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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025412
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】紙製容器を詰めた箱体
(51)【国際特許分類】
   B65B 25/00 20060101AFI20220203BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B65B25/00 C
B65D77/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128217
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB99
3E067AC14
3E067AC16
3E067BA05A
3E067BA06A
3E067BB02A
3E067BB13A
3E067EE50
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】スパウトがその外側に突出している紙製容器を、限られた容積の箱体の中に多数収容して、その移送や保管の効率を改善することができる紙製容器を詰めた箱体を提供すること。
【解決手段】多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器1121とし、この特定容器1121に隣接する紙製容器を隣接容器1111として、隣接容器1111の一部を特定容器1121に重ね、かつ、この隣接容器1111の一部を特定容器1121のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置する。スパウト周囲の空間を利用して、紙製容器の一部をここに配置するため、箱体内部の限られた容積を効率的に利用して、多数の紙製容器を収容できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に隣接する紙製容器を隣接容器として、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体。
【請求項2】
多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に重ねられた紙製容器を重畳容器として、重畳容器の表裏が特定容器の表裏と逆であり、かつ、重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体。
【請求項3】
多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に隣接する紙製容器を隣接容器とし、また、前記特定容器に重ねられた紙製容器を重畳容器として、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されていると共に、重畳容器の表裏が特定容器の表裏と逆であり、かつ、重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体。
【請求項4】
前記スパウトにキャップが施されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙製容器を詰めた箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙製容器を詰めた箱体に関する。この紙製容器は、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成されたものである。
【背景技術】
【0002】
このような紙製容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この紙製容器1は次のようなものである。
【0004】
すなわち、この紙製容器1に使用する天部側シート1Aは、図5に示すように、その中央に長方形状の天面1A10を有しており、この天面1A10には開口部が設けられ、この開口部にはスパウトが装着されている。なお、図5では、このスパウト1Cにキャップが施されている。
【0005】
次に、天部側シート1Aは、長方形状の天面1A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面1A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面1A21~1A24を有している。天部側側面1A21~1A24の数は、多角形状天面1A10の辺の数と同じ4である。
【0006】
また、天部側シート1Aは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面1A21~1A24同士を繋ぐ天部側つなぎ片1A31~1A34を有している。すなわち、天部側側面1A21と天部側側面1A22との間は天部側つなぎ片1A31で繋がれている。また、天部側側面1A22と天部側側面1A23との間は天部側つなぎ片1A32で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。
【0007】
そして、この天部側つなぎ片1A31~1A34によって、天部側側面1A21~1A24の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片1A31~1A34はその角部に位置して、天部側側面1A21~1A24の間を閉塞している。例えば、天部側側面1A21と天部側側面1A22との間は天部側つなぎ片1A31で閉塞している。
【0008】
この天部側つなぎ片1A31~1A34は、天面1A10の各頂点から、天部側つなぎ片1A31~1A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、図5に拡大して示すように、例えば、天部側側面1A23と天部側側面1A24とは、天面1A10の頂点1A10bを共有している。天部側側面1A23を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A23bを付して示している。また、天部側側面1A24を構成する辺のうち、天面1A10の頂点1A10bを共有している辺には、符号1A24bを付して示している。そして、この辺1A23bと辺1A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線1A33cが設けられ、この天部側二つ折り用罫線1A33cによって、天部側つなぎ片1A33は2つの領域1A331,1A332に区分されている。すなわち、図において、辺1A23bと二つ折り用罫線1A33cとがなす角θ1と、辺1A24bと天部側二つ折り用罫線1A33cとがなす角θ2とは等しく、領域1A331と領域1A332とは、同形同大で、しかも、天部側二つ折り用罫線1A33cを対称軸として線対称に配置されている。以上天部側つなぎ片1
A33を例として天部側二つ折り用罫線1A33cについて説明したが、その他の天部側つなぎ片1A31~1A32,1A34にも同様に天部側二つ折り用罫線1A31c~1A32c,1A34cが設けられている。
【0009】
次に、天部側シート1Aは、これら天部側側面1A21~1A24と天部側つなぎ片1A31~1A34とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート1Bと固定するヒートシール領域から成る天部側固定部1A40を有している。
【0010】
次に、底部用シート1Bは、後述する点を除き、天部側シート1Aと同様の構造を有している。すなわち、図6に示すように、まず、底部用シート1Bは中央に長方形状の底面1B10を有している。この長方形状底面1B10は天面1A10と同形である。底部用シート1Bが天部側シート1Aと異なる点は、天部側シート1Aの天面1A10には、開口部が設けられ、この開口部にキャップ付きスパウト1Cが装着されているのに対し、底部用シート1Bの底面1B10には開口部が設けられておらず、もちろんスパウトが装着されていないことである。
【0011】
また、底部用シート1Bは、多角形状の底面1B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面1B21~1B24を、前記長方形状底面1B10の辺の数と同じ4つ有している。これら底部側側面1B21~1B24も、それぞれ、天部側側面1A21~1A24と同形である。
【0012】
また、底部用シート1Bは、互いに隣接する各底部側側面1B21~1B24の間に、この底部側側面1B21~1B24同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片1B31~1B34を有している。これら底部側つなぎ片1B31~1B34は天部側つなぎ片1A31~1A34と同形である。
【0013】
また、各底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片1B31~1B34には、底面1B10の各頂点から、底部側つなぎ片1B31~1B34を二等分する底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cが設けられており、この底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cによって、底部側つなぎ片1B31~1B34は、それぞれ、2つの領域に区分されている。
【0014】
次に、底部側シート1Bは、これら底部側側面1B21~1B24と底部側つなぎ片1B31~1B34とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート1Aと固定するヒートシール領域から成る底部側固定部1B40を有している。
【0015】
そして、これら天部側シート1Aと底部側シート1Bとを位置合わせして重ね、両固定部1A40,1B40同士をヒートシールすることにより、平坦な状態の紙製容器1を製造することができる(図7参照)。紙製容器1は、このように平坦な状態で箱詰めして移送し、内容物を充填密封する工程に供給することができる。なお、この紙製容器1は、平坦な状態であっても、キャップ付きスパウト1Cがその外側に向けて突出している。
【0016】
平坦状態の紙製容器1を箱型の状態に変形するためには、天部側シート1Aと底部側シート1Bとのそれぞれをその折り曲げ用罫線で折り曲げて立ち上げればよい。
【0017】
こうして形成された箱型の状態の紙製容器1では、天部側つなぎ片1A31~1A34及び底部側つなぎ片1B31~1B34が、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線1A31c~1A34cと底部側二つ折り用罫線1B31c~1B34cのいずれもが容器外面に対して山折りになるように二つ折りされたものである。この二つ折りによって、天
部側シート1Aの天部側側面1A21~1A24のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合い、また、天部側二つ折り用罫線1A31c~1A34cのそれぞれによって区分された2つの領域が互いに重なり合って、フィン状パネルの天部側を構成する。図5の拡大図を参照して天部側つなぎ片1A33について説明すると、この天部側つなぎ片1A33を天部側二つ折り用罫線1A33cで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片1A33の両側に位置する天部側側面1A23の辺1A23bと天部側側面1A24の辺1A24bとが互いに重なり合う。また、天部側二つ折り用罫線1A33cで区分された2つの領域1A331,1A332が互いに重なり合って、紙製容器の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネルの天部側を構成する。
【0018】
ところで、平坦な状態の紙製容器1においては、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33と底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線1A33cと底部側二つ折り用罫線1B33cも互いに正確に重なり合っており、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33を天部側二つ折り用罫線1A33cで二つ折りするとき、底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33も底部側二つ折り用罫線1B33cで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片1B33の両側に位置する底部側側面1B23の辺1B23bと底部側側面1B24の辺1B24bも互いに重なり合い、また、底部側二つ折り用罫線1B33cで区分された2つの領域も互いに重なり合って、紙製容器の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネル133を構成する。
【0019】
そして、天部側シート1Aの天部側側面1A23と底部側シート1Bの底部側側面1B23とは容器固定部140を介して連続しているから、この両側面1A23,1B23によって箱型の状態の紙製容器1の側面123が構成される。
【0020】
また、天部側シート1Aの天部側つなぎ片1A33と底部側シート1Bの底部側つなぎ片1B33も容器固定部140を介して連続しているから、この両つなぎ片1A33,1B33で構成された部分によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面1A23と底部側側面1B23とで構成される側面123と、天部側側面1A24と底部側側面1B24とで構成される側面124との間を繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。
【0021】
以上、天部側つなぎ片1A33及び底部側つなぎ片1B33で構成された部分を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。
【0022】
そして、このようにすべてのつなぎ片1A31~1A34,1B31~1B34を二つ折りすることにより、各側面121~124が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、紙製容器1は箱型の形態を採る。この箱型の状態の紙製容器1は、天面1A10と底面1B10とを有し、その周囲に側面121~124が設けられており、しかも、側面121~124の間をつなぎ片1A31~1A34,1B31~1B34が閉塞しているから、キャップ付きスパウト1Cが装着された前記開口部を除いて密封された状態にある。
【0023】
ところで、このように箱型の状態に変形された状態では、二つ折りされたつなぎ片1A31~1A34,1B31~1B34がフィン状パネル131~134を構成し、このフィン状パネルが紙製容器1の各角部から外側に向けて突出している。そこで、このフィン状パネル131~134を倒して紙製容器1の各側面121~124に折り重ね、例えばヒートシールして接着することによって、その外観を整えることができる。図8はこのようにフィン状パネル131~134を紙製容器1の各側面121~124に折り重ねた状態の紙製容器1を示している。
【0024】
以上の説明から分かるように、平坦な状態の紙製容器1の天部側つなぎ片1A31~1A34及び底部側つなぎ片1B31~1B34のすべてを、これらの二つ折り用罫線1A31c~1A34c及び1B31c~1B34cで二つ折りすると共に、そのフィン状パネル131~134を紙製容器1の各側面121~124に折り重ねることにより、箱型の状態の紙製容器1に変形することができる。
【0025】
また、平坦な状態の紙製容器1の天部側側面1A21~1A24と底部側側面1B21~1B24のすべてを、その外側から押し込み、次にフィン状パネル131~134を紙製容器1の各側面121~124に折り重ねることによって、箱型の状態の紙製容器1に変形することも可能である。各側面1A21~1A24,1B21~1B24を押し込む際には、例えば、治具を使用することができる。
【0026】
いずれの方法で箱型の状態とした場合においても、この紙製容器1は図8に示すような形状である。なお、天部側固定部1A40と底部側固定部1B40とをヒートシールして形成された容器固定部は、天部側側面1A21~1A24と底部側側面1B21~1B24のいずれか一方の外面側に倒されて、その外面に重ねられている(図8では、容器固定部が底部側側面1B21~1B24の外面に重ねられている)。
【0027】
そして、平坦な状態で内容物を充填密封する工程に供給された紙製容器1は、この工程でキャップを取り外した後、箱型の状態に変形することにより、スパウトから内容物を充填することができる。また、キャップで再封することにより密封することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2019-26275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
前述のように、この紙製容器1は、平坦な状態で内容物充填工程まで移送される。平坦な状態では、箱型の状態に比較して著しく容積が小さいため、箱体の中に多数収容することができ、効率的に移送あるいは保管できるのである。
【0030】
しかしながら、この紙製容器は、平坦な状態であってもスパウトやキャップがその外側に突出している。このため、この紙製容器は見掛け上の体積が大きく、限られた容積の箱体の中に、十分な数の紙製容器を効率的に収容することができないという問題点を残していた。
【0031】
この問題点について図9を参照して詳しく説明すると、まず、図9(a)~図9(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面であり、図9(a)は上から見た整列状態の説明図、図9(b)は図9(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図9(c)は図9(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
【0032】
この図から分かるように、6個の紙製容器1を2行3列に配列して1段とし、これを3段積み重ねて箱体2の内部に収容している。紙製容器1の個数は6個/段×3段=18個である。
【0033】
これら18個の紙製容器1を互に区別するため、それぞれの紙製容器1に3桁の添え字を付けて説明する。最初の添え字(100の位の添え字)は、最下段を1段目として、その段数を示している。次の添え字(10の位の添え字)は、X方向から見たとき見える紙製容器1(Y方向に並んだ紙製容器1)に末端から順番を付けたものである。また、最後
の添え字(1の位の添え字)は、Y方向から見たとき見える紙製容器1(X方向に並んだ紙製容器1)に末端から順番を付けたものである。
【0034】
そこで、1段目の角部に位置する紙製容器1は紙製容器1111である。そして、X方向から見たとき見える紙製容器1は、図9(b)に図示のように、この紙製容器1111から、紙製容器1121,紙製容器1131の順に並んでいる。また、Y方向から見たとき見える紙製容器1は、図9(c)に図示のように、紙製容器1111の次に紙製容器1112が並んでいる。そして、紙製容器1111の上には、紙製容器1211,紙製容器1311がこの順に積み重ねられている。
【0035】
このように、多数の紙製容器1が整然と配列されているが、例えば紙製容器1111に着目してこれを特定容器とすると、これに隣接する紙製容器1(隣接容器)は、紙製容器1112と紙製容器1121の2個である。そして、これら隣接容器1112,1121は全く特定容器1111に重なっていない。
【0036】
また、前記特定容器1111の上に重ねられた紙製容器1(重畳容器)は紙製容器1211である。この紙製容器1211のキャップ付きスパウトは紙製容器1211のキャップ付きスパウトの上に重ねられている。そして、このため、限られた容積の箱体の中に、効率的に紙製容器1を収容することができなかったのである。
【0037】
本発明は、紙製容器1のスパウトの周囲には空間があり、このスパウト周囲の空間を利用することで限られた容積の箱体の中に一層多数の紙製容器を収容することができることを発見してなされたものである。
【0038】
すなわち、本発明は、このようにスパウトがその外側に突出している紙製容器を、限られた容積の箱体の中に多数収容して、その移送や保管の効率を改善することができる紙製容器を詰めた箱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
すなわち、請求項1に記載の発明は、多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に隣接する紙製容器を隣接容器として、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体である。
【0040】
次に、請求項2に記載の発明は、多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に重ねられた紙製容器を重畳容器として、重畳容器の表裏が特定容器の表裏と逆であり、かつ、重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体である。
【0041】
次に、請求項3に記載の発明は、多数の紙製容器を整列して詰めた箱体であって、
この紙製容器が、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された平坦な状態の紙製容器であり、かつ、前記天部側シートから外部に
向けて突出したスパウトを有しており、箱型の状態に変形できる紙製容器であって、
前記多数の紙製容器のうち任意の紙製容器を特定容器とし、この特定容器に隣接する紙製容器を隣接容器とし、また、前記特定容器に重ねられた紙製容器を重畳容器として、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されていると共に、重畳容器の表裏が特定容器の表裏と逆であり、かつ、重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されていることを特徴とする紙製容器を詰めた箱体である。
【0042】
次に、請求項4に記載の発明は、前記スパウトにキャップが施されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙製容器を詰めた箱体である。
【発明の効果】
【0043】
請求項1に記載の発明においては、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないように配置されており、その重なった部位は特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されている。このようにスパウト周囲の空間を利用して、紙製容器の一部をここに配置しているため、箱体内部の限られた容積を効率的に利用して、多数の紙製容器を収容して、その移送や保管の効率を改善することができるのである。
【0044】
また、請求項2に記載の発明においては、重畳容器の表裏が特定容器の表裏と逆であり、かつ、重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されている。このように特定容器のスパウト周囲の空間を利用して、重畳容器のスパウトをここに配置しているため、箱体内部の限られた容積を効率的に利用して、多数の紙製容器を収容して、その移送や保管の効率を改善することができる。
【0045】
また、請求項3に記載の発明においては、隣接容器の一部が特定容器に重なり、かつ、この隣接容器の一部が特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置されており、また、重畳容器のスパウトと特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置されている。このため、限られた容積にさらに多数の紙製容器を収容して、その移送や保管の効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は本発明の箱体の第1の具体例を示すものである。すなわち、図1(a)~図1(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図1(a)は上から見た整列状態の説明図、図1(b)は図1(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図1(c)は図1(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
図2図2は本発明の箱体の第2の具体例を示すものである。すなわち、図2(a)~図2(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図2(a)は上から見た整列状態の説明図、図2(b)は図2(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図2(c)は図2(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
図3図3は本発明の箱体の第3の具体例を示すものである。すなわち、図3(a)~図3(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図3(a)は上から見た整列状態の説明図、図3(b)は図3(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図3(c)は図3(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
図4図4は本発明の箱体の第4の具体例を示すものである。すなわち、図4(a)~図4(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図4(a)は上から見た整列状態の説明図、図4(b)は図4(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図4(c)は図4(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
図5図5は紙製容器の天部側シートの平面図である。
図6図6は紙製容器の底部側シートの平面図である。
図7図7は平坦な状態の紙製容器の断面説明図である。
図8図8は箱型の状態の紙製容器の斜視図である。
図9図9は比較例を示すものである。すなわち、図9(a)~図9(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面、図9(a)は上から見た整列状態の説明図、図9(b)は図9(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図9(c)は図9(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、多数の紙製容器を整列して詰めた箱体である。
【0048】
本発明に係る紙製容器は、天部側シートと底部側シートとを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成されたものである。
【0049】
そして、この紙製容器は、潰して平坦な状態とすることができ、このように平坦な状態で箱体中に整列して詰め込まれる。この紙製容器は、このように平坦な状態で箱体中に詰め込まれて移送され、内容物充填工程で箱型の状態に変形できる必要がある。また、本発明の対象とするこの紙製容器は、天部側シートから外部に向けて突出したスパウトを有したものである。このスパウトにはキャップが施されていてもよく、キャップが施されていなくてもよい。キャップが施されていると、保管あるいは移送時の紙製容器内部の汚れを防止できる。
【0050】
このような紙製容器としては、例えば、特許文献1に記載の紙製容器1を例示できる。もっとも、これに限られるわけではない。
【0051】
一方、本発明に係る箱体は任意の箱体でよい。例えば、段ボール箱、あるいは、木箱等である。その形状も任意であるが、直方体形状の箱体でよい。
【0052】
以下、紙製容器を特許文献1に記載の紙製容器1、箱体を直方体形状の箱体として、本発明の具体例を説明する。
【0053】
(第1の具体例)
この例は、隣接容器の一部を特定容器に重ね、しかも、こうして特定容器に重ねた隣接容器の前記一部を特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置したものである。
【0054】
図面の図1はこの例を示すものである。すなわち、図1(a)~図1(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図1(a)は上から見た整列状態の説明図、図1(b)は図1(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図1(c)は図1(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。これらの図においては、多数の紙製容器1を区別するため、それぞれの紙製容器1に3桁の添え字を付けている。その添え字の付け方は前述の図9の場合と同様である。
【0055】
そこで、紙製容器1131を特定容器とすると、この特定容器1131に隣接する隣接容器は、紙製容器1121,紙製容器1141及び紙製容器1132の3つである。このうち、Y方向に隣接する隣接容器1121はその一部が特定容器1131に乗り上げて重なっている(図1(b)参照)。その重なった位置は、隣接容器1121の端部が特定容器1131のスパウトに当接して、しかも、このスパウトに重ならない位置である。
【0056】
また、その反対側に位置する隣接容器1141については、その一部が隣接容器1141に乗り上げて重なっている。その重なった位置は、特定容器1131の端部が隣接容器
141のスパウトに当接して、しかも、このスパウトに重ならない位置である。
【0057】
このように、この例では、Y方向に隣接する紙製容器が互に重なり合い、刺身状に整列されている。しかも、その重なった位置は、従来利用されなかったスパウト周囲の空間である。このため、箱体内部の空間を効率的に利用して、限られた容積の箱体内部に多数の紙製容器を収容することが可能となる。
【0058】
(第2の具体例)
この例も、隣接容器の一部を特定容器に重ね、しかも、こうして特定容器に重ねた隣接容器の前記一部を特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置したものである。
【0059】
前述の第1の具体例では、Y方向に隣接する隣接容器1は、その一部が特定容器1に乗り上げて重なっていたが、X方向に隣接する隣接容器1は特定容器1に乗り上げて重なっていなかった。
【0060】
この例では、Y方向に隣接する隣接容器1とX方向に隣接する隣接容器1の両方が特定容器1に乗り上げて重なっている。
【0061】
すなわち、図面の図2はこの例を示すものである。図2(a)~図2(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図2(a)は上から見た整列状態の説明図、図2(b)は図2(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図2(c)は図2(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。これらの図においても、それぞれの紙製容器1に3桁の添え字を付けているが、その添え字の付け方は前述の図9の場合や第1の具体例と同様である。
【0062】
そこで、まず、紙製容器1131を特定容器とすると、この特定容器1131に対してY方向に隣接する2つの隣接容器1121,1141と特定容器1131とは、その一部が順次乗り上げて重なっている(図2(b)参照)。また、X方向に隣接する隣接容器1132と特定容器1131もその一部が乗り上げて重なっている。
【0063】
X方向に隣接する隣接容器1132と特定容器1131もその一部が乗り上げて重なっていることは、図2(c)に図示された別の紙製容器11112を特定容器として、それから類推すると容易に理解できる。すなわち、図2(c)において、紙製容器1112を特定容器とすると、この特定容器1112に対してX方向に隣接する2つの隣接容器1111,1113と特定容器1112とはその一部が順次乗り上げて重なっている。
【0064】
このように、Y方向に隣接する隣接容器の一部とX方向に隣接する隣接容器の一部が、共に特定容器に乗り上げて重なっているから、第1の具体例に比較しても、箱体内部の空間をさらに効率的に利用して、限られた容積の箱体内部に多数の紙製容器を収容することが可能となる。
【0065】
(第3の具体例)
この例は、重畳容器の表裏を特定容器の表裏と逆とし重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置した例である。
【0066】
すなわち、図面の図3はこの例を示すものである。図3(a)~図3(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図3(a)は上から見た整列状態の説明図、図3(b)は図3(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図3(c)は図3(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。これらの図においても、それぞれの紙製容器1に3桁の添え字を付けているが、その添え字の付け方は前述の図9の場合や第1,2の具体例と同様である。
【0067】
まず、紙製容器1111を特定容器とすると、この特定容器1111に重ねられた重畳容器は紙製容器1211である。そして、この重畳容器1211の表裏は特定容器1111の表裏とは逆になっている。このことは、図3(c)から明らかと思われる。すなわち、図3(c)において、特定容器1111のスパウトは特定容器1111の上側に配置されているが、重畳容器1211のスパウトは重畳容器1211の下側に配置されている。このように特定容器1111と重畳容器1211とは表裏逆に重ねられている。
【0068】
しかも、重畳容器1211のスパウトは特定容器1111のスパウトと隣接して、特定容器1111のスパウトの周囲の空間に配置されている。なお、この例では、重畳容器1211のスパウトは特定容器1111のスパウトのX方向に隣接して配置されているため、X方向から見た図3(b)では、この重畳容器1211のスパウトが特定容器1111のスパウトの蔭に隠れており、図3(b)には図示されていない。
【0069】
このように、この例では、互に重ねられた紙製容器1が互に表裏逆に重ねられている。しかも、重畳容器のスパウトは特定容器のスパウトの周囲の空間に配置されている。このため、箱体内部の空間を効率的に利用して、限られた容積の箱体内部に多数の紙製容器を収容することが可能となる。
【0070】
(第4の具体例)
この例は、隣接容器の一部を特定容器に重ね、しかも、こうして特定容器に重ねた隣接容器の前記一部を特定容器のスパウトに重ならないスパウト周囲の空間に配置すると共に、重畳容器の表裏を特定容器の表裏と逆とし重畳容器のスパウトが特定容器のスパウトとが衝突しないスパウト周囲の空間に配置した例である。
【0071】
図面の図4はこの例を示すものである。図4(a)~図4(c)は紙製容器の整列状態を説明するための図面で、図4(a)は上から見た整列状態の説明図、図4(b)は図4(a)のX方向から見た整列状態の説明図、図4(c)は図4(a)のY方向から見た整列状態の説明図である。これらの図においても、それぞれの紙製容器1に3桁の添え字を付けているが、その添え字の付け方は前述の図9の場合や第1~3の具体例と同様である。
【0072】
図4(b)から分かるように、紙製容器1121を特定容器とすると、この特定容器1121にY方向に隣接する隣接容器1111は、その一部が特定容器1121に乗り上げて重なっている。また、隣接容器1131については、特定容器1121の一部が隣接容器1131に乗り上げて重なっている。このように、互に隣接する容器の一部が順次乗り上げるように配列されている。
【0073】
また、図4(c)から分かるように、紙製容器1111を特定容器とすると、特定容器1111に重ねられた重畳容器1211の表裏は特定容器1111の表裏とは逆になっており、しかも、重畳容器1211のスパウトは特定容器1111のスパウトと隣接して、特定容器1111のスパウトの周囲の空間に配置されている。
【0074】
このように、この例では隣接容器の一部が特定容器に乗り上げて重なり、しかも、その重なった位置を特定容器のスパウト周囲の空間としている。しかも、これに加えて、重畳容器が特定容器とは表裏逆に重ねられて、重畳容器のスパウトを特定容器のスパウトの周囲の空間に配置している。このため、箱体内部の空間をさらに効率的に利用して、限られた容積の箱体内部に多数の紙製容器を収容することが可能となるのである。
【実施例0075】
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。
【0076】
なお、これらの例で使用した箱体は各例ごとに異なっているが、紙製容器はすべての例を通じて共通である。
【0077】
(実施例1)
幅745mm、奥行き455mm、高さ70mmの箱体の中に、紙製容器を図1に示すように収容した。箱体の容積は23,728cm3であり、収容できた紙製容器の数は40個であった。
【0078】
(実施例2)
幅745mm、奥行き447mm、高さ76mmの箱体の中に、紙製容器を図2に示すように収容した。箱体の容積は25,309cmであり、収容できた紙製容器の数は60個であった。
【0079】
(実施例3)
幅685mm、奥行き260mm、高さ78mmの箱体の中に、紙製容器を図3に示すように収容した。箱体の容積は13,892cmであり、収容できた紙製容器の数は24個であった。
【0080】
(実施例4)
幅745mm、奥行き260mm、高さ84mmの箱体の中に、紙製容器を図4に示すように収容した。箱体の容積は16,271cmであり、収容できた紙製容器の数は40個であった。
【0081】
(比較例)
幅685mm、奥行き455mm、高さ61mmの箱体の中に、紙製容器を図9に示すように収容した。箱体の容積は19,012cmであり、収容できた紙製容器の数は24個であった。
【0082】
(評価・考察)
実施例1~4及び比較例における紙製容器の見かけ上の体積を表1に示す。見かけ上の体積は、使用した箱体の容積を収容した紙製容器の数で割った値である。
【0083】
【表1】
【0084】
この結果から、本発明によれば、紙製容器の見かけ上の体積が減少する。このため、限られた狭い容積の箱体にも、多数の紙製容器を収容できることが理解できる。
【符号の説明】
【0085】
1:紙製容器 1A:天部側シート 1B:底部側シート 1C:スパウト
2:箱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9