(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025294
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220203BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220203BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H01L23/36 C
H01L23/12 J
H05K1/18 K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128033
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】506334171
【氏名又は名称】トレックス・セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128532
【弁理士】
【氏名又は名称】村中 克年
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 寛行
【テーマコード(参考)】
5E336
5F136
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336CC43
5E336CC58
5E336EE01
5E336GG03
5F136BB01
5F136BB11
5F136BB13
5F136BC02
5F136BC05
5F136DA25
5F136FA01
5F136FA52
5F136FA53
(57)【要約】
【課題】 ICチップで発生した熱の放散効率を向上させることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】 周縁部に形成した脚部1Aと該脚部1Aの内側に形成した凹部1Bとを有するインターポーザ1と、ハンダボール3を介してインターポーザ1の凹部1Bの底面に、一方の面を固定するによりインターポーザ1との間の電気的な導通を確保したICチップ2と、表面に形成したランド6にハンダ部4を介して脚部1Aの端面を固定するとともに、前記表面に形成した他のランド7にハンダ部5を介してICチップ2の他方の面を固定した実装基板8とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に形成した脚部と該脚部の内側に形成した凹部とを有するインターポーザと、
第1の導電接続部を介して前記インターポーザの前記凹部の底面に、一方の面を固定することにより前記インターポーザとの間の電気的な導通を確保したICチップと、
表面に形成したランドに第2の導電接続部を介して前記脚部の端面を固定するとともに、前記表面に形成した他のランドに第3の導電接続部を介して前記ICチップの他方の面を固定した実装基板とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面はメタライズ処理を施したものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面に一方の面が当接するとともに、前記実装基板の第3の導電接続部に他方の面が当接するように前記ICチップの他方の面と前記実装基板の第3の導電接続部との間で前記凹部の内部に配設した中間部材を有することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特にインターポーザを有するものに適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の小型化を実現する技術としてWL CSP(Wafer level Chip Size Package)が提案されている。このCSPとは、半導体部品のパッケージ形式の一種であり、ボンディング・ワイヤーによる内部配線を行なわず、半導体の一部が露出したままの、ほぼ最小となる半導体パッケージであり、プリント基板上に単体の高集積度半導体を表面実装する際に小さな占有面積で済ませることができるという特長を有している。
【0003】
図4は従来技術に係るWL CSPの一例を示す縦断面図である。同図に示すように、当該半導体装置(WL CSP)IIIにおいてICチップ01は、その底面で外部に露出する銅配線02を介してハンダボール03により実装基板05の表面に形成されたランド04に接合されている。かくしてICチップ01と実装基板05との電気的な導通が確保される。
【0004】
従来技術に係る半導体装置IIIにおいてICチップ01で発生した熱は、銅配線02、ハンダボール03、ランド04を介して実装基板05に伝達され、この実装基板05で主に周囲に放散される。このように、半導体装置IIIでは、ICチップ01で発生した熱の伝熱経路06(図中に太い矢印で示す)が、銅配線02、ハンダボール03、ランド04を経由して実装基板05に至る一本のみである。このため、熱の放散効率を向上させるには銅配線02のハンダボール03に対する接合部を増やす等、放熱面積を増やすことでしか対処できなかった。このことは、半導体装置IIIのさらなる小型化を図る場合の障害となる。
【0005】
なお、上記と同様の課題は残るが、WL CSPである半導体装置を開示する公知文献として特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、ICチップで発生した熱の放散効率を向上させることができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
周縁部に形成した脚部と該脚部の内側に形成した凹部とを有するインターポーザと、
第1の導電接続部を介して前記インターポーザの前記凹部の底面に、一方の面を固定することにより前記インターポーザとの間の電気的な導通を確保したICチップと、
表面に形成したランドに第2の導電接続部を介して前記脚部の端面を固定するとともに、前記表面に形成した他のランドに第3の導電接続部を介して前記ICチップの他方の面を固定した実装基板とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面はメタライズ処理を施したものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面に一方の面が当接するとともに、前記実装基板の第3の導電接続部に他方の面が当接するように前記ICチップの他方の面と前記実装基板の第3の導電接続部との間で前記凹部の内部に配設した中間部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば発熱体であるICチップをインターポーザの凹部の底面と実装基板の表面との間に挟んだサンドイッチ構造となっているので、ICチップで発生した熱が、ICチップから第1の導電接続部およびインターポーザの底面を介してインターポーザの本体に至り、その脚部および第2の導電接続部を介して実装基板に至る第1の伝熱経路と、ICチップの他方の面から直接実装基板に至る第2の伝熱経路との二つの熱経路を介して外部に放散される。この結果、当該半導体装置の小型化を阻害することなく高効率の熱放散を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示す図で、(A)はその縦断面図、(B)は(A)のA-A線矢視図である。
【
図2】
図1に示す半導体装置における伝熱経路を示す前記半導体装置の縦断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す図で、(A)はその縦断面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【
図4】従来技術に係る半導体装置(WL CSP)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示す図で、(A)はその縦断面図、(B)は(A)のA-A線矢視図である。両図に示すように、本形態に係る半導体装置Iのインターポーザ1は、周縁部に形成した脚部1Aと該脚部1Aの内側に形成した凹部1Bとを有し、内部に所定の配線構造が形成された部材である。所定の回路が形成されたフェイスダウン実装チップであるICチップ2は、第1の導電接続部を形成するハンダボール3を介してインターポーザ1の凹部1の底面に、一方の面(
図1(A)中の上面)が固定されている。かくしてハンダボール3がインターポーザ1の銅配線(図示せず)に接続される。
【0015】
一方、実装基板8の表面にはランド6,7を介して第2および第3の導電接続部となるハンダ部4,5が形成してある。そして、ハンダ部4にはインターポーザ1の脚部1Aの下端面が、またハンダ部5にはICチップ2の下面がメタライズ処理部9を介してそれぞれハンダ接合してある。かくしてICチップ2はハンダボール3、インターポーザ1、ハンダ部4、ランド6を介して実装基板8との電気的な導通が確保されている。ここで、メタライズ処理部9はICチップ2とハンダ部5を介したICチップ2と実装基板8との接合を良好にするためのメタライズ処理をした領域で、例えばTi-Ni-Ag、Ti-Ni-Au、Ti-Ni-Pb-Au等のめっき層で良好に形成することができる。
【0016】
かくして本形態に係る半導体装置Iでは、ICチップ2が、インターポーザ1の凹部1Bの底面と、第3のハンダ部5およびランド7を介した実装基板8の表面との間に挟まれたサンドイッチ構造となっている。
【0017】
なお、本形態においては第1~第3の導電接続部をハンダボール3、ハンダ部4,5で形成し、この場合のハンダの材料としては、鉛と錫を主成分とする合金を用いたが、これに限るものではない。他にも、Au,Ag,Cu,Sn,Sn-Bi,Sn-Ag,Sn-Ag-Cu,Au-Sn等の材料を用いることができる。要は、比較的融点が低い導電材料であれば良い。そして、化学的に安定な材料であることが望ましい。
【0018】
図2は、本形態に係る半導体装置Iにおける伝熱経路を示す半導体装置Iの縦断面図である。上述の如く、本形態ではICチップ2が、インターポーザ1の凹部1Bの底面と、第3のハンダ部5およびランド7を介した実装基板8の表面との間に挟まれたサンドイッチ構造となっているので、発熱体であるICチップ2で発生した熱が、ICチップ2から第1のハンダ部3およびインターポーザ1の底面1Bを介してインターポーザ1の本体に至り、その脚部1Aおよび前記第2のハンダ部4を介して実装基板8に至る第1の熱経路11(図中に太線の一点鎖線で示す)と、ICチップ2の他方の面から第3のハンダ部5を介して実装基板8に至る第2の熱経路12(図中に太線の二点鎖線で示す)との二つの熱経路11,12を介して実装基板9に至り、外部に放散される。この結果、高効率の熱放散を図ることが可能となる。
【0019】
図3は本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す図で、(A)はその縦断面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。両図中、
図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
本形態に係る半導体装置IIは、基本的には
図1に示す半導体装置Iと同様の構成となっている。すなわちICチップ20が発生する熱を二つの熱経路11,12(
図2参照)を介して実装基板8に逃がすための構造は同じである。ただ、本形態に係る半導体装置IIでは、ICチップ2の他方の面(図では下面)に一方の面が当接するとともに、第3のハンダ部5に他方の面が当接するようにICチップ20の他方の面(下面)と実装基板8の第3のハンダ部5との間で凹部1Bの内部に配設した中間部材10を有する点が異なる。ここで、中間部材10はその上面をICチップ20の下面に当接させて接着剤(例えば、シリコーン、エポキシ、DAF(ダイ・アタッチ・フィルム)等)により接合されている。また、中間部材10は、ICチップ20と同様の材料(例えばSi、セラミック等)が好ましい。熱膨張係数等が近いからである。さらに、中間部材10がセラミックの場合には、ハンダフィレットが形成され、ハンダによる接合が強化される。
【0021】
かかる本形態においては、インターポーザ1の凹部1Bに配設したICチップ20の高さ調整を容易に行うことができる。また、中間部材10を使用することで、実装基板8とICチップ20が直接接着しないので、応力の緩和効果が得られる。したがって、インターポーザ1に対してフェイスダウンしているICチップ20を有する半導体装置IIIであれば、良好に適用し得、同様の効果を得る。
【符号の説明】
【0022】
I,II,III 半導体装置
1 インターポーザ
1A 脚部
1B 凹部
2,20 ICチップ
3 ハンダボール
4,5 ハンダ部
8 実装基板
9 メタライズ処理部
10 中間部材
【手続補正書】
【提出日】2021-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に形成した脚部と該脚部の内側に形成した凹部とを有するとともに前記凹部の底辺を経由して前記脚部に至る内部に所定の配線構造が形成されたインターポーザと、
第1の導電接続部を介して前記インターポーザの前記凹部の底面に、一方の面を固定することにより前記底面に臨む前記配線構造の一端との間の電気的な導通を確保したICチップと、
表面に形成したランドに第2の導電接続部を介して前記脚部の端面を固定するとともに、前記端面に臨む前記配線構造の他端との電気的な導通を確保し、さらに前記表面に形成した他のランドに第3の導電接続部を介して前記ICチップの他方の面を固定して電気的に接続した実装基板とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面はメタライズ処理を施したものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する半導体装置において、
前記ICチップの他方の面に一方の面が当接するとともに、前記実装基板の第3の導電接続部に他方の面が当接するように前記ICチップの他方の面と前記実装基板の第3の導電接続部との間で前記凹部の内部に配設した中間部材を有することを特徴とする半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
周縁部に形成した脚部と該脚部の内側に形成した凹部とを有するとともに前記凹部の底辺を経由して前記脚部に至る内部に所定の配線構造が形成されたインターポーザと、
第1の導電接続部を介して前記インターポーザの前記凹部の底面に、一方の面を固定することにより前記底面に臨む前記配線構造の一端との間の電気的な導通を確保したICチップと、
表面に形成したランドに第2の導電接続部を介して前記脚部の端面を固定するとともに、前記端面に臨む前記配線構造の他端との電気的な導通を確保し、さらに前記表面に形成した他のランドに第3の導電接続部を介して前記ICチップの他方の面を固定して電気的に接続した実装基板とを有することを特徴とする。