(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025042
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】車両用灯具の防曇制御システム及び車両用灯具の防曇制御方法
(51)【国際特許分類】
F21S 45/20 20180101AFI20220202BHJP
【FI】
F21S45/20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122180
(22)【出願日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】202010748569.1
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521330091
【氏名又は名称】浙江金業汽車部件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang Jinye Auto Parts Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 136, 5th Binhai Road, Hangzhouwan New District, Ningbo City, Zhejiang Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】楊旭葵
(72)【発明者】
【氏名】張成
(72)【発明者】
【氏名】王躍
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用灯具の防曇制御システムを提供する。
【解決手段】ランプハウジング1とランプレンズとが内部空間を有する密閉構造の内部空間に乾燥気体が注入されており、気体吸引装置3により灯室内の湿潤気体を吸引した後、気体注入装置4により乾燥気体を灯室内に注入することにより、灯室内の気体が常に一定の相対湿度に維持され、外部の気候変動による灯室内の気体の湿度変化で車両用灯具に曇りが発生することを防止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジング(1)、ランプレンズ(2)、気体吸引装置(3)及び気体注入装置(4)を備え、前記ランプハウジング(1)とランプレンズ(2)とが接続されて密閉した灯室(1a)を形成し、前記灯室(1a)内に乾燥気体が注入されており、前記ランプハウジング(1)には灯室(1a)とそれぞれ連通する気体吸引孔(1b)及び気体注入孔(1c)が設けられ、前記気体吸引孔(1b)が気体吸引装置(3)に接続され、前記気体注入孔(1c)が気体注入装置(4)に接続されることを特徴とする車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項2】
前記ランプハウジング(1)に気圧均衡口(1d)が設けられ、前記気圧均衡口(1d)に気圧均衡手段(5)が密閉して設けられ、前記気圧均衡手段(5)は、灯室(1a)を外気から遮断する弾性構造(51)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項3】
前記気圧均衡手段(5)は、弾性構造(51)の一側をカバーする第1のカバー(52)をさらに備え、前記第1のカバー(52)は、灯室(1a)の外側に位置し、外気と連通する第1の通気孔(52a)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項4】
前記気圧均衡手段(5)は、弾性構造(51)の他側をカバーする第2のカバー(53)をさらに備え、前記第2のカバー(53)は、灯室(1a)の内側に位置し、灯室(1a)と連通する第2の通気孔(53a)が設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項5】
前記気体吸引装置(3)は、気体吸引ポンプ(31)及び気体吸引管(32)を備え、前記気体吸引ポンプ(31)が気体吸引管(32)を介して気体吸引孔(1b)と連通し、前記気体吸引管(32)に第1の制御弁(33)が設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項6】
前記気体注入装置(4)は、気体貯蔵タンク(41)及び気体注入管(42)を備え、前記気体貯蔵タンク(41)が気体注入管(42)を介して気体注入孔(1c)に接続され、前記気体注入管(42)に第2の制御弁(43)が設けられることを特徴とする請求項2又は5に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項7】
前記気体注入装置(4)は、空気圧縮機(44)及び空気乾燥機(45)をさらに備え、前記空気圧縮機(44)が空気乾燥機(45)及び気体貯蔵タンク(41)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具の防曇制御システム。
【請求項8】
灯室(1a)に注入された第1の気体の相対湿度を収集するステップと、
第1の気体の相対湿度が第1の設定値以上の場合は、灯室(1a)内の第1の気体を吸引するステップと、
相対湿度が第2の設定値になるまで第2の気体を乾燥処理するステップと、
灯室(1a)内の第2の気体の相対湿度が第1の設定値よりも小さくなるまで、乾燥した第2の気体を灯室(1a)に注入するステップと、を含み、
最初の気体の吸引、注入を行う際に、吸引した第1の気体と注入した第2の気体の成分は同じでも異なっていてもよいことを特徴とする車両用灯具の防曇制御方法。
【請求項9】
灯室(1a)に気圧均衡口(1d)を設け、灯室(1a)内の第1の気体又は第2の気体を外気から遮断するように、気圧均衡口(1d)に適応変形可能な弾性構造(51)を取り付けるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具の防曇制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具の技術分野に関し、特に車両用灯具の防曇制御システム及び車両用灯具の防曇制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、通常、ランプレンズとランプハウジングが接続されて内部空間が形成され、内部空間には光学系が取り付けられ、制御回路を介して電源と接続/切断されることで照明機能及び信号機能が実現され、使用者に照明及び注意喚起の役割を果たす。車両用灯具の点灯による発熱によって内部空間の気体が膨張することを防止するために、ランプハウジングに気体を排出する通気孔を設けることにより、灯具の膨張による破裂を防止する。しかし、通気孔を設けることで内部空間が外気に連通され、周囲環境の湿度の変化が内部空間の相対湿度に影響を与えることがある。湿度が高すぎる場合、内部空間の温度が不均一であるため、温度の低い部位が露点温度に達すると車両用灯具に曇りが発生し、車両用灯具の照明効果や視覚効果に深刻な影響を与え、夜間の運転に危険をもたらしてしまう。
【0003】
従来の解決手段としては、1つは、ランプレンズの内側に防曇塗料を塗布して、ランプレンズの内側に付着する水滴の表面張力を低減させることで、水滴が拡散して水膜を形成し、ランプレンズの外側から水滴を見えなくする。しかし、雨や霧が発生して、相対湿度が60%を超えると、水タレが発生する、つまり、ランプレンズ上の水滴が次々と下方に流れ、車両用灯具の照明や外観に深刻な影響を与えることがある。もう1つは、車両用灯具の内部空間に乾燥剤を配置することにより、車両用灯具内の水分が吸収されて、内部空間の湿度が低下し、露点温度が低下して水滴の形成が抑制される。しかし、乾燥剤の吸水能には限界があり、乾燥剤が吸水飽和状態になると効果が完全に失われて、車両用灯具が再び曇る恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に鑑みて、本発明は、従来技術の欠点を解消するために、車両用灯具の防曇制御システム及び車両用灯具の防曇制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の技術的手段によって達成される。
本発明に係る車両用灯具の防曇制御システムは、ランプハウジング、ランプレンズ、気体吸引装置及び気体注入装置を備え、前記ランプハウジングとランプレンズとが接続されて密閉した灯室を形成し、前記灯室内に乾燥気体が注入されており、前記ランプハウジングには灯室とそれぞれ連通する気体吸引孔及び気体注入孔が設けられ、前記気体吸引孔が気体吸引装置に接続され、前記気体注入孔が気体注入装置に接続される。
【0006】
さらに、前記ランプハウジングに気圧均衡口が設けられ、前記気圧均衡口に気圧均衡手段が密閉して設けられ、前記気圧均衡手段は、灯室を外気から遮断する弾性構造を備える。
【0007】
さらに、前記気圧均衡手段は、弾性構造の一側をカバーする第1のカバーをさらに備え、前記第1のカバーは、灯室の外側に位置し、外気と連通する第1の通気孔が設けられる。
【0008】
さらに、前記気圧均衡手段は、弾性構造の他側をカバーする第2のカバーをさらに備え、前記第2のカバーは、灯室の内側に位置し、灯室と連通する第2の通気孔が設けられる。
【0009】
さらに、前記気体吸引装置は、気体吸引ポンプ及び気体吸引管を備え、前記気体吸引ポンプが気体吸引管を介して気体吸引孔と連通し、前記気体吸引管に第1の制御弁が設けられる。
【0010】
さらに、前記気体注入装置は、気体貯蔵タンク及び気体注入管を備え、前記気体貯蔵タンクが気体注入管を介して気体注入孔に接続され、前記気体注入管に第2の制御弁が設けられる。
【0011】
さらに、前記気体注入装置は、空気圧縮機及び空気乾燥機をさらに備え、前記空気圧縮機が空気乾燥機及び気体貯蔵タンクにそれぞれ接続される。
【0012】
本発明は、車両用灯具の防曇制御方法をさらに提供し、
灯室に注入された第1の気体の相対湿度を収集するステップと、
第1の気体の相対湿度が第1の設定値以上の場合は、灯室内の第1の気体を吸引するステップと、
相対湿度が第2の設定値になるまで第2の気体を乾燥処理するステップと、
灯室内の第2の気体の相対湿度が第1の設定値よりも小さくなるまで、乾燥した第2の気体を灯室に注入するステップと、を含み、
最初の気体の吸引、注入を行う際に、吸引した第1の気体と注入した第2の気体の成分は同じでも異なっていてもよい。
【0013】
さらに、灯室に気圧均衡口を設け、灯室内の第1の気体又は第2の気体を外気から遮断するように、気圧均衡口に適応変形可能な弾性構造を取り付けるステップをさらに含む。
【0014】
従来技術に比べて、本発明の技術的手段の有益な効果は、以下の通りである。
本発明に係る車両用灯具の防曇制御システム及び車両用灯具の防曇制御方法は、ランプハウジングとランプレンズとが内部空間を有する密閉構造として設けられ、内部空間に乾燥気体が注入されており、気体吸引装置により灯室内の湿潤気体を吸引した後、気体注入装置により乾燥気体を灯室内に注入することにより、灯室内の気体が常に一定の相対湿度に維持され、便利で迅速であり、外部の気候変動による灯室内の気体の湿度変化で車両用灯具に曇りが発生することを防止して、車両用灯具の照明効果及び視覚効果を確保する。注入した気体と吸引した気体の流量が一致するため、気体の注入、吸引後の圧力のバランスを確保する。ランプハウジングに気圧均衡手段を設けることで、車両用灯具の点灯や環境温度の影響を受けて高温状態にある場合、又は車両用灯具の消灯や環境温度の影響を受けて低温状態にある場合、気圧が上昇したり下降したりするため、灯室の空間が大きくなったり小さくなったりするように弾性構造が変形することができ、灯室内の気圧が1大気圧前後でわずかに変化するので、灯室内の気圧が安定状態に維持され、圧力変化による車両用灯具の破裂を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用される図面を簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をせずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用灯具の防曇制御システムの動作原理を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係るランプハウジングとランプレンズとが接続されていることを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係るランプハウジングとランプレンズとが常温状態にあるときの断面図である。
【
図4】
図3の車両用灯具が高温状態にあるときの部分断面図である。
【
図5】
図3の車両用灯具が低温状態にあるときの部分断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
当業者が本発明をよりよく理解し、本発明が保護を求める範囲がより明確に限定されるために、以下、本発明のいくつかの具体的な実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、以下はただ本発明の思想に基づくいくつかの具体的な実施形態であって、本発明の一部の実施例に過ぎず、関連構造の具体的で直接的な説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、各々の具体的な特徴は本発明の実施範囲を必然的且つ直接的に限定するものではない。当業者が本発明の思想に基づいて行った通常の選択及び置き換えは、いずれも本発明が保護を求める範囲内に含まれるべきである。
【0018】
以下、図面を参照しながら具体的な実施例によって本発明を詳細に説明する。
【実施例0019】
図1~3に示されるように、本発明に係る車両用灯具の防曇制御システムは、ランプハウジング1、ランプレンズ2、気体吸引装置3及び気体注入装置4を備え、ランプハウジング1とランプレンズ2とが接続されて密閉した灯室1aを形成し、灯室1a内に乾燥気体が注入されており、ランプハウジング1には灯室1aとそれぞれ連通する気体吸引孔1b及び気体注入孔1cが設けられ、気体吸引孔1bが気体吸引装置3に接続され、気体注入孔1cが気体注入装置4に接続される。ランプハウジング1とランプレンズ2は、シールリングを介して係合されるか又は接着されるか又は溶接される。
【0020】
気体吸引装置3、気体注入装置4が順次動作し、気体の吸引又は注入流量の過大による灯室1a内の気圧バランスの崩れを防止するために、気体の吸引や注入を少量で複数回行うことができる。吸引、注入後は気体吸引孔1b、気体注入孔1cをシールプラグで閉塞し、灯室1aを外気から遮断して、灯室1a内の気体の漏れを防止し、外部の気候が変化しても、さらには急冷急熱の場合でも灯室1a内の気体の成分を一定に維持することができる。
【0021】
具体的には、灯室1aに、灯室1a内の気体の湿度を検出するための湿度センサが設けられ、灯室1a内の気体の湿度が常に適切な状態になるように、気体の吸引や注入の制御を適時に行うことができる。
【0022】
具体的には、気体吸引装置3、気体注入装置4又は灯室1aには、注入された気体又は吸引された気体の気圧を検出するための気圧センサが取り付けられ、気圧の過大による車両用灯具の破裂を防止することができる。
【0023】
好ましくは、気体吸引装置3は、気体吸引ポンプ31及び気体吸引管32を備え、気体吸引ポンプ31が気体吸引管32を介して気体吸引孔1bと連通し、気体吸引管32に第1の制御弁33が設けられる。
【0024】
具体的には、気体吸引孔1bには、気体吸引管32と連通する気体吸引継手7が取り付けられる。
【0025】
好ましくは、気圧センサは、気体吸引管32又は気体吸引継手7又は灯室1a内に取り付けられる。
【0026】
好ましくは、気体注入装置4は、気体貯蔵タンク41及び気体注入管42を備え、気体貯蔵タンク41が気体注入管42を介して気体注入孔1cに接続され、気体注入管42に第2の制御弁43が設けられる。
【0027】
好ましくは、気体注入装置4は、空気圧縮機44及び空気乾燥機45をさらに備え、空気圧縮機44が空気乾燥機45及び気体貯蔵タンク41にそれぞれ接続される。
【0028】
さらに、気体注入孔1cには、気体注入管42と連通する気体注入継手8が取り付けられる。
【0029】
気圧センサは、気体注入管42又は気体注入継手8又は灯室1a内に取り付けられる。
【0030】
好ましくは、ランプハウジング1に気圧均衡口1dが設けられ、気圧均衡口1dに気圧均衡手段5が密閉して設けられ、気圧均衡手段5は、灯室1aを外気から遮断する弾性構造51を備える。外気と灯室1a内の気体との接触を防止し、灯室1aに適切な伸縮空間を持たせ、常圧下での車両用灯具の正常な動作を確保する。
【0031】
具体的には、弾性構造51は、シリコンダイヤフラム又はシリコンバッグ又はシリコンキャップである。
【0032】
好ましくは、気圧均衡手段5は、シールリング6を介してランプハウジング1に取り付けられ、より好ましくは、ランプハウジング1の下部に配置される。
【0033】
具体的には、気圧均衡手段5は、弾性構造51の一側をカバーする第1のカバー52をさらに備え、第1のカバー52は、灯室1aの外側に位置し、外気と連通する第1の通気孔52aが設けられる。温度の上昇により灯室1aの気圧が大きくなったときに、弾性構造51の膨張状態を制限して、過度な膨張を防止する。
【0034】
好ましくは、第1のカバー52はランプハウジング1に係合される。
【0035】
ランプハウジング1の外壁には、第1のカバー52を支持するための第1の支持リング9が設けられ、第1のカバー52の開放端部には位置規制リング52bが設けられ、第1のカバー52の外壁には、位置規制リング52bに相対的に間隔を置いて設けられた係止ブロック52cが複数設けられ、第1の支持リング9が第1のカバー52に嵌合され、位置規制リング52bがランプハウジング1の内壁のシールリング6に当接され、係止ブロック52cの側壁が第1の支持リング9の外端部に当接係止される。
【0036】
さらに、第1のカバー52には横方向に複数の第1の通気孔52aが間隔を置いて配置され、第1のカバー52内の気圧を常圧状態に維持する。
【0037】
具体的には、気圧均衡手段5は、弾性構造51の他側をカバーする第2のカバー53をさらに備え、第2のカバー53は、灯室1aの内側に位置し、灯室1aと連通する第2の通気孔53aが設けられる。温度の下降により灯室1aの気圧が小さくなったときに、弾性構造51の収縮状態を制限して、過度な収縮を防止する。
【0038】
図4及び5に示されるように、好ましくは、第1のカバー52と第2のカバー53とが弾性構造51を介して一体に圧着され、第1のカバー52と第2のカバー53とが互いに連通しない2つの空間に仕切られる。灯室a内の温度が上昇すると、弾性構造51が第1のカバー52の内側に膨張して、灯室1a内の気圧が上昇して平衡状態に到達し、灯室1a内の温度が下降すると、弾性構造51が第2のカバー53の内側に収縮して、灯室1a内の気圧が低下して平衡状態に到達する。よって、灯室1a内の気圧が常圧下で小さな変化値で維持され、温度変化により灯室1aの圧力が上昇したり又は負圧が発生したりして、車両用灯具が破裂して正常な使用に影響をもたらすことを防止する。
【0039】
さらに、第2のカバー53には縦方向に複数の第2の通気孔53aが間隔を置いて配置され、第2のカバー53と灯室1a内の気圧を一致させる。
【0040】
使用の際、気体吸引ポンプ31を用いて気体吸引管32を介して灯室1a内の湿潤気体を吸引し、灯室1a内の真空圧が下限値-5000KPaに達したことを気圧センサが検出すると、第1の制御弁33が閉鎖され、気体の吸引が停止される。空気乾燥機45を用いて空気圧縮機44、気体貯蔵タンク41及び気体注入管42を介して灯室1a内に相対湿度10%未満の乾燥空気を注入し、灯室1a内の真空圧が上限値3000KPaに達したことを気圧センサが検出すると、第2の制御弁43が閉鎖され、気体の注入が停止される。気圧が上限値又は下限値に達したことを気圧センサが検出すると、気体の吸引、注入を複数回繰り返すことができ、灯室1a内の空気の相対湿度が20%未満であることを湿度センサが検出すると、気体の吸引、注入を停止し、シールプラグで気体吸引孔1b、気体注入孔1cを閉塞するとともに、ねじにより締結する。
【0041】
本発明は、車両用灯具の防曇制御方法をさらに提供し、
灯室1aに注入された第1の気体の相対湿度を収集するステップと、
第1の気体の相対湿度が第1の設定値以上の場合は、灯室1a内の第1の気体を吸引するステップと、
相対湿度が第2の設定値になるまで第2の気体を乾燥処理するステップと、
灯室1a内の第2の気体の相対湿度が第1の設定値よりも小さくなるまで、乾燥した第2の気体を灯室1aに注入するステップと、を含み、
最初の気体の吸引、注入を行う際に、吸引した第1の気体と注入した第2の気体の成分は同じでも異なっていてもよい。
【0042】
具体的には、灯室1aに注入された気体及び注入する気体はいずれも乾燥空気であり、防曇塗料を塗布するか又は乾燥剤を配置して曇りを防止する方法に比較して、入手が簡単で便利であり、環境に優しく汚染がなく、低コストである。
【0043】
車両用灯具の温度の上昇に伴い、灯室1a内の気体の湿度も上昇して、曇りが発生する確率が増加し、相対湿度が35%以上になると、曇りが発生する確率は100%である。したがって、車両用灯具の曇りを防止する方法は、車両用灯具内の相対湿度を低下させることであり、灯室1a内の気体の湿度を適切な状態に維持することで、車両用灯具の曇りによる損害賠償をほぼなくすことができる。
【0044】
好ましくは、注入される乾燥気体の相対湿度は10%よりも小さく、灯室1a内の乾燥気体の相対湿度は20%よりも小さく、こうして、車両用灯具を-40度~80度の温度範囲内で使用するときに曇りの発生がなく、様々な気候の変化に適応し、環境に優しく汚染がなく、信頼性が高く、長寿命で車両用灯具の使用期限になるまで使用することができる。
【0045】
好ましくは、灯室1aに気圧均衡口1dを設け、灯室1a内の第1の気体又は第2の気体を外気から遮断するように、気圧均衡口1dに適応変形可能な弾性構造51を取り付けるステップをさらに含む。注入した気体と吸引した気体の流量が一致するため、気体の注入、吸引後の圧力のバランスが確保され、弾性構造51を平衡状態にすることができる。
【0046】
灯室1a内の温度が上昇すると、気圧も上昇し、灯室1a内の気体が弾性構造51の変形により外側に膨張して、車両用灯具内の圧力が低下し、外気の気圧とバランスし、大気圧よりもわずか大きい。検出したところ、車両用灯具内の温度が80度の場合、灯室1a内の気圧が1.2大気圧に相当し、灯具はこの圧力下で正常で安定した動作を行うことができ、気体の吸引や注入において曇り現象が発生することがない。灯室1a内の温度が下降すると、気圧も低下し、灯室1a内の気体が弾性構造51の変形により内側に収縮して、車両用灯具内の圧力が緩和され、外気の気圧とバランスし、大気圧よりもわずか小さい。検出したところ、車両用灯具内の温度が-40度の場合、灯室1a内の気圧が0.9大気圧に相当し、灯具はこの圧力下で正常で安定した動作を行うことができ、気体の吸引や注入において曇り現象が発生することがない。灯室1a内の気体は、-40度~80度の温度範囲内でも、1大気圧前後で変化し且つ変化値が0.2大気圧以内であり、温度変化により灯室1aの圧力が上昇したり又は負圧が発生したりして、車両用灯具が破裂して正常な使用に影響をもたらすことを防止する。
【0047】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の思想に属する技術的手段はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。なお、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく様々な改良や修正を行うことができ、これらの改良や修正は本発明の保護範囲と見なされるべきである。