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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025411
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】固定具および足場板の固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/28 20060101AFI20220203BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20220203BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20220203BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20220203BHJP
   F16B 35/06 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
E04G7/28 301A
E04G5/08 Z
F16B5/06 K
F16B2/10 A
F16B35/06 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128214
(22)【出願日】2020-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593027473
【氏名又は名称】リードエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 健三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕太
(72)【発明者】
【氏名】中山 健一
【テーマコード(参考)】
3J001
3J022
【Fターム(参考)】
3J001FA18
3J001GA01
3J001GB01
3J001GC09
3J001GC12
3J001HA02
3J001JB02
3J001JB15
3J001KA19
3J001KB04
3J022DA12
3J022EA15
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED02
3J022ED22
3J022FA02
3J022FB03
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB16
3J022GA03
3J022GA06
3J022GA12
3J022GA14
3J022GA16
3J022GB23
(57)【要約】
【課題】足場板を固定する際の作業性がよく、足場で作業者が安心して安全に作業を行えるようにする。
【解決手段】足場板を単管に固定する固定具であって、足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、平板部の下部に下方に向けて単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、ボルト部に螺合されたナットと、下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備えたロック機構とを具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、
前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、
前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、
前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、
前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックする足場固定具。
【請求項2】
前記第1突出部と、前記第3突出部とは、これらを回転可能に支持する回転軸に軸支され、前記第1突出部には、前記回転軸の位置を変更可能とする屈曲した長穴状の透孔が形成されている請求項1記載の足場固定具。
【請求項3】
前記下部金具は、
前記回転軸に軸支され軸支部の上側に突出し、前記単管と接触することにより前記下部金具の前記回転軸周りの回転を制御する突出片を具備する請求項2記載の足場固定具。
【請求項4】
前記ボルト部は、
軸方向端部の、径方向中央部に軸方向に沿って切削した切込を具備し、当該切込内に前記第2突出部の一部を収容した状態で前記第2突出部に回動自在に係止されている請求項1乃至3の何れか1項記載の足場固定具。
【請求項5】
前記下部金具は、底部の前記係止用切り欠き部の入口側に、前記ボルト部の抜けを防止するための突起を有する請求項1乃至4の何れか1項記載の足場固定具。
【請求項6】
前記掛止部は、前記平板部に対して互いに反対方向に直角に折曲して形成されている請求項1乃至5の何れか1項記載の足場固定具。
【請求項7】
前記下部金具が、
前記下部金具と前記上部金具とで前記単管を挟持した状態で前記足場板の内壁に対向配置される規制金具を具備する請求項1乃至6の何れか1項記載の足場固定具。
【請求項8】
固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を固定具で前記単管に固定する固定方法であって、
前記足場板の上方から前記固定具の掛止部を前記足場板の上面端部に掛止し、
前記固定具に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設した第1突出部および第2突出部と、前記第1突出部および第2突出部に対応し上方に向けて前記固定具に突設した第3突出部および第4突出部とを係合させて前記単管を挟持し、
前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられ、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部と、を備えたロック機構の、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックする
固定具による足場板の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固定具およびその固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばビルなどの建造物の外壁や外壁に設けられている配管などを定期点検する際や修繕工事を行う際には、仮設足場を設置した上で作業が行われる。
【0003】
仮設足場を設置する際に、水平方向に配置した足場パイプに金属製の足場板を固定するのは番線であり、作業としては、足場板に設けられている孔に番線を通して下の足場パイプを固縛することになる。
【0004】
このように番線を用いた固縛作業は熟練を要する上、番線の末端処理を徹底しないと作業服に引っ掛けて服が破けたり作業者が怪我をすることがある。
【0005】
そこで、近年では、番線に代わる仮設足場の固定具として、固定金具本体に、半円弧状の単管挟着用切欠を形成した単管挟着用片を、スプリングを介して閉塞方向に付勢するように取り付けたものや(例えば特許文献1参照)、足場板の側面下側で足場パイプを挟持し足場板上面でベルトにより固定する挟持構造の固定具(例えば特許文献2参照)、下側が開放されたアームとこのアームに回動自在に支持されたクランプレバーとで足場パイプを挟持し足場板の上面に渡した押え板で足場板を固定する構造のレバー足場板クランプ(例えば特許文献3参照)などが発案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09-228629号公報
【特許文献2】特開平07-109833号公報
【特許文献3】特開平05-033481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の固定金具の場合、単管挟着用片をスプリングで付勢して単管を挟持するだけのため、外れはしないものの作業者の中には外れることを懸念し足場の作業に不安を感じる者がいた。
【0008】
また、上記特許文献2、3に記載の固定具やクランプの場合、単管への取り付け作業と足場板の上面にベルトや押え板を取り回す作業が必要になり、作業性が悪く、足場板の固定に時間を要するとともに、足場板の上面にベルトや押え板が渡されるため、従来の番線同様に作業者が足場での作業中につまづく恐れがあるという問題があった。さらに、近年は複数種の金属製の足場板が出回っており、例えば厚さの異なる足場板にも対応可能とすることも求められている。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、足場板を固定する際の作業性がよく、足場で作業者が安心して安全に作業を行うことができる固定具およびその固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の固定具は、固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る仮設足場の構成を示す斜視図。
図2】実施形態に係る固定具を側方から見た場合の構成を示す図。
図3】実施形態に係る固定具を前方から見た場合の構成を示す一部断面図。
図4】組立て前の上部金具の上面図。
図5】組立て前の上部金具の側面図。
図6】組立て前の下部金具の上面図。
図7】(a)はボルト部の上面図、(b)はボルト部の側面図。
図8図7(b)から90°回転下方向から見たボルト部の側面図。
図9】実施形態に係る固定具の取り付け方法を説明するための図。
図10】実施形態に係る固定具の取り付け方法を説明するための図。
図11】端部用の組立て前の上部金具の上面図。
図12】端部用の組立て前の下部金具の上面図。
図13】他の実施形態に係る組立て前の下部金具の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。図1は一つの実施の形態の仮設足場の構成を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態の仮設足場10は、略垂直方向に配置された複数の単管足場パイプ11、略水平方向(横方向)に配置された複数の単管足場パイプ(以下「横足場パイプ」という)12および斜め方向に配置された複数の単管足場パイプ13によってそれぞれ組み合わされるとともに、所定高さに配置された複数の横足場パイプ12上に橋架された金属製の足場板21、22、単管足場パイプ11に固定されたつまさき板14を備える。この仮設足場10では横足場パイプ12は一定の方向(横方向)に並べて固定されている。これらの単管足場パイプは「単管」の一つである。
【0014】
金属製の足場板21、22は、建造物への作業に適した高さ、この例では、例えば図1の地面から3段目(下から3段目)の横足場パイプ12上に複数箇所配置されている。これらの足場板21、22は、資材の運搬、載置や作業者の往来、高所への移動などを可能としている。
【0015】
なお、足場板21、22は、橋架された複数の横足場パイプ12の配列方向を、足場板21、22の長手方向(紙面の厚さ方向)とし、横足場パイプ12の軸方向を、足場板20の短手方向(紙面の左右方向)とする。つまり、横足場パイプ12は、橋架した複数本の横足場パイプ12の上に横足場パイプ12の軸と直交する方向に足場板21の長手方向を向けて足場板21を載置し足場とするものである。
【0016】
図2図3は、図1に示した足場板21、22を横足場パイプ12に固定するための固定具40の構成を示す図であり、図2は、固定具40を側方から見た場合の構成を示し、図3は前方(図2の右側)から見た場合の構成を一部断面として示した図である。図2図3に示すように、固定具40は、厚みが例えば2.3mmの1枚の鋼板を型抜きし屈曲させた上部金具45と下部金具47とを有する。
【0017】
図3に示すように、足場板21と足場板22は、並設されており、金属製の板材からなる足場板本体21a、22aの側縁部に内側に巻き込むように屈曲加工された側縁部(側面21b、底面21c、突出面21dなど)が設けられている。足場板本体21a、22aの側縁部は、長手方向に沿って板金を下方向に断面コ字形状にそれぞれ折り曲げて形成したものである。
【0018】
足場板21、22の各側面21b,22bは、横足場パイプ12へ載置される脚部としての機能をそれぞれ有する。
【0019】
固定具40は、横足場パイプ12の上に横足場パイプ12の軸の方向と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板21、22を横足場パイプ12に固定する足場板固定金具である。
【0020】
図4は固定具40を構成する組立て前の上部金具45の上面図であり、図5は側面図である。これらの図にも示すように、上部金具45は、機能別に分けると、上部の掛止部としての押え金具45a、45b、中部の平板部45c、下部の第1突出部45dおよび第2突出部45fなどにより構成される。
【0021】
上部の押え金具45a、45bは、平板部45cに対して互いに反対方向に直角に折り曲げて形成されている。図3に示すように、押え金具45aは、足場板21の上方から足場板本体21aの上面に掛止される。押え金具45bは、足場板22の上方から足場板本体22aの上面に掛止される。この例のように2つの足場板21、22の間に固定具40を介在させることで、2枚の足場板21、22を同時に固定できる。この2枚の足場板21、22のケース以外に、例えば端の足場板に固定具40を使用する場合は、押え金具45a、45bのうち足場板に沿う側に屈曲した押え金具を使用することができるが、この点については後述する。
【0022】
中部の平板部45cは、押え金具45a、45bに接続(連結)されており、足場板21の側面21bと足場板22の側面22bとの間に(足場板21、22の側縁に沿って)配置される。下部の第1突出部45dおよび第2突出部45fは、平板部45cの下部に下方に向けて、横足場パイプ12を両側から挟むように突設されている。第1突出部45dおよび第2突出部45fとの間には、横足場パイプ12に当接される半円弧状の切り欠き部が形成されている。
【0023】
第1突出部45dには、下部金具47を例えば、ブラインドリベット等によるリベット止めなどで回転自在に支持するための透孔45eが形成されている。本実施形態において、回転軸となるリベットを通すための透孔45eは、円孔ではなく、猪目に近似した屈曲した長穴状の形状とされている。これによって、回転軸となるリベットの位置を上下方向に変更可能として、異なる厚さ(例えば,厚さ27mm~42mm程度の範囲)の足場板21、22等に対応可能となっている。一方、第2突出部45fには、後述するロック機構を構成するボルト部を回動自在に支持するための円孔45gが形成されている。
【0024】
下部金具47は、1枚の鋼板を型抜きして上方向に折り曲げ加工した金具であり、機能別に分けると、対向して配置された2枚の一対の板状部材としての側板47a、48aと、これら側板47a、48aを対称に保持するように一対の側板47a、48aの下部を接続及び支持する接続部材としての底板46と、この底板46から上方に直角に折り曲げられた規制部としての規制金具49を有する。
【0025】
図3に示すように規制金具49は、上端に規制面49aを有する。規制面49aは、下部金具47が上部金具45に係合した状態で足場板21,22の側縁部の突出面21d,22dの内側に隙間を設けて配置される。規制面49aは、足場板21,22の横ずれ(横足場パイプ12軸方向のずれ)を規制するものであり、足場板本体21a,22aが横にずれたときに、押え金具45a,45bが足場板本体21a,22aから外れないように常に固定できる状態を保持する幅H3で設けられている。すなわち、規制金具49は、下部金具47と上部金具45とで横足場パイプ12を挟持した状態で足場板21,22の対向する側面の突出面21d,22dに対向して配置される。
【0026】
側板47aと、これと対向する側板48aとは同じ形状である。以下、図2の側面図で見える側(片側)の側板47aについて説明する。側板47aは、図2中左側の第3突出部47b、右側の第4突出部47c、これら突出部の間の中部47dを有する。
【0027】
第3突出部47bと第4突出部47cは、上側に向けて、互いの突出部の間に横足場パイプ12を挟んで下から支持するように下部金具47に突設されている。組立て前の下部金具47の上面構成を示す図6に示されるように、第3突出部47bは、側板48a側の第3突出部48bとで上部金具45の第1突出部45dを挟み込むように折り曲げられている。また、第4突出部47cの前面(図2の右側の面)には、それぞれ外側に向けて略90°折り曲げられた折曲部47f等が設けられている。
【0028】
第3突出部47b,48bには、前述した上部金具45の第1突出部45dの透孔45eに対応する円形の孔47e,48eが設けられており、回転軸となるブラインドリベットなどにより第1突出部45dに回転可能に支持される。このように、ブラインドリベットなどを用いることによって、ボルトとナット等で止めた場合等に比べて緩みが生じることを防止することができる。固定具40としてみると、下部金具47と上部金具45とが孔45eを中心に回動可能とされている。側板47a、48aには、横足場パイプ12を当接して保持するために、中部47dを半円弧状に切り欠いた切り欠き部が形成されている。
【0029】
第4突出部47c、48cは、上部金具45の第2突出部45fに係合する。この係合状態をロックおよびロック解除(アンロック)するロック機構60について説明する。図2に示すように、前述した第2突出部45fに設けられた円孔45gには、ボルト部61が回転軸となるリベットなどにより回動自在に軸支されており、このボルト部61には、ナット62が螺合されている。
【0030】
図7図8は、ボルト部61の構成を示す図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は側面図、図8図7(b)から90°回転した方向から見た側面図である。これらの図に示すように、ボルト部61は、例えばM10等のボルトから構成されており、その下側部分にネジ山61aが形成され、上端部側にはネジ山のない無ネジ部61bとなっている。この無ネジ部61bの径方向中央部には、軸方向に沿って切込61cが形成され、この切込61c内に第2突出部45fの一部を挿入可能となっている。
【0031】
また、切込61cの部分には、切込61cの部分を跨いで無ネジ部61bを貫通する貫通孔61dが形成されている。そして、第2突出部45fを切込61cに挿入し、貫通孔61d及び円孔45gを貫通するようにリベット止め等することによって、ボルト部61が回動自在に第2突出部45fに軸支されている。なお、ボルト部61のネジ山61aの下側端部部分は、例えば、打痕加工等によりネジ山を潰してナット62がボルト部61から抜けないようになっている。
【0032】
一方、図6に示すように、下部金具47の底板46には、上記したボルト部61に対応するように、U字状の切り欠き46aが形成されている。すなわち、ロック機構60は、第2突出部45fに回動自在に軸支されているボルト部61と、このボルト部61に螺合されたナット62と、下部金具47の底板46に形成されたU字状の切り欠き46aとによって構成されている。この場合、ボルト部61の中央部に切込61cを設けて上部金具45に取り付けることによって、ボルト部61が上部金具45に対して偏心することなく取り付けることができ、ロック機構60として下部金具47と締め付けた際にも力が偏ることなく均一に作用させることができる。
【0033】
そして、第4突出部47c、48cを、上部金具45の第2突出部45fに係合させた状態で、ボルト部61をU字状の切り欠き46aに引っ掛け、この状態でナット62をラチェットレンチ等によって締め付けることによって係合状態をロックでき、ナット62を緩めることによってロック解除(アンロック)できるようになっている。また、本実施形態では、U字状の切り欠き46aの入口側に位置する底板46には、下方に向けて突出する突起46bが形成されている。したがって、ナット62が多少緩んだとしても、この突起46bによって、ボルト部61及びナット62が下部金具47から外れてしまうことを防止することができる。
【0034】
この固定具40は、上部金具45と下部金具47の一端がリベット止めなどで回転自在に支持されて、他端がロック機構60でロック、ロック解除(アンロック)される構造とされており、各パーツ全てが一体化されている。このようにパーツを一体化することで、部品の紛失およびそれによる異物の混入や落下による災害の防止などが図られる。
【0035】
ここで、図9図10を参照して足場板21、22の設置(固定)作業を説明する。なお、図9図10では、説明を容易にするため、一方の足場板21のみを図示している。この場合、横足場パイプ12の上にどちらか一方の足場板、例えば足場板21を載せた後、図9に示すような開放状態の固定具40の押え金具45aを、足場板本体21aの上面にあてがい、また平板部45cの半円弧状の切欠きに横足場パイプ12をあてがうようにして、固定具40を足場板21および横足場パイプ12に係合させる。
【0036】
続いて、固定具40の平板部45cを足場板21の側面21bと、足場板22の側面22bとで挟むようにして他方の足場板22を足場板21に並べるように配置する。この際、固定具40の押え金具45bを足場板本体22aの上面にあてがうようにする(図3参照)。すなわち、足場板21、22の上方から固定具40の押え金具45a、45bを足場板21、22の上面端部に掛止する。
【0037】
次に、足場板21、22の下で、固定具40のナット62を緩めるとともに、ボルト部61を図9に示す矢印のように上方に向けて回動させた状態で、下部金具47を図9に示す矢印のように上方に向けて回動させて、下部金具47の第4突出部47cを上部金具45の第2突出部45fに係合させるとともに、下部金具47の規制金具49の規制面49aを、足場板21の突出面21dに係合させて、図10の係合状態とする。足場板22の突出面22dについても同様である。
【0038】
すなわち、固定具40に下方に向けて横足場パイプ12を両側から挟むように突設した第1突出部45dおよび第2突出部45fと、これら第1突出部45dおよび第2突出部45fに対応し上方に向けて固定具40に突設した第3突出部47bおよび第4突出部47cとを係合させて横足場パイプ12を上下左右から挟持する。
【0039】
その後、ボルト部61を図10に示す矢印のように下方に向けて回動させ、下部金具47の底板46に形成されたU字状の切り欠き46a(図6参照)内にボルト部61を挿入する。そして、ナット62をラチェットレンチ等で締め付けることによって、上部金具45と下部金具47の係合状態をロックする。
【0040】
一方、仮設足場10の解体作業などで固定具40のロック状態(掛止状態)を解除、つまりアンロックする場合は、ラチェットレンチ等でナット62を緩め、上記したとは逆の操作によって、固定具40を取り外し、横足場パイプ12と足場板21及び足場板22とを取り外して解体することができる。
【0041】
上記のような仮設足場10の、組立及び解体を行う場合、図13に示すように、上部金具45と下部金具47との回転軸となる、下部金具47の孔47eの上側部分に突出する突出片47gを設けておくと良い。ロック機構60を開放した状態では、上部金具45に対して下部金具47が回転するが、この突出片47gが横足場パイプ12に当接してその回転が制限され、固定具40が落下することを防止することができる。
【0042】
以上説明したように、この実施形態の仮設足場10によれば、上部金具45に下部金具47を回動自在に支持し、上部金具45の押え金具45a、45bをそれぞれ足場板本体21a、22aに掛止し、上部金具45の第1突出部45d、第2突出部45fで横足場パイプ12を両側から挟持した状態で、上部金具45に下部金具47を係合させて上下から横足場パイプ12を挟持するとともに、上部金具45と下部金具47との係合状態をロック機構60にてロックするので、固定具40にて、足場板21、22を横足場パイプ12に作業性よく確実に固定することができる。また、従来に比べて、仮設足場10における足場板20の固定作業および解体作業にかかる作業性が向上し、作業時間を短縮することができる。
【0043】
また、上部の押え金具45a、45bは、足場板本体21a、22aの端部で板厚(2.3mm程度)で掛止されるので、従来のように足場板21、22に番線を渡して縛っていたときよりも作業者がつまづく危険性が大幅に少なくなる。
【0044】
さらに、1枚の鋼板を型抜きして2枚の板にして各板を折り曲げ加工して上部金具45と下部金具47を作り、互いの金具の一端を回動自在に支持し、他端に、上部金具45に回動自在に軸支されたボルト部61及びナット62と、下部金具47の底板46に形成したU字状の切り欠き46a等によってロック機構60を構成したので、固定具40としての材料コストおよび加工コストを大幅に削減することができる。
【0045】
以上により、足場板21、22を固定する際の作業性がよく、足場の上で作業者が安心して安全に作業を行うことができるようになる。
【0046】
上記実施形態では、2枚の足場板21、22の間に固定具40を1つ配置して横足場パイプ12に固定する例を示したが、最端の1枚の端部の足場板21だけでも押え金具45aまたは45bで横足場パイプ12に固定することができることはいうまでもない。また、最端の1枚の端部の足場板21のために、例えば、図11に示すように、上部金具45として、一方のみに押え金具45aがあるもの、図12に示すように、下部金具47として、一方のみに規制金具49があるものを使用しても良い。
【0047】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。またこの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10…仮設足場、11…単管足場パイプ、12…横足場パイプ、13…単管足場パイプ、14…つまさき板、21、22…足場板、21a,22a…足場板本体、40…固定具、45…上部金具、45d…第1突出部、45f…第2突出部、45g…円孔、45e…透孔、46…底板、46a…U字状の切込、46b…突起、47…下部金具、47a、48a…側板、47b、48b…第3突出部、47c、48c…第4突出部、47d、48d…中部、47e、48e…孔、47f、48f…折曲部、49…規制金具、49a…規制面、60…ロック機構、61…ボルト部、62…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、
前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、
前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、
前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、
前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックし、
前記第1突出部と、前記第3突出部とは、これらを回転可能に支持する回転軸に軸支され、前記第1突出部には、前記回転軸の位置を変更可能とする屈曲した長穴状の透孔が形成されている固定具。
【請求項2】
前記下部金具は、
前記回転軸に軸支され軸支部の上側に突出し、前記単管と接触することにより前記下部金具の前記回転軸周りの回転を制御する突出片を具備する請求項記載の固定具。
【請求項3】
固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、
前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、
前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、
前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、
前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックし、
前記下部金具は、底部の前記係止用切り欠き部の入口側に、前記ボルト部の抜けを防止するための突起を有する固定具。
【請求項4】
固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、
前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、
前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、
前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、
前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックし、
前記下部金具、前記下部金具と前記上部金具とで前記単管を挟持した状態で前記足場板の内壁に対向配置される規制金具を有する固定具。
【請求項5】
前記ボルト部は、
軸方向端部の、径方向中央部に軸方向に沿って切削した切込を具備し、当該切込内に前記第2突出部の一部を収容した状態で前記第2突出部に回動自在に係止されている請求項1乃至の何れか1項記載の固定具。
【請求項6】
前記下部金具は、底部の前記係止用切り欠き部の入口側に、前記ボルト部の抜けを防止するための突起を有する請求項1乃至2及び請求項4の何れか1項記載の固定具。
【請求項7】
前記下部金具が、
前記下部金具と前記上部金具とで前記単管を挟持した状態で前記足場板の内壁に対向配置される規制金具を具備する請求項1乃至の何れか1項記載の固定具。
【請求項8】
前記掛止部は、前記平板部に対して互いに反対方向に直角に折曲して形成されている請求項1乃至の何れか1項記載の固定具。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項記載の固定具を使用して、固定された単管の上に単管の軸と直行する方向に長手方向を向けて載置した足場板を前記単管に固定する足場板の固定方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明の実施形態は、固定具および足場板の固定方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、足場板を固定する際の作業性がよく、足場で作業者が安心して安全に作業を行うことができる固定具および足場板の固定方法を提供することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
実施形態の固定具は、固定された単管の上に単管の軸と直交する方向に長手方向を向けて載置した足場板を単管に固定する固定具であって、前記足場板の上方から足場板の上面に掛止される掛止部と、前記掛止部に接続され足場板の側縁に沿って配置される平板部と、前記平板部の下部に下方に向けて前記単管を両側から挟むように突設された第1突出部および第2突出部とを有する上部金具と、前記第1突出部に回転可能に支持される第3突出部と、前記第2突出部に係合する第4突出部とを上側に向けて、互いの突出部の間に前記単管を挟んで支持するように突設した下部金具と、前記第2突出部と前記第4突出部との係合状態をロックおよびアンロック可能に設けられたロック機構とを具備し、前記ロック機構は、前記第2突出部に回動自在に係止されたボルト部と、当該ボルト部に螺合されたナットと、前記下部金具の底部に形成された係止用切り欠き部とを備え、前記ボルト部を前記係止用切り欠き部に引っ掛け、前記ナットを締めることによって係合状態をロックし、前記第1突出部と、前記第3突出部とは、これらを回転可能に支持する回転軸に軸支され、前記第1突出部には、前記回転軸の位置を変更可能とする屈曲した長穴状の透孔が形成されている