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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025687
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/365 20071001AFI20220203BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20220203BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20220203BHJP
   F16H 3/02 20060101ALI20220203BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
B60K6/365 ZHV
B60K6/387
B60K6/40
F16H3/02 Z
B60K17/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128652
(22)【出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 涼太
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
3J528
【Fターム(参考)】
3D039AA03
3D039AB01
3D039AB27
3D039AC37
3D039AD53
3D202AA02
3D202AA03
3D202EE09
3D202EE11
3D202EE16
3D202EE23
3D202FF07
3D202FF15
3J528EA25
3J528FB04
3J528FB12
3J528GA02
3J528JJ04
(57)【要約】
【課題】第1軸部材と第2軸部材とを備えた構成において、径方向の寸法を小さく抑えることができる車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】第1軸部材1及び第2軸部材2と、第1軸部材1と同軸の第1ギヤG1及び第3ギヤG3と、第2軸部材2と同軸で、それらのギヤに噛み合う第2ギヤG2及び第4ギヤG4と、第1ギヤG1と駆動連結されたロータギヤRG1を備えた回転電機MG1と、を備え、第1ギヤG1と第2ギヤG2との間の動力伝達経路の変速比と、第3ギヤG3と第4ギヤG4との間の動力伝達経路の変速比とが異なり、第1軸部材1と第1ギヤG1との間の動力伝達を断接する第1係合装置51と、第2軸部材2と第2ギヤG2との間の動力伝達を断接する第2係合装置52と、第1軸部材1と第3ギヤG3との間の動力伝達を断接する第3係合装置53と、が設けられ、第1係合装置51と第2係合装置52とが、軸方向Lの異なる領域に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記入力部材との間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、前記入力部材に駆動連結された第1軸部材と、
前記出力部材との間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、前記出力部材に駆動連結された第2軸部材と、
前記第1軸部材に対して相対的に回転するように前記第1軸部材と同軸に配置された第1ギヤと、
前記第2軸部材に対して相対的に回転するように前記第2軸部材と同軸に配置され、前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、
前記第1軸部材と同軸に配置された第3ギヤと、
前記第2軸部材と同軸に配置され、前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤと、
ロータ、及び前記ロータと一体的に回転するロータギヤを備えた回転電機と、を備え、
前記ロータギヤは、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのいずれか一方と駆動連結され、
前記第1ギヤと前記第2ギヤとの間の動力伝達経路の変速比と、前記第3ギヤと前記第4ギヤとの間の動力伝達経路の変速比とが互いに異なり、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材のいずれか一方を第1対象軸として、
前記第3ギヤ及び前記第4ギヤのうち、前記第1対象軸と同軸のギヤは、前記第1対象軸に対して相対的に回転するように構成された第1遊転ギヤであり、
前記第1軸部材と前記第1ギヤとの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、前記第2軸部材と前記第2ギヤとの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、前記第1対象軸と前記第1遊転ギヤとの間の動力伝達を断接する第3係合装置と、が設けられ、
前記第1係合装置と前記第2係合装置とが、軸方向の異なる領域に配置されている、車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第1係合装置及び前記第2係合装置のうち、前記第1対象軸に対応する係合装置を第1対象係合装置として、
前記第1対象係合装置と前記第3係合装置とが、前記第1対象係合装置の係合の状態と前記第3係合装置の係合の状態とを切り替える第1切替部材を備えた第1噛み合い式係合装置を構成し、
前記第1噛み合い式係合装置は、前記第1切替部材の位置に応じて、前記第1対象係合装置及び前記第3係合装置のいずれか一方が係合状態であって、いずれか他方が解放状態である動力伝達状態と、前記第1対象係合装置及び前記第3係合装置の双方が解放状態であるニュートラル状態と、に切り替え可能に構成されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第1軸部材と同軸に配置された第5ギヤと、
前記第2軸部材と同軸に配置され、前記第5ギヤに噛み合う第6ギヤと、を更に備え、
前記第1ギヤと前記第2ギヤとの間の動力伝達経路の変速比と、前記第3ギヤと前記第4ギヤとの間の動力伝達経路の変速比と、前記第5ギヤと前記第6ギヤとの間の動力伝達経路の変速比とが互いに異なり、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材のうち、前記第1対象軸ではない方を第2対象軸とし、前記第1係合装置及び前記第2係合装置のうち、前記第2対象軸に対応する係合装置を第2対象係合装置として、
前記第5ギヤ及び前記第6ギヤのうち、前記第2対象軸と同軸のギヤは、前記第2対象軸に対して相対的に回転するように構成された第2遊転ギヤであり、
前記第2対象軸と前記第2遊転ギヤとの間の動力伝達を断接する第4係合装置が設けられ、
前記第2対象係合装置と前記第4係合装置とが、前記第2対象係合装置の係合の状態と前記第4係合装置の係合の状態とを切り替える第2切替部材を備えた第2噛み合い式係合装置を構成し、
前記第2噛み合い式係合装置は、前記第2切替部材の位置に応じて、前記第2対象係合装置及び前記第4係合装置のいずれか一方が係合状態であって、いずれか他方が解放状態である動力伝達状態と、前記第2対象係合装置及び前記第4係合装置の双方が解放状態であるニュートラル状態と、に切り替え可能に構成されている、請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記ロータは、前記第1軸部材及び前記第2軸部材の双方とは別軸に配置され、
前記ロータと前記第3ギヤとの前記軸方向の配置領域が互いに重なっている、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機と、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、入力部材に駆動連結された第1軸部材と、出力部材に駆動連結された第2軸部材と、第1軸部材と同軸に配置された第1ギヤと、第2軸部材と同軸に配置され、第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、第1軸部材と第1ギヤとの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、第2軸部材と第2ギヤとの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用駆動装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、「背景技術」及び「発明が解決しようとする課題」の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の車両用駆動装置(1)は、内燃機関(91)に駆動連結された第1軸部材(2)と、差動歯車機構(94)の差動入力ギヤ(941)に噛み合う差動用駆動ギヤ(33)と一体的に回転するように連結された第2軸部材(3)と、第1軸部材(2)に対して相対的に回転する第1ギヤ(45D)と、当該第1ギヤに噛み合い、第2軸部材(3)に対して相対的に回転する第2ギヤ(45F)と、第1ギヤ(45D)に噛み合うロータギヤ(61)を備えた回転電機(93)と、第1軸部材(2)と第1ギヤ(45D)との間の動力伝達を断接する第1係合装置(62)と、第2軸部材(3)と第2ギヤ(45F)との間の動力伝達を断接する第2係合装置(64)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-140127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車両用駆動装置(1)では、第1軸部材(2)に設けられた要素と第2軸部材(3)に設けられた要素との干渉を回避するため、第1軸部材(2)と第2軸部材(3)との径方向の距離を十分に確保する必要がある。そのため、車両用駆動装置(1)が径方向に大型化し易いという課題があった。
【0006】
そこで、第1軸部材と第2軸部材とを備えた構成において、径方向の寸法を小さく抑えることができる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、車両用駆動装置の特徴構成は、
内燃機関に駆動連結される入力部材と、
車輪に駆動連結される出力部材と、
前記入力部材との間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、前記入力部材に駆動連結された第1軸部材と、
前記出力部材との間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、前記出力部材に駆動連結された第2軸部材と、
前記第1軸部材に対して相対的に回転するように前記第1軸部材と同軸に配置された第1ギヤと、
前記第2軸部材に対して相対的に回転するように前記第2軸部材と同軸に配置され、前記第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、
前記第1軸部材と同軸に配置された第3ギヤと、
前記第2軸部材と同軸に配置され、前記第3ギヤに噛み合う第4ギヤと、
ロータ、及び前記ロータと一体的に回転するロータギヤを備えた回転電機と、を備え、
前記ロータギヤは、前記第1ギヤ及び前記第2ギヤのいずれか一方と駆動連結され、
前記第1ギヤと前記第2ギヤとの間の動力伝達経路の変速比と、前記第3ギヤと前記第4ギヤとの間の動力伝達経路の変速比とが互いに異なり、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材のいずれか一方を第1対象軸として、
前記第3ギヤ及び前記第4ギヤのうち、前記第1対象軸と同軸のギヤは、前記第1対象軸に対して相対的に回転するように構成された第1遊転ギヤであり、
前記第1軸部材と前記第1ギヤとの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、前記第2軸部材と前記第2ギヤとの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、前記第1対象軸と前記第1遊転ギヤとの間の動力伝達を断接する第3係合装置と、が設けられ、
前記第1係合装置と前記第2係合装置とが、軸方向の異なる領域に配置されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、第1軸部材と第1ギヤとの間の動力伝達を断接する第1係合装置の軸方向の配置領域と、第2軸部材と第2ギヤとの間の動力伝達を断接する第2係合装置の軸方向の配置領域と、が重なっていない。つまり、第1係合装置と第2係合装置とが、互いに軸方向にずれた位置に配置されている。そのため、第1係合装置と第2係合装置との軸方向の配置領域が互いに重なっている構成と比べて、第1係合装置と第2係合装置とを径方向に近付けて配置することができる。したがって、第1軸部材と第2軸部材とを備えた構成において、車両用駆動装置の径方向の寸法を小さく抑えることが可能となっている。
また、本構成によれば、第1係合装置及び第3係合装置の双方を解放状態とし、第2係合装置を係合状態とすることで、動作モードを、内燃機関及び回転電機のうち、回転電機のみの駆動力により車両を走行させるEVモードとすることができる。また、第1係合装置を係合状態とし、第2係合装置及び第3係合装置の双方を解放状態とすることで、動作モードを、内燃機関の駆動力により回転電機に発電を行わせる充電モードとすることができる。
更に、本構成によれば、第1係合装置及び第2係合装置の双方を係合状態とし、第3係合装置を解放状態とすることで、第1の変速段を形成することができる。また、第1係合装置を解放状態とし、第3係合装置を係合状態とすることで、第2の変速段を形成することができる。これにより、内燃機関の駆動力を車両の走行に利用する動作モードにおいて、入力部材の回転を、形成された変速段に応じた変速比で変速して出力部材に伝達することができる。また、第2の変速段を形成した状態では、第2係合装置を係合状態とするか解放状態とするかに応じて、回転電機の駆動力を車輪に伝達するか否かを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向に沿う断面図
図2】実施形態に係る車両用駆動装置のスケルトン図
図3】実施形態に係る車両用駆動装置における要部拡大断面図
図4】実施形態に係る車両用駆動装置の各動作モードにおける各要素の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る車両用駆動装置100について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、車両用駆動装置100は、内燃機関EGに駆動連結される入力部材Iと、車輪Wに駆動連結される出力部材Oと、入力部材Iに駆動連結された第1軸部材1と、出力部材Oに駆動連結された第2軸部材2と、第1軸部材1と同軸に配置された第1ギヤG1及び第3ギヤG3と、第2軸部材2と同軸に配置された第2ギヤG2及び第4ギヤG4と、第1ロータギヤRG1を備えた第1回転電機MG1と、を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、第2ロータギヤRG2を備えた第2回転電機MG2と、差動歯車機構4と、カウンタギヤ機構6と、第1ギヤG1及び第1ロータギヤRG1のそれぞれに噛み合うアイドラギヤIGと、第1軸部材1と同軸に配置された第5ギヤG5、第7ギヤG7、及び第9ギヤG9と、第2軸部材2と同軸に配置された第6ギヤG6、第8ギヤG8、及び第10ギヤG10と、を更に備えている。また、本実施形態では、車両用駆動装置100を構成する上記の要素は、ケースCS(図1参照)に収容されている。
【0011】
ここで、本願において「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。なお、伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等が含まれていても良い。
【0012】
本実施形態では、入力部材I、第1軸部材1、第1ギヤG1、第3ギヤG3、第5ギヤG5、第7ギヤG7、及び第9ギヤG9が、それらの回転軸心としての第1軸X1上に配置されている。また、第2軸部材2、第4ギヤG4、第6ギヤG6、第8ギヤG8、及び第10ギヤG10が、それらの回転軸心としての第2軸X2上に配置されている。また、第1回転電機MG1が、その回転軸心としての第3軸X3上に配置されている。また、アイドラギヤIGが、その回転軸心としての第4軸X4上に配置されている。また、第2回転電機MG2が、その回転軸心としての第5軸X5上に配置されている。また、カウンタギヤ機構6が、その回転軸心としての第6軸X6上に配置されている。また、差動歯車機構4が、その回転軸心としての第7軸X7上に配置されている。
【0013】
本例では、上記の軸X1~X7は、互いに平行に配置されている。以下の説明では、上記の軸X1~X7に平行な方向を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とする。そして、軸方向Lにおいて、内燃機関EGに対して入力部材Iが配置される側を「軸方向第1側L1」とし、その反対側を「軸方向第2側L2」とする。また、上記の軸X1~X7のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向R」とする。なお、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合や、どの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向R」と記す場合がある。
【0014】
本実施形態では、入力部材Iは、軸方向Lに沿って延在する入力軸3である。入力軸3は、伝達されるトルクの変動を減衰するダンパ装置DPを介して、内燃機関EGの出力軸Eoに駆動連結されている。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。
【0015】
第1軸部材1は、入力部材Iとの間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、入力部材Iに駆動連結されている。つまり、第1軸部材1と入力部材Iとの間の動力伝達経路には、当該動力伝達経路の変速比を切り替える要素(例えば、有段変速機や無段変速機等)が設けられていない。また、本実施形態では、第1軸部材1と入力軸3(入力部材I)との間には、クラッチ等の係合要素も設けられていない。つまり、第1軸部材1は、入力軸3(入力部材I)と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、第1軸部材1は、入力軸3(入力部材I)と一体的に形成されている。
【0016】
第2軸部材2は、出力部材Oとの間の動力伝達経路の変速比が一定となるように、出力部材Oに駆動連結されている。つまり、第2軸部材2と出力部材Oとの間の動力伝達経路には、当該動力伝達経路の変速比を切り替える要素(例えば、有段変速機や無段変速機等)が設けられていない。また、本実施形態では、第2軸部材2と出力部材Oとの間には、クラッチ等の係合要素も設けられていない。
【0017】
第1ギヤG1は、第1軸部材1に対して相対的に回転するように支持されている。第2ギヤG2は、第2軸部材2に対して相対的に回転するように支持されている。第2ギヤG2は、第1ギヤG1に噛み合っている。
【0018】
第3ギヤG3と第4ギヤG4とは、互いに噛み合っている。本実施形態では、第3ギヤG3は、第1ギヤG1よりも軸方向第2側L2に配置されている。また、第4ギヤG4は、第2ギヤG2よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0019】
第3ギヤG3及び第4ギヤG4のうち、第1対象軸A1と同軸のギヤは、第1対象軸A1に対して相対的に回転するように構成された「第1遊転ギヤFG1」である。第1対象軸A1は、第1軸部材1及び第2軸部材2のいずれか一方である。本実施形態では、第1軸部材1が、第1対象軸A1に相当する。そのため、本実施形態では、第1軸部材1と同軸の第3ギヤG3が、第1軸部材1に対して相対的に回転する第1遊転ギヤFG1に相当する。一方、本実施形態では、第4ギヤG4は、第2軸部材2と一体的に回転するように連結されている。
【0020】
第5ギヤG5と第6ギヤG6とは、互いに噛み合っている。本実施形態では、第5ギヤG5は、第1ギヤG1よりも軸方向第1側L1に配置されている。また、第6ギヤG6は、第2ギヤG2よりも軸方向第1側L1に配置されている。
【0021】
第5ギヤG5及び第6ギヤG6のうち、第2対象軸A2と同軸のギヤは、第2対象軸A2に対して相対的に回転するように構成された「第2遊転ギヤFG2」である。第2対象軸A2は、第1軸部材1及び第2軸部材2のうち、第1対象軸A1ではない方である。本実施形態では、第2軸部材2が、第2対象軸A2に相当する。そのため、本実施形態では、第2軸部材2と同軸の第6ギヤG6が、第2軸部材2に対して相対的に回転する第2遊転ギヤFG2に相当する。一方、本実施形態では、第5ギヤG5は、第1軸部材1と一体的に回転するように連結されている。
【0022】
第7ギヤG7と第8ギヤG8とは、互いに噛み合っている。本実施形態では、第7ギヤG7は、第3ギヤG3よりも軸方向第2側L2に配置されている。また、第8ギヤG8は、第4ギヤG4よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0023】
本実施形態では、第7ギヤG7は、第1軸部材1と一体的に回転するように連結されている。また、第8ギヤG8は、第2軸部材2に対して相対的に回転するように支持されている。
【0024】
第9ギヤG9と第10ギヤG10とは、互いに噛み合っている。本実施形態では、第9ギヤG9は、第7ギヤG7よりも軸方向第2側L2に配置されている。また、第10ギヤG10は、第8ギヤG8よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0025】
本実施形態では、第9ギヤG9は、第1軸部材1と一体的に回転するように連結されている。また、第10ギヤG10は、第2軸部材2に対して相対的に回転するように支持されている。
【0026】
第1ギヤG1と第2ギヤG2との間の動力伝達経路の変速比と、第3ギヤG3と第4ギヤG4との間の動力伝達経路の変速比と、第5ギヤG5と第6ギヤG6との間の動力伝達経路の変速比と、第7ギヤG7と第8ギヤG8との間の動力伝達経路の変速比と、第9ギヤG9と第10ギヤG10との間の動力伝達経路の変速比とが、が互いに異なっている。つまり、第1ギヤG1と、第3ギヤG3と、第5ギヤG5と、第7ギヤG7と、第9ギヤG9との歯数が互いに異なっている。そして、第2ギヤG2と、第4ギヤG4と、第6ギヤG6と、第8ギヤG8と、第10ギヤG10との歯数が互いに異なっている。本実施形態では、第9ギヤG9、第7ギヤG7、第5ギヤG5、第1ギヤG1、第3ギヤG3の順に歯数が多くなっている。そして、第10ギヤG10、第8ギヤG8、第6ギヤG6、第2ギヤG2、第4ギヤG4の順に歯数が少なくなっている。そのため、本実施形態では、第10ギヤG10に対する第9ギヤG9の歯数比、第8ギヤG8に対する第7ギヤG7の歯数比、第6ギヤG6に対する第5ギヤG5の歯数比、第2ギヤG2に対する第1ギヤG1の歯数比、第4ギヤG4に対する第3ギヤG3の歯数比の順に小さくなっている。
【0027】
本実施形態では、第10ギヤG10よりも軸方向第2側L2に、差動用駆動ギヤDGが設けられている。差動用駆動ギヤDGは、第2軸部材2と同軸に配置されている。差動用駆動ギヤDGは、第2軸部材2と一体的に回転するように連結されている。図1に示す例では、差動用駆動ギヤDGは、第2軸部材2と一体的に形成されている。
【0028】
差動歯車機構4は、当該差動歯車機構4の入力要素である差動入力ギヤ41を備えている。差動歯車機構4は、差動入力ギヤ41の回転を、それぞれが車輪Wに駆動連結された一対のドライブシャフトDSに分配する。差動入力ギヤ41は、差動用駆動ギヤDGに噛み合っている。本実施形態では、差動入力ギヤ41が出力部材Oとして機能する。
【0029】
本実施形態では、差動歯車機構4は、上記の差動入力ギヤ41に加えて、差動ケース42と、一対のピニオンギヤ43と、一対のサイドギヤ44と、を備えている。ここでは、一対のピニオンギヤ43、及び一対のサイドギヤ44は、いずれも傘歯車である。
【0030】
差動ケース42は、差動入力ギヤ41と一体的に回転するように連結されている。具体的には、差動ケース42から径方向Rの外側に差動入力ギヤ41が突出するように、それらが一体的に連結されている。差動ケース42は、中空の部材である。差動ケース42の内部には、一対のピニオンギヤ43と、一対のサイドギヤ44と、が収容されている。
【0031】
一対のピニオンギヤ43は、第7軸X7を基準とした径方向Rに沿って互いに間隔を空けて対向するように配置されている。そして、一対のピニオンギヤ43のそれぞれは、差動ケース42と一体的に回転するように支持されたピニオンシャフト43aに取り付けられている。一対のピニオンギヤ43のそれぞれは、ピニオンシャフト43aを中心として回転(自転)自在、かつ、第7軸X7を中心として回転(公転)自在に構成されている。
【0032】
一対のサイドギヤ44は、差動歯車機構4における駆動力の分配後の回転要素である。一対のサイドギヤ44は、互いに軸方向Lに間隔を空けて、一対のピニオンシャフト43aを挟んで対向するように配置されている。一対のサイドギヤ44は、一対のピニオンギヤ43に噛み合っている。一対のサイドギヤ44のそれぞれは、ドライブシャフトDSと一体的に回転するように連結されている。
【0033】
第1回転電機MG1は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第1回転電機MG1は、バッテリやキャパシタ等の蓄電装置(図示を省略)と電気的に接続されている。そして、第1回転電機MG1は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第1回転電機MG1は、内燃機関EGの駆動力、又は出力部材Oの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
【0034】
第1回転電機MG1は、第1ステータST1と、第1ロータRT1と、を備えている。第1ステータST1は、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定された第1ステータコアSTC1を有している。第1ロータRT1は、第1ステータST1に対して回転可能な第1ロータコアRTC1を有している。
【0035】
本実施形態では、第1回転電機MG1は、インナロータ型の回転電機であるため、第1ステータコアSTC1よりも径方向Rの内側に第1ロータコアRTC1が配置されている。
【0036】
また、本実施形態では、第1回転電機MG1は回転界磁型の回転電機である。そのため、第1ステータコアSTC1には、当該第1ステータコアSTC1から軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部が形成されるように第1ステータコイルC1が巻装されている(図1参照)。また、第1ロータコアRTC1には、永久磁石(図示を省略)が設けられている。
【0037】
第1ロータRT1には、上記の第1ロータギヤRG1が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、軸方向Lに沿って延在するように形成された第1ロータ軸RS1を介して、第1ロータコアRTC1と第1ロータギヤRG1とが連結されている。本実施形態では、第1ロータギヤRG1は、第1ロータRT1よりも軸方向第1側L1に配置されている。図1に示す例では、第1ロータ軸RS1は、第1ロータコアRTC1から軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)に突出するように形成されている。そして、第1ロータ軸RS1における第1ロータコアRTC1から軸方向第1側L1に突出した部分において、第1ロータギヤRG1が第1ロータ軸RS1と一体的に形成されている。
【0038】
本実施形態では、第1ロータRT1は、第1軸部材1及び第2軸部材2の双方とは別軸に配置され、第1ロータRT1と第3ギヤG3との軸方向Lの配置領域が互いに重なっている。具体的には、第1ロータRT1は、第1軸部材1が配置された第1軸X1、及び第2軸部材2が配置された第2軸X2のいずれとも異なる第3軸X3上に配置されている。そして、第1ロータRT1の軸方向Lの配置領域と、第3ギヤG3の軸方向Lの配置領域との少なくとも一部が重なっている。図1に示す例では、第1ロータRT1の軸方向Lの配置領域は、第3ギヤG3の軸方向Lの配置領域に加えて、第7ギヤG7の軸方向Lの配置領域とも重なっている。
【0039】
この構成によれば、第1ロータRT1と第3ギヤG3との軸方向Lの配置領域が互いに重なっていない構成と比べて、第1ロータRT1と第3ギヤG3とを軸方向Lに近付けて配置することができる。したがって、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法を小さく抑えることができる。
【0040】
第1ロータギヤRG1は、第1ギヤG1及び第2ギヤG2のいずれか一方と駆動連結されている。より詳しくは、第1ロータギヤRG1は、第1ギヤG1及び第2ギヤG2のいずれか一方と、いずれか他方を介することなく駆動連結されている。本実施形態では、第1ロータギヤRG1は、第1ギヤG1に噛み合うアイドラギヤIGの周方向における第1ギヤG1とは異なる位置で、アイドラギヤIGに噛み合っている。つまり、本実施形態では、第1ロータギヤRG1は、第1ギヤG1と駆動連結されている。
【0041】
第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。具体的には、第2回転電機MG2は、上記の蓄電装置と電気的に接続されている。そして、第2回転電機MG2は、蓄電装置に蓄えられた電力により力行して駆動力を発生する。また、第2回転電機MG2は、回生中には、出力部材Oの側から伝達される駆動力により発電を行って蓄電装置を充電する。
【0042】
第2回転電機MG2は、第2ステータST2と、第2ロータRT2と、を備えている。第2ステータST2は、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定された第2ステータコアSTC2を有している。第2ロータRT2は、第2ステータST2に対して回転可能な第2ロータコアRTC2を有している。
【0043】
本実施形態では、第2回転電機MG2は、インナロータ型の回転電機であるため、第2ステータコアSTC2よりも径方向Rの内側に第2ロータコアRTC2が配置されている。
【0044】
また、本実施形態では、第2回転電機MG2は回転界磁型の回転電機である。そのため、第2ステータコアSTC2には、当該第2ステータコアSTC2から軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)にそれぞれ突出するコイルエンド部が形成されるように第2ステータコイルC2が巻装されている(図1参照)。また、第2ロータコアRTC2には、永久磁石(図示を省略)が設けられている。
【0045】
第2ロータRT2には、上記の第2ロータギヤRG2が一体的に回転するように連結されている。本実施形態では、軸方向Lに沿って延在するように形成された第2ロータ軸RS2を介して、第2ロータコアRTC2と第2ロータギヤRG2とが連結されている。第2ロータギヤRG2は、出力部材Oと駆動連結されている。
【0046】
本実施形態では、第2ロータギヤRG2は、第2ロータRT2よりも軸方向第2側L2に配置されている。図1に示す例では、第2ロータ軸RS2は、第2ロータコアRTC2から軸方向Lの両側(軸方向第1側L1及び軸方向第2側L2)に突出するように第2ロータコアRTC2に連結された第1部分と、当該第1部分における第2ロータコアRTC2から軸方向第2側L2に突出した部分と一体的に回転するように連結された筒状の第2部分と、を有している。そして、第2ロータギヤRG2が、第2ロータ軸RS2の第2部分から径方向Rの外側に突出するように、当該第2部分と一体的に形成されている。
【0047】
カウンタギヤ機構6は、第2ロータギヤRG2に噛み合うカウンタ入力ギヤ61と、差動入力ギヤ41に噛み合うカウンタ出力ギヤ62と、これらのギヤ61,62を一体的に回転するように連結するカウンタ軸63と、を備えている。
【0048】
このように、本実施形態では、第2ロータギヤRG2は、カウンタギヤ機構6を介して出力部材O(差動入力ギヤ41)と駆動連結されている。
【0049】
この構成によれば、第2ロータギヤRG2と出力部材Oとの間の動力伝達経路の変速比を所望の値に設定することが容易となる。
【0050】
なお、本例では、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも軸方向第1側L1に配置されている。また、カウンタ出力ギヤ62は、カウンタ入力ギヤ61よりも小径に形成されている。
【0051】
図2及び図3に示すように、車両用駆動装置100は、第1係合装置51と、第2係合装置52と、第3係合装置53と、を備えている。本実施形態では、車両用駆動装置100は、第4係合装置54と、第5係合装置55と、第6係合装置56と、を更に備えている。
【0052】
第1係合装置51は、第1軸部材1と第1ギヤG1との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第1係合装置51は、第1軸部材1の径方向Rの外側を覆うように形成された筒状の第1切替部材S1によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。図3に示すように、第1切替部材S1の内周面には、第1切替歯S1aが形成されている。第1切替歯S1aは、第1係合歯51aに係合するように形成されている。第1係合歯51aは、第1ギヤG1と一体的に回転するように、第1ギヤG1に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。第1切替歯S1aと第1係合歯51aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第1切替部材S1が第1軸部材1に対して軸方向Lに相対移動して、第1切替歯S1aと第1係合歯51aとが互い係合することで第1係合装置51が係合状態となり、第1切替歯S1aと第1係合歯51aとが互いに軸方向Lに離間することで第1係合装置51が解放状態となる。
【0053】
第2係合装置52は、第2軸部材2と第2ギヤG2との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第2係合装置52は、第2軸部材2の径方向Rの外側を覆うように形成された筒状の第2切替部材S2によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。第2切替部材S2の内周面には、第2切替歯S2aが形成されている。第2切替歯S2aは、第2係合歯52aに係合するように形成されている。第2係合歯52aは、第2ギヤG2と一体的に回転するように、第2ギヤG2に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。第2切替歯S2aと第2係合歯52aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第2切替部材S2が第2軸部材2に対して軸方向Lに相対移動して、第2切替歯S2aと第2係合歯52aとが互い係合することで第2係合装置52が係合状態となり、第2切替歯S2aと第2係合歯52aとが互いに軸方向Lに離間することで第2係合装置52が解放状態となる。
【0054】
第1係合装置51と第2係合装置52とは、軸方向Lの異なる領域に配置されている。つまり、第1係合装置51の軸方向Lの配置領域と、第2係合装置52の軸方向Lの配置領域とが、互いに重なっていない。本例では、第1係合装置51が第2係合装置52よりも軸方向第2側L2に配置されている。
【0055】
この構成によれば、第1係合装置51と第2係合装置52との軸方向Lの配置領域が互いに重なっている構成と比べて、第1係合装置51と第2係合装置52とを径方向Rに近付けて配置することができる。したがって、車両用駆動装置100の径方向Rの寸法を小さく抑えることができる。
【0056】
第3係合装置53は、第1対象軸A1と第1遊転ギヤFG1との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第3係合装置53は、第1対象軸A1としての第1軸部材1と、第1遊転ギヤFG1としての第3ギヤG3との間の動力伝達を断接する。また、本実施形態では、第3係合装置53は、第1切替部材S1によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。第1切替部材S1の第1切替歯S1aは、上記の第1係合歯51aに加えて、第3係合歯53aにも係合可能に形成されている。第3係合歯53aは、第3ギヤG3と一体的に回転するように、第3ギヤG3に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。第1切替歯S1aと第3係合歯53aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第1切替部材S1が第1軸部材1に対して軸方向Lに相対移動して、第1切替歯S1aと第3係合歯53aとが互い係合することで第3係合装置53が係合状態となり、第1切替歯S1aと第3係合歯53aとが互いに軸方向Lに離間することで第3係合装置53が解放状態となる。
【0057】
このように、本実施形態では、第1係合装置51と第3係合装置53とで、第1切替部材S1が共用されている。そのため、本実施形態では、第1係合装置51と第3係合装置53とが、第1切替部材S1を備えた第1噛み合い式係合装置DC1を構成している。第1噛み合い式係合装置DC1では、第1切替歯S1aと第1係合歯51aとが互い係合して第1係合装置51が係合状態となると、第1切替歯S1aと第3係合歯53aとが互いに軸方向Lに離間して第3係合装置53が解放状態となる。一方、第1切替歯S1aと第3係合歯53aとが互い係合して第3係合装置53が係合状態となると、第1切替歯S1aと第1係合歯51aとが互いに軸方向Lに離間して第1係合装置51が解放状態となる。また、第1噛み合い式係合装置DC1は、第1係合装置51及び第3係合装置53の双方を解放状態とすることができるように構成されている。本実施形態では、第1係合装置51が、第1係合装置51及び第2係合装置52のうち、第1対象軸A1に対応する係合装置である「第1対象係合装置CL1」に相当する。
【0058】
つまり、本実施形態では、第1係合装置51及び第2係合装置52のうち、第1対象軸A1に対応する係合装置を第1対象係合装置CL1として、
第1対象係合装置CL1と第3係合装置53とが、第1対象係合装置CL1の係合の状態と第3係合装置53の係合の状態とを切り替える第1切替部材S1を備えた第1噛み合い式係合装置DC1を構成し、
第1噛み合い式係合装置DC1は、第1切替部材S1の位置に応じて、第1対象係合装置CL1及び第3係合装置53のいずれか一方が係合状態であって、いずれか他方が解放状態である動力伝達状態と、第1対象係合装置CL1及び第3係合装置53の双方が解放状態であるニュートラル状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0059】
この構成によれば、第1噛み合い式係合装置DC1における第1対象係合装置CL1と第3係合装置53とで、第1切替部材S1が共用されている。これにより、第1対象係合装置CL1と第3係合装置53とのそれぞれで、対応する係合装置の係合の状態とを切り替える切替部材が設けられた構成と比べて、第1対象係合装置CL1及び第3係合装置53を全体として小型化することができる。
【0060】
第4係合装置54は、第2対象軸A2と第2遊転ギヤFG2との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第4係合装置54は、第2対象軸A2としての第2軸部材2と、第2遊転ギヤFG2としての第6ギヤG6との間の動力伝達を断接する。また、本実施形態では、第4係合装置54は、第2切替部材S2によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。第2切替部材S2の第2切替歯S2aは、上記の第2係合歯52aに加えて、第4係合歯54aにも係合可能に形成されている。第4係合歯54aは、第6ギヤG6と一体的に回転するように、第6ギヤG6に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。第2切替歯S2aと第4係合歯54aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第2切替部材S2が第2軸部材2に対して軸方向Lに相対移動して、第2切替歯S2aと第4係合歯54aとが互い係合することで第4係合装置54が係合状態となり、第2切替歯S2aと第4係合歯54aとが互いに軸方向Lに離間することで第4係合装置54が解放状態となる。
【0061】
このように、本実施形態では、第2係合装置52と第4係合装置54とで、第2切替部材S2が共用されている。そのため、本実施形態では、第2係合装置52と第4係合装置54とが、第2切替部材S2を備えた第2噛み合い式係合装置DC2を構成している。第2噛み合い式係合装置DC2では、第2切替歯S2aと第2係合歯52aとが互い係合して第2係合装置52が係合状態となると、第2切替歯S2aと第4係合歯54aとが互いに軸方向Lに離間して第4係合装置54が解放状態となる。一方、第2切替歯S2aと第4係合歯54aとが互い係合して第4係合装置54が係合状態となると、第2切替歯S2aと第2係合歯52aとが互いに軸方向Lに離間して第2係合装置52が解放状態となる。また、第2噛み合い式係合装置DC2は、第2係合装置52及び第4係合装置54の双方を解放状態とすることができるように構成されている。本実施形態では、第2係合装置52が、第1係合装置51及び第2係合装置52のうち、第2対象軸A2に対応する係合装置である「第2対象係合装置CL2」に相当する。
【0062】
第5係合装置55は、第2軸部材2と第8ギヤG8との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第2係合装置52は、第2軸部材2の径方向Rの外側を覆うように形成された筒状の第3切替部材S3によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。第3切替部材S3の内周面には、第3切替歯S3aが形成されている。第3切替歯S3aは、第5係合歯55aに係合するように形成されている。第5係合歯55aは、第8ギヤG8と一体的に回転するように、第8ギヤG8に対して軸方向第2側L2に隣接して配置されている。第3切替歯S3aと第5係合歯55aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第3切替部材S3が第2軸部材2に対して軸方向Lに相対移動して、第3切替歯S3aと第5係合歯55aとが互い係合することで第5係合装置55が係合状態となり、第3切替歯S3aと第5係合歯55aとが互いに軸方向Lに離間することで第5係合装置55が解放状態となる。
【0063】
第6係合装置56は、第2軸部材2と第10ギヤG10との間の動力伝達を断接するように構成されている。本実施形態では、第6係合装置56は、第3切替部材S3によって、係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成された噛み合い係合装置(ドグクラッチ)である。第3切替部材S3の第3切替歯S3aは、上記の第5係合歯55aに加えて、第6係合歯56aにも係合可能に形成されている。第6係合歯56aは、第10ギヤG10と一体的に回転するように、第10ギヤG10に対して軸方向第1側L1に隣接して配置されている。第3切替歯S3aと第6係合歯56aとは、互いに軸方向Lに相対移動可能、かつ、周方向に相対回転不能に係合するように形成されている。そのため、第3切替部材S3が第2軸部材2に対して軸方向Lに相対移動して、第3切替歯S3aと第6係合歯56aとが互い係合することで第6係合装置56が係合状態となり、第3切替歯S3aと第6係合歯56aとが互いに軸方向Lに離間することで第6係合装置56が解放状態となる。
【0064】
このように、本実施形態では、第5係合装置55と第6係合装置56とで、第3切替部材S3が共用されている。そのため、本実施形態では、第5係合装置55と第6係合装置56とが、第3切替部材S3を備えた第3噛み合い式係合装置DC3を構成している。第3噛み合い式係合装置DC3では、第3切替歯S3aと第5係合歯55aとが互い係合して第5係合装置55が係合状態となると、第3切替歯S3aと第6係合歯56aとが互いに軸方向Lに離間して第6係合装置56が解放状態となる。一方、第3切替歯S3aと第6係合歯56aとが互い係合して第6係合装置56が係合状態となると、第3切替歯S3aと第5係合歯55aとが互いに軸方向Lに離間して第5係合装置55が解放状態となる。また、第3噛み合い式係合装置DC3は、第5係合装置55及び第6係合装置56の双方を解放状態とすることができるように構成されている。
【0065】
図4に示すように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、動作モードとして、第1EVモード及び第2EVモードと、充電モードと、シリーズモードと、第1パラレルモード~第5パラレルモードと、を備えている。
【0066】
図4に、本実施形態の車両用駆動装置100の各動作モードにおける、噛み合い式係合装置DC1,DC2,DC3と、内燃機関EGと、回転電機MG1,MG2との状態を示す。なお、図4における噛み合い式係合装置DC1,DC2,DC3の欄において、「N」は、対象の噛み合い式係合装置を構成する一対の係合装置の双方が解放状態(ニュートラル状態)であることを示している。また、「L1」は、対象の噛み合い式係合装置を構成する一対の係合装置のうち、軸方向第1側L1の係合装置が係合状態であり、「L2」は、対象の噛み合い式係合装置を構成する一対の係合装置のうち、軸方向第2側L2の係合装置が係合状態であることを示している。
【0067】
第1EVモードは、内燃機関EG、第1回転電機MG1、及び第2回転電機MG2のうち、第2回転電機MG2のみの駆動力により車両を走行させる動作モードである。第1EVモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)と第3係合装置53との双方が解放状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)と第4係合装置54との双方が解放状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EG及び第1回転電機MG1が停止状態となり、第2回転電機MG2が車両の走行状態に応じて力行状態又は発電状態となるように制御される。なお、オイルポンプや補器類の駆動等のために、第1回転電機MG1及び内燃機関EGの少なくとも一方が駆動状態となるように制御されても良い。また、第1EVモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)と第3係合装置53との双方を解放状態とすることなく、それらのいずれか一方を係合状態としても良い。この場合において、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)を係合状態とする場合には、内燃機関EG及び第1回転電機MG1を停止状態とすると良い。また、第3係合装置53を係合状態とする場合には、内燃機関EG及び第1回転電機MG1のうちの少なくとも内燃機関EGを停止状態とすると良い。
【0068】
第2EVモードは、内燃機関EG、第1回転電機MG1、及び第2回転電機MG2のうち、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の駆動力により車両を走行させる動作モードである。第2EVモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)と第3係合装置53との双方が解放状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する一対の係合装置のうち、第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)が係合状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが停止状態となり、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の双方が車両の走行状態に応じて力行状態又は発電状態となるように制御される。
【0069】
充電モードは、内燃機関EGの駆動力により第1回転電機MG1に発電を行わせる動作モードである。充電モードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)と第4係合装置54との双方が解放状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、第1回転電機MG1が内燃機関EGから伝達される駆動力によって発電状態となり、第2回転電機MG2が停止状態となるように制御される。
【0070】
シリーズモードは、第2回転電機MG2の駆動力により車両を走行させつつ、内燃機関EGの駆動力により第1回転電機MG1に発電を行わせる動作モードである。充電モードにおいて第2回転電機MG2を力行状態とすることで、動作モードをシリーズモードに切り替えることができる。反対に、シリーズモードにおいて第2回転電機MG2を停止状態とすることで、動作モードを充電モードに切り替えることができる。なお、シリーズモードにおいても、第2回転電機MG2は、走行状態に応じて、例えば車両の減速中等は発電状態となる。
【0071】
第1パラレルモード~第5パラレルモードは、内燃機関EG、第1回転電機MG1、及び第2回転電機MG2の駆動力を車輪Wに伝達する動作モードである。
【0072】
第1パラレルモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)と第4係合装置54との双方が解放状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する一対の係合装置のうち、第6係合装置56が係合状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、第1回転電機MG1が基本的に発電状態となり、第2回転電機MG2が基本的に力行状態となるように制御される。なお、車両の走行状態に応じて、第1回転電機MG1が力行状態となる場合や、第2回転電機MG2が発電状態となる場合がある。これは、第2~第5パラレルモードにおいても同様である。
【0073】
第2パラレルモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)と第4係合装置54との双方が解放状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する一対の係合装置のうち、第5係合装置55が係合状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、基本的に第1回転電機MG1が発電状態となり、基本的に第2回転電機MG2が力行状態となるように制御される。
【0074】
第3パラレルモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する一対の係合装置のうち、第4係合装置54が係合状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、基本的に第1回転電機MG1が発電状態となり、基本的に第2回転電機MG2が力行状態となるように制御される。
【0075】
第4パラレルモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第1対象係合装置CL1(ここでは、第1係合装置51)が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する一対の係合装置のうち、第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)が係合状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、基本的に第1回転電機MG1が発電状態となり、基本的に第2回転電機MG2が力行状態となるように制御される。
【0076】
第5パラレルモードでは、第1噛み合い式係合装置DC1を構成する一対の係合装置のうち、第3係合装置53が係合状態となり、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する一対の係合装置のうち、第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)が係合状態となり、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55と第6係合装置56の双方が解放状態となるように制御される。そして、内燃機関EGが駆動状態となり、基本的に第1回転電機MG1が発電状態となり、基本的に第2回転電機MG2が力行状態となるように制御される。また、第5パラレルモードにおいて、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2対象係合装置CL2(ここでは、第2係合装置52)と第4係合装置54との双方を解放状態とすると共に、第1回転電機MG1を停止状態としても良い。
【0077】
前述のように、本実施形態では、第10ギヤG10に対する第9ギヤG9の歯数比、第8ギヤG8に対する第7ギヤG7の歯数比、第6ギヤG6に対する第5ギヤG5の歯数比、第2ギヤG2に対する第1ギヤG1の歯数比、第4ギヤG4に対する第3ギヤG3の歯数比の順に小さくなっている。そのため、第1パラレルモードでは、最も変速比が大きい変速段(1速)が形成される。第2パラレルモードでは、第1パラレルモードと比べて変速比が小さい変速段(2速)が形成される。第3パラレルモードでは、第2パラレルモードと比べて変速比が小さい変速段(3速)が形成される。第4パラレルモードでは、第3パラレルモードと比べて変速比が小さい変速段(4速)が形成される。第5パラレルモードでは、第4パラレルモードと比べて変速比が小さい変速段(5速)が形成される。
【0078】
以上のように、本実施形態では、車両用駆動装置100は、第1軸部材1と同軸に配置された第5ギヤG5と、
第2軸部材2と同軸に配置され、第5ギヤG5に噛み合う第6ギヤG6と、を更に備え、
第1ギヤG1と第2ギヤG2との間の動力伝達経路の変速比と、第3ギヤG3と第4ギヤG4との間の動力伝達経路の変速比と、第5ギヤG5と第6ギヤG6との間の動力伝達経路の変速比とが互いに異なり、
第1軸部材1及び第2軸部材2のうち、第1対象軸A1ではない方を第2対象軸A2とし、第1係合装置51及び第2係合装置52のうち、第2対象軸A2に対応する係合装置を第2対象係合装置CL2として、
第5ギヤG5及び第6ギヤG6のうち、第2対象軸A2と同軸のギヤは、第2対象軸A2に対して相対的に回転するように構成された第2遊転ギヤFG2であり、
第2対象軸A2と第2遊転ギヤFG2との間の動力伝達を断接する第4係合装置54が設けられ、
第2対象係合装置CL2と第4係合装置54とが、第2対象係合装置CL2の係合の状態と第4係合装置54の係合の状態とを切り替える第2切替部材S2を備えた第2噛み合い式係合装置DC2を構成し、
第2噛み合い式係合装置DC2は、第2切替部材S2の位置に応じて、第2対象係合装置CL2及び第4係合装置54のいずれか一方が係合状態であって、いずれか他方が解放状態である動力伝達状態と、第2対象係合装置CL2及び第4係合装置54の双方が解放状態であるニュートラル状態と、に切り替え可能に構成されている。
【0079】
この構成によれば、第1係合装置51及び第2係合装置52の双方を係合状態とし、第3係合装置53及び第4係合装置54の双方を解放状態とすることで、第1の変速段(ここでは、第4パラレルモードで形成される4速)を形成することができる。また、第1係合装置51、第2係合装置52、及び第4係合装置54の全てを解放状態とし、第3係合装置53を係合状態とすることで、第2の変速段(ここでは、第5パラレルモードで形成される5速)を形成することができる。更に、第1係合装置51及び第4係合装置54の双方を係合状態とし、第2係合装置52及び第3係合装置53の双方を解放状態とすることで、第3の変速段(ここでは、第3パラレルモードで形成される3速)を形成することができる。これにより、内燃機関EGの駆動力を車両の走行に利用する動作モード(ここでは、第1パラレルモード~第5パラレルモード)において、入力部材Iの回転を、形成された変速段に応じた変速比で変速して出力部材Oに伝達することができる。
また、第2噛み合い式係合装置DC2における第2対象係合装置CL2と第4係合装置54とで、第2切替部材S2が共用されている。これにより、第2対象係合装置CL2と第4係合装置54とのそれぞれで、対応する係合装置の係合の状態とを切り替える切替部材が設けられた構成と比べて、第2対象係合装置CL2及び第4係合装置54を全体として小型化することができる。
【0080】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第1ギヤG1~第10ギヤG10を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第5ギヤG5~第10ギヤG10の一部又は全部が設けられていない構成としても良い。
【0081】
(2)上記の実施形態では、第1係合装置51~第6係合装置56を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第4係合装置54~第6係合装置56の一部又は全部が設けられていない構成としても良い。
【0082】
(3)上記の実施形態では、第1係合装置51と第3係合装置53とが第1噛み合い式係合装置DC1を構成する形態を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1係合装置51と第3係合装置53とが、互いに独立した係合装置であっても良い。なお、第2噛み合い式係合装置DC2を構成する第2係合装置52及び第4係合装置54、並びに、第3噛み合い式係合装置DC3を構成する第5係合装置55及び第6係合装置56についても同様である。
【0083】
(4)上記の実施形態では、第1軸部材1が第1対象軸A1であり、第2軸部材2が第2対象軸A2であり、第3ギヤG3が第1遊転ギヤFG1であり、第6ギヤG6が第2遊転ギヤFG2であり、第1係合装置51が第1対象係合装置CL1であり、第2係合装置52が第2対象係合装置CL2である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2軸部材2が第1対象軸A1であり、第1軸部材1が第2対象軸A2であり、第4ギヤG4が第1遊転ギヤFG1であり、第5ギヤG5が第2遊転ギヤFG2であり、第2係合装置52が第1対象係合装置CL1であり、第1係合装置51が第2対象係合装置CL2であっても良い。
【0084】
(5)上記の実施形態では、第1ロータRT1が第1軸部材1及び第2軸部材2の双方とは別軸に配置され、第1ロータRT1と第3ギヤG3との軸方向Lの配置領域が互いに重なっている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1ロータRT1と第3ギヤG3との軸方向Lの配置領域が互いに重なっていない構成としても良い。
【0085】
(6)上記の実施形態では、第2ロータギヤRG2がカウンタギヤ機構6を介して出力部材O(差動入力ギヤ41)と駆動連結された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第2ロータギヤRG2が差動入力ギヤ41に直接噛み合っていても良い。
【0086】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示に係る技術は、回転電機と、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、入力部材に駆動連結された第1軸部材と、出力部材に駆動連結された第2軸部材と、第1軸部材と同軸に配置された第1ギヤと、第2軸部材と同軸に配置され、第1ギヤに噛み合う第2ギヤと、第1軸部材と第1ギヤとの間の動力伝達を断接する第1係合装置と、第2軸部材と第2ギヤとの間の動力伝達を断接する第2係合装置と、を備えた車両用駆動装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100:車両用駆動装置、1:第1軸部材、2:第2軸部材、51:第1係合装置、52:第2係合装置、53:第3係合装置、I:入力部材、O:出力部材、G1:第1ギヤ、G2:第2ギヤ、G3:第3ギヤ、G4:第4ギヤ、MG1:第1回転電機(回転電機)、RT1:第1ロータ(ロータ)、RG1:第1ロータギヤ(ロータギヤ)、A1:第1対象軸、FG1:第1遊転ギヤ、EG:内燃機関、W:車輪、L:軸方向
図1
図2
図3
図4