IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図1
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図2
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図3
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図4
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図5
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図6
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図7
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図8
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図9
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図10
  • 特開-給湯システムおよびサーバ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025285
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】給湯システムおよびサーバ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220203BHJP
   F24H 15/40 20220101ALI20220203BHJP
【FI】
G06Q50/10
F24H1/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128020
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】安福 洋伸
(72)【発明者】
【氏名】祝 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】坂上 大希
(72)【発明者】
【氏名】岸 栄一
(72)【発明者】
【氏名】松村 寛樹
【テーマコード(参考)】
3L122
5L049
【Fターム(参考)】
3L122AA03
3L122AA27
3L122AA34
3L122AA65
3L122AA73
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA18
3L122FA03
3L122FA04
3L122FA05
3L122FA13
3L122FA23
3L122FA27
3L122FA32
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】集合住宅における給湯装置のリースを集合住宅のオーナーにおいてより好ましく行うことが可能な給湯システムおよびサーバを提供する。
【解決手段】給湯システム1は、集合体を構成する複数の給湯装置10と、外部通信網40を介して複数の給湯装置10と通信可能なサーバ50と、を備える。給湯装置10は、当該給湯装置10の使用実績に関する使用実績情報をサーバ50に送信する。サーバ50は、使用実績情報に基づいて、集合体を構成する給湯装置10ごとに、給湯装置10の使用実績の有無に応じた課金情報を生成する課金情報生成部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合体を構成する複数の給湯装置と、
外部通信網を介して前記複数の給湯装置と通信可能なサーバと、を備え、
前記給湯装置は、当該給湯装置の使用実績に関する使用実績情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記使用実績情報に基づいて、前記集合体を構成する前記給湯装置ごとに、前記給湯装置の使用実績の有無に応じた課金情報を生成する課金情報生成部を備える、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
前記サーバは、
前記課金情報の送信先アドレスを前記集合体に対応付けて記憶する記憶部と、
前記集合体を構成する前記各給湯装置の前記課金情報を、前記外部通信網を介して前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備える、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムにおいて、
前記給湯装置は、課金の単位設定期間において、少なくとも1回、前記使用実績情報を前記サーバに送信し、
前記課金情報生成部は、前記単位設定期間において受信した前記使用実績情報に基づいて、前記課金情報を生成する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の給湯システムにおいて、
前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、
前記課金情報生成部は、課金の単位設定期間において、前記給湯装置における使用頻度が所定の閾値以上である場合に、前記給湯装置の使用実績があると判定する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の給湯システムにおいて、
前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、
前記課金情報生成部は、前記給湯装置の使用開始時からの累積使用頻度が所定の閾値以上であることを条件に、前記課金の単位設定期間における使用料金が、前記累積使用頻度が前記閾値以上でない場合に比べて低額になるように、前記使用料金の設定方法を変更する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項6】
集合体を構成する複数の給湯装置と外部通信網を介して通信可能なサーバであって、
前記給湯装置は、当該給湯装置の使用実績に関する使用実績情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記使用実績情報に基づいて、前記集合体を構成する前記給湯装置ごとに、前記給湯装置の使用実績の有無に応じた課金情報を生成する課金情報生成部を備える、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
請求項6に記載のサーバにおいて、
前記課金情報の送信先アドレスを前記集合体に対応付けて記憶する記憶部と、
前記集合体を構成する前記各給湯装置の前記課金情報を、前記外部通信網を介して前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備える、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項8】
請求項6または7に記載のサーバにおいて、
前記給湯装置は、課金の単位設定期間において、少なくとも1回、前記使用実績情報を前記サーバに送信し、
前記課金情報生成部は、前記単位設定期間において受信した前記使用実績情報に基づいて、前記課金情報を生成する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項9】
請求項6ないし8の何れか一項に記載のサーバにおいて、
前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、
前記課金情報生成部は、課金の単位設定期間において、前記給湯装置における使用頻度が所定の閾値以上である場合に、前記給湯装置の使用実績があると判定する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項10】
請求項6ないし9の何れか一項に記載のサーバにおいて、
前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、
前記課金情報生成部は、前記給湯装置の使用開始時からの累積使用頻度が所定の閾値以上であることを条件に、前記課金の単位設定期間における使用料金が、前記累積使用頻度が前記閾値以上でない場合に比べて低額になるように、前記使用料金の設定方法を変更する、
ことを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置およびサーバを備える給湯システム、および外部通信網を介して給湯装置と通信可能なサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器で生成された湯水を、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給する給湯装置が知られている。また、近年、インターネット等の外部通信網を介して、給湯装置と通信可能なサーバを備える給湯システムが開発されている。
【0003】
たとえば、以下の特許文献1に記載の風呂システムでは、給湯器を備える風呂装置とサーバとがネットワークを介して通信可能に構成されている。このシステムでは、風呂装置で検出された入浴時間がサーバに送信され、さらに、サーバから、当該風呂装置に対応付けられている携帯端末に、入浴時間が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-47182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、給湯装置のリース事業が展開されている。このリース事業では、月極の固定額を事業主に支払う方式が採用されている。しかしながら、このような支払い方式では、リース事業が集合住宅で実施された場合、未入居の住居に設置された給湯装置に対して費用が発生し、集合住宅のオーナーは、無駄な費用を支払っているという感覚を持ってしまう。こうなると、オーナーは、リースを中止し兼ねず、リース事業を展開する事業主にとっても、事業を円滑に展開しにくくなる。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、集合住宅における給湯装置のリースを集合住宅のオーナーにおいてより好ましく行うことが可能な給湯システムおよびサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、給湯システムに関する。この態様に係る給湯システムは、集合体を構成する複数の給湯装置と、外部通信網を介して前記複数の給湯装置と通信可能なサーバと、を備える。ここで、前記給湯装置は、当該給湯装置の使用実績に関する使用実績情報を前記サーバに送信する。前記サーバは、前記使用実績情報に基づいて、前記集合体を構成する前記給湯装置ごとに、前記給湯装置の使用実績の有無に応じた課金情報を生成する課金情報生成部を備える。
【0008】
本態様に係る給湯システムによれば、集合体を構成する給湯装置ごとに、給湯装置の使用実績の有無に応じた課金情報が生成される。これにより、たとえば、集合住宅の各住居にリースにより給湯装置が導入され、これら給湯装置が集合体を構成する場合、未入居の住居に設置された給湯装置に対して、不使用にも関わらず発生する費用を抑制できる。よって、リースで給湯装置を導入した集合住宅のオーナーの不合理感を払拭できるため、オーナーは、集合住宅における給湯装置のリースをより好ましく行うことができる。
【0009】
本態様に係る給湯システムにおいて、前記サーバは、前記課金情報の送信先アドレスを前記集合体に対応付けて記憶する記憶部と、前記集合体を構成する前記各給湯装置の前記課金情報を、前記外部通信網を介して前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備えるよう構成され得る。
【0010】
この構成によれば、課金情報が、サーバから送信先アドレスに送信されて、複数の給湯装置が構成する集合体のオーナーに通知される。これにより、オーナーは、予め、課金の状況を把握でき、給湯装置のリースをより好ましく行うことができる。
【0011】
本態様に係る給湯システムにおいて、前記給湯装置は、課金の単位設定期間において、少なくとも1回、前記使用実績情報を前記サーバに送信し、前記課金情報生成部は、前記単位設定期間において受信した前記使用実績情報に基づいて、前記課金情報を生成するよう構成され得る。
【0012】
この構成によれば、使用実績情報が、課金の単位設定期間において少なくとも1回サーバに送信されるため、サーバは、当該単位設定期間における給湯装置の使用実績を把握でき、受信した使用実績情報に基づいて、当該単位設定期間における課金情報を円滑に生成できる。
【0013】
本態様に係る給湯システムにおいて、前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、前記課金情報生成部は、課金の単位設定期間において、前記給湯装置における使用頻度が所定の閾値以上である場合に、前記給湯装置の使用実績があると判定するよう構成され得る。
【0014】
この構成によれば、使用実績の判定に使用頻度が用いられるため、入居前の点検等により給湯装置が動作しても、使用頻度が所定の閾値以上とならない限り、使用実績が有りとされない。よって、給湯装置の使用実績を適正に判定でき、使用料金をより適正に設定できる。
【0015】
本態様に係る給湯システムにおいて、前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、前記課金情報生成部は、前記給湯装置の使用開始時からの累積使用頻度が所定の閾値以上であることを条件に、前記課金の単位設定期間における使用料金が、前記累積使用頻度が前記閾値以上でない場合に比べて低額になるように、前記使用料金の設定方法を変更するよう構成され得る。
【0016】
このように、給湯装置のこれまでの使用状況に応じて使用料金の設定方法が調整されるため、集合住宅のオーナーは、より好意的に給湯装置のリースを継続することができ、事業主は、円滑にリース事業を進めることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、集合体を構成する複数の給湯装置と外部通信網を介して通信可能なサーバに関する。ここで、前記給湯装置は、当該給湯装置の使用実績に関する使用実績情報を前記サーバに送信する。前記サーバは、前記使用実績情報に基づいて、前記集合体を構成する前記給湯装置ごとに、前記給湯装置の使用実績の有無に応じた課金情報を生成する課金情報生成部を備える。
【0018】
本態様に係るサーバによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0019】
本態様に係るサーバは、前記課金情報の送信先アドレスを前記集合体に対応付けて記憶する記憶部と、前記集合体を構成する前記各給湯装置の前記課金情報を、前記外部通信網を介して前記送信先アドレスに送信する課金情報送信部と、を備えるよう構成され得る。
【0020】
本態様に係るサーバにおいて、前記給湯装置は、課金の単位設定期間において、少なくとも1回、前記使用実績情報を前記サーバに送信し、前記課金情報生成部は、前記単位設定期間において受信した前記使用実績情報に基づいて、前記課金情報を生成するよう構成され得る。
【0021】
本態様に係るサーバにおいて、前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、前記課金情報生成部は、課金の単位設定期間において、前記給湯装置における使用頻度が所定の閾値以上である場合に、前記給湯装置の使用実績があると判定するよう構成され得る。
【0022】
本態様に係るサーバにおいて、前記使用実績情報は、前記給湯装置の使用頻度に関する情報を含み、前記課金情報生成部は、前記給湯装置の使用開始時からの累積使用頻度が所定の閾値以上であることを条件に、前記課金の単位設定期間における使用料金が、前記累積使用頻度が前記閾値以上でない場合に比べて低額になるように、前記使用料金の設定方法を変更するよう構成され得る。
【0023】
これらの構成によれば、それぞれ、上記第1の態様の対応する構成による効果と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、給湯装置のリースをユーザにおいてより好ましく行うことが可能な給湯システムおよびサーバを提供することができる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態1に係る、給湯システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る、住居に配置された給湯装置の回路ブロックを示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る、給湯システムの回路ブロックを示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る、サーバの記憶部に保持されている使用実績データベースの構成を示す図である。
図5図5は、実施形態1に係る、サーバの制御部により行われる期間使用実績の設定処理を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1に係る、サーバの制御部により行われる課金情報の生成および送信の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態2に係る、サーバの記憶部に保持されている使用実績データベースの構成を示す図である。
図8図8は、実施形態2に係る、サーバの制御部により行われる使用実績データベースの更新処理を示すフローチャートである。
図9図9(a)は、実施形態2に係る、総使用累積値に応じて使用料金が変更される場合の、サーバの制御部により行われる有料設定処理を示すフローチャートである。図9(b)は、変更例に係る、期間使用累積値に応じて使用料金が減額される場合の、サーバの制御部により行われる有料設定処理を示すフローチャートである。
図10図10(a)~(c)は、それぞれ、変更例に係る、単位設定期間における通常変動設定に基づく使用料金の設定方法を示す図である。図10(d)~(f)は、それぞれ、変更例に係る、単位設定期間における低額変動設定に基づく使用料金の設定方法を示す図である。
図11図11(a)、(b)は、変更例に係る、閾値を用いて期間使用実績の有無を判定することなく、使用料金を設定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る給湯システム1の構成を示す図である。
【0029】
実施形態1では、給湯装置10が集合住宅B10のオーナーにリースされる場合のビジネスモデルが、給湯システム1において構築されている。給湯装置10は、集合住宅B10の各住居H10に設置されており、集合住宅B10内に導入された複数の給湯装置10は、1つの集合体を構成する。各住居H10の給湯装置10は、当該給湯装置10の使用実績に関する使用実績情報を、外部通信網40を介して、サーバ50に送信する。サーバ50は、受信した使用実績情報に基づいて、各給湯装置10の使用料金を算出し、算出した使用料金を含む課金情報を、集合住宅B10に対応付けられているオーナーのメールアドレスに送信する。オーナーは、携帯端末装置30を用いて受信したメールを参照し、給湯装置10の課金情報を確認できる。使用料金は、たとえば、月締めで算出される。
【0030】
図1に示すように、給湯システム1は、複数の給湯装置10と、給湯装置10から各種情報を受信するサーバ50と、を備える。給湯装置10とサーバ50は、無線通信機22、ルータ21および外部通信網40を介して、互いに通信可能に接続される。携帯端末装置30とサーバ50は、外部通信網40および通信システム(基地局や各種ルータ)を介して、互いに通信可能に接続される。
【0031】
集合住宅B10は、たとえば、アパートやマンションなどであり、住居H10は、集合住宅B10内の一戸に相当する。集合住宅B10は、複数の住居H10に区画されており、各住居H10には、リースによって導入された給湯装置10と、無線通信機22とが配置されている。
【0032】
給湯装置10は、給湯器11とリモートコントローラ12、13を備える。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。すなわち、給湯装置10は、ガス燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置である。給湯装置10が、オイル燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であってもよい。
【0033】
給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0034】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12は、表示部121と入力部122を備え、リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転ボタン132とを備える。操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行うことができる。
【0035】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0036】
浴室リモコン12の入力部122には、運転ボタン122aが含まれる。運転ボタン122a、132は、給湯器11を運転オン状態と運転オフ状態とに切り替えるためのボタンである。
【0037】
浴室リモコン12および台所リモコン13が運転オフ状態にあるとき、表示部121および表示入力部131は消灯状態にあり、運転ボタン122a、132以外の操作ボタンの操作は受け付けられない。運転ボタン122a、132が操作され、運転オン状態になると、表示部121および表示入力部131が点灯して設定内容が表示され、各操作ボタンの操作が受け付け可能となる。
【0038】
さらに、入力部122および表示入力部131には、給湯温度を変更するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンを操作することにより、給湯の設定温度を変更することができる。この他、入力部122および表示入力部131には、追い焚き機能や、足し湯、足し水、ふろ自動機能等を実行するためのボタン等、給湯器11の動作を制御するためのボタンが含まれている。
【0039】
同じ住居H10内の台所リモコン13および無線通信機22は、互いに無線通信可能に構成されている。各住居H10の無線通信機22は、集合住宅B10内に設けられたルータ21に接続されている。ルータ21は、集合住宅B10内に存在する各機器を、外部通信網40に接続するための通信中継器である。
【0040】
携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等、他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0041】
サーバ50は、外部通信網40に接続されている。台所リモコン13は、無線通信機22、ルータ21および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。
【0042】
台所リモコン13には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(たとえば、IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。
【0043】
台所リモコン13のアドレス情報およびID情報(識別情報)は、初期設定の際に、サーバ50に送信されて、サーバ50に登録される。
【0044】
また、集合体を構成する給湯装置10(ここでは、集合住宅B10内の全ての住居H10に設置された給湯装置10)に対応付けて、これら給湯装置10の課金情報を送信するための送信先アドレスが、サーバ50に登録される。ここでは、給湯装置10を構成する台所リモコン13のID情報に対応付けて、集合住宅B10のオーナーのメールアドレス(携帯端末装置30で受信可能なメールアドレス)が、サーバ50に登録される。後述のように、サーバ50は、このメールアドレスに対して、集合住宅B10内の給湯装置10(台所リモコン13)の課金情報を送信する。
【0045】
図2は、住居H10に配置された給湯装置10の回路ブロックを示す図である。
【0046】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、検出部114と、を備える。制御部111は、マイクロコンピュータを備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0047】
通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。通信部113は、2芯通信線L1、L2を介して、浴室リモコン12の通信部125および台所リモコン13の通信部135と接続されている。また、2芯通信線L1、L2は、通信部113の内部において、互いに接続されている。したがって、浴室リモコン12の通信部125と台所リモコン13の通信部135は、2芯通信線L1、L2によって互いに接続されている。このため、通信部113、125、135の何れかから送信された信号は、他の通信部に同時に送信される。
【0048】
検出部114は、給湯器11に配置された各種センサを含んでいる。たとえば、検出部114は、給湯器11の燃焼動作を検出するための燃焼センサや、温水の温度を検出するための温度センサ、および、湯水の供給を検出するための流量センサ等を含んでいる。
【0049】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、を備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。
【0050】
制御部123は、マイクロコンピュータを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11および台所リモコン13と通信を行う。
【0051】
台所リモコン13は、上述の表示入力部131および運転ボタン132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135と、無線通信部136と、を備える。
【0052】
制御部133は、マイクロコンピュータを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。
【0053】
実施形態1では、記憶部134に記憶された制御プログラムによって、使用実績送信部133aの機能が制御部133に付与される。
【0054】
使用実績送信部133aは、給湯器11の使用実績に関する使用実績情報を、所定のタイミングで、自身のID情報とともに、サーバ50に送信する。実施形態1では、使用実績情報は、給湯器11が動作したことを示す1、または、給湯器11が動作しなかったことを示す0である。すなわち、使用実績送信部133aは、所定のタイミングによって規定される期間において、給湯器11の動作/非動作に関する使用実績情報を送信する。使用実績送信部133aは、給湯装置10の使用料金を算出するための単位設定期間(たとえば、1ヶ月)において、少なくとも1回、使用実績情報を、無線通信部136を介してサーバ50に送信する。
【0055】
たとえば、単位設定期間に1回だけ使用状況情報を送信する場合、使用実績送信部133aは、当該単位設定期間において給湯器11が動作したか否かを判定し、判定結果に基づく使用実績情報(0または1)を、サーバ50に送信する。あるいは、単位設定期間に複数回、使用状況情報を送信する場合、使用実績送信部133aは、前回の送信時から今回の送信時までの間に給湯器11が動作したか否かを判定し、判定結果に基づく使用実績情報(0または1)を、各回の送信時に、サーバ50に送信する。あるいは、使用実績送信部133aは、給湯器11が動作するごとに、そのことを示す使用実績情報(ここでは、1)をサーバ50に送信する。
【0056】
通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11および浴室リモコン12と通信を行う。無線通信部136は、同じ住居H10内に配置された無線通信機22との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部136は、無線通信機22を介してルータ21と通信する。サーバ50には、台所リモコン13(給湯装置10)のID情報として、無線通信部136のID情報(たとえば、MACアドレス)が登録される。
【0057】
図3は、給湯システム1の回路ブロックを示す図である。図3では、便宜上、各住居H10に配置された各部のうち、無線通信部136および無線通信機22のみが示されている。
【0058】
ルータ21は、各住居H10に配置された無線通信機22と通信可能に接続されている。ルータ21は、外部通信網40に接続されており、住居H10内の無線通信部136とサーバ50の間の通信を中継する。
【0059】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503と、を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0060】
実施形態1では、記憶部502に記憶された制御プログラムによって、課金情報生成部501aおよび課金情報送信部501bの機能が制御部501に付与される。
【0061】
課金情報生成部501aは、台所リモコン13の使用実績送信部133aから受信した使用実績情報に基づいて、集合住宅B10内の給湯装置10ごとに、給湯装置10の使用実績の有無に応じた使用料金を設定し、設定した使用料金を含む課金情報を生成する。課金情報送信部501bは、課金情報生成部501aによって生成された課金情報を、これら給湯装置10に対応付けられている送信先アドレス(ここでは、メールアドレス)に送信する。
【0062】
図4は、サーバ50の記憶部502に保持されている使用実績データベースの構成を示す図である。使用実績データベースは、集合住宅B10を識別するための集合住宅IDごとに記憶部502に保持されている。
【0063】
図4において、「台所リモコンID」とは、台所リモコン13のID情報(無線通信部136のID情報)を意味する。「期間使用実績」とは、現在進行中の単位設定期間における給湯装置10の使用の有無を意味する。「送信先アドレス」とは、課金情報の送信先アドレスを意味する。本実施形態では、送信先アドレスとして、携帯端末装置30が受信可能な電子メールのアドレス情報(集合住宅B10を所有するオーナーのメールアドレス)が設定される。
【0064】
なお、送信先アドレスは、メールアドレスに限らない。たとえば、送信先アドレスは、オーナーが保持する携帯端末装置30上で動作する、当該給湯システム1のアプリケーションプログラムに対してメッセージを送信可能なアドレス情報であってもよい。
【0065】
図5は、サーバ50の制御部501により行われる期間使用実績の設定処理を示すフローチャートである。
【0066】
図5の処理は、図4の使用実績データベースに登録されている給湯装置10(台所リモコンID)ごとに行われる。また、図5の処理は、図3の課金情報生成部501aの機能により行われる。
【0067】
制御部501は、単位設定期間の開始に応じて、使用実績データベース中の期間使用実績を「無」に設定する(S101)。次に、制御部501は、台所リモコン13の使用実績送信部133aから使用実績情報を受信した場合に(S102:YES)、受信した使用実績情報が1であるか否かを判定する(S103)。使用実績情報が1である場合(S103:YES)、制御部501は、使用実績データベース中の期間使用実績を「有」に設定する(S104)。他方、使用実績情報が0である場合(S103:NO)、制御部501は、ステップS104の処理をスキップさせる。これにより、給湯器11が使用されたことを示す使用実績情報が受信された場合に、期間使用実績が「有」に設定される。
【0068】
制御部501は、単位設定期間が経過しない間(S105:NO)、処理をステップS102に戻して同様の処理を繰り返す。その後、単位設定期間が経過すると(S105:YES)、制御部501は、図5の処理を終了させる。
【0069】
図5の処理によれば、単位設定期間において1回でも、台所リモコン13から、給湯器11が動作したことを示す使用状況情報が受信されると、使用実績データベース中の期間使用実績が「有」に設定される。
【0070】
図6は、サーバ50の制御部501により行われる課金情報の生成および送信の処理を示すフローチャートである。
【0071】
図6の処理は、集合住宅B10に設置されている給湯装置10の集合体について行われる。制御部501は、処理対象の単位設定期間について、当該集合体に対し、図5の処理により得られた使用実績情報(使用実績データベース)を参照して、図6の処理を行う。ステップS201~S205は、図3の課金情報生成部501aの機能により行われ、ステップS206は、図3の課金情報送信部501bの機能により行われる。
【0072】
制御部501は、集合体を構成する一の給湯装置10(台所リモコンID)の期間使用実績を参照し、期間使用実績が「有」であるか否かを判定する(S201)。期間使用実績が「有」である場合(S201:YES)、制御部501は、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金を有料に設定する(S202)。実施形態1では、ステップS202において設定される使用料金は、固定額である。他方、参照した期間使用実績が「無」である場合(S201:NO)、制御部501は、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金をゼロに設定する(S203)。
【0073】
続いて、制御部501は、ステップS202またはS203で設定した使用料金に、対象となる給湯装置10を特定するための情報および当該単位設定期間を示す情報などを付加して、当該単位設定期間の課金情報を生成する(S204)。
【0074】
続いて、制御部501は、集合体を構成する全ての給湯装置10(台所リモコンID)に対して、ステップS201~S204の処理が終了したか否かを判定する(S205)。全ての給湯装置10の処理が終了していない場合(S205:NO)、制御部501は、処理をステップS201に戻し、対象となる給湯装置10を変えて、再度ステップS201~S204の処理を行う。
【0075】
他方、全ての給湯装置10の処理が終了した場合(S205:YES)、制御部501は、集合体を構成する全ての給湯装置10についてステップS204で生成した課金情報を、使用実績データベースにおいて当該給湯装置10の集合体に対応付けられている送信先アドレス(メールアドレス)に、外部通信網40(図1、2参照)を介して送信する(S206)。このとき、集合体を識別するための情報(たとえば、集合住宅B10を特定するための情報)が同時に送信されてもよい。こうして、図6の処理が終了する。
【0076】
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏され得る。
【0077】
図5に示したように、使用実績情報に基づいて、期間使用実績が「有」または「無」に設定される。そして、図6のステップS204において、サーバ50の制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、集合住宅B10(集合体)の給湯装置10ごとに、期間使用実績(給湯装置10の使用実績の有無)に応じた課金情報を生成する。この構成によれば、集合住宅B10の各住居H10にリースにより給湯装置10が導入された場合、未入居の住居H10に設置された給湯装置10に対して、不使用にも関わらず発生する費用を抑制できる。よって、リースで給湯装置10を導入した集合住宅B10のオーナーの不合理感を払拭できるため、オーナーは、集合住宅B10における給湯装置10のリースをより好ましく行うことができる。
【0078】
また、実施形態1では、期間使用実績が「無」の場合に、使用料金がゼロに設定される。これにより、未入居の住居H10に設置された給湯装置10において発生する費用がゼロになるため、オーナーの不合理感をさらに払拭できる。
【0079】
図4に示したように、サーバ50の記憶部502には、課金情報の送信先アドレスを集合住宅B10(集合体)に対応付けて記憶する使用実績データベースが格納される。また、図6のステップS206において、サーバ50の制御部501は、課金情報送信部501bの機能により、集合住宅B10の各給湯装置10の課金情報を、外部通信網40を介して送信先アドレスに送信する。この構成によれば、課金情報が、サーバ50から送信先アドレスに送信されて、集合住宅B10のオーナーに通知される。これにより、オーナーは、予め、課金の状況を把握でき、給湯装置10のリースをより好ましく行うことができる。
【0080】
図2を参照して説明したように、台所リモコン13の制御部133は、使用実績送信部133aの機能により、課金の単位設定期間において、少なくとも1回、使用実績情報をサーバ50に送信する。そして、サーバ50の制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、単位設定期間において受信した使用実績情報に基づいて、課金情報を生成する。この構成によれば、使用実績情報が、課金の単位設定期間において少なくとも1回サーバ50に送信されるため、サーバ50は、当該単位設定期間における給湯装置10の使用実績を把握でき、受信した使用実績情報に基づいて、当該単位設定期間における課金情報を円滑に生成できる。
【0081】
<実施形態2>
実施形態1では、使用実績情報として、給湯器11の動作/非動作に関する情報(0または1)が用いられた。これに対し、実施形態2では、使用実績情報として、給湯装置10の使用頻度に関する情報が用いられる。以下では、使用頻度に関する情報として、給湯装置10の動作回数が例示される。サーバ50の制御部501は、使用頻度に関する情報に基づいて、単位設定期間における期間使用実績を設定する。実施形態2のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0082】
図7は、サーバ50の記憶部502に保持されている使用実績データベースの構成を示す図である。
【0083】
図7に示す使用実績データベースには、図4と比較して、期間使用累積値と総使用累積値の項目が追加されている。「期間使用累積値」とは、現在進行中の単位設定期間における給湯装置10の使用累積値を意味する。「総使用累積値」とは、給湯装置10の使用開始時(リース開始時)から現在までの給湯装置10の使用累積値を意味する。
【0084】
「期間使用累積値」は、現在進行中の単位設定期間において、台所リモコン13から送信された使用実績情報(動作回数)を累積して求めた値である。なお、単位設定期間において、台所リモコン13から使用状況情報(動作回数)が1回しか送信されない場合、すなわち、単位設定期間の終了時に、当該単位設定期間における使用状況情報の累積値が台所リモコン13からサーバ50に送信される場合、図4の期間使用累積値には、この累積値がそのまま設定される。
【0085】
「総使用累積値」は、給湯装置10の使用開始時(リース開始時)から現在まで、給湯装置10の累積値を加算して求められる。より詳細には、期間使用累積値を更新するごとに、更新前後の期間使用累積値の差分値が総使用累積値に加算され、総使用累積値が更新される。
【0086】
図8は、サーバ50の制御部501により行われる使用実績データベースの更新処理を示すフローチャートである。
【0087】
図8の処理は、図7の使用実績データベースに登録されている給湯装置10(台所リモコンID)ごとに行われる。また、図8の処理は、図3の課金情報生成部501aの機能により行われる。
【0088】
制御部501は、台所リモコン13の使用実績送信部133aから使用実績情報を受信すると(S111:YES)、使用実績情報とともに受信した台所リモコンIDに対応する使用実績データベース上の期間使用累積値および総使用累積値を、ステップS111で受信した期間使用実績(動作回数)に基づいて更新する(S112)。その後、制御部501は、単位設定期間(たとえば1ヶ月)が経過したか否か、すなわち、単位設定期間が終了したか否かを判定する(S113)。
【0089】
単位設定期間が経過していない場合(S113:NO)、制御部501は、処理をステップS111に戻して同様の処理を繰り返す。これにより、制御部501は、台所リモコン13から使用状況情報を受信するごとに(S111:YES)、使用実績データベースにおいて当該台所リモコン13のID情報に対応付けられている期間使用累積値および総使用累積値を更新する。他方、単位設定期間が経過すると(S113:YES)、制御部501は、処理をステップS114に進める。
【0090】
制御部501は、ステップS112で更新された最終の期間使用累積値Vmが、閾値Vth1以上であるか否かを判定する(S114)。ここで、閾値Vth1は、1以上の値であって、単位設定期間において給湯装置10が実質的に使用されていないと見なし得る所定の値に設定される。
【0091】
期間使用累積値Vmが閾値Vth1以上である場合(S114:YES)、制御部501は、当該給湯装置10(台所リモコンID)に対応付けられている期間使用実績を「有」に設定する(S115)。他方、期間使用累積値Vmが閾値Vth1未満である場合(S114:NO)、制御部501は、当該給湯装置10(台所リモコンID)に対応付けられている期間使用実績を「無」に設定する(S116)。これにより、制御部501は、図8の処理を終了させる。
【0092】
こうして、期間使用実績が設定されると、制御部501は、設定された期間使用実績に基づいて、図6の処理を実行する。図6の処理は、上記実施形態1の場合と同様である。これにより、集合体を構成する全ての給湯装置10について生成された課金情報が、送信先アドレスに送信される。集合住宅B10のオーナーは、課金情報を参照することにより、各住居H10における給湯装置10の使用料金を確認できる。
【0093】
なお、図6のステップS202において設定される使用料金は、図7の総使用累積値に応じて変更されてもよい。たとえば、総使用累積値が所定の閾値以上となった場合、すなわち、給湯装置10が長期に亘って使い続けられた場合に、使用料金が減額されてもよい。
【0094】
図9(a)は、総使用累積値に応じて使用料金が変更される場合の、サーバ50の制御部501により行われる有料設定処理(図6のステップS202)を示すフローチャートである。
【0095】
制御部501は、使用実績データベースにおいて、処理対象の台所リモコンIDに対応付けられている総使用累積値Vtが、閾値Vth2未満であるか否かを判定する(S211)。ここで、閾値Vth2は、リースにより導入された給湯装置10が平均的な使用状況で使用された場合に、所定期間(たとえば、1年ないし数年)の継続使用により、総使用累積値Vtが到達する程度の値に設定される。
【0096】
総使用累積値Vtが閾値Vth2未満である場合、すなわち総使用累積値Vtが閾値Vth2以上でない場合(S211:YES)、制御部501は、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金を通常額に設定する(S212)。他方、総使用累積値Vtが閾値Vth2以上である場合(S211:NO)、制御部501は、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金を低額に設定する(S213)。この場合、ステップS212、S213において設定される使用料金は、いずれも固定額であり、ステップS213において設定される使用料金は、ステップS212において設定される使用料金よりも低額(たとえば、10%減)である。こうして、図9(a)の有料設定処理が終了する。
【0097】
このように、使用料金が減額されることにより、使用者は、長期に亘って安心かつより好ましく、給湯装置10を使用し続けることができる。
【0098】
なお、使用料金の設定方法の変更は、必ずしも、1回に限られなくてもよい。たとえば、互いに異なる値の閾値Vth2を複数設定し、総使用累積値Vtが各閾値以上となるごとに、使用料金がより減額される設定方法に、使用料金の設定方法が変更されてもよい。このように、複数回に亘って使用料金が減額されると、使用者は、より一層好ましく、給湯装置10を使い続けることができる。
【0099】
<実施形態2の効果>
実施形態2によれば、以下の効果が奏され得る。
【0100】
実施形態2では、使用実績情報として、給湯装置10の動作回数(使用頻度)が用いられる。また、図8に示したように、サーバ50の制御部501は、単位設定期間において、期間使用累積値(給湯装置10における使用頻度)が閾値Vth1以上である場合、課金情報生成部501aの機能により、給湯装置10の使用実績があると判定し、給湯装置10の期間使用実績を「有」に設定する。この構成によれば、入居前の点検等により給湯装置10が動作しても、使用頻度が閾値Vth1以上とならない限り、使用実績が有りとされない。よって、給湯装置10の使用実績をより適正に判定でき、使用料金をより適正に設定できる。
【0101】
図9(a)に示したように、制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、総使用累積値Vt(給湯装置10の使用開始時からの累積使用頻度)が閾値Vth2以上であることを条件に(S211:NO)、単位設定期間における使用料金が、総使用累積値Vtが閾値Vth2以上でない場合に比べて低額になるように、使用料金の設定方法を変更する。この構成によれば、給湯装置10のこれまでの使用状況に応じて使用料金の設定方法が調整されるため、集合住宅B10のオーナーは、より好意的に給湯装置10のリースを継続することができ、事業主は、円滑にリース事業を進めることができる。
【0102】
<その他の変更例>
上記実施形態2では、給湯装置10の期間使用実績が「有」の場合に、単位設定期間の使用料金が固定額に設定されたが、期間使用累積値に応じて使用料金が設定されてもよい。この場合、制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、期間使用累積値の増加に伴い使用料金が上昇するように使用料金を設定する。
【0103】
図10(a)~(c)は、それぞれ、単位設定期間における通常変動設定に基づく使用料金の設定方法を示す図である。この設定方法は、図6のステップS202において適用される。
【0104】
図10(a)の設定方法では、期間使用累積値の増加に伴い、使用料金がリニアに増加する。図10(b)の設定方法では、期間使用累積値の増加に伴い、使用料金が固定金額M1からリニアに増加する。図10(c)の設定方法では、期間使用累積値の増加に伴い、使用料金が固定金額M2からステップ状に増加する。これらの設定方法は、算出式またはテーブルに基づいて、サーバ50の制御部501(課金情報生成部501a)により実行される。
【0105】
このように、期間使用累積値に応じて使用料金が設定される場合も、図9(a)の場合と同様、期間使用累積値に応じて、使用料金が減額されることが好ましい。
【0106】
図9(b)は、期間使用累積値に応じて使用料金が減額される場合の、サーバ50の制御部501により行われる有料設定処理(図6のステップS202)を示すフローチャートである。図9(b)の有料設定処理では、図9(a)と比較して、ステップS212、S213に代えて、それぞれステップS222、S223が追加されている。
【0107】
総使用累積値Vtが閾値Vth2未満である場合(S221:YES)、制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金を、通常変動設定に基づいて設定する(S222)。他方、総使用累積値Vtが閾値Vth2以上である場合(S211:NO)、制御部501は、課金情報生成部501aの機能により、当該単位設定期間において、対象となる給湯装置10の使用料金を、低額変動設定に設定する(S223)。本変更例では、ステップS222、S223において設定される使用料金は、いずれも変動額であり、ステップS223において設定される使用料金は、ステップS222において設定される使用料金よりも低額である。
【0108】
図10(d)~(f)は、それぞれ、単位設定期間における低額変動設定に基づく使用料金の設定方法を示す図である。
【0109】
図10(d)~(f)に示すように、低額変動設定では、図10(a)~(c)に示した通常変動設定に比べて、期間使用累積値に対する使用料金の増加率が小さくなっている。これにより、総使用累積値が閾値Vth2以上であることを条件に、期間使用累積値に対する使用料金が、通常変動設定で設定される使用料金から減額される。
【0110】
なお、通常変動設定および低額変動設定に基づく使用料金の設定は、図10(a)~(f)に示すものに限らず、他の方法であってもよい。たとえば、期間使用累積値の増加に伴い、使用料金の増加率が徐々に小さくなってもよく、使用料金の増加率が徐々に大きくなってもよい。
【0111】
なお、図7に示したように、使用実績データベースに期間使用累積値が保持される場合は、閾値Vth1を用いて期間使用実績の有無を判定することなく、単位設定期間における給湯装置10の使用実績の有無に応じた使用料金の設定が可能である。すなわち、図6のステップS201を省略しつつ、ステップS202、S203に対応する使用料金の設定が可能である。この場合、図7の使用実績データベースから、期間使用実績の項目が省略される。
【0112】
図11(a)は、閾値Vth1を用いて期間使用実績の有無を判定することなく、使用料金を設定する方法を示す図である。図11(a)の設定方法では、期間使用累積値が閾値Vth1未満の範囲にあれば、使用料金がゼロとなり、期間使用累積値が閾値Vth1以上の範囲にあれば、使用料金がM3(固定額)となる。
【0113】
また、図11(a)の設定方法に代えて、図11(b)の設定方法が用いられてもよい。図11(b)の設定方法では、期間使用累積値が閾値Vth1未満の範囲にあれば、図11(a)と同様、使用料金が0となり、期間使用累積値が閾値Vth1以上の範囲にあれば、期間使用累積値の増加に伴い使用料金がM4からリニアに増加する。
【0114】
図11(a)、(b)に示す設定方法は、算出式またはテーブルに基づいて、サーバ50の制御部501(課金情報生成部501a)により実行される。これにより、図6のステップS201において期間使用実績の有無が判定されることなく、単位設定期間における給湯装置10の使用実績の有無に応じた使用料金を設定することができる。
【0115】
また、上記実施形態2では、使用実績情報は、所定期間における給湯装置10の動作回数であったが、これに限らず、使用頻度に関する他の情報であってもよい。たとえば、使用実績情報として用いる使用頻度に関する情報は、給湯器11の動作時間や、台所リモコン13の運転ボタン132または浴室リモコン12の運転ボタン122aによるオン/オフ操作回数または運転オン時間であってもよい。これらの場合も、使用実績情報が動作回数である場合と同様、図8の処理において、使用実績データベース上の期間使用累積値および総使用累積値は、これらのパラメータ値を累積することにより算出され、更新される。そして、期間使用累積値に応じて期間使用実績が設定され、図9(a)の処理において使用料金が設定される。
【0116】
また、上記実施形態2において、使用実績情報として用いられる使用頻度に関する情報が、給湯装置10の使用量に関する情報(たとえば、燃焼量、燃焼時間または湯水供給時間)であってもよい。この場合、給湯器11の制御部111が、検出部114に含まれる各種センサ(燃焼動作を検出するための燃焼センサ、温水の温度を検出するための温度センサ、湯水の供給を検出するための流量センサ、等)の検知結果に基づいて、これらの使用量を算出し、算出結果を台所リモコン13に送信する。台所リモコン13の制御部133は、給湯器11から受信した使用量を、使用実績送信部133aの機能によりサーバ50に送信する。この場合、これらの使用量を累積することにより、使用実績データベース上の期間使用累積値および総使用累積値が算出され、更新される。
【0117】
また、上記実施形態では、1つの集合住宅B10内に設置された複数の給湯装置10が集合体を構成したが、集合体の構成単位は、建物単位に限られるものではない。たとえば、同じ建物の階ごとに集合体が構成されてもよく、同一オーナーが所有する複数の建物に対して、1つの集合体が構成されてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、使用実績情報が「無」の場合の使用料金は、ゼロに設定されたが、これに限らず、使用実績情報が「有」の場合の使用料金よりも低い料金(たとえば、1/10程度)に設定されればよい。この場合も、使用実績のない住居H10内の給湯装置10にかかる費用を抑制できるため、集合住宅B10のオーナーの不合理感を抑制できる。
【0119】
また、上記実施形態1では、使用実績情報は、給湯器11の動作/非動作を示す0または1であったが、これに限らず、給湯器11の使用があったか否かを示す情報であればよい。たとえば、使用実績情報は、「有」または「無」でもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、図4、7に示したように、使用実績データベースは、集合住宅B10の集合住宅IDごとに保持されたが、これに限らず、集合住宅B10のルータ21のアドレス情報ごとに保持されてもよい。また、図4、7では、台所リモコンIDが、対応する集合住宅B10(集合体)ごとに纏めて使用実績データベースに登録されたが、台所リモコンIDは、集合住宅B10ごとに纏められずに、使用実績データベースに登録されてもよい。この場合、台所リモコンIDに対応するレコードごとに、どの集合住宅B10(集合体)に含まれるかを示す情報(集合住宅IDやルータ21のアドレス情報)が設定されればよい。
【0121】
また、上記実施形態では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部136が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて、給湯器11が無線通信機22に接続されてもよい。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットが無線通信機22に接続されてもよい。この場合、上記実施形態における台所リモコン13による制御は、制御ユニットによって行われる。
【0122】
また、上記実施形態では、給湯装置10が、燃料を燃焼させて生じる燃焼ガスで水を温める燃焼式給湯装置であったが、給湯装置10の構成はこれに限られるものではない。たとえば、給湯装置10は、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。また、給湯装置10が、発電機により電力を生成するとともに、発電機からの排熱を利用して温水を生成するコジェネレーション型給湯装置であってもよい。この場合、給湯装置の動作状態として、給湯系の動作状態とともに、発電系の動作状態が加味されて、使用実績情報が生成されればよい。
【0123】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 給湯システム
10 給湯装置
40 外部通信網
50 サーバ
501a 課金情報生成部
501b 課金情報送信部
502 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11