(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025385
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】ねじの緩み止め方法及び保護カバー
(51)【国際特許分類】
F16B 39/02 20060101AFI20220203BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20220203BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
F16B39/02 Z
B05D7/00 K
B05D3/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128169
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】592045980
【氏名又は名称】萩浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100202957
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 毅
(72)【発明者】
【氏名】石村 憲之
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AC62
4D075AC64
4D075AC86
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC96
4D075BB01Z
4D075BB16X
4D075BB60Z
4D075BB91X
4D075BB93X
4D075CA02
4D075CA03
4D075CA22
4D075CA33
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA15
4D075DA19
4D075DA23
4D075DB01
4D075DB07
4D075DB31
4D075DC05
4D075DC16
4D075EA10
4D075EA27
4D075EA39
4D075EB13
4D075EB15
4D075EB22
4D075EB33
4D075EC01
4D075EC02
4D075EC10
4D075EC30
(57)【要約】
【課題】取り外し時に接合部分を傷付けずに取り外すことができるねじの緩み止め方法及び保護カバーを提供する。
【解決手段】ボルト止め工法は、角棒13に雌ねじを形成するステップと、雌ねじの一部に、ポリマーを含むパテ20であって、硬化温度以下の温度で硬化し、硬化後、軟化温度以上の温度に加熱すると液状となるパテ20、を硬化温度以下の温度で塗布するステップと、雌ねじと螺合することができるボルト14を挿入して、パテ20を雌ねじと雄ねじとの間に浸潤させるステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合対象部材に雌ねじを形成するステップと、
前記雌ねじの一部に、ポリマーを含むパテであって、硬化温度以下の温度で硬化し、硬化後、軟化温度以上の温度に加熱すると液状となるパテ、を前記硬化温度以下の温度で塗布するステップと、
前記雌ねじと螺合することができる雄ねじを有する棒状部材を挿入して、前記パテを前記雌ねじと前記雄ねじとの間に浸潤させるステップと、を含む、
ねじの緩み止め方法。
【請求項2】
前記雌ねじを形成するステップは、
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップと、
前記接合対象部材に形成された穴にタップ加工を施すステップと、を含む、
請求項1に記載のねじの緩み止め方法。
【請求項3】
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップは、前記接合対象部材を貫通しない深さの穴を形成するステップを含み、
前記塗布するステップは、前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップにより形成された穴の底部に前記パテを溜めるステップを含む、
請求項2に記載のねじの緩み止め方法。
【請求項4】
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップは、前記接合対象部材を貫通する穴を形成するステップを含み、
前記塗布するステップは、前記雄ねじに液状の前記パテを塗布するステップを含む、
請求項2に記載のねじの緩み止め方法。
【請求項5】
前記接合対象部材は、アルミニウムを含む部材であることを特徴とする、
請求項1から4の何れか1項に記載のねじの緩み止め方法。
【請求項6】
側板と、前記側板と接合されたフレームと、を備える保護カバーであって、
請求項1から5の何れか1項に記載のねじの緩み止め方法を用いて、前記側板を、前記フレームに含まれる角棒に固定した、
保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじの緩み止め方法及び保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所には水門が設けられており、発電に用いる水の量は、水門を開閉することで調整される。水門はワイヤで吊り上げられているため、水門の開閉は、ワイヤの巻上げ又は巻取りによって行われる。
ワイヤの巻上装置、巻取装置等の駆動部は、内部に異物が侵入しないように保護カバーで覆われる。駆動部の強度を確保するため、通常、保護カバーには、鉄板、ステンレス鋼板、鉄棒等の鉄材又はステンレス鋼材が用いられる。
【0003】
特許文献1には、鉄板同士を溶接して変形に対する強度を高めた底板を備える保護カバーが記載されている。
【0004】
水力発電所は、山間部、渓流等に設置されることが多く、現地で溶接して組み立てようとすると、保護カバーの原料に加え、溶接に必要な装置、工具等を運ばなければならない。このため、水力発電所で用いられる保護カバーは、鉄板、鉄棒等をボルトで接合して組み立てられるものであることが望ましい。
しかし、一般に、ボルト接合は、溶接と比べて接合強度が低い。ボルト接合では、溶接と同程度の接合強度を得るため、ねじ部にロック剤、接着剤等を塗布したボルトを用いて接合部分が締め付けられる。
特許文献2には、ボルトのねじ部とナット部分との間に接着剤を充填して固定する緩み止め構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-183552号公報
【特許文献2】特開2011-001983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
巻上装置、巻取装置等をメンテナンスする場合には、保護カバーを一時的に取り外す必要がある。
しかし、特許文献1に記載された筐体では、溶接した部分同士が固着する。また、特許文献2に記載された構造では、ボルトがナット部分と固着する。
【0007】
水力発電所に設置される巻上装置、巻取装置等については、定期的にメンテナンスを実施しなければならないため、これらの装置では、組立後も、保護カバーを組み立てたり、取り外したりする必要がある。このため、保護カバーの接合部分が固着したままだと、取り外し時に接合部分を壊して外すことになり、接合部分が傷付くという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑み、取り外し時に接合部分を傷付けずに取り外すことができるねじの緩み止め方法及び保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るねじの緩み止め方法は、
接合対象部材に雌ねじを形成するステップと、
前記雌ねじの一部に、ポリマーを含むパテであって、硬化温度以下の温度で硬化し、硬化後、軟化温度以上の温度に加熱すると液状となるパテ、を前記硬化温度以下の温度で塗布するステップと、
前記雌ねじと螺合することができる雄ねじを有する棒状部材を挿入して、前記パテを前記雌ねじと前記雄ねじとの間に浸潤させるステップと、を含む。
【0010】
例えば、本発明に係るねじの緩み止め方法は、
前記雌ねじを形成するステップは、
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップと、
前記接合対象部材に形成された穴にタップ加工を施すステップと、を含む、
ねじの緩み止め方法であってもよい。
【0011】
例えば、本発明に係るねじの緩み止め方法は、
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップは、前記接合対象部材を貫通しない深さの穴を形成するステップを含み、
前記塗布するステップは、前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップにより形成された穴の底部に前記パテを溜めるステップを含む、
ねじの緩み止め方法であってもよい。
【0012】
例えば、本発明に係るねじの緩み止め方法は、
前記接合対象部材に穴開け加工を施すステップは、前記接合対象部材を貫通する穴を形成するステップを含み、
前記塗布するステップは、前記雄ねじに液状の前記パテを塗布するステップを含む、
ねじの緩み止め方法であってもよい。
【0013】
例えば、本発明に係るねじの緩み止め方法は、
前記接合対象部材は、アルミニウムを含む部材であることを特徴とする、
ねじの緩み止め方法であってもよい。
【0014】
本発明の第2の観点に係る保護カバーは、
側板と、前記側板と接合されたフレームと、を備える保護カバーであって、
前記ねじの緩み止め方法を用いて、前記側板を、前記フレームに含まれる角棒に固定した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取り外し時に接合部分を傷付けずに取り外すことができるねじの緩み止め方法及び保護カバーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は本発明の実施の形態1に係る方法を用いて接合した保護カバーの斜視図であり、(B)は(A)の内部構造を示す図であり、(C)は(B)のA部の拡大図である。
【
図2】(A)は本発明の実施の形態1に係る方法の穴開け工程の説明図、(B)は本発明の実施の形態1に係る方法のタップ工程の説明図、(C)は本発明の実施の形態1に係る方法のパテ塗布工程の説明図、(D)は本発明の実施の形態1に係る方法の重ね工程の説明図、(E)は本発明の実施の形態1に係る方法のボルト挿入工程の説明図、(F)は本発明の実施の形態1に係る方法の硬化工程の説明図である。
【
図3】(A)は本発明の実施の形態2に係る方法の穴開け工程の説明図、(B)は本発明の実施の形態2に係る方法のタップ工程の説明図、(C)は本発明の実施の形態2に係る方法の重ね工程の説明図、(D)は本発明の実施の形態2に係る方法のパテ塗布工程の説明図、(E)は本発明の実施の形態2に係る方法のボルト挿入工程の説明図、(F)は本発明の実施の形態2に係る方法のボルト挿入工程の別の説明図、(G)は本発明の実施の形態2に係る方法の硬化工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態1に係るボルト止め工法P1を説明する。
【0018】
(保護カバー10の説明)
図1(A)に示す保護カバー10は、後に詳しく説明するボルト止め工法P1を用いて側板11とフレーム12を接合して製造されたものであり、箱型に形成されている。側板11は、前面と背面に1枚ずつ配置され、それぞれ、ボルト14によってフレーム12に四隅を固定されている。また、
図1(A)には、YZ平面に広がる側板11のみ示したが、保護カバー10は、XY平面、ZX平面に広がる側板11を備えていてもよい。
図1(B)に示すように、フレーム12は、X方向に延在する4本の角棒13を有する。
【0019】
図1(B)のA部を拡大した
図1(C)に示すように、側板11は、ボルト14によって角棒13に止められている。より詳しくは、側板11には取付穴Hが開けられており、ボルト14は、取付穴Hを貫通して、角棒13のねじ穴BHに螺合している。
図1(C)においては、理解を容易にするため、ボルト14の頭部を省略した。
【0020】
(ボルト止め工法P1の説明)
次に、
図1(C)のC-C’断面図である
図2(A)から(F)を参照して、ボルト止め工法P1の詳細を説明する。以下、理解を容易にするため、角棒13を短く図示する。
【0021】
まず、
図2(A)に示すように、角棒13にドリルでねじ穴BHを開ける。ねじ穴BHの直径は、接合するボルト14の谷の径と同一である。また、ねじ穴BHの深さは、ボルト14のねじ部の長さ以上である。この例においては、ドリルによって開けられるねじ穴BHは、角棒13を貫通しない非貫通穴である。
なお、角棒13は、請求項における、接合対象部材の一例である。
【0022】
次に、
図2(B)に示すように、ドリルで開けたねじ穴BHにタップ加工を施し、雌ねじを形成する。
【0023】
続いて、
図2(C)に示すように、液状のパテ20をねじ穴BHに滴下し、硬化温度、例えば、35℃以下の温度でねじ穴BHの底部に塗布する。滴下するパテ20の量は、例えば、液面がねじ穴BHの下端部からねじ穴BHの全長の3分の1の高さに達する程度である。
なお、パテ20の温度が低く、粘度が高いためねじ穴BHの底に溜まらない場合には、滴下する前にパテ20を湯煎して溶かしてもよい。
【0024】
(パテ20の説明)
ここで、ボルト止め工法P1で用いるパテ20の詳細を説明する。
パテ20は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのポリマーを含む硬化性パテである。
パテ20は、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属の粉末を含んでいてもよい。金属の粉末を含むことにより、パテ20は、硬化後に耐腐食性、導電性等を備える。
また、パテ20は、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛などのセラミックスを含んでいてもよい。セラミックスを含むことにより、パテ20は、硬化後に耐摩耗性、成型性等を備える。
【0025】
パテ20は、説明した成分を有する硬化性パテのうち、以下の性質を有するものとして選択される。
まず、パテ20は、硬化時間を確保するため主剤と硬化剤の2液を塗布直前に混合して用いるものであり、混合した直後においては、パテ20の粘度は、凹凸面に塗りつけた場合でも密着する程度に高い。硬化温度以下の温度に保ったまま混合から数十分が経過すると、パテ20は硬化し始め、混合から数時間が経過するとパテ20の硬度はアルミニウムと同等になる。
また、パテ20は熱可塑性樹脂を含むため、軟化温度、例えば、150℃以上の温度に加熱すると、可塑性を取り戻して硬度が低下し、液状となる。
保護カバー10が設置される温度環境、例えば、-30℃から120℃の範囲においては、パテ20は、軟化温度以上の温度にならないため、硬化後の硬度を維持する。
なお、このような性質を有するパテ20は、シミュレーション、実地試験等によって選択される。
【0026】
次に、
図2(D)に戻って、角棒13と接合する側板11を、側板11の取付穴Hと角棒13のねじ穴BHの位置が合うように配置して重ねる。
【0027】
図2(E)に示すように、ボルト14を側板11の取付穴Hから挿入し、ボルト14を回転させ、ボルト14の雄ねじをフレーム12に形成された雌ねじと螺合させる。このとき、パテ20は、ボルト14によって押し出されるとともに、フレーム12とボルト14との接合部に浸潤する。
ねじ穴BHに塗布されたパテ20の一部が穴の外に溢れ出すので、溢れ出したパテ20を除去する。
なお、ボルト14は、請求項における、雄ねじを有する棒状部材の一例である。
【0028】
図2(F)に示すように、衝撃を与えないようにしてパテ20が硬化するまで、側板11、角棒13及びボルト14の位置を保持する。
【0029】
以上説明した工程を経て、ボルト止め工法P1による接合が完了する。
【0030】
保護カバー10が置かれる環境の温度は、予め、シミュレーションにより予測されるため、パテ20の温度が軟化温度である120℃を超えることがないように保護カバー10を設計することができる。
このため、硬化後のパテ20はアルミニウムと同程度の硬度を維持し、ボルト14は緩まない。
また、メンテナンス時、解体時等に保護カバー10のボルト14を外したい場合には、作業者は、ヒートガンでボルト14の周囲を軟化温度である120℃以上の温度、例えば、150℃から200℃に温める。これにより、角棒13とボルト14を接合しているパテ20が溶け、作業者は、ボルト14を側板11及び角棒13から取り外すことができる。
【0031】
保護カバー10は、内部の駆動部を保護するために必要な接合強度を有するように設計される。
ボルト止め工法P1によれば、ボルト接合により、保護カバー10の設計段階において設計された接合強度を保つことができ、且つ、取り外し時には、側板11、角棒13及びボルト14を傷付けずに外すことができる。
【0032】
以上説明したボルト止め工法P1では、接合の対象である側板11及び角棒13は、アルミニウム材であった。ボルト止め工法P1によれば、側板11及び角棒13が鉄材又はステンレス鋼材である場合に比べて、保護カバー10全体を軽量化することができる。これにより、分割して製作していた保護カバー10を、分割せずに単体で製作することができ、据付現場で行う作業の量を削減することができる。
また、アルミニウムは、鉄、ステンレスよりも熱伝導率が高いので、日光、電気回路、モーター等によって保護カバー10の温度が上昇しても、パテ20が溶けないようにすることができる。このようにすれば、取り外し時以外に、ボルト14は緩まない。
【0033】
保護カバー10の原材料には、アルマイト加工が施されている。このため、ボルト止め工法P1によれば、溶接工程後に必要とされる塗装工程を省くことができ、工期全体を短縮することができる。また、アルマイト加工を施した材料には傷がつきにくいため、保護カバー10は、塩害を受けにくく、耐腐食性に優れる。
【0034】
さらに、ボルト止め工法P1は、従来の溶接による接合に比べて、習熟しやすく、低コストである。ヒュームが発生しないので、ボルト止め工法P1によれば、溶接に起因する作業環境の低下を避けられる。
【0035】
以上説明した側板11及びフレーム12は、例えば、日本工業規格(JIS)6063-T5に適合するアルミニウム合金を含む材料であり、角棒13は、例えば、アルミニウム合金を押し出して成型する押出工法によって形成される。側板11、フレーム12及び角棒13の材料、規格、製造方法は、以上説明したものに限定されない。
【0036】
(実施の形態2)
ボルト止め工法P1は、貫通しないねじ穴BHにボルト14を止める方法であるのに対し、本発明の実施の形態2に係るボルト止め工法P2は、貫通するねじ穴THにボルト14を止める方法である。
以下、ボルト止め工法P1と異なる点を中心に説明する。
【0037】
(ボルト止め工法P2の説明)
図3(A)に示すように、角棒13にドリルでねじ穴THを開ける。この例においては、ドリルによって開けられるねじ穴THは、角棒13を貫通する貫通穴である。
【0038】
次に、
図3(B)に示すように、ドリルで開けたねじ穴THにタップ加工を施し、雌ねじを形成する。
【0039】
図3(C)に示すように、角棒13と接合する側板11を、側板11の取付穴Hと角棒13のねじ穴THの位置が合うように配置して重ねる。
【0040】
図3(D)に示すように、ボルト14のねじ部に、主剤と硬化剤を混合したパテ20を35℃未満の温度で塗布する。
【0041】
図3(E)に示すように、ボルト14を回転させて角棒13に螺合させる。
このとき、パテ20は、ボルト14によって角棒13の雌ねじに塗りつけられ、角棒13とボルト14との接合部に浸潤する。
【0042】
図3(F)に示すように、パテ20の一部がねじ穴THの外に溢れ出すので、溢れ出したパテ20を拭き取る。
【0043】
図3(G)に示すように、衝撃を与えないようにしてパテ20が硬化するまで、側板11、角棒13及びボルト14の位置を保持する。
【0044】
以上説明した工程を経て、ボルト止め工法P2による接合が完了する。
【0045】
ボルト止め工法P2によれば、貫通するねじ穴THが形成されている角棒13にも、ボルト14を密着させることができる。
また、貫通するねじ穴THを開ければ、貫通しないねじ穴BHを開ける場合に比べて長いボルト14を用いることができるので、角棒13の雌ねじとボルト14の雄ねじとが接する面積が大きくなり、側板11と角棒13との接合の強度が向上する。
【0046】
以上説明したパテ20の成分は、上述したものに限られない。例えば、パテ20は、粘度を調整するための有機溶媒を含んでいてもよい。
側板11及び角棒13の材質は、上述したものに限られず、アルミニウム以外の金属であってもよく、金属以外の材質、例えば、エンジニアリングプラスチックであってもよい。
【0047】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0048】
10 保護カバー
11 側板
12 フレーム
13 角棒
14 ボルト
20 パテ
H 取付穴
BH、TH ねじ穴
P1、P2 ボルト止め工法