(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025410
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】アンカー定規
(51)【国際特許分類】
E02D 27/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
E02D27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128213
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000128038
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エス・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 正義
(72)【発明者】
【氏名】益山 勝成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 欣也
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主に、幅の異なる立上部を作る場合にも広く使用することができる汎用性の高いアンカー定規を提供する。
【解決手段】基礎の立上部を形成する型枠13の上部に設置されて、立上部に埋設されるアンカーボルト5の位置を規定する定規本体17を有するアンカー定規15であって、型枠13は、外型枠および内型枠を有しており、定規本体17は、外型枠の上部に沿って設置される単線形状をしている。さらに立上部のコーナー部分51を形成する外型枠の上部に設置される単線形状の定規本体17は、第一直線部と、第一直線部と直交する第二直線部とを有する平面視L型をしていると共に、第一直線部と第二直線部との間には、第一直線部と第二直線部とを連結する斜材55が設けられても良い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の立上部を形成する型枠の上部に設置されて、前記立上部に埋設されるアンカーボルトの位置を規定する定規本体を有するアンカー定規であって、
前記型枠は、外型枠および内型枠を有しており、
前記定規本体は、前記外型枠の上部に沿って設置される単線形状をしていることを特徴とするアンカー定規。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカー定規であって、
単線形状をした前記定規本体は、前記内型枠側の一側縁部に、アンカーボルトを設置する位置を規定するアンカー位置規定部を有していることを特徴とするアンカー定規。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアンカー定規であって、
前記立上部のコーナー部分を形成する前記外型枠の上部に沿って設置される単線形状の前記定規本体は、第一直線部と、該第一直線部と直交する第二直線部とを有する平面視L型をしていると共に、前記第一直線部と前記第二直線部との間には、前記第一直線部と前記第二直線部とを連結する斜材が設けられていることを特徴とするアンカー定規。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアンカー定規であって、
複数の前記定規本体の間を接続する接続金具が備えられ、
該接続金具は、前記外型枠の上部の幅寸法に合わせた幅寸法を有していることを特徴とするアンカー定規。
【請求項5】
請求項4に記載のアンカー定規であって、
前記接続金具は、前記外型枠の上部および前記定規本体の上に当接配置される接続金具本体と、
該接続金具本体の両側縁部から下方へ向けて延び、前記外型枠の上部を幅方向に係止する係止部とを有しており、
単線形状をした前記定規本体は、前記内型枠側の一側縁部の両端部またはその近傍に、前記係止部が入る連結穴を有する幅拡大部を備えていることを特徴とするアンカー定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンカー定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物は、地面に基礎を介して設置される。このような基礎は、地面よりも高い位置に建物を支持するための立上部を少なくとも有している。この立上部には、建物を基礎に固定するためのアンカーボルトが埋設されている。
【0003】
基礎の立上部は、型枠の内部にコンクリートを打設することによって形成される。アンカーボルトは、型枠の内部に配設した状態で、型枠の内部にコンクリートを打設することによって、立上部に一体に埋設される。
【0004】
そして、立上部に対してアンカーボルトを正確な位置に埋設するためにアンカー定規が使われている。アンカー定規は、型枠の上部に設置して使われる。
【0005】
この際、型枠は、外型枠および内型枠を有しており、従来のアンカー定規は、外型枠と内型枠の両方の上部に跨るように(外型枠と内型枠との両方に対して)同時に設置するようにした平行な2本の線部分を有する複線形状のものとなっていた(例えば、特許文献1~特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-048449号公報
【特許文献2】特開2007-186859号公報
【特許文献3】特開2004-360411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アンカー定規を複線形状にした場合、複線形状のアンカー定規は、2本の線部分の間隔が一定に固定されていたため、複線形状のアンカー定規を設置できる外型枠と内型枠との間隔が一種類に限られてしまい、例えば、2本の線部分の間隔とは異なる幅寸法を有する立上部などを作る場合には使用できないなどの問題があった。即ち、複線形状のアンカー定規には、汎用性がなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
基礎の立上部を形成する型枠の上部に設置されて、前記立上部に埋設されるアンカーボルトの位置を規定する定規本体を有するアンカー定規であって、
前記型枠は、外型枠および内型枠を有しており、
前記定規本体は、前記外型枠の上部に沿って設置される単線形状をしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、幅の異なる立上部を作る場合にも広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】基礎の上に設置された建物を示す斜視図である。
【
図2】(a)は
図1の基礎(ベタ基礎)の平面図、(b)は(a)のベタ基礎の縦断面図である。
【
図3】建物(ユニット建物)を構成する建物ユニットの斜視図である。
【
図4】
図3(a)の基礎の立上部を形成するための型枠(外型枠)の上部に、本実施の形態にかかるアンカー定規を構成する各種の定規本体を設置した状態を示す平面図である。
【
図5】間隔を有して平行に設置された外型枠と内型枠に対し、外型枠(のみ)の上部にアンカー定規を設置した状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図7】地面に型枠を設置する状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】(a)(b)(c)は長さの異なる複数種類の定規本体(直線定規)をそれぞれ示す図である。
【
図9】外型枠および定規本体に対し、アンカープレートを用いてアンカーボルトを保持させる状態を示す部分拡大斜視図である。このうち、(a)はアンカーボルトを保持したアンカープレートを定規本体および外型枠の上に設置する工程、(b)はアンカープレートと定規本体との間を固定用楔で位置決めおよび固定する工程、(c)はアンカープレートを定規本体および外型枠に固定具で本固定する工程を示す図である。
【
図10】アンカープレートの部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【
図11】固定用楔の部品図である。このうち、(a)は側面図、(b)は端面図である。
【
図12】(a)は立上部のコーナー部分を形成する外型枠の上部にアンカー定規(コーナー定規)を設置した状態を示す部分拡大斜視図、(b)はアンカー定規(コーナー定規)の角部分の近傍にて、各辺部を接続金具で外型枠の上部に係止保持した状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図13】設置箇所の異なる複数種類の定規本体(コーナー定規)をそれぞれ示す図である。このうち、(a)は出隅用、(b)は入隅用のコーナー定規である。
【
図14】定規本体どうしの連結の仕方を順に示す図である。このうち、(a)は外型枠の上部に定規本体を並べて設置する工程、(b)は定規本体を重ね合わせる工程、(c)は、重ね合わせた部分に接続金具を取付ける工程である。
【
図15A】狭幅用(例えば、45mm用)の接続金具の部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は端面図である。
【
図15B】広幅用(例えば、50mm用)の接続金具の部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は端面図である。
【
図16A】狭幅用(例えば、45mm用)の接続金具の他の実施例の部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は端面図である。
【
図16B】広幅用(例えば、50mm用)の接続金具の他の実施例の部品図である。このうち、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は端面図である。
【
図17】比較例にかかる複線形状をした定規本体の
図5と同様の部分拡大斜視図である。
【
図18】
図17の複線形状をした比較例の定規本体の使用状態を示す
図6と同様の側面図である。このうち(a)は複線形状をした定規本体と同じ幅に配置された型枠に対して用いた場合、(b)は定規本体よりも広い幅に配置された型枠に対して用いようとした場合、(c)は断熱材をセットした型枠に対して用いようとした場合である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~
図18は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、住宅などの建物1を、地面2に対し、基礎3を介して設置する。このような基礎3は、地面2よりも高い位置に建物1を支持するための立上部4を少なくとも有している。この立上部4に対し、建物1を基礎3に固定するためのアンカーボルト5(
図2)を埋設する。
【0015】
ここで、建物1は、どのような構造のものであっても良いが、この実施例では、ユニット建物としている。ユニット建物は、予め工場で製造した建物ユニット6を、建築現場へ搬送して、建築現場で基礎3の上に組み立てることにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。建物ユニット6は、ほぼ直方体状をしており、水平方向や垂直方向に適宜組合わせることができる。建物ユニット6は、同じ大きさのものを使用するのが好ましいが、異なる大きさのものを組合わせて使用することも可能である。この実施例では、建物1は、同じ大きさの建物ユニット6を、建物ユニット6の短辺方向に4つ並べて設置したものとなっている。ただし、建物1における建物ユニット6の配置や設置個数は、これに限るものではない。
【0016】
建物ユニット6には、鉄骨系のものと、木質系のものとが存在しているが、鉄骨系の建物ユニット6は、
図3に示すように、その骨格部分に、4本の柱7の上端間を4本の天井梁8で矩形状に連結すると共に、4本の柱7の下端間を4本の床梁9で矩形状に連結した、ボックスラーメン構造のユニットフレームを有している。
【0017】
地面2は、建物1を構築する敷地のことである。
図2に示すように、基礎3は、建物1の外周部に沿って延びる立上部4(外周立上部)と、立上部4の内側の地面2を覆うように設けられるスラブ部11とを有するベタ基礎や、立上部4のみでスラブ部11のない布基礎などがあるが、この実施例では、ベタ基礎としている。この実施例のベタ基礎は、例えば、外周立上部とスラブ部11とを有して、外周立上部の内側に他の立上部4(内側立上部)などがないシンプルな構造のものとされている。外周立上部の内側については、スラブ部11の上に、コンクリート製や鋼製の束部材12a,12bを適宜設置することで、建物ユニット6の床梁9などを下から支持させるようにする。ただし、外周立上部やスラブ部11の内側には、スラブ部11と一体に内側立上部を設けても良い。
【0018】
立上部4は、地面2よりも高い位置に建物1を支持するための縦枠部分である。立上部4は、所要の幅を有して、連続して延びるように設けられる。立上部4の上端面(天端)は、水平に形成される。この実施例の場合、立上部4は、建物1の外周部分に沿って、連続的に設けられた外周立上部となっている。
【0019】
アンカーボルト5は、立上部4の上端面から上方へ突出するように設けられた、建物1の下部を固定するための上下方向に延びるボルトである。ユニット建物の場合、アンカーボルト5は、建物ユニット6の柱7の下端部や、床梁9などを固定する。この実施例では、アンカーボルト5は、柱7の近傍に位置する床梁9の端部近傍などを固定するようになっている。
【0020】
基礎3の立上部4は、
図4(~
図6)に示すような型枠13の内部に、コンクリート14を打設することによって形成する。アンカーボルト5は、型枠13の内部に予め配設した状態で、型枠13の内部にコンクリート14を打設することによって、立上部4に一体に埋設される。地面2の基礎3を設ける部分は、必要に応じ、所要の深さに掘下げて、捨てコンクリート2aなどを打設しておくようにしても良い(
図6)。
【0021】
そして、立上部4に対し、アンカーボルト5を正確な位置に埋設するために、必要に応じて、アンカー定規15が使われる。アンカー定規15は、立上部4を形成する型枠13の上部16に設置する定規本体17によって主に構成される。型枠13の上部16は、型枠13の上縁部に沿い帯状に延びる水平かつ平坦な均一幅の面などとされている。型枠13の上部16に定規本体17を設置することで、定規本体17によって、立上部4に埋設するアンカーボルト5の正しい位置が示される(または、正確な位置が規定される)。なお、アンカー定規15を用いない場合には、アンカーボルト5の埋設位置は、メジャーによっていちいち計測することになるため、手間が掛かると共に、誤差を発生する原因になる。
【0022】
ここで、この実施例のアンカー定規15は、一つの定規本体17のみで構成されるものではなく、
図4に一例を示すように、複数種類の定規本体17や、後述するような補助部材などをセットにしたものとなっており、これらを立上部4の形状や大きさなどに合わせて適宜組み合わせて(例えば、型枠13の上部16に沿って連続して設置されるようして)使用する。定規本体17や補助部材は、所要肉厚の金属板などを所要の形状に加工して構成される。なお、説明の都合上、特定の定規本体17を指してアンカー定規15と言う場合がある。
【0023】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0024】
(1)
図5に示すように、
型枠13は、外型枠21および内型枠22を有している。
この実施例のアンカー定規15では、定規本体17は、外型枠21の上部16に沿って設置される単線形状のものとされている。
【0025】
ここで、外型枠21は、型枠13のうち、立上部4の外側の位置に設置される枠部材であり、立上部4の位置に沿って連続して設置される。外型枠21の上部16は、外型枠21の上縁部から内型枠22とは反対側(建物1の外側)へ張出すフランジ部などとされており、立上部4の上端面よりも高い位置に設置される。
【0026】
図6(
図7)に示すように、外型枠21は、上端側の部分をサポーター25と呼ばれる支持金具によって外側から地面2に斜めに支持される。サポーター25は、外型枠21に沿い、所要の間隔を有して複数設置される。また、外型枠21は、下端側の部分をハーフ吊幅止金具26などと呼ばれる支持具によって下から地面2に所要の間隔を有して支持される。
【0027】
内型枠22は、型枠13のうち、立上部4の内側の位置に設置される枠部材であり、立上部4の位置に沿って連続して設置される。内型枠22の上部16は、内型枠22の上縁部から外型枠21とは反対側(建物1の内側)へ張出すフランジ部などとされており、立上部4の上端面よりも高い位置に設置されると共に、外型枠21の上部16とほぼ同じ高さに設置される。内型枠22は、一般的には、外型枠21に対し、立上部4の幅寸法27と等しい間隔を有して外型枠21と平行に設置される。この場合、外型枠21によって、立上部4の外面が形成され、内型枠22によって、立上部4の内面が形成される。この実施例では、内型枠22と外型枠21は、立上部4の幅寸法27よりも広い間隔に設置されている。
【0028】
例えば、基礎3の一度打ちを行う(立上部4とスラブ部11とを一度に打設する)場合、内型枠22は、例えば、
図7に示すように、上部セパレータ28aや中間セパレータ28bなどの間隔設定部材(セパレータ)によって、外型枠21に対し、例えば、上記した間隔を保持した状態に設置される。
【0029】
上部セパレータ28aは、外型枠21と内型枠22の上部間に設けられ、中間セパレータ28bは、外型枠21の中間部と内型枠22の下部との間に設けられる。上部セパレータ28aや中間セパレータ28bなどのセパレータは、外型枠21に沿って複数設けられたサポーター25の間の位置などに適宜設置される。
【0030】
なお、基礎3が布基礎の場合、内型枠22は、その下端部の位置が、外型枠21の下端部と同じ高さとなっているものが使われるが、基礎3がベタ基礎の場合、内型枠22は、その下端部の位置が、外型枠21の下端部よりも高く、スラブ部11の上面の位置と同じ高さとなっているものが使われる(
図6)。
【0031】
単線形状は、定規本体17における、アンカーボルト5の位置を規定するための物差となる主要部分(物差部分)が、外型枠21の上部16(のみ)に沿って設置される一本線の形をしていることである(単線状定規本体)。
【0032】
これに対し、複線形状は、
図17の比較例に示すように、アンカー定規101の定規本体102(の、アンカーボルト5の位置を規定するための物差部分)が、外型枠21および内型枠22の両方の上部16に跨るように、外型枠21と内型枠22の両方の上部16に沿ってそれぞれ設置される二本線の形をしていることである(複線状定規本体)。
【0033】
二本の線部分103,104は、互いに連結部105によって一定の間隔に連結されて一体化されている。なお、二本の線部分103,104を直接連結せずに、それぞれ別個の部材に分けて、建築現場で、間隔が一定となるように、別体の連結部材105を用いて一体に連結することも考えられる。この場合には、分離された二本の線部分103,104とは別に、別体の連結部105が必要となるため、一体型の複線形状の定規本体102と比べて部品構成が複雑になり、組立てのために建築現場での作業工数も多くなる。また、単線形状にして使うこともできない。そして、これらのような複線形状のアンカー定規101は、価格が高く、また、
図18(a)に示すような予め決められた規定の幅寸法を有する一種類の立上部4を作る場合にしか使えないので(例えば、
図18(b)(c)のように外型枠21と内型枠22の設置間隔を規定の幅寸法よりも広くする場合には使用不可となる)、幅対応能力や汎用性がなく、使い勝手が良くないため、今の所ところあまり普及していないのが現状である。
【0034】
これに対し、この実施例のアンカー定規15では、
図5に示すように、定規本体17は、内型枠22の上部16に沿って設置される複線部分を全く備えておらず、外型枠21の上部16に沿って設置される単線部分(物差部分)のみを有する単線形状のものとされている。即ち、この実施例の定規本体17は、内型枠22の上部16に沿って設置される複線部分や複線間の連結部分を不要化し削除したシンプルな構造となっている。
【0035】
単線形状の定規本体17には、例えば、
図8(a)~(c)に示すような、直線状をしたもの(直線定規29a~29c)などがある。直線定規29a~29cは、外型枠21の上部16に沿い、全体にほぼ一定の幅寸法w1を有して延びる長尺材とされる。直線定規29a~29cは、基本的な幅寸法w1が同じで、長さの異なるものを複数種類(少なくとも三種類)用意するのが好ましい。
【0036】
この実施例では、便宜的に、短い方から順に直線定規29a~29cとしている。一番短い直線定規29aは、一番長い直線定規29cのほぼ半分程度の長さとなっている。そして、残りの直線定規29bは、直線定規29aと直線定規29cとの中間の長さよりも若干長いものとなっている。ユニット建物の場合、例えば、建物ユニット6の大きさごとに、それぞれ少なくとも三種類の直線定規29a~29cを用意するのが好ましい。なお、定規本体17は、両端部やその他の部分に対し、必要に応じて、角取部やアール形状部などを適宜加工形成することで尖った角をなくすようにしても良い。
【0037】
(2)単線形状をした定規本体17は、内型枠22側の一側縁部に、アンカーボルト5を設置する位置を規定するアンカー位置規定部31を有しても良い。
【0038】
ここで、定規本体17には、必要に応じて、アンカー位置規定部31が設けられる。アンカー位置規定部31は、定規本体17に対し、単数または複数設けることができる。なお、アンカー位置規定部31が単数または複数設けられている場合であっても、必要がない場合には、アンカー位置規定部31は、特に使用しなくても良い。
【0039】
また、アンカー位置規定部31は、全ての定規本体17に対して設けても良いが、この実施例のように、アンカー位置規定部31を有する定規本体17と、アンカー位置規定部31を有さない定規本体17とを設けても良い。アンカー位置規定部31を設けるかどうかは、外型枠21に対する定規本体17の設置位置に応じて定めることができる。
【0040】
即ち、アンカーボルト5を埋設する位置に設置される定規本体17のみに対して、アンカー位置規定部31を設けると共に、アンカーボルト5を埋設しない位置に設置される定規本体17については、アンカー位置規定部31は特に設けないようにしても良い。
【0041】
この実施例では、中間の長さの直線定規29bが、アンカー位置規定部31を有しており、アンカーボルト5を埋設する位置に設置されるものとなっている。ユニット建物の場合、アンカー位置規定部31が設けられる直線定規29bは、隣接する建物ユニット6間に跨る位置に使われる(
図4)。この直線定規29bには、各建物ユニット6のためにそれぞれ一箇所ずつ、合わせて二箇所、アンカー位置規定部31が、各建物ユニット6に対するアンカーボルト5の埋設位置に応じた所要の間隔を有して設けられている。
【0042】
その他の直線定規29a、29cは、アンカー位置規定部31を有しておらず、アンカーボルト5を埋設しない位置に設置されるものとなっている。アンカー位置規定部31を有さない直線定規29a、29cは、アンカー位置規定部31を有する直線定規29bと共に使うことで、間接的にアンカーボルト5の支持位置を規定するものとなる。
【0043】
アンカー位置規定部31は、どのようなものとしても良いが、この実施例では、例えば、定規本体17の内型枠22側の縁部に部分的に設けられた(内型枠22側へ突出する)突出部32を有するようにしている。突出部32の突出量w2は、アンカーボルト5の埋設位置に達しない長さとされる。なお、内型枠22側の縁部は、外型枠21の延設方向33に延びて、建物1の内側に位置する定規本体17の長辺の一つである(一側縁部)。突出部32は、例えば、平面視ほぼ矩形状や平面視ほぼ台形状などに形成される。
【0044】
突出部32の位置における、定規本体17の突出部32とは反対側の縁部には、外型枠21の延設方向33に対するアンカーボルト5の設置位置の基準(となる目盛)として切欠部34が形成される。なお、反対側の縁部は、外型枠21の延設方向33に延びて、建物1の外側に位置する、(内型枠22側の縁部と平行な)定規本体17の別の長辺である(他側縁部)。同様の切欠部34(目盛)は、アンカーボルト5の設置位置以外の様々な位置を規定できるようにするために、必要に応じて、定規本体17の外型枠21側の縁部における、アンカー位置規定部31以外の部分(一般部分)にも、単数または複数設けることができる。この実施例では、アンカー位置規定部31以外の部分の切欠部34は、特に設けられていないが、例えば、直線定規29a、29cなどに対して、直線定規29a、29cの設置位置を正確に規定するなどのために設けることができる。切欠部34は、例えば、Vカット部などとされる。
【0045】
そして、突出部32には、外型枠21の延設方向33および外型枠21の幅方向35に対するアンカーボルト5の位置を正確に規定するための目盛りや目印として機能する位置決部36(位置決穴または切込部)が設けられる。なお、以下の説明では、外型枠21の延設方向33と外型枠21の幅方向35とを基準にして説明する。外型枠21の延設方向33および外型枠21の幅方向35は、外型枠21の上部16に直線定規29a~29cを設置した状態で、直線定規29a~29cの延設方向33および幅方向35とそれぞれ一致する。
【0046】
位置決部36は、どのようなものとしても良いが、この実施例では、位置決部36は、突出部32の内部に形成された、丸穴とスリットとを組み合わせた穴形状のものとされている。位置決部36のスリットは、幅方向35に延びるものとされている。位置決部36のスリットは、建物1の外側となる端部が、突出部32に対し定規本体17(の一般部分=突出部32のない部分)の内型枠22側の縁部(一側縁部)と位置が同じになるように形成される。これにより、定規本体17の一側縁部を位置の基準として使用することができるようになる。位置決部36のスリットにおける建物1の内側となる端部は、突出部32の先端に達しない位置に形成される(ただし、突出部32の先端に達するようにして、スリットを先端側に開放してもよい)。なお、位置決部36は、幅方向35に延びるスリットのみとしても良い。この実施例では、位置決部36と切欠部34とは、平面視ほぼ矩形状または台形状をした突出部32の延設方向33のほぼ中間部となる、延設方向33のほぼ同じ位置に、幅方向35にほぼ対向した状態で、定規本体17を上下に貫くように形成されている。
【0047】
そして、定規本体17におけるアンカー位置規定部31を構成する突出部32の上には、必要に応じて、
図9に示すように、アンカーボルト5を保持して型枠13の内側に配設するための金属製のアンカープレート37が当接配置される。アンカープレート37は、上記した補助部材として、アンカー定規15のセットの一部を構成する。アンカープレート37を定規本体17とは別体に構成することで、定規本体17は、アンカーボルト5の埋設位置を間接的に規定するものとなり、アンカープレート37を適宜のものに交換するだけで、例えば、立上部4の幅方向35や延設方向33に対するアンカーボルト5の埋設位置を変更または調整したり、例えば、一箇所に埋設するアンカーボルト5の本数を変更したり、例えば、径寸法の異なるアンカーボルト5を使用したりすることなどが自在にできるようになる。即ち、定規本体17の汎用性を広げることが可能になる。なお、アンカープレート37はアンカーボルト5を設置するのに非常に有効なものであるが、必ずしも使用しなければならないものではなく、例えば、アンカー位置規定部31の位置決部36の位置を基準にして別の手段や治具でアンカーボルト5を設置することも可能ではある。
【0048】
図10に示すように、アンカープレート37は、延設方向33を幅方向とする比較的幅の狭い部材であり、外型枠21の上部16に設置されるプレート本体37aと、プレート本体37aから内型枠22の側へ延びる第一の横延設部37bと、第一の横延設部37bの先端部から下方へ延びる縦延設部37cと、縦延設部37cの下端部から内型枠22の側へ延びる第二の横延設部37dとを有している。なお、アンカープレート37は、各部にアール形状部を加工形成して尖った角をなくしておくのが好ましい。
【0049】
プレート本体37aは、幅方向35に対して、定規本体17の幅寸法w1とほぼ同じ幅寸法かそれよりも狭い幅寸法で外型枠21の上部16に当接される。
【0050】
第一の横延設部37bと、縦延設部37cと、第二の横延設部37dとは、外型枠21の上部16よりも建物1の内側へ張出される部分であり、アンカーボルト5を保持するためのボルト保持部を形成する。ボルト保持部(第一の横延設部37b、縦延設部37c、第二の横延設部37d)は、延設方向33に対するプレート本体37aの長さよりも幅(延設方向33の寸法)を狭く形成してもよいが、この実施例では、ボルト保持部は、その幅をプレート本体37aの延設方向33の長さと同じに形成している。これにより、アンカープレート37をシンプルな形状にして、量産し易くするとともに、ボルト保持部の強度を高めることができる。
【0051】
プレート本体37aのボルト保持部とは反対側の縁部には、突出部32の切欠部34と合致する切欠部37eが設けられている。切欠部37eは、例えば、切欠部34とほぼ同じ形状および大きさのVカット部などとされる。切欠部37eは、例えば、プレート本体37aの延設方向33の中央部に、プレート本体37aを上下に貫くように設けられる。
【0052】
そして、突出部32の位置の切欠部34とプレート本体37aの切欠部37eとを合致させた状態にして、プレート本体37aを定規本体17および外型枠21の上部16に万力などの固定具38(
図9(c))を用いて浮き上がらないように固定することなどにより、外型枠21の延設方向33や幅方向35に対するアンカープレート37およびアンカーボルト5の位置が(最終的に)正確に規定される。万力などの固定具38は、一般的なものを使っても良いし、上記した補助部材として、アンカー定規15のセットの一部を構成するものとして設けても良い。
【0053】
ボルト保持部を形成する第一の横延設部37bと第二の横延設部37dとは、縦延設部37cによって、上下の段差を有して形成されている。即ち、ボルト保持部は、側方から見て段差形状のものとされている。この際、第一の横延設部37bは、プレート本体37aとほぼ面一に設けられ、幅方向35に対しては、突出部32の突出量w2とほぼ同じかそれよりも長く、しかも、アンカーボルト5の埋設位置に達しない長さに形成される。なお、プレート本体37aと第一の横延設部37bは、面一であるため、延設方向33の長さを同じにすると同一化されて区別できないものになるが、延設方向33の長さを異ならせることで、明確に区別できるものとなる。
【0054】
第二の横延設部37dは、プレート本体37aおよび第一の横延設部37bよりも低く、立上部4の上端面よりも高い位置に設置される。第二の横延設部37dは、アンカーボルト5の埋設位置を超える長さに形成され、アンカーボルト5を上下方向に通すためのボルト保持穴37fが貫通形成される。ボルト保持穴37fは、アンカーボルト5が丁度入る大きさ(アンカーボルト5の外径とほぼ同じ径)に形成されている。ボルト保持穴37fは、その中心が切欠部37eと延設方向33の同じ位置に形成されるのが好ましい。
【0055】
そして、アンカーボルト5は、第二の横延設部37dに形成されたボルト保持穴37fへ通した状態にして、アンカーボルト5に螺着した上下のナット39(
図9(a))で第二の横延設部37dの上下面を上下に挟むことで、第二の横延設部37dに保持される。
【0056】
更に、アンカープレート37の第一の横延設部37bには、固定用楔41(
図11)を取付けるための楔取付穴37gが貫通形成される。そして、アンカープレート37に設けた楔取付穴37gと、突出部32の位置決部36との間に、
図9(b)に示すように、上から固定用楔41を差込むことで、定規本体17のアンカー位置規定部31(や外型枠21)に対するアンカープレート37の幅方向35および延設方向33の位置が正確且つ確実に規定される。固定用楔41は、上記した補助部材として、アンカー定規15のセットの一部を構成する。
【0057】
この実施例では、楔取付穴37gは、位置決部36と同様に丸穴とスリットとを組み合わせた形状とされている。この際、楔取付穴37gは、位置決部36と同じ大きさおよび形状とするのが好ましいが、楔取付穴37gは、位置決部36よりも若干大きくすることができる。そして、楔取付穴37gのスリットは、位置決部36と同様に幅方向35へ延びるものとなっている。この実施例では、楔取付穴37gは、固定用楔41がちょうど入る大きさ(位置決部36と同じ大きさ)に形成されている。
【0058】
そして、楔取付穴37gと切欠部37e(およびボルト保持穴37f)とは、アンカープレート37における延設方向33のほぼ同じ位置に、幅方向35にほぼ一列に並んだ状態で、アンカープレート37を上下に貫くように形成される。
【0059】
固定用楔41は、
図11に示すように、幅方向35および上下方向に広がる面(または、延設方向33と垂直な面)を有する上下に短い短冊状の金属製の板材で構成されており、上下方向の中間部が平行部41aとされ、上部に幅方向35に広がる頭部41bを有し、下部に先狭まりとなるように外型枠21側の縁部を斜めにカットした傾斜部41cを有している。平行部41aは、楔取付穴37gのスリットの長さとほぼ同じ幅を有して上下に延びており、下部の傾斜部41cが突出部32の位置決部36の奥側(建物1の外側)の端部に案内されることで、楔としての機能を果たしてアンカープレート37を幅方向35へ位置調整し、中間部の平行部41aが突出部32の位置決部36の奥部に案内されることで、アンカープレート37を正しい位置に安定して保持するようになっている。なお、固定用楔41は、各部にアール形状部41dを加工形成して尖った角をなくしておくのが好ましく、特に、傾斜部41cの周囲の部分(特に先端部分)にアール形状部41dを設けることで、楔取付穴37gへより入り易くする効果が得られる。
【0060】
更に、
図9に示すように、立上部4の内面側(建物1の内側)に、断熱材42を一体に施工する場合には、内型枠22の内面に当接配置された断熱材42の側面42a(内側面)を、外型枠21の側から内型枠22の側へ向けて幅方向35に押さえる押圧保持金具43を設けても良い。
【0061】
押圧保持金具43は、少なくとも、水平且つ平坦な保持面43aと、保持面43aの断熱材42側の縁部から下方へ延びて、断熱材42の側面42aを当接保持する当面43bとを一体に有している。
【0062】
保持面43aは、立上部4の幅寸法27とほぼ同じ幅方向35の長さを有して外型枠21と断熱材42との間に介在されるものとするのが好ましい。保持面43aには、アンカーボルト5を通すボルト穴43cが貫通形成されており、ボルト穴43cにアンカーボルト5を通すことで、押圧保持金具43はアンカーボルト5を保持すると共に、アンカーボルト5によって保持される。押圧保持金具43は、例えば、アンカープレート37に螺着した上記と同様の上下のナット39を用いて、保持面43aの上下面を上下に挟むことで、アンカーボルト5に固定するようにしても良い。
【0063】
また、押圧保持金具43は、保持面43aの当面43bとは反対側の縁部に、下方へ延びて、外型枠21の内面に当接保持される別の当面部を一体に有しても良い。あるいは、押圧保持金具43は、保持面43aを立上部4の幅寸法27よりも短くして、アンカーボルト5のみによって保持されるものとしても良い。
【0064】
(3)
図12に示すような、立上部4のコーナー部分51を形成する外型枠21の上部16に沿って設置される単線形状の定規本体17は、
図13に示すように、第一直線部53と、第一直線部53と直交する第二直線部54とを有する平面視L型をしても良い。
そして、第一直線部53と第二直線部54との間には、第一直線部53と第二直線部54とを連結する斜材55が設けられても良い。
【0065】
ここで、立上部4のコーナー部分51は、建物1の隅角部分などに形成される。コーナー部分51は、通常の場合、直角に形成される。コーナー部分51には、出隅や入隅などがある。出隅は、建物1の外側へ出っ張った一般的なコーナー部分51であり、入隅は、建物1の内側へ引っ込んだコーナー部分51である。入隅は、例えば、大きさの異なる建物ユニット6を組み合わせた部分や、建物ユニット6をズラして設置した部分などに形成される。
【0066】
第一直線部53は、立上部4のコーナー部分51を形成するために直角に組まれた外型枠21のうちの一方の外型枠21の上部16に沿い、ほぼ一定の幅寸法w1を有して延びるように設けられる。
【0067】
第二直線部54は、立上部4のコーナー部分51を形成する他方の外型枠21の上部16に沿い、ほぼ一定の幅寸法w1を有して延びるように設けられる。第二直線部54は、第一直線部53と一体に形成される。そして、第一直線部53および第二直線部54の幅寸法w1は、直線定規29a~29cの幅寸法w1と同じとされる。
【0068】
第一直線部53と第二直線部54とが繋がる角部分(または屈曲部分)には、例えば、第一直線部53および第二直線部54の両方の幅中心位置を示す穴部などを設けても良い。
【0069】
第一直線部53と第二直線部54とは、同じ長さとしても良いが、この実施例では、第一直線部53と第二直線部54とは、それぞれ異なる長さにしている。コーナー部分51を形成する外型枠21の上部16に設置される定規本体17は、反転(表裏反転や上下反転や左右反転)して使うことができるため、第一直線部53と第二直線部54とは、相対的なものとなるが、便宜的に、長辺を第一直線部53とし、短辺を第二直線部54とする。
【0070】
斜材55は、第一直線部53の中間部と第二直線部54の中間部との間を斜めに架設・連結する補強部分である。斜材55は、第一直線部53および第二直線部54と一体に形成される。斜材55は、アンカーボルト5の位置を直接規定するために使われるものではないが、第一直線部53と第二直線部54との形状を維持する補強部分として、設けるようにするのが好ましい。なお、斜材55を設けることによって、コーナー部分51を形成する外型枠21の上部16に設置する定規本体17は、純粋な単線形状ではなくなってしまうが、アンカーボルト5の位置を規定するための物差部分となる第一直線部53と第二直線部54とが単線形状になっていれば、斜材55があっても、実質的に単線形状であると言うことができる。斜材55の幅寸法は、第一直線部53および第二直線部54の幅寸法w1と同じとしても良いし、異なるものとしても良い。
【0071】
第一直線部53と第二直線部54とから成る定規本体17は、直角の角部分を有する金属製のコーナー定規52a,52bとされる。コーナー定規52a,52bには、少なくとも、
図13(a)のような出隅用のもの(コーナー定規52a)と、
図13(b)のような入隅用のもの(コーナー定規52b)との二種類が用意される。
【0072】
出隅用のコーナー定規52aと、入隅用のコーナー定規52bとは、同じ形状にしても良いが、この実施例では、出隅用のコーナー定規52aと入隅用のコーナー定規52bとは、異なる形状になっている。そして、出隅用のコーナー定規52aは、長辺(第一直線部53)に対して短辺(第二直線部54)が比較的長い形状になっている。入隅用のコーナー定規52bは、長辺(第一直線部53)に対して短辺(第二直線部54)が比較的短い形状になっている。
【0073】
そして、コーナー定規52a,52bにも、必要に応じて、上記したのと同じアンカー位置規定部31を単数または複数設けることができる。アンカー位置規定部31は、第一直線部53および第二直線部54の一方または両方の、内型枠22側となる縁部(一側縁部)に設けられる。一般に、アンカーボルト5は、立上部4のコーナー部分51やその周辺部分などに設けられることが多いので、コーナー定規52a,52bには、直角の角部分やその周辺にアンカー位置規定部31が設けられる可能性が高い。なお、アンカー位置規定部31は、設けられていても必要がない場合には、使用しなくても良い。
【0074】
アンカー位置規定部31は、強度的には、第一直線部53と第二直線部54と斜材55とによって囲まれた三角形状の部分の範囲内に設けるのが好ましい。そのために、斜材55は、アンカー位置規定部31が上記した三角形状の部分の範囲内に含まれるような位置(アンカー位置規定部31よりも端部寄りの位置)に設置される。これにより、斜材55は、コーナー定規52a,52bを外型枠21の上部16に設置したときに、内型枠22に対して部分的に交差するおそれが生じるが、斜材55は補強部分であり、内型枠22に沿うものではないため、内型枠22と交差しても外型枠21に対する内型枠22の配置などに影響することはない。
【0075】
具体的には、出隅用のコーナー定規52aでは、アンカー位置規定部31は、三角形状の部分の範囲内における、三角形の内側となる位置に、突出部32が三角形の内側へ突出するように形成される。この実施例では、出隅用のコーナー定規52aに対し、アンカー位置規定部31は、第一直線部53に一箇所設けられ、第二直線部54には特に設けられていない。ただし、出隅用のコーナー定規52aに対するアンカー位置規定部31の設置箇所や設置個数は、これに限るものではない。
【0076】
また、入隅用のコーナー定規52bでは、アンカー位置規定部31は、三角形状の部分の範囲内における、三角形の外側となる位置に、突出部32が三角形の外側へ突出するように形成されることになる。この実施例では、入隅用のコーナー定規52bに対しては、アンカー位置規定部31は特に設けられていないが、アンカー位置規定部31を設ける場合には、例えば、第一直線部53に一箇所設けるようにしてもよい。ただし、入隅用のコーナー定規52bに対するアンカー位置規定部31の設置箇所や設置個数は、これに限るものではない。
【0077】
(4)
図14に示すように、複数の定規本体17の間を接続する接続金具61A,61Bが備えられる。
接続金具61A,61Bは、
図15A、
図15Bの実施例に示すように、外型枠21の上部16の幅寸法62(
図14(a))に合わせた幅寸法63a,63bを有しても良い。
【0078】
ここで、接続金具61A,61Bは、上記した補助部材として、アンカー定規15のセットの一部を構成する。
【0079】
外型枠21の上部16の幅寸法62(
図14(a))に合わせた幅寸法63a,63bとは、接続金具61A,61Bが、外型枠21の上部16の幅寸法62とほぼ同じ幅寸法を有することである。これにより、接続金具61A,61Bは、外型枠21の上部16に対する幅方向35の係止金具として機能するようになる。
【0080】
そして、外型枠21には、特に図示しないが上部16の幅寸法62が異なる規格のものが既に何種類か存在している。外型枠21の上部16の幅寸法62には、相対的に狭幅(例えば、45mm)になっているものと、広幅(例えば、50mm)になっているものとの少なくとも二種類がある。
【0081】
そのために、接続金具61A,61Bは、外型枠21の上部16の各種の幅寸法62に合わせた、それぞれとほぼ同じ幅寸法63a,63bのもの(あるいは互いに異なる幅寸法63a,63bを有するもの)が複数種類用意される。
【0082】
例えば、接続金具61A,61Bには、狭幅用(例えば、45mm用)の幅寸法63aのもの(接続金具61A、
図15A)や、広幅用(例えば、50mm用)の幅寸法63bのもの(接続金具61B、
図15B)など、少なくとも二種類以上の幅寸法63a,63bのものが備えられる(幅寸法63a<幅寸法63b)。ただし、外型枠21の上部16の種類および幅寸法62や、接続金具61A,61Bの種類および幅寸法63a,63bは、上記に限るものではない。
【0083】
この場合、定規本体17については、複数種類の外型枠21の上部16のうちの幅寸法62が最も小さいものと幅寸法w1を同じにするか、幅寸法w1をそれよりも小さくしておくのが好ましい。そして、外型枠21の上部16の内型枠22側の縁部に定規本体17の内型枠22側の縁部を合わせた状態に設置して、外型枠21の上部16の幅寸法62とほぼ同じ幅寸法63a,63bの接続金具61A,61Bを取付けるようにする。これにより、外型枠21の上部16の幅寸法62が定規本体17の幅寸法w1よりも広い外型枠21に対しても、定規本体17を支障なく設置して使用することが可能になる。
【0084】
即ち、外型枠21の上部16に対して、外型枠21の上部16の幅寸法62と同じ幅寸法w1の定規本体17を設置(上側から当接配置)した場合には、定規本体17の両側縁部が外型枠21の上部16の両側縁部と合った状態になる。そして、外型枠21の上部16の幅寸法62と同じ幅寸法63a,63bの接続金具61A,61Bを取付けることによって、外型枠21の上部16と定規本体17とは、接続金具61A,61Bによって両側縁部を幅方向35に部分的に係止保持されることになる。
【0085】
また、外型枠21の上部16に対して、外型枠21の上部16の幅寸法62よりも狭い幅寸法w1の定規本体17を設置(上側から当接配置)した場合には、定規本体17の内型枠22側の縁部のみを外型枠21の上部16の内型枠22側の縁部に合わせ、反対側の縁部は互いに合っていない(外型枠21の上部16に対し定規本体17が建物1の内側へ引込んだ)状態にする。そして、外型枠21の上部16と同じ幅寸法63a,63bの接続金具61A,61Bを取付けることによって、外型枠21の上部16は接続金具61A,61Bによって両側縁部を幅方向35に部分的に係止保持され、定規本体17は、外型枠21の上部16と内型枠22側の縁部どうしが合った状態で、接続金具61A,61Bによって部分的に包持されることになる。
【0086】
よって、いずれの場合にも、定規本体17は、外型枠21の上部16に対して、正しくセットされるので、アンカーボルト5を正確に埋設位置に設置することが可能になる。
【0087】
(5)具体的には、接続金具61A,61Bは、
外型枠21の上部16および定規本体17の上に当接配置される接続金具本体61aと、
(定規本体17の上に載置された)接続金具本体61aの両側縁部から下方へ向けて延び、外型枠21の上部16を幅方向35に係止する係止部61bと、を有しても良い。
そして、単線形状をした定規本体17は、
図14に示すように、内型枠22側の一側縁部の両端部またはその近傍に、係止部61bが入る連結穴65を有する幅拡大部64を備えても良い。
【0088】
ここで、接続金具本体61aは、定規本体17の一般部分の上や幅拡大部64の上に当接配置される水平且つ平坦な面を有する短尺材となっている。接続金具本体61aは、外型枠21の上部16の幅寸法62とほぼ同じ幅寸法63a,63bを有している。接続金具本体61aの延設方向33の長さは、連結穴65間の間隔とほぼ同じかそれよりも大きなものとされる。
【0089】
係止部61bは、接続金具本体61aに対し、曲げ加工などによって一体に形成されても良い。これにより、係止部61bは、連結穴65(の後述するスリット)へ入る面状のものとなる。この場合、係止部61bは、連結穴65(のスリット)の長さとほぼ同じ幅に形成するのが好ましい。なお、係止部61bは、接続金具本体61aとは別体のピンを、接続金具本体61aに取付けたようなものなどとしても良い。係止部61bは、連結穴65へ入り易いように、先端部(下端部)に先細りの導入テーパ部61cなどを形成するのが好ましい。また、接続金具61A,61Bは、各部にアール形状部を加工形成して尖った角をなくしておくのが好ましいが、特に、導入テーパ部61cの周囲の部分(特に先端部分)に、アール形状部61dを加工形成して角をなくすことで、連結穴65へより入り易くする効果が得られる。
【0090】
係止部61bは、接続金具本体61aを定規本体17の上や幅拡大部64の上に当接配置したときに、外型枠21の上部16を、幅方向35の両側から挟んで外型枠21の上部16を幅方向35に係止するように、幅方向35に対にして設けられる。これにより、接続金具61A,61Bは、上記したように係止金具として機能するようになる。対を成す係止部61bは、(内面間の幅寸法63a,63bが)外型枠21の上部16の幅寸法62とほぼ同じに設定される。係止部61bは、連結穴65の数や配置(または延設方向33の間隔)に合わせて、連結穴65と同じ位置に連結穴65と同じ数だけ(この実施例では二対、4本)設けられる。
【0091】
また、対の係止部61bは、互いに同じ長さにしてもよいが、例えば、
図16A、
図16Bの接続金具61A,61Bの他の実施例に示すように、連結穴65へ入れ易くなるように、長さを異ならせても良い。即ち、規定の長さとされた片側の係止部61bに対して、反対側の係止部61b’を短くまたは長くしても良い。これにより、例えば、相対的に長くなっている方の係止部(例えば、係止部61b)を先に連結穴65へ入れることで、隣接する接続金具61A,61Bが連結されて一体化する(安定した連結状態になる)ので、相対的に短い方の係止部(例えば、係止部61b’)を反対側の縁部に対して引掛け易くなり、より容易に接続金具61A,61Bを外型枠21の上部16に取付けて幅方向35に係止させることが可能になり、作業性を良くすることができる。
【0092】
一方、定規本体17は、外型枠21の上部16に当接配置された状態で、隣接する定規本体17に対し、上下に所要量重ね合わせた状態にして設置される。そして、定規本体17どうしの重ね合せ部分には、上記した幅拡大部64が設けられ、幅拡大部64には、連結穴65が貫通形成される。幅拡大部64および連結穴65によって定規本体17どうしの接続部が形成される。この接続部は、接続金具61A,61Bを使って互いに連結するものとされる。
【0093】
幅拡大部64は、定規本体17の内型枠22の側の縁部に、建物1の内側へ張出すように部分的に突出形成される。幅拡大部64は、例えば、平面視ほぼ台形状に形成される。定規本体17(の一般部分)に対する幅拡大部64の幅方向35への突出量w3(
図8または
図13)は、突出部32の幅方向35への突出量w2とほぼ同じ大きさとしても良いが、連結穴65を形成できれば良いので、突出量w2よりも小さくするのが好ましい。
【0094】
なお、幅拡大部64は、主に定規本体17の両端部に設けられる。定規本体17の各端部には、幅拡大部64が単数または複数設けられる。定規本体17の端部に幅拡大部64を複数設ける場合には、幅拡大部64どうしは、所要距離だけ離して設けるのが好ましい。これにより、複数設けられた幅拡大部64のいずれかを選択して使用することで、隣接する定規本体17どうしの連結長さを調整、変更することができるようになる。この実施例では、複数の幅拡大部64は、コーナー定規52a,52b(
図13)における、長辺となっている第一直線部53に対して設けるようにしている。また、直線定規29a~29c(
図8)の各端部については、幅拡大部64を複数設けても良いが、この実施例では特に設けずにそれぞれ単数としている。
【0095】
そして、隣接する定規本体17の上下に重ね合わせた幅拡大部64の連結穴65は、互いに上下に一致する位置に、単数または多数設けられる。この実施例では、連結穴65は、各幅拡大部64に延設方向33に沿って二箇所ずつ設けられているこの実施例では、二箇所の連結穴65は、定規本体17の基本的な幅寸法w1とほぼ同じ間隔かそれよりも広い間隔に形成されている。また、連結穴65は、丸穴とスリットとを組み合わせた形状とされている。スリットは、外型枠21の延設方向33へ向かって延ばされている。スリットは、係止部61bがちょうど入る大きさに形成されている。
【0096】
連結穴65は、内型枠22の側に拡大された幅拡大部64における、付根となる部分、即ち、定規本体17(の一般部分)の内型枠22側(内側)の縁部にほぼ沿った線上の位置に(並べて)設けられる。これにより、接続金具61A,61Bを幅拡大部64の位置に設置したときに、接続金具61A,61Bの内型枠22側の係止部61bが連結穴65へ挿入されて、隣接する定規本体17の端部どうしが互いに連結固定されると共に、定規本体17は、内型枠22側の縁部が、外型枠21の上部16の内型枠22側の縁部に合った状態となる。
【0097】
(6)以上が、この実施例の構成であるが、最後に、定規本体17についてまとめておくと、定規本体17は、所要肉厚を有する金属製の平らな板材で構成された部材であり、外型枠21の上部16に対し、上側から当接配置される。定規本体17は、外型枠21の上部16に沿ってほぼ均一な幅寸法w1で延びる物差部分によって主に構成されている。定規本体17は、内型枠22側の縁部(一側縁部)と、その反対側の縁部(他側縁部)とを有すると共に、内型枠22側の縁部が、外型枠21の上部16に対し、位置を揃えて設置される。内型枠22側の縁部には、両端部またはその近傍に、接続部として連結穴65を有する部分的な幅拡大部64が単数または複数突出形成されている。幅拡大部64および連結穴65は、反対側の縁部には設けられない。また、内型枠22側の縁部には、アンカー位置規定部31として位置決部36を有する部分的な突出部32を、単数または複数突出形成することができる。アンカー位置規定部31は、定規本体17の両端部間または端部近傍の幅拡大部64間の(アンカーボルト5を埋設する)位置に、幅拡大部64や連結穴65による接続機能を妨げないように設けられる。そして、定規本体17における、上記とは反対側の縁部には、各種の位置の基準となる切欠部34が、必要に応じて、単数または複数切欠形成される。切欠部34には、アンカーボルト5の埋設位置を正確に規定するためのものが含まれる。アンカーボルト5の埋設位置を正確に規定するための切欠部34は、例えば、定規本体17に対して設置される(アンカーボルト5を保持するための)アンカープレート37の、延設方向33の位置を規定するためのものとすることができる。
【0098】
定規本体17には、外型枠21の直線部分に設置される直線定規29a~29c(
図8)と、外型枠21の直角に組まれた部分に設置されるコーナー定規52a,52b(
図13)とがある。
【0099】
直線定規29a~29cは、ほぼ真っ直ぐに延びる物差部分を有する長尺の帯状部材となっている。直線定規29a~29cは、内型枠22の上部16に沿って設置される部分を全く有していない、外型枠21の上部16に沿って設置される部分のみを有するものとなっている。
【0100】
コーナー定規52a,52bは、中間部が直角に曲がった(または、中間部が直角の屈曲部分となった)物差部分を有する平面視L字状の部材となっている。コーナー定規52a,52bのL字状を構成する第一直線部53と第二直線部54との(中間部分の)間には、斜めに連結するように斜材55が一体に設けられても良い。斜材55は、接続部(幅拡大部64や連結穴65)やアンカー位置規定部31の機能を妨げない位置に設けられる。斜材55は、アンカー位置規定部31よりも端部寄りの位置に設けるのが好ましい。斜材55は、内型枠22の上部16と部分的に交差する可能性を有しているが、内型枠22の上部16に沿って延びることはない。よって、コーナー定規52a,52bは、内型枠22の上部16に沿って設置される部分を全く有していない、外型枠21の上部16に沿って設置される部分のみを有するものとなっている。
【0101】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0102】
地面2にコンクリート14で基礎3を打設する場合、少なくとも、建物1の外形に合わせた立上部4(外周立上部)が形成されるように、地面2に外型枠21と内型枠22とを所要の間隔を有して平行に立設する。この際、外型枠21と内型枠22との間隔は、一般的には、立上部4の幅寸法27と同じに設定されるが、例えば、立上部4に断熱材42を一体に設ける場合には、立上部4の幅寸法27よりも断熱材42の厚み分だけ広い間隔に設置される。
【0103】
地面2に外型枠21と内型枠22とを設置したら、次に、外型枠21の上部16(のみ)に対し、外型枠21の上部16に沿って連続するように単線形状の定規本体17を複数設置する(
図5)。なお、内型枠22の上部16には、少なくとも定規本体17の物差部分は設置されないようにする。
【0104】
そして、隣接する定規本体17どうしを、外型枠21の上部16の幅寸法62に合った幅寸法63a,63bを有する接続金具61A,61Bで互いに連結固定して、接続金具61A,61Bによって定規本体17を外型枠21の上部16に幅方向35に部分的に保持、または、係止保持させる(
図14)。
【0105】
この際、立上部4の直線部分を形成する外型枠21には、直線定規29a~29cを設置し、コーナー部分51を形成する外型枠21には、コーナー定規52a,52bを設置する(
図12(a))。定規本体17を外型枠21の上部16に正確に取付けるためには、コーナー定規52a,52bを先に設置して、コーナー定規52a,52bに対して直線定規29a~29cを連結して行くのが好ましい。コーナー定規52a,52bは、地面2に貼った水糸などを基準にして、外型枠21の上部16に正確に設置する。この際、定規本体17は、外型枠21に対して内側合わせとされる。即ち、定規本体17と外型枠21との内型枠22側の縁部どうしの位置を幅方向35に合わせるようにする。
【0106】
コーナー定規52a,52bと直線定規29a~29cとの間、および、直線定規29a~29cどうしの連結は、幅拡大部64どうしを上下に重ね合わせた状態で、接続金具61A,61Bの内側に位置する係止部61bを上下に重ね合わされた幅拡大部64の連結穴65内へ同時に挿入することで行われる。これにより、上記したように、接続金具61A,61Bの外側に位置する係止部61bが、外型枠21の上部16の外縁部に係止され、接続金具61A,61Bの内側に位置する係止部61bが、外型枠21の上部16の内縁部に係止されるため、定規本体17は外型枠21の上部16に対し、内側合わせの状態で幅方向35に係止保持される。この際、接続金具61A,61Bは、複数種類用意されているもののうちの、外型枠21の上部16の幅寸法62に合った幅寸法63a,63bのものを使用する。
【0107】
なお、接続金具61A,61Bは、幅拡大部64やアンカー位置規定部31のない位置にも設置することができ、これによって、外型枠21の上部16に対して定規本体17の各部を幅方向35に部分的に保持または係止保持させるのに使用することができる。例えば、
図12(b)に示すように、コーナー部分51に設置された外型枠21に対し、コーナー定規52a,52b(この場合にはコーナー定規52a)の角部分の近傍の両側辺部分を幅方向35に跨ぐように接続金具61A,61Bを取付けることで、コーナー定規52a,52bは、直交する二方向に対して正確に保持または係止保持される。
【0108】
そして、コーナー定規52a,52bや直線定規29a~29cは、幅方向35への係止保持の前や後などに、万力などの固定具38(
図9(c))で、適宜、幅拡大部64やアンカー位置規定部31以外の部分を外型枠21の上部16に仮固定したり本固定したりするようにしても良い。
【0109】
そして、
図9に示すように、定規本体17のアンカー位置規定部31に、アンカーボルト5を装着したアンカープレート37を取付けるようにする。
【0110】
この際、まず、アンカーボルト5をアンカープレート37のボルト保持穴37fへ挿入して、アンカープレート37に螺着した上下のナット39で、第二の横延設部37dの上下面を上下に挟むようにして、アンカープレート37にアンカーボルト5を装着する。アンカーボルト5は、アンカープレート37の上側のナット39からの上端部の突出量が所定の値となるように、ナット39の螺着量を調整する。
【0111】
次に、
図9(a)に示すように、定規本体17のアンカー位置規定部31の上にアンカープレート37を設置して、突出部32の反対側の位置に設けた切欠部34と、アンカープレート37のプレート本体37aに設けた切欠部37eと合致させることで、アンカープレート37およびアンカーボルト5を定規本体17に対し延設方向33におおまかに位置出しする。
【0112】
そして、
図9(b)に示すように、アンカープレート37に設けた楔取付穴37gと、定規本体17のアンカー位置規定部31における突出部32に設けた位置決部36との間に、上から固定用楔41を差し込むことで、アンカープレート37およびアンカーボルト5の幅方向35および延設方向33に対する位置をより正確に規定(位置決めおよび仮固定)する。
【0113】
最後に、
図9(c)に示すように、万力などの固定具38を用いて、アンカープレート37と定規本体17とを、外型枠21に対して動かないように強固且つ確実に本固定する。
【0114】
なお、立上部4に断熱材42を一体に設置する場合には、アンカーボルト5の部分に押圧保持金具43を取付けて、内型枠22の内面に設置された断熱材42の側面42aを押圧保持金具43の当面43bによって幅方向35に押さえさせるようにする。
【0115】
そして、この状態で、外型枠21と内型枠22との間にコンクリート14を打設することで、立上部4を形成する。これにより、アンカーボルト5は、立上部4に埋設された状態で、正確な位置に設置される。また、内型枠22の内面に断熱材42を設置した場合には、立上部4の内側に立上部4と一体に断熱材42が設置される。コンクリート14は、おおむね断熱材42の上面の高さ程度の位置まで充填される。
【0116】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0117】
(作用効果 1)アンカー定規15では、定規本体17(の、アンカーボルト5の位置を規定するための物差部分)を、外型枠21の上部16(のみ)に沿って設置される単線形状のものとしても良い。これにより、定規本体17の構成を既存の複線形状のもの(例えば、
図17)よりも大幅に簡略化して、定規本体17に使用する鋼材量の削減や、定規本体17に対する加工量の削減によるコストダウンを図ることができると共に、定規本体17の構成の簡略化による機能の最小限化によって、立上部4の施工時(コンクリート14打設時)に行うべき調整の工数を大幅に削減することができる。
【0118】
また、定規本体17を単線形状のものとしたことにより、定規本体17は、外型枠21と内型枠22との間の間隔(例えば、立上部4の幅など)の影響を受けなくなるため、幅寸法27の異なる様々な立上部4を形成する場合に広く使用することができるようになると共に(幅対応)、立上部4と断熱材42との一体施工などを行う場合にも柔軟に対応することができるようになる(汎用化)。即ち、単線形状の定規本体17は、立上部4の幅寸法27などに拘らず常に使用できるものとなる。
【0119】
よって、単線形状のアンカー定規15は、複線形状のものと比べて価格が抑えられ、幅対応能力や汎用性が高く、使い勝手が良いものとなるため、今後の普及が期待できる。
【0120】
(作用効果 2)単線形状をした定規本体17は、内型枠22側の一側縁部に、アンカーボルト5の設置位置を規定するアンカー位置規定部31を有しても良い。これにより、単線形状をした定規本体17の、内型枠22側の一側縁部に備えられたアンカー位置規定部31を用いることで、外型枠21と内型枠22との間における、アンカーボルト5を設置する位置を容易且つ正確に規定することができる。
【0121】
(作用効果 3)アンカー定規15では、立上部4のコーナー部分51に設置する定規本体17を、第一直線部53と、第二直線部54とを備えた平面視ほぼL型のもの(コーナー定規52a,52b)としても良い。これにより、立上部4のコーナー部分51を形成するために組み合わされた複数の外型枠21の上部16間に、コーナー部分51に使われる定規本体17を一つ設置するだけで、コーナー部分51に設置される複数の外型枠21の直角出しを容易に行って、外型枠21を正確に直角に保つことや、コーナー部分51の周辺において、アンカーボルト5を正確な位置に保持することができる。
【0122】
また、第一直線部53と第二直線部54との間を斜材55で連結するようにしても良い。これにより、コーナー部分51に設置する平面視L型の定規本体17の強度を確保・向上して、定規本体17の変形を防ぎ、定規本体17自体の直角度を正確に維持することができる。更に、コーナー部分51を形成するために設けられた複数の外型枠21の間に、斜材55によって強度を高められた平面視L型の定規本体17を設置する(または、係止保持させる)ことで、上記した定規本体17によってコーナー部分51を形成するための外型枠21をしっかり保持して、外型枠21の倒れ止めなどを行わせることも可能になる。
【0123】
(作用効果 4)アンカー定規15では、複数の定規本体17の間を接続する接続金具61A,61Bを備えても良い。これにより、複数の定規本体17を接続金具61A,61Bを用いて互いに連結することで、複数の定規本体17を外型枠21の上部16に沿って連続した状態となるように、外型枠21の上部16全体に対して簡単に設置することができるようになる。そのため、外型枠21や定規本体17を精度良く設置して、立上部4を設計通りの寸法に仕上げることが容易にできるようになると共に、立上部4の各部に対して、複数のアンカーボルト5をそれぞれ精度良く埋設することができるようになる。
【0124】
そして、接続金具61A,61Bは、外型枠21の上部16の幅寸法62に合わせた幅寸法63a,63bを有しても良い。これにより、外型枠21の上部16の幅寸法62に合った幅寸法63a,63bを有する接続金具61A,61Bを用いて複数の定規本体17を接続することで、同時に、外型枠21の上部16に対し、定規本体17を幅方向35に対して部分的に保持することが可能になる。即ち、接続金具61A,61Bを、外型枠21の上部16に対する幅方向35の係止金具として使うことができる。
【0125】
この際、接続金具61A,61Bは、外型枠21の上部16の幅寸法62に合わせて異なる幅寸法63a,63bのものを、複数種類用意しても良い。これにより、上部16の幅寸法62が異なる複数種類の外型枠21に合わせて複数種類の接続金具61A,61Bを使い分ける(即ち、幅寸法62と同じ幅寸法63a,63bのものを選んで使用する)ことで、上部16の幅寸法62が異なる各種の外型枠21に対しても、定規本体17をそのまま使用することができるようになる。即ち、幅寸法63a,63bの異なる接続金具61A,61Bを複数種類用意しておくだけで、(単線形状の)定規本体17は、その幅寸法w1が、外型枠21の上部16の幅寸法62と異なっていても、支障なく使用することができるようになる。
【0126】
(作用効果 5)接続金具61A,61Bは、外型枠21の上部16および定規本体17の上に当接配置される接続金具本体61aと、接続金具本体61aの両側縁部から下方へ向けて延び、外型枠21の上部16を幅方向35に係止する係止部61bとを有しても良い。これにより、接続金具本体61aを外型枠21の上部16および定規本体17の上に当接するように設置することで、接続金具本体61aの両側縁部から下方へ向けて延びる係止部61bによって、外型枠21の上部16に対し、定規本体17および接続金具61A,61Bを幅方向35に部分的に係止させることができる。
【0127】
単線形状をした定規本体17は、内型枠22側の一側縁部の両端部またはその近傍に、係止部61bが入る連結穴65を有する幅拡大部64を備えても良い。これにより、隣接する定規本体17の内型枠22側の一側縁部の両端部またはその近傍に備えられた幅拡大部64どうしを上下に重ね合わせて、接続金具本体61aを幅拡大部64の上に当接するように配置し、重ね合わされた幅拡大部64の上下の連結穴65間に係止部61bを挿入することで、単線形状をした定規本体17を互いに連結すると共に、隣接する定規本体17の内型枠22側の一側縁部の位置を揃え、外型枠21の内型枠22側の縁部に合わせた状態にして、外型枠21の上部16に定規本体17を幅方向35に係止させることができるようになる。