(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025576
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】駐車場情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20220203BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G08G1/14 A
E04H6/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128479
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山根 康志
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 輝雄
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC12
5H181CC27
5H181KK06
5H181KK07
5H181KK10
(57)【要約】
【課題】入場待機車列に含まれる車両の移動速度を推定できるようにすること。
【解決手段】駐車場情報管理システム30は、駐車場の駐車スペースに駐車している複数の車両10のうち、始動監視期間中に始動スイッチ15がオン操作された車両の台数である始動台数を取得する始動台数取得部41と、始動台数取得部41が取得した始動台数を基に、駐車場への入場を目的として当該駐車場外で待機している複数の車両の列である入場待機車列に含まれる車両の移動速度である車列移動速度を導出する移動速度導出部44とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両から情報を受信する駐車場情報管理システムであって、
駐車場の駐車スペースに駐車している複数の車両のうち、第1所定時間の始動監視期間中に車両の始動スイッチがオン操作された車両の台数である始動台数を取得する始動台数取得部と、
前記始動台数取得部が取得した前記始動台数を基に、前記駐車場への入場を目的として当該駐車場外で待機している複数の車両の列である入場待機車列に含まれる車両の移動速度である車列移動速度を導出する移動速度導出部と、を備える
駐車場情報管理システム。
【請求項2】
前記始動台数取得部は、前記始動監視期間を繰り返し設定することにより、前記始動台数を繰り返し取得するようになっており、
前記移動速度導出部は、前記始動監視期間が異なる複数の前記始動台数を基に前記車列移動速度を導出する
請求項1に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項3】
第2所定時間の入場監視期間中に前記駐車場に入場する車両の台数の推定値である推定入場台数を導出する入場台数導出部を備え、
前記移動速度導出部は、前記推定入場台数に基づいて前記車列移動速度を導出する
請求項1又は請求項2に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項4】
前記入場台数導出部は、前記入場監視期間を繰り返し設定することにより、前記推定入場台数を繰り返し取得するようになっており、
前記移動速度導出部は、前記入場監視期間が異なる複数の前記推定入場台数を基に前記車列移動速度を導出する
請求項3に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項5】
前記入場待機車列に含まれる複数の車両のうちの特定車両の位置を取得する特定車両位置取得部を備え、
前記入場台数導出部は、前記入場監視期間中における前記特定車両の位置の変化量を基に、前記推定入場台数を導出する
請求項3又は請求項4に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項6】
前記入場台数導出部は、前記駐車場外において当該駐車場の入場口付近で前記入場待機車列が形成される所定の入場待機エリアに車両が進入してから、当該入場待機エリアから前記入場口の方向に当該車両が退出するまでに要した時間を基に、前記推定入場台数を導出する
請求項3~請求項5のうち何れか一項に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項7】
前記入場待機車列の長さである車列長を導出する車列長導出部と、
前記車列移動速度と前記車列長とを基に、前記入場待機車列の最後尾に位置する車両が前記駐車場に入場するまでに要する時間を導出する最後尾車両所要時間導出部と、を備える
請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の駐車場情報管理システム。
【請求項8】
前記入場待機車列に含まれる複数の車両のうちの対象車両から前記駐車場の入場口までの距離である対象車両距離を取得する対象車両距離取得部と、
前記車列移動速度と前記対象車両距離とを基に、当該対象車両が前記駐車場に入場するまでに要する時間を導出する対象車両所要時間導出部と、を備える
請求項1~請求項7のうち何れか一項に記載の駐車場情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のショッピングセンタやイベント会場では駐車場が満車となり、駐車場外には、入場待ちをする多数の車両の列である入場待機車列が形成されることがある。特許文献1では、入場待機車列に含まれる車両が入場口から駐車場に入場し、当該駐車場の駐車スペースに当該車両が駐車できるまでに要する時間である駐車所要時間を予測するシステムの一例が記載されている。
【0003】
当該システムにあっては、入場待機車列に含まれる全ての車両の位置を特定する情報である位置情報が監視される。このように各車両の位置情報を監視することにより、車両が駐車場の駐車スペースに駐車できるまでに要する所要時間が車両毎に取得できる。そして、各車両の所要時間を基に、駐車所要時間が導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のシステムには、入場待機車列に含まれる車両の移動速度を推定する技術は開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための駐車場情報管理システムは、複数の車両から情報を受信するシステムである。当該システムは、駐車場の駐車スペースに駐車している複数の車両のうち、第1所定時間の始動監視期間中に車両の始動スイッチがオン操作された車両の台数である始動台数を取得する始動台数取得部と、前記始動台数取得部が取得した前記始動台数を基に、前記駐車場への入場を目的として当該駐車場外で待機している複数の車両の列である入場待機車列に含まれる車両の移動速度である車列移動速度を導出する移動速度導出部と、を備えている。
【0007】
駐車場外に入場待機車列が形成されている場合、駐車場からの車両の退場台数が多いほど、入場待機車列に含まれる車両を早期に駐車場に入場させることができると推測される。すなわち、入場待機車列に含まれる車両の移動速度である車列移動速度が大きくなると推測される。また、車両の始動スイッチが運転者によってオン操作された車両は、駐車スペースから発進して駐車場から退場すると推測される。そのため、始動スイッチがオン操作された車両が多いほど、駐車場からの退場台数が多くなり、ひいては車列移動速度が大きくなると推測できる。
【0008】
上記構成によれば、始動監視期間中における始動台数が取得される。そして、駐車場からの退場台数と相関する当該始動台数を基に、車列移動速度が導出される。したがって、上記構成によれば、入場待機車列に含まれる車両の移動速度を推定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における駐車場情報管理システムと、駐車場情報管理システムと通信する車両及びユーザ端末とを模式的に示すブロック図。
【
図3】第1実施形態において、駐車場情報管理システムが実行する一連の処理を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態において、監視期間中における始動台数を導出するために実行される一連の処理を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態において、待機列中移動距離、車列長及び今回の監視期間における推定入場台数を導出するために実行される一連の処理を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態において、車列移動速度及び推定所要時間を導出するために実行される一連の処理を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態において、補正係数を導出する際に用いられるマップ。
【
図8】第2実施形態において、監視期間中における推定入場台数を導出するために実行される一連の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、駐車場情報管理システムの一実施形態を
図1~
図7に従って説明する。
図1には、本実施形態の駐車場情報管理システム30と、駐車場情報管理システム30に各種の情報を送信する機能を有する車両10と、駐車場情報管理システム30から情報提供を受けるユーザ端末20とが図示されている。駐車場情報管理システム30は、
図2に示す駐車場100に車両10が入場するまでの所要時間を予測する。駐車場情報管理システム30は、当該所要時間の予測値である推定所要時間TMSに関する情報を車両10やユーザ端末20に送信する機能を有している。また、駐車場情報管理システム30は、駐車場100を管理する会社のホームページに推定所要時間TMSを掲載するようにしてもよい。
【0011】
なお、
図1では、駐車場情報管理システム30と通信する車両10及びユーザ端末20がそれぞれ1台のみ図示されている。しかし、実際には、駐車場情報管理システム30は、複数の車両10と通信し、且つ、複数のユーザ端末20と通信する。
【0012】
ユーザ端末20としては、通信機能を有する端末であれば、パーソナルコンピュータ、モバイル端末の何れであってもよい。モバイル端末としては、例えば、スマートフォン及びタブレット端末を挙げることができる。
【0013】
<車両10>
車両10は、駐車場情報管理システム30と通信するための通信装置である車両側通信装置11と、車載の各種のアクチュエータを制御する車両制御装置12とを備えている。車両制御装置12には、車両10の始動スイッチ15から信号が入力される。始動スイッチ15とは、車両10をレディ状態にする際に運転者によってオン操作される操作部である。始動スイッチ15がオン操作された場合、始動スイッチ15がオン操作された旨の信号が車両制御装置12に入力される。車両10が、車両10の動力源としてエンジンを備える車両である場合、始動スイッチ15がオン操作されると、エンジンの運転が始動される。これにより、車両10がレディ状態になる。すると、始動スイッチ15がオン操作された旨と、始動スイッチ15がオン操作された時刻とを含む情報である車両始動情報が、車両側通信装置11を介して駐車場情報管理システム30に送信される。
【0014】
車両10には、車両10の状態を検出するための複数のセンサが設けられている。本明細書では、複数のセンサをセンサ群13という。センサ群13には、車両10の速度である車速VSを検出する車速センサが含まれている。そして、車両制御装置12は、センサ群13によって検出された各種の車両10の状態量(例えば、車速VS)を基に、車載の各種アクチュエータを制御する。また、センサ群13によって検出された各種の車両10の状態量の少なくとも一つは、車両側通信装置11を介して駐車場情報管理システム30に送信される。
【0015】
また、車両10には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、GPSを通じて車両10の現在位置を特定する情報である位置情報を取得する。ナビゲーション装置14によって取得された車両10の位置情報は、車両側通信装置11を介して駐車場情報管理システム30に送信される。なお、「GPS」とは、グローバル・ポジショニング・システムのことである。
【0016】
なお、ナビゲーション装置14は、車載ナビゲーション装置であってもよい。また、車両側通信装置11に車両10の位置情報を送信できるものであれば、ナビゲーション装置14は、ナビゲーション機能を有するモバイル端末であってもよい。
【0017】
車両側通信装置11は、駐車場情報管理システム30から推定所要時間TMSに関する情報を受信する。当該情報が例えばナビゲーション装置14に入力されると、ナビゲーション装置14によって、推定所要時間TMSが車両10の乗員に報知される。
【0018】
<駐車場情報管理システム30>
駐車場情報管理システム30は、システム側通信装置31と、データベース32と、解析装置33と、情報提供装置34とを備えている。
【0019】
システム側通信装置31は、車両10との情報の送受信、及び、ユーザ端末20との情報の送受信を行う。すなわち、システム側通信装置31は、車両側通信装置11から送信された各種の情報を受信する一方、情報提供装置34から提供された情報を車両側通信装置11に送信する。また、システム側通信装置31は、ユーザ端末20から情報提供が要求された場合、情報提供装置34から提供された情報を車両側通信装置11に送信する。
【0020】
データベース32は、システム側通信装置31が各車両10から受信した各種の情報を記憶する。
解析装置33は、データベース32に記憶されている各種の情報を解析することにより、推定所要時間TMSを導出する。
【0021】
情報提供装置34は、解析装置33によって導出された推定所要時間TMSをシステム側通信装置31に提供(送信)する。
解析装置33及び情報提供装置34は、以下(a)~(c)の何れかの構成であればよい。
(a)コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
(b)各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
(c)各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【0022】
次に、解析装置33について詳述する。
解析装置33は、機能部として、始動台数取得部41、入場台数導出部42、特定車両位置取得部43、移動速度導出部44、車列長導出部45、最後尾車両所要時間導出部46、対象車両距離取得部47及び対象車両所要時間導出部48を有している。
【0023】
始動台数取得部41は、
図2に示す駐車場100の駐車スペース101に駐車している複数の車両10のうち、所定の始動監視期間TRMs中に始動スイッチ15がオン操作された車両10の台数である始動台数Xsを導出する始動台数導出処理を実行する。始動監視期間TRMsの時間的な長さである第1所定時間TM1は、数分程度である。例えば、第1所定時間TM1として、「2~3分」が設定されている。始動台数取得部41は、始動台数導出処理を繰り返し実行する。すなわち、始動台数取得部41は、始動監視期間TRMsを繰り返し設定することにより、始動台数Xsを繰り返し取得する。なお、始動台数導出処理の具体的な内容については後述する。
【0024】
入場台数導出部42は、所定の入場監視期間TRMa中に駐車場100に入場する車両10の台数の推定値である推定入場台数VNを導出する入場台数推定処理を実行する。入場監視期間TRMaの時間的な長さである第2所定時間TM2は、数分程度である。例えば、第2所定時間TM2は、第1所定時間TM1と等しい。入場台数導出部42は、入場台数推定処理を繰り返し実行する。すなわち、入場台数導出部42は、入場監視期間TRMaを繰り返し設定することにより、推定入場台数VNを繰り返し取得する。なお、入場台数推定処理の具体的な内容については後述する。
【0025】
特定車両位置取得部43は、
図2に示す入場待機車列130に含まれる複数の車両10のうち、1台の車両を特定車両に設定し、特定車両の位置を取得する。そして、特定車両位置取得部43は、入場監視期間TRMa中における特定車両の移動量である待機列中移動距離LAを導出する移動距離導出処理を実行する。入場待機車列130とは、駐車場100への入場を目的として駐車場100外で待機している複数の車両10の列のことである。特定車両位置取得部43は、移動距離導出処理を繰り返し実行する。移動距離導出処理の具体的な内容については後述する。
【0026】
移動速度導出部44は、始動台数Xsを基に、入場待機車列130に含まれる車両10の移動速度の推定値である車列移動速度SPを導出する移動速度導出処理を実行する。移動速度導出部44は、移動速度導出処理を繰り返し実行する。移動速度導出処理の具体的な内容については後述する。
【0027】
車列長導出部45は、入場待機車列130の長さの推定値である車列長LQを導出する待機列長さ推定処理を実行する。車列長導出部45は、待機列長さ推定処理を繰り返し実行する。待機列長さ推定処理の具体的な内容については後述する。
【0028】
最後尾車両所要時間導出部46は、入場待機車列130に含まれる複数の車両10のうち、最後尾に位置する車両10Dが駐車場100に入場するまでに要する時間の予測値である最後尾所要時間TMSeを、推定所要時間TMSとして取得する最後尾車両所要時間推定処理を実行する。最後尾車両所要時間導出部46は、最後尾車両所要時間推定処理において、車列移動速度SPと車列長LQとを基に、最後尾所要時間TMSeを導出する。最後尾車両所要時間導出部46は、最後尾車両所要時間推定処理を繰り返し実行する。最後尾車両所要時間推定処理の具体的な内容については後述する。
【0029】
対象車両距離取得部47は、入場待機車列に含まれる複数の車両のうち、1台を対象車両として選択し、対象車両の位置を取得する。そして、対象車両距離取得部47は、対象車両の位置と、入場口102の位置とを基に、対象車両から入場口102までの距離を規定距離として導出する。この際、対象車両距離取得部47は、対象車両の位置から入場口102までの道路の形状も用いて規定距離を導出するとよい。
【0030】
対象車両所要時間導出部48は、上記の規定距離と車列移動速度SPとを基に、対象車両が駐車場100に入場するまでに要する時間の予測値である対象車両所要時間TMSmを、推定所要時間TMSとして導出する対象車両所要時間推定処理を実行する。対象車両所要時間導出部48は、対象車両所要時間推定処理を繰り返し実行する。対象車両所要時間推定処理の具体的な内容については後述する。
【0031】
次に、
図3~
図6を参照し、駐車場情報管理システム30が実行する一連の処理の流れについて説明する。
図3に示すように、はじめのステップS11において、駐車場情報管理システム30は、係数Nを「1」インクリメントする。続いて、次のステップS12において、駐車場情報管理システム30のシステム側通信装置31は、データ取得処理を実行する。すなわち、システム側通信装置31は、データ取得処理において、駐車場情報管理システム30と通信可能な多数の車両10の位置情報を取得する。また、システム側通信装置31は、データ取得処理において、駐車場情報管理システム30と通信可能な多数の車両10のうち、始動スイッチ15がオン操作された車両10から、オン操作された旨の情報を取得する。また、システム側通信装置31は、データ取得処理において、駐車場情報管理システム30と通信可能な多数の車両10から車速VSに関する情報を取得する。システム側通信装置31は、受信した各種の情報をデータベース32に記憶させる。そして、駐車場情報管理システム30の解析装置33は、位置情報を取得した各車両10の中から、駐車場100内に位置する車両10である場内車両10Aを特定する。例えば、解析装置33は、駐車場100の位置情報と、各車両10の位置情報とを基に、場内車両10Aを特定する。また例えば、解析装置33は、場内車両10A以外の車両10の位置情報を基に、駐車場100外であっても、駐車場100の近くに位置する車両10も特定する。
【0032】
そして、ステップS13において、駐車場情報管理システム30は、今回の監視期間TRM(N)が終了したか否かを判定する。
図3に示す一連の処理の実行開始によって今回のデータ取得処理の開始時点からの経過時間が基準時間TMに達した場合、今回の監視期間TRM(N)が終了している。一方、当該経過時間が基準時間TMに達していない場合、今回の監視期間TRM(N)は未だ継続している。本実施形態では、監視期間TRMは、始動監視期間TRMsと入場監視期間TRMaとの双方を含んでいる。すなわち、監視期間TRMが開始されるということは、始動監視期間TRMsと入場監視期間TRMaとの双方が開始されることを意味する。監視期間TRMが終了されるということは、始動監視期間TRMsと入場監視期間TRMaとの双方が終了されることを意味する。そのため、基準時間TMは、第1所定時間TM1及び第2所定時間TM2の双方と等しい。
【0033】
ステップS13において、監視期間TRM(N)が終了していない場合(NO)、駐車場情報管理システム30は、その処理をステップS12に移行する。すなわち、駐車場情報管理システム30は、データ取得処理を継続する。一方、監視期間TRM(N)が終了した場合(S13:YES)、駐車場情報管理システム30は、その処理を次のステップS14に移行する。すなわち、駐車場情報管理システム30は、データ取得処理を終了する。
【0034】
ステップS14において、駐車場情報管理システム30の解析装置33は、今回の監視期間TRM(N)における始動台数Xs(N)を導出する。次のステップS15において、解析装置33は、待機列中移動距離LA、車列長LQ、及び、今回の監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出する。そして、次のステップS16において、解析装置33は、車列移動速度SP及び推定所要時間TMSを導出する。そして、駐車場情報管理システム30は、一連の処理を終了する。
【0035】
なお、本実施形態では、車列移動速度SP及び推定所要時間TMSを導出する解析装置33が、推定所要時間TMSの導出に必要な各種の処理を実行する「実行装置」に相当する。また、解析装置33が実行するステップS14~S16により、本実施形態における「駐車場情報管理方法」が構成される。
【0036】
次に、
図4を参照し、上記ステップS14において今回の監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出するための一連の処理について説明する。
はじめに、始動台数取得部41は、各場内車両10Aについて、今回の監視期間TRM(N)中に始動スイッチ15がオン操作されたか否かを1台ずつ確認する。すなわち、ステップS21において、始動台数取得部41は、上記ステップS12の処理の実行によって得た情報を基に、場内車両10Aの数である場内車両数Zを取得する。続いて、ステップS22において、始動台数取得部41は、係数Yに「1」をセットする。そして、ステップS23において、始動台数取得部41は、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作されたか否かを判定する。今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)から始動スイッチ15がオン操作された旨の情報を受信している場合は、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作されたと見なす。一方、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)から始動スイッチ15がオン操作された旨の情報を受信しなかった場合は、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作されたと見なさない。そのため、今回の監視期間TRM(N)の開始以前に始動スイッチ15がオン操作され、今回の監視期間TRM(N)が終了しても場内車両10A(Y)が未だ駐車場100内に位置する場合は、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作されたと見なさない。
【0037】
今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作された場合(S23:YES)、始動台数取得部41は、その処理を次のステップS24に移行する。始動台数取得部41は、ステップS24において始動カウンタCNTを「1」インクリメントし、その後、その処理を次のステップS25に移行する。一方、ステップS23において、今回の監視期間TRM(N)中に場内車両10A(Y)で始動スイッチ15がオン操作されていない場合(NO)、始動台数取得部41は、その処理をステップS25に移行する。
【0038】
ステップS25において、係数Yが場内車両数Zと等しいか否かを判定する。係数Yが場内車両数Z未満である場合(S25:NO)、始動スイッチ15がオン操作されたか否かの判定を未だ行っていない場内車両10Aがあるため、始動台数取得部41は、その処理をステップS26に移行する。始動台数取得部41は、ステップS26において係数Yを「1」インクリメントし、その後、その処理をステップS23に移行する。一方、ステップS25において、係数Yが場内車両数Zと等しい場合(YES)、全ての場内車両10Aに対して始動スイッチ15がオン操作されたか否かの判定を行ったため、始動台数取得部41は、その処理を次のステップS27に移行する。
【0039】
ステップS27において、始動台数取得部41は、始動カウンタCNTを今回の監視期間TRM(N)における始動台数Xs(N)とする。そして、始動台数取得部41は、一連の処理を終了する。すなわち、本実施形態では、ステップS21~S27により、「始動台数取得処理」が構成される。なお、
図4に示した一連の処理を終了すると、始動台数取得部41は、係数Y及び始動カウンタCNTを「0」にリセットする。
【0040】
次に、
図5を参照し、上記ステップS15において、待機列中移動距離LA、車列長LQ、及び、今回の監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出するための一連の処理について説明する。
【0041】
はじめのステップS31において、解析装置33は、各車両10の位置情報を基に、所定の待機列エリア120内に位置する全ての車両10、及び、その台数である場外車両台数Wを特定する。そして、解析装置33は、特定した全ての車両10について入場待機車列130を形成しているか否かを1台ずつ特定する。
【0042】
待機列エリア120とは、
図2に示すように駐車場100外に設定されているエリアである。駐車場100内への入場を目的として多数の車両10が列をなす可能性のあるエリア、すなわち入場待機車列130が形成されうるエリアが、待機列エリア120として設定されている。例えば、駐車場100の入場口102に向かう道路を含むように待機列エリア120は設定される。すなわち、待機列エリア120内に位置する車両10は、入場待機車列130を形成する可能性のある車両ということができる。そのため、本明細書では、待機列エリア120内に位置する車両10を、「候補車両10B」ということもある。
【0043】
図5に戻り、ステップS32において、解析装置33は、係数Sに「1」をセットする。続いて、ステップS33において、解析装置33の車列長導出部45は、候補車両10B(S)が停車していたり、候補車両10B(S)が徐行していたりしているか否かを判定する。本実施形態では、直ちに停車できるような速度で候補車両10B(S)が進行する場合は、候補車両10B(S)が徐行していると見なす。また、候補車両10B(S)が極低速での走行と停車とを断続的に繰り返す場合も、候補車両10B(S)が徐行していると見なす。車列長導出部45は、候補車両10B(S)から受信した車速VSの情報を基に、候補車両10B(S)が停車しているか否かを判定したり、候補車両10B(S)が徐行しているか否かを判定したりすることができる。
【0044】
候補車両10B(S)が停車していないと判定し、且つ候補車両10B(S)が徐行していないと判定した場合(S33:NO)、駐車場100に入場させるために候補車両10B(S)が待機列エリア120を走行しているわけではないと推測できるため、車列長導出部45は、その処理を後述するステップS38に移行する。一方、候補車両10B(S)が停車していると判定した場合、又は、候補車両10B(S)が徐行していると判定した場合、すなわちステップS33の判定が「YES」である場合、候補車両10B(S)が入場待機車列130を形成していると判断できるため、車列長導出部45は、その処理を次のステップS34に移行する。
【0045】
ステップS34において、車列長導出部45は、候補車両10B(S)が仮最後尾車両10Cよりも駐車場100の入場口102から離れているか否かを判定する。車列長導出部45は、候補車両10B(S)の位置情報、仮最後尾車両10Cの位置情報及び入場口102の位置情報を基に当該判定を行うことができる。仮最後尾車両10Cとは、入場待機車列130を形成する複数の車両10の中で、暫定的に最後尾に位置していると判定している車両のことである。候補車両10B(S)が仮最後尾車両10Cよりも入場口102から離れている場合は、候補車両10B(S)は入場待機車列130を形成するとともに、候補車両10B(S)は仮最後尾車両10Cよりも後ろに位置していると推測できる。候補車両10B(S)が仮最後尾車両10Cよりも入場口102から離れていない場合は、候補車両10B(S)は入場待機車列130を形成しているものの、候補車両10B(S)は仮最後尾車両10Cと入場口102との間に位置していると推測できる。そのため、候補車両10B(S)が仮最後尾車両10Cよりも入場口102から離れている場合(S34:YES)、車列長導出部45は、その処理を次のステップS35に移行する。車列長導出部45は、ステップS35において候補車両10B(S)を仮最後尾車両10Cとし、その後、その処理をステップS36に移行する。一方、ステップS34において、候補車両10B(S)が仮最後尾車両10Cよりも入場口102から離れていない場合(NO)、車列長導出部45は、その処理をステップS36に移行する。すなわち、仮最後尾車両10Cが変更されない。
【0046】
ステップS36において、解析装置33は、候補車両10B(S)が前回の最後尾車両10Dと同じであるか否かを判定する。前回の最後尾車両10Dとは、
図5に示す一連の処理が前回に実行された際に、最後尾車両であると特定された車両である。候補車両10B(S)が前回の最後尾車両10Dである場合(S36:YES)、解析装置33は、その処理をステップS37に移行する。ステップS37において、解析装置33の特定車両位置取得部43は、入場待機車列130中における候補車両10B(S)の前回位置から今回位置までの距離を、待機列中移動距離LAとして導出する。すなわち、本実施形態では、特定車両位置取得部43は、候補車両10B(S)を特定車両として設定する。候補車両10B(S)の前回位置とは、
図5に示す一連の処理が前回に実行された際における候補車両10B(S)の位置である。候補車両10B(S)の今回位置とは、候補車両10B(S)の現在位置である。前回位置と今回位置との差が、監視期間TRM(N)における前回の最後尾車両10Dの移動距離である。そして、本実施形態では、こうした前回の最後尾車両10Dの移動距離を基に、待機列中移動距離LAが導出される。したがって、本実施形態では、ステップS37が、「移動距離導出処理」に相当する。待機列中移動距離LAの導出が完了すると、解析装置33は、その処理をステップS38に移行する。
【0047】
一方、ステップS36において、候補車両10B(S)が前回の最後尾車両10Dではない場合(NO)、解析装置33は、その処理をステップS38に移行する。
ステップS38において、解析装置33は、係数Sが場外車両台数Wと等しいか否かを判定する。係数Sが場外車両台数W未満である場合(S38:NO)、入場待機車列130を形成する車両であるか否かの判定を未だ行っていない候補車両10Bがあるため、解析装置33は、その処理をステップS39に移行する。解析装置33の車列長導出部45は、ステップS39において係数Sを「1」インクリメントし、その後、その処理をステップS33に移行する。
【0048】
一方、ステップS38において、係数Sが場外車両台数Wと等しい場合(YES)、入場待機車列130を形成する車両であるか否かの判定を行っていない候補車両10Bがないため、解析装置33は、その処理をステップS40に移行する。ステップS40において、解析装置33の車列長導出部45は、仮最後尾車両10Cを最後尾車両10Dとする。続いて、ステップS41において、車列長導出部45は、入場口102の位置情報と、最後尾車両10Dの位置情報とを基に、入場口102から最後尾車両10Dまでの距離の推定値を車列長LQとして導出する。すなわち、本実施形態では、ステップS33~S36及びS38~S41により、「待機列長さ推定処理」が構成される。そして、車列長LQの導出を完了すると、解析装置33は、その処理を次のステップS42に移行する。
【0049】
ステップS42において、解析装置33の入場台数導出部42は、待機列中移動距離LAを基に、今回の監視期間TRM(N)中における推定入場台数VN(N)を導出する。すなわち、入場台数導出部42は、待機列中移動距離LAが長いほど大きい値を推定入場台数VN(N)として導出する。車両10の前後方向における寸法に相当する値と、前後する2台の車両10の車間距離との和を車両10の基準長さLCとした場合、入場台数導出部42は、待機列中移動距離LAを基準長さLCで割ったときの商を、推定入場台数VN(N)として導出する。したがって、本実施形態では、ステップS42が、「入場台数推定処理」に相当する。そして、解析装置33は、一連の処理を終了する。
【0050】
なお、
図5に示した一連の処理が終了されると、解析装置33は、係数Sを「0」にリセットする。
次に、
図6を参照し、上記ステップS16において、車列移動速度SP及び推定所要時間TMSを導出するための一連の処理について説明する。
【0051】
はじめのステップS51において、解析装置33の移動速度導出部44は、退場台数の相関値として退場台数相関値VNSを導出する。例えば、移動速度導出部44は、監視期間TRMが異なる複数の始動台数Xs、すなわち始動監視期間TRMsが異なる複数の始動台数Xsを基に、退場台数相関値VNSを導出する。本実施形態では、移動速度導出部44は、始動台数Xs(N)と、始動台数の前回値Xs(N-1)と、始動台数の前々回値Xs(N-2)との和を、退場台数相関値VNSとして導出する。始動台数Xs(N)は、最後に始動台数取得処理が実行された際に導出された始動台数Xsであり、始動台数の最新値である。始動台数Xs(N)を導出した始動台数取得処理を「N回目の始動台数取得処理」とした場合、始動台数の前回値Xs(N-1)及び前々回値Xs(N-2)は、N回目の始動台数取得処理よりも以前の始動台数取得処理の実行によって導出された始動台数Xsである。具体的には、N-1回目の始動台数取得処理で導出された始動台数Xsが始動台数の前回値Xs(N-1)である。N-2回目の始動台数取得処理で導出された始動台数Xsが始動台数の前々回値Xs(N-2)である。
【0052】
続いて、ステップS52において、移動速度導出部44は、入場台数の相関値として入場台数相関値VNAを導出する。例えば、移動速度導出部44は、監視期間TRMが異なる複数の推定入場台数VN、すなわち入場監視期間TRMaが異なる複数の推定入場台数VNを基に、入場台数相関値VNAを導出する。本実施形態では、移動速度導出部44は、推定入場台数VN(N)と、推定入場台数の前回値VN(N-1)と、推定入場台数の前々回値VN(N-2)との和を、入場台数相関値VNAとして導出する。推定入場台数VN(N)は、最後に入場台数推定処理が実行された際に導出された推定入場台数VNである。すなわち、推定入場台数VN(N)は、入場台数の最新値である。推定入場台数VN(N)を導出した入場台数推定処理を「N回目の入場台数推定処理」とした場合、推定入場台数の前回値VN(N-1)及び前々回値VN(N-2)は、N回目の入場台数推定処理よりも以前の入場台数推定処理の実行によって導出された推定入場台数VNである。具体的には、N-1回目の入場台数推定処理で導出された推定入場台数VNが推定入場台数の前回値VN(N-1)である。N-2回目の入場台数推定処理で導出された推定入場台数VNが推定入場台数の前々回値VN(N-2)である。
【0053】
次のステップS53において、移動速度導出部44は、退場台数相関値VNSから入場台数相関値VNAを引いた値を出入台数偏差DVNとして導出する。続いて、ステップS54において、移動速度導出部44は、出入台数偏差DVNを基に補正係数Kを導出する。移動速度導出部44は、出入台数偏差DVNが大きいときには、出入台数偏差DVNが小さいときよりも大きい値を補正係数Kとして導出する。本実施形態では、移動速度導出部44は、
図7に示すマップを用いて補正係数Kを導出する。
【0054】
図7は、出入台数偏差DVNと補正係数Kとの関係を示すマップである。
図7に示すように、出入台数偏差DVNが「0」である場合、補正係数Kは「1」である。出入台数偏差DVNが負の値である場合、補正係数Kは、正の値ではあるものの「1」よりも小さい。具体的には、出入台数偏差DVNが負の値である場合、出入台数偏差DVNの絶対値が大きいほど、補正係数Kが小さくなる。出入台数偏差DVNが正の値である場合、補正係数Kは「1」よりも大きい。出入台数偏差DVNが正の値である場合、出入台数偏差DVNが大きいほど、補正係数Kが大きくなる。ただし、出入台数偏差DVNが第1偏差DVN1以上である場合、出入台数偏差DVNの大きさによらず、補正係数Kが一定値で保持される。なお、第1偏差DVN1として正の値が設定されている。
【0055】
図6に戻り、補正係数Kの導出を完了すると、移動速度導出部44は、その処理をステップS55に移行する。ステップS55において、移動速度導出部44は、入場台数相関値VNAと、基準時間TMと、補正係数Kとを基に、車列移動速度SPを導出する。本実施形態では、以下の関係式(式1)を用い、移動速度導出部44は、車列移動速度SPを導出する。
【0056】
SP=(K・VNA)/(3・TM) ・・・(式1)
入場台数相関値VNAは、3回分の監視期間TRM中における推定入場台数VNの総和である。そのため、関係式(式1)においては、基準時間TMと「3」との積を分母とすることにより、基準時間TMにおける車両10の移動量の推定値である車列移動速度SPが導出される。すなわち、本実施形態では、ステップS51~S55により、「移動速度導出処理」が構成される。
【0057】
続いて、ステップS56において、解析装置33は、以下に示す2つの条件が何れも成立しているか否かを判定する。
(条件1)上記ステップS41で導出した車列長LQが列長さ判定値LQTh以下であること。
(条件2)出入台数偏差DVNが偏差判定値DVNTh以上であること。
【0058】
入場待機車列130が形成されていたとしても、その長さが比較的短い場合、ほとんど待つことなく車両10を駐車場100に入場させることができる。このような場合、推定所要時間TMSを導出しなくてもよい。そこで、ほとんど待つことなく車両10を駐車場100に入場させることができるか否かの判断基準として、列長さ判定値LQThが設定されている。
【0059】
また、駐車場100からの退場台数と比較して駐車場100への入場台数が過剰である場合、駐車場100内で駐車スペース101を探している車両10が多いと推測できる。駐車場100内で駐車スペース101を探している車両10が多い場合、入場待機車列130が短くても、入場待機車列130に含まれる車両10を駐車場100になかなか入場させることができない。そのため、このような場合、入場待機車列130が短くても推定所要時間TMSを導出することが好ましい。そこで、駐車場100からの退場台数と比較して駐車場100への入場台数が過剰であるか否かの判断基準として、偏差判定値DVNThが設定されている。
【0060】
上記2つの条件(条件1)及び(条件2)の何れもが成立している場合(S56:YES)、解析装置33は、その処理を次のステップS57に移行する。ステップS57において、解析装置33の最後尾車両所要時間導出部46は、所定の時間TMSaを最後尾所要時間TMSeとして設定し、解析装置33の対象車両所要時間導出部48は、所定の時間TMSaを対象車両所要時間TMSmとして設定する。例えば、所定の時間TMSaは「5分」である。そして、解析装置33は、一連の処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS56において、上記2つの条件(条件1)及び(条件2)の少なくとも一方が成立していない場合(NO)、解析装置33は、その処理を次のステップS58に移行する。ステップS58において、最後尾車両所要時間導出部46は、最後尾車両所要時間推定処理を実行することにより、最後尾所要時間TMSeを導出する。また、対象車両所要時間導出部48は、対象車両所要時間推定処理を実行することにより、対象車両所要時間TMSmを導出する。
【0062】
例えば、最後尾車両所要時間導出部46は、最後尾車両所要時間推定処理において、車列長LQを車列移動速度SPで割ったときの商を、最後尾所要時間TMSeとして導出する。また、対象車両所要時間導出部48は、対象車両所要時間推定処理において、上記の規定距離を車列移動速度SPで割ったときの商を、対象車両所要時間TMSmとして導出する。本実施形態では、最後尾所要時間TMSe及び対象車両所要時間TMSmが、推定所要時間TMSの一例である。そして、推定所要時間TMSを導出すると、解析装置33は、一連の処理を終了する。
【0063】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
図2に示すように、駐車場100外に入場待機車列130が形成されている場合、駐車場100から退場する車両10の台数が多いほど、車両10が駐車場100に入場できるまでの所要時間が短いと推測される。当該所要時間が短いということは、入場待機車列130に含まれる車両10の移動速度が大きいと推測できる。また、始動スイッチ15が運転者によってオン操作された車両10は、駐車スペース101から発進して駐車場100から退場すると推測される。そのため、始動スイッチ15がオン操作された車両10が多いほど、駐車場100からの退場台数が多く、ひいては上記の所要時間が短くなると推測できる。
【0064】
本実施形態では、監視期間TRM中における始動台数Xsが取得される。
図2においては、駐車場100内の場内車両10Aのうち、多数のドットが施されている場内車両10Aでは、監視期間TRM中に始動スイッチ15がオン操作されたものである。始動台数Xsが多いほど、駐車場100に入場させることのできる車両10の台数が多いと推測される。そこで、実際の退場台数とある程度の相関性を有する始動台数Xsを基に、車列移動速度SPが導出される。したがって、本実施形態によれば、入場待機車列130に含まれる車両10の移動速度を推定できる。
【0065】
また、本実施形態では、車列移動速度SPに基づいて最後尾所要時間TMSeが導出される。すなわち、多数の車両10の位置情報を駐車が完了するまで監視し続けることなく、最後尾所要時間TMSeを導出できる。また、駐車場100からの退場台数と相関する始動台数Xsに基づいて最後尾所要時間TMSeを導出しているため、この最後尾所要時間TMSeは、現時点での駐車場100の混雑度合いをある程度反映しているといえる。
【0066】
したがって、本実施形態によれば、多数の車両10の位置情報を駐車が完了するまで監視し続けることなく、そのときの駐車場100の混雑度合いを考慮して、これから入場待機車列130に加わる車両10が駐車場100に入場できるまでの所要時間を予測できる。
【0067】
また、これから駐車場100を利用しようとしているユーザや当該ユーザが搭乗している車両10に対して最後尾所要時間TMSeを提供することにより、駐車場100の現時点の混雑度合いをユーザに推測させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、車列移動速度SPに基づいて対象車両所要時間TMSmが導出される。対象車両所要時間TMSmの導出に際しても、最後尾所要時間TMSeと同様に、現時点での駐車場100の混雑度合いをある程度反映させることができる。そして、対象車両に搭乗する乗員に対して対象車両所要時間TMSmを提供することにより、当該乗員は、あとどのくらいで駐車場100に入場できるかを知ることができる。なお、例えば、入場待機車列130に含まれる複数の車両10のうち、所要時間の提供を駐車場情報管理システム30に要求してきた車両を、「対象車両」とするとよい。
【0069】
本実施形態によれば、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1)駐車場100に駐車している車両10で始動スイッチ15がオン操作されても、当該車両10が直ぐに駐車場100から退場するとは限らない。また、始動スイッチ15がオン操作されて車両10がレディ状態になっても、車両10を発進させることなく、始動スイッチ15がオフ操作されることもあり得る。そのため、監視期間TRM(N)中における駐車場100からの退場台数が、監視期間TRM(N)中における始動台数Xs(N)と同じになるとは限らない。そこで、本実施形態では、今回の監視期間TRM(N)における始動台数Xs(N)と、今回の始動台数取得処理よりも以前の始動台数取得処理の実行によって導出された始動台数Xs(N-1),Xs(N-2)とに基づき、退場台数相関値VNSが導出される。このように始動監視期間TRMsが異なる複数の始動台数Xsを基に、退場台数相関値VNSを導出することにより、今回の監視期間TRM(N)中における実際の退場台数と、退場台数相関値VNSとの相関性を高くできる。そして、こうした退場台数相関値VNSに基づいて車列移動速度SPを導出することにより、車列移動速度SPの導出精度を高くできる。
【0070】
(2)ある監視期間TRM中においては、駐車場100からの退場台数よりも駐車場100への入場台数のほうが多かったとする。この場合、駐車場100に入場した車両10のうち、一部の車両10は、駐車スペース101が見つかるまで駐車場100内で待機することとなる。このような場合、駐車場100外で待機している車両10は、なかなか駐車場100に入場できないことになる。その結果、入場待機車列130に含まれる各車両10はなかなか前に進めないことになる。
【0071】
また、ある監視期間TRM中においては、駐車場100からの退場台数のほうが駐車場100への入場台数よりも多かったとする。この場合、駐車場100内では、車両10が駐車されていない駐車スペース101が存在することになる。このような場合、駐車場100外で待機している車両10は、駐車場100内に入場して駐車スペース101に駐車しやすくなる。
【0072】
そこで、本実施形態では、今回の監視期間TRM(N)中における駐車場100への入場台数の推定値として推定入場台数VN(N)が導出される。そして、始動台数Xs(N)だけではなく推定入場台数VN(N)も考慮して車列移動速度SPが導出される。これにより、車列移動速度SPの導出精度を高くできる。
【0073】
(3)本実施形態では、今回の入場台数推定処理の実行によって導出された推定入場台数VN(N)と、今回の入場台数推定処理よりも以前の入場台数推定処理の実行によって導出された推定入場台数VN(N-1),VN(N-2)とに基づき、入場台数相関値VNAが導出される。このように入場監視期間TRMaが異なる複数の推定入場台数VNの値を基に、入場台数相関値VNAを導出することにより、今回の監視期間TRM(N)中における実際の入場台数と、入場台数相関値VNAとの相関性を高くできる。こうした入場台数相関値VNAに基づいて車列移動速度SPを導出することにより、車列移動速度SPの導出精度を高くできる。
【0074】
(4)入場待機車列130を形成する車両10の監視期間TRM(N)における移動距離が長いということは、入場口102から駐車場100内に入場した車両10が多いと推測できる。そこで、本実施形態では、入場待機車列130に含まれる車両10の位置情報を基に、監視期間TRM(N)中における待機列中移動距離LAが導出される。そして、待機列中移動距離LAを基に、推定入場台数VNが導出される。すなわち、入場口102から駐車場100に入場する車両10を監視する機能を設けなくても、監視期間TRM中における入場台数を推定できる。
【0075】
(5)本実施形態では、入場待機車列130を形成する車両10の中から最後尾車両10Dが特定され、入場口102の位置と、最後尾車両10Dの位置とを基に、車列長LQが導出される。すなわち、待機列エリア120内に位置する各車両10の位置情報を把握することにより、車列長LQを導出できる。そして、こうした車列長LQを基に最後尾所要時間TMSeが導出されるため、最後尾所要時間TMSeを精度良く推定できる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、駐車場情報管理システムの第2実施形態を
図2及び
図8に従って説明する。以下の説明においては、監視期間TRM(N)中における推定入場台数VN(N)を導出する手法が第1実施形態と異なっている。そこで、第2実施形態では、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0077】
図2を参照し、本実施形態における入場台数推定処理の概略について説明する。
待機列エリア120内に所定の測定エリア121が予め設定されている。測定エリア121が、駐車場100外において入場口102付近で入場待機車列130が形成される所定の「入場待機エリア」に該当する。待機列エリア120を走行して駐車場100に入場する車両10が測定エリア121を通過できるような位置に測定エリア121が設定されている。すなわち、待機列エリア120の一部分が測定エリア121に設定されている。この場合、車両10の位置情報を監視することにより、測定エリア121に車両10が進入した時刻である進入時刻Tapと、測定エリア121から入場口102の方向に車両10が退出した時刻である退出時刻Tetとが把握される。また、測定エリア121は予め設定されているエリアであるため、車両10の進行方向における測定エリア121の長さである測定エリア長さLMは予め把握されている。測定エリア長さLMと、進入時刻Tapと、退出時刻Tetとを基に、車両10が測定エリア121内を走行するときの車両10の移動速度であるエリア内移動速度SPbが導出される。そして、エリア内移動速度SPbと、監視期間TRMの長さである基準時間TMとを基に、推定入場台数VNが導出される。
【0078】
図8を参照し、推定入場台数VNを導出するために解析装置33が実行する一連の処理について説明する。
はじめのステップS71において、解析装置33の入場台数導出部42は、計測中フラグFLGにオンがセットされているか否かを判定する。計測中フラグFLGは、入場待機車列130に含まれる複数の車両10の中から計測車両が設定されているときにはオンがセットされる一方、計測車両が設定されていないときにはオフがセットされるフラグである。計測車両については後述する。計測中フラグFLGにオンがセットされている場合(S71:YES)、入場台数導出部42は、その処理をステップS77に移行する。一方、計測中フラグFLGにオフがセットされている場合(S71:NO)、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS72に移行する。
【0079】
ステップS72において、入場台数導出部42は、入場待機車列130に含まれる各車両10の中の1台を監視車両とし、監視車両が測定エリア121内で停車又は徐行しているか否かを判定する。監視車両が測定エリア121内に位置していない場合(S72:NO)、入場台数導出部42は、一連の処理を一旦終了する。次に当該一連の処理を実行する場合、入場台数導出部42は、別の車両10を監視車両とする。
【0080】
一方、ステップS72において、監視車両が測定エリア121内で停車又は徐行しているとの判定をなしている場合(YES)、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS73に移行する。ステップS73において、入場台数導出部42は、一連の処理の前回の実行時では測定エリア121よりも入場口102から離れたエリアで監視車両が停車又は徐行していたか否かを判定する。一連の処理の前回の実行時では監視車両が測定エリア121内で停車又は徐行していた場合は、測定エリア121よりも入場口102から離れたエリアで監視車両が停車又は徐行していたと見なさない。また、一連の処理の前回の実行時では測定エリア121と入場口102との間のエリアで監視車両が停車又は徐行していた場合は、測定エリア121よりも入場口102から離れたエリアで監視車両が停車又は徐行していたと見なさない。測定エリア121よりも入場口102から離れたエリアで監視車両が停車又は徐行していたとの判定がなされない場合(S73:NO)、入場台数導出部42は、その処理をステップS77に移行する。一方、測定エリア121よりも入場口102から離れたエリアで監視車両が停車又は徐行していたとの判定がなされている場合(S73:YES)、監視車両が測定エリア121内に進入したと判断できるため、入場台数導出部42は、その処理をステップS74に移行する。
【0081】
ステップS74において、入場台数導出部42は、監視車両を計測車両に指定する。続いて、ステップS75において、入場台数導出部42は、現在時刻を進入時刻Tapとして設定する。そして、ステップS76において、入場台数導出部42は、計測中フラグFLGにオンをセットする。その後、入場台数導出部42は、その処理をステップS77に移行する。
【0082】
ステップS77において、入場台数導出部42は、監視車両が計測車両であるか否かを判定する。監視車両が計測車両ではない場合(S77:NO)、入場台数導出部42は、一連の処理を一旦終了する。次に当該一連の処理を実行する場合、入場台数導出部42は、別の車両10を監視車両とする。
【0083】
一方、監視車両が計測車両である場合(S77:YES)、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS78に移行する。ステップS78において、入場台数導出部42は、計測車両が停車又は徐行しているか否かを判定する。計測車両が停車又は徐行しているとの判定をなさない場合(S78:NO)、計測車両が駐車場100に入場したり、計測車両が駐車場100の入場待ちをしていなかったりする可能性がある。そのため、入場台数導出部42は、その処理をステップS83に移行する。一方、計測車両が停車又は徐行しているとの判定をなしている場合(S78:YES)、入場台数導出部42は、その処理をステップS79に移行する。
【0084】
ステップS79において、入場台数導出部42は、計測車両が測定エリア121から入場口102の方向に退出しているか否かを判定する。計測車両が測定エリア121内に位置している場合は、計測車両が測定エリア121から入場口102の方向に退出していないと見なす。計測車両が測定エリア121から入場口102の方向に退出していない場合(S79:NO)、入場台数導出部42は、一連の処理を一旦終了する。一方、計測車両が測定エリア121から入場口102の方向に退出している場合(S79:YES)、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS80に移行する。ステップS80において、入場台数導出部42は、一連の処理の前回の実行時では、計測車両が測定エリア121内に位置していたか否かを判定する。計測車両が測定エリア121内に位置していなかった場合(S80:NO)、入場台数導出部42は、一連の処理を一旦終了する。一方、計測車両が測定エリア121内に位置していた場合(S80:YES)、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS81に移行する。
【0085】
ステップS81において、入場台数導出部42は、エリア内移動速度SPbを導出する。ステップS81が実行される時刻は、計測車両が測定エリア121から退出した時刻である退出時刻Tetと見なせる。そこで、入場台数導出部42は、退出時刻Tetと進入時刻Tapとの差をエリア内移動時間TMAとして導出する。エリア内移動時間TMAとは、計測車両が測定エリア121に進入した時点から計測車両が測定エリア121から入場口102の方向に退出するまでに要した時間である。そして、入場台数導出部42は、測定エリア長さLMをエリア内移動時間TMAで割った値をエリア内移動速度SPbとして導出する。エリア内移動速度SPbは、計測車両が測定エリア121を通過する際の移動速度の平均値であるともいえる。
【0086】
次のステップS82において、入場台数導出部42は、監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出する。すなわち、入場台数導出部42は、エリア内移動速度SPb、監視期間TRM(N)の長さである基準時間TM、及び、上記の基準長さLCを基に、推定入場台数VN(N)を導出する。エリア内移動速度SPbと基準時間TMとの積が、監視期間TRM(N)中における車両10の移動距離に相当する。そのため、入場台数導出部42は、エリア内移動速度SPbと基準時間TMとの積を基準長さLCで割った際の商を、監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)として導出できる。推定入場台数VN(N)を導出すると、入場台数導出部42は、その処理を次のステップS83に移行する。
【0087】
ステップS83において、入場台数導出部42は、進入時刻Tap及び退出時刻Tetをリセットする。続いて、入場台数導出部42は、ステップS84において計測中フラグFLGにオフをセットし、その後、一連の処理を一旦終了する。
【0088】
すなわち、本実施形態によれば、入場待機車列130に含まれる車両10の中から最後尾車両10Dを特定しなくても、推定入場台数VN(N)を導出できる。
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0089】
・待機列中移動距離LAを導出できるのであれば、上記各実施形態で説明した手法とは異なる手法で待機列中移動距離LAを導出してもよい。例えば、入場待機車列130に含まれる各車両10のうち、最後尾車両10D以外の他の車両を特定車両とし、監視期間TRM(N)中における特定車両の移動量を待機列中移動距離LAとしてもよい。監視期間TRM(N)中における特定車両の移動量は、監視期間TRM(N)の開始時点における特定車両の位置と、監視期間TRM(N)の終了時点における特定車両の位置とを基に取得できる。
【0090】
・推定入場台数VNを導出できるのであれば、上記各実施形態で説明した手法とは異なる手法で推定入場台数VNを導出してもよい。例えば、入場口102から駐車場100に入場する車両10を監視できる装置が駐車場100に設けられている場合、当該装置から得た情報を基に、監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出してもよい。また例えば、発券機が入場口102に設置されている場合、駐車チケットの発行数を基に、監視期間TRM(N)における推定入場台数VN(N)を導出することもできる。
【0091】
・補正係数Kを導出する場合、
図7に示したマップを用いなくてもよい。例えば、出入台数偏差DVNが正の値であるときには第1所定値を補正係数Kとして導出し、出入台数偏差DVNが負の値であるときには第2所定値を補正係数Kとして導出してもよい。この場合、「1」よりも大きい値が第1所定値として設定される。また、「0」よりも大きく且つ「1」未満の値が第2所定値として設定される。
【0092】
・車列移動速度SPを導出する際に、補正係数Kを用いなくてもよい。
・上記各実施形態において、退場台数相関値VNSを導出するに際し、始動台数Xs(N)を用いなくてもよい。例えば、始動台数Xs(N-1)と、始動台数Xs(N-2)と、始動台数Xs(N-3)との和を、退場台数相関値VNSとしてもよい。このような場合であっても、始動監視期間TRMsが異なる複数の始動台数Xsを基に、退場台数相関値VNS及び車列移動速度SPを導出できる。
【0093】
・上記各実施形態において、入場台数相関値VNAを導出するに際し、推定入場台数VN(N)を用いなくてもよい。例えば、推定入場台数VN(N-1)と、推定入場台数VN(N-2)と、推定入場台数VN(N-3)との和を、入場台数相関値VNAとしてもよい。このような場合であっても、入場監視期間TRMaが異なる複数の推定入場台数VNを基に、入場台数相関値VNA及び車列移動速度SPを導出できる。
【0094】
・上記各実施形態では、退場台数相関値VNSとして、始動台数Xs(N)と、始動台数の前回値Xs(N-1)と、始動台数の前々回値Xs(N-2)との和を導出している。しかし、実際の退場台数と相関する値を退場台数相関値VNSとできるのであれば、これに限らない。例えば、始動台数Xs(N)と、始動台数の前回値Xs(N-1)と、始動台数の前々回値Xs(N-2)との和を「3」で割った値を、退場台数相関値VNSとしてもよい。また、始動台数Xs(N)と、始動台数の前回値Xs(N-1)と和を退場台数相関値VNSとしてもよいし、当該和を「2」で割った値を退場台数相関値VNSとしてもよい。また、始動台数Xs(N)を退場台数相関値VNSとしてもよい。
【0095】
また、入場台数相関値VNAとして、推定入場台数VN(N)と、推定入場台数の前回値VN(N-1)と、推定入場台数の前々回値VN(N-2)との和を導出している。しかし、実際の入場台数と相関する値を入場台数相関値VNAとできるのであれば、これに限らない。例えば、推定入場台数VN(N)と、推定入場台数の前回値VN(N-1)と、推定入場台数の前々回値VN(N-2)との和を「3」で割った値を、入場台数相関値VNAとしてもよい。また、推定入場台数VN(N)と、推定入場台数の前回値VN(N-1)と和を入場台数相関値VNAとしてもよいし、当該和を「2」で割った値を入場台数相関値VNAとしてもよい。また、推定入場台数VN(N)を入場台数相関値VNAとしてもよい。
【0096】
・始動台数Xs(N)に基づいて車列移動速度SPを導出するのであれば、車列移動速度SPの導出に際して推定入場台数VN(N)を考慮しなくてもよい。
・待機列エリア120内で路上駐車している車両が存在する場合がある。路上駐車している車両を「路上駐車車両」とした場合、路上駐車車両を最後尾車両10Dと誤って特定する可能性がある。そのため、複数の候補車両10Bの中から最後尾車両10Dを特定する場合には、候補車両10B(S)の前方に先行車が存在しているか否かを判定し、候補車両10B(S)の前方に先行車が存在していない場合には、候補車両10B(S)を路上駐車車両である可能性があるため、候補車両10B(S)を最後尾車両10Dと特定しないようにしてもよい。なお、候補車両10B(S)よりも前方に所定のエリアを設定し、当該所定のエリア内に車両が存在するときには候補車両10B(S)の前方に先行車が存在しているとの判定をなし、当該所定のエリア内に車両が存在しないときには候補車両10B(S)の前方に先行車が存在しているとの判定をなさないようにするとよい。
【0097】
・始動台数取得処理では、駐車場100内において、監視期間TRM(N)中に始動スイッチ15がオン操作された複数の場内車両10Aのうち、駐車スペース101からの発進を検知した場内車両10Aの台数を、監視期間TRM(N)における始動台数Xs(N)として取得するようにしてもよい。
【0098】
・上記各実施形態では、入場監視期間TRMaの開始タイミングを始動監視期間TRMsの開始タイミングと同じとし、入場監視期間TRMaの終了タイミングを始動監視期間TRMsの終了タイミングと同じとしているが、これに限らない。第1所定時間TM1の長さが第2所定時間TM2の長さと同じであれば、入場監視期間TRMaの開始タイミングを始動監視期間TRMsの開始タイミングと異ならせてもよい。
【0099】
・第1所定時間TM1の長さは、第2所定時間TM2の長さと異なっていてもよい。この場合、第2所定時間TM2を第1所定時間TM1で割った値を補正値とした場合、推定入場台数VNと補正値との積を、補正前の推定入場台数VNの代わりに用いればよい。
【0100】
・上記各実施形態において、最後尾所要時間TMSeを導出するのであれば、対象車両所要時間TMSmを導出しなくてもよい。反対に、対象車両所要時間TMSmを導出するのであれば、最後尾所要時間TMSeを導出しなくてもよい。
【0101】
・上記各実施形態において、車列移動速度SPを導出するのであれば、対象車両所要時間TMSm及び最後尾所要時間TMSeの何れも導出しなくてもよい。
・入場待機車列130に含まれる車両10、又は、これから入場待機車列130に加わろうとする車両10が、駐車スペース101に駐車できるまでの所要時間である駐車所要時間の推定値を導出するようにしてもよい。例えば、車両10が駐車場100に入場してから駐車スペース101に駐車できるまでの時間である入場後時間を、上記の推定所要時間TMSに加算することにより、駐車所要時間を導出できる。この際、出入台数偏差DVNが大きい場合には、出入台数偏差DVNが小さい場合よりも出入台数偏差DVNが小さくなるように、出入台数偏差DVNを導出するとよい。
【0102】
次に、上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)複数の車両から受信した情報を基に駐車場を管理する駐車場情報管理方法であって、
実行装置に、
前記駐車場の駐車スペースに駐車している複数の車両のうち、第1所定時間の始動監視期間中に車両の始動スイッチがオン操作された車両の台数である始動台数を取得する始動台数取得処理と、
前記始動台数取得処理で取得した前記始動台数を基に、前記駐車場への入場を目的として当該駐車場外で待機している複数の車両の列である入場待機車列に含まれる車両の移動速度である車列移動速度を導出する移動速度導出処理と、を実行させる駐車場情報管理方法。
【0103】
上記の各処理を実行装置に実行させることにより、入場待機車列に含まれる車両の移動速度を推定できるようになる。
【符号の説明】
【0104】
10…車両
10D…最後尾車両
15…始動スイッチ
30…駐車場情報管理システム
33…実行装置の一例である解析装置
41…始動台数取得部
42…入場台数導出部
43…特定車両位置取得部
44…移動速度導出部
45…車列長導出部
46…最後尾車両所要時間導出部
47…対象車両距離取得部
48…対象車両所要時間導出部
100…駐車場
101…駐車スペース
102…入場口
120…待機列エリア
121…入場待機エリアの一例である測定エリア
130…入場待機車列