(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025455
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】自転車
(51)【国際特許分類】
B62K 3/02 20060101AFI20220203BHJP
B62J 1/28 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B62K3/02
B62J1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128284
(22)【出願日】2020-07-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390015613
【氏名又は名称】株式会社Olympicグループ
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 徹
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
(57)【要約】
【課題】
クランクの回転時にペダルの踏力の変動が起こり、いわゆる回転のむらを可及的に排除する自転車を提供する。
【解決手段】
使用者が着座するサドルと、サドルの前後方向の長さの中心となる中心部と、駆動力を後輪に伝達するためのクランクと、クランクを軸支するクランク軸と、使用者の踏力を前記後輪に伝達するペダルをクランク軸に回転可能に軸支するペダル軸部と、を有し、クランク軸から後輪方向に至る水平線と、クランク軸から中心部を通る直線と、のなす角度が60度であるとともに、クランク軸から、ペダル軸部までの距離を140ミリメートルとした自転車である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座するサドルと、
前記サドルの前後方向の長さの中心となる中心部と、
駆動力を後輪に伝達するためのクランクと、
前記クランクを軸支するクランク軸と、
前記使用者の踏力を前記後輪に伝達するペダルを前記クランク軸に回転可能に軸支するペダル軸部と、を有し、
前記クランク軸から後輪方向に至る水平線と、前記クランク軸から前記中心部を通る直線と、のなす角度が60度であるとともに、前記クランク軸から、ペダル軸部までの距離を140ミリメートルとした自転車。
【請求項2】
前輪と、前記前輪を回転可能に軸支する前輪軸と、
前記後輪を回転可能に軸支する後輪軸と、をさらに有し、
前記後輪軸からクランク軸までの距離と、前記前輪軸から前記クランク軸までの距離と、を1対1とした請求項1記載の自転車。
【請求項3】
前記サドルを取り付けるためのシートピラーと、
前記シートピラーに取り付ける背もたれ部と、をさらに有する請求項1または2記載の自転車。
【請求項4】
前記クランク軸に、回転伝達機構を配置した請求項1から3のいずれかに記載の自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両足が地面にベッタリ接地するサドルの高さにおいて、前傾せずに楽な姿勢でペダリングしやすい自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自転車では、クランク軸から、ペダルをクランクに取り付けるためのペダル軸部までの距離が、通説では使用者の身長の10パーセントが好ましいとされ、一般的に160から170ミリメートルが適正とされていた。
【0003】
一方で、サドルを取り付けたシートチューブを挿入可能に配置するためのシートピラーと、水平方向とのなす角度は、68度から75度程度とされていた。その角度で、使用者がペダルをこぐために、適切なサドルの高さを調整すると、停止時において両足が地面にベッタリ接地しないといったことが起こることが知られており、そのサドルの位置で腰かけると、停車時に足が地面に届かず極めて危険であった。また、そのような自転車においては、骨盤が前傾することにより上体の姿勢を前傾しなければ十分なペダル踏力が得られず、背筋を伸ばしてサドルに座るという自然な姿勢を取りにくく疲れやすいものであった。
【0004】
さらに言えば、停車時の安全のために両足がべったり設置できるようなサドルの高さにするとペダルをこぐときに股関節を十分に伸ばすことができずペダルの踏力を十分に引き出すことができない。
【0005】
このようなことを解決するものとして実開昭58-63180号公報において、「シートと、クランク及びハンドルを備えた自転車の車体であって、前記クランクを、前記シートの前方下方に配置すると共に、前記クランクの回転中心と前記シートの着座中心とを結ぶ直線の、前記回転中心を通る水平線に対する角度を45度乃至60度としたことを特徴とする自転車用車体。」が開示されている。
【0006】
しかしながら、上記発明ではクランク軸からペダル軸部までの距離も上記の距離では、クランクの回転時にペダルの踏力の変動が起こり、いわゆる回転のむらが生じやすいという問題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、クランクの回転時にペダルの踏力の変動が起こり、いわゆる回転のむらを可及的に排除する自転車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、第1観点の自転車は、使用者が着座するサドルと、サドルの前後方向の長さの中心となる中心部と、駆動力を後輪に伝達するためのクランクと、
前記クランクを軸支するクランク軸と、使用者の踏力を後輪に伝達するペダルをクランク軸に回転可能に軸支するペダル軸部と、を有し、クランク軸から後輪方向に至る水平線と、クランク軸から中心部を通る直線と、のなす角度が60度であるとともに、クランク軸から、ペダル軸部までの距離を140ミリメートルとしたというものである。
【0010】
前記の課題を解決するために、第2観点の自転車は、第1観点において、前輪と、前輪を回転可能に軸支する前輪軸と、後輪を回転可能に軸支する後輪軸と、をさらに有し、後輪軸からクランク軸までの距離と、前輪軸から前記クランク軸までの距離と、を1対1としたとうものである。
【0011】
前記の課題を解決するために、第3観点の自転車は、第1観点または第2観点において、サドルを取り付けるためのシートピラーと、シートピラーに取り付ける背もたれ部と、をさらに有するというものである。
【0012】
前記の課題を解決するために、第4観点の自転車は、第1観点から第3観点において、クランク軸に、回転伝達機構を配置したというものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、クランクの回転時にペダルの踏力の変動が起こり、いわゆる回転のむらを可及的に排除する自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】第1実施例の自転車に使用者が座った状態を示す状態図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示の実施形態を参照して第1実施例の自転車10について説明する。第1実施例の自転車10は、フレーム20と前輪50と後輪60とを有するものである。フレーム20は、ヘッドパイプ21と、前フォーク22と、ハンドルポスト23と、ハンドル24と、を有する場合がある。また、さらにフレーム20は、メインパイプ30と、シートチューブ31と、シートピラー32と、サドル33と、ハンガー部34(
図2参照)と、クランク35と、トップチューブ36と、補助チューブ37と、を有する場合がある。また、さらにフレーム20は、バックホーク40と、チェーンステー41と、を有する場合がある。また、上記シートチューブ31は、シートピラー32を介して、サドル33を配置するためのものである。すなわち、サドル33は、シートピラー32に取り付けられ、そのシートピラー32は、シートチューブ31に摺動可能に取り付けられている。
【0016】
上記フレーム20の前方Fにおいて、上述のヘッドパイプ21が配置されており、その下部に、前輪50を前輪軸51によって回転可能に軸支する前フォーク22が配置されている。前フォーク22の一部は、ヘッドパイプ21の下方から回転可能に挿入されている。また、ハンドルポスト23は、ハンドル24に固定され、ハンドル24を操舵すると前フォーク22も操舵されるように、筒状のヘッドパイプ21内においてそれらは接続されている。
【0017】
メインパイプ30は、その前端30aが、ヘッドパイプ21に接続され、その後端30bが、ハンガー部34に接続されている(
図2参照)。また、シートチューブ31も、その下端部31aが、ハンガー部34に接続されている。また、サドル33を取り付けたシートピラー32は、シートチューブ31に挿入され、使用者の足の長さに適切な位置に固定されている。
【0018】
トップチューブ36は、ヘッドパイプ21と、シートチューブ31の上部31a付近と接続するように配置され、第1実施例の自転車10においてそのトップチューブ36は水平に配置されている。また、補助チューブ37は、トップチューブ36のほぼ中央付近と、ヘッドパイプ21と、を接続するように配置されている。なお補助チューブ37とメインパイプ30は、ともに水平方向に対して斜めに配置されているが、それらは平行に配置されている。また、ハンドル24も同様に、補助チューブ37とメインパイプ30に対して平行に配置されている。
【0019】
バックホーク40は、シートチューブ31の上部31a付近と接続するように取り付けられており、その上部31a付近から後方Rに向かうに従い緩やかに下降するように斜めに取り付けられている。また、チェーンステー41は、ハンガー部34および上述のバックホーク40に接続されている。バックホーク40とチェーンステー41とを接続する接続部42は、後輪軸61を軸支し、その後輪軸61は、後輪60を回転可能に軸支するものである。また、チェーンステー41はほぼ水平に配置されている。
【0020】
また、ハンガー部34には、回転可能にクランク35を軸支するためのクランク軸39が配置されている。クランク35と、ペダル38、38は、そのペダル軸部38a、38aによって、回転可能に接続されている。クランク35は、回転伝達機構100に接続され、チェーン45によって、スプロケット46に駆動力が伝達され、後輪60を駆動するというものである。なお、チェーン45は、いわゆるチェーンに替えてベルトを使用することもできる。
【0021】
なお、上述の回転伝達機構100は、特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)において公知であり、同一の符号を付しその説明は省略するが、第1実施例の自転車10はその回転伝達機構100が設けられる場合がある。
【0022】
なお、上述の回転伝達機構100は、特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)と同一の符号を付しその説明は省略する場合がある。また、第1実施例の自転車10において、その回転伝達機構100が設けられる場合がある。なお、上記特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)に記載されている、回転軸102は、クランク軸39に相当する。また、回転伝達機構100に替えて公知のチェーンリングを、クランク35に取り付けることもできる。
【0023】
第1実施例の自転車10は、さらにクランク軸39と、サドル33において使用者が着座する中心部33aとを結ぶ直線Sと、クランク軸39を通る水平線Hとのなす角度θが58度から62度である。上記の通り、チェーンステー41はほぼ水平に配置されていることから、クランク軸39と、サドル33において使用者が着座する中心部33aとを結ぶ直線と、チェーンステー41とのなす角度が58度から62度が好ましい(
図2参照)。また、これらのなす角度θは、特に60度が好ましい。なお、中心部33aとは、サドル33の前方Fから後方Rにかけての長さの中心、すなわち中心部33aとは、サドル33の前後方向の長さの中心をいう。
【0024】
上記のように構成することによって、従来の自転車と比べ、使用者Pがサドル33に座る際の位置が後方Rに移動するとともにその位置が下がることになる。これにより背筋を伸ばしてサドル33への自然な着座姿勢をとることができる。また、両足が地面にベッタリ接地することができる。さらに、この場合においても、クランク軸39と、サドル33の位置が、使用者の膝が伸び切る寸前の位置に配置されているので、使用者の踏力がペダル38に十分に伝達されることになる(
図3参照)。また、自転車10の停止時において足を確実に地面につくことができるというものである。なお、さらに背もたれ部70を取り付けることもできる。背もたれ部70は、支持部材71と背もたれ本体72とを有し、使用者がペダル38を踏んだときの反力を受け止めることができるのでハンドル24を押さえる力が弱い場合であっても安定してペダリングを行うことができる。
【0025】
また、クランク35の長さTは、140ミリメートルとすることが好ましい。これにより、従来の自転車よりクランク35の長さを短くすることで、使用者の膝の曲げる角度が緩やかとなり、楽にスムーズなペダリングをすることができる。すなわち、ペダル38の上死点と下死点との距離が比較的短いために回転むらが起きにくいものとなり、スムーズなペダリングをすることができるのである。また、ペダル38のロードクリアランスを低くすることができるので、自転車10の重心を下げられるとともに、ペダル38を使用者が踏んだ際に、左右のふらつきを押さえることができるので走行安定性が向上する。なお、上記の通り、クランク35の長さTは、140ミリメートルとするので、従来の自転車より短い。よって、ペダル38の上死点と下死点の通過がスムーズとなるが、よりペダル38の踏力を必要とする場合もある。しかしながら、上記の通り、クランク35は、回転伝達機構100に接続される場合においては、その踏力の不足をその回転伝達機構100によって補うことができるので、走行安定性が向上するというものである。
【0026】
また、第1実施例の自転車10は、さらに、後輪軸61からクランク軸39までの距離RCと、前輪軸51からクランク軸39までの距離FCと、を1対1としたものである(
図2参照)。このような比率にすることで前輪50および後輪60にかかる重量のバランスが良くなり、低速においてふらつくことを可及的に軽減することができる。
【0027】
第2実施例の自転車200は、フレーム220と前輪250と後輪260とを有するものである。フレーム220は、ヘッドパイプ221と、前フォーク222と、ハンドルポスト223とハンドル224と、を有するものである。また、さらにフレーム220は、メインパイプ230とシートチューブ231と、シートピラー232と第2サドル233と、ハンガー部234(
図5参照)と、クランク235と、を有するものである。また、さらにフレーム220は、バックホーク240とチェーンステー241と、を有するものである。
【0028】
上記フレーム220の前方Fにおいて、上述のヘッドパイプ221が配置されており、その下部に前輪250をその前輪軸251によって回転可能に軸支する前フォーク222が配置されている。前フォーク222の一部は、ヘッドパイプ221の下方から回転可能に挿入されている。また、ハンドルポスト223は、ハンドル224に固定され、ハンドル224を操舵すると前フォーク222も操舵されるように、筒状のヘッドパイプ221内において、それらは接続されている。
【0029】
メインパイプ230は、ヘッドパイプ221に接続され、その後端230bが、ハンガー部234に接続されている。また、シートチューブ231も、その下端部231aが、ハンガー部234に接続されている(
図4参照)。また、第2サドル233を取り付けたシートピラー232は、シートチューブ231に挿入され、使用者の足の長さに適切な位置に固定されている。
【0030】
また、メインパイプ230は、ヘッドパイプ221に接続されるとともに、さらに前方Fに突出するように配置され、前かごを置くスペースとされている。
【0031】
また、バックホーク240は、シートチューブ231の上部231a付近と接続するように取り付けられており、その上部231a付近から後方Rに向かうに従い緩やかに下降するように斜めに、かつ曲率を変化させるように取り付けられている。また、チェーンステー241は、ハンガー部234および上述のバックホーク240に接続されている。バックホーク240とチェーンステー241とを接続する接続部242は、後輪軸261を軸支し、その後輪軸261は、後輪260を回転可能に軸支するものである。また、チェーンステー241はほぼ水平に配置されている。
【0032】
また、ハンガー部234には、回転可能にクランク235を軸支するためのクランク軸239が配置されている。クランク235と、ペダル238、238は、そのペダル軸部238a、238aによって、回転可能に接続されている。クランク235は、回転伝達機構100に接続され、チェーン245によって、スプロケット246に駆動力が伝達され、後輪260を駆動するというものである。なお、チェーン245は、いわゆるチェーンに替えてベルトを使用することもできる。
【0033】
なお、上述の回転伝達機構100は、上記と同様であるが、特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)において公知であり、同一の符号を付しその説明は省略する。また、第2実施例の自転車200においてもその回転伝達機構100が設けられる場合がある。
【0034】
なお、上述の回転伝達機構100は、特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)と同一の符号を付しその説明は省略する場合がある。また、第2実施例の自転車200においても、その回転伝達機構100が設けられる場合がある。なお、特開2018-083557号公報(特願2016-228407号)に記載されている、回転軸102は、クランク軸239に相当する。また、回転伝達機構100に替えて公知のチェーンリングを、クランク235に取り付けることもできる。
【0035】
第2実施例の自転車200は、さらにクランク軸239と、第2サドル233において使用者Pが着座する中心部233aとを結ぶ直線S2と、クランク軸239を通る水平線H2とのなす角度θ2が58度から62度である。上記の通り、チェーンステー241はほぼ水平に配置されていることから、クランク軸239と、第2サドル233において使用者が着座する中心部233aとを結ぶ直線と、チェーンステー241とのなす角度θ2が58度から62度が好ましい(
図5参照)。また、これらのなす角度θ2は、特に60度が好ましい。なお、中心部233aとは、第2サドル233の前方Fから後方Rにかけての長さの中心、すなわち中心部233aとは、第2サドル233の前後方向の長さの中心をいう。
【0036】
上記のように構成することによって、従来の自転車と比べ、使用者が第2サドル233に座る際の位置が後方Rに移動するとともにその位置が下がることになる。これにより背筋を伸ばして第2サドル233への自然な着座姿勢をとることができる。また、両足が地面にベッタリ接地することができる。さらに、この場合においても、クランク軸239と、第2サドル233の位置が、使用者の膝が伸び切る寸前の位置に配置されているので、使用者の踏力がペダル238に十分に伝達されることになる。また、自転車200の停止時において足を確実に地面につくことができるというものである(図示しない)。この点は第1実施例の自転車10と同様である。
【0037】
ここで第2サドル233は、第1座面234と、第2座面235とを有し、第2座面235は後方Rに行くに従い上昇するように構成されている(
図4参照)。これにより使用者がペダル238を踏んだときの反力を受け止めることができるのでハンドル224を押さえる力が弱い場合であっても安定してペダリングを行うことができる。なお、第2サドル233を第1実施例の自転車10におけるサドル33と付け替えることができる。その際は、背もたれ部70を必ずしも必要としない。また、第2実施例の自転車200において、第2サドル233を、サドル33に付け替え、背もたれ部70を取り付けることもできる(図示せず)。なお、図示しないが、サドルと、背もたれ部とを一体とすることもできる。
【0038】
また、クランク235の長さT2は、140ミリメートルとすることが好ましい(
図4参照)。これにより、従来の自転車よりクランク235の長さを短くすることで、使用者の膝の曲げる角度が緩やかとなり、スムーズなペダリングをすることができる。すなわち、ペダル238の上死点と下死点との距離が比較的短いために回転むらが起きにくいものとなり、スムーズなペダリングをすることができるのである。また、ペダル238のロードクリアランスを低くすることができるので、自転車200の重心を下げられるとともに、ペダル238を使用者が踏んだ際に、左右のふらつきを押さえることができるので走行安定性が向上する。なお、上記の通り、クランク235の長さT2は、140ミリメートルとするので、従来の自転車より短い。よって、ペダル238の上死点と下死点の通過がスムーズとなるが、よりペダル238の踏力を必要とする場合もある。しかしながら、上記の通り、クランク235は、回転伝達機構100に接続される場合においては、その踏力の不足をその回転伝達機構100によって補うことができるので、走行安定性が向上するというものである。
【0039】
また、第2実施例の自転車200は、さらに、後輪軸261からクランク軸239までの距離RC2と、前輪軸251からクランク軸239までの距離FC2と、を1対1としたものである。このような比率にすることで前輪250および後輪260にかかる重量のバランスが良くなり、低速においてのふらつくことを可及的に軽減することができる。なお自転車10及び自転車200は、いわゆる電動アシスト付自転車も含まれるものである。この電動アシスト付自転車は、道路交通法第二条第一項第十一号の二の内閣府令で定める基準に基づくものであり、速度に応じて、ペダルを漕ぐ力を補助するものである一方で時速24キロメートルを超えるとその補助する力はゼロとなるという自転車である。このように、自転車10及び自転車200は、いわゆる電動アシスト付自転車とすることで、ペダル238の上死点と下死点の通過がスムーズとなるとともに、よりペダル238の踏力を少なくすることができ、さらに、走行安定性が向上するというものである
【符号の説明】
【0040】
10 自転車
20 フレーム
21 ヘッドパイプ
22 前フォーク
23 ハンドルポスト
24 ハンドル
30 メインパイプ
31 シートチューブ
32 シートピラー
33 サドル
33a サドルの中心部
34 ハンガー部
35 クランク
38 ペダル
38a ペダル軸部
40 バックホーク
41 チェーンステー
50 前輪
51 前輪軸
60 後輪
61 後輪軸
70 背もたれ部