(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025337
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】混合装置及び混合方法
(51)【国際特許分類】
B01F 35/71 20220101AFI20220203BHJP
B01F 23/60 20220101ALI20220203BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20220203BHJP
B01F 35/80 20220101ALI20220203BHJP
B29C 31/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B01F15/02 B
B01F3/18
B01F15/02 C
B01F15/04 F
B29C31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128103
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000150512
【氏名又は名称】株式会社仲田コーティング
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】松野 竹己
【テーマコード(参考)】
4F201
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4F201AB02
4F201AB12
4F201AL03
4F201AL04
4F201AL10
4F201AL16
4F201AL17
4F201AL18
4F201BA06
4F201BQ07
4F201BQ08
4F201BQ16
4G035AB48
4G035AD06
4G035AE02
4G035AE10
4G035AE13
4G037AA04
4G037AA05
4G037AA12
4G037AA18
4G037BA06
4G037BE03
4G037BE05
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】簡易な構成であっても、発泡剤と着色剤とを、マスターバッチ化することなく、均一かつ安定的に混合できる混合装置を提供する。
【解決手段】混合装置は、制御部と、下記構成(1)~(3)を鉛直方向上方から下方に向かって、順に備えている混合装置。(1)発泡剤と着色剤を収容する第1~第2容器を有する収容部(2)発泡剤と着色剤を移送する第1~第2スクリューフィーダーと、その駆動部を有する移送部(3)スクリーフィーダから出力される発泡剤及び着色剤を受けて整流する案内部材を有する整流部
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発泡剤と着色剤を混合するバッチ式の混合装置であって、矩形状に組まれたフレームにより支持されており、当該混合装置の動作を制御する制御部を備えるとともに、下記構成(1)~(3)を鉛直方向に沿って、上方から下方に、順次に備えていることを特徴とする混合装置。
(1)発泡剤を収容する第1容器と、当該第1容器と同じ高さに隣接して設けられた着色剤を収容する第2容器とを有する収容部
(2)第1容器内の発泡剤を、螺旋刃の回転によって移送する、第1スクリューフィーダーと、当該第1スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第1駆動部と、第2容器内の着色剤を、螺旋刃の回転によって移送する、第1スクリューフィーダーと同じ高さに配置された第2スクリューフィーダーと、当該第2スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第2駆動部とを有する移送部
(3)第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーにおける、それぞれの移送方向の下流側先端部に設けられた第1排出口及び第2排出口の鉛直下方に配置され、第1排出口及び第2排出口から出力される発泡剤と着色剤とを、直接受けて整流する漏斗状の案内部材を有する整流部
【請求項2】
(4)として、前記案内部材から出力される発泡剤と着色剤を直接受ける集合槽と、当該集合槽内の発泡剤及び着色剤を、下方から外部に取り出す取出口と、当該取出口を開閉する取出用シャッターと、前記集合槽に収容された発泡剤と着色剤の重量を、前記集合槽の重量と合わせて測定するロードセルと、を有する集合取出部を、さらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部を、それぞれ予め定めた時間で間欠動作させるとともに、前記間欠動作の始動と停止のタイミングを同期させる同期部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合装置。
【請求項4】
前記第1スクリューフィーダー及び前記第2スクリューフィーダーは、それぞれの螺旋刃の回転軸を、それぞれの移送方向に沿って延長した仮想直線が、一点で交点を有するように、非平行、かつ、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の混合装置。
【請求項5】
前記案内部材の鉛直方向上側における開口部の直径をαmmとし、前記案内部材の鉛直方向下側における開口部の直径をβmmとし、前記第1排出口及び前記第2排出口間の距離をDmmとした場合に、α>D>βの関係を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の混合装置。
【請求項6】
前記案内部材は、当該案内部材の鉛直方向上側における開口部の周囲にフランジ部を有しており、当該フランジ部を、水平面に平行に配置された3つの直線状固定部材の内側に設けられた連続する溝部によって支持されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の混合装置。
【請求項7】
前記第1容器と前記第2容器の間に隣接して配置された、熱可塑性エラストマーを収容する第3容器と、当該第3容器の前記熱可塑性エラストマーを螺旋刃の回転によって移送する第3スクリューフィーダーと、当該第3スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第3駆動部と、をさらに備え、前記第3スクリューフィーダーは、前記第1スクリューフィーダー及び前記第2スクリューフィーダーよりも低い位置で、かつ、前記案内部材よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の混合装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の混合装置を用いた混合方法であって、下記工程(a)~(d)を含むことを特徴とする混合方法。
(a) 前記第1容器に対して前記発泡剤を投入するとともに、前記第2容器に対して、前記着色剤を投入する投入工程
(b) 前記第1スクリューフィーダーの螺旋刃を前記第1駆動部によって回転させて、前記第1容器内の前記発泡剤を移送するとともに、前記第2スクリューフィーダーの螺旋刃を前記第2駆動部によって回転させて、前記第2容器内の前記着色剤を移送する移送工程
(c) 前記第1排出口から出力される前記発泡剤と前記第2排出口から出力される前記着色剤とを、前記案内部材によって直接受けて整流する整流工程
(d) 前記案内部材から、発泡剤と着色剤を、混合材料として出力する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合装置及び混合方法に関する。
特に、簡易な構成であっても、射出成形用材料等として添加する配合成分の発泡剤と着色剤とを、均一かつ安定的に混合できる、バッチ式の混合装置及び混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体や粒体(以下、粉粒体と称する場合がある。)を混合するための混合装置として、例えば、
図13に示したような構成を有する混合装置100が提案されている(特許文献1参照)。
この混合装置100は、複数の供給ホッパー101、計量ホッパー103、ロードセル105、混合ホッパー107、ブレンド材タンク109、吸引部111、複数の原料タンク113、及び制御装置115を備えた装置である。
すなわち、各供給ホッパー101の粉粒体を、一種類ずつ計量ホッパー103に移送し、計量することを繰り返して混合する装置である。
【0003】
具体的には、複数種類の粉粒体は、対応する原料タンク113から対応する供給ホッパー101に、吸引部111による気力輸送によって、供給される。また、この粉粒体は、スクリュー101aによって計量ホッパー103に送られる。
次に、計量ホッパーに送られる粉粒体の重さは、ロードセル105によって測定され、所定量になると、粉粒体の供給は停止されて、粉粒体は混合ホッパー107に送られる。ロードセル105の計測値がゼロにリセットされ、次の種類の粉粒体が計量ホッパー103に送られて、上記同様の処理が行われる。
そして、混合ホッパー107に複数種類の粉粒体が供給された後、これら粉粒体は、混合ホッパー107の羽根107aによって攪拌されて混合される。混合が済んだ粉粒体はブレンド材タンク109に送られ、その後、処理装置200(例えば成形装置等)で利用される。上記の各操作は、制御装置115によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような、従来の混合装置100では、粉粒体ごとに計量ホッパー103へ移送し、ロードセル105によって測定した後、排出することなくロードセル105の重量をリセットして、次の粉粒体の重量を計測していた。従って、粉粒体が複数種類ある場合には、計量ホッパー内部で、それぞれの粉粒体が層を構成してしまい、均一に混ざらないという問題が見られた。
また、複数種類の粉粒体の混合を行う場合には混合ホッパー107において羽根107aによる攪拌によって行っていた。そのため、従来の混合装置100では、計量ホッパーや攪拌装置が必要であり、装置全体の構成が複雑になることで、安定して混合できないという問題が見られた。
【0006】
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、簡易な構成であっても、複数のスクリューフィーダーを用いることで、射出成形用材料等として添加する配合成分の発泡剤と着色剤とを、均一かつ安定的に混合できる、バッチ式の混合装置、これを用いた混合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の混合装置によれば、少なくとも発泡剤と着色剤を混合するバッチ式の混合装置であって、矩形状に組まれたフレームにより支持されており、当該混合装置の動作を制御する制御部を備えるとともに、下記構成(1)~(3)を鉛直方向に沿って、上方から下方に、順次に備えている。
(1) 発泡剤を収容する第1容器と、当該第1容器と同じ高さに隣接して設けられた着色剤を収容する第2容器とを有する収容部
(2) 第1容器内の発泡剤を、螺旋刃の回転によって移送する、第1スクリューフィーダーと、当該第1スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第1駆動部と、第2容器内の着色剤を、螺旋刃の回転によって移送する、第1スクリューフィーダーと同じ高さに配置された第2スクリューフィーダーと、当該第2スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第2駆動部とを有する移送部
(3) 第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーにおける、それぞれの移送方向の下流側先端部に設けられた第1排出口及び第2排出口の鉛直下方に配置され、第1排出口及び第2排出口から出力される発泡剤と着色剤とを、直接受けて整流する漏斗状の案内部材を有する整流部
【0008】
このような構成にすることにより、簡易な構造であっても、実質的に配合成分を攪拌翼式等の攪拌装置によって攪拌することなく、射出成形材料等として添加する配合成分の発泡剤と着色剤を均一かつ安定的に混合することができる。
すなわち、スクリューフィーダーを利用することで、各容器からそれぞれ正確な量の材料を供給でき、漏斗状の案内部材によって、1箇所の開口部に向かって整流することができるため、配合成分を均一に混合することができる。
また、正確な量を排出するスクリューフィーダーの各配合成分を、小さい開口部を有する漏斗状の案内部材から出力することで、攪拌熱や静電気等の影響を少なくして安定的に混合することができる。
【0009】
本発明の混合装置を構成するに当たり、(4)として、案内部材から出力される発泡剤と着色剤を直接受ける集合槽と、当該集合槽内の発泡剤及び着色剤を、下方から外部に取り出す取出口と、当該取出口を開閉する取出用シャッターと、集合槽に収容された発泡剤と着色剤の重量を、集合槽の重量と合わせて測定するロードセルと、を有する集合取出部を、さらに備えることが好ましい。
このような構成にすることにより、漏斗状の案内部材から出力した配合成分を、そのまま直接集合槽で受けることができ、攪拌熱や静電気の影響を少なくして、均一かつ安定的に配合できる。
また、例えば、集合槽1箇所だけの重量を確認しておくことで、第1スクリューフィーダーや第2スクリューフィーダーに異変があったときや、発泡剤が経路中に詰まった等の異変が起きたときに、早期に対応することができる。
また、1回のサイクルで混合する発泡剤と着色剤の重量は、各スクリューフィーダーによって調整が可能であるため、発泡剤と着色剤とを分けて計量する必要がなく、実質的に配合成分を攪拌翼式等の攪拌装置によって攪拌せずに、均一かつ安定的に混合することができる。
【0010】
本発明の混合装置を構成するに当たり、制御部は、第1駆動部及び第2駆動部を、それぞれ予め定めた時間で間欠動作させるとともに、間欠動作の始動と停止のタイミングを同期させる同期部を有していることが好ましい。
このような構成にすることにより、第1スクリューフィーダー及び前記第2スクリューフィーダーのそれぞれから出力される材料の量が、必然的に一定割合となるため、均一かつ安定的に混合することができる。
【0011】
本発明の混合装置を構成するに当たり、第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーは、それぞれの螺旋刃の回転軸を、それぞれの移送方向に沿って延長した仮想直線が、一点で交点を有するように、かつ、同一平面上に配置されていることが好ましい。
このような構成にすることにより、第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーから出力される材料が、案内部材上の一か所に向かって落下していくため、落下経路が安定し、より均一かつ安定的に混合することができる。
【0012】
本発明の混合装置を構成するに当たり、案内部材の鉛直方向上側における開口部の直径をαmmとし、案内部材の鉛直方向下側における開口部の直径をβmmとし、第1排出口及び第2排出口間の距離をDmmとした場合に、α>D>βの関係を満たすことが好ましい。
このような構成にすることにより、第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーから出力される材料が、漏斗状の案内部材によって、小さい開口部の全体に散らばって整流されて、より均一かつ安定的に混合することができる。
【0013】
本発明の混合装置を構成するに当たり、案内部材は、当該案内部材の鉛直方向上側における開口部の周囲にフランジ部を有しており、当該フランジ部を、水平面に平行に配置された3つの直線状固定部材の内側に設けられた連続する溝部によって支持されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、案内部材を溝に沿ってスライドさせることで、特殊な工具を用いることなく着脱でき、混合する材料の種類に合わせて交換できることから、幅広い材料に対して、より安定して混合することができる。
【0014】
本発明の混合装置を構成するに当たり、第1容器と第2容器の間に隣接して配置された、熱可塑性エラストマーを収容する第3容器と、当該第3容器の熱可塑性エラストマーを螺旋刃の回転によって移送する第3スクリューフィーダーと、当該第3スクリューフィーダーの螺旋刃を回転させる第3駆動部と、をさらに備えることが好ましい。然も、第3スクリューフィーダーは、第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーよりも低い位置で、かつ、案内部材よりも高い位置に配置されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、配合成分としての発泡剤及び着色剤に加えて、予め主剤としての熱可塑性エラストマーを均一、かつ、安定的に混合させておくことができ、その後の工程で均一な割合で溶融したり、一部の工程を省略したりできる。
【0015】
本発明の別の態様は、上記の混合装置を用いた混合方法であって、下記工程(a)~(d)を含むことを特徴とする混合方法である。
(a) 第1容器に対して発泡剤を投入するとともに、第2容器に対して、着色剤を投入する投入工程
(b) 第1スクリューフィーダーの螺旋刃を第1駆動部によって回転させて、第1容器内の発泡剤を移送するとともに、第2スクリューフィーダーの螺旋刃を第2駆動部によって回転させて、第2容器内の着色剤を移送する移送工程
(c) 第1排出口から出力される発泡剤と第2排出口から出力される着色剤とを、案内部材によって直接受けて整流する整流工程
(d) 案内部材から発泡剤と着色剤を、混合材料として出力する工程
このように実施することにより、簡易な構造の混合装置であっても、発泡剤と着色剤を均一、かつ、安定的に混合することができる。
すなわち、スクリューフィーダーを利用することで、各収容部からそれぞれ正確な量の材料を供給でき、漏斗状の案内部材によって、小さい開口部に向かって整流することができるため、材料を均一に混合することができる。
また、正確な量を排出するスクリューフィーダーの各材料を整流した後に、小さい開口部を有する漏斗状の案内部材から出力することで、安定的に混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の混合装置を説明するために供する斜視図である。
【
図2】
図2は、制御部の構成例を説明するために供するブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、スクリューフィーダー及び容器のより詳細な構造例を説明するために供する側面図、
図3(b)は、容器の排出口付近に設けた傘部材を説明するために供する側面図及び一部上面図、
図3(c)はシャッターの使用例を説明するために供する側面図である。
【
図4】
図4(a)~(b)は、スクリューフィーダーの螺旋刃の回転軸を、移送方向に沿って延長した交点と案内部材との配置例を説明するために供する上面図である。
【
図5】
図5(a)~(b)は、移送する配合成分に応じたスクリューフィーダーの構造例を説明するために供する斜視図である。
【
図6】
図6(a)~(b)は、スクリューフィーダーの鉛直方向の向きに関する配置例を説明するために供する図である。
【
図7】
図7は、スクリューフィーダーの回転を円滑化するため、スクリューフィーダーを駆動部に取り付けるに当たり2個のベアリングを用いる例を説明するために供する斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、漏斗状の案内部材及びその支持構造の例を説明するために供する斜視図であり、
図8(b)は
図8(a)中のI-Iに沿う断面図である。
【
図9】
図9(a)は主材料を加えた3種類の材料を混合する第2の実施形態の混合装置の、特に第1~第3スクリューフィーダー及び第1~第3容器の配置例を説明するために供する上面図、
図9(b)は同じく側面図である。
【
図10】
図10(a)は、配合成分の移送速度の一例を説明するために供する図であり、
図10(b)は、本発明の作用効果を説明するために供する図であり、発泡剤、着色剤を移送している際の重量変化を説明するために供する図である。
【
図11】
図11(a)~(c)は、移送速度の他の例を説明するために供する図である。
【
図12】
図12は、混合方法の実施形態を説明するため、及び、制御部の実行例を説明するために供するフローチャートである。実施形態の射出成形システムを説明するために供する斜視図である。
【
図13】
図13は、従来の混合装置を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の符号を付して示し、その説明を省略する場合もある。一方、説明に用いる各図は、これらの発明を理解できる程度に概略的に示したものである。また、以下の説明中で述べる使用装置、形状、寸法、材質等は、この発明の範囲内の好適例にすぎない。従って、本発明は、以下の実施形態のみに、特に理由なく限定されるものではない。
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態の混合装置は、
図1に示すように、少なくとも発泡剤と着色剤とを混合するバッチ式の混合装置10であって、矩形状に組まれたフレーム11により支持されており、当該混合装置10の動作を制御する制御部13を備えるとともに、下記構成(1)~(3)を鉛直方向に沿って、上方から下方に(
図1中の矢印V)、順次に備えている。
(1)発泡剤を収容する第1容器と、着色剤を収容する第2容器とを有する収容部
(2)第1容器内の発泡剤を移送する第1スクリューフィーダーと、その螺旋刃を回転させる第1駆動部と、第2容器内の着色剤を移送する第2スクリューフィーダーと、その螺旋刃を回転させる第2駆動部とを有する移送部
(3)第1スクリューフィーダー及び第2スクリューフィーダーにおける、第1排出口及び第2排出口から出力される発泡剤と着色剤とを、直接受けて整流する漏斗状の案内部材を有する整流部
以下、各構成成分について具体的に説明する。
【0019】
1.収容部
1-(1) 主構成
第1の実施形態の収容部は、
図1に示すように、主構成として、発泡剤を収容する第1容器15と、第1容器15と同じ高さに隣接して設けられた着色剤を収容する第2容器17を有している。
【0020】
1-(2) 発泡剤
発泡剤は、配合成分の一つであり、熱をかけることで発泡成分から気体を発生させる材料である。例えば、溶融した成形用の樹脂材料と混ぜて金型に充填することで、気泡構造を持った樹脂成形品を構成できる。
発泡剤の種類は、任意のもので良いが、好ましくは、高温発泡剤、具体的には、発泡温度が200℃以上の発泡剤が良く、その種類は特に制限されるものではないが、具体的には、無機系発泡剤及び有機系発泡剤、あるいは、いずれか一方を用いることができる。
ここで、発泡剤の発泡温度(発泡開始温度を意味する場合がある。)が200℃より小さい場合、熱可塑性エラストマー等への混合時の攪拌熱等が発生した場合に、当該発泡剤の発泡を効果的に防止することが困難となる場合があるからである。
逆に言えば、発泡剤の発泡温度を所定値以下とすることによって、これまで実現が難しいと考えられていたバッチ式での混合を可能にすることができる。
但し、発泡剤の発泡温度が350℃より高い場合、熱可塑性エラストマー等の種類、あるいは、混合方法によっては、発泡する前に熱可塑性エラストマー等が過度に加熱され、それが熱分解して、機械的強度が低下する場合がある。
従って、発泡剤の発泡温度を210℃~330℃の範囲内の値とすることがより好ましく、220℃~300℃の範囲内の値とすることが、さらに好ましいと言える。
なお、かかる発泡温度は、DSC等の熱分析装置を用いて測定することができる。
【0021】
好適な無機系発泡剤として、重炭酸アンモニウム等の炭酸アンモニウム系化合物、アジド銅酢酸塩等のアジド化合物系化合物、膨脹黒鉛等の鉱物質系化合物の少なくとも一つが例示される。
また、好適な有機系発泡剤として、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物系、P,P’オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等のスルホニルヒドラジッド系、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸塩系等の発泡剤が挙げられる。
例えば、無機系発泡剤の中でも、発泡倍率が大きく、厚い断熱層を形成するため、膨脹黒鉛等がより好ましい。
また、有機系発泡剤の中でも、スルホニルヒドラジッド系がシャープに低温発泡するためより好ましい。
【0022】
なお、高温発泡剤の配合量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対し、典型的には、5~100重量部の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる高温発泡剤の配合量が5重量部未満の値になると、所望の発泡性が得られず、軽量化等が困難な場合があるからである。
一方、かかる高温発泡剤の配合量が100量部を超えた値になると、過度に発泡したり、発泡性を制御したりすることが困難となる場合があるからである。
従って、高温発泡剤の配合量を、熱可塑性エラストマー100重量部に対し、10~80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、15~60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0023】
1-(3) 着色剤
着色剤は、配合成分の一つであり、顔料として発色性、外観、色相、意匠性等を良好にするために用いられる材料である。例えば、溶融した成形用の樹脂材料と混ぜて金型に充填することで、顔料に応じた色の樹脂成形品を構成できる。
かかる着色剤の種類は特に制限されるものではないが、有機系着色剤、無機系着色剤、金属系着色剤等が好適に用いられる。
すなわち、これらの有機系着色剤を配合することによって、良好な発色性、外観、色相、意匠性などを、所望の態様とすることができる。
【0024】
ここで、有機系着色剤とは、有機顔料や有機染料などのことであり、市販されている一般的なものを使用することができる。
より具体的には、有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ系顔料などのアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等などが挙げられる。
また、有機染料としては、例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、ピラゾロン染料、ペリノン染料、キノフタロン染料などが挙げられる。
【0025】
また、無機系着色剤とは、無機系の天然鉱物顔料や合成無機顔料などのことであり、市販されている一般的なものを使用することができる。
例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄1種、亜鉛黄2種、ウルトラマリン青、プロシア青、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、セラミックス、炭酸カルシウム、カオリン、白色雲母、タルクなどが挙げられる。
特にタルクを用いることにより、機械的強度が著しく向上し、自動車用塗料(三層構造)等の中塗り層や下地層に用いた場合、チッピング特性を急激に向上できることから好適な着色剤である。
しかも、タルクであれば、比較的安価で、かつ耐候性等に優れた着色剤である。
【0026】
さらに、金属系着色剤とは、金属の粉末、酸化物又は合金を含有する顔料であり、市販されている一般的なものを使用することができる。
かかる金属系着色剤の原料として用いられる金属としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、マグネシウム、ステンレスなどの少なくとも一つが挙げられる。
【0027】
1-(4) 第1~第2容器
第1容器15は、上記例示したような発泡剤が収容される部材であり、第2容器17は、上記例示したような着色剤が収容される部材であり、所定回数の混合バッチ処理を行える分量の材料を収容しておくための部材である。ここで、発泡剤と着色剤は、まとめて、配合成分と称する場合もある。
また、第1容器15、第2容器17(以降、まとめて、単に容器、または容器(15、17)と称する場合がある。)は、水平方向に隣接して配置されている。また、これら容器は、鉛直方向において同一の高さに配置しておくことが好ましい。こうしておけば、容器(15、17)の、フレーム11への納まりも良いし、また、それぞれのスクリューフィーダー(19、23)との接続も行い易い等の利点がある。なお、容器(15、17)を同一の高さに配置するとは、真に同一が理想であるが、本発明の目的の範囲内で、多少の違いを有した実質的に同一の場合も含む。また、各容器の大きさが異なる場合は、容器の配合成分を出力する排出口が鉛直方向において同一の高さとなるように、することが好ましい。
また、
図3(a)に示したように、容器(15、17)は、底部が、それぞれ対応する第1~第2スクリューフィーダー(以降、まとめて、単にスクリューフィーダー、またはスクリューフィーダー(19、23)と称する場合がある。)の、パイプ状部材(19b、23b)に接続されている。
【0028】
容器(15、17)は、金属製の容器が良く、例えば、アルミ製やステンレス製の容器が良い。また、配合成分は帯電する場合が多いため、容器を金属製とし、かつ、アースに接続しておくことが好ましい。
容器(15、17)の形状は、例えば、底部がすり鉢状になっている四角筒状又は円筒状の容器で構成するのが好ましい。そして、容器(15、17)の底部が直接、スクリューフィーダー(19、23)と繋がっていてもよいが、容器内の配合成分Q(
図2参照)の重みで、下方に位置する配合成分が押し固められて詰まるのを防ぐために、
図3(b)に示したように、容器(15、17)のスクリューフィーダー(19、23)との接合部の鉛直上方に、容器の底部と接合部との隙間を持たせるために、円錐状の傘部材(15c、17c)を設けることが好ましい。
傘部材(15c、17c)を設けることで、容器内に配合成分を収容するために、十分な強度を確保できるとともに、容器内の配合成分Qを容器の下方からバランスよく案内部材27に供給できるためである。
【0029】
また、容器とスクリューフィーダーの接合部は、溶接、お互いの接合部にフランジを設けて固定金具で接合するフランジ接合、お互いの接合部に雄ネジと雌ネジのいずれか一方をもうけて螺合させるネジ接合等の一般的な接合方法で良い。特に、固定金具等の部品が必要なく、メンテナンスするために着脱が容易であることから、ネジ接合とすることが好ましい。
また、メンテナンス等のために、接合部を脱状態としたときに、収容された配合成分がこぼれ出てしまわないように、接合部の間に、スライド式やルーバー式のシャッター弁を設けることが好ましい。
なお、第1容器15は、当該容器に収容する発泡剤の量を監視するセンサ15aを備えており、第2容器17は、当該容器に収容する着色剤の量を監視するセンサ17aを備えている。これらセンサ15a、17aは、例えば、フォトカプラやレーザを用いたセンサ等で構成できる。また、容器(15、17)は、容器内の配合成分の量を目視確認できるように窓(15b、17b)を備えることが好ましい。
なお、容器(15、17)は、後述するフレーム11に支持されている。
【0030】
2.移送部
2-(1) 主構成
移送部は、
図1に示すように、主構成として、第1容器15内の発泡剤を、螺旋刃の回転によって移送する、第1スクリューフィーダー19と、第1スクリューフィーダー19の螺旋刃(
図3等参照)を回転させる第1駆動部21とを有している。
また、第1スクリューフィーダー19と同じ高さに配置され、第2容器17内の着色剤を、螺旋刃(
図3等参照)の回転によって移送する、第2スクリューフィーダー23と、第2スクリューフィーダー23の螺旋刃を回転させる第2駆動部25とを有している。
【0031】
2-(2) 第1~第2スクリューフィーダー
第1スクリューフィーダー19は、第1容器15内の発泡剤を移送するものであり、第2スクリューフィーダー23は、第2容器17内の着色剤を移送するものである。これらスクリューフィーダー(19、23)は、例えば、
図3(a)に示したように、配合成分Qの移送ルートとしてのパイプ状部材(19b、23b)と、パイプ状部材(19b、23b)内に収納した螺旋刃(19c、23c)と、を備えている。パイプ状部材(19b、23b)は、移送方向における上流端部で容器(15、17)と接続されている。パイプ状部材(19b、23b)内に配置された螺旋刃(19c、23c)の回転によって、配合成分Qを、パイプ状部材の長手方向に沿って排出口(19a、23a)側に移送できる。
また、螺旋刃(19c、23c)の排出口(19a、23a)と反対側の端はそれぞれ対応する第1駆動部21又は第2駆動部25(詳細は後述する)と接続してある。
第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23は、これらから出力される発泡剤、着色剤が互いに接触するよう、配置することが重要である。具体的には、
図4(a)、(b)に示すように、それぞれの螺旋刃の回転軸を、それぞれの移送方向に沿って延長した仮想直線L1、L2が、一点Pで交点を有するように、かつ、同一平面上に配置するのが良い。なお、一点で交点を有するようにとか、同一平面等は、真に交点を有する場合や真に同一平面は勿論、本発明の目的を逸脱しない範囲でほぼ一点やほぼ同一である場合も含む。
【0032】
さらに、第1スクリューフィーダー19の排出口19aと、第2スクリューフィーダー23の排出口23a側に、配合成分Qのスクリューフィーダー(19、23)からの出力及び停止を制御する第1シャッター31又は第2シャッター33を備えている(
図3(a)等参照)。
なお、配合成分は帯電することが多いため、スクリューフィーダー(19、23)をアースに接続しておくことが好ましい。
【0033】
第1スクリューフィーダー19、第2スクリューフィーダー23各々の螺旋刃(19c、23c)の径やピッチ、螺旋刃の回転数、回転精度等を選択することで、スクリューフィーダーで移送できる配合成分の量や、配合成分の移送速度、移送速度の精度等を制御できる。すなわち、発泡剤、着色剤を移送する移送速度を設定でき、従って、発泡剤、着色剤を、所定の混合比を維持して、所定の移送速度で移送できる(詳細は後述する)。
【0034】
なお、配合成分の移送量が多い場合、及び又は配合成分の質量が大きい場合は、その移送に用いるスクリューフィーダーは、
図5(a)に示したように、螺旋刃(19c、23c)として、強固な螺旋部位を有した剛性の高いものを用い、また、パイプ状部材(19b、23b)の径や螺旋刃(19c、23c)が大きいものを選ぶことが好ましい。
一方、配合成分の移送量が少ない場合、及び又は質量が小さい場合は、その移送に用いるスクリューフィーダーは、
図5(b)に示したように、螺旋刃(19c、23c)として、螺旋ネジの類の螺旋刃ーを用いることが好ましい。また、移送量が少ない場合、微細な移送制御が必要なので、螺旋刃の径や螺旋刃のピッチが小さく、かつ、モータの回転精度も高いものを選ぶことが好ましい。
スクリューフィーダー(19、23)は後述するフレーム11によって支持されている。
【0035】
なお、スクリューフィーダー(19、23)は、典型的には、水平面に対して平行に配置するが、スクリューフィーダー(19、23)を、
図6に示したように水平面に対して傾斜して設けても良い。具体的には、スクリューフィーダー(19、23)が移送方向に上り傾斜を有している場合(
図6(a)中の破線状態の場合)、螺旋刃(19c、23c)の回転動作の停止に対して、パイプ状部材(19b、23b)内の排出口(19a、23a)近くに残った配合成分Qが崩れるなどして、余計に排出されることを防ぐことができる。よって、正確な秤量を行うことができる。また、スクリューフィーダー(19、23)が移送方向に下り傾斜を有している場合(
図6(a)中の実線状態の場合)螺旋刃(19c、23c)回転動作に加えて、パイプ状部材(19b、23b)内の配合成分Qが重力によっても排出口(19a、23a)に向かって移送されるため、パイプ状部材(19b、23b)内の詰まりを効果的に防ぐことができる。よって、長時間使用した場合であっても、精度を大きく落とすことなく、主材料、発泡剤、着色剤を所望の量、移送できる。
なお、スクリューフィーダーを傾斜させて配置する場合、
図6(b)に示すように、第1、第2スクリューフィーダー(19、23)の傾斜具合が異なる場合があっても良い。
第1、第2スクリューフィーダー(19、23)の傾斜具合を異ならせる場合、第1、第2スクリューフィーダー(19、23)それぞれの螺旋刃の回転軸を、それぞれの移送方向に沿って延長した仮想直線(L1、L2)が、一点Pで交点を有するように(
図4参照)、かつ、第1、第2スクリューの排出口(19a、23a)を同一高さになるように配置するのが良い。
よって、各スクリューフィーダーが、お互いに平行である場合を0°とした場合に、第1スクリューフィーダー19に対する、第2スクリューフィーダー23のなす角度θを10~170°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、一つのスクリューフィーダーから出力された配合成分が、相対する隣接したスクリューフィーダー(第1スクリューフィーダー19に対しては、第2スクリューフィーダー23)から出力された配合成分とぶつかって合流するように落下するため、落下の途中で混合することができるためである。
したがって、第1スクリューフィーダー19に対する、第2スクリューフィーダー23のなす角度θを45~135°の範囲内の値とすることがより好ましく、60~120°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
2-(3) 第1シャッター、第2シャッター
第1シャッター31、第2シャッター33(以下、単にシャッター又はシャッター(31、33)とも称する)各々は、対応するスクリューフィーダー(19、23)の排出口(19a、23a)側に設けてあり、スクリューフィーダー(19、23)を停止する際に、スクリューフィーダーの出力口を塞ぐものである。シャッター(31、33)は、
図3(a)に示したように、スクリューフィーダー(19、23)各々の先端に設けたソレノイド31a(33a)と、ソレノイド(31a、33a)によって開閉されるシャッター板(31b、33b)と、によって構成できる。なお、
図3(a)の例示は、シャッター(31、33)が開いていてスクリューフィーダーの先端から配合成分Qを出す場合の例である。
図3(c)の例示は、シャッター(31、33)が閉じていてスクリューフィーダーからの配合成分Qの供給を停止する場合の例である。
【0037】
2-(4) 第1駆動部、第2駆動部
第1駆動部21、第2駆動部25(以下、単に駆動部又は駆動部(21、25)とも称する)は、スクリューフィーダー(19、23)の螺旋刃(19c、23c)の回転軸19d(23d)を回転軸として、螺旋刃(19c、23c)を回転させるもので、任意好適なモータで構成できるが、例えばステッピングモータで構成することが好ましい。ステッピングモータは、回転角度を含めて精度良く、かつ、分解能高く、螺旋刃の回転速度や回転数を制御できるからである。よって、始動から次に始動するまでを1サイクルとして、複数サイクルを間欠動作させた際に、螺旋刃(19c、23c)の回転を毎回同じ位相状態にすることができ、結果、スクリューフィーダー(19、23)から出力する配合成分の量を精度良く出力できるためである。
第1駆動部21、第2駆動部25は、対応するスクリューフィーダーの螺旋刃の回転軸に接続させて設けられるが、
図7に示すように、螺旋刃(19c、23c)の回転の安定性、軸ブレ防止等を図るため、螺旋刃を2個のベアリング26a、26bで受けてから駆動部(21、25)と接続する構造としても良い。
【0038】
3.整流部
3-(1) 主構成
整流部は、
図1に示すように、主構成として、第1排出口19a及び第2排出口23aから出力される発泡剤と着色剤とを、直接受けて整流する漏斗状の案内部材27を有している。
また、第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23における、それぞれの移送方向の下流側先端部に、第1排出口19a及び第2排出口23aがもうけられている。
また、漏斗状の案内部材27は、第1排出口19a及び第2排出口23aの鉛直下方(矢印Vに沿う方向)に配置されている。
【0039】
3-(2) 漏斗状の案内部材
漏斗所の案内部材27は、第1スクリューフィーダー19の排出口19a及び第2スクリューフィーダー23の排出口23aの鉛直下方に配置されているものである。そして、これら排出口(19a、23a)から出力される発泡剤と着色剤とを、直接受けて整流するものである。漏斗状の案内部材27は、
図4(a)に示したように、鉛直方向上側における開口部が直径αmm、下側における開口部が直径βmm(β<α)となっているものとしてある。上記のα、βは混合装置に要求される仕様に応じて任意の値で良いが、好適に混合を行う観点からαは、50~500mmの範囲内の値であることが好ましく、βは、10~200mmの範囲内の値であることが好ましい。
よって、αは、100~450mmの範囲内がより好ましく、150~400mmの範囲内の値であることがさらに好ましい。また、βは、20~180mmの範囲内の値であることがより好ましく、30~150mmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
漏斗状の案内部材27は、金属材料、例えばアルミニウム、ステンレス、鉄等の好適な材料で構成してある。配合成分は帯電することが多いため、漏斗状の案内部材27は、アースに接続しておくことが好ましい。
また、漏斗状の案内部材27と、第1スクリューフィーダー19、第2スクリューフィーダー23との位置関係は、
図4(a)に示したように、第1スクリューフィーダー19の排出口と第2スクリューフィーダー23の排出口との間の距離をDmmとした場合に、α>D>βの関係を満たすように、してある。このようにすることで、配合成分を、漏斗状の案内部材27に確実に供給でき、かつ、漏斗状の案内部材27の斜面に当たるように供給できる。
上記のDは、所定の関係を満たす任意の値で良いが、好適に混合を行う観点から30~300mmの範囲内の値であることが好ましい。よって、Dは、50~250mmの範囲内の値であることがより好ましく、80~200mmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
【0040】
また、漏斗状の案内部材27のフレーム11への支持構造は、設計に応じて決めれば良いが、以下に
図8(a)、(b)を参照して説明する構造とすることが好ましい。
漏斗状の案内部材27は、鉛直方向上側における開口部27aの周囲にフランジ部27bを有している。また、この案内部材27を抜き差し自由に支持できる固定部材43をフレーム11に、設けてある。固定部材43は、水平面に平行に配置された3つの直線状固定部材43a、43b、43cを平面視でコの字状に接続した構造のものとしてある。然も、各々の直線状固定部材43a、43b、43cは、案内部材27と接触する側である内側に、溝43dを有したものとしてある。漏斗状の案内部材27のフランジ部27bを、溝43dに挿入することで、漏斗状の案内部材27を固定部材43によって支持できる。固定部材43は、金属製、例えばアルミニウムシテンレス、鉄等で構成するのが好ましい、固定部材43もアースに接続しておくことが好ましい。
このような構成とすることにより、案内部材27を溝43dに沿ってスライドさせることで、特殊な工具を用いることなく着脱でき、混合する材料の種類に合わせて交換できることから、幅広い材料に対して、より安定して混合することができる。
【0041】
4. その他の構成
4-(1) フレーム
フレーム11は、混合装置10の各部材を支持するものであり、矩形状に組まれている部材である。
このように組まれていることにより、周囲が直線的な辺によって囲われるため、例えば、種々の製造装置や壁に対して、隣接させることができ、相互の固定を簡易にすることができる。よって、例えば、射出成形装置等に対して、簡易に後付けすることができる。
また、各部材を鉛直方向や水平方向に対して、スライドさせる構成とする場合に、一般的に市販される直線的なガイドレールやリニアスライダーが使用できるため、簡易な構成で調整可能にすることができる。
さらに、矩形状に組まれていることで、鉛直方向や水平方向の振動や衝撃に対して、強固に支持することができる。
したがって、フレーム11の材質としては、各部材を支える強度を有していれば特に限定されないが、金属製であることが好ましい。
この理由は、加工性が良く、組付けが容易であって、アースとして利用出来る等、安全性が高いためである。よって、特にアルミ、鉄、ステンレス製であることが好ましい。
また、フレーム11の形状としては、各部材を安定して支持できる形状であれば特に限定されないが、20mm~40mm角の角状フレームであることが好ましい。
この理由は、各部材を支持するために十分な強度を有しており、他の製造装置と隣接する場合に、互いの装置同士を固定しやすいためである。
【0042】
4-(2) 制御部
制御部13は、混合装置10の運転を制御するための部材であり、混合装置10のうち、電気的に制御できる部材、具体的には、第1のセンサ(15a)、第2のセンサ(17a)、第1シャッター31、第2シャッター33、第1駆動部21、第2駆動部25に対し、有線及び又は無線によって、信号授受をして、運転時間、速度、タイミング等の制御を行う部材である。
また、後述する取出用シャッター29bやロードセル35に対しても信号授受を行って、シャッターの開閉動作や重量異常時のアラート発報等の制御をすることが好ましい。
この理由は、このように構成することで、確実に1サイクルが、適正に終わったことを認識した上で混合材料を排出することができ、その後の袋や容器への移送が簡易に行えるためである。
【0043】
また、制御部13は、例えば、パーソナルコンピュター又はシーケンサが有するハードウエア及びパーソナルコンピュター又はシーケンサに格納したプログラム等によって構成できる。
図2は、制御部13の内部構成例を説明すると共に、これら構成成分と、第1駆動部21、第2駆動部25、第1のセンサ(15a)、第2のセンサ(17a)、第1シャッター31、第2シャッター33、ロードセル35等の各種構成成分と、の接続関係を説明するブロック図である。
制御部13は、例えば、表示部13a、材料残量監視手段13b、駆動条件制御手段13c、タイマー13d、重量比較手段13e及び同期部13xを備えている。なお、制御部13は、さらに、パトライト(登録商標)や音声装置等による警報部41を備えている。
【0044】
表示部13aは、作業者への装置操作情報の表示、異常時の表示等を行う。
材料残量監視手段13bは、第1容器15、第2容器17に設置してある第1のセンサ(15a)、第2のセンサ(17a)の状態を監視していて、材料の残量が異常時に警報部41によって作業者に材料残量の異常を伝える。
駆動条件制御手段13cは、第1駆動部21、第2駆動部25各々の、同期始動、所定の混合比を維持した状態での所定の移送速度での駆動、時間T経過後の停止を司る。タイマー13dは時間Tの管理に利用される。駆動条件制御手段13c及びタイマー13dによって、同期部13xを構成している。
また、重量比較手段13eは、ロードセル35で測定される重量を監視していて、混合装置動作後の時間T経過後に、または、その前の所定の時刻において、ロードセル35が測定した重量が射出成形用材料の必要重量に対し所定範囲か否かを判定することが好ましい。
この理由は、問題が発生して適正量の混合材料が得られなかった場合に、すぐに廃棄するなどの対応を行うことができるためである。
上記した各構成成分間は、有線又は無線による通信回線13yによって接続してある。
なお、制御部13の動作、特に、同期部13x及び重量比較手段13eの動作については、後の混合方法の実施形態の説明において説明する。
【0045】
4-(3) 集合取出部
また、その他の構成として、
図1に示すように、案内部材27から出力される発泡剤と着色剤を直接受ける集合槽29と、集合槽29内の発泡剤及び着色剤を下方から外部に取り出す取出口29aと、当該取出口を開閉する取出用シャッター29bと、を有する集合取出部をさらに有していることが好ましい。
【0046】
ここで、集合槽29は、案内部材27によって案内されてきた発泡剤及着色剤を受ける容器である。
集合槽29の形状は、この場合、上部が四角柱状で、下部が鉛直方向下方に向かいすぼまっている形状としてあり、すぼまった部分に、
図1に示したように、集合槽内のものを取り出すための取出口29aと、取出口を開閉する取出用シャッター29bとを備えている。取出用シャッター29bは、手動型、自動型いずれでも良いが、ソレノイド等による電気制御で開閉されるものが好ましい。
また、集合槽29は、金属材料例で構成するのが良く、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等で構成することが好ましい。集合槽29も、アースに接続しておくことが好ましい。
なお、集合槽29は、ロードセル35上に設置してある。従って、ロードセル35は、集合槽29に供給されてきた発泡剤、着色剤の重量と、集合槽29の重量とを合わせた重量を測定できる。
【0047】
[第2の実施形態]
上記した第1の実施形態では、配合成分が発泡剤及び着色剤の2種であったが、本願に係る混合装置及び混合方法の各発明は、配合成分が発泡剤及び着色剤の他に1種以上の他の材料を加えた3種類以上であっても良い。配合成分を3種類以上とする場合は、容器の個数、スクリューフィーダーの個数を配合成分の種類に応じた数に増やすことによって、対応することができる。
発泡成形用の材料を考えた場合は、配合成分は、典型的には、主材料、発泡剤及び着色剤である。そこで、第2の実施形態として、主材料、発泡剤及び着色剤主の3種類の材料を混合する混合装置の例を以下に示す。
【0048】
1.構成
図9(a)~(b)は、第2の実施形態の混合装置50の、特に容器(15、17、51)、スクリューフィーダー(19、23、53)及び漏斗状の案内部材27に着目した上面図及び側面図である。
第2の実施形態の混合装置50は、第1の実施の形態の混合装置の構成に加えて、第3容器51、第3スクリューフィーダー53及び第3駆動部55を備えた点が特徴である。
第3容器51は主材料としての熱可塑性エラストマーを収容するものである。この第3容器51は、例えば、第1容器と同様に配合成分の残量検出用のセンサ、残量の目視確認用の窓(いずれも図示を省略)を有したものとすることが好適である。第3スクリューフィーダー53は、第3容器51に収容された熱可塑性エラストーを螺旋刃の回転によって移送するものである。第3スクリューフィーダー53の場合も、その排出口に、シャッター(図示せず)を設けてある。第3駆動部55は、第3スクリューフィーダー53内の螺旋刃を回転させるものである。
【0049】
第3容器51、第3スクリューフィーダー53の配置は設計に応じて選択できるが、以下に説明する配置とすることが好ましい。
第3容器51を、第1容器15と第2容器17の間に隣接して配置し、かつ、第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23よりも低い位置で、かつ、案内部材27よりも高い位置に配置する。このように配置すると、主材料の落下流の中に発泡剤及び着色剤が落下してゆき、3者が混ざり易くなり好ましい。
【0050】
2.主材料
用いる主材料としては、典型的には、熱可塑性エラストマーであり、基本的に熱可塑性樹脂と、エラストマーの弾性特性を有するものであれば、使用することができる。
具体的には、オレフィン樹脂系熱可塑性エラストマー、オレフィン樹脂系熱可塑性エラストマー及びEPDMの混合物、スチレン樹脂系熱可塑性エラストマー、スチレン樹脂系熱可塑性エラストマー及びEPDMの混合物、スチレンーエチレン-ブチレン-スチレン樹脂(SEBS樹脂)系熱可塑性エラストマー、スチレンーエチレン-ブチレン-スチレン樹脂(SEBS樹脂)系熱可塑性エラストマー及びEPDMの混合物、ポリエステル樹脂系熱可塑性エラストマー、ポリエステル樹脂系熱可塑性エラストマー及びEPDMの混合物から成るものである。
【0051】
このような熱可塑性エラストマー、あるいは、それとEPDMの混合物であれば、比較的機械的強度が強く、かつ、軽量性や着色性等に優れているからである。
なお、オレフィン樹脂系熱可塑性エラストマーの場合、所定の立体規則性を有することが好ましく、その目安として、C13-NMR等で測定される、結晶性ポリプロピレンのアイソタクチックのペンダット分率が80%以上であることが好ましく、結晶性ポリプロピレンのシンジオタクチックのペンダット分率であれば、60%以上であることが好ましい。
そして、さらに、オレフィン樹脂系熱可塑性エラストマーの場合、その平均分子量を、50000~500000の範囲内の値とすることが好ましく、80000~400000の範囲内の値とすることがより好ましく、100000~300000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
成形品としては、例えば車両用外装材又は車両用内装材、より具体的には、自動車用バンパー、バイク用バンパー、自動車用フェンダー、バイク用フェンダー、自動車用ウイング等を挙げることができる。
【0052】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態として、第1の実施形態の混合装置10を用いた混合方法について、特に
図1、
図10~
図12を参照して説明する。
本願の駆動方法の発明は、以下の(a)~(d)の工程を含むものである。
(a) 第1容器15に対して発泡剤を投入するとともに、第2容器17に対して、着色剤を投入する工程
(b) 第1スクリューフィーダー19の螺旋刃を第1駆動部21によって回転させて、第1容器15内の発泡剤を移送するとともに、第2スクリューフィーダー23の螺旋刃を第2駆動部25によって回転させて、第2容器17内の着色剤を移送する工程
(c) 第1排出口19aから出力される発泡剤と第2排出口23aから出力される着色剤とを、案内部材27によって直接受けて整流する工程
(d) 案内部材27から発泡剤と着色剤を、混合材料として出力する工程
【0053】
上記の工程(a)~(d)を第1の実施形態の混合装置10では、例えば、次のように実施できる。
1.前工程
まず前工程として、目的の製品の製造のために、必要となる所定時間や配合成分の混合比等から、混合装置の駆動条件を決定する。
また、作業者はこれに応じて、キーボード等(図示せず)から情報を入力する。もちろん、これら条件が変わらない場合は、初期設定値として固定しても良いし、または、予め要したメニューから選択する等であっても良い。
そして、制御部13は、表示部13aを介して、発泡剤、着色剤の混合比に関する情報、移送速度に関する情報、混合材料の情報(発泡剤と着色剤の混合後の必要量等の情報)を、作業者から取得する(
図12のステップS1)。
ここで、上記した混合比に関する情報、移送速度に関する情報、必要量の情報等とは、具体的には、次のようなものである。
射出成形用材料は、典型的には、主材料、発泡剤及び着色剤を含むものである。これらは、所定の混合比で混合される必要があり、所定の混合比が、例えば、主材料100重量部に対し、発泡剤が10重量部、着色剤が5重量部の例であれば、重量における所定の混合比は100:10:5である。従って、混合装置10では、発泡剤及び着色剤の2種類の材料を混合するので、発泡剤及び着色剤を、上記の所定の混合比を維持できかつ良好に分散できるよう、第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23によって、予め定める移送速度で移送する必要がある。
例えば、第1スクリューフィーダー19は、移送速度A1として、毎秒、発泡剤を200グラムずつ移送する。また、第2スクリューフィーダー23は、移送速度B1として、毎秒、発泡剤を100グラムずつ移送する。上記で例示した2種類の移送速度A1、B1は、
図10(a)に示したように、時間経過しても一定の例であり、然も、前者の移送速度A1は後者の移送速度B1の2倍である。
【0054】
移送速度が
図10(a)のように一定の場合、発泡剤、着色剤各々の重量変化は、
図10(b)に示したように、線形である。ただし、どの時刻であっても所定の混合比が維持された状態で移送が行われることが理解できる。また、当然であるが、移送時間が長いほど、発泡剤と着色剤の混合量が増える。混合開始から時間T経過すると、発泡剤と着色剤の所望の量の混合材料が得られる。
移送速度が一定であるほうが、混合量の管理等が容易であるが、混合装置に要求される仕様等によって、必要であるなら、移送速度は、
図11(a)の記号A2に示したように、時間と共に線形に変化するものでも良いし、
図11(b)の記号A3に示したように、時間と共に連続的に変化するものでも良いし、
図11(c)の記号A4に示したように、時間と共に段階的に変化するものでも良い。しかも、移送速度が時間の経過に伴い増えても、減少しても良い(
図11(a)~(c)中のA2´~A4´参照)。従って、制御部13は、上記のような所定の混合を実現するよう、第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23の駆動条件を制御する。このような駆動条件は、例えば、予め実験で求めておいて、制御部13内の駆動条件制御手段中のメモリに記憶させておき、選択できるようにしておけば良い。
ここで、第1スクリューフィーダー19と、第2スクリューフィーダー23とは、所定の時間Tが経過するまでの間、常に一定の速度比で駆動させることが好ましい。この理由は、時間Tが経過する前に装置を停止させても、所定の混合比を維持することができ、各配合成分を、より均一に混合することができるためである。
【0055】
2.(a)投入工程
最初に、手動又は自動により、第1容器15に発泡剤が、第2容器17に着色剤がそれぞれ投入される(
図12のステップS1)。ただし、この実施の形態では、制御部13は、第1容器15内の発泡剤残量、第2容器17内の着色剤残量に異常がないかを、センサ15a、17a及び材料残量監視手段13b(
図2参照)によって確認する(
図12のステップS2)。異常時は警報部41を駆動し(
図12のステップS3)、作業者に不足材料の補充を促す。これらステップS1~S3によって、発泡剤、着色剤の容器への投入が担保できる。
【0056】
3.(b)移送工程
次に、制御部13の駆動条件制御手段13cは、決定した各々の駆動条件によって、第1スクリューフィーダーの螺旋刃を第1駆動部によって回転させると共に、第2スクリューフィーダーの螺旋刃を第2駆動部によって回転させる(
図12のステップS4)。これによって、第1容器内から案内部材への発泡剤の移送が開始されるとともに、第2容器内から案内部材への着色剤の移送が開始される。
ここで、制御部13は、各スクリューフィーダー(19、23)を駆動すると同時に、タイマー13dを監視して時間Tの到来を監視する(
図12のステップS5)。時間Tになったら、制御部13は、第1スクリューフィーダー19及び第2スクリューフィーダー23を停止する(ステップS6)。また、第1シャッター31、第2シャッター33を閉じる。
【0057】
4.(c)整流工程
次に、各スクリューフィーダー(19、23)から、発泡剤及び着色剤が、それぞれ漏斗状の案内部材27に直接出力されて、整流される。
ここで、案内部材が漏斗状になっていることで、各スクリューフィーダー(19、23)から出力された配合成分が、案内部材の斜面に沿って整流され、中央に集まって落下していくことになる。
そのため、一つのスクリューフィーダーから出力した配合成分は、相対する隣接したスクリューフィーダー(第1スクリューフィーダー19に対しては、第2スクリューフィーダー23)側に滑り落ちることになる。
よって、二つのスクリューフィーダー(19、23)から出力された配合成分同士がぶつかって合流するように案内されることで、均一に混合することができる。
【0058】
5.(d)集合取出工程
次に、案内部材27から発泡剤と着色剤を、混合材料として出力する。
また、案内部材27の鉛直下方に、集合槽29などの容器や袋などを配置し、混合材料が所定量たまった段階で、必要に応じて、容器や袋ごと回収される。
ここで、制御部13は、ロードセル35が測定した重量が、発泡剤と着色剤との混合材料の必要量に対し所定範囲か否かを、重量比較手段13eによって判定し(ステップS7)、測定値が所定範囲を外れている場合は、警報部41を駆動し、表示部13aに異常状況表示を指示する(ステップS8、S9)。また、正常時は混合作業が終了した旨の表示等を表示部や警報部に指示する(ステップS10)。
例えば、取出口及び取出用シャッターを有する集合槽を配置した場合、内部に溜まった混合材料は、必要に応じて取出用シャッターを開放して、取出口から外部に取り出される。
また、袋や容器の代わりに、混合材料をバキュームホース、バケットコンベア、スクリューフィーダー等によって受けて、次工程の射出成形装置にそのまま投入することも好ましい。この理由は、射出成形動作に対してもバッチ処理的に行うことができるためである。
【0059】
また、発泡剤と着色剤との混合材料の量が所定範囲か否かの判定は、例えば次のように行える。
図10(b)に示したように、時間T又は途中経過である時間T/n(nは、1以上の実数)において、ロードセル35が測定した重量Y(破線)が、混合材料の必要重量である理想値(実線)に対し所定範囲か否かを比較して、所定範囲から外れている場合は、警報部41に警報動作をさせて作業者に異常を伝えると共に、混合装置を停止するとか、配合成分の移送を停止する等の処理をする。
上記のような手順によって、本願の混合方法を実施できる。なお、配合成分が主材料を含む3種類になった場合も、第3スクリューフィーダー53(
図9参照)の駆動条件を決定して第3スクリューフィーダー53を駆動すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上の説明のとおり、本発明の混合装置及びこれを用いる混合方法によれば、簡易な構成であっても発泡剤、着色剤等を、均一かつ安定的に混合することができる。
よって、実質的に配合成分を攪拌翼式等の攪拌装置によって攪拌することなく、射出成形材料等として添加する配合成分を、攪拌熱や静電気等の影響を少なくして安定的に混合することが期待できる。
また、従来では困難とされていたバッチ式で、発泡剤と着色剤を予めマスターバッチ化することなく、均一に混合することが期待できる。
また、矩形状に組まれたフレームによって支持されていることで、射出成形機などに隣接して配置でき、よりコンパクトな射出成形品の製造ラインを構築することが期待できる。
そのため、品質が良くコスト低減が図れた射出成形用材料を提供できるため、自動車外装材等を低コストで製造できる等、産業上の貢献度が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0061】
10:第1の実施形態の混合装置 11:フレーム
13:制御部 13x:同期部
15:第1容器
17:第2容器 19:第1スクリューフィーダー
19a:第1スクリューフィーダーの排出口 19c、23c:螺旋刃
21:第1駆動部 23:第2スクリューフィーダー
23a:第2スクリューフィーダーの排出 25:第2駆動部
27:漏斗状の案内部材 27a:案内部材の上側の開口部
27b:フランジ部 29:集合槽
29a:取出口 29b:取出用シャッター
31:第1シャッター 33:第2シャッター
35:ロードセル
11c、13c:15c:第1~第3センサ(材料残量監視用センサ)
43、43a、43b、43c:固定部材 43d:溝
50:第2の実施形態の混合装置 51:第3容器
53:第3スクリューフィーダー 55:第3駆動部