(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025562
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電子機器、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20220203BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220203BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220203BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220203BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220203BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/041 610
G06F1/16 312F
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/00 510H
G09G5/36 530Y
G09G5/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128464
(22)【出願日】2020-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一男
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰通
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅春
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AA04
5C182AB02
5C182AB03
5C182AC03
5C182BA06
5C182BA29
5C182BA65
5C182BA66
5C182BA75
5C182BB01
5C182BB13
5C182CA01
5C182DA14
5E555AA04
5E555AA12
5E555BA03
5E555BA04
5E555BB03
5E555BB04
5E555BC07
5E555CA12
5E555CB14
5E555CB16
5E555CB33
5E555CB40
5E555CC01
5E555DA01
5E555DB02
5E555DB20
5E555DC13
5E555DC36
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】複数のタッチスクリーンをより有効に活用すること。
【解決手段】電子機器は、表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部と、第1表示部の画面に対する操作入力を検出する第1検出部と、第2表示部の画面に対する操作入力を検出する第2検出部と、第1検出部により検出された操作入力を第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、第2検出部により検出された操作入力を第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を第1処理及び第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御する機能制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部と、
前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出する第1検出部と、
前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出する第2検出部と、
前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御する機能制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記機能制御部は、
前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力との両方に基づく特定の操作入力に基づいて、前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態から前記第3機能が有効な状態へ遷移させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記機能制御部は、
前記第3機能による処理が終了すると、前記第3機能が有効な状態から前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態へ遷移させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記特定の操作入力は、前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力とのいずれか一方に特定の方向への動きを伴う操作入力が含まれる、
請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定の操作入力は、前記画面上で第1方向へスライドさせるタッチ操作を含み、
前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部の一方又は両方の表示輝度を変更する処理である、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
音を出力する音出力部、をさらに備え、
前記特定の操作入力は、前記画面上で第2方向へスライドさせるタッチ操作を含み、
前記予め設定された処理は、前記音出力部から出力される音量を変更する処理である、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1表示部及び前記第2表示部が表裏の位置関係に配置されている第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、
接続された表示装置へ映像信号を出力する映像出力部と、
をさらに備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが重なりあった閉状態である場合に、前記第1筐体において、前記第2筐体に対面する側に前記第1表示部が配置され、前記第2筐体に対面する側の裏側に前記第2表示部が配置されており、
前記機能制御部は、
前記第1筐体と前記第2筐体とが前記閉状態であることが検出され、且つ前記映像出力部に前記表示装置が接続されたことを条件として前記第3機能を有効にして、前記予め設定された処理に適用し、
前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部ともに非表示にさせるとともに、前記第2検出部により検出された操作入力を前記映像出力部に接続された前記表示装置に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する処理である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部を備える電子機器における制御方法であって、
第1検出部が、前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、
第2検出部が、前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、
機能制御部が、前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのタッチスクリーンを備えたデュアル・スクリーン式の電子機器について開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのタッチスクリーンを備えた電子機器では、通常、一方のタッチスクリーンに対する操作によって当該一方タッチスクリーンに表示されているアイコンやアプリケーションへの操作入力を行うことができ、他方のタッチスクリーンに対する操作によって当該他方のタッチスクリーンに表示されているアイコンやアプリケーションへの操作入力を行うことができる。また、一方のタッチスクリーンが非アクティブ(オフ)になる場合、当該一方のタッチスクリーンに含まれるタッチパネルとディスプレイは連動して非アクティブ(オフ)となり、他方のタッチスクリーンのみアクティブとなる。このように、複数のタッチスクリーンを備えているものの、各々のタッチスクリーン自身のみでの機能に限定されていた。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、複数のタッチスクリーンをより有効に活用する電子機器、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る電子機器は、表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出する第1検出部と、前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出する第2検出部と、前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御する機能制御部と、を備える。
【0007】
上記電子機器において、前記機能制御部は、前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力との両方に基づく特定の操作入力に基づいて、前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態から前記第3機能が有効な状態へ遷移させてもよい。
【0008】
上記電子機器において、前記機能制御部は、前記第3機能による処理が終了すると、前記第3機能が有効な状態から前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態へ遷移させてもよい。
【0009】
上記電子機器において、前記特定の操作入力は、前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力とのいずれか一方に特定の方向への動きを伴う操作入力が含まれてもよい。
【0010】
上記電子機器において、前記特定の操作入力は、前記画面上で第1方向へスライドさせるタッチ操作を含み、前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部の一方又は両方の表示輝度を変更する処理であってもよい。
【0011】
上記電子機器において、音を出力する音出力部、をさらに備え、前記特定の操作入力は、前記画面上で第2方向へスライドさせるタッチ操作を含み、前記予め設定された処理は、前記音出力部から出力される音量を変更する処理であってもよい。
【0012】
上記電子機器において、前記第1表示部及び前記第2表示部が表裏の位置関係に配置されている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、接続された表示装置へ映像信号を出力する映像出力部と、をさらに備え、前記第1筐体と前記第2筐体とが重なりあった閉状態である場合に、前記第1筐体において、前記第2筐体に対面する側に前記第1表示部が配置され、前記第2筐体に対面する側の裏側に前記第2表示部が配置されており、前記機能制御部は、前記第1筐体と前記第2筐体とが前記閉状態であることが検出され、且つ前記映像出力部に前記表示装置が接続されたことを条件として前記第3機能を有効にして、前記予め設定された処理に適用し、前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部ともに非表示にさせるとともに、前記第2検出部により検出された操作入力を前記映像出力部に接続された前記表示装置に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する処理であってもよい。
【0013】
また、本発明の第2態様に係る、表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部を備える電子機器における制御方法は、第1検出部が、前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、第2検出部が、前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、機能制御部が、前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、複数のタッチスクリーンをより有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図。
【
図2】実施形態に係る電子機器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係るMCU130のタッチ機能に関する構成例を示す図。
【
図4】実施形態に係るMode1によるタッチ機能を示す図。
【
図5】実施形態に係るMode2によるタッチ機能を示す図。
【
図6】実施形態に係るMode3によるタッチ機能を示す図。
【
図7】実施形態に係るMode4によるタッチ機能を示す図。
【
図8】実施形態に係るMode5によるタッチ機能を示す図。
【
図9】Mode5における仮想デバイス処理の第1例を示す図。
【
図10】音量調整イベントのトリガ条件の具体例を示す図。
【
図11】Mode5における仮想デバイス処理の第2例を示す図。
【
図12】輝度調整イベントのトリガ条件の具体例を示す図。
【
図13】実施形態に係るMode6によるタッチ機能を示す図。
【
図14】Mode6における仮想デバイス処理の一例を示す図。
【
図15】トラックパッドイベントのトリガ条件の具体例を示す図。
【
図16】実施形態に係るMCUにおけるタッチ機能に関する構成の一例を示す図。
【
図18】Mode2及びMode4における状態遷移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
まず、本実施形態に係る電子機器の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図示する電子機器10は、クラムシェル型(ノート型)のPC(パーソナルコンピュータ)である。電子機器10は、第1筐体11、第2筐体12、及びヒンジ機構13を備えている。第1筐体11及び第2筐体12は、略四角形の板状(例えば、平板状)の筐体である。第1筐体11の側面の一つと第2筐体12の側面の一つとがヒンジ機構13を介して結合(連結)されており、ヒンジ機構13がなす回転軸の周りに第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動可能である。第1筐体11と第2筐体12との回転軸の周りの開き角θが略0°の状態が、第1筐体11と第2筐体12とが重なり合って閉じた状態(「閉状態」と称する)である。閉状態において第1筐体11と第2筐体12との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と称する。開き角θとは、第1筐体11の内面と第2筐体12の内面とがなす角とも言うことができる。閉状態に対して第1筐体11と第2筐体12とが開いた状態のことを「開状態」と称する。開状態とは、開き角θが予め設定された閾値(例えば、10°)より大きくなるまで、第1筐体11と第2筐体12とが相対的に回動された状態である。
【0017】
図1(A)は第1筐体11の内面側が見える方向からの斜視図であり、
図1(B)は第1筐体11の外面側が見える方向からの斜視図である。第1筐体11の内面及び外面のそれぞれには、タッチスクリーンが設けられている。タッチスクリーンは、表示部(ディスプレイ)と表示部の画面に対するタッチ操作(操作入力)を検出するタッチパネルとを含んで構成されている。ここでは、第1筐体11の内面に設けられている符号110が示すタッチスクリーンを第1タッチスクリーン110、第1筐体11の外面に設けられている符号120が示すタッチスクリーンを第2タッチスクリーン120と称する。つまり、第1筐体11には、第1タッチスクリーン110と第2タッチスクリーン120とが表裏の位置関係に配置されている。
【0018】
図2は、本実施形態に係る電子機器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。電子機器10は、通信部101と、RAM(Random Access Memory)102と、Flashメモリ103と、CPU(Central Processing Unit)104と、スピーカ105と、加速度センサ106と、映像出力部107と、第1タッチスクリーン110と、第2タッチスクリーン120と、MCU(Micro Control Unit)130とを備えている。これらの各部は、バスなどを介して通信可能に接続されている。
【0019】
通信部101は、例えば、複数のイーサネット(登録商標)ポートや複数のUSB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信を行う通信デバイス等を含んで構成される。
【0020】
RAM102には、CPU104が演算や制御、処理などを行うプログラムやデータが展開され、適宜、各種データの保存または消去が行われる。また、RAM102は、第1表示部111及び第2表示部121の表示用のビデオメモリ(V-RAM)としても機能する。
【0021】
Flashメモリ103は、Flash-ROM(Resad Only Memory)などの不揮発性メモリである。例えば、Flashメモリ103には、BIOS(Basic Input Output System)のプログラムや設定データ、OS(Operating System)やOS上で動作するアプリケーションのプログラム等が保存されている。
【0022】
CPU104は、BIOS、OS、またはOS上で動作する各種のアプリケーションなどのプログラムを実行することにより、各種の演算及び処理などを行う。例えば、CPU104は、上記プログラムの実行に応じて、RAM102、Flashメモリ103などに対してデータの読み書きや消去などのメモリ制御や、第1表示部111及び第2表示部121に対する表示制御や、映像出力部107に対する出力制御、スピーカ105から出力する音の制御などを行う。なお、CPU104は、GPU(Graphic Processing Unit)など特定の演算及び処理を行なう構成を内部または外部に含んで構成されてもよい。
【0023】
スピーカ105は、電子音や音声などを出力する。加速度センサ106は、電子機器10の向き及び向きの変化を検出する。例えば、加速度センサ106は、第1筐体11及び第2筐体12のそれぞれに設けられてもよい。この場合、電子機器10は、第1筐体11に設けられた加速度センサ106の検出結果と、第2筐体12に設けられた加速度センサ106の検出結果とに基づいて、第1筐体11と第2筐体12とが開状態であるか或いは閉状態であるかを検出したり、開き角θを検出したりしてもよい。
【0024】
映像出力部107は、外付けの表示装置(モニタ、プロジェクタ等)と接続して映像信号を出力するための外部モニタ出力端子を含んで構成されている。例えば、外部モニタ出力端子は、HDMI(登録商標)端子、DVI端子、D-SUB端子、Display Port端子などである。
【0025】
第1タッチスクリーン110は、第1表示部111と、第1タッチパネル112(第1検出部の一例)とを備えている。また、第2タッチスクリーン120は、第2表示部121と、第2タッチパネル122(第2検出部の一例)とを備えている。第1表示部111及び第2表示部121は、液晶ディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を含んで構成されている。第1表示部111及び第2表示部121は、CPU104が実行するBIOS、OS、またはOS上で動作する各種のアプリケーションの処理に応じた画像を表示する。
【0026】
第1タッチパネル112は、第1表示部111の画面に対応する領域へのタッチ操作を検出するタッチセンサを有し、当該画面に対するタッチ操作に応じて当該領域におけるタッチ位置を検出する。第2タッチパネル122は、第2表示部121の表示画面に対応する領域へのタッチ操作を検出するタッチセンサを有し、当該画面に対するタッチ操作に応じて当該領域におけるタッチ位置を検出する。タッチセンサとしては、静電容量方式や抵抗膜方式などの任意の方式のセンサを適用することができる。第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122は、それぞれタッチ操作に応じた検出信号を出力する。
【0027】
MCU130は、演算処理を行なう組み込み用のマイクロコントロールユニット(Micro Control Unit)である。
図3は、本実施形態に係るMCU130のタッチ機能に関する構成例を示す図である。MCU130は、第1タッチパネル112と第2タッチパネル122とに接続され、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122により出力される検出信号を取得する。そして、MCU130は、それぞれのタッチパネルから取得した検出信号に基づいて、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122に対するタッチ操作に基づく操作情報をそれぞれ生成し、システム処理部140へ出力する。システム処理部140は、CPU104がOSやOS上で動作するアプリケーションのプログラムを実行することにより実現される機能構成である。システム処理部140は、OSやOS上で動作するアプリケーションのプログラムの処理に応じた画像を第1表示部111と第2表示部121に表示させる。また、システム処理部140は、MCU130から取得した操作情報に応じた処理を実行する。
【0028】
例えば、MCU130は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する第1機能と、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する第2機能とを有する。操作対象とは、それぞれの表示部の画面において、タッチ操作により特定される箇所に表示されているものである。例えば、それぞれの表示部の画面でデスクトップ上に表示されているアイコンやタスクバー、デスクトップ上のアイコン以外の領域、デスクトップ上に表示されているウインドウなどが操作対象になり得る。これらの操作対象は、OSやアプリケーションのプログラムの実行に応じて表示される。
【0029】
例えば、操作対象がアイコンである場合、そのアイコンがフォルダアイコンであれば、操作対象に関連付けられている処理は、そのフォルダを開く(フォルダの中の情報をウインドウに表示する)処理である。アイコンがアプリケーションのプログラムを実行させるショートカットである場合、操作対象に関連付けられている処理は、そのアプリケーションのプログラムを実行する処理である。また、操作対象がデスクトップ上のアイコン以外の領域である場合、操作対象に関連付けられている処理は、デスクトップ上のアイコンの表示設定やディスプレイ設定などを行うためのメニューを表示する処理である。また、操作対象が実行されたアプリケーションのウインドウ(ウインドウ内のいずれかの箇所)である場合、操作対象に関連付けられている処理は、アプリケーションで規定されている処理である。
【0030】
第1機能では、MCU130は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第1表示部111に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。また、第2機能では、MCU130は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第2表示部121に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。
【0031】
また、MCU130は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との一方または両方に基づくタッチ操作を、第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理及び第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を有する。この予め設定された処理は、例えば、タッチ操作により特定される操作対象に関連付けられている処理とは異なる仮想デバイスとしての処理である。この仮想デバイスの処理について詳しくは後述する。MCU130は、システムモード(システムの動作状態)、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作などに応じて上述の第1機能、第2機能、及び第3機能のいずれか一つ又は複数を用いたタッチ機能を制御する。以下、
図4~15を参照して、Mode1~6の6種類のシステムモードについて説明する。
【0032】
(Mode1)
図4は、本実施形態に係るMode1によるタッチ機能を示す図である。Mode1は、第1表示部111及び第2表示部121の両方がアクティブ(表示オン)となるモードである。Mode1では、MCU130は、第1機能と第2機能の両方を有効にする。例えば、MCU130は、第1タッチパネル112によりタッチ操作が検出されると、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントとして検出し、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する。また、MCU130は、第2タッチパネル122によりタッチ操作が検出されると、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントとして検出し、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する。
【0033】
なお、本図は、MCU130のタッチ機能を模式化して表したものである。各部を繋ぐ線は、信号や情報の流れを示したものではなく、各タッチパネルと、タッチ操作が適用される対象との対応関係を示している。
図5~8及び
図13も同様である。
【0034】
(Mode2)
図5は、本実施形態に係るMode2によるタッチ機能を示す図である。Mode2は、第1表示部111がアクティブ(表示オン)で、第2表示部121が非アクティブ(表示オフ)となるモードである。Mode2では、MCU130は、第1機能を有効にする。例えば、MCU130は、第1タッチパネル112によりタッチ操作が検出されると、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントとして検出し、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する。なお、MCU130は、第2タッチパネル122によりタッチ操作が検出されても、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントとして検出せず、当該タッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用しない。
【0035】
(Mode3)
図6は、本実施形態に係るMode3によるタッチ機能を示す図である。Mode3は、Mode2とは逆に、第1表示部111が非アクティブ(表示オフ)で、第2表示部121がアクティブ(表示オン)となるモードである。Mode3では、MCU130は、第2機能を有効にする。例えば、MCU130は、第2タッチパネル122によりタッチ操作が検出されると、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントとして検出し、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する。なお、MCU130は、第1タッチパネル112によりタッチ操作が検出されても、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントとして検出せず、当該タッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用しない。
【0036】
(Mode4)
図7は、本実施形態に係るMode4によるタッチ機能を示す図である。Mode4は、第1表示部111及び第2表示部121の両方がアクティブ(表示オン)であるが、第1表示部111のみがタッチスクリーンとして機能し、第2表示部121の方はタッチ操作を検出しない表示のみの画面となるモードである。Mode4では、MCU130は、第1機能を有効にする。例えば、MCU130は、第1タッチパネル112によりタッチ操作が検出されると、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントとして検出し、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する。なお、MCU130は、第2タッチパネル122によりタッチ操作が検出されても、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントとして検出せず、当該タッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用しない。
【0037】
(Mode5)
図8は、本実施形態に係るMode5によるタッチ機能を示す図である。Mode5は、第1表示部111及び第2表示部121の両方がアクティブ(表示オン)であるが、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122に対するタッチ操作の両方に基づいて、第1表示部111または第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理とは異なる予め設定された仮想デバイスの処理を実行させるモードである。Mode5では、MCU130は、第3機能を有効にする。例えば、MCU130は、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122によりタッチ操作が検出されると、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントとして検出する。そして、MCU130は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との両方に基づくタッチ操作を、仮想デバイスに対するタッチ操作のイベントに変換して仮想デバイスの処理に適用する。
【0038】
次に、Mode5における仮想デバイスの具体例を説明する。以下では、2つの例を説明する。
(Mode5の第1例)
図9は、Mode5における仮想デバイスの第1例を示す図である。この
図9に示す例は、仮想デバイスが音量ボタン(Virtual Volume Button)である例を示している。ユーザが、第1タッチスクリーン110の画面の一方の端(例えば、第1タッチスクリーン110に向かって右端)の方を親指で、その裏側の第2タッチスクリーン120の画面の対応する端(例えば、第2タッチスクリーン120に向かって左端)の方を人差し指で挟んで握った状態で、この2本の指を画面の垂直方向(図示で縦方向)へ上又は下にスライドさせるタッチ操作(ジェスチャ)を行った場合、仮想デバイス(音量ボタン)に対するタッチ操作のイベント(以下、「音量調整イベント」という)として検出され、音量調整が可能な音量ボタンB11が表示される。これにより、スピーカ105から出力される音量の変更(音量調整)が可能となる。このMode5において音量ボタンB11を表示させる(音量調整を可能にする)ためのタッチ操作(ジェスチャ)のことを、以下では「音量調整ジェスチャ」という。
【0039】
つまり、この音量調整ジェスチャが行われることをトリガ条件として、音量調整イベントとして検出され、音量調整が可能になる。例えば、上方向へスライドさせると音量がアップし、下方向へスライドさせると音量がダウンする。なお、操作に使用する指は、親指と人差し指に限定されるものではなく、第1タッチスクリーン110と第2タッチスクリーン120とを同時に操作可能な指であればいずれの指であっても同様である。
【0040】
図10は、音量調整イベントのトリガ条件の具体例を示す図である。音量調整イベントのトリガ条件は、音量調整ジェスチャであると判定される条件であり、例えば以下の(1)~(3)を満たすことである。
(1)2本の指がそれぞれ第1タッチパネル112と第2タッチパネル122にタッチしている状態でそれぞれの指が垂直方向へスライド。
(2)2本の指のタッチ位置が表裏で対応する所定の範囲内(ほぼ同一の位置)。
(3)2本の指のタッチ位置が画面内の一方の端(例えば、第1タッチパネル112に向かって右端)の所定の範囲内。
【0041】
なお、上記(1)~(3)のうち、(1)及び(2)のみをトリガ条件としてもよい。また、上記(1)~(3)のうち、(1)のみをトリガ条件としてもよい。また、(3)の条件において、画面内の一方の端は、第1タッチパネル112に向かって右端に限定されるものではなく、左端(或いは、上端や下端)などとしてもよい。
【0042】
また、(1)の条件を、2本の指がそれぞれ同時に第1タッチパネル112と第2タッチパネル122のそれぞれにタッチしていて、いずれか一方の指のみが垂直方向へスライドすることとしてもよい。例えば、ユーザが、第1タッチスクリーン110の画面の一方の端(例えば、右端)の方を親指で、その裏側の第2タッチスクリーン120の画面の端の方を人差し指で挟んで握り、親指のみを画面の垂直方向(図示で縦方向)へ上又は下にスライドさせるタッチ操作(ジェスチャ)を行った場合、音量調整イベントとして検出されてもよい。
【0043】
また、音量調整イベントが検出された場合、仮想デバイスとしての音量ボタンB11を表示させずに(可視化せずに)、音量調整が可能となる構成としてもよい。
【0044】
(Mode5の第2例)
図11は、Mode5における仮想デバイスの第2例を示す図である。この
図11に示す例は、仮想デバイスが画面の表示輝度を調整するための輝度調整ボタン(Virtual Brightness Adjustment Button)である例を示している。ユーザが、第1タッチスクリーン110の画面の一方の端(例えば、画面の上端)の方を親指で、その裏側の第2タッチスクリーン120の画面の対応する端(例えば、画面の上端)の方を人差し指で挟んで握った状態で、この2本の指を画面の水平方向(図示で横方向)へ左又は右にスライドさせるタッチ操作(ジェスチャ)を行った場合、仮想デバイス(輝度調整ボタン)に対するタッチ操作のイベント(以下、「輝度調整イベント」という)として検出され、輝度調整ボタンB12が表示される。これにより、第1表示部111及び第2表示部121の表示輝度の変更(輝度調整)が可能となる。このMode5において輝度調整ボタンB12を表示させる(輝度調整を可能にする)ためのタッチ操作(ジェスチャ)のことを、以下では「輝度調整ジェスチャ」という。
【0045】
つまり、この輝度調整ジェスチャが行われることをトリガ条件として、輝度調整イベントとして検出され、輝度調整が可能になる。例えば、右方向へスライドさせると輝度がアップし、左方向へスライドさせると輝度がダウンする。なお、操作に使用する指は、親指と人差し指に限定されるものではなく、第1タッチスクリーン110と第2タッチスクリーン120とを同時に操作可能な指であればいずれの指であっても同様である。
【0046】
図12は、輝度調整イベントのトリガ条件の具体例を示す図である。輝度調整イベントのトリガ条件は、輝度調整ジェスチャであると判定される条件であり、例えば以下の(1)~(3)を満たすことである。
(1)2本の指がそれぞれ第1タッチパネル112と第2タッチパネル122にタッチしている状態でそれぞれの指が水平方向へスライド。
(2)2本の指のタッチ位置が表裏で対応する所定の範囲内(ほぼ同一の位置)。
(3)2本の指のタッチ位置が画面内の一方の端(例えば、画面の上端)の所定の範囲内。
【0047】
なお、上記(1)~(3)のうち、(1)及び(2)のみをトリガ条件としてもよい。また、上記(1)~(3)のうち、(1)のみをトリガ条件としてもよい。また、(3)の条件において、画面内の一方の端は、第1タッチパネル112に向かって上端に限定されるものではなく、下端(或いは、右端や左端)などとしてもよい。
【0048】
また、(1)の条件を、2本の指がそれぞれ同時に第1タッチパネル112と第2タッチパネル122のそれぞれにタッチしていて、いずれか一方の指のみが水平方向へスライドすることとしてもよい。この場合、一方の指のみが水平方向へスライドすることに応じて、第1表示部111及び第2表示部121の両方の表示輝度が変更されてもよいし。当該一方の指がタッチしている方のみの表示輝度が変更されてもよい。例えば、ユーザが、第1タッチスクリーン110の画面の一方の端(例えば、画面の上端)の方を親指で、その裏側の第2タッチスクリーン120の画面の対応する端(例えば、画面の上端)の方を人差し指で挟んで握った状態で、親指のみを画面の水平方向(図示で横方向)へ左又は右にスライドさせるタッチ操作(ジェスチャ)を行った場合、第1表示部111のみ表示輝度の変更(輝度調整)が可能であってもよい。また、ユーザが、第2タッチスクリーン120の画面の一方の端(例えば、画面の上端)の方を親指で、その裏側の第1タッチスクリーン110の画面の対応する端(例えば、画面の上端)の方を人差し指で挟んで握った状態で、親指のみを画面の水平方向(図示で横方向)へ左又は右にスライドさせるタッチ操作(ジェスチャ)を行った場合、第2表示部121のみ表示輝度の変更(輝度調整)が可能であってもよい。
【0049】
また、輝度調整イベントが検出された場合、仮想デバイスとしての輝度調整ボタンB12を表示させずに(可視化せずに)、輝度調整が可能となる構成としてもよい。
【0050】
(Mode6)
図13は、本実施形態に係るMode6によるタッチ機能を示す図である。Mode6は、第1表示部111及び第2表示部121の両方が非アクティブ(表示オフ)であり、且つ第1タッチパネル112が無効な状態で、第2タッチパネル122に対するタッチ操作に基づいて、第1表示部111及び第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理とは異なる予め設定された仮想デバイスの処理を実行させるモードである。Mode6でも、MCU130は第3機能を有効にするが、Mode5とは仮想デバイスが異なる。例えばMode6では、MCU130は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を、仮想デバイスに対するタッチ操作のイベントに変換して仮想デバイスの処理に適用する。
【0051】
次にMode6における仮想デバイスの具体例を説明する。
図14は、Mode6における仮想デバイスの一例を示す図である。この
図14に示す例は、仮想デバイスがトラックパッドである例を示している。ここでは、電子機器10が実行している各種のアプリケーションの表示を、第1表示部111及び第2表示部121に代えて、外付けの表示装置(不図示、ここではプロジェクタ)を用いて表示している状態を示している。電子機器10から出力される画像がプロジェクタで投影表示され、プレゼンターがその表示を用いてプレゼンテーションを行っている。このとき、プレゼンターは、電子機器10の第2タッチパネル122を大きなトラックパッド(Big Trackpad)として使用することが可能である。なお、外付けの表示装置は、プロジェクタに限られるものではなく、モニタ(例えば、大画面のモニタ)などであってもよい。
【0052】
例えば、電子機器10が閉状態で第1表示部111及び第2表示部121の両方が非アクティブ(表示オフ)であり、且つOSがシャットダウンしてない状態(アプリケーションの実行が可能な状態)で外付けの表示装置に接続されている状態を「プレゼンテーションモード」ということとする。例えば、電子機器10がプレゼンテーションモードで、ユーザが第2タッチパネル122に対するタッチ操作を行った場合、仮想デバイス(外付けの表示装置に対応するトラックパッド)に対するタッチ操作のイベント(以下、「トラックパッドイベント」という) として検出されたとして、第2タッチパネル122を外付けの表示装置の画面に対応するタッチ操作が可能なトラックパッドとして使用可能となる。
【0053】
つまり、プレゼンテーションモードで第2タッチパネル122に対するタッチ操作が行われることをトリガ条件として、トラックパッドイベントとして検出され、第2タッチパネル122を外付けの表示装置のトラックパッドとして使用可能となる。
【0054】
図15は、トラックパッドイベントのトリガ条件の具体例を示す図である。トラックパッドイベントが実行されるトリガの条件は、例えば、以下の(1)~(4)を満たすことである。
(1)外付けの表示装置が接続されている。
(2)電子機器10の第1筐体と第2筐体とが閉状態。
(3)OSがシャットダウンしてない(アプリケーションの実行が可能な状態)。
(4)第2タッチパネル122にタッチ。
なお、電子機器10の第1筐体と第2筐体とが閉状態である場合には、第1表示部111は非アクティブ(表示オフ)であり、第1タッチパネル112も無効である(そもそもタッチできない)。また、第2表示部121が非アクティブ(表示オフ)であることをトリガ条件に加えてもよいし、加えなくてもよい。
【0055】
なお、外付けの表示装置は、映像出力部107から有線(例えば、HDMI(登録商標)ケーブルなど)で接続されてもよいし、映像出力部107から通信部101を介して無線通信(例えば、Wi-Fi(登録商標)など)で接続されてもよい。
【0056】
次に、
図16を参照して、MCU130におけるタッチ機能の構成について、詳しく説明する。
図16は、本実施形態に係るMCU130におけるタッチ機能に関する構成の一例を示す図である。MCU130は、入力部131、出力部132、及び機能制御部133を備えている。
【0057】
入力部131は、例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)ドライバを含んで構成されている。例えば、入力部131は、第1タッチパネル112または第2タッチパネル122に対するユーザのタッチ操作(ジェスチャ)に応じて検出された検出信号を、通信インターフェース(例えば、HID over I2C)を介して受信する(HID:Human Interface Device)。
【0058】
出力部132は、例えば、USBドライバを含んで構成され、USBインターフェースを用いてシステム処理部140との間で各種情報を送受信する。USBインターフェースでは、複数のインターフェースをデバイス毎に宣言することができる。図示する例では、インターフェース1~4の4つのインターフェースを示している。インターフェース1は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する第1機能に対応するインターフェースとして宣言されている。インターフェース2は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する第2機能に対応するインターフェースとして宣言されている。インターフェース3は、第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理及び第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理とは異なる予め設定された仮想デバイス(前述した音量調整や輝度調整、トラックパッドなど)の処理を実行させる第3機能に対応するインターフェースとして宣言されている。インターフェース4は、このMCU130を制御するためシステムコントロール用のインターフェースとして宣言されている。
【0059】
機能制御部133は、入力部131が第1タッチパネル112または第2タッチパネル122から受信する検出信号に基づいて、第1タッチパネル112または第2タッチパネル122に対するタッチ操作に基づくイベントを検出する。機能制御部133は、第1タッチパネル112または第2タッチパネル122に対するタッチ操作に基づくイベントを検出すると、当該イベントに応じた処理を実行する。例えば、機能制御部133は、イベントを検出すると、システムモード(Mode1~6)に応じて第1機能、第2機能、及び第3機能のいずれかを実行する。
【0060】
Mode1では、機能制御部133は、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントを検出すると第1機能を有効にし、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントを検出すると第2機能を有効にする。例えば、第1機能では、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第1表示部111に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース1を有効にしてシステム処理部140へ出力する。また、第2機能では、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第2表示部121に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース2を有効にしてシステム処理部140へ出力する。
【0061】
Mode2では、機能制御部133は、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントを検出すると第1機能を有効にする。例えば、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第1表示部111に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース1を有効にしてシステム処理部140へ出力する。なお、Mode2では、機能制御部133は、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントを検出しないため、第2機能を無効にする。即ち、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を無効にし、システム処理部140へ出力しない。
【0062】
Mode3では、機能制御部133は、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントを検出すると第2機能を有効にする。例えば、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第2表示部121に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース2を有効にしてシステム処理部140へ出力する。なお、Mode3では、機能制御部133は、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントを検出しないため、第1機能を無効にする。即ち、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を無効にし、システム処理部140へ出力しない。
【0063】
Mode4では、機能制御部133は、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベントを検出すると第1機能を有効にする。タッチ機能に関しては、Mode2と同様である。例えば、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、第1表示部111に表示されている処理に対するタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース1を有効にしてシステム処理部140へ出力する。なお、Mode4では、機能制御部133は、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントを検出しないため、第2機能を無効にする。即ち、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を無効にし、システム処理部140へ出力しない。
【0064】
Mode5では、機能制御部133は、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122に対するタッチ操作に基づいて音量調整イベントまたは輝度調整イベントを生成し、第3機能を有効にする。例えば、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との両方に基づいて音量調整ジェスチャであるか否かを判定する。機能制御部133は、音量調整ジェスチャであると判定した場合、音量調整ジェスチャに対応する音量調整イベントを生成し、Mode5を選択する。機能制御部133は、音量調整イベントに対応する処理として、音量ボタンB11を表示させるための表示指示情報と、音量調整ジェスチャにおけるスライド方向及びスライド量を示す操作情報とをシステム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、表示指示情報及び操作情報を出力部132のインターフェース4を有効にしてシステム処理部140へ出力する。
【0065】
また、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との両方に基づいて輝度調整ジェスチャであるか否かを判定する。機能制御部133は、輝度調整ジェスチャであると判定した場合、輝度調整ジェスチャに対応する輝度調整イベントを生成し、Mode5を選択する。機能制御部133は、輝度調整イベントに対応する処理として、輝度調整ボタンB12を表示させるための表示指示情報と、輝度調整ジェスチャにおけるスライド方向及びスライド量を示す操作情報とをシステム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、表示指示情報及び操作情報を出力部132のインターフェース4を有効にしてシステム処理部140へ出力する。
【0066】
システム処理部140は、機能制御部133から音量ボタンB11の表示指示情報を受け取ると、音量ボタンB11を第1表示部111に表示させる。音量ボタンB11は、音量調整範囲に対する現在の音量レベルが表示され、音量調整ジェスチャに応じて現在の音量レベルが変更される表示オブジェクトである。なお、システム処理部140は、音量ボタンB11を第1表示部111と第2表示部121の両方に表示させてもよい。また、システム処理部140は、音量調整ジェスチャにおけるスライド方向及びスライド量を示す操作情報に応じて、スピーカ105から出力される音量を変更する。なお、システム処理部140は、スピーカ105に限らず、不図示の音出力端子(ヘッドフォン端子)から出力される音量も変更する。
【0067】
また、システム処理部140は、機能制御部133から輝度調整ボタンB12の表示指示情報を受け取ると、輝度調整ボタンB12を第1表示部111に表示させる。輝度調整ボタンB12は、輝度調整範囲に対する現在の輝度レベルが表示され、輝度調整ジェスチャに応じて現在の輝度レベルが変更される表示オブジェクトである。なお、システム処理部140は、輝度調整ボタンB12を第1表示部111と第2表示部121の両方に表示させてもよいし、一方に表示させてもよい。また、システム処理部140は、輝度調整ジェスチャにおけるスライド方向及びスライド量を示す操作情報に応じて、第1表示部111及び第2表示部121の表示輝度を変更する。なお、システム処理部140は、第1表示部111及び第2表示部121のうちの一方の表示輝度を変更してもよい。
【0068】
Mode6では、機能制御部133は、プレゼンテーションモードで第2タッチパネル122に対するタッチ操作が行われた場合、トラックパッドイベントを生成し、第3機能を有効にする。例えば、機能制御部133は、プレゼンテーションモードであるか否かを確認する。具体的には、機能制御部133は、映像出力部107を介して外付けの表示装置が接続されているか否かを判定する。また、機能制御部133は、加速度センサ106の検出結果に基づいて、第1筐体11と第2筐体12とが開状態であるか或いは閉状態であるかを検出する。また、機能制御部133は、システム処理部140からOSの動作状態を取得する。例えば、機能制御部133は、外付けの表示装置が接続されており、第1筐体11と第2筐体12とが開状態であり、OSがシャットダウンしてないと判定した場合、プレゼンテーションモードであると判定し、Node6を選択する。そして、機能制御部133は、プレゼンテーションモードにおいて第2タッチパネル122に対するタッチ操作が行われた場合、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を、外付けの表示装置の画面に対応するタッチパッドへのタッチ操作の操作情報として、システム処理部140へ出力する。このとき、機能制御部133は、上記操作情報を出力部132のインターフェース3を有効にしてシステム処理部140へ出力する。
【0069】
(状態遷移)
次に、各システムモードにおける状態遷移について説明する。
図17は、Mode1における状態遷移を示す図である。Mode1は、第1機能及び第2機能の両方が有効な状態である。Mode1では、機能制御部133は、まず状態ST11のイニシャライズ処理にて出力部132のインターフェース1とインターフェース2を有効にし、状態ST12の待機状態(Idle状態)に遷移する。状態ST12の待機状態では、機能制御部133は、イベントを待機する。状態ST12の待機状態において、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベント(Touch panel 1 Event)を検出すると、状態ST13へ遷移する。状態ST13では、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を取得する(Data-in)。また、状態ST12の待機状態において、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベント(Touch panel 2 Event)を検出すると、状態ST15へ遷移する。状態ST15では、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を取得する(Data-in)。
【0070】
また、機能制御部133は、状態ST13または状態ST15のそれぞれで、第1タッチパネル112及び第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づいて音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャを検出する。機能制御部133は、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出された場合、Mode5へ遷移させる。一方、機能制御部133は、状態ST13で音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出されない場合には、状態ST14へ遷移し、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報をシステム処理部140へ出力する(Data-out)。そして、状態ST12の待機状態に遷移する。また、機能制御部133は、状態ST15で音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出されない場合には、状態ST16へ遷移し、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報をシステム処理部140へ出力する(Data-out)。そして、状態ST12の待機状態に遷移する。なお、状態ST12の待機状態において、電子機器10がスリープ状態に移行した場合やシャットダウンされた場合、Mode1を終了する。
【0071】
図18は、Mode2及びMode4における状態遷移を示す図である。Mode2及びMode4は、第1機能のみが有効な状態である。Mode2及びMode4では、機能制御部133は、まず状態ST21のイニシャライズ処理にて出力部132のインターフェース1を有効にし、インターフェース2を無効にし、状態ST22の待機状態(Idle状態)に遷移する。状態ST22の待機状態では、機能制御部133は、イベントを待機する。状態ST22の待機状態において、第1タッチパネル112に対するタッチ操作のイベント(Touch panel 1 Event)を検出すると、状態ST23へ遷移する。状態ST23では、機能制御部133は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を取得する(Data-in)。
【0072】
また、機能制御部133は、状態ST23で、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャを検出する。なお、Mode2及びMode4では、第2表示部121は非アクティブ(表示オフ)であるが、第2タッチパネル122はタッチ操作を検出しているため、機能制御部133は、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャを検出することができる。機能制御部133は、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出された場合、Mode5へ遷移させる。一方、機能制御部133は、状態ST23で音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出されない場合には、状態ST24へ遷移し、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作に基づく操作情報をシステム処理部140へ出力する(Data-out)。そして、状態ST22の待機状態に遷移する。なお、状態ST22の待機状態において、電子機器10がスリープ状態に移行した場合やシャットダウンされた場合、Mode2またはMode4を終了する。
【0073】
図19は、Mode3における状態遷移を示す図である。Mode3では、機能制御部133は、まず状態ST31のイニシャライズ処理にて出力部132のインターフェース1を無効にし、インターフェース2を有効にし、状態ST32の待機状態(Idle状態)に遷移する。状態ST32の待機状態では、機能制御部133は、イベントを待機する。状態ST32の待機状態において、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベント(Touch panel 2 Event)を検出すると、状態ST35へ遷移する。状態ST35では、機能制御部133は、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を取得する(Data-in)。
【0074】
また、機能制御部133は、状態ST33で、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャを検出する。なお、Mode3では、第1表示部111は非アクティブ(表示オフ)であるが、第1タッチパネル112はタッチ操作を検出しているため、機能制御部133は、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャを検出することができる。機能制御部133は、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出された場合、Mode5へ遷移させる。一方、機能制御部133は、状態ST35で音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出されない場合には、状態ST36へ遷移し、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報をシステム処理部140へ出力する(Data-out)。そして、状態ST32の待機状態に遷移する。なお、状態ST32の待機状態において、電子機器10がスリープ状態に移行した場合やシャットダウンされた場合、Mode3を終了する。
【0075】
図20は、Mode5における状態遷移を示す図である。Mode1~4からMode5へ遷移すると、機能制御部133は、第1機能及び第2機能の一方又は両方が有効な状態から第3機能が有効な状態へと遷移させる。まず状態ST51では、機能制御部133は、イニシャライズ処理を行なう。状態ST51において、機能制御部133は、出力部132のインターフェース1及びインターフェース2を無効にし、インターフェース3を有効にする。そして、状態ST52に遷移し、機能制御部133は、イベントに応じた仮想デバイスの処理を適用するイベントマッピング処理を行なう。具体的には、状態ST52において、機能制御部133は、
図17の状態ST13、ST15、
図18の状態ST23、または
図19の状態ST35で検出されたジェスチャ(音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャ)に対応する仮想デバイスのイベントを生成する。例えば、機能制御部133は、音量調整ジェスチャが検出された場合、音量調整イベントを生成する。また、機能制御部133は、輝度調整ジェスチャが検出された場合、輝度調整イベントを生成する。機能制御部133は、生成した音量調整イベントまたは輝度調整イベントに対応する処理を実行し、音量調整ジェスチャ又は輝度調整ジェスチャが検出されなくなると、終了する。終了後には、機能制御部133は、Mode5に遷移する前のシステムモードに遷移させる。即ち、機能制御部133は、第1機能及び第2機能の一方又は両方が有効な状態へ遷移させる。
【0076】
図21は、Mode6における状態遷移を示す図である。Mode6は、第3機能が有効な状態である。Mode6へ遷移すると、機能制御部133は、状態ST61へ遷移させ、イニシャライズ処理を行なう。状態ST61において、機能制御部133は、出力部132のインターフェース1及びインターフェース2を無効にし、インターフェース3を有効にする。そして、状態ST62待機状態(Idle状態)に遷移する。状態ST62の待機状態では、機能制御部133は、イベントを待機する。状態ST62の待機状態において、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベント(Touch panel 2 Event)を検出すると、状態ST63へ遷移し、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作に基づく操作情報を取得し(Data-in)、状態ST64へ遷移する。状態ST64において、機能制御部133は、イベントに応じた仮想デバイスの処理を適用するイベントマッピング処理を行なう。具体的には、機能制御部133は、第2タッチパネル122に対するタッチ操作のイベントをトラックパッドイベントに変換し、トラックパッドイベントに対応する処理を実行する。例えば、機能制御部133は、状態ST63で取得した操作情報を、外付けの表示装置の画面に対応するタッチパッドへのタッチ操作の操作情報として出力する。そして、状態ST62の待機状態に遷移する。なお、状態ST62の待機状態において、電子機器10がスリープ状態に移行した場合やシャットダウンされた場合、或いは、外付けの表示装置との接続が解除された場合、Mode6を終了する。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器10は、表裏の位置関係に配置されている第1表示部111及び第2表示部121と、第1表示部111の画面に対するタッチ操作(操作入力の一例)を検出する第1タッチパネル112(第1検出部の一例)と、第2表示部121の画面に対するタッチ操作(操作入力の一例)を検出する第2タッチパネル122(第2検出部の一例)とを備えている。電子機器10は、第1タッチパネル112により検出された操作入力を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理(第1処理)に適用する第1機能、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理(第2処理)に適用する第2機能、及び第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との一方または両方に基づくタッチ操作を第1表示部111に表示されている操作対象に関連付けられている処理(第1処理)及び第2表示部121に表示されている操作対象に関連付けられている処理(第2処理)とは異なる仮想デバイスの処理(予め設定された処理の一例)に適用する第3機能を制御する。
【0078】
これにより、電子機器10は、複数のタッチスクリーンのそれぞれへのタッチ操作で、それぞれのタッチスクリーンに表示されている処理以外の仮想デバイス(例えば、音量ボタンB11、輝度調整ボタンB12、トラックパッドなど)としての処理の操作もできるため、利便性が良く、複数のタッチスクリーンをより有効に活用することができる。
【0079】
例えば、電子機器10は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作との両方に基づく特定のタッチ操作(ジェスチャ)に基づいて、上記第1機能及び第2機能の一方又は両方が有効な状態(例えば、Mode1~4のいずれか)から上記第3機能が有効な状態(例えば、Mode5)へ遷移させる。
【0080】
これにより、電子機器10は、タッチスクリーンへの操作で、仮想デバイス(例えば、音量ボタンB11、輝度調整ボタンB12など)への操作が可能になるので、利便性が良い。
【0081】
また、電子機器10は、第3機能による処理が終了すると、第3機能が有効な状態(例えば、Mode5)から第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態(例えば、Mode1~4のいずれか)へ遷移させる。
【0082】
これにより、電子機器10は、仮想デバイスへの操作が終了すると自動で元のタッチスクリーンに表示されている処理への操作に戻るため、利便性がよい。
【0083】
例えば、上記特定のタッチ操作は、第1タッチパネル112により検出されたタッチ操作と第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作とのいずれか一方に特定の方向(例えば、垂直方向または水平方向)への動きを伴うタッチ操作が含まれる。
【0084】
これにより、電子機器10は、視覚的に分かりやすいタッチ操作で仮想デバイス(例えば、音量ボタンB11、輝度調整ボタンB12など)への操作か可能である。
【0085】
例えば、上記特定のタッチ操作は、画面上で水平方向(第1方向の一例)へスライドさせるタッチ操作を含む。そして、仮想デバイスの処理(予め設定された処理の一例)は、第1表示部111及び第2表示部121の一方又は両方の表示輝度を変更する処理である。
【0086】
これにより、電子機器10は、視覚的に分かりやすいタッチ操作で仮想デバイス(例えば、音量ボタンB11)への操作か可能であるため、ユーザが第1表示部111及び第2表示部121の一方又は両方の表示輝度を容易に行うことができる。
【0087】
また、電子機器10は、音を出力するスピーカ105(音出力部の一例)、を備えている。また、上記特定のタッチ操作は、画面上で垂直方向(第2方向の一例)へスライドさせるタッチ操作を含む。そして、仮想デバイスの処理(予め設定された処理の一例)は、スピーカ105から出力される音量を変更する処理である。
【0088】
これにより、電子機器10は、視覚的に分かりやすいタッチ操作で仮想デバイス(例えば、音量ボタンB11)への操作か可能であるため、ユーザが音量調整を容易に行うことができる。
【0089】
また、電子機器10は、第1表示部111及び第2表示部121が表裏の位置関係に配置されている第1筐体11と、第1筐体11に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体12と、接続された表示装置(外付けの表示装置)へ映像信号を出力する映像出力部107とを備えている。ここで、第1筐体11と第2筐体12とが閉状態である場合に、第1筐体11において、第2筐体12に対面する側に第1表示部111が配置され、第2筐12体に対面する側の裏側に第2表示部121が配置されている。電子機器10は、第1筐体11と第2筐体12とが閉状態であることが検出され、且つ映像出力部107に表示装置が接続されたことを条件として第3機能を有効にして、仮想デバイス(例えば、タッチパッド)の処理(予め設定された処理の一例)に適用する。ここで、仮想デバイスの処理(予め設定された処理の一例)は、第1表示部111及び第2表示部121ともに非表示にさせるとともに、第2タッチパネル122により検出されたタッチ操作を映像出力部107に接続された表示装置に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する処理である。
【0090】
これにより、電子機器10は、外付けの表示装置を用いてプレゼンテーションなどを行うときに、第2タッチパネル122をタッチパッドとして利用することができるため、利便性がよく、複数のタッチスクリーンをより有効に活用することができる。
【0091】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、上記の各実施形態で説明した構成は、任意に組み合わせてもよい。
【0092】
なお、上記実施形態では、Mode1~6のタッチ機能による処理をMCU130が実行する例を説明したが、MCU130に代えて、CPU104がバックグラウンドで実行するプログラムによる処理で実現してもよい。
【0093】
また、上述した電子機器10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した電子機器10のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電子機器10のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0094】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電子機器10が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0095】
また、上述した実施形態における電子機器10が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、電子機器10がクラムシェル型(ノート型)のPCである例を説明したが、タブレット型のPCやデスクトップ型のPCであってもよいし、さらにPCに限られるものではなく、スマートフォンやゲーム機などであってもよい。
【0097】
また、第1タッチスクリーン110と第2タッチスクリーンの大きさや形状は、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、第1筐体11と第2筐体12とが開状態であるか或いは閉状態であるかを、加速度センサ106を用いて検出する例を説明したが、検出方法は、これに限定されるものではない。例えば、赤外線センサやメカニカルスイッチなどを使用して検出してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 電子機器、11 第1筐体、12 第2筐体、13 ヒンジ機構、101 通信部、102 RAM、103 Flashメモリ、104 CPU、105 スピーカ、106 加速度センサ、107 映像出力部、110 第1タッチスクリーン、111 第1表示部、112 第1タッチパネル、120 第2タッチスクリーン、121 第2表示部、122 第2タッチパネル、130 MCU、131 入力部、132 出力部、133 機能制御部、140 システム処理部
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部と、
前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出する第1検出部と、
前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出する第2検出部と、
前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御する機能制御部と、
前記第1表示部及び前記第2表示部が表裏の位置関係に配置されている第1筐体と、
前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、
接続された表示装置へ映像信号を出力する映像出力部と、
を備え、
前記第1筐体と前記第2筐体とが重なりあった閉状態である場合に、前記第1筐体において、前記第2筐体に対面する側に前記第1表示部が配置され、前記第2筐体に対面する側の裏側に前記第2表示部が配置されており、
前記機能制御部は、
前記第1筐体と前記第2筐体とが前記閉状態であることが検出され、且つ前記映像出力部に前記表示装置が接続されたことを条件として前記第3機能を有効にして、前記予め設定された処理に適用し、
前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部ともに非表示にさせるとともに、前記第2検出部により検出された操作入力を前記映像出力部に接続された前記表示装置に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する処理である、
電子機器。
【請求項2】
前記機能制御部は、
前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力との両方に基づく特定の操作入力に基づいて、前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態から前記第3機能が有効な状態へ遷移させる、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記機能制御部は、
前記第3機能による処理が終了すると、前記第3機能が有効な状態から前記第1機能及び前記第2機能の一方又は両方が有効な状態へ遷移させる、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記特定の操作入力は、前記第1検出部により検出された操作入力と第2検出部により検出された操作入力とのいずれか一方に特定の方向への動きを伴う操作入力が含まれる、
請求項2または請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記特定の操作入力は、前記画面上で第1方向へスライドさせるタッチ操作を含み、
前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部の一方又は両方の表示輝度を変更する処理である、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
音を出力する音出力部、をさらに備え、
前記特定の操作入力は、前記画面上で第2方向へスライドさせるタッチ操作を含み、
前記予め設定された処理は、前記音出力部から出力される音量を変更する処理である、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
表裏の位置関係に配置されている第1表示部及び第2表示部と、前記第1表示部及び前記第2表示部が表裏の位置関係に配置されている第1筐体と、前記第1筐体に対して相対的に回動可能に接続された第2筐体と、接続された表示装置へ映像信号を出力する映像出力部とを備える電子機器における制御方法であって、
前記第1筐体と前記第2筐体とが重なりあった閉状態である場合に、前記第1筐体において、前記第2筐体に対面する側に前記第1表示部が配置され、前記第2筐体に対面する側の裏側に前記第2表示部が配置されており、
第1検出部が、前記第1表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、
第2検出部が、前記第2表示部の画面に対する操作入力を検出するステップと、
機能制御部が、前記第1検出部により検出された操作入力を前記第1表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第1処理に適用する第1機能、前記第2検出部により検出された操作入力を前記第2表示部に表示されている操作対象に関連付けられている第2処理に適用する第2機能、及び前記第1検出部により検出された操作入力と前記第2検出部により検出された操作入力との一方または両方に基づく操作入力を前記第1処理及び前記第2処理とは異なる予め設定された処理に適用する第3機能を制御するステップと、
を有し、
前記機能制御部が制御するステップにおいて、
前記第1筐体と前記第2筐体とが前記閉状態であることが検出され、且つ前記映像出力部に前記表示装置が接続されたことを条件として前記第3機能を有効にして、前記予め設定された処理に適用し、
前記予め設定された処理は、前記第1表示部及び前記第2表示部ともに非表示にさせるとともに、前記第2検出部により検出された操作入力を前記映像出力部に接続された前記表示装置に表示されている操作対象に関連付けられている処理に適用する処理である、
制御方法。