(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025230
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】手洗いチェックシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/20 20170101AFI20220203BHJP
A47K 1/00 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
A47K1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127924
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】593012310
【氏名又は名称】菱熱工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520283244
【氏名又は名称】株式会社トラッド
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】杉本 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】池上 真利奈
(72)【発明者】
【氏名】山田 しおり
(72)【発明者】
【氏名】恩地 和利
(72)【発明者】
【氏名】張 斗烈
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA03
5L096FA69
5L096HA02
(57)【要約】
【課題】 適切な手洗いが実行されたか否かチェックをすることができると共に、手洗いを行っているユーザーを認識することもできる画期的な手洗いチェックシステムの提供。
【解決手段】 本発明に係る手洗いチェックシステムは、シンク内において蛇口から落下する水によって行う手洗いをチェックするシステムであって、ユーザーの手洗い動作を撮影するカメラ部と、ユーザーの手洗い対象部位が上記シンク内に存することを検知するセンサー部と、上記カメラ部で撮影した画像を記憶する記憶部と、上記センサー部による検知に基づき手洗いが行われているか否かを判定する判定部と、上記判定部による判定結果を表示するモニター部を備え、上記カメラ部は上記シンク内において上記水の落下経路付近にローアングルで設置し、ユーザーの手洗い対象部位と共にユーザーの胸部又は/及び顔部を撮影することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク内において蛇口から落下する水によって行う手洗いをチェックするシステムであって、ユーザーの手洗い動作を撮影するカメラ部と、ユーザーの手洗い対象部位が上記シンク内に存することを検知するセンサー部と、上記カメラ部で撮影した画像を記憶する記憶部と、上記センサー部による検知に基づき手洗いが行われているか否かを判定する判定部と、上記判定部による判定結果を表示するモニター部を備え、上記カメラ部は上記シンク内において上記水の落下経路付近にローアングルで設置し、ユーザーの手洗い対象部位と共にユーザーの胸部又は/及び顔部を撮影することを特徴とする手洗いチェックシステム。
【請求項2】
上記センサー部を上記カメラ部と近接且つ上記カメラ部と同アングルで設置することを特徴とする請求項1記載の手洗いチェックシステム。
【請求項3】
上記センサー部が最初にユーザーの手洗い対象部位を検知した時からの経過時間によって複数の手洗い手順を設定し、該手洗い手順ごとに上記判定部は判定を行い、上記モニター部は上記判定結果と共に、上記経過時間に応じて、手洗い手順を表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の手洗いチェックシステム。
【請求項4】
上記判定部は上記手洗い手順ごとの判定において、上記手洗い手順ごとに予め設定された第一判定時間に基づき判定を行うと共に、該第一判定時間に基づく判定がNGの場合には上記手洗い手順の全てに共通に予め設定された第二判定時間に基づき再度判定を行うことを特徴とする請求項3記載の手洗いチェックシステム。
【請求項5】
上記カメラ部で撮影した画像を上記モニター部で表示できることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の手洗いチェックシステム。
【請求項6】
上記カメラ部、上記記憶部、上記判定部及び上記モニター部として、タブレット型の携帯端末を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の手洗いチェックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な手洗いが実行されたか否かをチェックするシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛生管理が重要な場所、例えば、食品工場等の食品や薬品を扱う施設、病院等の医療施設では、然るべき方法で手洗いを行うことが必要とされている。また、昨今では、感染症対策として手洗いが注目を浴びており、上記のような場所以外でも適切な手洗いを行うことが生活様式の一部となりつつある。
【0003】
しかし、上記のような衛生管理が重要な場所に従事している、適切な手洗い方法(手洗い手順、手洗い動作等)を理解し実行できる人間でも、人間である限り、ミスを犯してしまうおそれはある。また、適切な手洗い方法を理解すらしていない人間、理解していても適切に実行できない人間も当然にいる。
【0004】
よって、特に上記のような衛生管理が重要な場所では、手洗いの確認や注意喚起等を行う専門の人材が必要であり、人材面及びコスト面で多大な負担となっていた。
【0005】
したがって、対象者が手洗いに対してどのようなレベルの人間であっても、手洗い方法が適切か否かを容易に且つ自動的にチェックしたいという要望があり、たとえば下記特許文献1・2に示すように、適切な手洗いがなされているか否かをチェックするシステムが種々開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-180046号公報
【特許文献2】特開2017-134712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のシステムも、上記特許文献2のシステムも、撮影手段を備えており、ユーザーによる手洗いが行われている時の手洗い対象部位、すなわち手の指、手のひら、手の甲、手首等を撮影し、当該撮影した画像(動画又は静止画)を分析して、適切な手洗いがなされているか否かをチェックしている。
【0008】
当該画像分析により、上記特許文献1・2のシステムは、ユーザーが手洗い対象部位をどのような手順でどのように動かしているかを判断することができ、手洗い手順はもちろんのこと、手洗い動作のチェックも可能である。
【0009】
しかしながら、画像解析によるチェックは、撮影画像から手洗い対象部位を検出し、その検出した手洗い対象部位がどのように動作しているかを認識し、その認識した動作が適切な動作か否かを判定する等の煩雑なステップにより初めて成立するものであり、当然にシステム構成や、画像解析手法(手洗い対象部位検出手法、動作認識手法、動作判定手法等)が複雑となり、ひいてはコスト高となる。
【0010】
また、上記特許文献1・2のシステムにあっては、上記画像解析のために、できるだけ手洗い対象部位のみを撮影することが要求されるのであり、手洗い対象部位以外の身体部位が写り込むことは敬遠される。
【0011】
したがって、上記特許文献1・2の発明においては、画像だけで個人識別できる身体部位、たとえば顔部を手洗い対象部位と同時に撮影するということを思考だにしていない。そのため、手洗いを行っているユーザーが誰であるのかを認識する手段が別途必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、画像解析を排した簡便な構成でありながら、適切な手洗いが実行されたか否かをチェックをすることができると共に、手洗いを行っているユーザーを認識することもできる画期的な手洗いチェックシステムを提供する。
【0013】
要述すると、本発明に係る手洗いチェックシステムは、シンク内において蛇口から落下する水によって行う手洗いをチェックするシステムであって、ユーザーの手洗い動作を撮影するカメラ部と、ユーザーの手洗い対象部位が上記シンク内に存することを検知するセンサー部と、上記カメラ部で撮影した画像を記憶する記憶部と、上記センサー部による検知に基づき手洗いが行われているか否かを判定する判定部と、上記判定部による判定結果を表示するモニター部を備え、上記カメラ部は上記シンク内において上記水の落下経路付近にローアングルで設置し、ユーザーの手洗い対象部位と共にユーザーの胸部又は/及び顔部を撮影することにより、簡易構成でありながら、上記センサー部及び上記カメラ部で適切な手洗いの実行をチェックすることができると共に、上記カメラ部でユーザーの個別認識をも可能とする。
【0014】
好ましくは、上記センサー部を上記カメラ部と近接且つ上記カメラ部と同アングルで設置することにより、的確に手洗いチェックをすることができる。
【0015】
また、上記センサー部が最初にユーザーの手洗い対象部位を検知した時からの経過時間によって複数の手洗い手順を設定し、該手洗い手順ごとに上記判定部は判定を行い、上記モニター部は上記判定結果と共に、上記経過時間に応じて、手洗い手順を表示することにより、ユーザーに対して、為すべき手洗い手順を表示しつつ当該手順を確実に実行するように促すことができる。
【0016】
好ましくは、上記判定部は上記手洗い手順ごとの判定において、上記手洗い手順ごとに予め設定された第一判定時間に基づき判定を行うと共に、該第一判定時間に基づく判定がNGの場合には上記手洗い手順の全てに共通に予め設定された上記第一判定時間よりも長時間の第二判定時間に基づき再度判定を行うことにより、二段階で判定することができ、ユーザーに対して、上記第一判定時間に基づく判定がNGであっても、警告を行いつつ適切な手洗いへの復帰を促すことができる一方、上記第二判定時間に基づく判定により最終的なNGを示すことができる。
【0017】
また、上記カメラ部で撮影した画像を上記モニター部で表示できることにより、ユーザーは自身が行った手洗い手順や手洗い動作の確認ができるのは勿論のこと、管理者が誰がいつどのような手洗いを行ったかを確認することができる。
【0018】
また、上記カメラ部、上記記憶部、上記判定部及び上記モニター部として、タブレット型の携帯端末を用いることにより、システム構成をさらにシンプル化することができると共に、導入コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る手洗いチェックシステムによれば、簡易構成でありながら、適切な手洗いのチェックと、ユーザーの個別認識の双方を実現することができる。また、ユーザーに対して、適切な手洗いを促すことができる。
【0020】
また、本発明に係る手洗いチェックシステムは、低コストで導入することができると共に、簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る手洗いチェックシステムの設置状態を示す説明図である。
【
図2】
図1のケーシングを説明する図であり、(A)は防水カバー部を正面視した図、(B)は(A)のA-A線断面図である。
【
図3】本発明に係る手洗いチェックシステムの設置状態の他例を示す説明図である。
【
図4】
図3のケーシングを説明する図であり、(A)は防水カバー部を正面視した図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
【
図5】本発明に係る手洗いチェックシステムの構成図である。
【
図6】第一・第二判定時間に基づく判定の流れを示すフローチャートである。
【
図7】カメラ部により撮影した画像の構図を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る手洗いチェックシステムの最良の形態を
図1乃至
図5に基づき説明する。
【0023】
<システム内部構成>
本発明に係る手洗いチェックシステム1は、
図1・
図3に示すように、ユーザーが使用する手洗い用のシンク11内に設置して使用に供するシステムであって、蛇口12から吐出され落下する水によって行う手洗いをチェック対象とするものである。
【0024】
本発明に係る手洗いチェックシステム1は、
図5にも示すように、まず、ユーザーの手洗い対象部位(手の指、手のひら、手の甲、手首等)がシンク11内に存することを検知するセンサー部2を備える。センサー部2は、手洗い対象部位を検知することができれば良く、特にセンサーの種類は限定しないが、たとえば既知の人感センサーに用いる光センサー等を用いる。また、センサー部2は、既述のように、手洗い対象部位がシンク11内に存することを検知できれば良いが、好ましくは水の落下経路及び当該落下経路の近傍に手洗い対象部位が存することを検知するようにする。誤検知を防ぐためである。さらに、センサー部2は、所望の検知が達成できれば、設置位置は特に限定されないが、後述のように、カメラ部3aの近傍に設置することが望ましい。
【0025】
また、本発明に係る手洗いチェックシステム1におけるセンサー部2以外の構成として、
図1・
図2,
図3・
図4又は
図5に示すように、タブレット型の携帯端末3内に、カメラ部3aと、記憶部3c及び判定部3dを有する制御部3bと、モニター部3eを基本構成として備える。
【0026】
カメラ部3aはデジタルカメラから成り、後述する位置・角度にて設置され、ユーザーの手洗い動作を撮影する。後述するように、ユーザーの手洗い動作、胸部又は/及び顔部を確認することができる画像を撮影することができれば、カメラ部3aのレンズ性能や画質については特に限定はない。
【0027】
また、記憶部3cは、カメラ部3aで撮影した画像(静止画又は動画)を記憶する他、手洗い手順に関する説明文や説明画像(静止画又は動画)、後述する第一判定時間及び第二判定時間に関する情報を記憶する。また、記憶部3cは、判定部3dによる判定結果を当該判定結果に関連する画像に紐づけして記憶する。なお、必要に応じて、手洗いへの復帰を促す警告メッセージや警告音を記憶することもできる。
【0028】
また、判定部3dは、センサー部2による検知に基づき手洗いが行われているか否かを判定する。判定の具体的なステップは後述する。
【0029】
また、モニター部3eは、判定部3dによる判定結果を表示するのみならず、手洗い手順に関する説明文や説明画像を記憶部3cから呼び出して表示することができる。さらに、カメラ部3aで撮影した画像をリアルタイムに又は記憶部3cから呼び出して表示することができる。よって、ユーザーは自身が行った手洗い手順や手洗い動作の確認ができるのは勿論のこと、管理者が誰がいつどのような手洗いを行ったかを確認することができる。ただし、撮影画像は記憶部3cから呼び出したときのみモニター部3eに表示することとし、さらには記憶部3cから呼び出すことができる権限を管理者のみとすることにより、撮影画像を厳重に管理し、ユーザーによる画像削除等の不正行為を防止することができる。
【0030】
なお、既述のように、本実施例においては、携帯端末3がもともと備えるカメラ部3a、制御部3b(記憶部3c及び判定部3d)及びモニター部3eを利用する。換言すれば、携帯端末3のOS(Operation System)上で動作するアプリケーションプログラムを介して、カメラ部3a、記憶部3c、判定部3d及びモニター部3eを活用することができ、システム構成をよりシンプルにすることができると共に、導入コストを抑えることができる。ただし、本発明にあっては、カメラ部3a、記憶部3c、判定部3d及びモニター部3eがそれぞれ別個独立の相互に通信できる装置であっても良い。
【0031】
また、
図5に示す3gはスピーカー部であり、後述するように、警告音を発する際に用いることができる。
【0032】
既述したセンサー部2と携帯端末3(カメラ部3a、記憶部3c、判定部3d及びモニター部3e)は、それぞれが有する通信部2a・3fによって通信し、センサー部2による手洗い対象部位の検知情報は通信部2a・3fを介して判定部3dに伝達される。通信は無線通信でも有線通信でも良いが無線通信が望ましい。また、無線通信用の電波は、特に限定はないが、たとえばBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LoRa(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、LTE(Long term evolution)(登録商標)等の無線通信に用いる電波を用いることができる。また、センサー部2と携帯端末3は、それぞれ、乾電池等の一次電池や内臓バッテリー等の二次電池を電源として使用する他、商用電源を電源として使用することができる。
【0033】
<システム配置構成>
本発明にあっては、
図1・
図3に示す如く、カメラ部3aを単にシンク11内に配するのではなく、水13の落下経路付近にローアングルで設置する。たとえば、
図1に示すように、シンク11の奥行がある程度長いときには、カメラ部3aをモニター部3eよりも下方に配する一方、
図3に示すように、シンク11の奥行が短いときには、カメラ部3aをモニター部3eより上方に配して、カメラ部3aを可及的に明るい位置に配することができるが、いずれにしても、水13の落下経路付近にローアングルで設置することに変わりはない。
【0034】
図1・
図3のように設置したカメラ部3aによれば、手洗い対象部位をローアングルで撮影することができ、たとえば
図7に示すように、ユーザー20の手洗い対象部位21のみならず、胸部22や顔部23を併せて撮影することができる。そのため、撮影画像によってユーザー20が誰であるのかを容易に特定することができる。また、ユーザー20が胸部22にネームプレート付けている場合等には手洗い対象部位21と胸部22のみを撮影し顔部23を撮影しないようにカメラ部3aを設置しても良い。又は、手洗い対象部位21と顔部23のみを撮影し胸部22を撮影しないようにカメラ部3aを設置することも、実施に応じ任意である。また、本発明において、このカメラ部3aによるユーザー認識以外に、既知の個人識別手段、例えばQRコード(登録商標)やNFC(Near Field Communication)タグを介した個人識別手段を用いてユーザーの識別をより確実にすることは当然に可能である。
【0035】
なお、
図1乃至
図4に示すように、センサー部2はカメラ部3aと近接且つ同カメラ部3aと同アングルで設置することが望ましい。カメラ部3aによる撮影画像とセンサー部2の検知情報をできるだけ整合性をとりつつ取得するためであり、的確に手洗いチェックをするためである。
【0036】
本発明にあっては、既述したセンサー部2と携帯端末3(カメラ部3a、記憶部3c、判定部3d及びモニター部3e)をケーシング4によって設置することにより、簡単に最適な位置や角度で配することができる。
【0037】
詳述すると、ケーシング4は、
図2・
図4に示すように、センサー部2と携帯端末3を所望の角度に傾斜させつつ保持する土台部4bと、該土台部4bによって保持されたセンサー部2と携帯端末3を保護する防水カバー部4aとを備え、該防水カバー部4aは開閉可能となっている。また、土台部4bには端末固定用仕切り4cとセンサー部固定用仕切り4dを設け、携帯端末3とセンサー部2を確実に保持する。なお、端末固定用仕切り4cとセンサー部固定用仕切り4dは、センサー部2や携帯端末3の大きさや形状等、センサー部2や携帯端末3が商用電源を使用する場合には電源コードの配設に基づいて、適宜、位置等を調整することができる。
【0038】
また、防水カバー部4aは、アクリルやポリカーボネートのような、透明で視認性が良く、防水性能を有する材で構成することが望ましく、このような材で構成することによって、センサー部2による検知や、カメラ部3aによる撮影、モニター部3eの視認性が向上する。
【0039】
再述すれば、このようにケーシング4を用いてセンサー部2と携帯端末3を設置することにより、これらを簡単に設置できることは勿論のこと、カメラ部3aのアングル角度や、カメラ部3aとセンサー部2との位置関係も最適に調整して設置することができる。
【0040】
<判定ステップ>
次いで、具体的な手洗いチェックのステップ、つまり判定部3dによる判定のステップについて説明する。
【0041】
まず、前提として、次のような手洗い手順が設定されているものとする。手洗い手順は、センサー部2が最初にユーザーの手洗い対象部位を検知した時からの経過時間によって設定される。そのため、一番目の手洗い手順(手洗い手順1)はセンサー部2が最初にユーザーの手洗い対象部位を検知した時に開始される。なお、モニター部3eは判定部3dによる判定結果と共に、上記経過時間に応じて、手洗い手順に関する説明文や説明画像を表示することにより、ユーザーに対して、為すべき手洗い手順を表示しつつ当該手順を確実に実行するように促すことができる。
【0042】
・手洗い手順1
〔動作〕手を濡らす。〔案内時間〕3秒〔第一判定時間〕2秒
・手洗い手順2
〔動作〕せっけんを適量とる。〔案内時間〕2秒〔第一判定時間〕3秒
・手洗い手順3
〔動作〕手のひらをこすり合わせて泡立てる。〔案内時間〕4秒〔第一判定時間〕1秒
・手洗い手順4
〔動作〕手の甲をこする。指の間を洗う。〔案内時間〕17秒〔第一判定時間〕1秒
・手洗い手順5
〔動作〕親指と手のひらを捩じり洗いする。〔案内時間〕10秒〔第一判定時間〕1秒
・手洗い手順6
〔動作〕指先・爪の間を念入りにこする。〔案内時間〕9秒〔第一判定時間〕1秒
・手洗い手順7
〔動作〕手首を洗う。〔案内時間〕5秒〔第一判定時間〕1秒
・手洗い手順8
〔動作〕流水ですすぐ。〔案内時間〕10秒〔第一判定時間〕5秒
・手洗い手順9
〔動作〕タオルで水分を拭き取る。〔案内時間〕3秒〔第一判定時間〕4秒
・第二判定時間 15秒
【0043】
上記のように、手続手順ごとに第一判定時間が設定されている。また、第二判定時間は手洗い手順の全てに(最初の手洗い手順から最後の手洗い手順までに)共通に設定されており、第一判定時間よりも長時間である。また、案内時間は手洗い手順の説明文や画像をモニター3eに表示する時間である。上記の手続手順や手続手順ごとに設定されている第一判定時間や案内時間は例示であり、実施に応じ任意に調整することができる。
【0044】
判定部3dは、手洗い手順ごとに第一判定時間に基づき適切な手洗いが実行されているか否かを判定する。具体的には、判定部3dは、センサー部2が手洗い対象部位を検知していない連続時間が第一判定時間に達しない場合には、その手洗い手順に対しては適切に行われたとして「OK」と判定する。逆にセンサー部2が手洗い対象部位を検知していない連続時間が第一判定時間に達した場合には、その手洗い手順に対しては適切に行われなかったとして「NG」と判定する。
【0045】
また、判定部3dは、第二判定時間に基づき手洗い全体が適切に実行されているか否かを判定する。すなわち、判定部3dは、センサー部2が手洗い対象部位を検知していない連続時間が第二判定時間に達した場合には、その手洗い全体が適切に行われなかったとして「NG」と判定し、次のステップへは進まない。逆に、判定部3dは、センサー部2が手洗い対象部位を検知していない連続時間が第二判定時間に達しなかった場合には、その手洗い全体が適切に行われたとして「OK」と判定する。
【0046】
これら第一・第二判定時間に基づく判定を、
図6を用いて説明すると、判定部3dは、手洗い手順1「手を濡らす」においては、センサー部2が手洗い対象部位を検知していない時間が連続して第一判定時間「3秒」に達したか否かを判定し、検知していない連続時間が「3秒」に達していなければ、手洗い手順1における手洗いは「OK」と判断して、次の手洗い手順2の判定へと進み、検知していない連続時間が「3秒」に達したときには、第二判定時間に基づく判定へと進む。…S1
【0047】
そして、第二判定時間に基づく判定において、判定部3dは、第二判定時間「15秒」の間にセンサー部2が手洗い対象部位を再検知すれば、手洗い対象部位を検知していない連続時間が第二判定時間「15秒」に達しなかったとして、手洗い全体として「OK」と判定する余地があるので、手洗い手順2の判定へと進む。逆に、第二判定時間「15秒」の間にセンサー部2が手洗い対象部位を再検知せずに、手洗い対象部位を検知していない連続時間が第二判定時間「15秒」に達した場合は、手洗い全体として「NG」と判定し、次のステップへは進まない。…S2
【0048】
また、手洗い手順2「せっけんを適量とる」にあっては、手洗い対象部位がセンサー部2が検知できない領域に移動する可能性が高いので、第一判定時間は案内時間「2秒」よりも長い「3秒」に設定されている。よって、判定部3dは、手洗い手順2に対しては、実質的に判定を行わず、そのまま手洗い手順3の判定へと進む。…S3
【0049】
手洗い手順1のように、第一判定時間が案内時間より短い場合には、判定部3dは、上記S1又はS2で示したステップを繰り返す。したがって、手洗い手順3「手のひらをこすり合わせて泡立てる」のように、設定された第一判定時間「1秒」が案内時間「4秒
」よりも短ければ、まず当該手順に対する判定をするステップS4は上記S1と同様であり、第二判定時間に基づく判定をするステップS5は上記S2と同様である。
【0050】
以下、各手洗い手順に対して、判定部3dは、当該手順における第一判定時間が案内時間より短い場合には上記S1又はS2で示したステップを繰り返し、当該手順における第一判定時間が案内時間より長い場合には上記S3で示したステップを行い、最終的にセンサー部2が手洗い対象部位を検知していない連続時間が第二判定時間「15秒」に達しなかった場合には、手洗い全体を「OK」と判定する。
【0051】
以上のように、判定部3dは手洗い手順ごとの判定において、予め設定された第一判定時間に基づき判定を行うと共に、該第一判定時間に基づく判定がNGの場合には手洗い手順の全てに共通に予め設定された第二判定時間に基づき再度判定を行うことにより、二段階で判定することができる。
【0052】
よって、ユーザーに対して、第一判定時間に基づく判定がNGであっても、警告を行いつつ適切な手洗いへの復帰を促すことができる一方、第二判定時間に基づく判定により最終的なNGを示すことができる。
【0053】
なお、上述のように、第一判定時間に基づく判定がNGのときの警告において、モニター部3eに警告メッセージを表示させる他、スピーカー部3gから警告音を発することも可能である。また、上述の説明では、第一判定時間を「手洗い対象部位の連続不検知時間」として説明したが、第一判定時間を「手洗い対象部位の連続検知時間」とすることも実施に応じ任意である。第一判定時間を「手洗い対象部位の連続検知時間」としたときには、第一判定時間を0秒より長く設定すれば、上記S1やS4のステップにおいては、連続検知時間が第一判定時間に達したか否か判定することとなり、第一判定時間を0秒に設定すれば、上記S3のステップにおいては、実質的に判定を行わずに、次のステップへ進むこととなる。
【符号の説明】
【0054】
1…手洗いチェックシステム、2…センサー部、2a…通信部、3…携帯端末、3a…カメラ部、3b…制御部、3c…記憶部、3d…判定部、3e…モニター部、3f…通信部、3g…スピーカー部、4…ケーシング、4a…防水カバー部、4b…土台部、4c…端末固定用仕切り、4d…センサー部固定用仕切り、11…シンク、12…蛇口、13…水、20…ユーザー、21…手洗い対象部位、22…胸部、23…顔部。