(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025467
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】アニメーション制作システム
(51)【国際特許分類】
G06T 13/40 20110101AFI20220203BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20220203BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20220203BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220203BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20220203BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20220203BHJP
A63F 13/428 20140101ALI20220203BHJP
【FI】
G06T13/40
G06F3/0346 421
G06F3/038 310A
G06F3/01 510
G06F3/0481 150
A63F13/55
A63F13/428
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128300
(22)【出願日】2020-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】520282753
【氏名又は名称】株式会社AniCast RM
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 義仁
(72)【発明者】
【氏名】室橋 雅人
【テーマコード(参考)】
5B050
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA08
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA13
5B050EA18
5B050EA24
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5B087AA07
5B087BC05
5B087CC01
5B087DD03
5E555AA27
5E555AA76
5E555BA01
5E555BA87
5E555BB01
5E555BC04
5E555BE16
5E555CA21
5E555CA31
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB20
5E555CB65
5E555CB66
5E555CC01
5E555DA08
5E555DB57
5E555DC43
5E555DD11
5E555EA07
5E555EA08
5E555EA09
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想空間内でアニメーションを撮影することができるようにする。
【解決手段】アニメーション制作システムは、仮想空間内に配置される仮想的なカメラと、ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、前記入力に応じて前記仮想空間内に配置されたキャラクタを操作するキャラクタ制御部と、前記ユーザの視線を取得する視線取得部と、前記視線に応じて、前記ユーザの操作対象となる前記キャラクタを切り替える操作対象切替部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内に配置される仮想的なカメラと、
ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、
前記入力に応じて前記仮想空間内に配置されたキャラクタを操作するキャラクタ制御部と、
前記ユーザの視線を取得する視線取得部と、
前記視線に応じて、前記ユーザの操作対象となる前記キャラクタを切り替える操作対象切替部と、
を備えることを特徴とするアニメーション制作システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記操作対象切替部は、前記視線が所定時間以上重なった前記キャラクタに前記操作対象を切り替えること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記視線取得部は前記ユーザの両目の前記視線を取得し、
前記視線に基づいて前記ユーザの注視点を決定する注視点取得部をさらに備え、
前記操作対象切替部は、前記注視点が所定時間以上重なった前記キャラクタに前記操作対象を切り替えること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニメーション制作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内に仮想カメラを配置することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想空間内でアニメーションを撮影しようとする取り組みが行われてこなかった。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、仮想空間内でアニメーションを撮影することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、アニメーション制作システムであって、仮想空間内に配置される仮想的なカメラと、ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、前記入力に応じて前記仮想空間内に配置されたキャラクタを操作するキャラクタ制御部と、前記ユーザの視線を取得する視線取得部と、前記視線に応じて、前記ユーザの操作対象となる前記キャラクタを切り替える操作対象切替部と、を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、仮想空間内でアニメーションを撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のアニメーション制作システム300においてユーザが装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)に表示される仮想空間の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の全体構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るHMD110の外観を模式的に示す図である。
【
図4】本実施形態に係るHMD110の機能構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るコントローラ210の外観を模式的に示す図である。
【
図6】本実施形態に係るコントローラ210の機能構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る画像生成装置310の機能構成図を示す図である。
【
図8】本実施形態のアニメーション制作システム300におけるカメラ3の操作を説明する図である。
【
図9】本実施形態のアニメーション制作システム300における憑依対象切替部480の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
仮想空間内に配置される仮想的なカメラと、
ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイおよびコントローラの少なくともいずれかから前記ユーザの入力を検出するユーザ入力検出部と、
前記入力に応じて前記仮想空間内に配置されたキャラクタを操作するキャラクタ制御部と、
前記ユーザの視線を取得する視線取得部と、
前記視線に応じて、前記ユーザの操作対象となる前記キャラクタを切り替える操作対象切替部と、
を備えることを特徴とするアニメーション制作システム。
[項目2]
項目1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記操作対象切替部は、前記視線が所定時間以上重なった前記キャラクタに前記操作対象を切り替えること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
[項目3]
項目1に記載のアニメーション制作システムであって、
前記視線取得部は前記ユーザの両目の前記視線を取得し、
前記視線に基づいて前記ユーザの注視点を決定する注視点取得部をさらに備え、
前記操作対象切替部は、前記注視点が所定時間以上重なった前記キャラクタに前記操作対象を切り替えること、
を特徴とするアニメーション制作システム。
【0012】
本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
<概要>
図1は、本実施形態のアニメーション制作システム300においてユーザが装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD)に表示される仮想空間の一例を示す図である。本実施形態のアニメーション制作システム300は、仮想空間1に仮想的なキャラクタ4と仮想的なカメラ3とを配置し、カメラ3を用いてキャラクタ4を撮影することによりアニメーションを制作しようとするものである。
【0014】
仮想空間1にはカメラマン2(撮影者キャラクタ)が配置され、カメラマン2によりカメラ3が仮想的に操作される。本実施形態のアニメーション制作システム300では、ユーザは、
図1に示すように仮想空間1をTPV(Third Person View;三人称視点)で俯瞰しながらキャラクタ4やカメラ3を配置したり、カメラマン2としてFPV(First Person View;一人称視点)でキャラクタ4を撮影したり、FPVでキャラクタ4の演技を行ったりしながら、アニメーションを制作していく。仮想空間1内には複数のキャラクタ4(
図1の例では、キャラクタ4-1およびキャラクタ4-2)を配置することができ、ユーザは、選択したキャラクタ4に憑依しながら(操作対象を設定して)演技を行うことができる。複数のキャラクタ4が配置されている場合、ユーザは、憑依する対象(操作対象)をキャラクタ4(たとえば、キャラクタ4-1および4-2)のいずれかに切り替えることができる。
【0015】
このように、本実施形態のアニメーション制作システム300では、一人が何役もの役割(ロール)を果たすことができる。また、カメラマン2としてカメラ2を仮想的に操作しながら撮影を行うことができるので、自然なカメラワークを実現することが可能となり、撮影される動画の表現を豊かにすることができる。
【0016】
<全体構成>
図2は、本発明の一実施形態に係るアニメーション制作システム300の全体構成例を示す図である。アニメーション制作システム300は、例えば、HMD110、コントローラ210及びホストコンピュータとして機能する画像生成装置310を含んで構成することができる。アニメーション制作システム300には、HMD110やコントローラ210の位置、向き及び傾き等を検出するための赤外線カメラ(図示せず)等を追加することもできる。これらの装置は、相互に、有線又は無線手段により接続することができる。例えば、各々の装置にUSBポートを備え、ケーブルで接続することで通信を確立することもできるし、他に、HDMI、有線LAN、赤外線、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)等の有線又は無線により通信を確立することもできる。画像生成装置310は、PC、ゲーム機、携帯通信端末等、計算処理機能を有する装置であればよい。
【0017】
<HMD110>
図3は、本実施形態に係るHMD110の外観を模式的に示す図である。
図4は、本実施形態に係るHMD110の機能構成例を示す図である。
【0018】
HMD110はユーザの頭部に装着され、ユーザの左右の眼前に配置されるよう表示パネル120を備える。表示パネル120としては、光学透過型と非透過型のディスプレイが考えられるが、本実施形態では、より没入感を提供可能な非透過型の表示パネルを例示する。表示パネル120には、左目用画像と右目用画像とが表示され、両目の視差を利用することにより立体感のある画像をユーザに提供することができる。左目用画像と右目用画像とを表示することができれば、左目用ディスプレイと右目用ディスプレイとを個別に備えることも可能であるし、左目用及び右目用の一体型のディスプレイを備えることも可能である。
【0019】
HMD110の筐体部130は、センサ140を備える。センサ140は、ユーザの頭部の向きや傾きといった動きを検出するために、図示しないが、例えば、磁気センサ、加速度センサ、もしくはジャイロセンサのいずれか、またはこれらの組み合わせを備えることができる。ユーザの頭部の垂直方向をY軸とし、Y軸と直交する軸のうち、表示パネル120の中心とユーザとを結ぶ、ユーザの前後方向に相当する軸をZ軸とし、Y軸及びZ軸と直交し、ユーザの左右方向に相当する軸をX軸とするとき、センサ140は、X軸まわりの回転角(いわゆる、ピッチ角)、Y軸まわりの回転角(いわゆる、ヨー角)、Z軸まわりの回転角(いわゆる、ロール角)を検出することができる。
【0020】
センサ140に代えて、またはセンサ140に加えて、HMD110の筐体部130は、複数の光源150(例えば、赤外光LED、可視光LED)を備えることもできる。HMD110の外部(例えば、室内等)に設置されたカメラ(例えば、赤外光カメラ、可視光カメラ)がこれらの光源を検出することで、特定の空間におけるHMD110の位置、向き、傾きを検出することができる。または、同じ目的で、HMD110に、HMD110の筐体部130に設置された光源を検出するためのカメラを備えることもできる。
【0021】
HMD110の筐体部130は、アイトラッキング・センサを備えることもできる。アイトラッキング・センサは、ユーザの左目及び右目の視線方向及び注視点を検出するために用いられる。アイトラッキング・センサとしては様々な方式が考えられるが、例えば、左目および右目に弱い赤外光を照射してできる角膜上の反射光の位置を基準点とし、反射光の位置に対する瞳孔の位置により視線方向を検出し、左目及び右目の視線方向の交点を注視点として検出する方法などが考えられる。
【0022】
<コントローラ210>
図5は、本実施形態に係るコントローラ210の外観を模式的に示す図である。
図6は、本実施形態に係るコントローラ210の機能構成例を示す図である。
【0023】
コントローラ210により、仮想空間内において、ユーザが所定の入力を行うことをサポートすることができる。コントローラ210は、左手用220及び右手用230のコントローラのセットとして構成することができる。左手用コントローラ220及び右手用コントローラ230は、各々操作用トリガーボタン240、赤外線LED250、センサ260、ジョイスティック270、メニューボタン280を有することができる。
【0024】
操作用トリガーボタン240は、コントローラ210のグリップ235を把持したときに、中指及び人差し指でトリガーを引くような操作を行うことを想定した位置に240a、240bとして配置される。コントローラ210の両側面から下方にリング状に形成されるフレーム245には、複数の赤外線LED250が備えられ、コントローラ外部に備えられるカメラ(図示せず)により、これらの赤外線LEDの位置を検出することで、特定の空間におけるコントローラ210の位置、向き及び傾きを検出することができる。
【0025】
また、コントローラ210は、コントローラ210の向きや傾きといった動きを検出するために、センサ260を内蔵することができる。センサ260として、図示しないが、例えば、磁気センサ、加速度センサ、もしくはジャイロセンサのいずれか、またはこれらの組み合わせを備えることができる。さらに、コントローラ210の上面には、ジョイスティック270及びメニューボタン280を備えることができる。ジョイスティック270は、基準点を中心に360度方向に動かすことができ、コントローラ210のグリップ235を把持したときに、親指で操作されることが想定される。メニューボタン280もまた同様に、親指で操作されることが想定される。さらに、コントローラ210は、コントローラ210を操作するユーザの手に振動を与えるためのバイブレータ(図示せず)を内蔵することもできる。ボタンやジョイスティックを介したユーザの入力内容やセンサ等を介したコントローラ210の位置、向き及び傾きといった情報を出力するため、また、ホストコンピュータからの情報を受信するために、コントローラ210は、入出力部及び通信部を有する。
【0026】
ユーザがコントローラ210を把持し、各種ボタンやジョイスティックを操作することの有無、及び赤外線LEDやセンサにより検出される情報によって、システムはユーザの手の動きや姿勢を決定し、仮想空間内において擬似的にユーザの手を表示させ、動作させることができる。
【0027】
<画像生成装置310>
図7は、本実施形態にかかる画像生成装置310の機能構成図を示す図である。画像生成装置310としては、HMD110やコントローラ210から送信された、ユーザ入力情報やセンサ等により取得されたユーザの頭部動きやコントローラの動きや操作に関する情報を記憶し、所定の計算処理を行い、画像を生成するための機能を有する、PC、ゲーム機及び携帯通信端末等といった装置を使用することができる。画像生成装置310は、例えば、HMD110やコントローラ210等の周辺装置との有線による接続を確立するための入出力部320を備えることができ、赤外線、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等無線による接続を確立するための通信部330を備えることができる。入出力部320及び/又は通信部330を介して、HMD110及び/又はコントローラ210から受信された、ユーザの頭部の動きやコントローラの動きや操作に関する情報は、制御部340において、ユーザの位置、視線、姿勢等の動作、発話、操作等を含めた入力内容として検出され、ユーザの入力内容に応じて、記憶部350に格納された制御プログラムを実行することで、キャラクタ4の制御を行い、画像を生成するといった処理がなされる。制御部340は、CPUで構成することもできるが、画像処理に特化したGPUをさらに設けることで、情報処理と画像処理を分散化し、全体の処理の効率化を図ることもできる。画像生成装置310はまた、他の計算処理装置と通信を行い、他の計算処理装置に情報処理や画像処理を分担させることもできる。
【0028】
制御部340は、HMD110及び/又はコントローラ210から受信された、ユーザの頭部の動きやユーザの発話、また、コントローラの動きや操作に関する情報を検出するユーザ入力検出部410と、予め記憶部350のキャラクタデータ格納部450に格納されたキャラクタ4に対して、制御プログラム格納部460に格納された制御プログラムを実行するキャラクタ制御部420と、キャラクタ制御に応じて、仮想空間1に配置された仮想的なカメラ3の制御を行うカメラ制御部440と、憑依対象(操作対象)を切り替える憑依対象切替部480と、キャラクタ制御に基づいてカメラ3が仮想空間1を撮影した画像を生成する画像生成部430とを有する。ここでキャラクタ4やカメラマン2の動きの制御については、HMD110やコントローラ210を介して検出されたユーザ頭部の向きや傾き、手の動きといった情報を、人間の身体の関節の動きや制約に則って作成されたボーン構造の各部の動きに変換し、予め格納されたキャラクタデータに対して、ボーン構造を関連付けることで、ボーン構造の動きを適用させることで実現される。カメラ3の制御は、たとえば、キャラクタ4の手の動きに応じて、カメラ3についての各種設定(たとえば、カメラ3の仮想空間1内での位置、カメラ3の撮影方向、焦点位置、ズームなど)を変更することにより行われる。
【0029】
記憶部350は、上述のキャラクタデータ格納部450に、キャラクタ4のイメージデータのほか、キャラクタ4の属性等キャラクタ4に関連する情報を格納する。また、制御プログラム格納部460は、仮想空間におけるキャラクタ4の動作や表情を制御し、カメラ3などのオブジェクトを制御するためのプログラムを格納する。画像データ格納部470は、画像生成部430で生成された画像を格納する。
【0030】
<カメラ操作>
図8は、本実施形態に係るアニメーション制作システム300におけるカメラマン2によるカメラ3の操作を説明する図である。
図8では、ユーザの憑依対象(操作対象)がカメラマン2に設定されていることを想定している。
【0031】
カメラ3には両側にそれぞれハンドル510が設けられる。キャラクタ制御部420(カメラ制御部440でもよい。以下同じ。)は、コントローラ210からの入力に応じてカメラマン2の手21の動きを制御する。たとえば、コントローラ210の姿勢に応じて手21の姿勢を制御し、トリガーボタン240の押下に応じて手21の握り動作を制御する。カメラ制御部440は、ユーザの手21がハンドル510を把持している場合には、手21の動きに応じてカメラ3の位置や姿勢(撮影方向)、焦点位置などを変更する。カメラ3の位置や姿勢、焦点位置などに応じて表示部510に表示される画像が変化する。すなわち、仮想空間1において、ユーザはコントローラ210の操作によりカメラ3のカメラワークを実現することができる。ユーザは両手でカメラ3を操作することができるので、実物のプロ用カメラと同様のカメラワーク操作を行うことができる。また、カメラ制御部440は、ユーザが憑依したカメラマン2による仮想的なカメラ3の操作に係る揺れを抑えるように、いわゆる手ぶれ補正処理を行うことができる。カメラ制御部440は、たとえば、カメラ3の画角(撮影領域)に入る画像をバッファに記録し、記録した時点以降に撮影した(画角に入った)画像とを比較して移動量を算出し、あるいは、操作によるカメラ3の姿勢(撮影方向)の変化を検出して姿勢の変化に応じた撮影領域の移動量を算出し、算出した移動量に応じて画角(撮影領域)をずらすことで手ぶれ補正を行うようにすることができる。
【0032】
カメラ3には表示部520が設けられる。表示部520には、カメラ3が仮想空間1において撮影している画像が表示される。ユーザは、表示部520に表示されている画像を確認しながらカメラ3を操作することができる。すなわち、カメラマン2は、現実のカメラワークをそのままに仮想空間1においてカメラ3を操作することが可能となる。また、表示部520の近傍には録画ボタン550が配置され、録画ボタン550が押下されると、画像生成部430は、カメラ3が撮影している画像を動画として画像データ格納部470に記録していき、再度録画ボタン550が押下されると、画像生成部430による録画は終了する。
【0033】
また、カメラ3には、スライダ540が配置される。ユーザは、手21を動かしてスライダ540を把持し、レール530に沿ってスライダ540を動かすことができる。本実施形態では、レース530は、カメラ3と撮影対象(たとえばキャラクタ4)との間に設けられ、前後方向(カメラ3の撮影方向に平行な、カメラ3の撮影方向を前とする方向)に平行に延在している。カメラ制御部440は、スライダ540の動きに応じて、カメラ3のズームを調整することができる。たとえば、カメラ制御部440は、スライダ540がより撮影対象に近くなるように(カメラ3の撮影方向に)移動された場合には、カメラ3のズームの拡大率を大きくし、スライダ540がカメラ3に近くなるように(カメラ3の撮影方向と反対方向に)移動された場合には、カメラ3のズームの拡大率を小さくすることができる。なお、スライダ540が動く方向(レール530の長手方向)は、カメラの撮影方向と平行でなくてもよく、たとえば、上下方向や左右方向であってもよい。また、スライダ540は直線動作に代えて、回転動作や螺旋動作であってもよい。
【0034】
カメラ3のズームは、ユーザによるスライダ540の手動操作に応じて行うこと以外にも、例えば、一定速度でズームが変化するように自動的にズームを変更するようにすることもできる。この場合、制御部340は、カメラ3の自動制御部を備えるようにすることができる。自動制御部は、例えば、開始時のズームと終了時のズームと時間との指定を受け付けて、ユーザからの開始指示に応じて、指定された時間をかけて、開始時のズームから終了時のズームまでズーム率を変化(ズームイン又はズームアウト)させるようにすることができる。また、自動制御部は、例えば、外部のデバイス(例えば、コントローラ210のスイッチやキーボードなどであってもよい。)が押下されている間、事前に設定された度合でズームイン又はズームアウトを行うようにしてもよい。
【0035】
同様に、自動制御部は、カメラ3のパン、チルト、トラック又はドリーを行うようにすることもできる。すなわち、自動的に又は外部デバイスが押下されている間、カメラ3を左右方向に回転し(パン)、上下方向に回転し(チルト)、カメラ3を並行移動させ(トラック)、とくにカメラ3を被写体(キャラクタ4)に向けて並行移動させる(ドリー)ようにすることができる。
【0036】
また、カメラ3には、手ぶれ補正機能を仮想的に設けることができる。手ぶれ補正機能は、例えば、カメラ3に仮想的なスタビライザーを設けるようにしてもよいし、カメラ3が撮影した画像を解析して、例えば、画像の手ぶれ方向及びブレ度合を取得し、取得した方向及び度合で画像をシフトさせることで補正効果を得るようにすることもできる。
【0037】
<動作>
図9は、本実施形態のアニメーション制作システム300における憑依対象切替部480の動作を説明する図である。
【0038】
憑依対象切替部480は、憑依対象(操作対象)となるキャラクタ4の選択を受け付ける(S601)。キャラクタ4の選択は、
図1に示されるように仮想空間1を俯瞰した状態において、たとえば、ユーザの指21の動きでキャラクタ4を示し、指21がキャラクタ4を示した状態で、トリガーボタン240が引かれた場合に、憑依対象切替部480は、指21が示しているキャラクタ4が選択されたと判定することができる。憑依対象切替部480は、キャラクタ4が選択されると、選択されたキャラクタ4をユーザからの憑依対象として設定する(S602)。
【0039】
図1のように仮想空間1が俯瞰されている場合には(S603:YES)、ユーザのコントローラ210やHMD110の操作はキャラクタ4の動作には反映されず、仮想空間1における2次元または3次元の各種のオブジェクト操作が行われる(S604)。仮想空間1におけるオブジェクトの操作には、たとえば、新しいキャラクタ4を配置したり、キャラクタ4の位置を変更したり、憑依対象となるキャラクタ4を選択したり、新しいカメラ3を配置したり、カメラ3の位置や撮影方向を変更したり、新しい背景画像を配置したり、背景画像の位置や大きさを変更したり、新しい光源(不図示)を配置したり、光源の位置を移動したり、新しい風源(不図示)を配置したり、風源の位置を変更したり、風源からの風の吹き出し方向を変更したり、風源からの風の吹き出しの開始または終了のためのスイッチのオンオフを行ったり、キャラクタ4にテクスチャを設定したり、キャラクタ4にアクセサリを付けたりすることが含まれる。
【0040】
一方、俯瞰モードになっていない場合には(S603:NO)、ユーザが憑依している対象を操作する(S605)。たとえば、キャラクタ4に憑依している場合には、キャラクタ制御部420は、ユーザのコントローラ210やHMD110の操作に応じてキャラクタ4の動作を制御する(S605)。なお、キャラクタ4を操作することにより、キャラクタ4の手で各種の2次元または3次元のオブジェクトを掴んで動かしたり、アクセサリを装着したりすることができる。また、背景画像など、特定のオブジェクト(ユーザが指定することができる。)については、キャラクタ4の憑依中にキャラクタ4が掴んで動かせないようにすることができる。これにより、たとえば、キャラクタ4の演技中に背景を誤って掴んで動かしてしまうようなことを予防することができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のアニメーション制作システム300によれば、仮想空間1内においてユーザがカメラマン2としてカメラ3を操作して、動画を撮影することができる。したがって、現実世界と同様にカメラ3を操作して撮影を行うことができるので、自然なカメラワークを実現することが可能となり、アニメーション動画により豊かな表現を与えることができる。
【0042】
また、本実施形態のアニメーション制作システム300によれば、仮想空間1内において憑依対象となるキャラクタ4を切り替えながらキャラクタ4の演技を順次行うことができる。したがって、効率的にアニメーションの撮影を行うことができる。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0044】
たとえば、本実施形態では、画像生成装置310は1台のコンピュータであるものとしたが、これに限らず、HMD110またはコントローラ210に画像生成装置310の全部または一部の機能を備えるようにしてもよい。また、画像生成装置310と通信可能に接続する他のコンピュータに画像生成装置310の一部の機能を備えるようにすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、仮想現実(VR;Virtual Reality)による仮想空間を想定していたが、これに限らず、拡張現実(AR;Augumented Reality)空間あるいは複合現実(MR;Mixed Reality)空間であっても本実施形態のアニメーション制作システム300はそのまま適用可能である。
【0046】
また、本実施形態では、仮想空間1を俯瞰しているモードと、キャラクタ4を操作しているモードとの切替処理についての説明を省略したが、これらのモードの切替は任意の手法により実現することができる。たとえば、仮想空間1中にモードを切り替えるボタンを配置し、コントローラ210の操作に応じてボタンのタップやボタンの選択などによりモードを切り替えることができる。また、たとえば、コントローラ210のトリガーボタン240やメニューボタン280の押下とコントローラ210のモーションとに応じてモードを切り替えるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、キャラクタ4の選択は、仮想空間1を俯瞰しているモードにおいてユーザが指21を動かすことで行うものとしたが、これに限らず、キャラクタ4が選択される方法であれば任意の方法を採用することができる。
【0048】
また、キャラクタ4を操作しているモード(演技モード)であっても、ユーザは、キャラクタ4の操作中に他のキャラクタ4を選択し、操作対象のキャラクタ4を切り替えるようにすることもできる。たとえば、ユーザは、コントローラ210のジョイスティック270やメニューボタン280の操作により、憑依対象となるキャラクタ4を選択するようにしてもよいし、操作中のキャラクタ4の一人称視点において視界の焦点位置に配置されているキャラクタ4を憑依対象のキャラクタ4として判定するようにすることもできる。また、キャラクタ4の操作中に、キャラクタ4の手や指を用いて憑依の切り替え先となるキャラクタ4やカメラマン2(カメラ3)を選択するようにすることもできる。また、たとえば、レーザービーム状などの形状のポインタをコントローラ210で操作して切り替え先のキャラクタ4やカメラマン2(カメラ3)を選択するようにすることもできる。また、上記のような切替対象の選択をした後、コントローラ210による所定の操作、またはHMD110もしくはコントローラ210が検出可能なユーザの身体部位に動作に応じて、実際の切り替えを行うようにすることができる。
【0049】
また、HMD110がユーザの視線を検出する視線検出部を備える場合に、憑依対象切替部480は、ユーザの視線と重なるキャラクタ4を憑依対象の候補として決定し、憑依対象の候補のキャラクタ4にユーザの視線が所定時間以上重なっていたとき、当該キャラクタ4に憑依対象を切り替えることができる。また、HMD110がユーザの注視点を検出する注視点検出部を備える場合に、憑依対象切替部480は、注視点が重なるキャラクタ4を憑依対象の候補として決定し、憑依対象の候補のキャラクタ4にユーザの注視点が所定時間以上重なっていたとき、当該キャラクタ4に憑依対象を切り替えることができる。注視点は、例えば、ユーザの両目の視線の交点を求めることで決定することができる。
【0050】
また、カメラ3を操作しているモードであっても、ユーザは、カメラ3の操作中にキャラクタ4を選択し、操作対象のキャラクタ4を切り替えるようにすることもできる。たとえば、ユーザは、コントローラ210のジョイスティック270やメニューボタン280の操作により、憑依対象となるキャラクタ4を選択するようにしてもよいし、操作中のカメラマン2の一人称視点において視界の焦点位置に配置されているキャラクタ4を憑依対象のキャラクタ4として判定するようにすることもできる。また、カメラマン2の操作中に、カメラマン2の手や指を用いて憑依の切り替え先となるキャラクタ4やカメラマン2(カメラ3)を選択するようにすることもできる。
【0051】
また、本実施形態では、動作モードは俯瞰モードであるか否か(S603)の2択であったが、アクションデータに基づいて最終的なアニメーション動画を作成するレンダリングモードを設けてもよい。
【0052】
また、本実施形態ではカメラ3は1台のみ表示したが、複数のカメラ3を仮想空間1内に配置してよい。この場合において、複数のカメラ3を切り返すスイッチャーを設けることができる。スイッチャーは、例えば、仮想空間1内に配置されるボタンなどの仮想デバイスであってよい。ユーザがボタンを操作することによりカメラ3を切替ながら撮影を行うことができる。例えば、ユーザはキャラクタ4に憑依して演技を行い、このキャラクタ4の動作を記録しておき、キャラクタ4の動作を再生させて、カメラ3を操作しながら、又は、俯瞰モードにおいてカメラ3を切り替えながら、キャラクタ4の動作を撮影することができる。カメラ3を切り替えるとは、最終的に生成される動画に含める映像を、あるカメラ3の映像から他のカメラ3の映像に変更することをいう。
【0053】
また、スイッチャーは、自動的にカメラ3を切り替える機能部として設けることができる。この場合、スイッチャーは、例えば、BGMなど動画中に再生される音楽の音やリズムに応じてカメラ3を切り替えたり、仮想空間1に配置されたライトの色や光量、投射方向の変化に応じてカメラ3を切り替えることができる。
【0054】
また、複数のカメラ3を仮想空間1内に配置した場合に、カメラごとに設定を変えるようにしてもよい。例えば、カメラ3が撮影した映像にかける色彩、滑らかさ等のエフェクトをカメラ3ごとに変えることができる。また、仮想空間1内に配置したライトによる光の当て方の設定をカメラ3ごとに行い、カメラ3が切り替わることに応じて、光の当て方を変更するようにライトを制御することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 仮想空間
2 カメラマン
3 カメラ
4 キャラクタ
110 HMD
120 表示パネル
130 筐体部
140 センサ
150 光源
210 コントローラ
220 左手用コントローラ
230 右手用コントローラ
235 グリップ
240 トリガーボタン
250 赤外線LED
260 センサ
270 ジョイスティック
280 メニューボタン
300 アニメーション制作システム
310 画像生成装置
320 入出力部
330 通信部
340 制御部
350 記憶部
410 ユーザ入力検出部
420 キャラクタ制御部
430 画像生成部
440 カメラ制御部
450 キャラクタデータ格納部
460 プログラム格納部
470 画像データ格納部
480 憑依対象切替部
510 ハンドル
520 表示部
530 レール
540 スライダ
550 録画ボタン