特開 2022-25547 プランターボックス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022025547

(43)【公開日】2022-02-10

(54)【発明の名称】プランターボックス

(51)【国際特許分類】

   A01G 9/00 20180101AFI20220203BHJP

【ＦＩ】

A01G9/00 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020128438

(22)【出願日】2020-07-29

(71)【出願人】

【識別番号】507241779

【氏名又は名称】株式会社ウイルステージ

(74)【代理人】

【識別番号】100158768

【弁理士】

【氏名又は名称】深見 達也

(72)【発明者】

【氏名】杉本 龍彦

【テーマコード（参考）】

2B327

【Ｆターム（参考）】

2B327NC01

2B327NC22

2B327NC24

2B327ND01

2B327ND20

2B327NE01

(57)【要約】      （修正有）

【課題】鉢からしみ出る水を受ける受け皿を簡便に出し入れすることを可能とし、さらにインテリア性を併せ持つプランターボックスを提供する。
【解決手段】プランターボックスは、鉢植え植物と、この鉢植え植物の鉢の底面直下に離間して設置される水受けを囲うプランターボックスであって、鉛直方向に立設する互いに対向する一組の立板１と、一組の立板に篏合して固定された複数の横板２ａ，２ｂとから構成され、複数の横板の内、下段に位置する一組の対向する横板が構成する間隙は、鉢植え植物の鉢の底面径よりも小さく、下段に位置する一組の対向する横板の鉛直方向高さは、水受けが水平に取り出しできる高さであることを特徴とする。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

鉢植え植物と、この鉢植え植物の鉢の底面直下に離間して設置される水受けを囲うプランターボックスであって、
鉛直方向に立設する互いに対向する一組の立板と、
上記一組の立板に篏合して固定された複数の横板と、
から構成され、
上記複数の横板の内、下段に位置する一組の対向する横板が構成する間隙は、上記鉢植え植物の鉢の底面径よりも小さく、
上記下段に位置する一組の対向する横板の鉛直方向高さは、上記水受けが水平に取り出しできる高さである
ことを特徴とするプランターボックス。

【請求項2】

上記対向する一組の立板および複数の横板は木材である
ことを特徴とする請求項1に記載のプランターボックス。

【請求項3】

蓋部をさらに有し、
この蓋部は、上記一組の立板の最上部および最下部に篏合して固定できる
ことを特徴とする請求項1または２に記載のプランターボックス。

【請求項4】

上記下段に位置する一組の対向する横板、または／および、上記蓋部に鉢を置くための凹部を設けた
ことを特徴とする請求項３に記載のプランターボックス。

【請求項5】

請求項１または２に記載のプランターボックスを構成する
上記対向する一組の立板と、
上記一組の立板に篏合して固定可能な複数の横板と、
を備えたプランターボックスの組み立てキット。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は鉢植えの植物を囲い、根腐れを防止するためのプランターボックスに関する発明である。

【背景技術】

【0002】

観葉植物のような主に室内で育てる鉢植えの植物は、鉢の下に受け皿をおいて水を受けるのが一般的である。水やり後に受け皿にしみだした水は、植物が根腐れを起こさないように素早く捨てる。しかし、鉢を持ち上げて受け皿を取ったり、戻したりすることが必要になる。

【0003】

根腐れを防止するための植物育成容器も提案されている。例えば、植物を育成する凹形状の容器２と、この容器２の上端５から下方に延在させた垂下部２０とを備え、垂下部２０は容器の外面９から離れて位置するとともに容器の外面９を略覆い、容器２はその外面９に開口する孔１１を有することで、植物の根腐れを防止できる（例えば、特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００１―３４００２８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

特許文献１に記載された植物育成容器は、余分な水の排水を効率的に行うことで、植物の根腐れを防止できる。
しかし、室内で育てる場合、排水を受けるための受け皿は必要であり、やはり植物育成を持ち上げて受け皿を取ったり、入れたりする必要がある。

【0006】

もう一つ重要な問題は、デザイン性である。観葉植物のような室内において育てる植物は、インテリアとして設置される。したがって、外観を十分に考慮する必要がある。

【0007】

本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、鉢からしみ出る水を受ける受け皿を簡便に出し入れすることを可能とし、さらにインテリア性を併せ持つプランターボックスを提供するものである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明に係るプランターボックスは、
鉢植え植物と、この鉢植え植物の鉢の底面直下に離間して設置される水受けを囲うプランターボックスであって、
鉛直方向に立設する互いに対向する一組の立板と、
上記一組の立板に篏合して固定された複数の横板と、
から構成され、
上記複数の横板の内、下段に位置する一組の対向する横板が構成する間隙は、上記鉢植え植物の鉢の底面径よりも小さく、
上記下段に位置する一組の対向する横板の鉛直方向高さは、上記水受けが水平に取り出しできる高さである
ことを特徴とするプランターボックスである。

【発明の効果】

【0009】

本発明のプランターボックスは上記のように構成されているため、鉢を浮かして、その直下に離間して水受け（水の受け皿）を置くことができる。そのため、鉢に余分な水がたまらず、且つ、水受けと鉢が離れてているため、十分な通気性が確保できる。したがって、水受けに貯まった水をすぐに捨てない場合でも、植物の根腐れを防止できる。
また、鉢を持ち上げることなく、水受けを取り出して、簡便に水を捨てることができる。同様に、鉢を持ち上げることなく、水受けを鉢の下に戻すことができる。

【0010】

さらに、プランターボックスはすべて板材で構成されているため、省スペースで梱包可能であり、輸送コストおよび倉庫保管コストを低減できる。
また、板材を嵌め合うだけで組み立てることができる。釘やネジ、工具が不要であり、部品コストの低減や組み立ての迅速化を図れる。

【0011】

さらに、底板を設けると、板組の強固さが増す。重い鉢植えを置いても、板材の反りや板組の緩み等が生じにくくなる。また、水受けを底板上に乗せているため、掃除の際等に、プランターボックスを持って水受けも一緒に動かすことができるといったメリットもある。
植物が枯れた後には、底板を上に設置して椅子や物入として、他用途の活用も可能である。

【0012】

以上の述べたように、本発明には数多くの優れた点があるが、もう一つ重要な問題は、デザイン性である。観葉植物のような室内において育てる植物は、インテリアとして設置される。したがって、外観を最大限に考慮する必要がある。
デザイン性という観点から、本発明を見直してみる。まず、本発明の主要な機能は、鉢を床面から受けして設置し、鉢底から離間して水受けを置けることである。しかし、この状況は外観として決して好ましいものではない。水が溜まった水受けが鉢の下に見えるという状況は視覚的に違和感があり、不安定性や、場合によっては不潔なイメージさえ与える。水受けの中に虫がいたり、藻が浮いていたりする状況も想定されるからである。

【0013】

本発明においては、このような状況は外観としてほとんど見えない。そして、板材のみで格子状に構成されたプランターボックスは、デザイン的に斬新で、また、板間から見える鉢とのデザイン的協調も楽しむことができる。
特に、板材として木材を用いると、高級感が得られ、植物とも調和するため、高いインテリア性が得られる。

【0014】

このように、本発明は、鉢植え植物を楽しむ人々にとって重要な４つの要素を併せ持っている。植物の健全な生育、メンテナンスに関する利便性、コスト、デザインという４つの重要な要素を兼ね備えている。プランタースタンド、プランターカバー等の従来品とは異なる新たな範疇の植物飼育のアイテムになる。具体的には以下のとおりである。
第一は、植物の健全性の維持である。根腐れしないため、元気で活き活きとした植物を長く楽しむことができる。
第二は、メンテナンスの容易さである。水受けの水を捨てることは頻繁に行う必要があり、非常に手間である。しかし、本発明においては、水受けに水が溜まっても、通気性を保てるため、水受けの水を捨てる頻度が減る。さらに、水受けの出し入れが容易である。大型の鉢植えであっても持ち上げる必要がなく、子供や女性でも簡単に水を捨てることができる。
第三は、コストである。輸送や保管が省スペースで行えるためである。
第四は、もっとも重要なデザイン性である。水受けが見えにくく、自然な外観で設置できる。板組であるため、鉢が見えることも、鉢と板組のデザイン的協調を楽しめるというメリットが生じる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】本発明のプランターボックスの構成品の斜視図である。

【図2】本発明のプランターボックスの完成品の斜視図である。

【図3】本発明のプランターボックスに鉢と水受けを置いた際の（ａ）上面図と（ｂ）と側面図である。

【図4】底板の上面図である。

【図5】本発明のプランターボックスに（ａ）底板を取り付けた際の側面図と、（ｂ）底板を上面に取り付けた際の側面図である。

【図6】本発明の別の形状のプランターボックスの上面図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

本発明のプランターボックスに関して、良好な実施の形態を以下に図を用いて説明する。
なお、本発明は以下に示す実施の形態に限定されるものではなく、同様の発明概念を広範に含むものである。

【0017】

実施の形態
＜構成＞
本発明のプランターボックスの構成部品の斜視図を図１に示す。（ａ）は立板１である。（ｂ）と（ｃ）は横板であり、本発明においては、（ｂ）を単に横板２ａ、（ｃ）を下部横板２ｂと呼ぶ。下部横板２ｂは横板２ａに比べて幅が広い。
本実施の形態においては、一例として、立板１を２枚、横板２ａを６枚、下部横板２ｂを２枚用いて組み立てたプランターボックスについて説明する。

【0018】

図２は上記の構成部品を組み立てたプランターボックス完成品の斜視図、図３はプランターボックスに鉢と水受けを置いた際の（ａ）上面図と（ｂ）と側面図である。
本発明に係るプランターボックスは、鉢植え植物と、この鉢植え植物の鉢の底面直下に離間して設置される水受けを囲うプランターボックスであって、鉛直方向に立設する互いに対向する一組の立板１と、一組の立板１に篏合して固定された複数の横板２ａ、２ｂとから構成され、複数の横板２ａ、２ｂの内、下段に位置する一組の対向する下部横板２ｂが構成する間隙は、鉢植え植物の鉢の底面径よりも小さく、下段に位置する一組の対向する下部横板２ｂの鉛直方向高さは、水受けが水平に取り出しできる高さである。

【0019】

プランターボックスの大きさは、使用する鉢がちょうど入る大きさである。鉢の大きさは直径２４ｃｍ等、数種の決まった大きさがあり、それらにそれぞれ対応する大きさにする。
立板１、横板２ａ、下部横板２ｂの素材は樹脂等でも良いが木材が望ましい。木材の加工方法は、通常の切削機械加工でも良いが、精度の良いレーザー加工を用いても良い。横板２ａの本数は本例においては６本であるが、さらに多くても良いし、少ない本数でも良い。

【0020】

立板１に横板２ａや下部横板２ｂを固定する方法は篏合（はめ込み）であり、本例では、横板２ａや下部横板２ｂがちょうど挿入できる凹部を立板１に形成している。伝統的な日本建築に使われるホゾとホゾ穴を用いた手法等であっても良い。

【0021】

＜使用方法＞
次に、プランターボックスの使用方法について、図２を用いて説明する。
Ａは鉢であり、植えられた植物の記載は省略している。
Ｂは水受けである。鉢Ａに水やりをした際に、鉢Ａの底面に開けた穴からしみ出る水を受ける受け皿である。
なお、図２（ａ）の鉢Ａに示した点線は、鉢Ａの底面の大きさを示している。

【0022】

向かい合う横板２ａ間の間隔は広く、鉢Ａが通過できる。一方、下部横板２ｂ間の幅は狭く、鉢Ａの底面径よりも小さいため、鉢Ａは２枚の下部横板２ｂ上に設置できる。そして、水受けＢを鉢Ａの直下に設置する。鉢Ａに水やりを行うと、鉢Ａの底面に開けられた穴から出る水は、２枚の下部横板２ｂ間の間隙を通って水受けＢに貯まる。

【0023】

水受けＢは、水平に取り出すことができ、水を捨てた後、鉢Ａの直下に戻す。

【0024】

本発明の特徴は、上記のように、鉢Ａと水受けＢとを離間して置くことができることと、水受けＢを水平に取り出し、そして戻せることである。
これらにより、水受けの水を捨てるのをさぼっても植物は根腐れを起こさないし、また、水受けの水を捨てることも容易である。

【0025】

＜実施例１＞
図４に示す底板３をさらに設けても良い。底板３には、立板１と篏合する凹部３０が設けてある。
図５（ａ）が底板３を設けた際の側面図である。水受けＢは底板３に置くことができる。したがって、掃除をする際等にプランターボックスと水受けをそれぞれ移動する必要がなくなるし、デザイン的にも納まりが良い。
さらに、底板を篏合することで、板組の強固さが増す。重い鉢植えを置いても、板材の反りや板組の緩み等が生じにくくなる。
また、中央部に凹部３１を設けることで、水受けを中央付近に置きやすくなる。
なお、このような凹部は、下部横板２ｂにも設けることで、鉢をやはり中央付近に安定しておくことができる。

【0026】

植物が枯れた後には、図５（ｂ）のように、底板を上に設置して椅子や物入として、他用途の活用も可能である。

【0027】

＜実施例２＞
立板は角材ではなく、図６に示すような湾曲した立板４であっても良い。横板５ａや下部横板５ｂも立板４の形状に沿って角部を加工すれば、全体としてコンパクトな囲いにできる。例えば、木目調の表面を持つ樹脂であれば、成形でこのような形状を容易に量産できる。。

【符号の説明】

【0028】

１ 立板
２ａ 横板
２ｂ 下部横板
３ 底板
４ 立板
５ａ 横板
５ｂ 下部横板

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】