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  • 特開-反射体及び識別システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025406
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】反射体及び識別システム
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/18 20060101AFI20220203BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H01Q15/18
B64G1/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128207
(22)【出願日】2020-07-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】藤生 慎
(72)【発明者】
【氏名】森崎 裕磨
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA07
5J020CA02
(57)【要約】
【課題】衛星から受信した電磁波の角度による角度依存性の影響を低減した反射体及びこの反射体を用いた識別システムを提供する。
【解決手段】地球周回軌道の衛星から受信した電磁波を衛星に向けて反射する反射体1であって、水平方向に面するとともに、鉛直方向に沿う軸線C回りに放射状に設けられ、軸線Cの軸方向から見て互いに所定の角度で配置される少なくとも3枚以上の羽3を有する。識別システムは、上述の反射体1を用いた識別システムであって、羽3の枚数、羽3の軸方向に沿う高さh及び軸方向から見た羽3の直径dの少なくともいずれかのパラメータが互いに異なる複数の反射体1を有し、パラメータの違いに対応して、衛星への電磁波の反射強度が変わることにより、各反射体1を識別する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球周回軌道の衛星から受信した電磁波を前記衛星に向けて反射する反射体であって、
水平方向に面するとともに、鉛直方向に沿う軸線回りに放射状に設けられ、前記軸線の軸方向から見て互いに所定の角度で配置される少なくとも3枚以上の羽を有することを特徴とする反射体。
【請求項2】
前記軸方向から見て、複数の前記羽は、等間隔に配置されることを特徴とする請求項1に記載の反射体。
【請求項3】
設置面と複数の前記羽との間に設けられ、前記軸方向に面する板状に形成された台座部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射体。
【請求項4】
前記軸線と同軸に設けられ、前記羽と連結される支持柱と、
前記支持柱に取り付けられる測位システム装置と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の反射体。
【請求項5】
複数の前記羽は、前記軸線側の端部において、互いに隙間をあけて配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射体。
【請求項6】
複数の前記羽は、前記軸線側の端部において、互いに接触して配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射体。
【請求項7】
複数の前記羽は、収納可能に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射体。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射体を用いた識別システムであって、
前記羽の枚数、前記羽の前記軸方向に沿う高さ及び前記軸方向から見た前記羽の直径の少なくともいずれかのパラメータが互いに異なる複数の前記反射体を有し、
前記パラメータの違いに対応して、前記衛星への前記電磁波の反射強度が変わることにより、前記各反射体を識別することを特徴とする識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射体及び識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地上に設置され、衛星から受信した電磁波を衛星へ向けて反射させることにより、地上の各種情報を衛星へ伝えるための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、地球の両極の軸と一直線に配列された構造体に接し、地球表面に対して実質垂直な平面要素と、平面要素に固定され、平面要素の第一辺に設置された第一部と、第一辺と対向する平面要素の第二辺に設置された第二部と、を有する機械的構造を含む電磁波反射の構成が開示されている。第一部及び第二部は、それぞれが衛星から受信した電磁波を衛星の方向へ反射する。特許文献1に記載の技術によれば、衛星の観察モードに依らず地球の表面に設置された構造体の局所的な歪みを測定することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-509471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、衛星から受信する電磁波の角度によって、衛星の方向へ反射される電磁波の量が異なるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、衛星から受信した電磁波の角度による角度依存性の影響を低減した反射体及びこの反射体を用いた識別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、地球周回軌道の衛星から受信した電磁波を前記衛星に向けて反射する反射体であって、水平方向に面するとともに、鉛直方向に沿う軸線回りに放射状に設けられ、前記軸線の軸方向から見て互いに所定の角度で配置される少なくとも3枚以上の羽を有することを特徴とする反射体である。
【0008】
また、本発明の他の態様は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射体を用いた識別システムであって、前記羽の枚数、前記羽の前記軸方向に沿う高さ及び前記軸方向から見た前記羽の直径の少なくともいずれかのパラメータが互いに異なる複数の前記反射体を有し、前記パラメータの違いに対応して、前記衛星への前記電磁波の反射強度が変わることにより、前記各反射体を識別することを特徴とする識別システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、衛星から受信した電磁波の角度による角度依存性の影響を低減するとともに、各反射体を識別することにより活用の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る反射体の外観斜視図。
図2】第1実施形態に係る反射体の不使用時の状態を示す外観斜視図。
図3】第1実施形態に係る識別システムのシステム図。
図4】第2実施形態に係る反射体の外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。
【0012】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る反射体1の使用時の状態を示す外観斜視図である。
反射体1は、地球表面E(請求項の設置面)上に設置される。反射体1は、地球周回軌道の衛星8から受信した電磁波9(いずれも図3参照)を衛星8に向けて反射する、いわゆるパッシブ型反射体である。電磁波9は、例えばマイクロ波である。衛星8から発信された電磁波9を衛星8に向けて反射することにより、反射体1は、例えば反射体1が設置された地球表面E(地上)の状況や地上に居る人のニーズ等の各種情報を衛星8へ伝える。
反射体1は、台座部2と、複数の羽3と、を有する。
【0013】
台座部2は、地球表面Eに設置されている。台座部2は、鉛直方向に沿う軸線Cを中心とする円板状に形成されている。台座部2は、例えばアルミニウム等の電磁誘導を起こす金属材料により形成されている。以下の説明では、台座部2の軸線Cに沿う方向(鉛直方向に沿う方向)を単に軸方向といい、軸線Cに直交する方向を径方向といい、軸線C周りの方向を周方向という場合がある。
【0014】
複数の羽3は、台座部2に対して地球表面Eと反対側に配置されている。羽3は、台座部2に対して着脱可能に取り付けられている。羽3は、水平方向に面する矩形板状に形成されている。軸方向から見て、羽3は、軸線Cを中心として放射状に延びている。羽3の地球表面E側に位置する下端部31は、台座部2に接触している。羽3は、例えばアルミニウム等の電磁誘導を起こす金属材料により形成されている。
【0015】
本実施形態において、羽は、6枚設けられている。6枚の羽3は、同一の形状に形成されている。各羽3は、軸方向から見て、所定の角度で配置されている。具体的に、本実施形態では、6枚の羽3は、隣り合う羽3同士のなす角度が60°となるように等間隔に並んで配置されている。軸方向から見て、各羽3の径方向内側に位置する内径側端部32は、互いに接触している。各羽3の径方向外側に位置する外径側端部33は、径方向において台座部2の外周部21と同等の位置に配置されている。
なお、本実施形態において、6枚の羽3が設けられる構成について説明したが、羽3の枚数は、3枚以上の任意の枚数に設定可能である。
このように形成された反射体1は、台座部2及び羽3が一体化された状態で移動可能とされ、地上の各所に設置される。
【0016】
図2は、第1実施形態に係る反射体1の不使用時の状態を示す外観斜視図である。
複数の羽3は、不使用時において収納可能に形成されている。具体的に、複数の羽3は、内径側端部32において、例えば不図示のヒンジ部材等を介して互いに接続されている。反射体1の不使用時において、複数の羽3は、隣り合う羽3と羽3とのなす角度が小さくなるように重ね合わせることにより、折りたたみ可能となっている。これにより、複数の羽3は、不使用時において、使用時と比較して小型で持ち運びが容易な形状に変形可能となっている。
【0017】
(識別システム)
次に、上述の反射体1を用いた反射体1の識別システム10について説明する。
図3は、第1実施形態に係る識別システム10のブロック図である。
反射体1の識別システム10(以下、単に識別システム10という。)は、羽3の枚数、羽3の軸方向に沿う高さ寸法h(図1参照)及び軸方向から見た羽3の外形寸法(直径)d(図1参照)の少なくともいずれかのパラメータが互いに異なる複数の反射体1を有する。識別システム10は、パラメータの違いに対応して衛星8への電磁波9の反射強度が変わることにより、設置された反射体1の種類を識別する。
識別システム10は、第一ステップS01と、第二ステップS02と、第三ステップS03と、を有する。
【0018】
第一ステップS01において、衛星8は、反射体1により反射された電磁波9を受信する。反射体1により反射された電磁波9とは、衛星8から地球表面へ向けて発信された電磁波9のうち、地上に設置された反射体1で反射されて衛星8に戻ってきた電磁波9である。地球表面Eに設置された反射体1は、羽3の枚数や軸方向に沿う高さ寸法h、軸方向から見た羽3の直径d等のパラメータの違いに対応して、衛星8から受信した電磁波9を異なる反射強度で反射する。
【0019】
第二ステップS02では、第一ステップS01で受信した電磁波9の強度(反射強度)により、いずれの種類の反射体1が設置されているかを特定する。反射強度は、衛星8が受信した電磁波9の振幅に応じた値である。ここで、電磁波9は、衛星8が撮像した衛星画像において、所定以上の輝度を有する画素として観測される。コンピュータは、衛星8が撮像した衛星画像において、所定以上の輝度を有する画素の輝度値の高さにより、電磁波9の反射強度の値を判断する。コンピュータは、衛星8に搭載されてもよいし、地上に設置され、衛星8から衛星画像を受信してもよい。
【0020】
コンピュータには、電磁波9の反射強度と、反射体1の種類と、を関連付けるマップ11が予め記憶されている。反射体1の種類は、羽3の枚数、高さ寸法h、又は外形寸法d(直径)に応じた種類である。上述のとおり、電磁波9の反射強度は、羽3の枚数、高さ寸法h、及び外形寸法d(直径)により異なる。つまり、反射体1について、羽3の枚数、高さ寸法h、及び外形寸法d(直径)のいずれか或いはこれらの組み合わせを予め規格化し、規格に対応する種類を定めておくことで、電磁波9の反射強度を反射体1の種類に対応付ける。例えば、反射体1の種類は、高さ寸法h、外形寸法dが同じ寸法であるが、羽3の枚数が異なるものである。例えば、羽3の枚数が「4枚」の反射体1と、羽3の枚数が「6枚」の反射体1と、はそれぞれ異なる反射強度に対応付けられている。
第二ステップS02では、コンピュータは、地上に設置された反射体1から反射された電磁波9の反射強度の値と、予め衛星8に記憶されたマップ11と、を照合して、設置された反射体1の種類を特定(識別)する。
【0021】
なお、コンピュータは、画素の輝度値の高さに代えて又は加えて、衛星8が受信した電磁波9の大きさを用いて、反射体1の種類を特定してもよい。電磁波9の大きさとは、所定以上の輝度を有する画素の集合の大きさ(2次元の衛星画像上での幅)である。また、コンピュータは、各種類の反射体1からの電磁波9の反射強度を測定して、マップ11を生成してもよい。具体的には、コンピュータは、各種類の基準となる反射体1の各々について、種類と反射体1が設置された位置を示す位置情報を受信する。コンピュータは、受信した位置情報が示す位置の反射強度を抽出し、その反射強度と種類を対応付けることで、マップ11を生成する。また、コンピュータは、反射強度を相対的に分類して、反射体1の種類を特定するための情報として出力してもよい。例えば、反射体1の種類を2種類のみ規格化する場合、各反射体1からの反射強度を、その値が大きい方と小さい方に分類し、分類結果を出力してもよい。
【0022】
第三ステップS03では、コンピュータは、第二ステップS02で特定された反射体1の種類と、反射体1が設置された場所の位置情報と、を地上の所定の基地局等に送信する。
これにより、地上の所定の基地局では、衛星8からの情報を介して、離れた地域の地上の情報を的確に把握することが可能となる。
【0023】
(識別システムの適用例)
次に、上述の識別システム10の適用例について説明する。
上述の識別システム10は、パラメータが異なる複数の反射体1を識別することにより、例えば地震などの災害発生時において、被災地の状況や被災者のニーズ(要救助者の有無、食料や水の手配等)などの情報を、衛星8を介して地上の離れた位置に伝えるための手段として利用される。
【0024】
具体的に、例えば災害が発生すると、まず、被災地に居る人(被災者等)は、被災地の状況に応じて所定の反射体1を設置する。ここで、反射体1は、災害発生時に起こり得ると想定される被災地のニーズに応じて、複数の種類が予め準備されたものである。衛星8には、複数種類の反射体1(より具体的には、反射体1による電磁波9の反射強度)と、各反射体1の種類に応じた被災地のニーズと、を関連付けるマップ11が予め記憶されている。
【0025】
また、地上の各所には、予めパラメータが異なる複数種類の反射体1が設置又は収納されている。よって、被災者は、被災状況に応じて所定の反射体1を設置することにより、衛星8に情報を伝える。具体的に、被災者等は、例えば要救助者が有る場合は6枚の羽3を有する反射体1を設置し、水や食料の供給が必要な場合は4枚の羽3を有する反射体1を設置する等、状況に応じた所定の反射体1を設置する。
【0026】
衛星8は、設置された反射体1の情報と、その位置情報と、を地上の所定の基地局等に送信する。特に災害発生時においては、設置された反射体1の種類、すなわち被災地の状況又は被災者のニーズと、それらが設置された位置情報と、を地上の所定の基地局等に送信する。これにより、衛星8を介して、離れた地域の被災状況や被災者のニーズ等を的確に把握し、迅速な対応を行うことが可能となる。
【0027】
(作用、効果)
次に、上述の反射体1及び識別システム10の作用、効果について説明する。
本実施形態に係る反射体1によれば、反射体1は、地球表面Eと垂直な方向に沿う軸線C回りに放射状に設けられるとともに水平方向(軸線Cの周方向)に面する複数の羽3を有する。このように、複数の羽3が放射状に配置されるので、衛星8と反射体1との相対位置に依らず、衛星8から受信した電磁波9を衛星8へ向けて反射することができる。
したがって、衛星8から受信した電磁波9の角度による角度依存性の影響を低減した反射体1を提供できる。
特に、複数の羽3を等間隔に配置した場合は、衛星8からの電磁波9の角度依存性をより低減した、高性能な反射体1とすることができる。
【0028】
反射体1は、地球表面Eと複数の羽3との間に台座部2を有する。これにより、羽3及び台座部2において衛星8からの電磁波9を反射できるので、羽3だけを設ける場合と比較して、反射体1による電磁波9の反射効率を向上できる。よって、より確実に反射体1の存在を衛星8で捉えることができる。
【0029】
複数の羽3は、軸線C側の端部(内径側端部32)において、互いに接触して配置される。これにより、各羽3との間に隙間が設けられる場合と比較して、衛星8からの電磁波9の反射密度を増加させることができる。また、反射体1により反射される電磁波9の密度が増加するので、例えば反射体1の近傍に磁性材料で形成された部材等が置かれた場合であっても、反射体1とその他の部材とを識別し易くなる。よって、外界からの影響を受けることなく、より確実に反射体1の存在を衛星8で捉えることができる。
【0030】
複数の羽3は、折りたたむことにより収納可能に形成されている。これにより、災害が発生していない反射体1の不使用時において、反射体1をコンパクトに収納して保管することができる。また、災害発生時には、羽3を開くことにより、容易に反射体1を使用可能な状態にすることができる。よって、使用者の利便性を向上した反射体1とすることができる。
【0031】
本実施形態に係る識別システム10によれば、羽3の枚数、羽3の軸方向に沿う高さ寸法h及び軸方向から見た羽3の直径dの少なくともいずれかのパラメータが互いに異なる複数の反射体1を有する。これにより、反射体1毎のパラメータの違いに対応して、衛星8への電磁波9の反射強度が変わることにより、各反射体1を識別することができる。よって、災害発生時に被災者のニーズに対応した反射体1を設置することで、被災者のニーズを的確かつ迅速に衛星8に伝え、活用の幅を広げることができる。また、各反射体1は、衛星8の位置による電磁波9の角度依存性が低減された形状に形成されているので、衛星8の位置による反射強度の変動を抑制しつつ、確実にパラメータの違いを識別できる。
したがって、衛星8から受信した電磁波9の角度による角度依存性の影響を低減した反射体1を用いた、的確かつ迅速に被災者のニーズを把握可能な識別システム10を提供できる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る反射体1の外観斜視図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、図4に記載のない符号については、適宜図1から図3を参照されたい。
本実施形態では、反射体1が測位システム装置5を備える点において上述した実施形態と相違している。
【0033】
本実施形態において、反射体1は、支持柱4と、測位システム装置5と、を有する。
支持柱4は、軸線Cと同軸上に設けられている。支持柱4は、軸方向に沿って延びている。支持柱4は、複数の羽3と連結されている。本実施形態において、複数の羽3は、内径側端部32において互いに隙間Sを介して配置されている。支持柱4は、複数の羽3の隙間Sに挿入されている。支持柱4は、軸方向において、複数の羽3よりも上方(台座部2と反対側)に延びている。
【0034】
測位システム装置5は、支持柱4の上端部に取り付けられている。測位システム装置5は、例えば衛星8からの電波速度により距離を算出する、いわゆるGPS(Global Positioning System)等である。
【0035】
本実施形態によれば、反射体1による電磁波9の反射とGPS機能とを併用することで、より高精度に位置情報を把握することができる。これにより、地殻変動等の微小な変化も測定できる。よって、例えば飛行場の滑走路等、高精度な位置情報が必要な場面に応用することができる。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
第2実施形態では、複数の羽3は、内径側端部32において互いに隙間Sを介して配置され、この隙間Sに支持柱4が取り付けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、複数の羽3における内径側端部32の隙間Sに、作業者が把持可能な把持部等を取り付けてもよい。これにより、反射体1を移動させながら使用する土木及び測量作業時において、反射体1の移動を容易に行うことができる。よって、作業時の利便性を向上できる。また、GPSの代わりに発信機等を搭載してもよい。
【0037】
反射体1は、鉄や銅等、アルミニウム以外の電磁誘導を起こす金属材料により形成されてもよい。ただし、鉄や銅と比較して軽量で、持ち運びが容易な点で、アルミニウムにより形成された本実施形態の構成は優位性がある。
【0038】
台座部2はなくてもよい。
台座部2と羽3とが着脱不能に固定されてもよい。
羽3だけでなく、台座部2も折りたたむことにより収納可能に形成されてもよい。
反射体1の表面に防腐剤や識別用の塗料等を塗布してもよい。
【0039】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 反射体
2 台座部
3 羽
4 支持柱
5 測位システム装置
8 衛星
9 電磁波
10 識別システム
C 軸線
E 地球表面
h 羽の軸方向に沿う高さ寸法
d 羽根の直径
図1
図2
図3
図4