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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025249
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20220203BHJP
   B28C 5/42 20060101ALI20220203BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B28C5/42
B60P3/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020127969
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 久栄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
【テーマコード(参考)】
3D020
4G056
【Fターム(参考)】
3D020BA05
3D020BA09
3D020BB07
3D020BC01
3D020BE03
4G056CC24
4G056CD64
(57)【要約】
【課題】表示装置を冗長化する。
【解決手段】表示装置100は、ミキサ車1のミキサドラム3の作動状態を表示する表示モニタ60と、その点灯態様によってミキサドラム3の作動状態を表示する第1ランプ61及び第2ランプ62と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特装車に搭載される表示装置であって、
前記特装車の架装物の作動状態を表示する表示モニタと、
その点灯態様によって前記架装物の作動状態を表示する表示ランプと、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示モニタ及び前記表示ランプの作動を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、前記特装車を制御するECUと通信可能に構成され、
前記表示ランプは、
前記架装物が正常に作動していることを表す正常作動状態と、
前記架装物の作動に異常が生じたことを表す異常発生状態と、
前記コントローラと前記ECUとの間で通信異常が生じたことを表す通信異常状態と、を表示可能に構成され、前記通信異常状態、前記異常発生状態、前記正常作動状態の順で優先して表示することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示モニタ及び前記表示ランプの作動を制御するコントローラと、
前記コントローラの温度を測定する温度検出部と、をさらに備え、
前記コントローラは、前記温度検出部が測定した温度が、所定の制限温度以上である場合には、前記表示モニタを起動させずに停止させる高温待機制御を実行し、
前記表示ランプは、前記高温待機制御が実行されていることを表示可能に構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示ランプの前記点灯態様には、消灯、点灯、及び点滅が含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ミキサ車の運転室内に設けられ、コントローラあるいは管理サーバ等から送信された報知情報に応じて、画像の表示処理等を行う液晶ディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-189966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミキサ車などの特装車の架装物の作動状態を表示する表示装置で故障が生じると、作業者が架装物の作動状態を適切に把握できないため、架装物そのものには不具合が生じていないにもかかわらず、特装車での作業を中断しなければならないことがあった。このような事態に対応するために、特装車の表示装置に対する冗長化が求められている。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、特装車の架装物の作動状態を安定して把握可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特装車に搭載される表示装置であって、特装車の架装物の作動状態を表示する表示モニタと、その点灯態様によって架装物の作動状態を表示する表示ランプと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、表示モニタが情報を適切に表示できない状態であっても、表示ランプによって車両の架装物の作動状態を把握することができる。
【0008】
また、本発明は、表示モニタ及び表示ランプの作動を制御するコントローラを備え、コントローラが、特装車両を制御するECUと通信可能に構成され、表示ランプが、架装物が正常に作動していることを表す正常作動状態と、架装物の作動に異常が生じたことを表す異常発生状態と、コントローラとECUとの間で通信異常が生じたことを表す通信異常状態と、を表示可能に構成され、通信異常状態、異常発生状態、正常作動状態の順で優先して表示することを特徴とする。
【0009】
この発明では、作業者によって把握しにくい通信異常状態の優先度が高く設定されるため、表示装置の利便性が向上する。
【0010】
また、本発明は、表示モニタ及び表示ランプの作動を制御するコントローラと、コントローラの温度を測定する温度検出部をさらに備え、コントローラが、温度検出部が測定した温度が所定の制限温度以上である場合には、表示モニタを起動させずに停止させる高温待機制御を実行し、表示ランプは、高温待機制御が実行されていることを表示可能に構成されることを特徴とする。
【0011】
この発明では、高温待機制御によって表示モニタが起動していないことを表示ランプによって把握できるため、作業者は、コントローラの温度低下のために適切な措置をとることができる。このため、高温待機状態から速やかに復帰しやすくなり、表示装置の利便性が向上する。
【0012】
また、本発明は、表示ランプの点灯態様には、消灯、点灯、及び点滅が含まれることを特徴とする。
【0013】
この発明では、表示ランプの点灯態様の違いが視覚的に見分けやすいため、作業者が車両の架装物の作動状態を把握しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示装置によって特装車の架装物の作動状態を安定して把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置を搭載するミキサ車の側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るミキサ車の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る第1ランプ及び第2ランプが表示するステータスを示すテーブルである。
図5】本発明の実施形態に係る第1ランプ及び第2ランプの点灯制御を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る表示装置100について説明する。
【0017】
表示装置100は、特装車であるミキサ車1に搭載される。以下では、まず、ミキサ車1の全体構成について説明する。
【0018】
ミキサ車1は、図1に示すように、モルタルやレディミクストコンクリート等(以下、「生コン」と称する。)を架台2に搭載されたミキサドラム3にて運搬するものである。
【0019】
ミキサ車1は、図1及び図2に示すように、架台2に搭載されて生コンを搭載可能なミキサドラム3と、ミキサドラム3を回転駆動するミキサドラム駆動装置10(以下、単に「駆動装置10」と称する。)と、ミキサドラム3の駆動を制御するECU40と、ミキサドラム3を手動で操作するための操作装置50と、運転室C内に設けられる表示装置100と、を備える。
【0020】
ミキサドラム3は、図1に示すように、架台2に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端に開口部(図示省略)を有する。ミキサドラム3は、その回転軸が車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。
【0021】
ミキサドラム3の開口部の後方上部には、ホッパ4が設けられる。開口部へ投入される生コンは、ホッパ4によって開口部へと導かれる。ミキサドラム3の開口部の後方下部には、フローガイド5及びシュート6が設けられる。開口部から排出される生コンは、フローガイド5によってシュート6に導かれ、シュート6によって所定の方向に排出される。
【0022】
ミキサドラム3は、図2に示すように、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン7を駆動源として回転駆動される。駆動装置10は、エンジン7の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム3を回転駆動するものである。
【0023】
エンジン7におけるクランクシャフト(図示省略)の回転運動は、エンジン7から動力を常時取り出すための動力取り出し機構8(PTO:Power take-off)と、動力取り出し機構8と駆動装置10とを連結するドライブシャフト(図示省略)と、によって駆動装置10に伝達される。
【0024】
駆動装置10では、作動流体として作動油が用いられる。なお、駆動装置10では、作動流体として作動油ではなく、他の非圧縮性流体を用いてもよい。
【0025】
駆動装置10は、エンジン7によって駆動されて作動流体を吐出する流体圧ポンプとしての油圧ポンプ20と、油圧ポンプ20によって駆動されてミキサドラム3を回転駆動する2速式の流体圧モータとしての油圧モータ30と、油圧ポンプ20から油圧モータ30に供給される作動油の流れを制御する電磁比例弁21と、を備える。駆動装置10は、ミキサドラム3を正逆転及び増減速させることが可能である。
【0026】
油圧ポンプ20は、動力取り出し機構8を介してエンジン7から常時取り出される動力によって回転駆動される。そのため、油圧ポンプ20の回転数は、車両の走行状態に伴うエンジン7の回転数の変化に、大きく影響を受ける。そこで、ミキサ車1では、エンジン7の回転数に応じてミキサドラム3が目標回転状態となるように、ECU40によって油圧モータ30の回転数を制御している。
【0027】
油圧ポンプ20は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンポンプである。油圧ポンプ20から吐出された作動油は油圧モータ30に供給され、油圧モータ30が回転する。油圧モータ30の回転は、減速機9を介してミキサドラム3に伝達される。油圧ポンプ20は、ポンプ吐出圧が導かれるアクチュエータ(図示省略)の作動により、アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧が上昇するほど、斜板を付勢する傾転スプリングに抗してポンプ吐出量が小さくなるように制御される。アクチュエータに導かれるポンプ吐出圧は、ロードセンシング弁(図示省略)によって調整される。ロードセンシング弁は、油圧ポンプ20の吐出圧と油圧モータ30に供給される圧力(負荷圧)との差圧が所定値となるようにアクチュエータに導かれるポンプ吐出圧を調整する。
【0028】
油圧ポンプ20によってミキサドラム3が正転運転されるときには、ミキサドラム3内の生コンが攪拌される。一方、油圧ポンプ20によってミキサドラム3が逆転運転されるときには、ミキサドラム3内の生コンが後端の開口部からフローガイド5及びシュート6を介して外部へと排出される。
【0029】
油圧モータ30は、容量が可変な斜板型アキシャルピストンモータである。油圧モータ30は、油圧ポンプ20から吐出された作動油の供給を受けて回転駆動される。油圧モータ30は、ECU40からの二速切換信号を受信して斜板(図示省略)の傾転角を調整する電磁弁(図示省略)を備える。油圧モータ30の容量は、電磁弁が切り換えられることによって、高速回転用の小容量(2速)と通常回転用の大容量(1速)との二段階に切り換えられる。
【0030】
油圧モータ30には、回転数検知器としての回転センサ30aが設けられる。回転センサ30aは、その出力軸(図示省略)の回転方向と出力軸の回転数を検知し、ECU40に回転方向信号と回転数信号とを出力する。
【0031】
油圧ポンプ20と油圧モータ30の間には、閉回路Lが設けられ、この閉回路Lを作動油が循環するようになっている。この閉回路L中に電磁比例弁21が設けられる。電磁比例弁21は、一対のソレノイド21a,21bを有しており、ECU40からの制御信号によって一対のソレノイド21a,21bへの通電を制御することによって、油圧ポンプ20から油圧モータ30に導かれる作動油の流れを制御する。このようにして電磁比例弁21を制御することで、油圧モータ30の回転方向及び回転速度が制御される。
【0032】
ECU40は、駆動装置10の制御を行うものであり、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)などを備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラムなどを予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAMなどをROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって駆動装置10の制御が実現される。
【0033】
ECU40は、例えば運転室C内に設けられる。ECU40には、作業者が運転室C内のイグニッションスイッチ(図示省略)を操作することによってエンジン7が始動すると、イグニッション電源が入力される。これにより、ECU40が駆動される。
【0034】
ECU40は、操作装置50による操作入力に応じてミキサドラム3の作動を制御すると共に、ミキサ車1の走行状態を判定し、走行状態に応じて操作装置50による操作の許可及び禁止を制御(インターロック制御)する。
【0035】
例えば、ECU40は、車速センサ55によって取得されるミキサ車1の車速とパーキングブレーキスイッチ56から取得されるパーキングブレーキ(図示省略)の作動状態とに応じて、操作装置50のインターロック制御を行う。ミキサ車1の車速がゼロであって、パーキングブレーキが作動している場合には、ミキサ車1は、停車状態と判定される。この場合には、操作装置50による操作が許可(インターロックが解除)される。ミキサ車1の車速がゼロであって、パーキングブレーキが作動していない場合には、ミキサ車1は、走行待機状態とされる。この場合、ミキサ車1は走行中で一時停止している場合などが想定されるため、操作装置50による操作は禁止される。ミキサ車1の車速がゼロより大きく、パーキングブレーキが作動してない場合には、ミキサ車1は、走行状態とされる。この場合には、操作装置50による操作は禁止される。
【0036】
また、ミキサ車1が走行状態であると判定された場合には、ECU40によってミキサドラム3を自動的に正転運転して生コンを撹拌する自動撹拌動作が行われる。自動撹拌動作中では、操作装置50はインターロックがかかっており、操作装置50によるミキサドラム3の操作は不能な状態とされる。
【0037】
また、ECU40は、駆動装置10及び操作装置50で生じる異常を検知する。異常の検知は、ECU40との間で信号が送受信される駆動装置10及び操作装置50の各構成部品(例えば、ソレノイド21a,21b、回転センサ30aなどのセンサ類、後述する操作装置50の各スイッチなど)の信号の有無や信号の異常な電流値を基に検出される。駆動装置10や操作装置50の異常検知は、公知の技術を利用できるため、本明細書では詳細な説明は省略する。ECU40が異常を検知すると、後述する表示装置100のコントローラ65にエラー信号が送信される。
【0038】
操作装置50は、例えば、運転室内に1つ設けられ、車両後方の異なる位置に3つ設けられる。各操作装置50は、同様の機能を有しており、図2では、単一の操作装置50のみを図示している。
【0039】
操作装置50は、ミキサドラム3の回転方向及び回転数を切り換えるためのつまみ型の操作スイッチ51と、ミキサドラム3の自動撹拌を停止する撹拌解除ボタン52と、ミキサドラム3の作動を非常停止させるための非常停止ボタン53と、を有する。
【0040】
操作スイッチ51は、円形のダイヤル式(ボリューム式)の操作手段であり、その操作位置に応じてミキサドラム3の回転方向が切り換えられる。また、操作スイッチ51の操作位置に応じてミキサドラム3の回転速度が制御される。
【0041】
撹拌解除ボタン52は、押しボタン式のスイッチであり、上述の自動撹拌動作中に押下されることで、操作装置50に対するインターロックを解除し、ミキサ車1の走行中に操作装置50よるミキサドラム3の制御を可能とするものである。これにより、例えば、ミキサ車1の走行中に生コンを排出するといった作業も可能となる。
【0042】
非常停止ボタン53は、押しボタン式のスイッチであり、非常停止ボタン53を押下することで、ミキサドラム3の作業状態にかかわらず、ミキサドラム3の回転が停止される。
【0043】
次に、図2図5を参照して、表示装置100の具体的構成について説明する。
【0044】
表示装置100は、ミキサ車1及びミキサドラム3の作動状態を表示するものである。表示装置100は、図2及び図3に示すように、筐体101と、ミキサ車1及びミキサドラム3の状態を表示する表示モニタ60と、複数の表示ランプとしての第1ランプ61及び第2ランプ62と、表示モニタ60、第1ランプ61、及び第2ランプ62の作動を制御するコントローラ65と、を備える。
【0045】
表示モニタ60は、作業者の操作入力を受け付ける入力部として機能すると共に、画像を表示可能なディスプレイとしても機能する、いわゆるタッチパネルである。表示モニタ60は、図2に示すように、筐体101の前面に取り付けられている。表示モニタ60の操作によって、表示モニタ60が表示する画面の切り換えや、表示する情報の設定等を行うことができる。なお、表示モニタ60は、タッチパネルに限定されるものではなく、少なくとも画像を表示するディスプレイであればよい。表示モニタ60は、筐体101に設けられる電源スイッチ(図示省略)の切り換えによって起動と停止が切り換えられる。
【0046】
第1ランプ61及び第2ランプ62は、それぞれLEDランプであり、互いに異なる色で発光する。第1ランプ61及び第2ランプ62は、表示モニタ60と同じく、筐体101の前面に取り付けられている。なお、第1ランプ61及び第2ランプ62は、同じ色で発光するものでもよい。
【0047】
コントローラ65は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)などを備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラムなどを予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAMなどをROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって表示モニタ60、第1ランプ61、及び第2ランプ62の制御が実現される。
【0048】
コントローラ65には、筐体101内部に収容される小型のマイコンが使用される。コントローラ65は、ECU40と同様に、作業者によってイグニッションスイッチがONされてイグニッション電源が供給されると起動する。コントローラ65が起動すると、コントローラ65は、予め記憶されるアプリケーションを実行し、表示モニタ60に対して情報を表示させる表示処理を実行する。
【0049】
コントローラ65は、有線又は無線によって、ECU40及び操作装置50との間で所定の時間間隔により通信される。コントローラ65は、ミキサ車1の走行状態及びミキサドラム3の作動状態を示す情報をECU40から受信する。また、コントローラ65は、操作装置50の操作スイッチ51、撹拌解除ボタン52、及び非常停止ボタン53の操作信号を操作装置50から受信する。コントローラ65は、ECU40及び操作装置50から受信した情報に応じて、ミキサ車1の走行状態、ミキサドラム3の作動状態、及び操作装置50の操作状態を示す情報を表示モニタ60に表示可能に構成される。
【0050】
ミキサ車1の走行状態を示す情報とは、ECU40によって判定される停車状態、走行状態、及び走行待機状態といった情報を含む。また、ミキサドラム3の作動状態を示す情報とは、駆動装置10の作動を示すものであり、ミキサドラム3の回転方向(撹拌回転、排出回転、回転停止)、回転速度、自動撹拌の有無、及び駆動装置10で生じた異常に関する情報を含む。操作装置50の操作状態を示す情報とは、操作装置50の操作スイッチ51の操作位置、撹拌解除ボタン52及び非常停止ボタン53のON-OFF、及び各操作装置50の操作権の有無(インターロックの有無)、操作装置50で生じた異常の情報を含む。
【0051】
また、コントローラ65は、第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様を制御することで、第1ランプ61及び第2ランプ62によっても、ミキサ車1及びミキサドラム3の作動状態に関する情報を表示させる。第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様の制御については、後に詳細に説明する。
【0052】
表示装置100は、コントローラ65のCPUの温度を測定する温度検出部としての温度センサ66をさらに備える。表示装置100の内部の温度が高くなると、表示モニタ60が情報を適切に表示できなくなるおそれがある。表示モニタ60に誤った情報が表示された場合、表示モニタ60の情報に基づいて作業を行うと、作業不良や事故の原因となる。よって、コントローラ65は、予め記憶される制限温度を閾値として、温度センサ66の温度が制限温度以上となった場合には、電源スイッチがONであっても表示モニタ60を起動させない高温待機制御を実行する。これにより、誤った情報を表示モニタ60に表示させるおそれが抑制される。
【0053】
次に、図4及び図5を参照して第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様の制御について説明する。
【0054】
図4に示すように、本実施形態では、第1ランプ61及び第2ランプ62によって表示される状態(ステータス)として、7つのステータスが設定される。第1ランプ61及び第2ランプ62は、それぞれの消灯、点灯、点滅といった点灯態様の組み合わせによって、7つのステータスを表示する。なお、点滅とは、消灯と点灯とが交互に実行される態様である。
【0055】
第1ランプ61及び第2ランプ62によって表示されるステータスは、表示モニタ60が起動していない状態を示すモニタ停止状態と、ミキサ車1及びミキサドラム3の作動状態と、作業者から特定の操作入力があった状態を表す外部操作状態と、に大別される。
【0056】
モニタ停止状態には、表示モニタ60の電源がOFFの状態であって表示モニタ60が起動していない停止状態、電源がONの状態であって、かつ、コントローラ65のCPUの温度が制限温度以上であるため表示モニタ60を起動させていない高温待機状態が含まれる。
【0057】
作動状態には、ミキサ車1、駆動装置10、及び操作装置50が正常に作動している状態を表す正常作動状態と、ミキサ車1、駆動装置10、及び操作装置50のいずれかに異常が生じて正常に作動していない状態を表す異常発生状態と、ECU40とコントローラ65との間で通信異常が生じたことを表す通信異常状態と、が含まれる。
【0058】
正常作動状態は、ECU40及び操作装置50からコントローラ65にエラー信号が入力されていない状態である。
【0059】
異常発生状態は、例えば、駆動装置10が備える電磁比例弁21のソレノイド21a,21b、ミキサ車1のバッテリ、又は操作装置50の異常をECU40が検知し、異常を検知したことを表すエラー信号がECU40からコントローラ65に入力された状態である。
【0060】
通信異常状態とは、所定の間隔によって定期的にECU40とコントローラ65の間で行われる通信が実行されなかった状態である。
【0061】
外部操作状態には、操作装置50の非常停止ボタン53が押下された状態を示す非常停止状態と、作業者の操作入力によってアプリケーションが管理者モードで実行されている状態を示す管理者モード状態と、が含まれる。管理者モードとは、例えば、タッチパネルである表示モニタ上で所定の操作が行われることで管理者認証された場合に実行されるモードであり、表示モニタ上で表示する情報の設定や、作業者が実行可能な操作の設定等を変更可能なモードである。
【0062】
コントローラ65は、図4に示す7つの状態を優先度付けして第1ランプ61及び第2ランプ62に表示させる。本実施形態では、図4の「No」が示す数が大きいほうが優先度が高く設定されており、優先度が高い状態と低い状態との両方の状態に該当する場合には、優先度が高い状態が低い状態に対して優先して表示される。具体的には、モニタ停止状態、作動状態、外部操作状態の順で優先度が高く設定される。また、作動状態では、異常発生状態が正常作動状態よりも優先度が高く、通信異常状態が異常発生状態よりも優先度が高く設定される。
【0063】
次に、図5に示すフローチャート図を参照して、コントローラ65による第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯制御について説明する。
【0064】
コントローラ65は、イグニッションスイッチがONされると、図5に示す処理を所定の制御間隔によって実行する。
【0065】
ステップS10では、表示モニタ60の電源ボタンがONされているかを判定する。電源ボタンがOFFである場合には、ステップS11に進み、ステータスを停止状態(No.1)に設定する。電源ボタンがONされていると、ステップS12に進む。
【0066】
ステップS12では、温度センサ66が測定するコントローラ65のCPU温度が制限温度未満であるかを判定する。CPU温度が制限温度以上であれば、コントローラ65は、表示モニタ60を作動させない。この場合は、ステップS13に進み、ステータスを高温待機状態(No.2)に設定する。コントローラ65のCPU温度が制限温度未満であれば、ステップS14に進み、ステータスを正常作動状態(No.3)に設定する。ステップS11、S13、及びS14でステータスが設定されると、ステップS15に進み、表示モニタ60に表示処理を実行するアプリケーションが起動される。
【0067】
次に、ステップS16~S23において、残りのステータス(No.4~7)に該当するか否かを判定し、該当する場合にはステータス情報を対応するステータスに更新する。
【0068】
まず、ステップS16において、作業者によって所定の操作が行われアプリケーションが管理者モードで実行されているかを判定する。アプリケーションが管理者モードで実行されている場合には、ステップS17に進み、ステータスを管理者モード状態(No.7)に設定する。アプリケーションが管理者モードで実行されていない場合には、ステップS18に進む。
【0069】
ステップS18では、非常停止ボタン53がONであるかを判定する。非常停止ボタン53がONである場合には、ステップS19において、ステータスを非常停止状態(No.6)に設定する。非常停止ボタン53がONではない場合には、ステップS20に進む。
【0070】
ステップS20では、ECU40とコントローラ65との間で所定の時間間隔で通信が行われているかを判定する。ECU40とコントローラ65との間で通信が行われていない場合には、ステップS21において、ステータスを通信異常状態(No.5)に設定する。ECU40とコントローラ65との間の通信が正常に行われている場合には、ステップS22に進む。
【0071】
ステップS22では、ECU40からコントローラ65に入力されるデータにエラー信号が含まれているかを判定する。エラー信号が含まれている場合には、ステップS23において、ステータスを異常検知状態(No.4)に設定する。
【0072】
ステップS17、S19、S21、及びS23においてステータスが更新された場合、及び、ステップS22でNOと判定された場合には、ステップS24に進んで、図4に示す現在のステータスに対応する態様で第1ランプ61及び第2ランプ62を点灯させる。なお、ステップS24でNOと判定された場合には、ステップS11、S13、及びS14のいずれかで設定されたステータスに対応する態様で第1ランプ61及び第2ランプ62が点灯される。
【0073】
以上のように、図5に示す制御を実行することで、コントローラ65は、図4に示すステータスの優先度に応じて第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様を制御する。これにより、故障等により表示モニタ60に適切な情報が表示されない場合であっても、ミキサ車1及びミキサドラム3(駆動装置10)の現在の作動状態を第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様から把握することができる。また、コントローラ65は、図4に示す優先度に応じて第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様を制御するため、作業者は、より重要な情報を適切に把握することができる。
【0074】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0075】
表示装置100では、第1ランプ61及び第2ランプ62によってミキサドラム3の作動状態として正常作動状態と異常発生状態とが表示される。このため、表示モニタ60が情報を適切に表示できない場合でも、作業者は、第1ランプ61及び第2ランプ62の表示によってミキサドラム3の状態を適切に把握できる。したがって、作業者は、第1ランプ61及び第2ランプ62の表示に基づいて、作業を続行するか中断するかの判断が可能となり、ミキサ車1による作業効率を向上させることができる。
【0076】
また、一般に、ミキサ車1又はミキサドラム3の作動に異常が生じた場合、センサ等で異常信号が検出されると共に、作業者は目視等でその異常を検出することが可能な場合もある。これに対し、ECU40とコントローラ65との通信異常は、作業者が自力で把握することは困難である。よって、表示装置100では、異常発生状態に優先して通信異常状態が第1ランプ61及び第2ランプ62によって表示されることで、把握しにくい情報を作業者に放置することができ、利便性が向上する。
【0077】
また、表示装置100では、電源がOFFであるため表示モニタ60が停止している停止状態と、高温待機制御により表示モニタ60が停止している高温待機状態と、を区別して第1ランプ61及び第2ランプ62によって表示する。このため、作業者は、高温待機状態であれば、コントローラ65の温度低下のために適切な措置をとることができるため、高温待機状態から速やかに復帰しやすくなる。よって、表示装置100の利便性が向上する。
【0078】
また、表示装置100では、相対的に優先度が高い通信異常状態(No.5)、非常停止状態(No.6)、及び管理者モード状態(No.7)において、第1ランプ61及び第2ランプ62の少なくとも一方が点滅するように設定される。ランプの点滅は、消灯と点灯とを繰り返すものであって、時間経過によって作業者からの見え方が変化する構成であるため、作業者にとって認識しやすい。したがって、相対的に優先度が高い状態に対して点滅の表示態様を設定することで、作業者に対して速やかに状態を知らせることができる。
【0079】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0080】
上記実施形態では、表示装置100は、特装車としてミキサ車1に設けられる場合を説明した。これに対し、表示装置100の用途は、ミキサ車1に限定されるものではなく、ミキサ車1以外の特装車として、例えば、パッカー車(塵芥車)、ダンプトラック車、はしご消防車、剪定枝粉砕処理車などに搭載されるものでもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、第1ランプ61及び第2ランプ62が表示するステータスとして図4に示す7つのステータスを説明したが、これらは一例にすぎず、これらに限定されるものではない。第1ランプ61及び第2ランプ62は、少なくとも架装物であるミキサドラム3の作動状態を表すものであればよく、その他に表示する情報は任意に設定できる。また、第1ランプ61及び第2ランプ62が表すミキサドラム3の作動状態には、正常に作動している正常作動状態と、異常が生じている異常発生状態と、の少なくとも一方が含まれていればよい。また、ステータスの優先度も上記の説明に限定されるものではなく、ニーズに応じて任意に設定できる。
【0082】
また、上記実施形態では、表示装置100は、第1ランプ61及び第2ランプ62の2つのランプを備えるが、これに限定されるものではない。表示装置100は、3つ以上の複数の表示ランプを備えていてもよい。表示装置100が複数の表示ランプを備えることで、その点灯態様によって表示モニタ60の単なるオン―オフ以外にもミキサドラム3の作動状態等を表現しやすくなる。
【0083】
また、表示装置100は、複数の表示ランプを備えるものに限定されず、単一の表示ランプを備えていてもよい。表示装置100が単一の表示ランプを備える場合には、表示ランプの点滅のパターン(点灯を繰り返す時間間隔)を複数設定して、複数の点滅パターンにより、ミキサドラム3の作動状態等の複数の状態を表示するように構成することが望ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、第1ランプ61及び第2ランプ62は、互いに異なる色で発光するLEDランプである。これに対し、表示ランプは、赤、緑、青の三色のチップを備える白色LEDランプであってもよい。表示装置100が単一の表示ランプを備える場合には、表示ランプを白色LEDランプとすることで、単一の光源であっても複数の色を表現できるため、ミキサドラム3の複数の作動状態を表現でき、特に有効である。
【0085】
また、表示装置100は、第1ランプ61及び第2ランプ62に加えて、音によって作業者に情報を報知するスピーカーを備えていてもよい。この場合、第1ランプ61及び第2ランプ62とスピーカーとの両方で同様の内容の情報を報知してもよいし、互いに異なる情報を報知してもよい。
【0086】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0087】
ミキサ車1に搭載される表示装置100は、ミキサ車1のミキサドラム3の作動状態を表示する表示モニタ60と、その点灯態様によってミキサドラム3の作動状態を表示する第1ランプ61及び第2ランプ62と、を備える。
【0088】
この構成では、表示モニタ60が情報を適切に表示できない状態であっても、第1ランプ61及び第2ランプ62によってミキサドラム3の作動状態を把握することができる。したがって、表示装置100によってミキサ車1のミキサドラム3の作動状態を安定して把握することができる。
【0089】
また、表示装置100では、表示モニタ60、第1ランプ61、及び第2ランプ62の作動を制御するコントローラ65を備え、コントローラ65は、ミキサ車1を制御するECU40と通信可能に構成され、第1ランプ61及び第2ランプ62は、ミキサドラム3が正常に作動していることを表す正常作動状態と、ミキサドラム3の作動に異常が生じたことを表す異常発生状態と、コントローラ65とECU40との間で通信異常が生じたことを表す通信異常状態と、を表示可能に構成され、通信異常状態、異常発生状態、正常作動状態の順で優先して表示する。
【0090】
この構成では、作業者によって把握しにくい通信異常状態の優先度が高く設定されるため、表示装置100の利便性が向上する。
【0091】
また、表示装置100は、コントローラ65の温度を測定する温度センサ66検出部をさらに備え、コントローラ65は、温度センサ66が測定した温度が、所定の制限温度以上である場合には、表示モニタ60を起動させずに停止させる高温待機制御を実行し、第1ランプ61及び第2ランプ62は、高温待機制御が実行されていることを表示可能に構成される。
【0092】
この構成では、高温待機制御によって表示モニタ60が起動していないことを第1ランプ61及び第2ランプ62によって把握できるため、作業者は、コントローラ65の温度低下のために適切な措置をとることができる。このため、高温待機状態から速やかに復帰しやすくなり、表示装置100の利便性が向上する。
【0093】
また、表示装置100では、第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様には、消灯、点灯、及び点滅が含まれることを特徴とする。
【0094】
この構成では、第1ランプ61及び第2ランプ62の点灯態様の違いが視覚的に見分けやすいため、作業者が車両の架装物の作動状態を把握しやすくなる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0096】
100…表示装置、1…ミキサ車(特装車)、3…ミキサドラム(架装物)、40…ECU、50…操作装置、60…表示モニタ、61…第1ランプ(表示ランプ)、62…第2ランプ(表示ランプ)、65…コントローラ、66…温度センサ(温度検出部)
図1
図2
図3
図4
図5