゲットによって送信される前記ADS-Bスキッタ内にコード化された位置、
- 前記スキッタ内にコード化されている、前記ターゲットのモードSアドレス内に含まれる前記ターゲットのロール-コール識別
を利用することにより、前記ターゲットが前記レーダーの前記インテロゲーションカバレージ(43)に進入すると直ちに保証される、ステップ(120)を含み、単一のロール-コールインテロゲーションは、潜在的に前記ターゲットが前記インテロゲーションカバレージ(43)に且つ前記レーダーの動作射程の領域(44)まで進入すると直ちに、前記ターゲットをレーダーステーションのコードにロックし、且つ従って、ターゲットが、通常、それぞれの回転時に生成するDF11リプライによる汚染を回避するために、前記アンテナ(1)のN回の回転ごとに送信されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットが、前記レーダーの前記インテロゲーションカバレージ(43)前にそのADS-Bスキッタを介して検出及び位置特定され、前記ターゲットが、前記ターゲットが前記インテロゲーションカバレージに進入すると直ちにADS-Bトラックと関連付けられ、それらが前記二次レーダーによって取得されることを可能にし、その後、前記トラックが、その潜在的にロックされた状態、即ちそれらが別のレーダーにロックされるかどうか、即ち同期DF11リプライの欠如が検出されることを可能にし、且つ従って、前記ターゲットが前記レーダーの前記動作カバレージに進入すると直ちに、ターゲットのモードSロール-コール監視を保証しつつ、ADS-B能力を伴うことなく、潜在的に他のモードSターゲットに対するII/SIコードにおける衝突の警告を提供することを可能にするために、前記動作レーダーカバレージへのその進入時に一時的にアンロックされる、ステップ(120)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つの移動時間ウィンドウ内において、ターゲットによって上を飛行された地理的セルごとに、前記レーダーによって計測された前記ターゲットの距離と、前記ターゲットによって送信された前記ADS-Bスキッタ内にコード化された前記ターゲットの距離との間の差の平均が演算され、これが、前記セルを通過するすべてのターゲットについて実行され、その後、任意のモードで前記レーダーによって計測された任意のターゲットのそれぞれの距離が、その後、前記ターゲットによって上を飛行される前記地理的セルについて演算された前記平均差に鑑みて補正される、ステップ(120)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ロール-コールモードであるか否かを問わず、前記レーダーの前記インテロゲーションカバレージ(43)への進入時、前記方法を介して位置特定されたADS-Bスキッタを送信する前記ターゲットをインテロゲートし、且つトランスポンダにより、1030MHzにおける前記インテロゲーションに対するその第1のリプライ時に受け取られたパワーに基づいて前記トランスポンダの感度を演算することにより、前記トランスポンダの前記感度を計測し、その後、前記レーダーによって送信された1030MHzにおける前記インテロゲーションに対して不満足な感度のトランスポンダを検出するステップ(120)を含み、トランスポンダは、前記パワーが所与の閾値を上回る場合、不満足な感度のものであると宣言されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ADS-Bターゲットのトランスポンダと関連付けられた不満足な高度計が、前記ターゲットによって上を飛行された一連の地理的セル内において、前記ターゲットによって上を飛行された前記地理的セルのそれぞれについて、セルごとの他のターゲットについて演算された気圧高度及び幾何学的高度間の差の、移動時間ウィンドウ内における平均からの、前記ターゲットによって送信された前記ADS-Bスキッタ内にコード化された気圧及び幾何学的高度間の差の逸脱を利用することによって検出され、高度計が、前記逸脱(152)が所与の閾値を超える場合、不満足であると判断される、ステップ(120)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されることを特徴とする二次レーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民間及び軍事航空交通管制(ATC)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、航空交通管制は、主にその検出信頼性が広く認識されている二次レーダーに基づいており、二次レーダーは、SSR及びモードSプロトコルを介して航空機の同期監視を保証する。更に、航空機に搭載されて実装される場合に衝突防止を目的とする拡張ADS-Bスキッタ(ADS-Bは、放送型自動従属監視の略号である)(スキッタは、航空機によって供給される位置情報であり、これらは、レーダーインテロゲーション信号に応答してトリガされないが、航空機送信手段から自動的に送信される)の非同期受信(TCAS:空中衝突防止装置)が地上ATCによって利用され、これにより対話型監視システムの一部分を提供している。
【0003】
この監視は、IFF(敵味方識別装置)タイプの監視と結合され得、IFFインテロゲータは、様々な軍事プロトコルによる航空機の識別を保証する。
【0004】
これらのセンサを共にグループ化する単一構造内では、これらの様々な活動の動作的な使用は、同時に、
- IFFインテロゲータが使用される場合、二次SSR/モードSレーダー及びIFFインテロゲータが同時にリッスンされ、これらの同期モードリッスン動作が、形成されたビームのSUM及びDIFFを利用すること、
- 民間ADS-Bスキッタ及び軍事モード5スキッタが非同期モードでリッスンされ、これらの非同期モードリッスン動作が、(CONT_Frontと表記される)フロント制御パターンと、(CONT_Backと表記される)バック制御パターンとから構成される(CONTと表記される)制御パターンの全方向性カバレージを利用すること
を必要とする。
【0005】
従来、ADS-Bスキッタは、二次レーダーからの要求なしに、トランスミッタに固有のレートで送信され、このレートは、特にトランスミッタの状態及び送信された情報の特性に依存する。この結果、
- ADS-Bレシーバは、全方向においてリッスンすることができなければならないが、
・アンテナゲインは、専用のスタンドアロンADS-Bレシーバの場合、360°をカバーするために利用されるアンテナの数に応じて例えば11~15DBiのように多くの場合に小さく、
・規定された保証済みの射程は、スキッタを送信するトランスポンダの品質と、ADS-Bレシーバによって利用されるアンテナの数とに応じて150Nmi程度又は場合によりそれをわずかに上回り、
- 原則的に、加えて、ADS-Bモードでターゲットを位置特定するために、2つのほとんど連続した位置スキッタが必要とされる。
【0006】
ADS-B情報の受信及び処理は、二次レーダーの新しい世代に不可欠な機能として識別されている。ADS-B機能が二次レーダーの構造に統合されると、受信機能は、主に、可能な限り360°に近接したリッスンカバレージを実現するためにCONT-Front及びCONT-Backパターンを利用する。これらのパターンは、一般に、17dB超程度のゲインを有し、これは、(SUMと表記される)和パターンの最大ゲイン未満である。但し、民間又は軍事用途で同期検出のために使用される和パターンは、27dBi程度のゲインにより、250Nmi程度の検出射程がちょうど保証されることを可能にする。
【0007】
同期モードとは対照的に、民間又は軍事用途では、レーダー射程は、従来、主に1030MHzにおけるアップリンクの射程によって(即ち送信されたインテロゲーションのパワー及びトランスポンダの受信端感度によって)制限され、及びADS-Bは、1090MHzにおけるダウンリンクによってのみ、即ちトランスポンダのパワー及びADS-Bレシーバの感度によって制限される。実際に、二次レーダーの構造では、本質的に、トランスポンダによって生成された任意のリプライが受信可能且つ利用可能であることを保証するために、ダウンリンク(受信)は、アップリンク(送信)よりも高感度を有する。
【0008】
この結果、同期レーダーの動作ゲインと、非同期ADS-B送信をリッスンするものとの間の差は、他のすべてが同じであれば、8~10dB程度の2つのセンサのアーキテクチャに関するものである。これは、二次レーダーに統合されたADS-Bレシーバ構造では、通常、100Nmi程度である保証済みのADS-B射程に結び付くが、加えて、制御パターン(CONT)を介して受け取られた非同期リプライは、SUMパターンを介して受け取られた同期リプライよりも歪曲される可能性がはるかに大きいことが留意されることになり、なぜなら、これは、特性においてはるかに狭いからである(3°程度を有する)。更に、結果的に歪曲されると言われるリプライのオーバーラップ、即ち互いに同時に発生するリプライは、検出及びそのデコーディングをより困難にする。従って、受信端である航空機による混雑した環境における保証済みのADS-B検出レートは、モードS二次レーダーのものの1/2~1/3である。
【0009】
これらの性能欠点を克服することを試みる従来技術の解決策が既知である。具体的には、専用のADS-Bレシーバにおいて、従来技術は、方位角選択性を介して保護を提供し、且つ同時に1つのビームをそれぞれのレシーバと関連付けることによって改善を実現することを目的として、360°をカバーするために、独立したアンテナの数を増大させるステップを含む。レシーバは、検出動作を共にグループ化する共通処理ステージに結合され、この結果、重複検出と、特に1つのレシーバから次のものへのターゲットの通過とが回避される(この結果、単一のADS-Bトラックの構築が許容される)。
【0010】
このタイプの解決策の1つの欠点は、特にADS-Bシステムのインフラストラクチャの費用であり、これは、アンテナの数に伴って増大し、アンテナの数は、通常、4~8つである(複数アンテナ、複数ダウンリード、マルチサイドパイロン、複数レシーバ、グローバルADS-B処理など)。
【0011】
レーダーアーキテクチャに統合されたADS-Bレシーバの場合、和パターン(SUM)及び差パターン(DIFF)を介した検出は、CONTパターンを介した検出に加えて、より大きいゲイン及びより良好な方位角選択性が実現されることを可能にするが、これは、(5°/360°に対応する1.4%程度の)時間の非常にわずかな部分についてのみである。従って、これは、CONTパターンのゲインを介して実行されるADS-Bリッスン動作に加えて、アンテナの軸上の360°にわたるより良好なリッスン時間カバレージの保証を可能にするのみである。具体的には、ADS-Bレシーバによるグローバル検出は、トラックを生成すために2つの連続的な位置スキッタを必要とすることが知られている。従って、第1のリプライがSUMパターンを介して受け取られた場合でも、第2のものは、必然的にCONTパターンを介して受け取られ、且つ従って、最終的に、二次レーダーアーキテクチャに統合されたADS-B受信チェーンに関してCONTパターンのみの射程に限定されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の1つの目的は、特にターゲットの非常に長い射程ADS-B検出の取得を可能にすることにより、特に従来技術の欠点を軽減することである。この目的のため、本発明の1つの主題は、SUMと表記される和チャネルを形成する放射パターン、DIFFと表記される差チャネルを形成する放射パターン及びCONTと表記される制御チャネルを形成するパターンを有するアンテナを含む二次レーダーにより、ADS-Bスキッタを送信するターゲットを位置特定する方法であって、前記ターゲットは、
- 前記CONTチャネル介して、前記SUMチャネルを介して且つ前記DIFFチャネルを介して受け取られたADS-Bスキッタを検出するステップ、
- 少なくとも前記スキッタのパワー及び前記レーダーに対するその方位角を計測するステップ
を実施することによって位置特定され、ADS-Bスキッタを送信するターゲットの位置は、前記レーダーの緯度及び経度位置と、前記レーダーに対する方位角計測とに鑑みて、少なくとも単一のADS-Bスキッタの検出を利用することによって演算され、前記スキッタ内にコード化されている、CPRセルと表記される位置セルは、前記方位角計測を介して選択される、方法である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記スキッタ内にコード化された2つのコード化されたCPR位置が場合により同じ方位角セクタ内に位置決めされる場合、前記2つの位置は、例えば、計測されたパワー及び前記ADS-Bスキッタ内にコード化される高度を使用することの間で弁別され、保持された位置は、前記ターゲットの可視性に基づくエスティメータと、レーダーによって受け取られたパワーの、ターゲットからレーダーまでの距離との一貫性とによる最大尤度の位置である。
【0014】
実装形態の1つの特定のモードでは、前記方法は、ターゲットのロール-コール取得が、
- ターゲットが前記レーダーの受信カバレージに進入すると直ちに前記ターゲットによって送信されるADS-Bスキッタ内にコード化された位置、
- 前記スキッタ内にコード化されている、前記ターゲットのモードSアドレスに含まれる前記ターゲットのロール-コール識別
を利用することにより、ターゲットが前記レーダーのインテロゲーションカバレージに進入すると直ちに保証される、ステップを含み、単一のロール-コールインテロゲーションは、潜在的にターゲットが前記インテロゲーションカバレージに且つ前記レーダーの動作射程の領域まで進入すると直ちに、ターゲットをレーダーステーションのコードにロックし、且つ従って、ターゲットが、通常、それぞれの回転時に生成するM個のDF11リプライによる汚染を回避するために、N回の回転ごとに送信される。
【0015】
前記方法は、例えば、前記ターゲットが、前記レーダーのインテロゲーションカバレージ前にそのADS-Bスキッタを介して検出及び位置特定され、前記ターゲットが、ターゲットが前記インテロゲーションカバレージに進入すると直ちにADS-Bトラックと関連付けられ、それらが前記二次レーダーによって取得されることを可能にし、その後、前記トラックが、その潜在的にロックされた状態、即ちそれらが別のレーダーにロックされるかどうか、即ち同期DF11リプライの欠如が検出されることを可能にし、且つ従って、ターゲットが前記レーダーの動作カバレージに進入すると直ちに、ターゲットのモードSロール-コール監視を保証しつつ、ADS-B能力を伴うことなく、潜在的に他のモードSターゲットに対するII/SIコードにおける衝突の警告を提供することを可能にするために、前記動作レーダーカバレージへのその進入時に一時的にアンロックされる、ステップを含む。
【0016】
前記方法は、例えば、1つの移動時間ウィンドウ内において、3D地理的セルごとに、前記レーダーによって計測されたターゲットの距離と、前記ターゲットによって送信されたADS-Bスキッタ内にコード化された前記ターゲットの距離との間の差の平均が演算され、これが、セルを通過するすべてのターゲットについて実行され、その後、任意のモードでレーダーによって計測された任意のターゲットのそれぞれの距離が、その後、前記ターゲットによって上を飛行される地理的セルについて演算された平均差に鑑みて補正される、ステップを含む。
【0017】
前記方法は、例えば、ロール-コールモードであるか否かを問わず、前記レーダーのインテロゲーションカバレージへの進入時、前記方法を介して位置特定されたADS-Bスキッタを送信するターゲットにインテロゲートし、且つトランスポンダにより、1030MHzにおける前記インテロゲーションに対するその第1のリプライ時に受け取られたパワーに基づいてトランスポンダの感度を演算することにより、トランスポンダの感度を計測し、その後、前記レーダーによって送信された1030MHzにおけるインテロゲーションに対して不満足な感度のトランスポンダを検出するステップを含み、トランスポンダは、前記パワーが所与の閾値を上回る場合、不満足な感度のものであると宣言される。
【0018】
前記方法は、例えば、ADS-Bターゲットのトランスポンダと関連付けられた不満足な高度計が、前記ターゲットによって上を飛行された一連の地理的セル内において、前記ターゲットによって上を飛行された前記地理的セルのそれぞれについて、セルごとの他のターゲットについて演算された気圧高度及び幾何学的高度間の差の、移動時間ウィンドウ内における平均からの、前記ターゲットによって送信されたADS-Bスキッタ内にコード化された気圧及び幾何学的高度間の差の逸脱を利用することによって検出され、高度計が、前記逸脱が所与の閾値を超える場合、不満足であると判断される、ステップを含む。
【0019】
本発明の別の主題は、このような方法を実施することが可能なレーダーである。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面を示す添付図面を参照して付与される以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を実施するための可能なステップである。
【
図2】従来のATCアンテナのパターンの図である。
【
図3】従来のATCアンテナの統合型ADS-Bモードにおける方位角感度の図である。
【
図4】ADS-B受信を伴わない、従来技術による二次レーダーのアーキテクチャの図である。
【
図5】本発明による方法を実施する二次レーダーのアーキテクチャに対する変更の例である。
【
図6】本発明によるレーダーによって利用される様々なインテロゲーション及び検出端射程である。
【
図7】2つの連続的なスキッタを有するグローバルADS-B検出原理の図である。
【
図8】本発明による、単一スキッタを有するADS-B検出原理の図である。
【
図9】ADS-Bの曖昧さの実現可能な除去の図である。
【
図10】レーダーカバレージに進入するターゲットの追跡に関与する様々な射程の図である。
【
図11】そのカバレージがオーバーラップするレーダー間のII/SIコードにおける衝突の領域の例である。
【
図12】気圧高度と幾何学的高度との間の差の平均のマップの例である。
【
図13】3D地理的セルにおける高度逸脱の例示的な分布の形状である。
【
図14】同じ地理的セル内のターゲットと一貫性を有するターゲット高度逸脱における拡大図である。
【
図15】同じ地理的セル内のターゲットと一貫性を有さない高度逸脱を示すターゲットにおける拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実装形態のために使用されるステップを示す。この実装形態のために、少なくとも2つのステップが必要とされる。この実装形態のために、本発明は、
- 必然的に、非常に高い感度を有するCONT_Front及びCONT_Backパターンを介した連続的な検出102、
- 但し、更に任意選択によりCONTパターンのアンテナゲイン(CONT_Front及びCONT_Back)をリンクし、且つこれによりアンテナの軸上のCONT図では約5°を占有するゲインギャップを差し込むことを目的として、15dB程度のより低い感度を有するメインローブのパターンを介した連続的な補完的検出(SUMパターンを介した検出103及びDIFFパターンを介した検出104)
を含む二次レーダー構造101に統合されたADS-B検出機能の存在について規定する。
【0023】
図2及び
図3は、1090MHzにおける受信端に関連するアンテナパターンを示す。
図2は、二次レーダーのATC機能のために従来から使用されるアンテナのSUM、DIFF及びCONTアンテナパターンを示す。SUM及びDIFFパターンのゲインは、アンテナの軸を中心としたCONTパターンのゲインよりもはるかに大きい。
図3は、従来のATCアンテナの方位角、統合されたADS-B感度を示し、SUM及びDIFFチャネルは、CONTチャネルと同一の受信端感度とアライメントされる。
【0024】
図1を再度参照すると、第1のステップ110では、ADS-Bスキッタの超長射程検出が実行され、且つこれにより、
- ADS-Bスキッタは、非常に高い感度によりSUM及びDIFFパターンを介して検出され、
- ターゲットの位置は、本説明の残りの部分で詳述されるように、SUM及びDIFFを介した検出に基づいて、従来のエラー-信号法を使用することにより、単一のスキッタによって演算される。
【0025】
ADS-Bスキッタ及びADS-Bリプライという用語は、以下では相互交換可能に使用する。
【0026】
第2のステップ120では、第1のステップ110が動作的に利用される。レーダーの同期動作射程を超える且つ場合により最大でその2倍の、ADS-Bを介した航空機の受動型検出は、この航空機がレーダーのカバレージに進入する前にこれが利用されることを可能にし、これにより、以下に示されるようにレーダーの動作及びATC監視システムの安全性の両方を改善する。
【0027】
レーダーの分野及び更に一般的にATC航空安全の分野において、
- RF汚染は、数においてはるかに小さい、いくつかのロール-コール(DF04)リプライによってオール-コール(DF11)リプライを置換することにより、汚染を制限するために、ターゲットがレーダーの送信カバレージに進入すると直ちに且つ従ってレーダーの動作カバレージへの進入の十分前に、低周波数ターゲットに対してロックアウトすることによって低減され、
- レーダー射程の限度におけるII/SIコードにおける衝突の検出は、改善され、且つレーダーカバレージ内の及び別のレーダーによって誤ってロックされたADS-Bターゲット(即ち更に具体的にはCONTパターンを介して実現可能であるADS-Bリッスン射程を超えたADS-Bターゲット)の検出は、保証され、
- 電離層伝播の歪について補償することにより、レーダーの同期距離計測の精度が改善される。
ATC安全性の分野では、ADS-Bトランスミッタを装備した航空機の場合、レーダーの動作カバレージへの進入前に以下の項目が実行される。
- トランスポンダの不満足な感度の非汚染検出、
- トランスポンダと関連付けられた不満足な高度計の検出。
【0028】
以下では、本発明の原理及び検出の様々な領域の利用について更に詳細に説明する。まず、本発明を実施するための二次レーダーアーキテクチャの可能な適合について説明する。
【0029】
従って、
図4及び
図5は、本発明に関するモードSレーダーのアーキテクチャに対する変更を示し、
図4は、従来の従来技術による構造を示し、及び
図5は、本発明を実施する構造を示す。
【0030】
従来のモードSレーダーの図の例を示す
図4を参照すると、このようなレーダーの構成要素が想起されるであろう。
図4は、従来の二次レーダー構成において標準的受信モードではない、CONT_Front及びCONT_Backパターンを介した統合型のADS-B受信を伴わないモードS二次レーダーの最小アーキテクチャを示す。以下の説明は、SUM、DIFF、CONT_Front及びCONT_Backの4つのチャネルに基づく解決策を提示するが、当然のことながら、本発明は、SUM、DIFF及びCONTの3つのチャネルに基づく解決策にも適用される。
【0031】
その従来の方法で使用される際、二次レーダーは、同期モードで動作し、即ち、これは、インテロゲーションを送信し、且つそれと一貫性を有するリプライを待ち、これによりターゲットの(方位角及び距離の)計測を介した位置特定及び(モードSアドレスを介した)識別を可能にする。
図4の図は、モードSレーダーのこの同期動作を示し、
- 左手部分は、インテロゲーションの生成を示し、
- 右手部分は、関連付けられたリプライの同期処理を示し、
及びその間の同期は、左及び右間の横断矢印によって示される。
【0032】
このタスクを実行するために、レーダーは、その役割が、従来どおり、
- ターゲットの同期リプライをインテロゲート及び検出するためのSUMパターン、
- SUMビーム内でターゲットを微細に位置特定するためのDIFFパターン、
- アンテナに対向しているが、メインSUMビーム内に存在しない、ターゲットからのリプライを遮断及び拒絶するためのCONT_Frontパターン、
- アンテナの背後のターゲットからのリプライを遮断及び拒絶するためのCONT_Backパターン(且つ従ってメインSUMビーム内に必ずしも存在しない)、
である、4つのパターン11、12、14、15を介して1030MHzでインテロゲーションを送信し、且つそれに応答して1090MHzでリプライを受信するアンテナ1を装備している。
【0033】
SUM及びDIFFパターンは、2.4°~10°の3dBのローブを有し、従来どおりに狭い一方、CONT_Front及びCONT_Backパターンは、それぞれ実際には180°をカバーすることを追及する。また、アンテナは、
- 設定されたパターン、即ち「機械的」アンテナと呼称されるものを有し得、且つ回転し得、
- 能動的な電子的にスキャンされたパターン、即ちAESAと呼称されるものを有し得、且つ静止状態に留まるか又は回転し得る。
【0034】
回転アンテナのためのロータリージョイント2及びアンテナダウンケーブルは、
- レーダーの回転部分と固定部分との間の4つのパターンにおいて、独立的して1030MHzで送信され、且つ1090MHzで受信された信号のRF結合、
- アンテナのメインローブの軸の方位角位置201の転送
を保証する。
【0035】
RF処理ステージは、
- 4つのパターンについて独立して1030MHzで送信され、且つ1090MHzで受信された信号間のRF結合を保証するデュープレクサ又はサーキュレータ3、
- トランスミッタ4であって、
・SUMパターンを介して1030MHzでインテロゲーションを送信し、
・CONT_Front及びCONT_Backパターンを介して1030MHzでSUMローブの外側のトランスポンダを遮断するためのパルスを送信し、
・IFF、SSR及びモードSの様々な二次プロトコルのためにそれを実行する、トランスミッタ4、
- SUM、DIFF、CONT_Front及びCONT_Backの4つのパターンを介して1090MHzでリプライを受け取り、且つIFF、SSR及びモードSの様々な二次プロトコルのエラー信号を演算する、レシーバ5
を含む。
【0036】
リアルタイム処理ステージは、
- リアルタイムでIFF、SSR及びモードSの様々な二次プロトコルについて、インテロゲーション期間及び関連付けられたリッスン期間を管理する空間-時間マネージャ6、
- 信号プロセッサ7であって、
・IFF、SSR及びモードSの様々な二次プロトコルについて、インテロゲーションと関連付けられたリッスン期間でリプライを処理し、
・アンテナのメインローブ内の同期リプライを、
〇メインローブ内で受け取られたリプライを検出するためのSUM、
〇メインSUMローブ内で受け取られたリプライを方位角的に微細に位置検出し、且つ潜在的に歪曲されたリプライを歪曲除去するためのDIFF、
〇サイドSUM及びDIFFローブを介して受け取られたリプライを拒絶するためのCONT_Front及びCONT_Back
の4つの放射パターンを利用することにより検出及びデコードする、信号プロセッサ7
を含む。
【0037】
アンテナのメインローブを処理するステージは、
- ローブ内に存在するターゲットのマネージャ8であって、
・IFF、SSR及びモードSの様々な二次プロトコルについて、次のローブで実行されるトランザクションを準備し(インテロゲーション-リプライ)、
・ローブ内のIFF、SSR、オール-コールモードS及びロール-コールモードS期間を管理し、
・ちょうど実行されたトランザクションの状態及びローブに進入する任意の新しい航空機に応じて、次のロール-コール期間で選択的モードSインテロゲーション及びリプライを動的に配置する、マネージャ8、
- ローブ内で受け取られた同期リプライに基づいて且つインテロゲーション用に利用されるプロトコルに応じて、様々な二次プロトコル(IFF、SSR及びモードS)のそれぞれについてプロットを生成するエクストラクタ9
を含む。
【0038】
マルチ回転処理ステージ10は、
- ターゲット位置を予測し(アンテナ交差)、且つ内部要求、外部要求及び先行する回転のトランザクションの状態に従い、これらの位置と関連付けられる実行を要するタスクを準備する、カバレージ内のターゲットについて実行されるモードSタスクのマネージャ101、
- (特に偽のプロットを除去し、且つデコードされたデータをチェックすることにより)性能を改善し、且つ主にその将来の、但しモードSにおけるもののみではない位置を予測することを目的として、ターゲットが追跡されることを保証する、カバレージ内のターゲットのプロットと追跡102の関連付け
を含む。ユーザーインターフェイスは、レーダーが様々な要求及び観察対象のターゲットのプロット及びトラックを考慮することを可能にする。
【0039】
図5は、
図4の従来のアーキテクチャに対する変更を示し、これらの変更は、太い破線を使用することによって提示される。モードSレーダーの動作は、同期的である一方、本発明について追加される処理動作31、32は、送信にリンクされず、且つ本発明の第1のステップ110との関連においてアンテナのメインローブの軸の方位角位置のみを利用することがわかる。要素の大部分は、不変の状態に留まり、これにより本発明がモードSレーダーの機能的動作まで踏み込まないという基準を満たす。
【0040】
追加された主要な要素は、以下で説明する機能を有する。
空間-時間マネージャ6における、
- 非同期ADS-Bリプライを処理するための動作31に対するアンテナのメインローブの方位角位置の送信33(以下を参照されたい)、
信号プロセッサ7における、
- 連続的であり(即ちインテロゲーションの送信の期間とは独立している)、且つ別個に、但し同様にその最大感度によってSUM、DIFF、CONT_Front及びCONT_Backの4つのパターンを利用することにより、非同期ADS-Bリプライを検出及びデコードする処理動作31の、
・受け取られたすべてのADS-Bスキッタを検出するための:DF17、
・それからモードSアドレスを抽出するための、
・検出の時点、検出の時点におけるアンテナのメインローブの方位角、SUB、DIFF、CONT_Front及びCONT_Backを介して受け取られたパワー並びにエラー-信号法を使用して演算される、メインSUM及びDIFFビームにおけるADS-Bスキッタのオフボアサイト角度のその特性によってそれぞれのデコードされたリプライを豊富にするための追加、
非リアルタイム処理ステージ(マルチ回転処理ステージ)における、
- ADS-Bターゲットの長射程位置の追加32、
- 同期インテロゲーション射程に到達した際に選択的インテロゲーションを実行するための決定34。
【0041】
以下では、
図6を参照して本発明の原理について説明する。本発明によるレーダーは、依然として、従来の方式により、ADS-Bスキッタを検出するためにCONTパターンを利用する。この従来のADS-B処理のためのレーダーの射程は、第1の円41によって示される。加えて、後述するように、本発明は、有利には、周囲の航空機のトランスポンダによって送信された信号の、チャネルSUM及びDIFFを介した受信(RX)の射程限度を利用し、この射程限度は、更に大きい直径の円42によって示される。受信の射程は、それ自体、レーダーによって送信(TX)され、且つトランスポンダによって解釈されるインテロゲーションの最大射程を上回り、この射程は、高感度のトランスポンダに対応する第3の円43によって示される。
【0042】
換言すれば、本発明による長射程ADS-B検出の原理は、
- 最後の円44によって示され、且つ以下の保証された値に基づくレーダーの動作カバレージ、
・1030MHzにおける送信に関する最小感度のトランスポンダ、
・1090MHzにおける同期受信に関する最小パワーのトランスポンダ、
・同期モードにおけるレーダーアンテナのSUM及びDIFFパターンのゲイン、
・必然的に3つの先行する基準よりも累積的に狭いレーダーの使用対象のカバレージ、
- その最大射程が第2のステップ120で使用される、最大感度を有するトランスポンダを考慮した、1030MHzにおけるインテロゲーションの最大射程43、
- 最大パワーによって送信するトランスポンダを考慮した、1090MHzにおける受信の最大射程42、
- 以下の保証された値に基づいて、レーダーに統合されたADS-B機能のためのADS-B動作射程41、
・ADS-Bスキッタの連続的検出を保証するための、従来のADS-Bモードで使用されるアンテナのCONTパターンのゲイン(以下を参照されたい)、
・1090MHzにおける非同期受信に関する最小パワーのトランスポンダ
間の射程差の利用に基づく。
【0043】
図7は、導入部で想起された従来技術で適用される2つのスキッタ(以下ではリプライ)を有するADS-Bグローバル検出の原理を示す。文献では、ADS-Bレスポンダの位置情報は、2つのADS-Bリプライ内でCPR(CPRは、コンパクト位置報告の略号である)フォーマットと表記されるフォーマットでコード化されることが周知であり、1つのリプライは、偶数フレームと呼称される第1の地理的基準フレームで送信され、及び他方のリプライは、奇数フレームと呼称される第2の地理的基準フレームで送信される。
図7は、例として9つのリプライセル61を示し、偶数リプライ62は、太字で描かれ、及び奇数リプライ63は、より微細な文字によって描かれている。それぞれのCPRセル62、63は、セルに関係する緯度情報及び経度情報を含み、セルは、y軸が緯度を表し、且つx軸が経度を表す軸のシステムで表される。既知のように、このようなグローバル検出を適用するADS-Bレシーバは、ADS-B送信ソースを位置特定するために、
- 偶数ADS-Bスキッタフレーム62及び奇数ADS-Bスキッタフレーム63の2つの異なるタイプの2つの連続的なADS-Bスキッタを受け取らなければならず、
- 偶数及び奇数位置が対応する唯一のCPRセル64を演算することにより、ソース(ターゲット)の位置を判定しなければならない。
従って、これは、(セルに対するものではなく)地球の基準フレーム内で絶対緯度及び経度位置を再構築することができる。
【0044】
図8は、本発明によるADS-B検出の原理を示す。ここでは、例えば、非偶数フレームなどの単一フレームのリプライが示される。本発明の原理は、
- レーダー70の緯度及び経度位置、
- SUM又はDIFFパターンを使用して取得される、このADS-Bスキッタの受信時にレーダー70によって取得される方位角計測71
を同時に利用することにより、単一(偶数又は奇数)のADS-Bリプライに基づいてターゲットを位置特定するステップを含む。
【0045】
具体的には、レーダーの緯度及び経度位置並びにスキッタの方位角計測は、(所与の許容範囲を伴って)既知であることから、以下の2つの条件:
- 受け取られたスキッタ内で送信されたコンパクトなADS-B位置、
- レーダーの緯度及び経度位置から観察されたスキッタの方位角計測
を満たすCPRセル72を演算することが可能であり、従って単一のADS-Bスキッタを有するADS-Bターゲットを位置特定することが可能である。
図8を参照すると、方位角計測71は、位置72(CPRセル)が、図に示される9つの可能な位置(セル)から選択されることを可能にする。
【0046】
本発明による検出プロセスを要約すれば、SUM又はDIFFを介した非同期スキッタの取得時、レーダーは、同期リプライと同様にその特性を計測し、これにより、
- アンテナの方位角位置、
- エラー-信号法を使用したSUMビーム内のターゲットのオフボアサイト角度、
- SUM及びDIFF内のスキッタのパワー
を取得することが想起され得る。距離は、非同期リプライの場合、意味を有さないことから、スキッタをデコードするステップは、ターゲットについて、
- 相対緯度位置(偶数又は奇数CPR)、
- 相対経度位置(偶数又は奇数CPR)
- 高度
を供給する。
【0047】
ターゲットの長射程ADS-B位置において、
図9に示されるように、(2つの連続的なCPRセル内の)ターゲットの2つの可能な位置81、82がレーダーの位置とアライメントされた際、地理的な曖昧さに遭遇する可能性がある。計測された方位角71は、単独ではもはや正しいセルが定義されることを可能にする判別式ではない。次いで、
- SUM及び/又はDIFFにおけるスキッタのパワー、
- ターゲットの宣言された高度
の、受け取られたADS-Bスキッタの2つの他の特性が利用される。
【0048】
地理的位置(その高度を含む)及び設備のRF損失のレーダーの特性は、既知であることから、(レーダー及びターゲットの高度に応じた)レーダーによるターゲットの可視性及び2つの位置を有するスキッタの受信パワーの一貫性に基づくエスティメータを確立することにより、2つの可能な位置間で最大尤度の位置82を定義することができる。
【0049】
これは、
- SUM及びDIFFパターンを介したレーダーの非同期受信射程、
- 単一スキッタを使用したターゲットの検出及び位置特定
を同時に利用することによって実行される。レーダーは、従来、レーダーの動作射程44の2倍超である非常に長い射程でADS-Bターゲットを有利に検出する。
【0050】
図10は、例えば、FL500(約15000m高度)及び航空機の可視性並びに航空機の経路99に関する検出の様々な領域を示し、この可視性は、レーダー及びターゲットの両方の高度に依存する曲線90によって表される。
図10は、この例では、X軸上のターゲットの距離及びY軸上のターゲットの高度の関数として以下のものが観察されることを可能にする。
- トランスポンダのパワー及びレーダーのSUMパターンにおけるADS-Bレシーバの感度に依存する、ほとんど垂直方向のライン92によって境界が定められた最大長射程ADS-B検出領域、
- ほとんど垂直方向のライン95によって境界が定められた、最小保証済み長射程ADS-B検出領域、
- SUMパターンを介したレーダーのインテロゲーションに対するモードSトランスポンダの感度に依存する、ほとんど垂直方向のライン93によって境界が定められた、オール-コールDF11リプライによる汚染の最大領域(送信汚染射程)、
- ほとんど垂直方向のライン94によって境界が定められた、レーダーの保証済みの動作射程、
- ほとんど垂直方向のライン91によって境界が定められた、CONTパターンを介した統合型のADS-Bレシーバの従来の検出領域。
通常、ADS-Bスキッタをブロードキャストするトランスポンダは、特性として最近のものであることから、そのRF特性は、通常、良好であり、且つ従ってレーダーの動作射程を通常制約するすべてのモードSターゲット、場合によりADS-B能力を装備していないものまでも処理しなければならない、任意の所与のモードSトランスポンダの最小値を上回ることに留意されたい。
【0051】
地球の曲がりの結果としてレーダーの高度に依存する航空機の可視性限度90の左側を観察すれば、半径方向の飛行状態にある航空機が汚染領域93、次いでレーダー94の動作領域及び最後に統合型のADS-B検出領域91(保証された従来のADS-B検出)に進入する前に検出され得る、本発明によるADS-Bスキッタの最も好ましい長い射程検出(ライン92)と、ADS-Bスキッタの保証された限度(ライン95)との間の領域を観察することができる。
【0052】
例えば、高度FL500でレーダーのカバレージに進入する航空機を考慮した場合、本発明は、
- ADS-BスキッタがDF11汚染の可能な開始前に長射程で検出される領域A、
- レーダーカバレージ前のDF11汚染の開始に対応する領域B、
- 従来の統合されたADS-B受信を含むレーダーカバレージに対応する領域C
の3つの領域が考慮されることを可能にする。
【0053】
以上の説明が示すように、本発明は、レーダーアーキテクチャにADS-B機能を統合するために必要とされる動作が、同期(DF11、DF04/05、DF20/21)リプライを処理するためにレーダーによって実装されるモードS信号処理動作とほとんど同一であり、なぜなら、ADS-Bスキッタが、実際には、拡張されたモードSリプライであるに過ぎないからであるという事実に基づく。本発明は、レーダービームのメインSUM又はDIFFローブ内において、
- 受け取られたスキッタが、従来の場合にように同期リプライの代わりに、非同期リプライに対して従来の非常に高精度のレーダー計測を実行することにより、方位角及びパワーに関して位置特定されること、
- 通常、ADS-B検出に使用される、CONTパターンのゲインよりも高い15dB程度、即ち通常の(従来の)統合されたADS-B射程よりも4倍だけ大きいレベルの射程の高いアンテナゲインを取得すること(図示の容易性を理由として、様々な分離は、正確な縮尺で示されていない)、
- レーダーの位置、このレーダーによって取得された高精度の方位角計測及び検出されたADS-Bスキッタ内にコード化された相対緯度及び経度CPR位置の知識を利用することにより、単一の(且つ非常に長い射程を検出することを求められない際に従来必要とされる2つではない)スキッタによって非常に長い射程でターゲットを位置特定すること
を更に可能にする。
【0054】
但し、時間的カバレージがSUMパターンの幅に応じて1.4%以下である低い状態に留まる場合、本発明は、全方向性CONTパターンを利用する従来の統合型のADS-Bレシーバによってより近接したターゲットを伴って従来実行されるように、二次レーダーが非常に長い射程(
図10に示されるように200Nmi~500Nmi)で遠いターゲットを同様に取り扱うことを可能にする。
【0055】
以下では、第2のステップ120(
図1)で利用される、本発明によって可能とされた利点について説明し、これらは、
- レーダーに関して、
・1090MHzにおける汚染の減少、
・II/SIコードにおける衝突の検出及び衝突で2つのレーダー間の重複したカバレージの領域内で誤ってロックされたターゲットの検出、
・レーダーによって計測された距離の補正(伝播依存性)、
- ATC安全性に関して、
・1030MHzにおける不満足な感度のトランスポンダの検出、
・大気圧のマップの生成及び不満足な高度計の検出
に特に関係する。以下では、本発明によって有利に可能とされたこれらの5つの動作改善について説明する。
【0056】
1090MHzにおける汚染及びレーダーの動作カバレージの外側のターゲットからリプライの数の減少
現在、1090MHzスペクトルの占有は、ATC監視の弱点の1つとなりつつある。遭遇される汚染は、その成功に起因し、及びこれによって利用されるリプライは、
- モードSレーダーによって新しいターゲットを取得するためのDF11、
- モードS-ATC監視のためのDF04/05、基礎的な監視(ELS)、
- モードS-ATC監視のためのDF20/21、改善された監視(EHS)、
- 能動型TCAS衝突回避のためのDF0、
- 受動型ACAS衝突回避のためのDF17:ADS-Bスキッタ(ACASは、航空機衝突防止装置の略号である)
などの異なるタイプを有する。
【0057】
D04/05/17/20/21リプライは、動作的に使用される際、これらがモードSレーダーで実行する機能の目的が付与された場合、存続を継続することになる。DF0リプライは、最終的に、DF17リプライによって置換されることになる。DF11リプライは、依然としてレーダーに未知であり、及び
- モードSレーダーのクラスタ
などの別の手段によって部分的にのみ置換可能であるターゲットによって生成されるが、これは、そのカバレージの内側のみで汚染を低減し、DF11汚染は、クラスタの共通カバレージ:
- ADS-Bスキッタに基づくトラック初期化
の外側で存在を継続するが、全方向性ADS-BレシーバのRFカバレージは、レーダーのものの約1/2程度であり、且つ従ってADS-Bスキッタに基づいてレーダートラックを開始するために、短く且つ中間のレーダー射程でのみ利用可能であり、これは、従って、長射程汚染を防止せず、且つレーダーの射程を制限しない。
【0058】
1090MHzスペクトルの汚染の低減に対する本発明の寄与について説明するために、
図10を参照されたい。レーダーのカバレージ内に進入する、FL500で飛行するターゲットが考慮された場合、
- 領域A:ターゲットが可視状態になったらほとんど直ちに、それは、長射程ADS-B検出によって検出され得、
- 領域B:レーダーがこの方位角で許容される場合、それは、ターゲットがレーダーの送信カバレージに進入すると直ちに、且つ従ってそれがDF11オール-コールインテロゲーションに応答を開始する前にロール-コールUF4インテロゲーションを介してターゲットをロックし得、その後、レーダーは、より低いレート(約15~18秒)でロール-コールインテロゲーションを実施することを維持し、これは、ターゲットがアンロック状態になることを防止するためにちょうど十分であり、従って、DF11汚染(5秒のそれぞれの回転において3)は、DF04汚染(5秒の3回の回転当たりで1)のより小さい量及び従って10に近い比率で低減され、
- 領域C:ターゲットは、レーダーの動作カバレージに進入し、この結果、有利には追跡が既に確立されている。
従って、本発明は、ターゲットが最終的にモードSレーダーの動作カバレージに進入した際、レーダー追跡を加速化しつつ、本発明者らのレーダーに起因した汚染が低減されること及びこのトランスポンダによって不必要に生成されたリプライの数が低減されることの両方を可能にする。
【0059】
長距離におけるII/SIコードにおける衝突の領域の検出及び誤ってロックされたADS-Bターゲットの検出
以下では、
図11を参照して、レーダーの射程の限度におけるII/SIコードにおける衝突の原理について想起される。複数の解決策(特に仏国特許出願公開第1913154号明細書を参照されたい)は、対象のレーダーR1に近接した別のレーダーR2とII/SIコードにおける衝突が存在する、レーダーカバレージの領域を検出することを提案しており、これらの動作カバレージ111、112は、オーバーラップする。オーバーラップの領域113は、(II1=II2である場合に)2つの動作カバレージ間でのII/SIコードにおける衝突の領域であり、及び従って、2つのレーダーR1、R2が、それぞれのカバレージに進入する同一のII/SIコードターゲットにロックし、これにより他方のレーダーからこれらを隠蔽する領域である。
【0060】
例として、様々な既存の方式が検討される場合、通常、250Nmiである(R2のものは、双方向型である)、非常に長い射程のレーダーR1の位置に応じて、R1及びR2の共通方位角において、既存のターゲット(従ってR1によって既にロックされているために遠くに位置する)と、R1の進入するターゲット(従ってR2によって既にロックされているため、より近接する際にのみ観察される)との間の最大距離間の差は、衝突の確率を示す。この方法は、示すのみであり(挙動に基づく確率)、これは、進入するターゲットが衝突の領域内で観察されなかったことが認知されることを可能にせず、且つ従ってこの問題を軽減せず、且つ従ってATC安全性を保証することができない。
【0061】
R1及びR2のこの共通方位角では、レーダーR1のADS-Bカバレージの全体を通して、ターゲットによってブロードキャストされたADS-Bスキッタによって付与されるモードSアドレス及び位置を使用した(UF11/DF11オール-コールを介した又はモードSクラスタによる)依然として検出されないターゲットのモードSレーダー追跡は、
- R2の動作カバレージ及びR1のADS-Bカバレージの共通領域114内のII/SIコードにおける衝突が対処されること、
- ターゲットがR1のADS-Bカバレージに到達すると直ちに高い反応性が保証され、且つ従ってR2によってロックされたADS-Bターゲットが検出されること
を可能にする。但し、R1の統合型のADS-Bレシーバの従来の射程が、R1のSUMチャネルと比較してCONTチャネルのより低いゲインによって制限されることに伴い(約15dB)、これは、長射程におけるレーダーの衝突の全体領域をカバーしない。
【0062】
同一の理由から、仏国特許出願公開第1913154号明細書に記述されるものなど、FRUITSの存在及び分散の分析は、これ以降、ADS-BのOUT能力を装備しているどうかとは無関係に、但しR1のCONT対SUMのより低いゲインによって制限されるR1のADS-B射程と同様に、すべてのモードS航空機に適用可能であり、従って、この分析は、中間射程のレーダーに適用される。
【0063】
本発明によれば、ADS-Bターゲットは、これ以降、そのスキッタを介して検出及び位置特定され、且つレーダーの動作カバレージ、即ちUF04/05及びDF04/05ロール-コールインテロゲーションの領域でもある、UF11及びDF11オール-コールの受信の領域の十分前に、即ち
図10に示されるようにレーダーから遠く離れたこの距離でADS-Bトラックと関連付けられる。
【0064】
但し、上述の汚染の除去の原理が適用されない場合でも(例えば、ロックアウトの、カバレージの外における且つ従って領域Bにおける発生の許容をユーザーが拒絶した場合でも)、レーダーR1は、依然として、但しターゲットがADS-B能力を装備している状況にある場合、ターゲットが動作カバレージのその領域(領域C)に進入すると直ちにこのターゲットをインテロゲートすることができると共に、これによりII/SIコードにおける衝突の完全な領域における完全なモードS監視を保証することができる。
【0065】
その後、II/SIコードにおける衝突は、レーダー94の動作カバレージ内でのみ宣言され、ADS-Bターゲットが、DF11リプライによる汚染を低減するために領域Bでロックアウトされた場合、本発明は、レーダーがこの同一のターゲットのロール-コールインテロゲーションに対するDF04/05リプライを受け取った場合、II/SIコードにおける衝突を宣言することを目的として、領域C内のこのターゲットからのDF11リプライの欠如を検証するために、そうする許可が付与される場合、領域Cへの進入時にロックアウトを取り消すように提案し、従ってこの方法によれば、ターゲットがまず検出され、且つその後にのみ、特にモードSを装備し、但しADS-B能力を装備していない航空機の潜在的な非検出の警告を提供するために、II/SIコードにおける衝突が存在するかどうかが検証される。ADS-Bターゲットが領域Cでロックされなかった場合、領域Bへのその進入前及び従ってターゲットがレーダーの動作カバレージ内でロックされる前の、レーダーに対するターゲットからのDF11リプライの欠如がII/SIコードにおける衝突のインジケータとなる。
【0066】
レーダーによって計測された距離の補正(伝播依存性)
1030MHz及び1090MHzにおける二次レーダーの波は、電離層内の屈折率の歪の結果として直線的に伝播せず、その結果、ターゲットは、それらが実際に存在するものよりも離れているように見えることが知られている。
【0067】
本発明によれば、レーダーによって計測される距離を補正するために、長射程ADS-B検出について使用されるものと同一のADS-Bスキッタを使用することができる。
- 約0.5秒ごとに送信されるADS-B「エアボーン位置」メッセージは、緯度/経度位置及び気圧高度の両方を供給する。
【0068】
ステップ110は、ADS-Bターゲットの緯度及び経度位置並びに高度が単一のスキッタによって判定されることを可能にすることから、レーダーの既知の緯度及び経度位置との関連において、ターゲット、即ち前記ターゲットが位置特定される地理的サイト及び高度からレーダーまでの正確な距離を再計算することが可能であり、これは、主にレーダーから非常に長い距離における中間高度ターゲットの可視性を有する高高度(1000m超の高度)レーダーの場合に有用である。
【0069】
従って、本発明は、環境の大気安定性を反映するように調節可能であり得る移動時間ベースにおいて、3D地理的セル及び高度スライスごとに、レーダーによって計測された距離と、セル内に存在するADS-Bターゲットによって演算された距離との間の差に関する統計を収集することを提案する。従って、セルごとのADS-Bターゲットの使用は、レーダー及び幾何学的距離によって計測された距離間の平均差と関連付けられる。この分析は、レーダーがその動作カバレージの外側のターゲットをインテロゲートすることが許容される場合、領域C内又は場合により領域B内で実行することができる。
【0070】
従って、1セル当たりの統計が代表的なものである(即ち安定した距離差及び隣接セルとの一貫性を有する十分な数のサンプルに基づく)場合、前記ターゲットがADS-B能力を有するかどうかとは無関係に、レーダーによるそれぞれの同期SSR、モードS又はIFFターゲット検出により、この高度におけるこのセルの平均差により、且つ従って電離層反射の寄与について、計測された距離を補正するように、計測された距離(従って電離層を通した伝播に起因した影響を含む)を幾何学的距離の評価によって完了させることができる。従って、レーダーによって計測された距離は、ターゲットによって連続的に上を飛行された地理的セル内で演算された平均差に応じて補正される。マルチレーダー管理に関して、この距離の補正は、更に同一のターゲットの様々なレーダーによって生成されたトラックの関連付けが改善され、この結果、これによって観察される等しくない層伝播について補正することも可能にする。
【0071】
低感度のトランスポンダの検出
本発明のこの任意選択のステップの1つの目的は、レーダーの遠く離れたカバレージへの進入後、直ちに低感度、即ち標準閾値未満の感度のトランスポンダを含む航空機の存在を検出することである。従って、レーダーによるこれらの航空機、即ちレーダーから受け取られた放射場を結果的に減少させる操作時に結果的にもはや検出され得ない航空機の同期検出の潜在的なもろさについて警告を提供することができる。ICAOは、付属文書10の第IV巻において、航空機内に設置されたトランスポンダのアンテナから予想されるRF特性について定義している。
- 感度について:インテロゲーションについてリッスンするための能力に関して、-71~-77dBm(同期モードのみ)、
- パワーについて:同期及び非同期リプライの送信に関して、51~57dBm(125~500W)。
【0072】
仏国特許出願公開第1800479号明細書は、ターゲットの監視を補完する様々なインテロゲーションを送信することにより、通常、空港からの航空機の離陸時及び従って近距離において先験的に能動的な構成でトランスポンダの感度を評価することを提案している。これらのインテロゲーションのパワーは、ターゲットがもはや応答しないパワーを判定するために、(レーダーのトランスミッタにおける低減と、更にターゲットがローブで非常にオフボアサイトである際のアンテナゲインの減衰の使用との両方を介して)減衰される。具体的には、トランスポンダのリプライのパワーは、インテロゲータからの短い距離でも最大に留まることから、レーダーによるリプライの非検出は、トランスポンダによるインテロゲーションの非解釈にのみ起因し得ることがわかる。
【0073】
本発明は、ここで、同一の目的を有し、且つ十分に高感度を有さないレスポンダの存在の警告を提供することを同じ目的として、準受動型構成において、即ち任意の更なるインテロゲーションを生成することなしに、且つ従って先行する方式とは反対に稼働することになる更なる汚染を伴うことなしにトランスポンダの感度を評価することを提案する。
【0074】
この目的のため、ADS-Bスキッタがメインアンテナローブ(SUM及び/又はDIFF)で受け取られると直ちに、ターゲットは、そのモードSアドレスを介して識別され、且つ方位角及び距離に関して位置特定される。インテロゲーションを解釈すると直ちにターゲットが送信するDF11リプライによって生成される汚染を制限するために、ターゲットは、非常に低い反復レートで(通常、15秒ごとに1回ずつ)その中心ローブ(及び従って最大ゲインのもの)におけるレーダーのトランスミッタのフルパワーを使用して実施されるロール-コールインテロゲーションを介して、可能な限り直ちに選択的にロックアウトされる。
【0075】
また、レーダーがこのターゲットのADS-Bスキッタを介してターゲットを位置特定することに伴い、ターゲットがUF11オール-コール又はUF04/05ロール-コールインテロゲーションに応答することを開始した際、トランスポンダによって送信されるパワーが仕様に収まることは、当然であり得、これは、従って、トランスポンダの受信端感度閾値をちょうど上回り、レーダーは、上述の仏国特許出願公開第1800479号明細書に記述されるように、この結果、特性を利用することにより、トランスポンダのアンテナによって受け取られたパワーを演算することが可能であり、これらの特性は、以下のとおりである。
レーダーに関して、
- アンテナゲイン(最大ゲイン-インテロゲーション時のターゲットの方位角のオフボアサイト角度に起因したアンテナゲインの損失)、
- トランスミッタとアンテナとの間のケーブルに起因する損失、
- そのトランスミッタのピークパワー、及び
ターゲットに関して、
- レーダーのアンテナから観察されるターゲットの仰角の関数としてのアンテナゲインの損失、
- 2つの周波数に関係する他の既知の特性を考慮しつつ、周波数が非常に近接していることから(インテロゲーションのための1030MHz及びリプライのための1090MHz)、伝播効果がインテロゲーションとリプライとの間で類似した状態に留まると仮定することによって推定される伝播損失。
【0076】
両方の場合において、共通して、ターゲットが空間において出現すると直ちに、且つ2つの方式間に以下に示される差が存在するものの、これらは、互いを補完し、且ついずれも同一の目標に向かって機能する。
【0077】
仏国特許出願公開第1800479号明細書に関して、受信端感度閾値と交差する時点まで、連続的なインテロゲーションで送信されるパワーを減少させ、これによりトランスポンダが応答しないようにすることにより、通常、空港からの航空機の離陸時及び従って小さい距離で感度の計測値を取得することが追及され、従って、サーチは、能動的なものであり、且つ汚染を引き起こすが、受け入れ可能な状態に留まり、なぜなら、これは、経路の初期化時にのみ実行されるからである。
【0078】
本発明によれば、通常、航空機がレーダーの空間に進入する前でも、長距離で感度の計測を取得することが追及される。ADS-Bリプライが検出されることから、ダウンリンク(航空からレーダーまで)のバジェットが良好であるとき、航空機がオール-コール又はロール-コールインテロゲーションに応答しない場合、これは、そのトランスポンダが、依然として、二次レーダーによって送信される1030MHzにおけるインテロゲーションに対する受信端感度閾値未満であることを意味する。トランスポンダを目的とした更なるロール-コールインテロゲーションは、汚染を引き起こさず、なぜなら、これは、受信端感度閾値を超過するように交差する時点までこれらを検知しないからである。
【0079】
本発明によって可能とされた解決策は、ATCの完全性にとって有利であり、なぜなら、これは、航空機の飛行時、可能な限り直ちに監視システムの任意の障害が検出されることを必要とするからである。
【0080】
不満足な高度計の検出
航空機の高度に関する分離は、航空交通管制及びオンボード衝突回避システムなどの自動システムの両方に関する航空安全性の基本的要素の1つである。大気圧の計測は、航空機の局所的高度を定義し、且つ従って同一の航空路における航空機間の気圧高度に関して分離を保証することを可能にする。高度計の障害は、航空惨事をもたらし得ることが知られている。従って、本発明は、航空機が二次レーダーの航空カバレージに進入する前又は進入すると直ちに可能にすることに伴い、可能な限り直ちに又は場合によりリアルタイムで気圧高度計の障害を検出することが重要である。
【0081】
不満足な気圧高度計を検出することを目的として、第1のステップは、3Dの地理的セルごとに平均大気圧を確立し、これにより気圧高度と幾何学的高度との間の差のマップが生成されることを可能にするステップを含み、本発明の長射程ADS-Bカバレージは、予め地理的セルに分割される。セルのサイズは、通常、緯度の1°及び経度の1°であり得る。
【0082】
ADS-Bメッセージの第2のタイプであり、且つ0.5秒ごとに送信される、エアボーン速度メッセージから得られる情報は、気圧計測と幾何学的計測との間の高度差を供給する(これは、具体的には、GNSS衛星測位を介して得られる)。本発明によれば、環境の大気安定性を考慮するために、調節可能であり得る移動時間ベースにおいて、地理的セルごとにこの差について統計が収集される。
図12は、このようにして取得される、気圧高度と幾何学的高度との間の差の平均のマップの例を示す。平均のグラデーションは、マップにわたるグレースケールレベルのグラデーションに対応する。
【0083】
また、セルごとのこれらの平均との関連で以下も考慮される。
- 平均の確立を可能にするセル内の計測の数、
- セル内の計測安定性と、従ってこのセル内の大気圧の安定性とを反映するそれぞれのセル内の計測の標準偏差。
【0084】
本発明によれば、移動時間ベース(3D地理的セルごとの差の平均が取得される移動時間ベース)のレートにおいて、
- それぞれの地理的セルごとに、通常、地理的セル内に存在するターゲットのすべてのこれらの差の分布131の例を示す
図13に示されるように、25フィートのピッチを伴って、ADS-Bスキッタ内で供給される可能な値の射程にわたる気圧高度と幾何学的高度との間の差の分布の分析が実行され、
- その後、
・一方では、差の標準偏差がこのセル内の高度における差の安定性を示す本発明のパラメータ未満である場合、及び
・他方では、セル内の差の数が、セルの平均の代表性を示す別のパラメータ超である場合、
セル内に存在するレーダーの任意のターゲットは、高度差の平均に関して評価されたその(気圧/幾何学的)高度差を有する。本発明の2つのパラメータは、操作者が本発明を自らのレーダーサイトの特性に対して調節することを可能にする。
- 標準偏差を介した大気安定性、
- 計測の数を介した航空機の輻輳。
【0085】
この高度差がセルの他の差の分布に近接している場合、所与の近接性基準142に従い、ターゲットは、一貫性を有する気圧/幾何学的高度差を有するものと見なされ、及びそのADS-Bトラックスコアは、その値が増大され、
図14にこの場合が示されている。この図は、差131のすべての分布に近接した曲線141を介してターゲットの差を示す。
【0086】
この差151が、
図15に示されるように、過大な量152だけセルの他の差の分布を超えて位置する場合、ターゲットは、一貫性のない気圧/幾何学的高度差を有するものと見なされ、及びそのADS-Bトラックスコアは、先行する場合におけるように値+1の代わりに(
図14)、値-1を付与することにより値が減少される。
【0087】
それぞれのADS-Bトラックの気圧/幾何学的高度差の一貫性スコアは、このスコアが、推定される不満足な高度計の値未満であるかどうかをレーダーのユーザーに宣言することを目的として実行される所与の数の比較に基づいて分析される。この値は、セルの基準及び対象のターゲットの両方について、気圧/幾何学的高度差を確立するために使用されたスキッタ内で送信されたADS-B位置計測の精度を考慮して定義される。従って、高度計測エラー検出が正確であるほど、これは、使用され、且つ従って試験によって懸念されるターゲットの汚染を減少させ、本発明は、より長い移動ウィンドウで1セル当たりのこのより小さい量のデータをより多く統合しなければならない。このパラメータは、計測位置と、調節対象の計測のコンテキストの定常性との間の通常の折衷を可能にする。
【0088】
ADS-Bスキッタの超長射程検出は、ターゲットがモードSレーダーの担当のカバレージに進入する前にこの統計分析が実行されることを可能にし、且つ従って高度計の誤動作の場合でもATC安全性を保証するために、航空交通管制官が、大きいマージンにより、このようなターゲットと、それを取り囲んでいるものとの間の分離を管理することを可能にする。
【符号の説明】
【0089】
1 アンテナ
2 ロータリージョイント
3 サーキュレータ
4 トランスミッタ
5 レシーバ
6 時間マネージャ
7 信号プロセッサ
8 マネージャ
9 エクストラクタ
10 マルチ回転処理ステージ
11 パターン
12 パターン
14 パターン
15 パターン
31 処理動作
32 処理動作
33 送信
34 決定
41 ADS-B動作射程
42 最大射程
43 最大射程
44 動作射程
61 リプライセル
62 セル
63 セル
64 CPRセル
70 レーダー
71 方位角
72 CPRセル
81 位置
82 位置
90 可視性限度
91 ADS-B検出領域
92 ライン
93 汚染領域
94 レーダー
95 ライン
99 経路
101 マネージャ
102 検出
103 検出
104 検出
110 第1のステップ
111 動作カバレージ
112 動作カバレージ
113 領域
114 共通領域
120 第2のステップ
131 分布
141 曲線
152 量
201 方位角位置
【外国語明細書】