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▶ アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特開2022-25093アルカロイドレベル改変タバコ植物体及び製品を作出する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025093
(43)【公開日】2022-02-09
(54)【発明の名称】アルカロイドレベル改変タバコ植物体及び製品を作出する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01H 5/00 20180101AFI20220202BHJP
   A01H 6/82 20180101ALI20220202BHJP
   A24B 15/00 20060101ALI20220202BHJP
   A24B 3/04 20060101ALI20220202BHJP
   A24B 13/00 20060101ALI20220202BHJP
   A01H 5/12 20180101ALN20220202BHJP
   C12N 15/29 20060101ALN20220202BHJP
【FI】
A01H5/00 Z
A01H6/82 ZNA
A24B15/00
A24B3/04
A24B13/00
A01H5/12
C12N15/29
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021171308
(22)【出願日】2021-10-20
(62)【分割の表示】P 2018519264の分割
【原出願日】2016-06-24
(31)【優先権主張番号】62/185,268
(32)【優先日】2015-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/186,854
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/271,780
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/335,772
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517453405
【氏名又は名称】アルトリア クライアント サーヴィシーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アダムス アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】デ ゴドイ ルッソ マルコス フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】プラモド スリープリヤ
(72)【発明者】
【氏名】シュ ドンメイ
【テーマコード(参考)】
2B030
4B043
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AD09
2B030CA01
2B030CA05
2B030CA06
2B030CA08
4B043AA31
4B043BA29
4B043BA69
4B043BA80
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タバコのニコチンレベルを調節する新規な遺伝子の特定、及び改変ニコチンレベルを含みながら(例えばニコチンを低下させながら)タバコの葉の品質が維持されるタバコの植物体及び製品を提供する。
【解決手段】Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値の少なくとも約65%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコの植物体又はその部分を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値の少なくとも約65%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
【請求項2】
前記タバコ植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、請求項1に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項3】
前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの25%より低いレベルのニコチンを含み、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、請求項1に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項4】
前記タバコの植物体が、2.0%未満のニコチンレベルを含む、請求項1に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項5】
配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含む、タバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記1つ以上の変異のないコントロールタバコ植物体と比較してより低レベルのニコチンを含み、前記変異がLA Burley 21品種には存在しない、前記タバコの植物体又はその部分。
【請求項6】
前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記1つ以上の変異のないコントロールタバコ植物体のニコチンレベルの20%より低いレベルのニコチンを含む、請求項5に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項7】
前記タバコの植物体が、更にNic2遺伝子座の変異を含む、請求項5に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項8】
前記1つ以上の遺伝子が、配列番号:53、68、116、117、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも90%同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項5に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項9】
前記タバコの植物体が、葉巻タバコ、鉄管乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、ダーク直火乾燥タバコ、ガルパオタバコ、及びオリエンタルタバコから成る群から選択される品種に由来する、請求項5に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項10】
請求項5に記載のタバコ植物体の集団。
【請求項11】
請求項5に記載のタバコの植物体に由来する乾燥タバコ材料。
【請求項12】
前記乾燥タバコ材料が、前記変異のないコントロールタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料と比較してより低レベルのニコチンを含む、請求項11に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項13】
前記タバコの植物体が、0.2%から0.6%の間のレベルのニコチンを含む、請求項11に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項14】
前記乾燥タバコ材料が、鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、及び天日乾燥から成る群から選択される乾燥プロセスによって製造される、請求項11に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項15】
請求項11に記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
【請求項16】
前記タバコ製品が、紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される、請求項15に記載のタバコ製品。
【請求項17】
前記タバコ製品が、無煙タバコ製品である、請求項15に記載のタバコ製品。
【請求項18】
Nic1マーカー1番から207番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、並びに前記第一及び前記第二の染色体欠失の両方から成る群から選択される変異を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
【請求項19】
前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記コントロール植物体のニコチンレベルの10%より低いレベルのニコチンを含む、請求項18に記載のタバコの植物体又はその部分。
【請求項20】
前記タバコ植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、請求項18に記載のタバコの植物体又はその部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)本出願は、米国仮特許出願62/185,268(2015年6月26日出願(保留))、米国仮特許出願62/186,854(2015年6月30日出願(保留))、米国仮特許出願62/271,780(2015年12月28日出願)及び米国仮特許出願62/335,772(2016年5月13日出願(保留))の優先権を主張する(前記はいずれも参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
(配列表の包含)本出願に含まれ“P34319US04.txt”と称される、127のヌクレオチド配列及び37のアミノ酸配列を含む配列表は、本明細書とともに電子出願され、参照によりその全体が本明細書に含まれる。前記配列表は、3,579,889バイト(MS-Windows(商標)で計測)であり、2016年6月24日に作成された。
(技術分野)
本開示は、タバコのNic1遺伝子座の特定を提供する。総アルカロイド及びニコチンレベルが改変され市場で許容されるリーフ等級を有するタバコ植物体、交配又はトランスジーン的アプローチを介するそれらの育成、及びこれらタバコ植物体に由来するタバコ製品の製造もまた提供される。
【背景技術】
【0002】
4つの主要なアルカロイド(ニコチン、ノルニコチン、アナバシン及びアナタビン)がタバコで見いだされる。ニコチンは優位を占めるアルカロイドで、通常は市場のタバコ栽培品種の総アルカロイドの90%を超える量を占める。ニコチン生合成はもっぱらタバコの根で生じる。続いて、タバコの植物体は維管束を介してニコチンを葉に輸送し、続いてニコチンは葉の液胞で保存される。
多様な因子がタバコのアルカロイドレベルに影響を与え、前記因子には、遺伝子型、環境、施肥、及び農耕慣習(例えばニコチン産生はトッピング、創傷、及び草食動物傷害によって促進される)が含まれる。キューバ葉巻タバコの品種の株で最初に見いだされた低アルカロイド形質は、一連の戻し交配により紙巻きタバコの品種に導入された。低アルカロイドタバコの生殖細胞質は続いて栽培品種バーレイ21(Burley 21)の遺伝的背景で登録された(Legg et al., Crop Science, 10:212, 1970(非特許文献1))。低アルカロイドバーレイ21(LA BU21)系統を用いた遺伝学的研究は、2つの非連鎖遺伝子座がタバコの葉のニコチンレベルに寄与することを示した。これら2つの遺伝子座はNic1及びNic2と称される。LA BU21のnic1及びnic2の変異は半優性である。それらはニコチンレベルにおける用量依存効果を示し、nic1の効果はnic2の効果より約2.4倍強い。Nic2遺伝子座の分子的特徴が報告されている。Nic2の変異は、エチレン応答性因子(ERF)ファミリーの転写因子遺伝子クラスターの欠失を含むことが示された。
タバコの総アルカロイド含有量を低下させることは多くの利点を有し得る。それは、バイオマス資源としてのタバコの価値を高めることができる。タバコ植物体のニコチン系アルカロイドの増加は、昆虫及び草食動物から植物を保護するために重要な役割を果たすことができる。
昆虫に対する防御におけるアルカロイドの役割と一致して、LA BU21は昆虫傷害に極めて鋭敏であることが報告された(Legg et al., Crop Science, 10:212, 1970(非特許文献1))。総アルカロイドパーセンテージが低い(約0.2%)鉄管乾燥タバコの同質遺伝子系統をそれらの“正常”な再発親(総アルカロイド1.85から2.70%)と比較した更なる研究は、当該低アルカロイド系統の収量、等級インデックス、総N及び還元糖含有量は、正常な鉄管乾燥栽培品種の場合より低いことを示した(Chaplin and Weeks, Crop Science, 16(3):416-18, (1976)(非特許文献2))。
タバコのニコチンレベルを調節する新規な遺伝子の特定、及び改変ニコチンレベルを含みながら(例えばニコチンを低下させながら)タバコの葉の品質が(卓越しないとしても)維持されるタバコの植物体及び製品の開発が希求される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Legg et al., Crop Science, 10:212, 1970
【非特許文献2】Chaplin and Weeks, Crop Science, 16(3):416-18, (1976)
【発明の概要】
【0004】
いくつかの特徴では、本開示は、Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコ植物体は、USDA等級指標値が50以上の葉を生産することができる。
他の特徴では、本開示は、Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵する値を有する葉を生産することができ、当該コントロール植物体は、当該変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
いくつかの特徴では、本開示は更に、2.0%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む非トランスジェニックタバコ植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコ植物体はUSDA等級指標値が50以上の葉を生産することができる。
他の特徴では、本開示はまた、非トランスジェニック変異を含むタバコ植物体又はその部分を提供し、ここで、当該非トランスジェニック変異は、当該タバコ植物体のニコチンレベルを同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの約20%以下に低下させ、当該タバコ植物体は、コントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を生産することができ、更に当該コントロール植物体は、当該非トランスジェニック変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
いくつかの特徴では、本開示は、Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロールタバコ植物体と比較して、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラブデノイド、センブレノイド、糖エステル、及び還元糖から成る群から選択される1つ以上のタバコ芳香化合物の同様なレベルを含む。
【0005】
他の特徴では、本開示はNic1遺伝子座の変異を含むコムギ植物体又はその部分を提供し、ここで、当該変異はLA Burley 21には存在しない。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、Nic1遺伝子座にLA Burley 21と比較してより短い染色体欠失を含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、Nci1遺伝子座に完全な遺伝子の欠失又は完全な遺伝子コード配列の欠失を含まない。
いくつかの特徴では、本開示は、1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含むタバコ植物体又はその部分を提供し、前記遺伝子は、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有する配列を含む。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の天然には存在しない変異対立遺伝子をNic1遺伝子座に含み、前記変異対立遺伝子はNic1又はNic2遺伝子座の1つ以上の遺伝子活性を低下させるか又は除去する。いくつかの特徴では、これらの変異対立遺伝子はより低いニコチンレベルをもたらす。
他の特徴では、本開示は、1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含むタバコ植物体又はその部分を提供し、前記遺伝子は、配列番号:29から48、83、101から115、146及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有するコード配列を含む。
いくつかの特徴では、本開示は、1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含むタバコ植物体又はその部分を提供し、前記遺伝子は、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有するポリペプチドをコードする。
【0006】
他の特徴では、本開示は、ある遺伝子のNic1阻害性配列を含む異種発現カセットを含むタバコ植物体又はその部分を提供する。当該ある遺伝子は、配列番号: 9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有する配列を含み、ここで、当該阻害性配列は植物細胞で機能するプロモーターに作動できるように連結され、更に当該阻害性配列は、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有する配列の少なくとも21ヌクレオチドのフラグメントと少なくとも90%配列同一性を有する。
他の特徴では、本開示は、タバコ細胞で機能性であり、あるポリヌクレオチドに作動できるように連結されたプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供する。当該あるポリヌクレオチドは、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするRNAと結合できるRNA分子をコードし、更に当該RNA分子は当該ポリペプチドの発現を抑制する。
いくつかの特徴では、本開示は、タバコ細胞で機能性であり、あるポリヌクレオチドに作動できるように連結されるプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供する。当該あるポリヌクレオチドは、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。
本開示は更に、本明細書に開示するタバコの植物体、系統、品種又はハイブリッドに由来する植物材料を含む、乾燥タバコ、タバコブレンド物、タバコ製品を提供する。
【0007】
本開示はまた、所望のレベルの総アルカノイド又はニコチン(例えば低ニコチン又は無ニコチン)を含むタバコの系統、栽培品種又は品種を交配する方法を提供する。いくつかの特徴では、本開示は低ニコチン形質をタバコの品種に導入する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコの品種を低ニコチン形質が存在しない第二のタバコの品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を産出する工程;(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を当該低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型判定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表3に挙げられる多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされるか又は表4に挙げられる多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされる染色体間隔に存在する);及び(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。
いくつかの特徴では、本開示は、低ニコチン形質をタバコの品種に遺伝子移入する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコの品種を低ニコチン形質が存在しない第二のタバコの品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を産出する工程;(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を当該低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型判定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表3、4、16及び17に挙げられる多形性遺伝子座の任意の1つの20cM内に存在する);及び(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。ある特徴では、多形性マーカーは、配列番号:131から144からなる群から選択されるSNPマーカーである。
他の特徴では、本開示は、低ニコチン形質を有するタバコの植物体を選別する方法を提供し、前記方法は以下を含む:(a)タバコの生殖細胞質の収集物から核酸を単離する工程;(b)Nic1遺伝子座と緊密に連鎖する1つ以上のマーカーについて核酸をアッセイする工程;及び(c)当該マーカーアッセイに基づいて低ニコチン形質を有するタバコ植物体を選別する工程。
[本発明1001]
Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値の少なくとも約65%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
[本発明1002]
前記タバコ植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、本発明1001のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1003]
前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの25%より低いレベルのニコチンを含み、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、本発明1001のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1004]
前記タバコの植物体が、2.0%未満のニコチンレベルを含む、本発明1001のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1005]
配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含む、タバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記1つ以上の変異のないコントロールタバコ植物体と比較してより低レベルのニコチンを含み、前記変異がLA Burley 21品種には存在しない、前記タバコの植物体又はその部分。
[本発明1006]
前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記1つ以上の変異のないコントロールタバコ植物体のニコチンレベルの20%より低いレベルのニコチンを含む、本発明1005のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1007]
前記タバコの植物体が、更にNic2遺伝子座の変異を含む、本発明1005のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1008]
前記1つ以上の遺伝子が、配列番号:53、68、116、117、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも90%同一性を有するポリペプチドをコードする、本発明1005のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1009]
前記タバコの植物体が、葉巻タバコ、鉄管乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、ダーク直火乾燥タバコ、ガルパオタバコ、及びオリエンタルタバコから成る群から選択される品種に由来する、本発明1005のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1010]
本発明1005のタバコ植物体の集団。
[本発明1011]
本発明1005のタバコの植物体に由来する乾燥タバコ材料。
[本発明1012]
前記乾燥タバコ材料が、前記変異のないコントロールタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料と比較してより低レベルのニコチンを含む、本発明1011の乾燥タバコ材料。
[本発明1013]
前記タバコの植物体が、0.2%から0.6%の間のレベルのニコチンを含む、本発明1011の乾燥タバコ材料。
[本発明1014]
前記乾燥タバコ材料が、鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、及び天日乾燥から成る群から選択される乾燥プロセスによって製造される、本発明1011の乾燥タバコ材料。
[本発明1015]
本発明1011の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
[本発明1016]
前記タバコ製品が、紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される、本発明1015のタバコ製品。
[本発明1017]
前記タバコ製品が、無煙タバコ製品である、本発明1015のタバコ製品。
[本発明1018]
Nic1マーカー1番から207番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、並びに前記第一及び前記第二の染色体欠失の両方から成る群から選択される変異を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
[本発明1019]
前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記コントロール植物体のニコチンレベルの10%より低いレベルのニコチンを含む、本発明1018のタバコの植物体又はその部分。
[本発明1020]
前記タバコ植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、本発明1018のタバコの植物体又はその部分。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU2のグループ内の各対比較について弁別的に調節される遺伝子の数を示す。
図2】Nic1はニコチン生合成で必要とされる遺伝子を調節することを示す。赤い矢印は、その発現が、特に比較(i)BU21対LA BU21及び(ii)HI BU21対LA BU21においてNic1の存在下でアップレギュレートされる遺伝子を示す。
図3】各植物体の化学をy軸にプロットしその遺伝子型をx軸にプロットすることによってF2集団の遺伝子型データ及び化学データを示す。
図4】おそらくサンプリングエラーによる8つの異常値を除外した点を除いて図3と同一である。
図5】2014野外試験におけるBU21低アルカロイド同質遺伝子シリーズ(LA BU21、LI BU21、HI BU21及びBU21)のパーセントニコチンレベルを示す。
図6】2015野外試験におけるBU21低アルカロイド同質遺伝子シリーズ(LA BU21、LI BU21、HI BU21及びBU21)のパーセントニコチンレベルを示す。
図7】配列番号:85におけるNDG1からNDG15遺伝子の相対的なゲノム上の位置を示す。前記配列番号:85は4つのオーバーラップするセグメントとして示されている(上から下にそれぞれヌクレオチド1から約100k、約100kから約200k、約200から約300k、及び約300から425k)。
【0009】
前記配列番号:85は4つのオーバーラップするセグメントとして示されている(上から下にそれぞれヌクレオチド1から約100k、約100kから約200k、約200から約300k、及び約300から425k)。
配列の簡単な説明
配列番号:1は、LA BU21から特定されたNic1随伴欠失(スカフォールド0002504)の配列を示す。
配列番号:2は、LA BU21から特定されたNic2随伴欠失(スカフォールド0000549)の配列を示す。
配列番号:3から8は、特定されたNic1及びNic2欠失のPCR確認に用いたプライマー配列を示す。
配列番号:9から28は、Nic1随伴欠失スカフォールド0002504における20の注釈付き遺伝子のゲノム配列を示す。
配列番号:29から48は、Nic1随伴欠失スカフォールド0002504における20の注釈付き遺伝子のcDNA配列を示す。
配列番号:49から68は、Nic1随伴欠失スカフォールド0002504における20の注釈付き遺伝子によってコードされるアミノ酸配列を示す。
配列番号:69から70は、RNA干渉(RNAi)を介してg100614_スカフォールド0002504及びg100631_スカフォールド0002504を抑制するための例示的形質転換カセットの配列を示す。
配列番号:71及び72は配列多形の参照TN90対立遺伝子を示す。
配列番号:73は、NT1.0-スカフォールド0002504の再配列決定セグメントを含むタバコゲノム配列アッセンブリーNT2.0-スカフォールド4274を示す。特に、NT2.0-スカフォールド4274のヌクレオチド148796から282345は、NT1.0-スカフォールド0002504のヌクレオチド384701から542313とマイナス方向で一致し後者の代わりになっている。
配列番号:74は、NT1.0-スカフォールド0002504の再配列決定セグメントを含むタバコゲノム配列アッセンブリーNT2.0-スカフォールド14415を示す。特に、NT2.0-スカフォールド14415のヌクレオチド1から59671は、NT1.0-スカフォールド0002504のヌクレオチド288601から363040とマイナス方向で一致し後者の代わりになっている。
配列番号:75及び82は、Nic1随伴欠失における8つの注釈付き遺伝子の再配列決定、再精錬ゲノム配列を示す。
配列番号:83及び84は、再配列決定に基づきg100623_スカフォールド0002504で更なる注釈が付けられた当該遺伝子のcDNA及びアミノ酸配列を示す。
配列番号:85は、LA BU21の完全なNic1欠失領域のゲノム配列を示す。
配列番号:86から100は、配列番号:85で15の注釈が付された遺伝子のゲノム配列を示す。
配列番号:101から115は、配列番号:85で15の注釈が付された遺伝子のcDNA配列を示す。
配列番号:116から130は、配列番号:85で15の注釈が付された遺伝子のタンパク質配列を示す。
配列番号:131から142は、nic1又はnic2欠失にフランキングする12のSNPマーカー配列を示す。
配列番号:143及び144は、ERF-39様遺伝子に随伴する2つのSNPマーカー配列を示す。
配列番号:145から147は、ERF-39様遺伝子のゲノム配列、cDNA配列及びタンパク質配列を示す。
配列番号:148から164は、NDG1からNDG15を標的とする倒置リピート含有RNAiカセットの配列を示す。
本明細書に開示する多様な配列は、ヌクレオチド配列で“N”又はアミノ酸配列で“X”を含む。“N”は、任意のヌクレオチド(例えばA、T、G、C)又は1つ以上のヌクレオチドの欠失若しくは挿入であり得る。いくつかの事例では、一連の“N”が示される。“N”の数は必ずしも当該位置の未定ヌクレオチドの実際の数と相関しない。実際のヌクレオチド配列は、当該提示された“N”のセグメントよりも長いことも短いこともある。同様に、“X”は、任意のアミノ酸残基又は1つ以上のアミノ酸残基の欠失若しくは挿入であり得る。繰り返せば、“X”の数は必ずしも当該位置の未定アミノ酸の実際の数と相関しない。実際のアミノ酸配列は、当該提示された“X”のセグメントよりも長いことも短いこともある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特段の指定がなければ、本明細書で用いられる技術用語及び学術用語は、当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本開示の実施に多くの方法を用いることが可能であることは当業者には理解されるであろう。実際、本開示は記載する方法及び材料に全く限定されない。本開示の目的のために以下の用語は以下のように定義される。
本明細書に引用される一切の参考文献(例えば全ての特許及び刊行物)は、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
本明細書で用いられる単数形の“a”、“an”及び“the”は、文脈がそうではないことを明記しないかぎり複数形の対応語を含む。例えば、“a compound(化合物)”又は“at least one compound(少なくとも1つの化合物)”は、複数の化合物(前記の混合物を含む)を含むことができる。
“約”という用語は、近似的に、おおざっぱに、およそ、又は~の辺りを指すために本明細書で用いられる。当該用語“約”が数字の範囲と一緒に用いられるときは、前記は、示された数値の上方及び下方に境界を広げることによって当該範囲を修正する。
【0011】
本明細書で用いられるタバコ植物体は、以下を含む(ただし記載のものに限定されない)ニコチアナ(Nicotiana)属の任意の植物に由来することができる:ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)、ニコチアナ・アンプレキシカウリス(Nicotiana amplexicaulis)PI 271989;ニコチアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)PI 555478;ニコチアナ・ビゲロビー(Nicotiana bigelovii)PI 555485;ニコチアナ・デブネイイ(Nicotiana debneyi);ニコチアナ・エクセルシア(Nicotiana excelsior)PI 224063;ニコチアナ・グルチノサ(Nicotiana glutinosa)PI555507;ニコチアナ・ゴオドスペエディー(Nicotiana goodspeedii)PI 241012;ニコチアナ・ゴッセイ(Nicotiana gossei)PI 230953;ニコチアナ・ヘスペリス(Nicotiana hesperis)PI 271991;ニコチアナ・クニグチアナ(Nicotiana knightiana)PI 555527;ニコチアナ・マリチマ(Nicotiana maritima)PI 555535;ニコチアナ・メガロシプホン(Nicotiana megalosiphon)PI 555536;ニコチアナ・ヌディカウリス(Nicotiana nudicaulis)PI 555540;ニコチアナ・パニクラタ(Nicotiana paniculata)PI 555545;ニコチアナ・プルムバギニフォリア(Nicotiana plumbaginifolia)PI 555548;ニコチアナ・レパンダ(Nicotiana repanda)PI 555552;ニコチアナ・ルスチカ(Nicotiana rustica);ニコチアナ・スアベオレンス(Nicotiana suaveolens)PI 230960;ニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)PI 555569;ニコチアナ・トメントサ(Nicotiana tomentosa)PI 266379;ニコチアナ・トメントシフォルミス(Nicotiana tomentosiformis);及びニコチアナ・トリゴノフィラ(Nicotiana trigonophylla)PI 555572。
【0012】
いくつかの特徴では、本開示は、Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異、又は両方を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコの植物体は50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。いくつかの特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上から成る群から選択されるUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、ここで、当該コントロール植物体は、当該変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、ここで、当該コントロール植物体は、当該変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値の65%から130%、70%から130%、75%から130%、80%から130%、85%から130%、90%から130%、95%から130%、100%から130%、105%から130%、110%から130%、115%から130%、又は120%から130%の間のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値の70%から125%、75%から120%、80%から115%、85%から110%、又は90%から100%の間のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。いくつかの特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下のレベルでニコチンを含み、ここで、当該コントロール植物体は、当該変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は更に、PMT、MPO、QPT、BBL、A622、及びMATEトランスポーターから成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を直接抑制するトランスジーン又は変異を含む。
【0013】
いくつかの特徴では、本開示は、Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異、又は両方を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、当該コントロール植物体は、当該変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上から成る群から選択されるUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、50から95の間、55から95の間、60から95の間、65から95の間、70から95の間、75から95の間、80から95の間、85から95の間、90から95の間、55から90の間、60から85の間、65から80の間、70から75の間、50から55の間、55から60の間、60から65の間、65から70の間、70から75の間、75から80の間、80から85の間、85から90の間、及び90から95の間から成る群から選択されるUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値の65%から130%の間、70%から130%の間、75%から130%の間、80%から130%の間、85%から130%の間、90%から130%の間、95%から130%の間、100%から130%の間、105%から130%の間、110%から130%の間、115%から130%の間、又は120%から130%の間のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。更に別の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値の70%から125%の間、75%から120%の間、80%から115%の間、85%から110%の間、又は90%から100%の間のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下のレベルでニコチンを含む。他の特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体は更に、PMT、MPO、QPT、BBL、A622、及びMATEトランスポーターから成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を直接抑制するトランスジーン又は変異を含む。
【0014】
いくつかの特徴では、本開示はまた、nic1変異、nic2変異、及び前記の組み合わせから成る群から選択される変異を含むタバコの品種、栽培品種又は系統を提供し、ここで、当該タバコの品種、栽培品種、又は系統は、同様な生育条件で生長させたときのコントロールタバコの品種、栽培品種又は系統のリーフ等級に匹敵するリーフ等級を有し、当該コントロールタバコの品種は、当該変異を除いて当該タバコの品種、栽培品種又は系統と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
いくつかの特徴では、本開示は更に、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む非トランスジェニックなタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該タバコの植物体は、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。他の特徴では、そのような非トランスジェニックなタバコの植物体は、2.0%未満のニコチンレベルを含み、70以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。更に別の特徴では、そのような非トランスジェニックなタバコ植物体は、1.0%未満のニコチンレベルを含み、70以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる。
いくつかの特徴では、本開示はまた非トランスジェニックな変異を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで、当該非トランスジェニック変異は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下に当該タバコ植物体のニコチンレベルを低下させ、当該タバコ植物体は、当該コントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、更に当該コントロール植物体は、当該非トランスジェニック変異を除いて当該タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する。
【0015】
いくつかの特徴では、本開示は、Nic1に変異を含むタバコの植物体又はその部分を提供し、ここで当該変異はLA Burley 21には存在しない。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、LA Burley 21と比較して短い染色体欠失をNic1遺伝子座に含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、完全な遺伝子又は完全な遺伝子コード配列の欠失をNic1遺伝子座に含まない。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体はNci1遺伝子座でホモ接合性である。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体はNic1遺伝子座でヘテロ接合性である。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、点変異、欠失、挿入、重複、及び倒置から成る群から選択されるNic1変異を含む。いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体のNic1変異は、ランダム変異誘導及び標的指定変異誘導から成る群から選択されるアプローチによって導入される。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体のNic1変異は、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、及びCRISPRから成る群から選択される標的指定変異誘導アプローチによって導入される。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、前記遺伝子は、配列番号:9から28、75から82、86から100,145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含む。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させ、前記遺伝子は、配列番号:9から28、75から82、86から100,145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含む。
【0016】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、当該遺伝子は、配列番号:29から48、83、101から115、146及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するコード配列を含む。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は、配列番号:29から48、83、101から115、146及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するコード配列を含む1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させる。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、当該遺伝子は、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させる。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、当該遺伝子は、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含む。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含む1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させる。
【0017】
いくつかの特徴では本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、当該遺伝子は、配列番号:33、48、101、102及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するコード配列を含む。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は、配列番号:33、48、101、102及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するコード配列を含む1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させる。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は1つ以上の遺伝子内に1つ以上の変異を含み、当該遺伝子は、配列番号:53、68、116、117及び147並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するポリペプチドをコードする。いくつかの特徴では、1つ以上の変異は、配列番号:53、68、116、117及び147並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を低下させる。
【0018】
LA Burley 21は、キューバ葉巻品種の低アルカロイド遺伝子を数回の戻し交配により取り入れることによって作出された総アルカロイド低タバコ系統である(Legg et al. 1970)。前記系統は、その親のバーレイ21の約3.5%(乾燥重量)と比較して約0.2%の総アルカロイド(乾燥重量)を有する。LA BU21は、市場で許容される標準物より相当に低いリーフ等級を有する。
別段の指定がなければ、本明細書で述べるタバコの植物体、品種、栽培品種又は系統についてのアルカロイド若しくはニコチンレベル又はリーフ等級指標値の測定値は平均測定値(例えば1本の植物体の複数の葉の平均、又は1つの品種、栽培品種又は系統に由来するタバコ植物体集団の平均測定値を含む)を指す。平均測定値(例えばアルカロイド若しくはニコチンレベル又はリーフ等級)を決定するためのタバコ植物体集団又はタバコの葉の収集物は、任意のサイズ(例えば5、10、15、20、25、30、35、40又は50)を有することができる。工業的に許容される標準プロトコルは、平均測定値又は等級指標値の決定の模範である。
本明細書で用いられる“同様な生育条件”は、いずれの環境条件も農耕慣習も2つ以上の植物体の遺伝子型間で観察される任意の相違に影響を与えないように又はその説明とならないように、成長させ2つ以上の植物体の遺伝子型の有意義な比較を実施させる類似の環境条件及び/又は農耕慣習を指す。環境条件には、例えば光、温度、水(湿度)、及び栄養(例えば窒素及びリン)が含まれる。農耕慣習には、例えば播種、刈り込み、アンダーカット、移植、トッピング及び株分けが含まれる。例えば以下の成書のチャプター4B及び4Cを参照されたい:Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford (1999), pp 70-103。
“アルカロイド”は植物に天然に存在する複雑な窒素含有化合物であり、人間及び動物で薬理学的効果を有する。“ニコチン”は、商業化された紙巻きタバコのタバコで主要な天然のアルカロイドであり、ニコチアナ・タバクムのアルカロイド含有量の約90%を占める。タバコ中の他の主要なアルカロイドには、コチニン、ノルニコチン、ミオスミン、ニコチリン、アナバシン、及びアナタビンが含まれる。微量のタバコアルカロイドには、ニコチン-n-オキシド、N-メチルアナタビン、N-メチルアナバシン、シュードオキシニコチン、2,3ジピリジル及び他のものが含まれる。
【0019】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのNic1変異のないコントロールタバコ植物体と比較して、より低レベルの総アルカロイド又は個々のアルカロイドを含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物と比較してより低レベルの、コチニン、ノルニコチン、ミオスミン、ニコチリン、アナバシン、及びアナタビンから成る群から選択される1つ以上のアルカロイドを含む。いくつかの特徴では、より低いアルカロイドレベルは、コントロールタバコ植物体のアルカロイドレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下のアルカロイドレベルを指す。他の特徴では、より低いアルカロイドレベルは、コントロールタバコ植物体のアルカロイドレベルの約0.5%から1%、1%から2%、2%から3%、3%から4%、4%から5%、5%から6%、6%から7%、7%から8%、8%から9%、9%から10%、11%から12%、12%から13%、13%から14%、14%から15%、15%から16%、16%から17%、17%から18%、18%から19%、19%から20%、21%から22%、22%から23%、23%から24%、24%から25%、25%から26%、26%から27%、27%から28%、28%から29%、又は29%から30%のアルカロイドレベルを指す。更に別の特徴では、より低いアルカロイドレベルは、コントロールタバコ植物体のアルカロイドレベルの約0.5%から5%、5%から10%、10%から20%、20%から30%のアルカロイドレベルを指す。
アルカロイドレベルは、当業界で公知の方法によって、例えばガス液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、放射能免疫アッセイ、及び高疎結合免疫吸着アッセイによる定量によってアッセイすることができる。例えばニコチン系アルカロイドレベルは、CORESTA推奨方法(No.7、1987)及びISOスタンダード(ISO TC 126N 394E)に基づくGC-FID方法によって測定できる。キャピラリーカラム及びFID検出装置搭載ガス液体クロマトグラフィーを用いる方法については以下もまた参照されたい:Hibi et al., Plant Physiology 100: 826-35, 1992。
また別には、タバコの総アルカロイドは、タバコのサンプルを分析するために開発された分断流比色方法を用いて測定できる。前記は、スカラーインスツルメント社(Skalar Instrument Co, West Chester, PA)によって改造され、文献(Collins et al., Tobacco Science 13:79-81, 1969)に記載されている。略記すれば、タバコのサンプルを乾燥させてすり潰し、総アルカロイド及び還元糖の分析前に抽出する。続いて、前記方法は酢酸/メタノール/水抽出及び脱色のために木炭を用いる。総アルカロイドの決定は、着色複合体(460nmで測定される)を形成させるために芳香族アミンの存在下で塩化シアンとニコチンアルカロイドとを反応させることに基づいていた。別段の指定がなければ、本明細書に示される総アルカロイド又はニコチンレベルは乾燥重量を基準とする(例えば総アルカロイドパーセント又はニコチンパーセント)。
【0020】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのNic1変異のないコントロールタバコ植物体と比較してより低レベルのニコチンを含む。いくつかの特徴では、より低いニコチンレベルは、コントロールタバコ植物体の平均ニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下の平均ニコチンレベルを指す。他の特徴では、より低いニコチンレベルは、コントロールタバコ植物体の平均ニコチンレベルの約0.5%から1%、1%から2%、2%から3%、3%から4%、4%から5%、5%から6%、6%から7%、7%から8%、8%から9%、9%から10%、11%から12%、12%から13%、13%から14%、14%から15%、15%から16%、16%から17%、17%から18%、18%から19%、19%から20%、21%から22%、22%から23%、23%から24%、24%から25%、25%から26%、26%から27%、27%から28%、28%から29%、又は29%から30%の平均ニコチンレベルを指す。更に別の特徴では、より低いニコチンレベルは、コントロールタバコ植物体の平均ニコチンレベルの約0.5%から5%、5%から10%、10%から20%、20%から30%の平均ニコチンレベルを指す。
【0021】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、乾燥重量を基準にして約0.01%、0.02%、0.05%、0.75%、0.1%、0.15%、0.2%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4%、5%、6%、7%、8%、及び9%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、乾燥重量を基準にして0.01%から0.02%、0.02%から0.05%、0.05%から0.75%、0.75%から0.1%、0.1%から0.15%、0.15%から0.2%、0.2%から0.3%、0.3%から0.35%、0.35%から0.4%、0.4%から0.5%、0.5%から0.6%、0.6%から0.7%、0.7%から0.8%、0.8%から0.9%、0.9%から1%、1%から1.1%、1.1%から1.2%、1.2%から1.3%、1.3%から1.4%、1.4%から1.5%、1.5%から%1.6、1.6%から1.7%、1.7%から1.8%、1.8%から1.9%、1.9%から2%、2%から2.1%、2.1%から2.2%、2.2%から2.3%、2.3%から2.4%、2.4%から2.5%、2.5%から2.6%、2.6%から2.7%、2.7%から2.8%、2.8%から2.9%、2.9%から3%、3%から3.1%、3.1%から3.2%、3.2%から3.3%、3.3%から3.4%、3.4%から3.5%、3.5%から3.6%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。更に別の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、乾燥重量を基準にして約0.01%から0.1%、0.02%から0.2%、0.03%から0.3%、0.04%から0.4%、0.05%から0.5%、0.75%から1%、0.1%から1.5%、0.15%から2%、0.2%から3%、及び0.3%から3.5%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。
【0022】
本開示はまた、改変ニコチンレベルを有し他のタバコの形質(例えばリーフ等級指標値)には負の影響をもたないタバコの植物体を提供する。ある特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は市場で許容される等級の乾燥タバコを提供する。タバコの等級は、以下を含む(ただし記載のものに限定されない)要件を基準に判定される:葉柄の位置、葉のサイズ、葉の色、葉の均質性及び完全性、成熟度、手触り、弾性、光沢(輝きとともに葉の着色の強さ及び深さと関係する)、吸湿性(周囲の水分を吸収及び保持するタバコの葉の能力)、及び緑色の微妙な差異又は度合い。リーフ等級は、例えば米国農務省の農業販売促進局が刊行する公式スタンダード等級(7 U.S.C. セクション511)を用いて決定できる。例えば以下を参照されたい:バーレイタバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ31及び外来タイプ93)、1990年11月5日発効(55 F.R. 40645);鉄管乾燥タバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ11、12、13、14及び外来タイプ92)、1989年3月27日発効(54 F.R. 7925);ペンシルバニアシードリーフタバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ41)、1965年1月8日発効(29 F.R. 16854);オハイオシガー-リーフタバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ42、43及び44)、1963年12月8日発効(28 F.R. 11719及び28 F.R. 11926);ウイスコンシンシガー-バインダータバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ54及び55)、1969年11月20日発効(34 F.R. 17061);ジョージア及びフロリダ日陰栽培シガー-ラッパータバコのための公式スタンダード等級(米国タイプ62)、1971年4月発効。USDA等級指標値は製造部門許容等級指標(industry accepted grade index)にしたがって決定できる。例えば以下を参照されたい:Bowman et al, Tobacco Science, 32:39-40, 1988);Legacy Tobacco Document Library (Bates Document #523267826-523267833, July 1, 1988, Memorandum on the Proposed Burley Tobacco Grade Index);及びMiller et al., 1990, Tobacco Intern., 192:55-57(前述の参考文献はいずれも参照によりその全体が本明細書に含まれる)。ある特徴では、USDA等級指標は、連邦政府が与えた等級の0-100の数字による表示であり、全ての葉柄の位置の加重平均である。より高い等級指標はより高い品質を示す。また別に、リーフ等級はハイパースペクトルイメージングにより決定できる。例えばWO 2011/027315を参照されたい(2011年3月10日公開、参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
【0023】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロールタバコ植物体と比較して、同様なレベルの、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラブデノイド、センブレノイド、糖エステル、及び還元糖から成る群から選択される1つ以上のタバコの芳香化合物を含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、Nic1変異、Nic2変異又はその組合せを含み、前記変異は、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラブデノイド、センブレノイド、糖エステル、及び還元糖から成る群から選択される1つ以上のタバコの芳香化合物のレベルについては影響しない。
本明細書で用いられるタバコの芳香化合物は、タバコの煙の風味及び芳香と密接に関係する化合物である。これらの化合物には、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、センブレノイド及びラブデノイドジテルペン、並びに糖エステルが含まれるが、ただしこれらに限定されない。タバコの芳香化合物の濃度は、当業界で公知の任意の代謝物プロファイリング方法によって測定できる。前記方法にはガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、核磁気共鳴質量分析、液体クロマトグラフィー連結質量分析が含まれるが、ただしこれらに限定されない。例えば以下を参照されたい;The Handbook of Plant Metabolomics, edited by Weckwerth and Kahl, (Wiley-Blackwell) (May 28, 2013)。
本明細書で用いられる“還元糖”は、遊離又は潜在的に遊離するアルデヒド又はケトン基を有する任意の糖(単糖類又は多糖類)である。グルコース及びフルクトースは、紙巻きタバコの煙のpHを低下させ“遊離”非プロトン化ニコチンの量を効果的に低下させることによって、煙中でニコチン緩衝剤として作用する。還元糖は、例えば、ニコチン及び他のタバコアルカロイドの感覚的な影響を修正することによって煙の風味のバランスを保つ。糖含有量とアルカロイド含有量で逆の関係が、植え付け条件によってタバコの品種全体で、同じ品種内で、及び同じ植物系統内で生じることが報告されている。還元糖レベルは、タバコのサンプルの分析のために開発された分断流比色方法を、スカラーインスツルメント社(West Chester, PA)の改案及び文献(Collins et al., Tobacco Science 13:79-81, 1969)の記載にしたがって用い測定することができる。例えば、サンプルを炭酸ナトリウム溶液に透析する。銅ネオクプロインをサンプルに添加し、この溶液を加熱する。銅ネオクプロインキレートを糖の存在下で還元して着色複合体を生成し、これを460nmで測定する。
【0024】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、Nic1又はNic2遺伝子座に天然には存在しない1つ以上の対立遺伝子を含み、前記対立遺伝子は、Nic1又はNic2遺伝子座の1つ以上の遺伝子活性を低下させ又は除去する。いくつかの特徴では、これらの変異対立遺伝子はより低いニコチンレベルをもたらす。変異Nic1又はNic2対立遺伝子座は当業界で公知の任意の方法によって導入でき、前記にはランダム変異誘導又は標的指定変異誘導アプローチが含まれる。
そのような変異誘導方法には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):硫酸エチルメチル(EMS)による種子の処理(Hildering and Verkerk,“The use of induced mutations in plant breeding”, Pergamon press, pp 317-320, 1965)、又はUV照射、X線及び高速中性子照射(例えば以下を参照されたい:Verkerk, Neth. J. Agric. Sci. 19:197-203, 1971;及びPoehlman, Breeding Field Crops, Van Nostrand Reinhold, New York (3.sup.rd ed), 1987)、トランスポゾン付箋添付(Fedoroff et al., 1984;U.S. Pat. No. 4,732,856及びU.S. Pat. No. 5,013,658)の他にT-DNA挿入方法論(Hoekema et al., 1983;U.S. Pat. No. 5,149,645)。EMS誘導変異誘導は、ゲノムの全長にわたってランダム点変異を化学的に誘導することから成る。高速中性子変異誘導は種子を中性子衝撃に暴露することから成り、中性子衝撃は二本鎖DNA切断により大きな欠失を引き起こす。トランスポゾン付箋添付は内在遺伝子内へのトランスポゾンの挿入を含み、当該遺伝子の発現を低下させ又は除去する。タバコの遺伝子に存在し得る変異のタイプには例えば点変異、欠失、挿入、重複、倒置が含まれる。そのような変異は、望ましくはタバコの遺伝子のコード領域に存在するが、しかしながらタバコの遺伝子のプロモーター領域、イントロン又は非翻訳領域における変異もまた所望し得る。
【0025】
加えて、化学的に誘導される変異、TILING(Targeting Induced Local Lesion In Genomes(ゲノム内局所病巣の標的指定誘導))をスクリーニングする迅速で自動化可能な方法もまた、選別PCR生成物の変性HPLC又は選択的エンドヌクレアーゼ消化を用いて本開示で応用することができる(以下を参照されたい:McCallum et al. (2000) Nat. Biotechnol. 18:455-457)。遺伝子発現に影響を与えるか、又は本明細書に開示する遺伝子の機能に干渉する変異は、当業界で周知の方法を用いて決定できる。遺伝子エクソン内の挿入変異は通常ヌル変異体を生じる。保存残基の変異はタンパク質機能の阻害に特に有効である。いくつかの特徴では、本明細書に開示するタバコの植物体はナンセンス(例えば終止コドン)変異を含み、前記は本明細書に記載する1つ以上のNic1遺伝子に存在する。
いくつかの特徴では、本開示はまた、改変ニコチンレベルを有しながら市場で許容される葉の品質は維持するタバコの系統を提供する。これらの系統は、正確なゲノム操作技術(例えば転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、及びCRISPR-cas9系)を用いて、Nic1又はNic2遺伝子座の1つ以上の遺伝子に変異を導入することによって作出できる。例えば以下を参照されたい:Gaj et al., Trends in Biotechnology, 31(7):397-405, 2013。
変異誘導タバコ植物体のスクリーニング及び選別は、当業者に公知の任意の方法論により実施できる。スクリーニング及び選別方法論には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):サザン分析、ポリヌクレオチド検出のためのPCR増幅、ノザンブロット、RNase保護、プライマー伸長、RNA転写物を検出するためのRT-PCR増幅、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの酵素若しくはリボザイム活性の検出のための酵素アッセイ、タンパク質ゲル電気泳動、ウェスタンブロット、免疫沈澱、及びポリペプチド検出のための酵素結合免疫アッセイ。他の技術、例えばin situハイブリダイゼーション、酵素染色、及び免疫染色もまた、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドの存在又は発現の検出に用いることができる。全ての引用技術を実施する方法は公知である。
本開示はまた、植物、特にニコチアナ属の植物(多様な商業的品種のタバコ植物体を含む)のNic1遺伝子座に由来する1つ以上のポリペプチドの発現又は機能を阻害する組成物及び方法を提供する。
【0026】
いくつかの特徴では、本開示は、ある遺伝子のNic1阻害性配列を含む異種発現カセットを含むタバコ植物体又はその部分を提供し、当該ある遺伝子は、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含み、ここで、当該阻害性配列は植物細胞で機能するプロモーターに作動できるように連結され、更に当該阻害性配列は、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80ヌクレオチドのフラグメントと少なくとも90%配列同一性を有する。他の特徴では、本開示は、ある遺伝子のNic1阻害性配列を含む異種発現カセットを含むタバコ植物体又はその部分を提供し、当該ある遺伝子は、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145、及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列を含み、ここで、当該阻害性配列は植物細胞で機能するプロモーターに作動できるように連結され、更に当該阻害性配列は、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145、及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一性を有する配列の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80ヌクレオチドのフラグメントと少なくとも90%配列同一性を有する。いくつかの特徴では、Nic1阻害性配列は、一本鎖RNAポリヌクレオチド、二本鎖RNAポリヌクレオチド、及び前記の組み合わせから成る群から選択される阻害性ポリヌクレオチドとして転写されることができる。
【0027】
本明細書で用いられる“阻害する”、“阻害”及び“阻害して”という用語は、問題の遺伝子生成物(例えば標的遺伝子生成物)の発現又は機能を減少させる、当業界で公知の又は本明細書に記載する任意の方法と定義される。“阻害”は、2つの植物体(例えば遺伝的に改変された植物体対野生型植物体)間における比較の関係であることがある。また別には、標的遺伝子生成物の発現又は機能の阻害は、同じ植物内の植物細胞、細胞小器官、器官、組織若しくは植物体部分間又は異なる植物間の比較の関係にあることがあり、同じ植物若しくは植物部分内の発生段階若しくは一過性段階の間、又は複数の植物体又は植物部分の間の比較を含む。“阻害”は問題の遺伝子生成物の機能又は生成の任意の相対的な漸減を含み、前記漸減には当該遺伝子生成物の機能又は生成の完全な排除に至るものまでが含まれる。“阻害”という用語は、標的遺伝子生成物の翻訳及び/又は転写又は標的遺伝子生成物の機能的活性をダウンレギュレートする方法又は組成物を包含する。いくつかの特徴では、本明細書に開示する修正植物体のNic1遺伝子座の1つ以上の遺伝子のmRNA又はタンパク質レベルは、変異体ではないか又は当該遺伝子の発現を阻害するように遺伝的に修正されていない植物体の同じ遺伝子のタンパク質レベルの95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満である。
“阻害性配列”という用語は、植物でニコチン生合成調節に必要とされるNic1遺伝子座の遺伝子の発現又は機能を阻害することができる任意のポリヌクレオチド又はポリペプチド、例えば以下を包含する:完全長ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列、先端切詰めポリヌクレオチド又はポリペプチド配列、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列のフラグメント、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の変種、センス方向のヌクレオチド配列、アンチセンス方向のヌクレオチド配列、センス又はアンチセンス方向のヌクレオチド配列の相補鎖、ヌクレオチド配列の倒置領域、ヌクレオチド配列のヘアピン、二本鎖ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド配列、前記の組み合わせなど。“ポリヌクレオチド配列”という用語は、RNA、DNA、化学的に修正された核酸、核酸アナローグ、前記の組み合わせなどを含む。
【0028】
阻害性配列は、本明細書では標的遺伝子生成物の名称によって示される。したがって、“Nic1阻害性配列”は、植物体でニコチン生合成の調節に必要とされるNic1遺伝子座の遺伝子の発現を、例えば転写及び/又は翻訳のレベルで阻害することができるか、又は遺伝子生成物の機能を阻害することができる阻害性配列を指す。“阻害することができる”という語句がポリヌクレオチド阻害性配列の関係で用いられるときは、当該阻害性配列そのものが阻害性効果を発揮することを意味することが意図されるか、或いは当該阻害性配列が阻害性ヌクレオチド分子(例えばヘアピンRNA、miRNA又は二本鎖RNAポリヌクレオチド)をコードするか又は阻害性ポリペプチド(例えば標的遺伝子の発現又は機能を阻害するポリペプチド)をコードする場合は、その転写に続いて(例えば阻害性配列がヘアピンRNA、miRNA又は二本鎖RNAポリヌクレオチドをコードする事例で)、又は転写及び翻訳に続いて(阻害性配列が阻害性ポリペプチドをコードする事例で)、当該転写生成物又は翻訳生成物が標的遺伝子生成物に対してそれぞれ阻害性効果を発揮することを意味することが意図される。
本明細書に開示するNic1阻害性配列は、当業界で公知の任意のサイレンシング経路又はメカニズムを介する配列始動遺伝子のサイレンシングであることができ、前記には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):センス抑制/共同抑制、アンチセンス抑制、二本鎖RNA(dsRNA)干渉、ヘアピンRNA干渉及びイントロン含有ヘアピンRNA干渉、アンプリコン媒介干渉、リボザイム、小さな干渉RNA、人工又は合成ミクロRNA、及び人工トランス作動性siRNA。Nic1阻害性配列は、所望の結果に応じて少なくとも約20ヌクレオチドから、約50ヌクレオチド、約ヌ70クレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約350ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、及び本開示のタンパク質をコードする完全長ポリヌクレオチドまでの範囲であり得る。ある特徴では、Nic1阻害性配列は、長さが約50から約400ヌクレオチド、約70から約350ヌクレオチド、約90から約325ヌクレオチド、約90から約300ヌクレオチド、約90から約275ヌクレオチド、約100から約400ヌクレオチド、約100から約350ヌクレオチド、約100から約325ヌクレオチド、約100から約300ヌクレオチド、約125から約300ヌクレオチド、又は約125から約275ヌクレオチドのフラグメントであり得る。いくつかの実施態様では、チトクロームP450ポリヌクレオチドのフラグメントは、長さが約50、約60、約70、約80、約90、約100、約125、約150、約175、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約400ヌクレオチド、及び他の約70から約400ヌクレオチドの間の値である。
【0029】
“ポリヌクレオチド”という用語の使用は、DNAを含むポリヌクレオチドに本開示を限定しようとするものではない。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチド並びにリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの組み合わせを含み得ることは当業者には理解されるであろう。そのようなデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドは天然に存在する分子及び合成アナローグの両方を含む。本開示のポリヌクレオチドはまた、全ての配列形態を包含する(一本鎖型、二本鎖型、ヘアピン、ステム-ループ構造などが含まれるがただしこれらに限定されない)。
いくつかの特徴では、本開示は、タバコの細胞で機能し更にあるポリヌクレオチドに作動できるように連結されたプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供する。前記あるポリヌクレオチドは、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするRNAと結合できるRNA分子をコードし、当該RNA分子は当該ポリペプチドの発現を抑制する。いくつかの特徴では、RNA分子はミクロRNA、siRNA、及びトランス作動性siRNAから成る群から選択される。他の特徴では、組換えDNA構築物は二本鎖RNAをコードする。これらの組換えDNA構築物を含むトランスジェニックタバコ植物体若しくはその部分、乾燥タバコ材料、又はタバコ製品もまた提供される。いくつかの特徴では、これらのトランスジェニック植物体、乾燥タバコ材料、又はタバコ製品は、当該組換えDNA構築物が存在しないコントロールタバコ植物体と比較して低レベルのニコチンを含む。更にまた、タバコ植物体のニコチンレベルを低下させる方法が提供され、前記方法は、タバコの植物体をこれら組換えDNA構築物のいずれかで形質転換する工程を含む。
本明細書で用いられる“作動できるように連結される”とは、2つ以上のエレメント間の機能的な連結を指す。例えば、問題のポリヌクレオチドと調節配列(例えばプロモーター)との間の作動可能な連結は、問題のポリヌクレオチドの発現を可能にする機能的な連携である。作動できるように連結されたエレメントは連続性でも非連続性でもある。
【0030】
本明細書で用いられ、かつある配列との関係で用いられるとき、“異種”とは、外来種を起源とする配列、又は同じ種に由来する場合には人間の意図的な介入により組成及び/又はゲノム遺伝子座でその天然の形態から実質的に修正された配列を指す。前記用語はまた、核酸構築物(本明細書では“ポリヌクレオチド構築物”又は“ヌクレオチド構築物”とも称される)にも適用できる。このように、“異種”核酸構築物は、外来種を起源とする構築物、又は同じ種に由来する場合には人間の意図的な介入により組成及び/又はゲノム遺伝子座でその天然の形態から実質的に修正された構築物を意味することが意図される。異種核酸構築物には、例えば形質転換による方法又はその後に続くトランスジェニック植物と問題の別の植物との交配により植物体又はその植物体部分に導入された組換えヌクレオチド構築物が含まれるが、ただし前記に限定されない。
本明細書で用いられる“遺伝子発現”とは遺伝子生成物の生合成又は生成を指し、遺伝子生成物の転写及び/又は翻訳を含む。
Nic1遺伝子座の1つ以上のポリペプチドを植物体(特にニコチアナ属の植物体(多様な商業的品種のタバコの植物体を含む))で過剰発現させる組成物及び方法もまた提供される。
いくつかの特徴では、本開示は、タバコの細胞で機能し更にあるポリヌクレオチドに作動できるように連結されたプロモーターを含む組換えDNA構築物を提供する。前記あるポリヌクレオチドは、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少な くとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。これらの組換えDNA構築物を含むトランスジェニックタバコ植物体若しくはその部分、乾燥タバコ材料、又はタバコ製品もまた提供される。いくつかの特徴では、これらのトランスジェニック植物体、乾燥タバコ材料、又はタバコ製品は、当該組換えDNA構築物が存在しないコントロールタバコ植物体と比較して高レベルのニコチンを含む。更にまた、タバコ植物体のニコチンレベルを増加させる方法が提供され、前記方法は、タバコの植物体をこれら組換えDNA構築物のいずれかで形質転換する工程を含む。
【0031】
いくつかの特徴では、本明細書に開示する組換えDNA構築物又は発現カセットはまた、トランスジェニック細胞の選別のために選別可能なマーカー遺伝子を含むことができる。選別可能なマーカー遺伝子には、抗生物質耐性をコードする遺伝子(例えばネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(NEO)及びヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)をコードするもの)とともに除草剤(例えばグルホシネートアンモニウム、ブロモキシニル、イミダゾリノン、及び2,4-ジクロロフェノキシアセテート(2,4-D))に対する耐性を付与する遺伝子が含まれるが、ただし前記に限定されない。追加される選別可能なマーカーには、表現型マーカー(例えばβ-ガラクトシダーゼ)及び蛍光タンパク質(例えば緑色蛍光タンパク質(GFP))が含まれる。
いくつかの特徴では、本明細書に開示する組換えDNA構築物又は発現カセットは、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、及び組織指向性プロモーター(例えば葉特異的又は根特異的プロモーター)から成る群から選択されるプロモーターを含む。例示的構成性プロモーターには以下が含まれる:Rsyn7プロモーターのコアプロモーター及びU.S. Pat. No. 6,072,050に開示される他の構成的プロモーター;コアCaMV 35Sプロモーター(Odell et al. (1985) Nature 313:810-812);ユビキチン(Christensen et al. (1989) Plant Mol. Biol. 12:619-632 and Christensen et al. (1992) Plant Mol. Biol. 18:675-689);pEMU(Last et al. (1991) Theor. Appl. Genet. 81:581-588);MAS(Velten et al. (1984) EMBO J 3:2723-2730);ALSプロモーター(U.S. Pat. No. 5,659,026)など。例示的な化学物質誘導性プロモーターにはタバコPR-1aプロモーターが含まれ、前記はサリチル酸によって活性化される。問題の他の化学物質誘導性プロモーターには以下が含まれる:ステロイド応答性プロモーター(例えばグルココルチコイド誘導性プロモーター(Schena et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10421-10425;及びMcNellis et al. (1998) Plant J. 14(2):247-257)及びテトラサイクリン誘導性プロモーター(例えば以下を参照されたい:Gatz et al. (1991) Mol. Gen. Genet. 227:229-237;並びにU.S. Pat. Nos. 5,814,618及び5,789,156)。本明細書で用いることができる追加の例示的プロモーターは、以下に対して応答性のプロモーターである:熱調節遺伝子発現、光調節遺伝子発現(例えば、エンドウrbcS-3A;トウモロコシrbcSプロモーター;エンドウで見いだされる葉緑素alb-結合タンパク質遺伝子;又はArabssuプロモーター)、ホルモン調節遺伝子発現(例えばコムギのEm遺伝子のアブシシン酸(ABA)応答性配列;ABA-誘導性HVA1及びHVA22、並びにオオムギ及びアラビドプシス(Arabidopsis)のrd29Aプロモーター)、及び創傷誘導遺伝子発現(例えばwunl)、器官特異的遺伝子発現(例えば、塊茎特異的貯蔵タンパク質遺伝子;トウモロコシの23kDaトウモロコシ遺伝子;又はフレンチビーンの23kDa遺伝子(β-ファセオリン遺伝子))、又は病原体誘導性プロモーター(例えば、PR-1prp-1、又はβ-1,3グルカナーゼプロモーター、コムギの真菌誘導性wirlaプロモーター、及び線虫誘導性プロモーター、タバコ及びパセリのそれぞれTobRB7-5A及びHmg-1)。
【0032】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は更に、ニコチンの生合成又は輸送に必要とされる遺伝子の活性の発現増加又は低下を含む。ニコチンの生合成に必要とされる遺伝子には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)、メチルプトレシンオキシダーゼ(MPO)、NADHデヒドロゲナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(PRAI)、プトレシンN-メチルトランスフェラーゼ(PMT)、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPT)、及びS-アデノシル-メチオニンシンターゼ(SAMS)。ニコチンシンターゼ(ニコチン酸誘導体とメチルピロリニウム陽イオンとの間の縮合工程を触媒する)は解明されていないが、2つの候補遺伝子(A622及びNBB1)が提唱されている。US 2007/0240728 A1及びUS 2008/ 0120737A1を参照されたい。A622はイソフラビンレダクターゼ様タンパク質をコードする。加えて、いくつかのトランスポーターがニコチンの移転に関与し得る。トランスポーター遺伝子(MATEと呼ばれる)がクローニングされ、特徴が調べられた(Morita et al., PNAS 106:2447-52, 2009)。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は更に、コントロールタバコ植物体と比較して、PMT、MPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、及びNBB1から成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子のmRNA、タンパク質、又はその両方のレベルの増加又は低下を含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は更に、PMT、MPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、及びNBB1から成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現を直接的に抑制するトランスジーンを含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は更に、PMT、MPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、及びNBB1から成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を抑制するトランスジーン又は変異を含む。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は更に、PMT、MPO、QPT、ADC、ODC、PRAI、SAMS、BBL、MATE、A622、及びNBB1から成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子を過剰発現するトランスジーンを含む。
【0033】
更に、当業界で公知の任意の適切な形質転換方法を用いて、本明細書に記載する組換え構築物又は発現カセットによるタバコ植物体の形質転換もまた開示される。ポリヌクレオチド配列をタバコ植物体に導入する方法は当業界で公知であり、それらには安定的形質転換方法、一過性形質転換方法、及びウイルス媒介方法が含まれる(ただし前記に限定されない)。“安定的形質転換”は、植物に導入された問題のヌクレオチド構築物が当該植物のゲノムに組み込まれ、当該構築物がその子孫によって受け継がれることができる形質転換を指す。“一過性形質転換”は、ある配列が植物に導入され単に一時的に発現されるか、又は当該植物に単に一時的に存在することを意味することが意図される。
本開示の植物細胞にポリヌクレオチドを導入する適切な方法には以下が含まれる:マイクロインジェクション(Crossway et al. (1986) Biotechniques 4:320-334)、エレクトロポレーション(Shillito et al. (1987) Meth. Enzymol. 153:313-336;Riggs et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:5602-5606)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換(U.S. Pat. Nos. 5,104,310、5,149,645、5,177,010、5,231,019、5,463,174、5,464,763、5,469,976、4,762,785、5,004,863、5,159,135、5,563,055、及び5,981,840)、直接的遺伝子移転(Paszkowski et al. (1984) EMBO J. 3:2717-2722)、弾道粒子加速(例えば以下を参照されたい:U.S. Pat. Nos. 4,945,050、5,141,131、5,886,244、5,879,918、及び5,932,782;Tomes et al. (1995) in Plant Cell, Tissue, and Organ Culture Fundamental Methods, ed. Gamborg and Phillips(Springer-Verlag, Berlin);McCabe et al. (1988) Biotechnology 6:923-926)。以下もまた参照されたい:Weissinger et al. (1988) Ann. Rev. Genet. 22:421-477;Christou et al. (1988) Plant Physiol. 87:671-674(ダイズ);McCabe et al. (1988) Bio/Technology 6:923-926(ダイズ);Finer and McMullen (1991) In Vitro Cell Dev. Biol. 27P: 175-182(ダイズ);Singh et al. (1998) Theor. Appl. Genet. 96:319-324(ダイズ);De Wet et al. (1985) in The Experimental Manipulation of Ovule Tissues, ed. Chapman et al. (Longman, N.Y.), pp. 197-209(花粉);Kaeppler et al. (1990) Plant Cell Reports 9:415-418;及びKaeppler et al. (1992) Theor. Appl. Genet. 84:560-566(ウィスカー媒介形質転換);D'Halluin et al. (1992) Plant Cell 4:1495-1505(エレクトロポレーション)。
【0034】
他の特徴では、本明細書に開示する組換え構築物又は発現カセットを、植物体をウイルス又はウイルス核酸と接触させることによって植物に導入することができる。一般的に、そのような方法は、ウイルスDNA又はRNA分子内に本開示の発現カセットを取り込む工程を含む。本明細書に開示する発現カセットで使用されるプロモーターはまた、ウイルスRNAポリメラーゼによる転写のために利用されるプロモーターを包含することは知られている。植物にポリヌクレオチドを導入しその中にコードされたタンパク質を発現する方法(ウイルスDNA及びRNA分子を必要とする)は、当業界で公知である。例えば以下を参照されたい:U.S. Pat. Nos. 5,889,191、5,889,190、5,866,785、5,589,367、5,316,931、及びPorta et al. (1996) Molecular Biotechnology 5:209-221。
器官発生又は胚形成にかかわらず、クローンのための方法を用いて引き続き増殖させることができるいずれの植物組織も、本明細書に開示する組換え構築物又は発現カセットにより形質転換することができる。“器官形成”では、分裂組織中心からシュート及び根が連続的に発達するプロセスが意図される。“胚形成”では、体細胞からであれ配偶子からであれ、シュート及び根が協調的態様で(連続的ではなく)一緒に発達するプロセスが意図される。本明細書に記載する多様な形質転換プロトコルに適切な例示的組織には、カルス組織、既存の分裂組織(例えば頂端分裂組織、腋芽、及び根の分裂組織)及び誘導分裂組織(例えば子葉分裂組織及び胚軸分裂組織)、胚軸、子葉、葉片、花粉、胚などが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0035】
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、鉄管乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、ダーク空気乾燥タバコ、ダーク直火乾燥タバコ、ガルパオタバコ、及びオリエンタルタバコから成る群から選択されるタバコタイプに由来する。他の特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体は、バーレイタバコ、メリーランドタバコ、及びダークタバコから成る群から選択されるタバコタイプに由来する。
鉄管乾燥タバコ(バージニアタバコ又はブライトタバコとも呼ばれる)は、世界のタバコ製造の約40%を占める。鉄管乾燥タバコは、その乾燥中に黄金色から濃いオレンジ色になるためにしばしば“ブライトタバコ”とも称される。鉄管乾燥タバコは軽くて明朗な芳香及び風味を有する。鉄管乾燥タバコは一般的に糖が多く油が少ない。主要な鉄管乾燥タバコ生育国はアルゼンチン、ブラジル、中国、インド、タンザニア及び米国である。いくつかの特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体若しくは種子は、以下(CC 13、CC 27、CC 33、CC 37、CC 65、CC 67、CC 700、GF 318、GL 338、GL 368、GL 939、K 346、K 399、K326、NC 102、NC 196、NC 291、NC 297、NC 299、NC 471、NC 55、NC 606、NC 71、NC 72、NC 92、PVH 1118、PVH 1452、PVH 2110、SPEIGHT 168、SPEIGHT 220、SPEIGHT 225、SPEIGHT 227、SPEIGHT 236)及び前述の品種のいずれかに本質的に由来する任意の品種から成る群から選択される鉄管乾燥タバコのバックグラウンドを有する。他の特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体若しくは種子は、以下(コーカー(Coker)48、コーカー176、コーカー371-ゴールド、コーカー319、コーカー347、GL 939、K 149、K326、K 340、K 346、K 358、K 394、K 399、K 730、NC 27NF、NC 37NF、NC 55、NC 60、NC 71、NC 72、NC 82、NC 95、NC 297、NC 606、NC 729、NC 2326、McNair 373、McNair 944、Ox 207、Ox 414 NF、リームス(Reams)126、リームス713、リームス744、RG 8、RG 11、RG 13、RG 17、RG 22、RG 81、RG H4、RG H51、スペイト(Speight)H-20、スペイトG-28、スペイトG-58、スペイトG-70、スペイトG-108、スペイトG-l11、スペイトG-l17、スペイト168、スペイト179、スペイトNF-3、Va 116、Va 182)及び前述の品種のいずれかに本質的に由来する任意の品種から成る群から選択される鉄管乾燥タバコのバックグラウンドを有する。WO 2004/041006 A1を参照されたい。更に別の特徴では、本明細書に開示する低アルカロイド又は低ニコチンのタバコ植物体、種子、ハイブリッド、品種又は系統はK326、K346及びNC196から成る群から選択される任意の鉄管乾燥バックグラウンドを有する。
【0036】
空気乾燥タバコにはバーレイ、メリーランド、及びダークタバコが含まれる。共通の要件は、もっぱら人工的な熱源及び湿度源が存在しないということである。バーレイタバコは、色がライトブラウンからダークブラウンであり、油が多く、糖が少ない。バーレイタバコは小屋で空気乾燥される。主要なバーレイ生育国はアルゼンチン、ブラジル、イタリア、マラウイ及び米国である。メリーランドタバコは、非常に軽くふんわりしていて、良好な燃焼特性、低ニコチン及び中性的芳香を有する。主要なメリーランドタバコ生育国には米国及びイタリアが含まれる。いくつかの特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体若しくは種子は、クレー(Clay)402、クレー403、クレー502、Ky 14、Ky 907、Ky 910、Ky 8959、NC 2、NC 3、NC 4、NC 5、NC 2000、Tn 86、Tn 90、Tn 97、R 610、R 630、R 711、R 712、NCBH 129、Bu 21xKy 10、HB04P、Ky 14xL 8、Kt 200、ニュートン98、ペディーゴ(Pedigo)561、Pf561及びVa 509から成る群から選択されるバーレイタバコのバックグラウンドを有する。更に別の特徴では、本明細書に開示する低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体、種子、ハイブリッド、品種又は系統は、TN 90、KT 209、KT 206、KT212、及びHB 4488から成る群から選択される任意のバーレイのバックグラウンドを有する。他の特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体又は種子は、Md 10、Md 40、Md 201、Md 609、Md 872及び Md 341から成る群から選択されるメリーランドタバコのバックグラウンドを有する。
ダーク空気乾燥タバコは、主としてその乾燥プロセスによって他のタイプと区別される(当該乾燥プロセスは、ダーク空気乾燥タバコにその中間ブラウン色からダークブラウン色及びくっきりとした芳香を与える)。ダーク空気乾燥タバコは主としてかみタバコ及びかぎタバコの製造に用いられる。いくつかの特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体又は種子は、スマトラ、東ジャワ(Jatim)、ドミニカキューバ(Dominican Cubano)、ベスキ(Besuki)、ワンサッカー(One sucker)、グリーンリバー(Green River)、バージニア天日干し、及びパラグアイパッサド(Paraguan Passado)から成る群から選択されるダーク空気乾燥タバコのバックグラウンドを有する。
【0037】
ダーク直火乾燥タバコは、一般的には密閉した乾燥小屋の床で低温燃焼木材の火を用いて乾燥される。それらの葉は低い糖含有量及び高いニコチン含有量を有する。ダーク直火乾燥タバコは、パイプブレンド、紙巻きタバコ、かみタバコ、かぎタバコ及び味の濃い葉巻の製造に用いられる。ダーク直火乾燥タバコのための主要な生育領域は、合衆国のテネシー、ケンタッキー、及びバージニアである。いくつかの特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体若しくは種子は、以下から成る群から選択されるダーク直火乾燥タバコのバックグラウンドを有する:細葉マドール(Narrow Leaf Madole)、改良マドール、トム・ロッソンマドール(Tom Rosson Madole)、ニュートンのVHマドール(Newton's VH Madole)、リトルクリッテンデン(Little Crittenden)、グリーンウッド(Green Wood)、リトルウッド(Little Wood)、スモールストークブラックマントス(Small Stalk Black Mammoth)、DT 508、DT 518、DT 592、KY 171、DF 911、DF 485、TN D94、TN D950、VA 309、及びVA 359。
オリエンタルタバコはまた、それらが典型的には地中海沿岸東部領域(例えばトルコ、ギリシア、ブルガリア、マケドニア、シリア、レバノン、イタリア及びルーマニア)で生育するという事実により、ギリシアタバコ、芳香タバコ及びトルコタバコとも称される。小さな植物体及び葉のサイズ(今日のオリエンタル品種の特徴)はその固有の芳香特性とともに、過去何世紀にもわたって発達した当該植物のこの痩せ地と過酷な気候条件への適応の結果である。いくつかの特徴では、本明細書で提供される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体若しくは種子は、以下(イズマー(Izmir)、カテリニ(Katerini)、サムスン(Samsun)、バスマ・クルモフグラード(Basma and Krumovgrad)、トラブゾン(Trabzon)、テサリアン(Thesalian)、タソバ(Tasova)、シノップ(Sinop)、イズミト(Izmit)、ヘンデック(Hendek)、エダーン(Edirne)、セムディンリ(Semdinli)、アヂヤンマン(Adiyanman)、ヤイラダーグ(Yayladag)、イスカンデラン(Iskenderun)、ダッチェ(Duzce)、マケドニア(Macedonian)、マブラ(Mavra)、プリレップ(Prilep)、バフラ(Bafra)、ブルサ(Bursa)、バッカク(Bucak)、ビトリス(Bitlis)、バリケシア(Balikesir))及び前述の品種のいずれかに本質的に由来する任意の品種から成る群から選択されるオリエンタルタバコのバックグラウンドを有する。
【0038】
いくつかの特徴では、本明細書で開示される低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体、種子、ハイブリッド、品種又は系統は、以下(BU 64、CC 101、CC 200、CC 27、CC 301、CC 400、CC 500、CC 600、CC 700、CC 800、CC 900、コーカー176、コーカー319、コーカー371ゴールド、コーカー48、CU 263、DF911、ガルパオタバコ、GL 26H、GL 350、GL 600、GL 737、GL 939、GL 973、HB 04P、K 149、K 326、K 346、K 358、K394、K 399、K 730、KDH 959、KT 200、KT204LC、KY 10、KY 14、KY 160、KY 17、KY 171、KY 907、KY907LC、KTY14xL8 LC、リトルクリッテンデン、McNair 373、McNair 944、msKY 14xL8、細葉マドール、NC 100、NC 102、NC 2000、NC 291、NC 297、NC 299、NC 3、NC 4、NC 5、NC 6、NC7、NC 606、NC 71、NC 72、NC 810、NC BH 129、NC 2002、ニール・スミスマドール(Neal Smith Madole)、OXFORD 207、ペリク(‘Perique’)タバコ、PVH03、PVH09、PVH19、PVH50、PVH51、R 610、R 630、R 7-11、R 7-12、RG 17、RG 81、RG H51、RGH 4、RGH 51、RS 1410、スペイト168、スペイト172、スペイト179、スペイト210、スペイト220、スペイト225、スペイト227、スペイト234、スペイトG-28、スペイトG-70、スペイトH-6、スペイトH20、スペイトNF3、TI 1406、TI 1269、TN 86、TN86LC、TN 90、TN 97、TN97LC、TN D94、TN D950、TR(トム・ロッソン)マドール、VA 309又はVA359、メリーランド609、HB3307PLC、HB4488PLC、KT206LC、KT209LC、KT210LC、KT212LC、R610LC、PVH2310、NC196、KTD14LC、KTD6LC、KTD8LC、PD7302LC、PD7305LC、PD7309LC、PD7318LC、PD7319LC、PD7312LC、シャーリーLC(ShireyLC))又は当業界で公知の標準的なタバコ育種技術による任意の商業的タバコ品種から本質的に由来するか、又はその遺伝的バックグラウンドを有する。
【0039】
上述の具体的な品種、ダーク空気乾燥バーレイ、メリーランド、ダーク直火乾燥又はオリエンタルタイプはいずれも単に例示の目的で挙げられている。別のダーク空気乾燥バーレイ、メリーランド、ダーク直火乾燥オリエンタル品種もまた全て本出願に包含される。
本明細書に記載のタバコ植物体の植栽群もまた本明細書で提供される。ある特徴では、本明細書に開示のタバコ植物体の植栽群は、4047平方メートル(1エーカー)当たり約5,000から約8,000植物体、約5,000から約7,600、約5,000から約7,200、約5,000から約6,800、約5,000から約6,400、約5,000から約6,000、約5,000から約5,600、約5,000から約5,200、約5,200から約8,000、約5,600から約8,000、約6,000から約8,000、約6,400から約8,000、約6,800から約8,000、約7,200から約8,000、又は約7,600から約8,000植物体の植栽密度を有する。別の特徴では、本明細書に開示のタバコ植物体の植栽群は、低肥沃度から中間肥沃度の土壌タイプに存在する。
本明細書に開示のタバコ植物体の種子の容器もまた本明細書で提供される。本開示のタバコの種子の容器は任意の数、重量又は体積の種子を容れることができる。例えば、容器は、少なくとも又は多くとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、又は4000を超える種子を容れることができる。また別には、容器は、少なくとも又は多くとも約1オンス、5オンス、10オンス、1ポンド、2ポンド、3ポンド、4ポンド、5ポンド、又は5ポンドを超える種子を容れることができる。タバコの種子の容器は当業界で入手できる任意の容器であり得る。非限定的に例示すれば、容器は箱、袋、パケット、ポーチ、テープロール、チューブ、又はビンであり得る。
本明細書に開示の低アルカロイド又は低ニコチンタバコ植物体から製造される乾燥タバコ材料もまた本明細書で提供される。更に提供されるものは、より高い総アルカロイド又はニコチンレベルを有する本明細書に開示のタバコ植物体から製造される乾燥タバコ材料である。
【0040】
“乾燥”は、水分を低下させタバコの葉に黄金色を付与する葉緑素の破壊を生じる熟成過程であり、当該プロセスによってデンプンは糖に変換される。したがって、乾燥タバコは収穫した緑葉より高い還元糖含有量及び低いデンプン含有量を有する。いくつかの特徴では、本明細書で提供する緑葉タバコは、通常の手段(例えば鉄管乾燥、小屋乾燥、直火乾燥、空気乾燥又は天日乾燥)を用いて乾燥させることができる。種々のタイプの乾燥方法については、例えばTso(1999, Chapter 1 in Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford)を参照されたい。乾燥タバコは通常、木製円筒型容器(例えば大樽)又はダンボール箱に圧縮状態で数年間(例えば2から5年間)、10%から約25%の水分含有量で熟成される(米国特許4,516,590及び5,372,149号を参照されたい)。続いて乾燥熟成タバコは更に処理される。更なる処理は、種々の温度の蒸気の導入、殺菌、及び発酵を伴い又は伴わない真空下でのタバコの条件付けを含む。発酵は典型的には、高い初期水分含有量、熱発生、及び乾燥重量の10から20%の低下を特徴とする。例えば以下を参照されたい:米国特許4,528,993、4,660,577、4,848,373、5,372,149号;米国特許公開広報2005/0178398;及びTso(1999, Chapter 1 in Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford)。乾燥熟成及び発酵させたタバコは更に処理される(例えば切断、細切、膨張又はブレンド)。例えば米国特許4,528,993、4,660,577、及び4,987,907号を参照されたい。ある特徴では、本開示の乾燥タバコ材料は天日乾燥される。別の特徴では、本開示の乾燥タバコ材料は鉄管乾燥、空気乾燥又は直火乾燥される。
【0041】
本開示のタバコ系統、品種又はハイブリッドから得られるタバコ材料を用いてタバコ製品を製造できる。本明細書で用いられる“タバコ製品”は、人間による使用又は消費を目的とする、タバコから作られる又はタバコに由来する任意の製品と定義される。
本明細書で提供されるタバコの製品には以下が含まれる(ただしそれらに限定されない):紙巻タバコ製品(例えば紙巻タバコ及びビディ紙巻タバコ)、葉巻製品(例えばシガーラッピングタバコ及びシガリロ)、パイプタバコ製品、タバコに由来する製品、タバコ由来ニコチン製品、無煙タバコ製品(例えば湿性かぎタバコ、乾燥かぎタバコ、及びかみタバコ)、フィルム、チューワブル、タブ、成型パーツ、ゲル、消耗ユニット、不溶性マトリックス、中空形、再構成タバコ、膨張タバコなど。例えば米国特許公開広報US 2006/0191548を参照されたい。
本明細書で用いられる“紙巻きタバコ”は“棒状部”及び“充填物”を有するタバコ製品を指す。紙巻きタバコの“棒状部”は、紙巻きタバコ紙、フィルター、プラグラップ(ろ過材を容れるために用いられる)、先端紙(紙巻きタバコ紙(充填物を含む)をフィルターにつなぐ)、及び全ての接着剤(前記成分をつなぎ合わせる)を含む。“充填物”は以下を含む:(1)全てのタバコ(再構成タバコ及び膨張タバコを含むが、ただしこれらに限定されない)、(2)非タバコ代替物(ハーブ、非タバコ植物材料及び葉巻タバコ紙内に巻き込まれるタバコに付随し得る他のスパイス)、(3)包装材、(4)風味剤、及び(5)全ての他の添加物(タバコ及び代替物中に混合されるか、又は当該紙巻きタバコに巻き込まれる)。
本明細書で用いられる“再構成タバコ”は、タバコの粉及び他のタバコ断片材料から製造し、シート形に加工し、細片に切断してタバコに似せたタバコ充填物の部分を指す。経費節減に加えて、再構成タバコは、アンモニアと糖との反応を用いて風味を発達させるプロセスにより紙巻きタバコに影響を与えるので非常に重要である。
本明細書で用いられる“膨張タバコ”は、タバコを“膨らませ”て密度の低下及びより高い充填能力をもたらすように適切な気体で処理したタバコ充填物の部分を指す。前記は紙巻タバコに用いられるタバコの重量を低下させる。
【0042】
本開示の植物体に由来するタバコ製品にはまた、紙巻きタバコ及び他の喫煙物品、特にフィルターエレメントを含む喫煙物品が含まれ、この場合、喫煙可能物質の棒状部はタバコブレンド内に乾燥タバコを含む。ある特徴では、本開示のタバコ製品は、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、水ぎせるタバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される。別の特徴では、本開示のタバコ製品は無煙タバコ製品である。無煙タバコ製品は燃焼されず、前記にはかみタバコ、湿性無煙タバコ、スヌース、乾燥かぎタバコが含まれるが、ただしこれらに限定されない。かみタバコは粗く分割されたタバコの葉で、典型的には大きなポーチ様パッケージとして包装され、板状物又は撚り紐状として用いられる。湿性無煙タバコは湿り気を有するより細かく分割されたタバコで、非固定形又はポーチ形で提供され、典型的には円形缶に詰められ、成人のタバコ消費者の頬と歯茎の間に一つまみ又1ポーチを置いて用いられる。スヌースは熱処理した無煙タバコである。乾燥かぎタバコは、細かくすり潰されたタバコで、口内に置くか又は経鼻的に用いられる。更に別の特徴では、本開示のタバコ製品は、ルーズリーフかみタバコ、板状かみタバコ、湿性かぎタバコ、及び経鼻かぎタバコから成る群から選択される。なお別の特徴では、本開示のタバコ製品は電子加熱シガレット、e-シガレット、電子的気化装置から成る群から選択される。
【0043】
ある特徴では、本開示のタバコ製品はブレンドされたタバコ製品であり得る。別の特徴では、本開示のタバコ製品は低ニコチンタバコ製品であり得る。更に別の特徴では、本開示のタバコ製品は、ノルニコチンを約3mg/g未満のレベルで含むことができる。例えば、そのような製品のノルニコチン含有量は、3.0mg/g、2.5mg/g、2.0mg/g、1.5mg/g、1.0mg/g、750μg/g、500pg/g、250pg/g、100pg/g、75pg/g、50pg/g、25pg/g、10pg/g、7.0pg/g、5.0pg/g、4.0pg/g、2.0pg/g、1.0pg/g、0.5pg/g、0.4pg/g、0.2pg/g、0.1pg/g、0.05pg/g、0.01pg/gであるか、又は検出不能である。
いくつかの特徴では、本明細書で提供される乾燥タバコ材料又はタバコ製品は、乾燥重量基準で約0.01%、0.02%、0.05%、0.75%、0.1%、0.15%、0.2%、0.3%、0.35%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4%、5%、6%、7%、8%、及び9%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。他の特徴では、本明細書で提供される乾燥タバコ材料又はタバコ製品は、約0.01%から0.02%、0.02%から0.05%、0.05%から0.75%、0.75%から0.1%、0.1%から0.15%、0.15%から0.2%、0.2%から0.3%、0.3%から0.35%、0.35%から0.4%、0.4%から0.5%、0.5%から0.6%、0.6%から0.7%、0.7%から0.8%、0.8%から0.9%、0.9%から1%、1%から1.1%、1.1%から1.2%、1.2%から1.3%、1.3%から1.4%、1.4%から1.5%、1.5%から1.6%、1.6%から1.7%、1.7%から1.8%、1.8%から1.9%、1.9%から2%、2%から2.1%、2.1%から2.2%、2.2%から2.3%、2.3%から2.4%、2.4%から2.5%、2.5%から2.6%、2.6%から2.7%、2.7%から2.8%、2.8%から2.9%、2.9%から3%、3%から3.1%、3.1%から3.2%、3.2%から3.3%、3.3%から3.4%、3.4%から3.5%、及び3.5%から3.6%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。更に別の特徴では、本明細書で提供される乾燥タバコ材料又はタバコ製品は、乾燥重量基準で約0.01%から0.1%、0.02%から0.2%、0.03%から0.3%、0.04%から0.4%、0.05%から0.5%、0.75%から1%、0.1%から1.5%、0.15%から2%、0.2%から3%、及び0.3%から3.5%から成る群から選択される平均ニコチンレベルを含む。
【0044】
本開示はまた、所望レベルの総アルカロイド又はニコチンを含む(例えば低ニコチン又は無ニコチンの)タバコの系統、栽培品種又は品種を交配する方法を提供する。交配は任意の公知の手順により実施できる。DNAフィンガープリント、SNPマッピング、ハプロタイプマッピング、又は同様な技術をマーカー補助選別(MAS)交配プログラムで用いて、所望の形質又は対立遺伝子をタバコの植物体に移転するか又は交配することができる。例えば、育種者は、F2で分離集団を作出するか、又は本明細書に開示するF1ハイブリッド植物体を用いて若しくは当該F1ハイブリッド植物体を農学的に望ましい遺伝子型をもつ他のドナー植物体と交配して戻し交配世代で分離集団を作出できる当業界で公知の技術又は本明細書に挙げる技術を用いて、当該F2又は戻し交配世代の植物体を所望の農学的形質について、又は所望の化学的プロフィールについてスクリーニングすることができる。予測される遺伝パターン又は用いたMAS技術に応じて、所望の個々の植物体の特定を促進するために各戻し交配サイクルの前に選別植物体の自家受粉を実施できる。戻し交配又は他の育種手順は、反復親の所望の表現型が回収されるまで繰り返すことができる。本開示の反復親は鉄管乾燥品種、バーレイ品種、ダーク空気乾燥品種、ダーク直火乾燥品種、又はオリエンタル品種であり得る。他の交配技術は、例えば以下の文献で見出すことができる:Wernsman, E. A., and Rufty, R. C. 1987. Chapter Seventeen. Tobacco. Pages 669-698;Cultivar Development. Crop Species. W. H. Fehr (ed.), MacMillan Publishing Go., Inc., New York, N.Y.(前記文献は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
【0045】
本明細書に記載のタバコ植物体を用いる植物育種プログラムの結果は、本開示の有用な系統、栽培品種、品種、子孫、インブリード、及びハイブリッドを含む。本明細書で用いられる“品種”という用語は、植物体を同じ種の植物体から区別する不変の特徴を共有する植物体の集団を指す。変種はしばしば(常にというわけではないが)商業的に販売される。1つ以上の明確な形質を保有しながらも、品種は更に当該品種内の個体間における小さな全体的な変動を特徴とする。“純系”品種は、数世代の自家受粉及び選別によって、又は組織若しくは細胞培養技術を用いる単一の親の栄養繁殖によって作出できる。品種は別の系統又は品種から本質的に派生させることができる。植物新品種保護国際条約によって定義されるように(1972年11月10日、1978年10月23日及び1991年5月19日ジュネーブで改正)、品種は、下記a、b及びcの場合に最初の品種から“本質的に派生”する:a)最初の品種から又は最初の品種から主として派生した品種から主として派生し、一方、最初の品種の遺伝子型又は遺伝子型の組合せから生じる本質的な特徴の発現を維持している;b)最初の品種とは明瞭に区別できる;及びc)派生の作用から生じる相違を除いて、最初の品種の遺伝子型又は遺伝子型の組合せから生じる本質的な特徴の発現で最初の品種と一致する。本質的派生品種は、例えば、天然若しくは誘導変異体の選別、体細胞クローン変種、最初の品種の植物体に由来する変種個体、戻し交配、又は形質転換によって入手できる。最初のタバコ品種及び最初のタバコ品種が本質的に派生した第二のタバコ品種は、本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを有すると考えられる。品種と区別される“系統”は、ほとんどの場合、非商業的に(例えば植物研究で)用いられる植物のグループを指す。系統は、典型的には1つ以上の問題の形質について個体間の全体的変動をほとんど示さないが、ただし他の形質については個体間でいくつかの変動が存在し得る。
【0046】
いくつかの特徴では、本開示はタバコの品種に低ニコチン形質を遺伝子移入する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコ品種を低ニコチン形質のない第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を作出する工程;(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を当該低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型を決定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表3に挙げた多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされるか、又は表4に挙げた多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされる染色体間隔に存在する);及び(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。他の特徴では、これらの方法は更に、当該選別子孫タバコ植物体を第二のタバコ品種と戻し交配する工程を含む。更に別の特徴では、これらの方法は更に以下の工程を含む:(d)当該選別子孫植物体をそれ自体又は第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の更に別の子孫タバコ植物体を作出する工程;及び(e)低ニコチン形質を含む更に別の子孫タバコ植物体を選別する工程。いくつかの特徴では、選別工程(e)はマーカー補助選別を含む。いくつかの特徴では、これらの方法は低ニコチン形質を含む単一遺伝子変換をもたらす。いくつかの特徴では、これらの方法は、Nic1遺伝子移入を含む単一遺伝子変換をもたらす。いくつかの特徴では、当該第二のタバコ品種はエリート品種である。他の特徴では、これらの方法の遺伝子型決定工程は1つ以上の分子マーカーアッセイを必要とする。他の特徴では、この方法で用いられる多形性マーカーは以下から成る群から選択される多形を含む:単一ヌクレオチド多形(SNP)、DNA配列における挿入又は欠失(インデル)、DNA配列の単純配列繰返し(SSR)、制限フラグメント長多形(RFLP)、及びタグSNP。他の特徴では、選別子孫植物体は、Nic1遺伝子座でLA Burey 21と比較して短い染色体欠失を含む。
他の特徴では、本開示はタバコの品種に低ニコチン形質を遺伝子移入する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコ品種を低ニコチン形質のない第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を作出する工程;(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を当該低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型を決定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表3及び表4に挙げた多形性遺伝子座のいずれか1つの20cM内に存在する);及び(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。いくつかの特徴では、この方法は、Nic1遺伝子座に随伴するか若しくは緊密に連鎖する1つ以上の分子マーカーとともに、Nic2遺伝子座に随伴するか若しくは緊密に連鎖する1つ以上の分子マーカーについて同時に又は並行して選別する工程を含む。
【0047】
いくつかの特徴では、本開示は低ニコチン形質を有するタバコ植物体を選別する方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む:(a)タバコの生殖細胞質の収集物から核酸を単離する工程;(b)当該核酸をNic1遺伝子座と緊密に連鎖する1つ以上のマーカーについてアッセイする工程;及び(c)当該マーカーアッセイに基づいて低ニコチン形質を有するタバコ植物体を選別する工程。いくつかの特徴では、アッセイされるNic1遺伝子座と緊密に連鎖する1つ以上のマーカーは、表3に挙げた多形性遺伝子座のいずれか1つの約20cM、10cM、5cM、4cM、3cM、2cM、1cM、0.5cM、又は0.5cM未満内に存在する。他の特徴では、この方法は更に、Nic2遺伝子座に緊密に連鎖する1つ以上のマーカーについてアッセイする工程を含む。いくつかの特徴では、アッセイされるNic2遺伝子座と緊密に連鎖する1つ以上のマーカーは、表4に挙げた多形性遺伝子座のいずれか1つの約20cM、10cM、5cM、4cM、3cM、2cM、1cM、0.5cM、又は0.5cM未満内に存在する。いくつかの特徴では、この方法は更に、選別植物体のニコチンレベルを測定して低ニコチン形質を確認する工程を含む。
本明細書に開示されるものはまた、タバコの品種に低ニコチン形質を遺伝子移入する方法であり、前記方法は以下の工程を含む:(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコ品種を低ニコチン形質のない第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を作出する工程;(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を当該低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型を決定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表4に挙げた多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされる染色体間隔に存在する);及び(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。いくつかの特徴では、これらの方法は低ニコチン形質を含む単一遺伝子変換をもたらす。いくつかの特徴では、これらの方法はNic2遺伝子導入を含む単一遺伝子変換をもたらす。いくつかの特徴では、第二のタバコ品種はエリート品種である。他の特徴では、これらの方法の遺伝子型決定工程は1つ以上の分子マーカーアッセイを必要とする。他の特徴では、この方法で用いられる多形性マーカーは以下から成る群から選択される多形を含む:単一ヌクレオチド多形(SNP)、DNA配列における挿入又は欠失(インデル)、DNA配列の単純配列繰返し(SSR)、制限フラグメント長多形(RFLP)、及びタグSNP。他の特徴では、選別子孫植物体は、Nic2遺伝子座でLA Burey 21と比較して短い染色体欠失を含む。
【0048】
本明細書で用いられる“遺伝子座”は、多形性核酸、形質決定基、遺伝子、又はマーカーが位置する染色体領域である。本開示の遺伝子座はある集団の1つ以上の多形を含む。すなわち例えて言えば、また別の対立遺伝子がいくつかの個体に存在する。本明細書で用いられる“対立遺伝子”は、個別の遺伝子座におけるまた別の核酸配列を指す。対立遺伝子の長さは、1ヌクレオチド塩基程度に短いこともあるが典型的にはもっと長い。例えば、第一の対立遺伝子は1つの染色体上に存在するが、第二の対立遺伝子は第二の相同染色体上に存在でき、前記は、例えばヘテロ接合性個体の別個の染色体について、又はある集団の別個のホモ接合個体又はヘテロ接合個体間について生じる。本明細書で用いられる“染色体間隔”という用語は、単一染色体上に存在するゲノムDNAの連続する直線的全長を指す。
本明細書で用いられるセンチモルガン(“cM”)は、組換え頻度の測定単位である。1cMは、1つの遺伝子座位のあるマーカーが交差乗換えのために一世代で第二の遺伝子座のマーカーから分離される1%の可能性に等しい。本明細書で言う遺伝距離はKosambi関数を用いて組換え値から計算できる(Kosambi, The estimation of map distances from recombination values. Annals of Eugenics, 12:172-75, 1944)。
本明細書で用いられる“~と緊密に連鎖する”又は“~に随伴する”は、マーカー又は遺伝子座が、別のマーカー又は遺伝子座の約20cM、10cM、5cM、1cM、0.5cM、又は0.5cM未満内に存在することを意味する。例えば、20cMは、当該マーカー又は遺伝子座間の組換えが約20%以下の頻度を有することを意味する。
【0049】
本明細書で用いられる“遺伝子移入”又は“遺伝子移入する”は、1つの遺伝的バックグラウンドから別の遺伝的バックグラウンドへのある遺伝子座位の所望の対立遺伝子の移転を指す。
本明細書で用いられる“交配する”又は“交配”は、受精による子孫(例えば細胞、種子又は植物体)の作出を意味し、植物間交配(有性)及び自家受粉(自殖)を含む。
本明細書で用いられる“戻し交配する”又は“戻し交配”は、子孫植物がその親の1つと繰返し交配されるプロセスを指す。戻し交配スキームでは、“ドナー”親は、遺伝子移入されるべき所望遺伝子又は遺伝子座を有する親植物を指す。“レシピエント”親(1回以上用いられる)又は“反復”親(2回以上用いられる)は、その遺伝子又は遺伝子座に遺伝子移入される親植物体を指す。最初の交配はF1世代を生じる。“BC1”という用語は反復親の2回目の使用を指し、“BC2”は反復親の3回目の使用を指し、以下同様である。いくつかの特徴では、戻し交配は繰返し実施され、連続する戻し交配世代の各々の子孫個体それ自体が同じ親遺伝子型と戻し交配される。
本明細書で用いられる“単一遺伝子が変換される”又は“単一遺伝子変換”は、戻し交配として公知の植物育種技術を用いて又は遺伝子操作を介して育成される植物を指し、ここで、戻し交配又は遺伝子操作を介して品種に移転された単一遺伝子に加えて、品種の所望の形態学的及び生理学的特徴の本質的に全てが回収される。
本明細書で用いられる“エリート品種”は、優れた農業生産力を目指す交配及び選別から得られた任意の品種を意味する。
本明細書で用いられる、マーカー補助選別又は育種の関係における“選別する”又は“選別”は、所望の個体を通常は集団から予め定めた基準に基づいてピックアップ又は選択する行為を指す。
本明細書で用いられる“形質”という用語は、遺伝子型によって影響を受ける1つ以上の検出可能な細胞又は生物の特徴を指す。表現型は、裸眼又は当業界で公知の他の任意の評価手段(例えば顕微鏡法、生化学的分析、遺伝子型分析、個別の耐病性についてのアッセイなど)で観察することができる。いくつかの事例では、表現型は、単一遺伝子又は遺伝子座位によって直接制御できる(例えば“単一遺伝子形質”)。他の事例では、表現型はいくつかの遺伝子の成果である。
【0050】
本明細書で用いられる“マーカーアッセイ”は、特定の方法を用いて特定の遺伝子座の多形を検出する方法を意味する。前記方法は、例えば少なくとも1つの表現型(例えば種子の色、花の色、又は他の視覚で検出できる形質)の測定、制限フラグメント長多形(RFLP)、単一塩基伸長、電気泳動、配列アラインメント、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)、ランダム増幅多形性DNA(RAPD)、マイクロアレー系技術、及び核酸配列決定技術などである。
本明細書で用いられる“マーカー補助選別”(MAS)は、表現型がマーカー遺伝子型に基づいて選別されるプロセスである。“マーカー補助選別育種”は、植物の1つ以上の核酸を検出することによって1つの植物(又は複数の植物)の所望される1つの形質(又は複数の形質)を選別し(ここで当該核酸は所望の形質と連鎖する)、続いてそれら1つ以上の核酸を保持する植物又は生殖細胞質を選別するプロセスを指す。
本明細書で用いられる“多形”はある集団における1つ以上の変動の存在を意味する。多形は、核酸のヌクレオチド配列の変動として、又はタンパク質のアミノ酸配列の変動として顕在化し得る。多形は、1つ以上の個体の集団の1つ以上の遺伝子座の核酸配列又は核酸配列の特色の1つ以上の変動の存在を含む。変動は、1つ以上のヌクレオチド塩基変化、1つ以上のヌクレオチドの挿入、又は1つ以上のヌクレオチドの欠失を含むことができるが、ただしこれらに限定されない。多形は、核酸複製時のランダムなプロセスから(変異誘導を介する移動性ゲノム成分の成果として)、コピー数変動から、及び減数分裂の最中に(例えば不均等な交差乗換え、ゲノム複製及び染色体切断及び融合)生じ得る。変動は通常的に見出すことができ、集団において低頻度で存在し得る。前者は一般的な植物育種で極めて有用であり、後者は、希少であるが重要な表現型変動に密接に関係することがある。有用な多形には、単一ヌクレオチド多形(SNP)、DNA配列の挿入又は欠失(インデル)、DNA配列の単純配列繰返し(SSR)、制限フラグメント長多形(RFLP)、及びタグSNPが含まれ得る。遺伝子マーカー、遺伝子、DNA由来配列、RNA由来配列、プロモーター、遺伝子の5’非翻訳領域、遺伝子の3’非翻訳領域、ミクロRNA、siRNA、耐性遺伝子座、サテライトマーカー、トランスジーン、mRNA、ds mRNA、転写プロフィール、及びメチル化パターンもまた多形を含むことができる。加えて、上述のもの存在、欠如、又はコピー数における変動は多形を構成する。
本明細書で用いられる“SNP”又は“単一ヌクレオチド多形”は、ゲノム配列で単一ヌクレオチド(A、T、C、又はG)が変化するか又は可変であるときに生じる配列変動を意味する。“SNPマーカー”は、SNPがゲノム上の位置にマッピングされたときに存在する。
【0051】
本明細書で用いられる“マーカー”又は“分子マーカー”又は“マーカー遺伝子座”は、ゲノム上の具体的な遺伝子座を特徴づけるために十分に固有である核酸又はアミノ酸配列を指示するために用いられる用語である。任意の検出可能な多形性形質は、それが弁別的に継承され、問題の表現型形質との連鎖不均衡を示す限りマーカーとして用いることができる。各マーカーはしたがって特異的DNAセグメントの指標であり、固有のヌクレオチド配列を有する。マップ位置は、互いに個別のマーカーの相対的位置の測定を提供する。ある形質が与えられたマーカーと連鎖するというとき、その配列が当該形質に影響を与える実際のDNAセグメントは概ね当該マーカーと一緒に分離されることは理解されるであろう。形質のより厳密で明確な位置決定は、マーカーが当該形質の両側で特定される場合に達成できる。交配子孫でマーカーの出現を測定することによって、形質そのものの出現を実際に評価することなく当該形質の存在を比較的単純な分子的試験によって検出できる(形質の存在を実際に評価することは、それが当該形質を発現できるステージまで及び/又は環境条件下で植物を生長させることを必要とするために困難でありかつ時間を要する)。いくつかの特徴では、本明細書で用いられるマーカーは、当業界で公知の方法(例えばQgeneバージョン2.23(1996))及びデフォルトパラメーターを用いて測定したとき、本明細書に開示するNic1又はNic2遺伝子座に関して2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、又は9以上のLODスコアを示す。
【0052】
ある特徴では、本開示はタバコ植物体又はその部分を提供し、前記は、Nic1マーカー1番から207番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、又は前記第一及び前記第二の染色体欠失の両方を含み、ここで前記タバコの植物体は、USDA等級指標値50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、又は95以上を有する葉を産出することができる。別の特徴では、タバコ植物体は、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む。ある特徴では、更に、本パラグラフのタバコ植物の集団、前記から製造される乾燥タバコ材料、前記乾燥タバコ材料を含むタバコのブレンド、及び乾燥タバコ材料を含むタバコ製品が提供される。
別の特徴では、本開示はタバコの植物体又はその部分を提供し、前記は、Nic1マーカー1番から207番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、及び前記第一及び前記第二の染色体欠失の両方から成る群から選択される変異を含み、ここで、前記タバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体は、前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する。ある特徴では、タバコ植物体は、同様な生育条件で生長させたときの前記コントロール植物体のニコチンレベルの1%未満、2%未満、5%未満、8%未満、10%未満、12%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満のレベルのニコチンを含む。ある特徴では、更に、本パラグラフのタバコ植物の集団、前記から製造される乾燥タバコ材料、前記乾燥タバコ材料を含むタバコのブレンド、及び乾燥タバコ材料を含むタバコ製品が提供される。
【0053】
ある特徴では、第一の染色体欠失は、Nic1マーカーの1番から20番、21から40、41から60、61から80、81から100、101から120、121から140、141から160、161から180、181から200、又は201番から207番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない。別の特徴では、第一の染色体欠失は、Nic1マーカーの1番から10番、11から20、21から30、31から40、41から50、51から60、61から70、71から80、81から90、91から100、111から120、121から130、131から140、141から150、151から160、161から170、171から180、181から190、191から200、又は201番から207番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない。
ある特徴では、第二の染色体欠失は、Nic2マーカーの1番から20番、21から40、41から60、61から80、81から100、101から120、121から140、141から160、161から180、181から200、201から220、221から240、241から260、261から280、281から300、301から320、又は321番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない。別の特徴では、第二の染色体欠失は、Nic2マーカーの1番から10番、11から20、21から30、31から40、41から50、51から60、61から70、71から80、81から90、91から100、111から120、121から130、131から140、141から150、151から160、161から170、171から180、181から190、191から200、又は201から210、211から220、221から230、231から240、241から250、251から260、261から270、271から280、281から290291から300、301から310、311から320、321から330、又は331番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない。
【0054】
本開示のタバコ植物体はいずれも、例えば遺伝的構築物又はトランスジーンによる形質転換によって当業界で公知の技術を用い、追加の農学的に所望される形質を更に含むことができることは理解されるであろう。所望される形質の例は、除草剤耐性、農薬耐性、耐病性;高収量;葉の品質;高さ、植物体の成熟(例えば初期の成熟、初期から中期の成熟、中期の成熟、又は中期から後期の成熟);茎のサイズ(例えば細い、中間的、又は太い茎);又は植物体当たりの葉の数(例えば葉の数が少ない(5-10枚)、中間(例えば11-15枚)、又は多い(例えば16-21枚));又は前記の組み合わせであるが、ただしこれらに限定されない。いくつかの特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ植物体又は種子は、1つ以上の殺虫タンパク質(例えばバシルス・チューリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)の結晶タンパク質又はバシルス・セレウス(Bacillus cereus)由来の植物性殺虫タンパク質(例えばVIP3))を発現する1つ以上のトランスジーンを含む(例えば以下を参照されたい:Estruch et al.,1997, Nat. Biotechnol.15:137)。他の特徴では、本明細書に開示するタバコ植物体は更に、落葉病耐性(U.S. Pat. No. 5,689,035)又はシスト線虫耐性(U.S. Pat. No. 5,491,081)を付与する遺伝子移入形質を含む。
【0055】
本開示はまた、ニコチンレベルは変化するが、そのようなニコチンレベルの変化が存在しない対応する最初のタバコ植物体の収量に匹敵する収量を有するタバコ植物体を提供する。ある特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は、約1200から3500ポンド/エーカー、1300から3400、1400から3300、1500から3200、1600から3100、1700から3000、1800から2900、1900から2800、2000から2700、2100から2600、2200から2500、及び2300から2400ポンド/エーカーから成る群から選択される収量を提供する。別の特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は、約1200から3500ポンド/エーカー、1300から3500、1400から3500、1500から3500、1600から3500、1700から3500、1800から3500、1900から3500、2000から3500、2100から3500、2200から3500、2300から3500、2400から3500、2500から3500、2600から3500、2700から3500、2800から3500、2900から3500、3000から3500、及び3100から3500ポンド/エーカーから成る群から選択される収量を提供する。更に別の特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ植物体は、本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを有する(Nic1変異、Nic2変異、Nic1トランスジーン、Nic2トランスジーン又は前記の組み合わせを除く)コントロール植物体の収量の65%から130%、70%から130%、75%から130%、80%から130%、85%から130%、90%から130%、95%から130%、100%から130%、105%から130%、110%から130%、115%から130%、又は120%から130%の収量を提供する。更に別の特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ植物体は、本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを有する(Nic1変異、Nic2変異、Nic1トランスジーン、Nic2トランスジーン又は前記の組み合わせを除く)コントロール植物体の収量の70%から125%、75%から120%、80%から115%、85%から110%、又は90%から100%の収量を提供する。
【0056】
ある特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は機械収穫に順化される。別の特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は機械的に収穫される。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ植物体はハイブリッド植物である。ハイブリッドは以下によって作出される:第一の品種の雌性親植物体の(例えば種子の親)自家受粉を防止し、第二の品種の雄性親植物体由来の花粉を受容させて雌性親植物体を受粉させ、F1ハイブリッド種子を雌性植物体上で形成させる。雌性植物体の自家受粉は、花の発育の初期に花から除雄することによって防止できる。また別には、花粉形成は、雄性不稔の形により雌性親植物体で防止することができる。例えば雄性不稔は、雄性不稔(MS)、又はトランスジェニック雄性不稔(この場合トランスジーンは小胞子形成及び/又は花粉形成を阻害する)、又は自家不和合性によって作出できる。MSを含む雌性親植物体は特に有用である。雌性親植物体がMSである場合には、花粉は雄性稔性植物体から収穫でき、手動でMS雌性親植物体の柱頭に適用して、得られたF1種子を採集できる。
単一交配タバコF1ハイブリッドを作るために植物体を用いることができる。除雄した雌性親植物体又は雄性不稔雌性親植物体に雄性親植物体の花粉を手動で移してF1種子を形成する。また別には、三系交雑を実施でき、この場合単一交配F1ハイブリッドが雌性親植物体として用いられて異なる雄性親と交配される。別の選択肢として、二重交配ハイブリッドを作出することができ、この場合は2つの異なる単一交配のF1子孫がそれら自身と交配される。自家不和合性を具体的利点のために用いて、二重交配ハイブリッド形成時に雌性親の自家受粉を防止できる。
ある特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は雄性不稔である。別の特徴では、本明細書に開示する低ニコチン又は無ニコチンタバコ品種は細胞質雄性不稔である。雄性不稔タバコ植物体は当業界で任意の方法によって作出できる。雄性不稔タバコを作出する方法は以下に記載されている:Wernsman, E. A., and Rufty, R. C. 1987. Chapter Seventeen. Tobacco. Pages 669-698 In: Cultivar Development. Crop Species. W. H. Fehr (ed.), MacMillan Publishing Go., Inc., New York, N.Y. 761 pp。
【0057】
更に別の特徴では、本明細書で提供されるタバコの部分には葉、幹、根、種子、花、花粉、葯、胚珠、小花柄、果実、分裂組織、子葉、胚軸、莢、胚、内乳、外植片、カルス、組織培養、シュート、細胞及びプロトプラストが含まれるが、ただしこれらに限定されない。ある特徴では、本明細書で提供されるタバコの部分は種子を含まない。ある特徴では、本開示は、生殖材料ではなくかつ植物の天然の生殖を媒介しないタバコ植物体の細胞、組織、及び器官を提供する。別の特徴では、本開示はまた、生殖材料であり植物の天然の生殖を媒介するタバコ植物体の細胞、組織、及び器官を提供する。別の特徴では、本開示は、光合成を介してそれら自身を維持することができないタバコ植物体の細胞、組織、及び器官を提供する。別の特徴では、本開示は、体細胞性タバコ植物体細胞を提供する。体細胞性細胞は、生殖系列細胞とは対照的に植物の生殖を媒介しない。
提供される細胞、組織及び器官は、種子、果実、葉、子葉、胚軸、分裂組織、胚、内乳、根、シュート、幹、莢、花、花序、茎、小花柄、花柱、柱頭、花托、花弁、萼片、花粉、葯、花糸、子房、胚珠、果皮、篩部、維管束組織に由来し得る。別の特徴では、本開示はタバコ植物体の葉緑体を提供する。更に別の特徴では、本開示は、表皮細胞、気孔細胞、葉毛又は根毛、貯蔵根、又は塊茎を提供する。
当業者は、タバコの植物体は天然には無性生殖又は栄養生殖ではなく種子を介して繁殖することを理解していよう。ある特徴では、本開示はタバコの内乳を提供する。別の特徴では、本開示はタバコの内乳細胞を提供する。更に別の特徴では、本開示は雄性又は雌性不稔タバコ植物体を提供する(前記は人間の介入がなければ繁殖できない)。
【0058】
いくつかの特徴では、本開示は、配列番号:9から48、75から82、86から115、及び131から146、並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を含む核酸分子を提供する。他の特徴では、本開示は、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145、146、及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を含む核酸分子を提供する。いくつかの特徴では、本開示は、配列番号:49から68,116から130、及び147から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一性を含むポリペプチド又はタンパク質を提供する。他の特徴では、本開示は、配列番号:49から68,116から130、及び147から成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%配列類似性を含むポリペプチド又はタンパク質を提供する。他の特徴では、本開示は、配列番号:49から68,116から130、及び147から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する、生物学的に活性なタンパク質変種を提供する。本開示の生物学的に活性なタンパク質変種は、わずか1-15アミノ酸、わずか10アミノ酸、わずか9、わずか8、わずか7、わずか6、わずか5、わずか4、わずか2、又はわずか1アミノ酸だけ当該タンパク質と相違する。本明細書ではまたNic1遺伝子座の遺伝子又はタンパク質のオーソロガス遺伝子又はタンパク質が提供される。“オーソローグ”は共通の祖先遺伝子に由来する遺伝子であり、前記は種の分化の結果として別個の種で見いだされる。オーソローグは、ヌクレオチド配列レベル及び/又はタンパク質配列レベルで少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は前記を超える配列同一性若しくは類似性を共有し得る。オーソローグの機能はしばしば種の間で高度に保存される。
【0059】
本明細書で用いられる、2つのポリヌクレオチド又はポリペプチドの関係における“配列同一性”又は“同一性”は、指定の比較ウインドウにわたって最大一致を得るようにアラインメントしたときに同じである2つの配列の残基を言う。タンパク質に関して配列同一性のパーセンテージが用いられるときは、同一ではない残基の位置は保存的アミノ酸置換によってしばしば相違する(保存的置換では、アミノ酸残基は同様な化学的特性(例えば荷電又は疎水性)を有する他のアミノ酸で置換され、したがって当該分子の機能的特性を変化させない)。配列が保存的置換で相違するとき、パーセント配列同一性は、当該置換の保存的性質を補正するために上方修正することができる。そのような保存的置換によって相違する配列は、“配列類似性”又は“類似性”を有すると言う。
本明細書で提供される核酸分子、ポリペプチド、又はタンパク質は単離又は実質的に精製され得る。“単離”又は“精製”核酸分子、ポリペプチド、タンパク質、又はその生物学的に活性な部分は、それらが天然に存在する環境で見いだされる当該ポリヌクレオチド又はタンパク質に通常随伴するか又は相互作用する成分を実質的に又は本質的に含まない。例えば、単離又は精製ポリヌクレオチド又はタンパク質は、組み換え技術によって生成されるときは他の細胞性物質又は培地を実質的に含まず、或いは化学的に合成されるときは化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。
【0060】
本開示は更に、本明細書に開示するタバコ植物体由来のタバコの材料を含むタバコ製品を製造する方法を提供する。いくつかの特徴では、本明細書に開示する方法は以下の工程を含む:本明細書に開示するタバコ植物体から製造される熟成タバコ材料を条件付けして、約12.5%から約13.5%の間の水分含有量を約21%に増加させる工程、当該条件付けタバコ材料をブレンドして所望のブレンドを作製する工程。ある特徴では、本明細書に開示するタバコ製品を製造する方法は更に当該ブレンドをケーシング又は風味剤処理する工程を含む。一般的には、ケーシングプロセスの間に、ブレンドにケーシング又はソース材料を添加してその化学的組成を均衡させることによってブレンドの品質を強化し、ある種の所望風味特質を発生させる。ケーシングプロセスについての更なる詳細は以下の文献で見出すことができる:Tobacco Production, Chemistry and Technology, Edited by L. Davis and M. Nielsen, Blackwell Science, 1999。
本明細書で提供されるタバコ材料はまた、以下を含む(ただし記載のものに限定されない)方法を用いて加工できる:熱処理(例えば加熱、トースティング)、風味剤処理、酵素処理、膨張及び/又は乾燥。発酵タバコ及び非発酵タバコの両方をこれらの技術により加工できる。適切な加工タバコの例には、ダーク空気乾燥、ダーク直火乾燥タバコ、バーレイ、鉄管乾燥タバコ、及び葉巻フィラー又はラッパーとともに全葉のステミング操作から得られた製品が含まれる。いくつかの特徴では、タバコの線維は新鮮重量基準で70%までのダークタバコを含む。例えば、タバコは、米国特許公開広報2004/0118422又は2005/0178398に記載されるように加熱、発酵及び/又は殺菌工程によって条件付けできる。
【0061】
本明細書で提供されるタバコ材料は発酵させることができる。発酵工程は、典型的には初めの高水分含有量、熱発生、及び乾燥重量の10から20%の低下を特徴とする(例えば米国特許4,528,993、4,660,577、4,848,373及び5,372,149号を参照されたい)。葉の芳香の修正に加えて、発酵は葉の色及び手触りの一方又は両方に変化を与えることができる。更に発酵プロセスの間に、ガス発生が生じ、酸素が取り込まれ。pHが変化し、保持水分が変化し得る。例えば以下を参照されたい:米国特許公開広報2005/0178398及びTso(1999, Chapter 1 in Tobacco, Production, Chemistry and Technology, Davis & Nielsen, eds., Blackwell Publishing, Oxford)。乾燥又は乾燥発酵タバコは更に、口中製品に取り込む前に加工することができる(例えば切断、膨張、ブレンド、すり潰し又は粉砕)。いくつかの事例では、タバコはロングカット発酵乾燥湿性タバコで、前記は、コポリマー並びに場合によって香料及び他の添加剤と混合する前に48から50重量パーセントのオーブン揮発物含有量を有する。
いくつかの特徴では、本明細書で提供されるタバコ材料は所望のサイズに加工される。ある種の特徴では、タバコの線維は200マイクロメートル未満の平均線維サイズに加工される。いくつかの特徴では、タバコの線維は75から125マイクロメートルである。他の特徴では、タバコの線維は75マイクロメートル以下のサイズを有するように加工される。いくつかの特徴では、タバコの線維はロングカットタバコを含み、前記は、幅が約10カット/インチから約110カット/インチ以下、及び長さが約0.1インチから約1インチ以下に切断又は細切され得る。二重カットタバコ線維は、二重カットタバコ線維の約70%が-20メッシュ及び80メッシュのメッシュサイズの間を通過する粒子サイズ範囲を有することができる。
本明細書で提供されるタバコ材料は、重量で約10%以上、重量で約20%以上、重量で約40%以上、重量で約15%から約25%、重量で約20%から約30%、重量で約30%から約50%、重量で約45%から約65%、重量で約50%から約60%の総オーブン揮発物含有量を有するように加工できる。“湿性”タバコは、典型的には重量で約40%から重量で約60%(例えば重量で約45%から約55%、又は重量で約50%)のオーブン揮発物含有量を有するタバコを指すことは当業者には理解されよう。本明細書で用いられる“オーブン揮発物”は、サンプルを予熱した強制通風炉で110℃、3.25時間乾燥後のサンプルの重量低下のパーセンテージを計算することによって決定できる。口中製品は、当該口中製品を製造するために用いられるタバコ線維のオーブン揮発物含有量とは異なる全体的オーブン揮発物含有量を有することができる。本明細書に記載の加工工程はオーブン揮発物含有量を低下又は増加させることができる。
【0062】
以下のパラグラフは例示的実施態様のリストを提供する。
実施態様1.Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異又は両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコの植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、前記タバコの植物体又はその部分。
実施態様2.前記タバコの植物体が、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上から成る群から選択されるUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、実施態様1のタバコの植物体又はその部分。
実施態様3.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が前記変異を除いて前記タバコの植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する、実施態様1のタバコの植物体又はその部分。
実施態様4.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が、前記変異を除いて前記タバコの植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する、実施態様1のタバコの植物体又はその部分。
実施態様6.前記タバコの植物体が、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む、実施態様1のタバコの植物体又はその部分。
実施態様7.前記タバコの植物体が更に、PMT、MPO、QPT、BBL、A622、及びMATEトランスポーターから成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を直接抑制するトランスジーン又は変異を含む、実施態様1のタバコの植物体又はその部分。
実施態様8.Nic1遺伝子座の変異、Nic2遺伝子座の変異、又は両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が、前記変異を除いて前記タバコの植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
実施態様9.前記タバコの植物体が、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上から成る群から選択されるUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、実施態様8のタバコの植物体又はその部分。
【0063】
実施態様10.前記タバコの植物体が、前記コントロール植物体の等級指標の少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、実施態様8のタバコの植物体又はその部分。
実施態様11.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記コントロール植物のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下のレベルのニコチンを含む、実施態様8のタバコの植物体又はその部分。
実施態様12.前記タバコの植物体が更に、PMT、MPO、QPT、BBL、A622、及びMATEトランスポーターから成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を直接抑制するトランスジーン又は変異を含む、実施態様8のタバコの植物体又はその部分。
実施態様13.nic1変異、nic2変異、及び前記の組み合わせから成る群から選択される変異を含むタバコ品種の植物体であって、前記タバコ品種が、同様な生育条件で生長させたときのコントロールのタバコ品種のリーフ等級指標に匹敵するリーフ等級指標を有し、前記コントロールのタバコ品種が、前記変異を除いて前記タバコ品種と本質的に同一の遺伝的背景を共有する、前記タバコ品種の植物体。
実施態様14.3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む非トランスジェニックなタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコの植物体が、50以上、55以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、及び95以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、前記非トランスジェニックなタバコの植物体又はその部分。
【0064】
実施態様15.前記非トランスジェニックなタバコの植物体が、2.0%未満のニコチンレベルを含み、70以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、請求項14に記載の非トランスジェニックなタバコの植物体又はその部分。
実施態様16.前記非トランスジェニックなタバコの植物体が、1.0%未満のニコチンレベルを含み、70以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、請求項14に記載の非トランスジェニックなタバコの植物体又はその部分。
実施態様17.非トランスジェニック変異を含むタバコ植物体又はその部分であって、前記非トランスジェニック変異が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下に前記タバコの植物体のニコチンレベルを低下させ、前記タバコの植物体が、前記コントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、更に前記コントロール植物体が、前記非トランスジェニック変異を除いて前記タバコの植物体と本質的に同一の遺伝的背景を共有する、前記タバコの植物体又はその部分。
実施態様18.実施態様1から17のいずれか1つのタバコの植物体の集団。
実施態様19.請求項1から17のいずれか1項のタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料。
実施態様20.前記乾燥タバコ材料が、鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、及び天日乾燥から成る群から選択される乾燥プロセスによって製造される、実施態様19の乾燥タバコ材料。
実施態様21.請求項19の乾燥タバコ材料を含むタバコブレンド。
実施態様22.当該乾燥タバコ材料が、前記タバコブレンド中の乾燥タバコの重量で少なくとも約10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を構成する、実施態様21のタバコブレンド。
【0065】
実施態様23.当該乾燥タバコ材料が、前記タバコブレンド中の乾燥タバコの体積で少なくとも約10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を構成する、実施態様21のタバコブレンド。
実施態様24.請求項19の乾燥タバコ材料を含むタバコ製品。
実施態様25.当該タバコ製品が、紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される、実施態様24のタバコ製品。
実施態様26.当該タバコ製品が無煙タバコ製品である、実施態様24のタバコ製品。
実施態様27.当該無煙タバコ製品が、ルーズリーフかみタバコ、板状かみタバコ、湿性かぎタバコ、及び経鼻かぎタバコから成る群から選択される、実施態様26のタバコ製品。
実施態様28.請求項19の乾燥タバコ材料を含む再構成タバコ。
実施態様29.Nic1遺伝子座に変異を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記変異がLA Burley 21品種に存在しない、前記タバコの植物体又はその部分。
実施態様30.前記タバコの植物体が前記LA Burley 21品種と比較して短い染色体欠失をNic1遺伝子座に含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様31.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体と比較して低レベルのニコチンを含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様32.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体のニコチンレベルの1%以下、2%以下、5%以下、8%以下、10%以下、12%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下のレベルのニコチンを含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
【0066】
実施態様33.前記タバコの植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体と比較して低レベルの総アルカロイドを含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様34.前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体と比較してより低レベルの、ニコチン、ノルニコチン、アナバシン、及びアナタビンから成る群から選択される1つ以上のアルカロイドを含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様35.前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体と比較して、3-メチル吉草酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラブデノイド、センブレノイド、糖エステル、及び還元糖から成る群から選択される1つ以上の化合物の同様なレベルを含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様36.前記変異がホモ接合性である、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様37.前記変異がヘテロ接合性である、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様38.前記変異が、点変異、欠失、挿入、重複、及び倒置から成る群から選択される、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様39.前記変異が、ランダム変異誘導及び標的指定変異誘導から成る群から選択されるアプローチによって導入される、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様40.前記標的指定変異誘導が、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、及びCRISPRによって媒介される、実施態様39のタバコ植物体又はその部分。
実施態様41.前記タバコの植物体が更にNic2遺伝子座に変異を含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様42.前記変異が、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列を含む遺伝子内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
【0067】
実施態様43.前記変異が前記遺伝子の発現又は活性を低下させる、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様44.前記変異が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列を含む遺伝子内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様45.前記変異が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様46.前記変異が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有するコード配列を含む遺伝子内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様47.前記変異が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様48.前記変異が、配列番号:53、68、116、117、147及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有するポリペプチドをコードする遺伝子内に位置する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様49.前記タバコの植物体が更に、同様な生育条件で生長させたときの前記変異のないコントロールタバコ植物体と比較して、PMT、MPO、QPT、BBL、MATE及びA622から成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子のmRNA、タンパク質、又は両方のレベルの低下を含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
【0068】
実施態様50.前記タバコの植物体が更に、PMT、MPO、QPT、BBL、A622、及びMATEトランスポーターから成る群から選択される生成物をコードする1つ以上の遺伝子の発現又は活性を抑制するトランスジーン又は変異を含む、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様51.前記タバコの植物体がハイブリッドである、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様52.前記部分が、葉、幹、根、種子、花、花粉、葯、胚珠、小花柄、果実、分裂組織、子葉、胚軸、莢、胚、内乳、外植片、カルス、組織培養、シュート、細胞及びプロトプラストから成る群から選択される、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様53.前記タバコの植物体が、鉄管乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、ダーク直火乾燥タバコ、並びにガルパオタバコ及びオリエンタルタバコから成る群から選択される品種に由来する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様54.前記タバコの植物体が、バーレイタバコ、メリーランドタバコ、及びダーク空気乾燥タバコから成る群から選択される品種に由来する、実施態様29のタバコの植物体又はその部分。
実施態様55.実施態様29のタバコ植物体の集団。
実施態様56.実施態様29のタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料。
実施態様57.前記乾燥タバコ材料が、前記変異のないコントロールタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料と比較して低レベルのニコチンを含む、実施態様56の乾燥タバコ材料。
実施態様58.前記タバコの植物体が0.2%から0.6%のレベルのニコチンを含む、実施態様56の乾燥タバコ材料。
実施態様59.前記タバコの植物体が1.0%から3.0%のレベルのニコチンを含む、実施態様56の乾燥タバコ材料。
【0069】
実施態様60.前記乾燥タバコ材料が、鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、及び天日乾燥から成る群から選択される乾燥プロセスによって製造される、実施態様56の乾燥タバコ材料。
実施態様61.請求項56に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコブレンド。
実施態様62.請求項56に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコ製品。
実施態様63.当該タバコ製品が、紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される、実施態様62のタバコ製品。
実施態様64.当該タバコ製品が無煙タバコ製品である、実施態様62のタバコ製品。
実施態様65.当該無煙タバコ製品が、ルーズリーフかみタバコ、板状かみタバコ、湿性かぎタバコ、及び経鼻かぎタバコから成る群から選択される、実施態様64のタバコ製品。
実施態様66.請求項56に記載の乾燥タバコ材料を含む再構成タバコ。
実施態様67.タバコ細胞で機能的な、あるポリヌクレオチドに作動できるように連結されたプロモーターを含む組換えDNA構築物であって、前記ポリヌクレオチドが、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、前記組換えDNA構築物。
実施態様68.請求項67に記載の組換えDNA構築物を含む、タバコの植物体又はその部分。
実施態様69.前記タバコの植物体が、前記組換えDNA構築物の存在しないコントロールタバコ植物体と比較してより高レベルのニコチンを含む、実施態様68のタバコの植物体又はその部分。
実施態様70.実施態様68のタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料。
【0070】
実施態様71.請求項70に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコ製品。
実施態様72.タバコ植物体のニコチンレベルを増加させる方法であって、前記方法が、請求項67に記載の組換えDNA構築物でタバコ植物体を形質転換する工程を含む、前記方法。
実施態様73.タバコ細胞で機能的な、あるポリヌクレオチドに作動できるように連結されたプロモーターを含む組換えDNA構築物であって、前記ポリヌクレオチドが、配列番号:49から68、84、116から130、147及び前記のフラグメントから成る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするRNAと結合することができるRNA分子をコードし、前記RNA分子が前記ポリペプチドの発現を抑制する、前記組換えDNA構築物。
実施態様74.請求項73に記載の組換えDNA構築物を含む、タバコ植物体又はその部分。
実施態様75.前記RNA分子が、ミクロRNA、siRNA、及びトランス作動性siRNAから成る群から選択される、実施態様74のタバコ植物体又はその部分。
実施態様76.前記ポリヌクレオチドが二本鎖RNAをコードする、実施態様74のタバコ植物体又はその部分。
実施態様77.前記タバコの植物体が、前記組換えDNA構築物の存在しないコントロールタバコ植物体と比較してより低レベルのニコチンを含む、実施態様74のタバコの植物体又はその部分。
実施態様78.実施態様74のタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料。
実施態様79.請求項78に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコ製品。
実施態様80.タバコ植物体のニコチンレベルを低下させる方法であって、前記方法が、請求項73に記載の組換えDNA構築物でタバコ植物体を形質転換する工程を含む、前記方法。
【0071】
実施態様81.異種発現カセットを含むタバコ植物体又はその部分であって、前記異種発現カセットが、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列を含む遺伝子のNic1阻害性配列を含み、前記阻害性配列が植物細胞で機能的なプロモーターに作動できるように連結され、更に前記阻害性配列が、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80ヌクレオチドのフラグメントと少なくとも90%配列同一性を有する、前記タバコ植物体又はその部分。
実施態様82.前記Nci1阻害性配列が、一本鎖RNAポリヌクレオチド、二本鎖RNAポリヌクレオチド、及び前記の組み合わせから成る群から選択される阻害性ポリヌクレオチドとして転写されることができる、実施態様81のタバコ植物体又はその部分。
実施態様83.前記プロモーターが構成的プロモーター、誘導性プロモーター、及び組織指向性プロモーターから成る群から選択される、実施態様81のタバコ植物体又はその部分。
実施態様84.前記プロモーターが根特異的プロモーターである、実施態様81のタバコ植物体又はその部分。
実施態様85.異種発現カセットを含むタバコ植物体又はその部分であって、前記異種発現カセットが、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列を含む遺伝子のNic1阻害性配列を含み、前記阻害性配列が植物細胞で機能的なプロモーターに作動できるように連結され、更に前記阻害性配列が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80ヌクレオチドのフラグメントと少なくとも90%配列同一性を有する、前記タバコ植物体又はその部分。
【0072】
実施態様86.以下の工程を含む、タバコの品種に低ニコチン形質を遺伝子移入する方法:
(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコ品種を前記低ニコチン形質の存在しない第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を作出する工程;
(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を前記低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型を決定する工程(ここで前記多形性マーカーは、表3に挙げた多形性遺伝子座の任意の2つ又は表4に挙げた多形性遺伝子座の任意の2つによってフランキングされる染色体間隔に存在する);及び
(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。
実施態様87.当該方法が更に、前記選別子孫タバコ植物体を前記第二のタバコ品種と戻し交配する工程を含む、実施態様86の方法。
実施態様88.当該方法が更に以下の工程を含む、実施態様86の方法:
(d)当該選別子孫植物体をそれ自体と又は第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の更に別の子孫タバコ植物体を作出する工程;及び
(e)低ニコチン形質を含む更に別の子孫タバコ植物体を選別する工程。
実施態様89.当該選別工程(e)がマーカー補助選別を含む、実施態様88の方法。
実施態様90.当該方法が前記低ニコチン形質を含む単一遺伝子変換をもたらす、実施態様86の方法。
実施態様91.前記第二のタバコ品種がエリート品種である、実施態様86の方法。
実施態様92.当該遺伝子型決定工程が1つ以上の分子マーカーアッセイを必要とする、実施態様86の方法。
実施態様93.当該多形性マーカーが、単一ヌクレオチド多形(SNP)、DNA配列における挿入又は欠失(インデル)、DNA配列の単純配列繰返し(SSR)、制限フラグメント長多形(RFLP)、及びタグSNPから成る群から選択される多形を含む、実施態様86の方法。
【0073】
実施態様94.当該遺伝子型決定工程が、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様86の方法。
実施態様95.当該遺伝子型決定工程が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様86の方法。
実施態様96.当該第一のタバコ品種がLA Burley 21である、実施態様86の方法。
実施態様97.当該選別子孫タバコ植物体が、Nic1遺伝子座にLA Burley 21と比較してより短い染色体欠失を含む、実施態様86の方法。
実施態様98.以下の工程を含む、タバコの品種に低ニコチン形質を遺伝子移入する方法:
(a)低ニコチン形質を含む第一のタバコ品種を前記低ニコチン形質の存在しない第二のタバコ品種と交配して、1つ以上の子孫タバコ植物体を作出する工程;
(b)当該1つ以上の子孫タバコ植物体を前記低ニコチン形質と連鎖する多形性マーカーについて遺伝子型を決定する工程(ここで当該多形性マーカーは、表3及び表4に挙げられる多形性遺伝子座の任意の1つの20cM内に存在するか、又は配列番号:131から144の任意の1つである);及び
(c)低ニコチン形質を含む子孫タバコ植物体を選別する工程。
実施態様99.当該遺伝子型決定工程が、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様98の方法。
【0074】
実施態様100.当該遺伝子型決定工程が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様98の方法。
実施態様101.以下の工程を含む、低ニコチン形質を有するタバコの植物体を選別する方法:
(a)タバコの生殖細胞質の収集物から核酸を単離する工程;
(b)Nic1遺伝子座又はNic2遺伝子座と緊密に連鎖する1つ以上のマーカーについて核酸をアッセイする工程;及び
(c)当該マーカーアッセイに基づいて低ニコチン形質を有するタバコ植物体を選別する工程。
実施態様102.当該1つ以上のマーカーが、表3及び表4に挙げた多形性遺伝子座のいずれか1つの約20cM、10cM、5cM、4cM、3cM、2cM、1cM、0.5cM、又は0.5cM未満内に存在するか、又は配列番号:131から144のいずれか1つである、実施態様101の方法。
実施態様103.当該アッセイ工程が、配列番号:9から28、75から82、86から100、145及び前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様101の方法。
実施態様104.当該アッセイ工程が、配列番号:13、28、33、48、82、86、87、101、102、145及び146並びに前記のフラグメントから成る群から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一性を有する配列内に位置する核酸配列の有無についてアッセイする工程を含む、実施態様101の方法。
実施態様105.当該方法が更に、前記選別植物体のニコチンレベルを決定して前記低ニコチン形質を確認する工程を含む、実施態様101の方法。
【0075】
実施態様106.当該タバコ生殖細胞質の収集物が一倍体交配集団である、実施態様101の方法。
実施態様107.Nic1マーカー1番から207番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番のいずれか2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、又は前記第一及び第二の染色体欠失の両方を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、50以上、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、又は95以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、前記タバコの植物体又はその部分。
実施態様108.前記タバコ植物体が、3%未満、2.75%未満、2.5%未満、2.25%未満、2.0%未満、1.75%未満、1.5%未満、1.25%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、及び0.05%未満から成る群から選択されるニコチンレベルを含む、実施態様107のタバコの植物体又はその部分。
実施態様109.前記第一の染色体欠失が、Nic1マーカーの1番から20番、21から40、41から60、61から80、81から100、101から120、121から140、141から160、161から180、181から200、又は201番から207番の任意の2つによってフランキングされる、実施態様107のタバコ植物体又はその部分。
実施態様110.前記第一の染色体欠失が、Nic1マーカーの1番から10番、11から20、21から30、31から40、41から50、51から60、61から70、71から80、81から90、91から100、111から120、121から130、131から140、141から150、151から160、161から170、171から180、181から190、191から200、又は201番から207番の任意の2つによってフランキングされる、実施態様107のタバコの植物体又はその部分。
実施態様111.前記第二の染色体欠失が、Nic2マーカーの1番から20番、21から40、41から60、61から80、81から100、101から120、121から140、141から160、161から180、181から200、201から220、221から240、241から260、261から280、281から300、301から320、又は321番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない、実施態様107のタバコの植物体又はその部分。
【0076】
実施態様112.前記第二の染色体欠失が、Nic2マーカーの1番から10番、11から20、21から30、31から40、41から50、51から60、61から70、71から80、81から90、91から100、111から120、121から130、131から140、141から150、151から160、161から170、171から180、181から190、191から200、201から210、211から220、221から230、231から240、241から250、251から260、261から270、271から280、281から290、291から300、301から310、311から320、321から330、又は331番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない、実施態様107のタバコの植物体又はその部分。
実施態様113.Nic1マーカー1番から207番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第一の染色体欠失、Nic2マーカー1番から340番の任意の2つによってフランキングされかつそれらを含まない第二の染色体欠失、並びに前記第一及び前記第二の染色体欠失の両方から成る群から選択される変異を含むタバコの植物体又はその部分であって、前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のUSDA等級指標値に匹敵するUSDA等級指標値を有する葉を産出することができ、前記コントロール植物体が、前記変異を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有する、前記タバコ植物体又はその部分。
実施態様114.前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときの前記コントロール植物体のニコチンレベルの1%未満、2%未満、5%未満、8%未満、10%未満、12%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満のレベルのニコチンを含む、実施態様113のタバコ植物体又はその部分。
実施態様115.実施態様107から114のいずれか1つのタバコ植物体の集団。
実施態様116.請求項107から114のいずれか1項に記載のタバコ植物体に由来する乾燥タバコ材料。
実施態様117.前記乾燥タバコ材料が、鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、及び天日乾燥から成る群から選択される乾燥プロセスによって製造される、実施態様116の乾燥タバコ材料。
実施態様118.請求項116に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコブレンド。
【0077】
実施態様119.当該乾燥タバコ材料が、前記タバコブレンド中の乾燥タバコの重量で少なくとも約10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を構成する、実施態様118のタバコブレンド。
実施態様120.当該乾燥タバコ材料が、前記タバコブレンド中の乾燥タバコの体積で少なくとも約10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を構成する、実施態様118のタバコブレンド。
実施態様121.請求項116に記載の乾燥タバコ材料を含むタバコ製品。
実施態様122.当該タバコ製品が、紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ及びカットタバコから成る群から選択される、実施態様121のタバコ製品。
実施態様123.当該無煙タバコ製品が、ルーズリーフかみタバコ、板状かみタバコ、湿性かぎタバコ、及び経鼻かぎタバコから成る群から選択される、実施態様121のタバコ製品。
これまで一般的に本開示を記述してきたが、下記の実施例を参考にして同じことがより容易に理解されるであろう。それら実施例は例示として提供され、特段の指定がないかぎり本開示の制限を意図しない。
【実施例0078】
低アルカロイドを有するタバコ系統の全ゲノムの配列決定
全ゲノム配列決定を実施して、低アルカロイド(LA)Burley 21のnic1変異の基礎である遺伝子損傷を決定した。4系統のタバコの配列を決定した。これらは以下の通りであった:LA Burley 21(nic1 nic2、平均ニコチンは乾燥重量基準で約0.3%(約0.2-0.6%の範囲))、低中間(LI)Burley 21(nic1 Nic2、平均ニコチンは約2.3%(約1.5-3.0%の範囲))、高中間(HI)Burley 21(Nic1 nic2、平均ニコチンは約3.7%(約2.5-5.0%の範囲))、及び野生型Burley 21(“BU21”とも称される)(Nic1 Nic2、平均ニコチンは約4.7%(約4.0-6.0%))。LA Burey 21(“LA BU21”とも称される)は低い総アルカロイドの系統であり、キューバ葉巻品種の低アルカロイド遺伝子をBurley 21に数回の戻し交配により取り込むことによって作出された(Legg et al. 1970)。
ゲノムDNAサンプルはタバコの葉から調製した。3つの植物体(各々はBU21及びLA BU21とともに高及び低中間(それぞれHI BU21及びLI BU21)に属する)から緑葉組織を収集した。組織を液体窒素で瞬間冷凍し-80℃で保存した。保存組織を液体窒素中ですり潰し、各々に4つの系統に属する3つの植物体に由来する等量の組織を配列決定のために1つのプールした(最終総重量は約10g)。
DNAライブラリー調製及び配列決定は、標準的製造業プロトコルにしたがって実施した(平均挿入サイズ500bpを有するペアエンドライブラリーを作製するためにDNAのせん断工程を含む)。未加工配列を私有TN90ゲノムに対してマッピングし、全ゲノム変種検出パイプラインを用いて、単一ヌクレオチド多形(SNP)とともに挿入欠失(インデル)を特定した。変種検出パイプラインは、配列品質に基づいてトリミング及びフィルタリングを実施し、続いて最小長75bp及び2つの未知の塩基を最大数として読みを選別する。続いてgaMapソフトv2.0.0(BETA)を用いて、これらの読みをAltria私有タバコ(TN90)ゲノムに対してマッピングした。品質スコアが少なくとも40のマッピング完了読みのみを更にgaVariantソフトv2.0.0 BETAによりSNP及びインデル検出で用いた。最小変種品質37、遺伝子型品質85及びカバリッジ深度7xを有するSNP及びインデルのみを更なる分析に用いた。ペアエンドシーケンシングの読みの数、フィルター後の読み、マッピング完了読みとともに4系統の各々についてのマッピング完了読みのパーセンテージが表1に提供される。4品種の平均カバリッジは22-40xの範囲である(これは変種検出のための推奨カバリッジ(約20x)を超える)。表2は、4系統の各々で検出されたSNP及びインデルの数の詳細を提供する。
【0079】
表1:4つの配列決定バーレイ系統の全ゲノム配列決定の統計学
表2:4つの配列決定バーレイ系統の遺伝子型決定の統計学
【実施例0080】
Nic1及びNic2遺伝子座特定のためのゲノム配列の分析
実施例1のゲノム配列を分析して、LA BU21のnic1及びnic2変異を特定した。配列は最初にNic2遺伝子座で分析した。Nic2遺伝子座は、7つのエチレン応答因子(ERF)遺伝子の欠失を含むとShojiら(2010)によって以前に報告された。これらの欠失ERF遺伝子をTN90ゲノムの単一連続領域に対してマッピングした。我々は、BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21の配列決定データを詳細に眺めて、当該ゲノムのこの領域の変種プロフィールは、BU21及びLI BU21におけるホモ接合性参照(TN90)対立遺伝子の遺伝子型並びにHI BU21及びLA BU21における欠損データから成ることを特定した。これは、Nic2欠失は変種遺伝子型では欠損データとして現れることを示している。
以前の文献では、Nic1及びNic2遺伝子座はおそらく複製遺伝子を含み、その各々は原種のニコチアナ・トメントシフォルミス(Nicotiana tomentosiformis)又はN.シルベストリス(N. sylvestris)の1つを起源とすると提唱されている(Hibi et al. 1994)。更にまた、Shojiら(2010)は、Nic2遺伝子座はN.トメントシフォルミスに由来すること、及びnic2は欠失であることを報告した。それらの起原における類似特性は、nic1もまた欠失であることを示唆している。カスタムPerlスクリプトを作製して、BU21及びHI BU21におけるホモ接合性又はヘテロ接合性参照対立遺伝子コール、並びにLI BU21及びLA BU21における欠損データのパターンを検出した。カスタムPerlスクリプトは合計14035のスカフォールドを検出し、前記はほぼ37916の変種部位合計を含み、これはLA BU21及びLI BU21の欠損データ並びにHI BU21及びBU21のホモ接合性遺伝子型のパターンと一致する。スカフォールドにつき観察される変種の平均数はほぼ3(2.701)である。ある連続領域又はスカフォールド(スカフォールド0002504、配列番号:1)は、このパターンを有する207の変種部位を含む(表3)。したがって、この異常値のスカフォールドは、残りのスカフォールドにおける変種の平均数と比較して、当該指定のパターンを有する変種数の76.67倍を有する。スカフォールド0002504はNic1遺伝子座の位置の第一の表示を提供する。
スカフォールドにおける読みのカバリッジを基準にすれば、LI BU21及びLA BU21で読みが存在しないことについて配列決定の偏向は観察されない。更にまた、公知のNic2遺伝子座(スカフォールド0000549、配列番号:2)では同様なパターンが観察された。前記の場合、LA BU21及びHI BU21は欠損データを示し、BU21及びLI BU21はホモ接合性参照対立遺伝子コールを示す(そのような変種部位のパターンを示す、全スカフォールドで観察された2.49部位と比較してスカフォールド0000549では340部位である)(表4)。
【0081】
表3:Nic1欠失セグメント、NT1.0-スカフォールド0002504の多形性部位(POSはスカフォールド0002504上の各多形性部位のヌクレオチドの位置を示す。REFは参照TN90対立遺伝子の配列を示す。ALTは、K326、細葉マドール、又はオリエンタルタイプで見いだされた配列多形を示す。“0/0”は参照TN90対立遺伝子についてホモ接合性を示し、“./.”は欠損データ(例えば欠失)を示す)
【0082】
表4:Nic2欠失セグメント、NT1.0-スカフォールド0000549の多形性部位(REFは参照TN90対立遺伝子の配列を示す。ALTは、K326、細葉マドール、又はオリエンタルタイプで見いだされた配列多形を示す。“0/0”は参照TN90対立遺伝子についてホモ接合性を示し、“./.”は欠損データ(例えば欠失)を示す)
【実施例0083】
特定Nic1遺伝子座の遺伝子分離分析による確認
Nic1遺伝子座として特定した領域の正体の確認に役立てるために、Nic1及びNic2遺伝子座を分離するF2集団を、表現型とともに分離するnic1及びnic2のためのマーカーを観察する目的と併せて育成した。F2集団はTN90とLA BU21との交配から得られ、173の集団サイズを有する。個々のF2植物体とともに親系統及び4つの公知のバーレイ系統(BU21、HI BU21、LI BU21、及びLA BU21)の緑葉組織からDNAを抽出した。抽出には、カスタマイズしたスビーデクスマクシ(sbeadex maxi)植物キット(LGC genomics, LLC, Beverly, MA)を自動化DNA抽出装置オクトピュア(Oktopure)(LGC genomics, LLC, Beverly, MA)で用いた。173個体のうち90を前記集団から任意抽出し、Nic1及びNic2遺伝子座の両方をコントロール遺伝子座と一緒に遺伝子型を決定した。特定したNic1欠失を当該特定した欠失の選択領域をPCR増幅することによって確認した。PCRプライマーは、プライマー3 web V.4.0.0を用いてNic1遺伝子座のために設計した。それらは表5に示されている。Nic2遺伝子座及びコントロール遺伝子座のためのプライマー配列はShojiら(2010)から入手し、前記もまた表5に提供されている。
PCRは、以下を含む30μLの反応物で実施した:約10ng/μLのDNA(5μL)、2x AmpliTaq Gold(商標)360マスターミックス(Applied Biosystems, Foster City, CA)(15μL)、10μMのフォワードプライマー(1.2μL)、10μMのリバースプライマー(1.2μL)、及びddH2O(7.6μL)。PCR反応は以下のように進行させた:95℃で5分間の初期変性、続いて以下の温度プロフィールの35サイクル(94℃で20秒、最適アニーリング温度(表5)で20秒、及び72℃で1分)。前記の後に72℃で7分の最終伸長時間及び無期限の4℃保持が続いた。
【0084】
表5:PCRに用いたプライマー配列及びアニーリング温度
【0085】
続いて、PCR生成物をeGene(Qiagen N. V.,Venlo, Netherlands)上で可視化し、所望のサイズのPCR生成物バンドが存在すれば遺伝子座が存在すると評価し、存在しない場合は遺伝子座の欠失とした。遺伝子ERF199のためのプライマー(表5)はコントロールとして機能し、その存在が認められなければDNAの品質に関する問題が指摘され、存在していない場合には更なる分析から当該サンプルを除去した。ニコチン、ノルニコチン、アナタビン及びアナバシンのアルカロイド測定もまた、トッピングから2週間後に収集したリーフサンプルから個々の植物体の各々について実施した(表6)。前記測定では、CORESTA推奨方法(CRM N0.7)及びISO標準(ISO TC 126N 394E)に基づくGC-FID方法が用いられた。アルカロイド測定は、nic1及びnic2遺伝子型の追加確認として機能した。
90全てのF2個体とともにTN90、BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21がコントロールのERF 199プライマーの首尾よい増幅を示した。Nic2遺伝子座の欠失は90のF2個体のうち19とともにHI BU21及びLA BU21で観察された。Nic1遺伝子座の欠失は90のF2個体のうち21とともにLI BU21及びLA BU21で観察された。更にまた、Nic1及びNic2遺伝子座の両方が、90のF2植物体のうち5植物体でLA BU21とともに欠失するのが観察された。表6は、173のF2個体のうち90についての遺伝子型コールに関する情報を提供する。表7は、2つの遺伝子座について9:3:3:1の分離比を与えられた各遺伝子型について観察された数及び期待された数を提供する。F2分離集団((LA Burey 21xTN 90LC)(X))で観察された4つの遺伝子型の各々の総アルカロイドレベルの平均パーセントは表8に示されている。
【0086】
表6:nic1及びnic2を分離するF2集団((LA Burey 21xTN 90LC)(X))の個々の植物体のNic1及びNic2遺伝子型とアルカロイド測定(Nic1及びNic2遺伝子型情報が存在しない場合、これらの植物体は遺伝子型が決定されなかったことを示す。BLQ:定量レベル以下)
【0087】
表7:調査したF2集団のnic1及びnic2について観察された分離比は、有意閾値0.05(χ2=0.9827、df=3、P値=0.1944)で期待分離比9:3:3:1と有意には相違しない)
表8:F2分離集団((LA Burey 21xTN 90LC)(X))で観察された4つの遺伝子型の各々についての総アルカロイドレベルの平均パーセント(平均及び標準偏差の両方が示されている。数字は、アルカロイドレベルが測定された各遺伝子についての植物体の数を示す。定量レベル以下(BLQ)のレベルのアルカロイドレベルを有する植物体はここでは排除されたので、各遺伝子型について植物体の数は表7に挙げたものとは相違する)
【実施例0088】
特定されたNic1欠失セグメントの遺伝子の発現パターンに基づくNic1欠失における遺伝子の特定
特定されたNic1欠失セグメント、NT1.0-スカフォールド0002504は少なくとも20の注釈付き遺伝子を有する。それらの発現パターンをRoot RNASeqデータセットに基づいてタバコの根で分析した。Root RNASeqデータセットは、4品種(BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21)の根の組織のRNA配列決定及び転写プロファイリングに基づいて構築した。
これら4つの品種は当該系統の大半が発芽を開始するまで温室で生長させ、続いて根及び葉の組織サンプルを採集した。各4品種の15植物体(トッピング非実施植物体及びトッピング実施植物体)から根の組織(約100mg)を収集した。表9は、サンプル数、これらの植物体からサンプルを収集した時点及び条件の詳細を提供する。各遺伝子型に由来する根を多様な時点で採集した。根からRNAを抽出し、一緒にプールして各遺伝子型について2つの別個のプールサンプルを作った(1つはトッピング前及び他方はトッピング後)。具体的には、タバコの根を液体窒素で瞬間凍結し、続いて2000 Geno/Grinder Spexサンプルプレップでふやかし、前記ふやかした組織をRNA抽出に用いた。RNA抽出は、組織RNA抽出キット(Promega, Madison, WI)を用い自動化Maxwell(商標)16系(Promega, Madison, WI)で実施した。単離RNAをNanodrop1000で定量し、全てのサンプルがHiSeq2000による2x100bpペアエンドシーケンシングに必要な最小収量を満たすことを確認した。
配列決定後、生のRNASeqの読みをトリミングし更にフィルター処理を実施した。このフィルター処理したRNASeqの読みをALCSの私有タバコゲノムに対してマッピングした。マッピングでは、GLCゲノミクスワークベンチv.7.1(Qiagen, N.V., Velno, The Netherlands)でトランスクリプトームマッピングアプリケーションを用いた。遺伝子の生発現は、タバコゲノム内の204,695の注釈付き遺伝子の各々についてマッピングされた読みの数として測定される。続いて、各遺伝子についての遺伝子発現値を、百万のマッピングされた読みに付き転写物1キロベース当たりの読み(reads per kilobase of transcript per million mapped reads(RPKM))を用いて標準化し、遺伝子発現の相対的レベルを得た。
特定されたNic1欠失セグメント、NT1.0-スカフォールド0002504の注釈付き20遺伝子のうち、18遺伝子は当該品種のいずれにおいてもいずれの条件でも発現を示さない。2つの遺伝子のみが根で発現する(表10)。それらはg100614_スカフォールド0002504及びg100631_スカフォールド0002504である(配列番号:28及び13のゲノム配列、配列番号:48及び33のcDNA配列、配列番号:68及び53のタンパク質配列をそれぞれ有する)。両発現遺伝子は“後期虫害耐性タンパク質ホモローグ”と注釈されている。類似する発現パターンがNic2遺伝子座の遺伝子についても認められた(表11)。
【0089】
表9:タバコの根のRNAseq系転写プロファイリングのための組織サンプリングの設計
【実施例0090】
Nic1及びNic2によって調節される遺伝子の特定
実施例4のRoot RNASeQデータセットはまた、その発現がNic1又はNic2によって調節される遺伝子の特定を可能にした。4品種(BY21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21)における遺伝子発現のペアワイズ比較を実施した。図1は、偽発見率(FDR)修正P値0.05で、可能な品種ペアワイズ組合せの各々でアップ又はダウンレギュレートされると識別された遺伝子の数を示す。
BU21とLA BU21の比較及びHI BU21とLA BU21の比較は、プトレシン形成後のニコチン生合成経路における全ての遺伝子の特定に関して最も情報に富んでいる。Nic1遺伝子座(Bu21及びHI BU21に存在するが、LA BU21には存在しない)の作用もまた確認された。図2はNic1の存在下でアップレギュレートされる遺伝子のいくつかを示す。
【実施例0091】
Nic1及びNic2欠失セグメントにおける或いはその近くでの分子マーカーの開発
特定されたNic1欠失セグメント、NT1.0-スカフォールド0002504は少なくとも544,860bpの長さを有する。このセグメント内で、少なくとも207の変種部位が参照TN90ゲノム配列と欠失パターンを示すBU 21系統の間で検出された(表3)。
スカフォールドNT1.0-スカフォールド0000549(NT1.0-スカフォールド0000549の全長=1,142,469bp)内の特定Nic2欠失セグメントは、少なくとも820,000bpの長さを有する。このセグメント内で、少なくとも340の多形性部位が参照TN90ゲノム配列と欠失パターンを示すBurley 21系統の間で検出された(表4)。
【実施例0092】
低ニコチンを含むタバコ品種の交配
特定されたnic1欠失セグメント、その中の遺伝子、及びそれらに随伴する分子マーカーを交配に用いて、nic1欠失又は部分的欠失を含む低ニコチンタバコハイブリッド、品種及び系統を作出する。更にこれらの遺伝子又はマーカーを用いて、多様なニコチアナ生殖細胞質(例えば異なるニコチアナ種又はニコチアナ・タバクム系統)のまた別のnic1及びnic2対立遺伝子についてスクリーニングする。スクリーニングすることができる、43のニコチアナ種、49のニコチアナ・ルスチカ系統、及び約600のニコチアナ・タバクム系統は米国特許7,700,834の表8に提供されている。
新規なnic1又はnic2対立遺伝子を有すると特定された生殖細胞質を栽培タバコとの交配の材料源として用いる。標準的な交配方法(例えば戻し交配、系統育種法)と組み合わせた種間又は種内ハイブリッド形成を利用して、所望のnic1又はnic2変異対立遺伝子をドナー源から栽培タバコに移すことができる。例えば、nic1nic2又は両方の対立遺伝子を含む低ニコチン品種(例えば、ドナー親は例えばLA Burey 21)を、所望の遺伝学的バックグラウンド及び農学的に優れた形質を有するエリート高ニコチン品種と交配する。この交配に由来するF1子孫植物体を場合によって、表9及び10に例示する1つ以上の分子マーカーについてアッセイする。続いて、F1植物体を親のエリート高ニコチン品種(反復親)と戻し交配する。BC1世代の植物体を表9及び10に例示した分子マーカーを用いて遺伝子型を決定し、より小さなnic1又はnic2欠失セグメントを有するタバコ植物体を選別する。数ラウンドの戻し交配の後(例えば5-7世代)、低ニコチン形質及び反復親エリート系統に由来する他の所望の形質を含む新規なエリートタバコ品種が入手される。この新規なエリートタバコ品種はまた、Nic1及びNic2遺伝子座周辺の遺伝的組換え事象による低ニコチン形質に随伴するいずれの遺伝的障害物も含まない。これらの組換え事象はいずれの有害な随伴変異によるnic1及びnic2変異とも連鎖せず、したがって遺伝的障害物を低下又は回避させる。上記の交配及びマーカー補助選別手法を用いて、低ニコチン形質をニコチン又はノルニコチンレベルを低下させる他のトランスジーン又は天然の対立遺伝子とともに漸増させ又は積み上げていくことができる。
低ニコチンタバコハイブリッド、品種又は系統はバーレイタイプ、ダークタイプ、鉄管乾燥タイプ、メリーランドタイプ又はオリエンタルタイプとして作出することができる。或いは、前記ハイブリッド、品種又は系統は本質的に以下から誘導することができる:BU 64、CC 101、CC 200、CC 27、CC 301、CC 400、CC 500、CC 600、CC 700、CC 800、CC 900、コーカー176、コーカー319、コーカー371ゴールド、コーカー48、CU 263、DF911、ガルパオタバコ、GL 26H、GL 350、GL 600、GL 737、GL 939、GL 973、HB 04P、K 149、K 326、K 346、K 358、K394、K 399、K 730、KDH 959、KT 200、KT204LC、KY 10、KY 14、KY 160、KY 17、KY 171、KY 907、KY907LC、KTY14xL8 LC、リトルクリッテンデン、McNair 373、McNair 944、msKY 14xL8、細葉マドール、NC 100、NC 102、NC 2000、NC 291、NC 297、NC 299、NC 3、NC 4、NC 5、NC 6、NC7、NC 606、NC 71、NC 72、NC 810、NC BH 129、NC 2002、ニール・スミスマドール、OXFORD 207、ペリクタバコ、PVH03、PVH09、PVH19、PVH50、PVH51、R 610、R 630、R 7-11、R 7-12、RG 17、RG 81、RG H51、RGH 4、RGH 51、RS 1410、スペイト168、スペイト172、スペイト179、スペイト210、スペイト220、スペイト225、スペイト227、スペイト234、スペイトG-28、スペイトG-70、スペイトH-6、スペイトH20、スペイトNF3、TI 1406、TI 1269、TN 86、TN86LC、TN 90、TN 97、TN97LC、TN D94、TN D950、TR(トム・ロッソン)マドール、VA 309又はVA359、メリーランド609、HB3307PLC、HB4488PLC、KT206LC、KT209LC、KT210LC、KT212LC、R610LC、PVH2310、NC196、KTD14LC、KTD6LC、KTD8LC、PD7302LC、PD7305LC、PD7309LC、PD7318LC、PD7319LC、PD7312LC、シャーリーLC、又は当業界で公知の標準的なタバコ育種技術による任意の商業的タバコ品種。
【0093】
表10:Nic1欠失スカフォールド、NT1.0-スカフォールド0002504(配列番号:1)で注釈を付された遺伝子(“開始”及び“終了”は、スカフォールドNT1.0-スカフォールド0002504で注釈を付された遺伝子の最初と最後のヌクレオチドの位置を示す。2つの太字遺伝子のみ(g100631_スカフォールド0002504及びg100614_スカフォールド0002504)が、トッピング前及びトッピング後の両方でBU21及びHI BU21の根で発現するのが観察された。これら2つの遺伝子の発現はLI BU21及びLA BU21の根では検出されなかった。他の列挙遺伝子の全てが、Root RNASeqデータセットによればBU21、HI BU21、LI BU21又はLA BU21で根の発現を示さない。星印(*)は、配列番号:83及び84はそれぞれ配列番号:80の洗練cDNA及びアミノ酸配列に対応することを示す)
【0094】
【0095】
表11:Nic2欠失スカフォールド、NT1.0-スカフォールド0000594(配列番号:2)で注釈を付された遺伝子(“開始”及び“終了”は、スカフォールドNT1.0-スカフォールド0002504で注釈を付された遺伝子の最初と最後のヌクレオチドの位置を示す。3つの太字遺伝子のみ(g38885_スカフォールド0000549、g38878_スカフォールド0000549及びg38864_スカフォールド0000549)が、トッピング前及びトッピング後の両方でBU21及びLI BU21の根で発現するのが観察された。これら3つの遺伝子の発現はHI BU21及びLA BU21の根では検出されなかった。他の列挙遺伝子の全てが、Root RNASeqデータセットによればBU21、HI BU21、LI BU21又はLA BU21で根の発現を示さない)
【0096】
【実施例0097】
所望のニコチンレベルを有するタバコの品種のトランスジェニックアプローチによる育成
過剰発現及び抑制の両アプローチを利用して、Nic1遺伝子の機能を精査する。2セットのトランスジェニック植物を作出する(一方は完全長コード配列を用い、他方はRNAi配列を用いる。完全長コード配列又はRNAi配列の発現のために、CsVMVプロモーター及びNOSターミネーターを有する発現ベクターととともに、アクチン2の指令下にあるカナマイシン選別マーカー(NPT II)を有しかつNOSターミネーターを有するカセットを構築することができる。Nic欠失セグメントの遺伝子を標的とするRNAi構築物の例示的形質転換カセット配列は、配列番号:69及び70で見出すことができる。当業者には、他の標的配列をRNAi構築物の構築に、又は遺伝子サイレンシングのための他のトランスジェニックアプローチ(例えば人工ミクロRNA又はトランス作動性siRNAなど)に用いることができることは理解されるであろう。
問題のトランスジーンを保持する核酸構築物が、DNAボンバードメント又はバイオリスティックアプローチを用いてタバコ葉ディスクに導入される。例えば以下を参照されたい:Sanford et al., 1993, Methods Enzymol., 217:483-510;及びOkuzaki and Tabei, 2012, Plant Biotechnology, 29:307-310。略記すれば、形質転換カセットを含むプラスミドDNAが1μmの金粒子で以下のように被覆される(DNA/金)。1μmの金粒子を180℃で12時間焼き、ストック溶液(40mg/mL)を調製する。10ショットのための混合物を作製するために、100μLのストック溶液を40μLの発現ベクターDNA(1μg/μL)、100μLのCaCl2(2.5M)、及び40μLのスペルミジン(0.1M)とともに1.5mLチューブで混合する。この混合物を13,000xgで30秒遠心分離し、ペレットを100%のエタノール(500μL)で洗浄する。DNA/金混合物を100μLの水に懸濁し、10μLをマクロキャリアーに適用し、乾燥させてから発射する。PDS-1000/He系(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA, USA)で1,100 psi破裂板を用い部分的真空下(711 mmHg)で、プレート当たり2ショットを発射する。細葉マドール(NLM)及びテネシー90(NT90)タバコ葉ディスクを、RNAi構築物及び完全長遺伝子構築物による形質転換に用いる。全タバコ葉(長さが約45x30mm)をMS培地に一晩置き、2日目にこの葉ディスクに構築物を発射する。続いて葉を小片(約5x5mm)に切断しTOM培地(20gシュクロース/L、1mg/L IAA及び2.5mg/L BAPを含むMS培地)に置いて27℃で3-5日間生長させ、続いて300mg/mLのカナマイシンを含むTOM培地(TOM-Kan)に移して生長させる。組織は2-3週間毎に新しいTOM-Kanプレートに4-6週間の間移していく(27℃、16時間点灯)。発射から4-6週間後にカナマイシン耐性初代シュートを再生させる。シュートをMS-カナマイシンプレートに移して根を生長させる。続いて、T1植物体(及びその後の世代)に由来する葉及び/又は根を評価して、1つ以上のアルカロイド及び/又は1つ以上のTSNAの量を決定する。
【実施例0098】
ランダム変異誘導による新規なnic1変異の育成
タバコ植物体のランダム変異誘導は、メタンスルホン酸エチル(EMS)変異誘導又は高速中性子衝撃を用いて実施される。EMS変異誘導は、ゲノムの全長に及ぶ化学的に誘導されるランダム点変異から成る。高速中性子変異誘導は、二本鎖DNA切断を介して大きな欠失を引き起こす中性子衝撃に種子を暴露することから成る。
EMS変異誘導のために、テネシー90タバコ(TN90)の種子の1グラム(約10,000種子)を0,1%のTweenで15分間洗浄し、更に30mLのddH2Oに2時間浸漬する。続いて150μLの0.5% EMS(Sigma, Catalogue No. M-0880)を種子/ddH2O溶液に加え、フード内で8-12時間(30rpmで回転)、室温(RT、約20℃)でインキュベートする。続いてこの液体を種子から除去し、汚染除去及び廃棄のために1MのNaOHと一晩混合する。続いて種子を2回100mLのddH2Oで2-4時間洗浄する。続いて洗浄済み種子を0.1%の寒天溶液に懸濁した。
水に浸したカロライナチョイスタバコミックス(Carolina’s Choice Tobacco Mix)(Carolina Soil Company, Kinston, NC)上に寒天溶液中のEMS処理種子を約2000種子/平箱で均等に平箱に広げる。続いてこの平箱をプラスチックのラップで覆い、生育チャンバーに置く。土壌から苗が出現したら、プラスチックラップに穴をあけて湿度を徐々に下降させる。2週間後にプラスチックラップを完全に除去する。平箱を温室に移し、NPK肥料を施す。苗をフロートトレーに差込み、移植サイズまで生長させる。続いて植物を野外に移植する。生長中に植物は自家受粉してM1種子を形成する。成熟期に、5つの
を各植物体から採集し、各植物体の種子のセットにそれぞれの名称を付与する。これはM1集団を形成する。各M0植物体のM1種子の混合物を生長させ、M1植物体の葉をDNA抽出のために収集する。標的遺伝子を増幅し、変異の特定のために配列を決定する。
【実施例0099】
標的指定変異誘導による新規なnic1変異の育成
低ニコチンを有し一方で葉の高品質を維持するタバコ系統は、精密なゲノム操作技術(例えば転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ及びCRISPR)によりNic1遺伝子座に変異を導入することによって作出される。ゲノム改変は商業的なタバコ品種(例えばTN90、K326及び細葉マドール)で実施される。
例えば、Nic1遺伝子の特異的な標的配列をTALEN標的結合領域として供することができる。TALEN部位は、Nic1遺伝子座の単一遺伝子又はDNAセグメントに特異的である。TALEN領域1及び2は、Nic1の重要な領域を破壊し更に部分的に融合して、一続きの長いがただし完全なNic1欠失領域よりも短い欠失を作出するために用いられよう。作出植物体は、ニコチン含有量は低いが高い葉の品質を有すると予想されるであろう。
標的DNA配列に基づいて、転写アクチベーター様(TAL)エフェクタータンパク質を合成し、植物発現ベクターでクローニングしてエントリーベクターとして供する。目的に応じて異なるプロトコルを用い、変異誘導タバコ株を作出する:1)1つ以上のエントリーベクター(標的TALを含むpALCS1)でタバコのプロトプラストを直接形質転換して、ランダム配列欠失又は挿入を有する変異誘導タバコ系統を作出する;2)標的挿入配列と相同な配列によって左右の側でフランキングされているドナー配列(例えばレポーター遺伝子、例えばGUS遺伝子)で、タバコのプロトプラストを1つ以上のエントリーベクター(標的TALを含むpALCS1)と一緒に共同形質転換し、レポーター遺伝子を含む変異誘導タバコ系統を作出する;3)点変異を有する標的TALを含むドナー配列で、タバコのプロトプラストを1つ以上のエントリーベクター(標的TALを含むpALCS1)と一緒に共同形質転換し、点変異を有する変異誘導タバコ系統を作出する;4)組織特異的プロモーター配列を含むドナー配列によって、組織特異的態様で内因性遺伝子を発現する変異タバコ系統を作出する;5)前述のドナー配列とレポーター遺伝子構築物との組合せを含むドナー配列によって、変異タバコのスクリーニングを促進する。
生育チャンバー内のマゼンタボックスで生育中のTN90タバコの葉からタバコのプロトプラストを単離する。3-4週齢の植物のよく広がった葉(5cm)の中央部分から0.5-1mmで葉の細片を切り出す。調製しておいた酵素溶液(1% セルロースR10、0.25% マセロザイムR10、0.4M マンニトール、20mM KCl、20mM MES(pH 5.7)、10mM CaCl2、0.1% BSA)に葉の細片を移し、当該細片の両側を浸漬する。葉の細片を30分間デシケーターにより暗所で真空浸潤し、暗所での連続消化は4時間から一晩、室温で振盪しないで実施する。プロトプラストを100μmのナイロンフィルターでろ過し、3mLのリンフォプレップ(Lymphoprep)で精製する。プロトプラストを遠心分離し、W5n溶液(154mM NaCl、125mM CaCl2、5mM KCl、2mM MES、991mg/L グルコース(pH5.7))で洗浄し、更にW5n溶液に最終濃度5x105/mLで懸濁する。プロトプラストを氷上で30分間維持して重力により底に定着させる。W5n溶液を移してプロトプラストをP2溶液に室温で再懸濁する。50μLのDNA(10-20μgのプラスミド)、500μL プロトプラスト(2x105 プロトプラスト)及び550μLのPEG溶液(40%(v/v) 10ml 4g PEG4000、0.2M マンニトール、0.1M CaCl2)を15mLのマイクロヒュージチューブ中で穏かに混合し、この混合物を5分間室温でインキュベートする。
プロトプラストを沈殿させ、1mLの2x 8EN1で再懸濁する(8EN1:MS塩(NH4NO3無し)、MSビタミン、0.2% ミオイノシトール、4mM MES、1mg/L NAA、1mg/L IAA、0.5M マンニトール、0.5mg/L BAP、1.5%シュクロース)。形質転換プロトプラストを低融点アガロース(LMA)の等量とともにゼリー化し、0.2mLのプロトプラスト-LAMを滴下してビーズを形成させる。10mLの8EN1をこのビーズに添加し、7日経過時に5mLの8EN1を取り出し5mLの8EN2(0.25Mのマンニトールを含む8EN1)を添加する。更に7日経過後(14日目)に10mLの8EN1を取り出し10mLの8EN2を添加する。更に7日経過時(21日目)に5mLの8EN2を取り出し5mLの8EN3(3%シュクロースを含みマンニトールを含まない8EN1)を添加する。更に7日後(28日目)に10mLの8EN3を取り出し10mLの8EN3を添加する。プロトプラストをミクロカルスが生長するまで2週間維持する。カルスを、それが約5mmに達するまで(通常は約2週間)NCM固形培地に移す。カルスをTOM-Kan固形培地に移して、シュートに生長させ、本明細書に記載の方法を用いて形質転換タバコ植物体を再生させる。
【実施例0100】
特定されたNic1損傷の更なる確認
遺伝子分離分析が、TN90とLA BU21との交配に由来する522植物体のF2集団で実施された。このF2集団((LA Burey 21xTN90 LC)(X))を、実施例3に記載したNic1及びNic2遺伝子座のPCR系遺伝子型決定に付した。各植物体の総アルカロイドパーセント及びニコチンレベルパーセントもまた実施例3のように測定した。略記すれば、遺伝子型決定のために中間生育期(退避期)のタバコのサンプルを収集した。芽の伸長期に植物体をトッピングした。化学分析用サンプルは植物体のトッピングから2週間後に採取した。
遺伝子型決定データは再び、F2集団におけるNic1及びNic2遺伝子座の分離比は9:3:1であることを確認した。4つの遺伝子型の各々の平均パーセント総アルカロイド及び平均パーセントニコチンレベルもまた、この分離データ及び総アルカロイド及びニコチンレベルについてnic1nic2よりも強い作用を有するという以前の観察と一致する(表13及び14)。このF2集団の遺伝子型及び化学データは更に、各植物体の化学データ(y軸)を遺伝子型(x軸)とともにプロットすることによって図3及び4に示される。図4は、8植物体(おそらくサンプリングエラー又は処理エラーのために取り替えられた)の排除により図3と相違する。
更にまた、BU21同質遺伝子低アルカロイドシリーズの生殖細胞質グループ(LA BU21、LI BU21、HI BU21及びBU21)を2年間にわたって試験した。低アルカロイド形質は、葉のアルカロイドレベルで年ごとの変動の影響を受けない。図5及び6に示されるように、ニコチン含有量のパーセント低下は2年を通して一定であるように見え、この低アルカロイド形質は、環境因子又は野外条件によって影響されないことを示している。
【0101】
表12:nic1及びnic2を分離するより大きなF2集団((LA Burey 21xTN90 LC)(X))の個々の植物体のNic1及びNic2遺伝子型とアルカロイド測定(N/Sはサンプルが存在しないことを示す。星印は4対の隣接植物体を示し(植物体163番及び164番、174番及び175番、361番及び362番、481番及び482番を含む合計8植物体)、ここでDNA又は葉のサンプルはサンプリング、処理又は分析段階でおそらく取り替えられた。この4対の植物体は野外でそれぞれ隣り合っていた)
【0102】
表13:F2分離集団((LA Burey 21xTN90 LC)(X))の遺伝子分離と4つの分離遺伝子型の各々における平均パーセント総アルカロイド及びパーセントニコチンレベル(平均及び標準偏差の両方が示される。サンプル欠損を有する3つの植物体が除去され、分析植物体の総数は518となっている)
表14:おそらく取り替えられた4植物体(植物体163番及び164番、174番及び175番、361番及び362番、481番及び482番)を更に除去した表12の分離集団の再分析
【実施例0103】
特定Nic1遺伝子損傷配列の実証及び洗練のためのゲノム再配列決定
特定されたNic1スカフォールド及び注釈を付された遺伝子のゲノム配列を、パックバイオ社のSMRT配列決定技術(PacBio’s SMRT sequencing technology, NT2.0)を用いて再配列決定した。Nic1遺伝子座領域(NT1.0-スカフォールド0002504)の配列品は改善された。略記すれば、NT2.0-スカフォールド4274の塩基対(bp)の1から133,550(配列番号:73)は、NT1.0-スカフォールド0002504のbp 384,701から542,313とマイナス方向で一致し後者に代えて使用される。NT2.0-スカフォールド14415の塩基対1から59,671(配列番号:74)は、NT1.0-スカフォールド0002504のbp 288,601から363,040とマイナス方向で一致し後者に代えて使用される。
配列番号:21から28で以前に特定された遺伝子については、追加のゲノム配列データは配列番号:75から82でそれぞれ提供される。“g100623_スカフォールド0002504”のcDNA及びタンパク質配列の新規セットもまた特定される(配列番号:46及び66に対して新規な配列はそれぞれ配列番号:83及び84)。
全ての米国特許若しくは外国特許、特許出願の公開広報、非特許文献又は他の本明細書に記載する参考文献の各々は、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
【実施例0104】
細菌人工染色体配列決定を用いるNic1遺伝子損傷領域の完全な配列決定
細菌人工染色体(BAC)ウォーキング法を用いてNic1遺伝子座周辺の完全な配列を作製し、当該ゲノム欠損の境界配列を更に特定した。略記すれば、全ゲノムプロファイリング(WGP)コンティグと密接に関係する21のBACクローンを特定してプールし、それぞれ7BACで構成される3プールを形成した。各プールの配列決定を別々のSMRT細胞(PacBio)で別個に実施した。これらの配列は14コンティグにアッセンブリーされ、前記は更に、各コンティグのどちらかの末端の1000bpをブラストする(blasting)ことによって得られる配列情報を重ね合わせることによって1つのコンティグにアッセンブリーされた。得られた参照コンティグを用いて、BU21、HI BU21、LI BU21、及びLA BU21系統の再配列決定データをリマッピングした。全Nic1欠失にまたがる425,001bp連続領域(配列番号:85)を特定した。表15は、最良のBLASTヒットに基づくコードタンパク質についての機能的情報を有する15の特定された遺伝子モデルの詳細を提供する。これら15の遺伝子の配列番号:85における相対的な位置は図7で見出すことができる。ゲノム配列(配列番号:86から100)、コード配列(配列番号:101から115)及びタンパク質配列(配列番号:116から130)が、15のNci1欠失遺伝子(NDG1からNDG15)について提供される。これらのうちで、配列番号:86、87及び90から100で提供されるゲノム配列データは、配列番号:28、13、20、22、11、17、23、26、21、27、14、25及び24で以前に特定された13の遺伝子モデルとそれぞれ一致する。NDG1からNDG15のサイレンシングのためにRNAi構築物が構築され、それらはまた、より低いアルカロイドレベルを有するトランスジェニックタバコ植物体の作出に用いられる。
【実施例0105】
nic1及びnic2の選別のための更に別のSNPマーカーの開発
nic1及びnic2変異を保有する植物体のより効率的な選別を提供するために、12のSNP(各遺伝子座のために6SNP)によってフランキングされるnic1及びnic2欠失を特定して、共優性マーカーを開発する。各遺伝子座領域の3つのSNPの上流及び3つのSNPの下流を用いる。SNP多形の各々は対応する欠失領域から100kb未満に存在する。表16は、各SNPについて相対的な位置及び配列多形に関する詳細を提供し、更にまた各SNPの上下流60bpの配列情報を提供する。遺伝子型決定のために特定SNPに基づいて、高処理競合対立遺伝子特異的PCRTM又はKASPTM(LGC Genomics, Beverly, Massachusetts)を設計する。これらのSNPマーカーを用いて、nic1又はnic2欠失についてヘテロ接合性植物体を検出することができ、更に不良なPCR反応から真のホモ接合性欠失を識別することができる。実施例11のF2集団((LA Burey 21xTN 90LC)(X))の遺伝子型決定について2つのSNPマーカーの効率性が表18に示されている(表12の植物体1から72を参照されたい)。
【実施例0106】
nic1に随伴するERF遺伝子の特定
ERF遺伝子(“ERF-39様”と称される)は、Nic1欠失領域の307,823bp下流で特定された。この遺伝子の直近が与えられたので、2つの隣り合うSNPマーカー(配列番号:143及び144)が遺伝子型決定及び追跡のために特定された。この2つのSNPの詳細は表17に提供される。ERF-39様遺伝子のゲノム配列、cDNA配列、及びタンパク質配列は、配列番号:145から147でそれぞれ提供される。ERF-39遺伝子を過剰発現又はダウンレギュレートする(例えばRNAi、人工miRNA、化学的変異誘導又は標的指定ゲノム編集による)植物体を作出し、植物体のニコチンレベルにおけるこの遺伝子の作用を査定する。
【実施例0107】
遺伝子サイレンシング及びゲノム編集による低アルカロイドタバコ植物体の開発
低ニコチンを有し一方で高い葉の品質を維持するタバコの系統は、標的指定ゲノム編集技術を介してNic1遺伝子座又はNic2遺伝子座に機能低下又はヌル変異を導入することによって作出される。ゲノム編集技術の例は、実施例10に記載する転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、及びCRISPRである。ゲノム改変は、商業的タバコ品種(例えばTN90、K326及び細葉マドール)で実施される。1つ以上のNDG、Nic2遺伝子座の1つ以上のERF遺伝子、又は前記の組み合わせの抑制発現を有するまた別のタバコの系統は、遺伝子サイレンシング(例えばRNAi、人工/合成ミクロRNA又は他の小RNA媒介技術)を介して作出される。NDG1からNDG15を標的とする例示的なRNAiカセット配列は表15に挙げられている。
例えば、実施例10に記載するようにプロトプラストを調製する。転写アクチベーター様エフェクタータンパク質のための配列を含む1つ以上のエントリーベクター(Nic1(例えばNDG1又はNDG2)、ERF-39様、及びNic2(例えばERF189又は表11の別のERF遺伝子)の標的配列に特異的である)を合成し、前記を用いて単離プロトプラストを形質転換する。また別には、Nic1及びNic2遺伝子座の変異はプラスミドを用いないでCRISPRにより達成される。この場合には、プロトプラストはCas9、ガイドRNA及びポリエチレングリコール(PEG)を用いて形質転換される。
作出植物体は、Nic1、Nic2又はその両方に遺伝子変異を含み、低ニコチン品種を構成する。また別に、Nic1変異対立遺伝子を含む品種は、Nic2変異対立遺伝子を含む別の品種と交配される。この交配は、更に低いニコチン含有量を有し一方で高い葉の品質を有する、所望の遺伝的バックグラウンドをもつ栽培品種を生じるであろう。また別の選択肢として、遺伝子サイレンシング及びゲノム編集を実施例10に記載したように利用して、Nic1及びNic2変異又は欠失を同時に導入することができる。
【0108】
表15:本表ではNic1遺伝子座内のコード配列(CDS)の配置の詳細及び対応するタンパク質の最低E値を有するBLASTヒットが提供される(倒置リピート含有RNAiカセットの配列は配列番号として挙げられている。RNAiベクターのT-DNAカセット配列は配列番号:69及び70で見出すことができる)
【0109】
【0110】
表16:Nci1又はNic2欠失領域にフランキングするSNPマーカー(REFは参照TN90対立遺伝子の配列を指す。ALTは対応する欠失領域と密接に関係するまた別の対立遺伝子を指す。4品種(BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21)の遺伝子型が示され、この場合、“00”は参照TN90対立遺伝子に対してホモ接合性で、“11”はALT対立遺伝子に対してホモ接合性である。配列内の多形性部位は“X”で示される)
【0111】
【0112】
表17:Nci1欠失領域に随伴するERF-39様遺伝子にフランキングするSNPマーカー(相対的位置(上流/下流)が示されている。本表では、TN90の参照対立遺伝子(REF)、また別の対立遺伝子(ALT)、4品種(BU21、HI BU21、LI BU21及びLA BU21)の遺伝子型、及びフランキングする位置を有するSNPの配列が提供される。“00”は参照TN90対立遺伝子に対してホモ接合性であることを示し、“11”はALT対立遺伝子に対してホモ接合性であることを示し、“01”はヘテロ接合性であることを示す。配列内の多形性部位は“X”で示される)
【0113】
【0114】
表18:実施例11のF2集団(nic1又はnic2を分離する(LA Burey 21xTN 90LC)(X))の遺伝子型決定のための遺伝子特異的プライマー及びSNPマーカーの比較(F2_1からF2_72植物体は表12の1番から72番を指す。*:遺伝子型は不明、anic1又はnic2のどちらかについてホモ接合性、bnic1又はnic2のどちらかについてヘテロ接合性。影付き枠は、遺伝子型決定の結果が遺伝子特異的プライマーとフランキングSNPとの間で一致することを示す)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2022025093000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:131~133からなる群より選択される第1のSNPマーカーの第1の対立遺伝子および配列番号:134~136からなる群より選択される第2のSNPマーカーの第2の対立遺伝子を含むNic1遺伝子座と、
配列番号:137~139からなる群より選択される第3のSNPマーカーの第3の対立遺伝子および配列番号:140~142からなる群より選択される第4のSNPマーカーの第4の対立遺伝子を含むNic2遺伝子座と
を含む、タバコ植物体またはその部分であって、
前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体の葉のUSDA等級指標値の少なくとも約65%のUSDA等級指標値を有する葉を産出し;
前記コントロール植物体が、前記Nic1遺伝子座と前記Nic2遺伝子座を除いて前記タバコ植物体と本質的に同一の遺伝的バックグラウンドを共有し;
前記タバコ植物体が、乾燥重量を基準として2.0%未満のニコチンレベルを含み;
前記第1のSNPマーカーの第1の対立遺伝子が、
配列番号:131の多形性部位でのヌクレオチドA、
配列番号:132の多形性部位でのヌクレオチドT、および
配列番号:133の多形性部位でのヌクレオチドG
からなる群より選択される1つ以上のヌクレオチドを含み;ならびに
前記第2のSNPマーカーの第2の対立遺伝子が、
配列番号:134の多形性部位でのヌクレオチドC、
配列番号:135の多形性部位でのヌクレオチドT、および
配列番号:136の多形性部位でのヌクレオチドG
からなる群より選択される1つ以上のヌクレオチドを含み;ならびに
前記第3のSNPマーカーの第3の対立遺伝子が、
配列番号:137の多形性部位でのヌクレオチドC、
配列番号:138の多形性部位でのヌクレオチドA、および
配列番号:139の多形性部位でのヌクレオチドA
からなる群より選択される1つ以上のヌクレオチドを含み;ならびに
前記第4のSNPマーカーの第4の対立遺伝子が、
配列番号:140の多形性部位でのヌクレオチドA、
配列番号:141の多形性部位でのヌクレオチドG、および
配列番号:142の多形性部位でのヌクレオチドC
からなる群より選択される1つ以上のヌクレオチドを含む、
前記タバコ植物体またはその部分。
【請求項2】
前記タバコ植物体が、50以上のUSDA等級指標値を有する葉を産出することができる、請求項1に記載のタバコ植物体またはその部分。
【請求項3】
前記タバコ植物体が、同様な生育条件で生長させたときのコントロール植物体のニコチンレベルの25%より低いレベルのニコチンを含む、請求項1に記載のタバコ植物体またはその部分。
【請求項4】
請求項1に記載のタバコ植物体またはその部分に由来する、乾燥タバコ材料。
【請求項5】
鉄管乾燥、空気乾燥、直火乾燥、および天日乾燥からなる群より選択される乾燥プロセスによって製造される、請求項4に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項6】
請求項4に記載の乾燥タバコ材料を含む、タバコ製品。
【請求項7】
紙巻きタバコ、シガリロ、非通気リセスフィルター紙巻きタバコ、通気リセスフィルター紙巻きタバコ、葉巻、かぎタバコ、パイプタバコ、葉巻のタバコ、紙巻きタバコのタバコ、かみタバコ、葉タバコ、刻みタバコ、およびカットタバコからなる群より選択される、請求項6に記載のタバコ製品。
【請求項8】
無煙タバコ製品である、請求項6に記載のタバコ製品。
【請求項9】
前記タバコ植物体またはその部分が、同様な生育条件で生長させたときのコントロールタバコ植物体のニコチンレベルの20%より低いレベルのニコチンを含む、請求項4に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項10】
前記タバコ植物体が、葉巻タバコ、鉄管乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、ダーク直火乾燥タバコ、ガルパオタバコ、およびオリエンタルタバコからなる群より選択される品種に由来する、請求項4に記載の乾燥タバコ材料。
【請求項11】
請求項1に記載のタバコ植物体を生じる、タバコ種子。
【請求項12】
前記Nic1遺伝子座、前記Nic2遺伝子座、またはその両方が、LA Burley 21にも存在する、請求項1に記載のタバコ植物体またはその部分。