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特開2022-25731サトウキビの植付け方法および植付け機
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  • 特開-サトウキビの植付け方法および植付け機 図1
  • 特開-サトウキビの植付け方法および植付け機 図2
  • 特開-サトウキビの植付け方法および植付け機 図3
  • 特開-サトウキビの植付け方法および植付け機 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025731
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】サトウキビの植付け方法および植付け機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20220203BHJP
   A01C 5/06 20060101ALI20220203BHJP
   A01B 35/26 20060101ALI20220203BHJP
   A01G 22/55 20180101ALI20220203BHJP
【FI】
A01C11/02 302B
A01C5/06 L
A01B35/26
A01G22/55
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128767
(22)【出願日】2020-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】519259881
【氏名又は名称】ヤビク農機具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】屋比久 朗
【テーマコード(参考)】
2B022
2B034
2B060
【Fターム(参考)】
2B022AA03
2B022AB20
2B034AA10
2B034BA10
2B034BB04
2B034BC06
2B060AA10
2B060AB01
2B060AC06
2B060AD10
2B060AE01
2B060BA04
2B060BB03
2B060BB05
2B060CA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排水性の悪い圃場において効果的に排水が可能であり、大雨などの影響を最小限に抑えてサトウキビの収量を維持することが可能なサトウキビの植付け方法および植付け機を提供する。
【解決手段】左右一対で設けられた作溝部1および覆土部2を備えたサトウキビ植付け機により、サトウキビの種苗Sを散布する工程と、散布された種苗の両側に該作溝部により排水用溝Dを形成する工程と、排水用溝を形成する際に掘り起こされた土Mの一部を該覆土板2によりサトウキビの種苗の上に被覆する工程とを有することを特徴とするサトウキビの植付け方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対で設けられた作溝部および覆土部を備えたサトウキビ植付け機により、サトウキビの種苗を散布する工程と、散布された種苗の両側に該作溝部により排水用溝を形成する工程と、排水用溝を形成する際に掘り起こされた土の一部を該覆土板によりサトウキビの種苗の上に被覆する工程とを有することを特徴とするサトウキビの植付け方法。
【請求項2】
サトウキビの種苗は作溝されていない部分の圃場に散布されることを特徴とする請求項1に記載のサトウキビの植付け方法。
【請求項3】
所定の間隔を空けて左右一対で設けられた作溝部と、該作溝部の内側には左右一対で設けられた覆土部を備え、該作溝部および該覆土部の前方の中央には種苗の散布口を備えたサトウキビ植付け機。
【請求項4】
前記作溝部および前記覆土部は、それらの間隔および高さがそれぞれ調整可能な方法により取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のサトウキビ植付け機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水性の悪い土地における効果的なサトウキビの植付け方法と植付け機に関する。
【背景技術】
【0002】
サトウキビの圃場は水はけの良さが求められるが、排水性の悪い土地に圃場がある場合、近年の大雨被害などの影響により、サトウキビの苗が水没して育たない場合がある。
【0003】
特に、サトウキビは台風が多い地方で育てられるため、強風に耐えられるように、土壌に所定の深さの溝を掘って、その溝の中に苗をサトウキビの苗を植付けることにより地中深くに根付かせることが一般的である(特許文献1~3)。
【0004】
このように、苗が地中深く植えられている場合、排水性の悪い土地の場合は雨天が続くと溝底部に水が溜まり、種キビが腐るなどして発芽不良が発生することがあった。
【0005】
そこで、特許文献4では、植付け用の溝の底にさらに深い排水溝を形成することにより、植付け用溝内の排水性を向上させるためのサトウキビ移植機が開示されている。
【0006】
しかしながら、このように植付け用溝内に排水溝を形成しても圃場全体の排水性が向上するわけではなく、その効果はあくまでも部分的なものに過ぎないため、近年の大雨被害などに対応できるものではなかった。
【0007】
一方、圃場の排水性を改善させるための排水溝を作成するカットドレーン(「カットドレーン」は登録商標)などの穿孔暗渠機も知られているが、作溝作業を植付け作業とは別途行う必要もあり作業効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-122320
【特許文献2】特開2004-8175
【特許文献3】特開2010-268788
【特許文献4】特開2017-192327
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、従来のサトウキビの植付け方法および植付け機のかかる欠点を克服し、排水性の悪い圃場において効果的に排水が可能であり、大雨などの影響を最小限に抑えてサトウキビの収量を維持することが可能なサトウキビの植付け方法および植付け機の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、左右一対で設けられた作溝部および覆土部を備えたサトウキビ植付け機により、サトウキビの種苗を散布する工程と、散布された種苗の両側に該作溝部により排水用溝を形成する工程と、排水用溝を形成する際に掘り起こされた土の一部を該覆土板によりサトウキビの種苗の上に被覆する工程とを有することを特徴とするサトウキビの植付け方法である。
【0011】
また、本発明は、サトウキビの種苗は作溝されていない部分の圃場に散布されることを特徴とするサトウキビの植付け方法である。
【0012】
また本発明は、所定の間隔を空けて左右一対で設けられた作溝部と、該作溝部の内側には左右一対で設けられた覆土部を備え、該作溝部および該覆土部の前方の中央には種苗の散布口を備えたサトウキビ植付け機である。
【0013】
さらに本発明は、前記作溝部および前記覆土部は、それらの間隔および高さがそれぞれ調整可能な方法により取り付けられていることを特徴とするサトウキビ植付け機である。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるサトウキビの植付け方法および植付け機によると、サトウキビの種苗は従来のように圃場内に深く植え付けられることがなく、大雨などで生じた余分な水は排水用溝によって排水されるため、圃場の排水性は著しく改善する。
【0015】
また、本発明にかかるサトウキビの植付け方法および植付け機によると、排水用溝の作溝工程とサトウキビの植付け工程を同時に行うことができるため、作業効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るサトウキビ植付け機の下部の正面図。
図2】本発明に係るサトウキビ植付け機の下部の平面図。
図3】本発明に係るサトウキビ植付け機の作溝部の斜視図。
図4】本発明に係るサトウキビ植付け機による植付け作業の様子を模式的に表しもの。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のサトウキビの植付け方法および植付け機の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0018】
図1は、本発明にかかるサトウキビ植付け機の下部正面図、図2は同下部平面図である。本発明のサトウキビ植え付け機は、サトウキビの種苗を収容可能なホッパー(図示せず)を備え、トラクターなどにより牽引されて圃場を走行しながら該ホッパー内のサトウキビの種苗を所定間隔で落下させて散布するものである。
【0019】
本発明のサトウキビ植付け機の下部には、所定の間隔を空けて左右二条に排水用溝を形成するための作溝部1が左右一対に形成されている。また、左右の作溝部1の内側には、散布されたサトウキビの種苗に覆土するための覆土部2が左右一対に形成されている。
【0020】
作溝部1および覆土部2はそれぞれ、支持部3、4を介してフレーム5に対し取り付けられている。なお、フレーム5に対する取り付け方法は任意であるが、作溝部1および覆土部2の間隔および高さがそれぞれ調整可能な方法により取り付けることが好ましい。
【0021】
フレーム5は、フレーム7に対して取り付けられている。フレーム7の後端には鎮圧用タイヤ6が設けられており、かかる鎮圧用タイヤ6により、サトウキビの種苗の上にかけられた土を鎮圧することができる。
【0022】
作溝部1は、図3に示すように、進行方向に刃先12を向けた刃板11と、該刃板11の後端部に連接され、斜め外側後方へ広がるように形成された撥土板13とを備え、刃板11には撥土板13との連接部から所定の範囲において開口部14が形成されている。
【0023】
左右一対に設けられた作溝部1は、それらの刃先12の間隔が撥土板13の後端部の間隔よりも狭くなるように、平面視でハの字形状になるように設けられ、さらに、少なくとも刃板11と撥土板13の下部が鎮圧用タイヤ6よりも下方に位置する高さになるようにフレーム5に取り付けられている。作溝部1の取付け高さにより作溝される排水用溝の深さが決まるが、かかる取付け高さは圃場の水はけの程度などを考慮して任意に決めることができる。
【0024】
覆土部2は、本実施多様では略矩形の板状に形成されており、左右の覆土部2の間の進行方向側の間隔が広くなるように平面視で逆ハの字形状になるように設けられ、さらに、圃場Gからは所定の高さに位置するようにフレーム5に取り付けられている。
【0025】
サトウキビの種苗の落下口(図示せず)は、最終的に鎮圧用タイヤ6が通る中央にサトウキビの種苗が散布されるように1箇所設けられており、作溝部1および覆土部2は、サトウキビの種苗の落下口よりも後方に設けられている。このように、サトウキビの種苗の落下口が作溝部1および覆土部2よりも前方に位置することにより、サトウキビの種苗は作溝されている圃場よりも前方において散布されることになる。
【0026】
次に、図4により、本発明のサトウキビ植付け機による植付け作業方法について説明する。本発明のサトウキビ植え付け機は、作溝されていない部分の圃場Gに直接種苗を散布する。散布方法については、従来の植付け機による公知の方法を採用することができる。
【0027】
サトウキビの種苗Sは、中央に一列で、作溝部1および覆土板2よりも前方に散布される。すなわち、種苗Sが地上に落下したときには、すでにその後方において、作溝部1が排水用溝Dを形成している。その結果、散布された種苗Sの両側には左右二条の排水用溝Dが形成されることになる。
【0028】
作溝部1は、その両側に掘り起こした土Mを除けながら排水用溝Dを形成するが、このとき、左右の作溝部1の内側に除けた土の一部は覆土板2によりあらかじめ中央において散布されたサトウキビの種苗Sの上にかけられる。
【0029】
このようにしてサトウキビの種苗Sの上にかけられた土Mは、さらにその後方から来る鎮圧用タイヤ6により上から鎮圧され、これにより、排水用溝Dの作溝工程とサトウキビの植付け工程が完了する。
【0030】
かかる植付け方法により、サトウキビの種苗Sは従来のように圃場G内に深く植え付けられることがなく、大雨などで生じた余分な水は排水用溝Dによって排水されるため、圃場の排水性は著しく改善するとともに、サトウキビの発芽不良等も防ぐことができる。
【0031】
また、かかる植付け方法によると、排水用溝Dの作溝工程とサトウキビの植付け工程を同時に行うことができるため、作業効率も向上する。
【符号の説明】
【0032】
1 … … 作溝部
2 … … 覆土板
3 … … 支持部
4 … … 支持部
5 … … フレーム
6 … … 鎮圧用タイヤ
7 … … フレーム
11 … … 刃板
12 … … 刃先
13 … … 撥土板
14 … … 開口部
S … … サトウキビ種苗
G … … 圃場
D … … 排水用溝
M … … 土
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて左右一対で設けられた作溝部と、該作溝部の内側には左右一対で設けられた覆土部を備え、該作溝部および該覆土部の前方の中央には種苗の散布口を備え、該作溝部は、進行方向に刃先を向けた刃板と、該刃板の後端部に連接され、斜め外側後方へ広がるように形成された撥土板とを備えていることを特徴とするサトウキビ植付け機。
【請求項2】
前記刃板には撥土板との連接部から所定の範囲において開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサトウキビ植付け機。
【請求項3】
前記作溝部および前記覆土部は、それらの間隔および高さがそれぞれ調整可能な方法により取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のサトウキビ植付け機。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のサトウキビ植付け機により、サトウキビの種苗を散布する工程と、散布された種苗の両側に該作溝部により排水用溝を形成する工程と、排水用溝を形成する際に掘り起こされた土の一部を該覆土板によりサトウキビの種苗の上に被覆する工程とを有することを特徴とするサトウキビの植付け方法。