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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022025799
(43)【公開日】2022-02-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20220203BHJP
   G01J 5/20 20060101ALI20220203BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G01J5/20 B
G03G21/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020128880
(22)【出願日】2020-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】張 明光
(72)【発明者】
【氏名】田口 和奈
【テーマコード(参考)】
2G066
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2G066AC07
2G066BA09
2H033AA18
2H033BA04
2H033BA29
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB01
2H033BB29
2H033BB39
2H033BE00
2H033CA02
2H171FA19
2H171GA40
2H171HA22
2H171HA24
2H171JA12
2H171NA03
2H171NA05
2H171QC38
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】温度センサが高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、ローラ81Aを有する第1定着部材81と、第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材82と、第1定着部材81または第2定着部材82を加熱するヒータHと、第1定着部材81の温度を検出する温度センサ(中央温度センサTS1)であって、第1定着部材81の外周面に非接触で対向する温度センサと、温度センサを保持するセンサホルダ800であって、第1定着部材81の外周面に対向するセンサホルダ800を備える。センサホルダ800は、第1定着部材81の回転方向において温度センサの上流に通気口815を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラを有する第1定着部材と、
前記第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材と、
前記第1定着部材または前記第2定着部材を加熱するヒータと、
前記第1定着部材の温度を検出する温度センサであって、前記第1定着部材の外周面に非接触で対向する温度センサと、
前記温度センサを保持するセンサホルダであって、前記第1定着部材の外周面に対向するセンサホルダと、を備え、
前記センサホルダは、前記第1定着部材の回転方向において前記温度センサの上流に通気口を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記センサホルダを挟んで前記第1定着部材の反対側を負圧にする排気ファンを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転方向における前記センサホルダの上流の位置で前記第1定着部材の外周面に対向して前記第1定着部材の軸方向に延びる壁であって、前記センサホルダの前記回転方向の上流から前記温度センサに空気が流れるのを抑制する壁を備え、
前記壁は、前記第1定着部材の外周面との距離が他の部分より大きい切り欠き部を有し、
前記軸方向において、前記切り欠き部の一部が前記通気口の一部と同じ位置に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記軸方向において、前記通気口の寸法は、前記切り欠き部の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記温度センサと前記通気口は、前記第1定着部材の軸方向において異なる位置に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通気口は、前記第1定着部材の軸方向の寸法が、前記回転方向の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記センサホルダは、前記温度センサの周りに第2通気口を有し、
前記通気口の流路断面積は、前記第2通気口の流路断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度センサは、
赤外線を検知する検知素子と、
前記検知素子を囲う筒状の導光路部材と、を有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記センサホルダは、前記導光路部材が挿入される開口を有し、
前記第2通気口は、前記導光路部材の外周部と前記開口との隙間であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱ローラ等の定着部材の温度を検出する非接触式の温度センサを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、非接触式の温度センサを覆い、非接触式の温度センサと周辺の空気とを遮断する遮断部材を備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-354517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、遮断部材内の空気が高温になった場合や遮断部材内に水蒸気が発生した場合には、温度センサが高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、温度センサが高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ローラを有する第1定着部材と、前記第1定着部材との間でニップ部を形成する第2定着部材と、前記第1定着部材または前記第2定着部材を加熱するヒータと、前記第1定着部材の温度を検出する温度センサであって、前記第1定着部材の外周面に非接触で対向する温度センサと、前記温度センサを保持するセンサホルダであって、前記第1定着部材の外周面に対向するセンサホルダと、を備える。
前記センサホルダは、前記第1定着部材の回転方向において前記温度センサの上流に通気口を有する。
【0007】
この構成によれば、第1定着部材の外周面に沿って回転方向下流に向けて流れる空気を、温度センサに達する前に、通気口から逃がすことができるので、温度センサが高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0008】
また、前記画像形成装置は、前記センサホルダを挟んで前記第1定着部材の反対側を負圧にする排気ファンを備えていてもよい。
【0009】
この構成によれば、排気ファンによって、通気口からより積極的に空気を逃がすことができる。
【0010】
また、前記画像形成装置は、前記回転方向における前記センサホルダの上流の位置で前記第1定着部材の外周面に対向して前記第1定着部材の軸方向に延びる壁であって、前記センサホルダの前記回転方向の上流から前記温度センサに空気が流れるのを抑制する壁を備え、前記壁は、前記第1定着部材の外周面との距離が他の部分より大きい切り欠き部を有し、前記軸方向において、前記切り欠き部の一部が前記通気口の一部と同じ位置に位置していてもよい。
【0011】
例えば壁がない場合には、センサホルダの回転方向上流から温度センサ側に向かう空気が、軸方向に分散してしまい、通気口とは軸方向で異なる位置を通過して、温度センサに回り込んでしまう。また、例えば、壁に切り欠き部がない場合にも、センサホルダの回転方向上流から温度センサ側に向かう空気が、壁と第1定着部材の隙間を通って、軸方向に分散してしまい、通気口とは軸方向で異なる位置を通過して、温度センサに回り込んでしまう。これに対し、切り欠き部を有する壁を設けることで、センサホルダの回転方向上流から温度センサ側に向かう空気は、切り欠き部によって、軸方向の所定箇所に集中して流れる。そして、切り欠き部を通った空気は、切り欠き部と軸方向で略同じ位置に位置する通気口によって逃がされるので、空気が温度センサに回り込むのを抑制することができる。
【0012】
また、前記軸方向において、前記通気口の寸法は、前記切り欠き部の寸法よりも大きくてもよい。
【0013】
この構成によれば、切り欠き部を通った空気を通気口からより効率よく逃がすことができる。
【0014】
また、前記温度センサと前記通気口は、前記第1定着部材の軸方向において異なる位置に位置していてもよい。
【0015】
この構成によれば、温度センサに空気が向かうのをより抑えることができる。
【0016】
また、前記通気口は、前記第1定着部材の軸方向の寸法が、前記回転方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0017】
また、前記センサホルダは、前記温度センサの周りに第2通気口を有し、前記通気口の流路断面積は、前記第2通気口の流路断面積よりも大きくてもよい。
【0018】
この構成によれば、空気が通気口を迂回して温度センサ周りに回り込んできた場合であっても、第2通気口により空気を逃がすことができる。また、通気口の流路断面積を第2通気口の流路断面積よりも大きくすることで、空気が通気口から排気されやすくなるので、空気が通気口を迂回して温度センサ周りに回り込むのを抑制することができる。
【0019】
また、前記温度センサは、赤外線を検知する検知素子と、前記検知素子を囲う筒状の導光路部材と、を有していてもよい。
【0020】
また、前記センサホルダは、前記導光路部材が挿入される開口を有し、前記第2通気口は、前記導光路部材の外周部と前記開口との隙間であってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、温度センサが高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタを示す図である。
図2図6のII-II線に沿った定着装置の断面図である。
図3】アッパーフレーム、センサホルダ等を示す分解斜視図である。
図4】中央温度センサを示す斜視図である。
図5図6のV-V線に沿った定着装置の断面図である。
図6】リアガイドおよびセンサホルダを第1定着部材側から見た斜視図である。
図7】通気口周りの構造を第1定着部材側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、本体筐体2と、当該本体筐体2の内部に配置された供給部3、画像形成部4、定着装置8、搬送部9および排気ファンFAとを備えている。
【0024】
本体筐体2は、上面に排出トレイ21を有している。
【0025】
供給部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、シートSを収容する供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に供給する供給機構32とを備えている。
【0026】
画像形成部4は、シートSにトナー像を転写して画像を形成する機能を有し、露光装置5と、4つのプロセスカートリッジ6と、転写ユニット7とを備えている。
【0027】
露光装置5は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しない光源やポリゴンミラーなどを備えている。露光装置5は、光ビームを感光体ドラム61の表面で高速走査することで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0028】
プロセスカートリッジ6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、現像ローラ63とを備えている。4つのプロセスカートリッジ6内には、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが収容されている。
【0029】
転写ユニット7は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、無端状のベルトであり、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設されている。搬送ベルト73の内側には、転写ローラ74が対応する感光体ドラム61との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0030】
帯電器62は、感光体ドラム61の表面を帯電する。その後、露光装置5は、感光体ドラム61の表面を露光して、感光体ドラム61の表面に静電潜像を形成する。
【0031】
現像ローラ63は、感光体ドラム61上に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、搬送ベルト73によってシートSが、感光体ドラム61と転写ローラ74の間に搬送されると、感光体ドラム61上のトナー像がシートSに転写される。
【0032】
定着装置8は、シートSにトナー像を熱定着させる装置である。定着装置8の詳細については後述する。
【0033】
搬送部9は、定着装置8から排出されたシートSを本体筐体2外または再び画像形成部4に向けて搬送するように構成されている。搬送部9は、第1搬送経路91と、第2搬送経路92と、再搬送経路93と、第1搬送ローラ94と、第2搬送ローラ95と、第1スイッチバックローラSR1と、第2スイッチバックローラSR2と、複数の再搬送ローラ96と、回動可能な第1フラッパFL1および第2フラッパFL2とを備えている。
【0034】
第1搬送経路91は、定着装置8から排出されたシートを排出トレイ21に向けて案内する経路である。第2搬送経路92は、定着装置8から排出されたシートを、第1搬送経路91とは異なるルートで排出トレイ21に向けて案内する経路である。再搬送経路93は、後述する第1スイッチバックローラSR1等により本体筐体2内に引き込まれたシートSを、画像形成部4の上流側の供給機構32に案内する経路である。再搬送ローラ96は、再搬送経路93内のシートSを供給機構32に向けて搬送するローラであり、再搬送経路93に設けられている。
【0035】
第1搬送ローラ94は、定着装置8に設けられている。第1搬送ローラ94は、トナー像が熱定着されたシートSを、第2フラッパFL2に向けて搬送する。
【0036】
第2搬送ローラ95、第1スイッチバックローラSR1および第2スイッチバックローラSR2は、正逆回転可能なローラである。第2搬送ローラ95、第1スイッチバックローラSR1および第2スイッチバックローラSR2は、正回転時に本体筐体2の外、詳しくは排出トレイ21に向けてシートSを搬送し、逆回転時に本体筐体2内にシートSを引き込む。
【0037】
第2搬送ローラ95および第1スイッチバックローラSR1は、第1搬送経路91に設けられている。第1スイッチバックローラSR1は、第2搬送ローラ95よりも排出トレイ21の近くに配置されている。第2スイッチバックローラSR2は、第2搬送経路92に設けられている。
【0038】
搬送部9では、第1フラッパFL1と第2フラッパFL2の位置が適宜切り替えられることで、シートSを定着装置8から第1搬送経路91または第2搬送経路92に向けて搬送したり、シートSを第1搬送経路91または第2搬送経路92から再搬送経路93に搬送することが可能となっている。
【0039】
排気ファンFAは、本体筐体2内の空気を外部に排気するファンである。定着装置8の上に配置されている。
【0040】
図2に示すように、定着装置8は、2つのヒータHと、第1定着部材81と、第2定着部材82と、温度センサの一例としての中央温度センサTS1と、センサホルダ800と、定着フレーム500と、上流ガイド700と、リアガイド300とを備えている。定着フレーム500は、金属からなっている。センサホルダ800、上流ガイド700およびリアガイド300は、樹脂などからなる。
【0041】
第1定着部材81は、回転可能なローラ81Aを有している。2つのヒータHは、第1定着部材81を加熱するヒータであり、ローラ81Aの内側に配置されている。
【0042】
第2定着部材82は、第1定着部材81との間でニップ部NPを形成する部材である。第2定着部材82は、無端状のベルト82Aと、第1定着部材81との間でベルト82Aを挟む2つのパッド82Bとを備えている。
【0043】
中央温度センサTS1は、ヒータHによって加熱される第1定着部材81の温度を非接触で検出するセンサである。詳しくは、中央温度センサTS1は、第1定着部材81の外周面に非接触で対向している。中央温度センサTS1は、第1定着部材81の回転軸線方向において、第1定着部材81の略中央部の温度を検出している。中央温度センサTS1は、第1定着部材81の外周面から離れている。なお、以下の説明では、「第1定着部材81の回転軸線方向」を、単に「軸方向」とも称する。
【0044】
センサホルダ800は、中央温度センサTS1を保持する部材である。センサホルダ800は、第1定着部材81に対して第2定着部材82とは反対側に位置する。センサホルダ800は、第1定着部材81の外周面に対向している。センサホルダ800を挟んで第1定着部材81の反対側には、筐体2とセンサホルダ800とによって区画されるチャンバCHが構成されている。チャンバCHは、図1に示す排気ファンFAが駆動している状態では、第1定着部材81の外周面の近傍に対して負圧となっている。定着フレーム500は、センサホルダ800が固定されるアッパーフレーム520を有している。
【0045】
上流ガイド700は、シートSの搬送方向においてニップ部NPよりも上流でシートSを案内するガイドである。なお、以下の説明では、シートSの搬送方向を、単に「搬送方向」ともいう。
【0046】
リアガイド300は、ニップ部NPから排出されたシートSを案内するガイドである。リアガイド300は、前述した第1搬送ローラ94を構成する第1ローラ94Aおよび第2ローラ94Bのうち上側に配置される第1ローラ94Aを回転可能に支持している。
【0047】
アッパーフレーム520は、軸方向に直交する断面における断面形状が、W形状となる板金である。図3に示すように、アッパーフレーム520は、第1屈曲部C1と、第2屈曲部C2と、第3屈曲部C3と、第1壁部W1と、第2壁部W2と、第3壁部W3と、第4壁部W4とを有する。
【0048】
第1屈曲部C1、第2屈曲部C2および第3屈曲部C3は、軸方向に直交する断面において屈曲した形状となっている。第1屈曲部C1は、第1壁部W1と第2壁部W2とに接続されている。第2屈曲部C2は、第2壁部W2と第3壁部W3とに接続されている。第3屈曲部C3は、第3壁部W3と第4壁部W4とに接続されている。
【0049】
第2壁部W2は、端部温度センサTS3を取り付けるための取付フランジW25を有している。端部温度センサTS3は、軸方向において、ローラ81Aの端部に接触してローラ81Aの温度を検出するセンサである。
【0050】
図2に示すように、第1壁部W1は、上流ガイド700と第1定着部材81との間に位置している。第2壁部W2は、第1定着部材81の上に位置している。
【0051】
図3に示すように、センサホルダ800は、軸方向に長いベース部810と、中央温度センサTS1を保持する第1保持部820と、サーモスタットTS2を保持する第2保持部830と、3つの係合爪840とを有している。サーモスタットTS2は、ヒータHが過熱した場合にヒータHへの電力供給を遮断する機能を有している。
【0052】
ベース部810は、アッパーフレーム520の第2壁部W2に下から対面する上面811と、アッパーフレーム520の第1壁部W1に対して搬送方向の下流側から対面する前面812とを有している。ベース部810は、上面811に、位置決め突起813と、孔814と、通気口815と、を有している。
【0053】
アッパーフレーム520の第2壁部W2は、位置決め突起813と係合する位置決め孔W21と、孔814と対応した位置に形成される取付孔W22とを有している。センサホルダ800の孔814に通したネジSC1を、第2壁部W2の取付孔W22に締結することで、センサホルダ800が第2壁部W2に固定されている。
【0054】
通気口815は、第1定着部材81の上の空気を外部に逃がすための貫通孔である。図5に示すように、通気口815は、第1定着部材81の回転方向において、中央温度センサTS1の上流に位置している。図3に戻って、通気口815は、第1定着部材81の軸方向の寸法が、第1定着部材81の回転方向の寸法よりも大きい。詳しくは、通気口815は、軸方向に延びるスリット状に形成されている。
【0055】
第1保持部820および第2保持部830は、上面811および前面812から突出している。アッパーフレーム520は、第1保持部820が通る第1開口521と、第2保持部830が通る第2開口522とを有している。第1開口521および第2開口522は、第1壁部W1、第1屈曲部C1および第2壁部W2に跨って形成されている。
【0056】
センサホルダ800がアッパーフレーム520に取り付けられた状態において、通気口815は、第1開口521の範囲内に位置している。つまり、通気口815は、第1開口521を介してチャンバCHに露出している。
【0057】
係合爪840は、センサホルダ800を第2壁部W2に仮組するための爪である。係合爪840は、ベース部810の上面811から上に突出した後、軸方向の一方に向けて延びている。3つの係合爪840は、第2壁部W2に形成された孔W23,24および第2開口522を通って、孔W23,W24および第2開口522の縁に上から係合可能となっている。
【0058】
図4に示すように、中央温度センサTS1は、検知素子TS11と、補償素子TS12と、導光路部材TS13と、基板TS14と、ハーネスTS15を有している。検知素子TS11および補償素子TS12は、基板TS14上に位置する。検知素子TS11および補償素子TS12は、基板TS14の第1定着部材81に対向する面に実装され、基板TS14上の図示せぬ回路およびハーネスTS15を介して図示せぬ制御部に接続されている。
【0059】
検知素子TS11は、サーミスタであって、第1定着部材81からの赤外線を検知する素子である。補償素子TS12は、サーミスタであって、検知素子TS11の出力値を補償するための素子である。補償素子TS12は、第1定着部材81からの赤外線を検知せずに、中央温度センサTS1の温度を検知している。
【0060】
導光路部材TS13は、第1定着部材81からの赤外線を検知素子TS11に導くための矩形の筒状部材である。導光路部材TS13は、検知素子TS11および補償素子TS12を囲うように、基板TS14に取り付けられている。導光路部材TS13は、金属製であって、筒状の内面が赤外線を反射するように構成されている。
【0061】
図3に示すように、第1保持部820は、導光路部材TS13が挿入される開口821を有している。開口821は、導光路部材TS13より一回り大きい矩形の孔である。図7に示すように、センサホルダ800に中央温度センサTS1が取り付けられた状態において、開口821の縁と導光路部材TS13の外周部との間には、矩形の枠状の隙間が形成されている。
【0062】
この隙間は、第1定着部材81の上の空気を外部に逃がすための第2通気口850となっている。つまり、センサホルダ800は、中央温度センサTS1が取り付けられた状態において、中央温度センサTS1の導光路部材TS13の周りに第2通気口850を有している。第2通気口850の流路断面積は、通気口815の流路断面積よりも小さい。基板TS14の第1定着部材81とは反対側の面は、チャンバCHに露出している。基板TS14は貫通孔TS16を有し、貫通孔TS16は導光路部材TS13の外面側に配置されている。これにより、第1定着部材81の上の空気を、第2通気口850および貫通孔TS16を通してチャンバCHに逃がすことが可能となっている。
【0063】
第2通気口850と通気口815は、軸方向において異なる位置に位置している。これにより、中央温度センサTS1における温度を検出する部分である導光路部材TS13は、軸方向において通気口815とは異なる位置に位置している。
【0064】
図6に示すように、リアガイド300は、シートSをガイドする複数のリブ310と、複数のリブ310の搬送方向の上流端を繋ぐように軸方向に延びる壁320と、を有している。また、リアガイド300は、前述した第1ローラ94Aを回転可能に支持している。第1ローラ94Aは、複数設けられ、軸方向に間隔を空けて並んでいる。
【0065】
壁320は、第1定着部材81の一端側から他端側にかけて軸方向に延びている。壁320は、各第1ローラ94Aに対応した位置に切り欠き部321を有している。
【0066】
図2に示すように、壁320は、第1定着部材81の回転方向においてセンサホルダ800の上流から中央温度センサTS1に空気が流れるのを抑制するための壁である。壁320は、第1定着部材81の回転方向におけるセンサホルダ800の上流の位置で第1定着部材81の外周面に対向している。
【0067】
図6に示すように、切り欠き部321は、第1定着部材81の外周面との距離が、図2に示す壁320の他の部分322より大きい。これにより、壁320の回転方向上流側にある空気は、壁320の他の部分322と第1定着部材81の外周面との間よりも、切り欠き部321と第1定着部材81の外周面との間を集中して通るようになっている。
【0068】
通気口815は、複数の切り欠き部321のうち、中央温度センサTS1の導光路部材TS13に最も近い切り欠き部321の近くに配置されている。以下の説明では、中央温度センサTS1に最も近い切り欠き部321を、「第1切り欠き部321A」とも称し、その他の切り欠き部321を、「第2切り欠き部321B」とも称する。
【0069】
導光路部材TS13と第1切り欠き部321Aとの距離は、導光路部材TS13と第2切り欠き部321Bとの距離よりも小さい。通気口815と第1切り欠き部321Aとの距離は、通気口815と第2切り欠き部321Bとの距離よりも小さい。
【0070】
図7に示すように、通気口815の一部は、軸方向において、第1切り欠き部321Aの一部と同じ位置に位置している。詳しくは、通気口815の軸方向における半分以上の範囲が、第1切り欠き部321Aの範囲内に入っている。また、軸方向において、通気口815の寸法は、第1切り欠き部321Aの寸法よりも大きい。
【0071】
次に、通気口815および第2通気口850による作用効果について説明する。
図1に示すように、印刷中においては、排気ファンFAが駆動することにより、定着装置8の上方のチャンバCHが負圧になる。これにより、図5に示すように、センサホルダ800と第1定着部材81の間の空気が主に通気口815から定着装置8外に吸い出され、定着装置8の搬送方向下流側の空気がセンサホルダ800と第1定着部材81の間に向けて流れていく。なお、以下の説明では、「センサホルダ800と第1定着部材81の間の空間」を、単に「ローラ上部空間」とも称する。
【0072】
なお、ローラ上部空間における空気の流れは、排気ファンFAの作用の他、第1定着部材81の回転による作用も起因している。詳しくは、第1定着部材81が回転することによって、第1定着部材81周りの空気が第1定着部材81の外周面に付随して動いて回転方向下流側に流れるようになっている。
【0073】
ローラ上部空間に向けて流れていく空気は、図2の矢印に示すようにローラ上部空間の手前に壁320がある場合には、壁320によって流れが規制される。また、ローラ上部空間に向けて流れていく空気は、図5に示すように、ローラ上部空間の手前に切り欠き部321がある場合には、切り欠き部321を通ってローラ上部空間に入る。
【0074】
ここで、本実施形態では、図6に示すように、壁320は、複数の切り欠き部321を有している。各切り欠き部321を通った空気は、回転する第1定着部材81に外周面に付随して動くことで、第1定着部材81の周りを移動する。
【0075】
仮に、通気口815がない場合には、複数の切り欠き部321のうち中央温度センサTS1の導光路部材TS13に最も近い第1切り欠き部321Aを通った空気は、導光路部材TS13の中に入って、検知素子TS11および補償素子TS12に悪い影響を与える。これに対し、本実施形態では、第1定着部材81の回転方向における第1切り欠き部321Aと導光路部材TS13との間に通気口815を設けているので、第1切り欠き部321Aを通過した空気は、導光路部材TS13に達する前に、通気口815から定着装置8の外に排出される。
【0076】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第1定着部材81の外周面に沿って回転方向下流に向けて流れる空気を、中央温度センサTS1に達する前に、通気口815から逃がすことができるので、中央温度センサTS1が高温の空気や水蒸気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0077】
定着装置8の上に排気ファンFAを設けたので、排気ファンFAによって通気口815からより積極的に空気を逃がすことができる。
【0078】
例えば、壁320がない場合には、センサホルダ800の回転方向上流から中央温度センサTS1側に向かう空気が、軸方向に分散してしまい、通気口815とは軸方向で異なる位置を通過して、多量の空気が中央温度センサTS1に回り込んでしまう。また、例えば、壁320に切り欠き部321がない場合にも、センサホルダ800の回転方向上流から中央温度センサTS1側に向かう空気が、壁320と第1定着部材81の隙間を通って、軸方向に分散してしまい、通気口815とは軸方向で異なる位置を通過して、多量の空気が中央温度センサTS1に回り込んでしまう。これに対し、切り欠き部321を有する壁320を設けることで、センサホルダ800の回転方向上流から中央温度センサTS1側に向かう空気は、切り欠き部321、特に第1切り欠き部321Aによって、軸方向の所定箇所に集中して流れる。そして、第1切り欠き部321Aを通った空気は、第1切り欠き部321Aと軸方向で略同じ位置に位置する通気口815によって逃がされるので、多量の空気が中央温度センサTS1に回り込むのを抑制することができる。
【0079】
軸方向において通気口815の寸法が第1切り欠き部321Aの寸法よりも大きいので、第1切り欠き部321Aを通った空気を通気口815からより効率よく逃がすことができる。
【0080】
中央温度センサTS1と通気口815が軸方向において異なる位置に位置しているので、中央温度センサTS1に空気が向かうのをより抑えることができる。
【0081】
中央温度センサTS1の導光路部材TS13周りに第2通気口850を設けたので、空気が導光路部材TS13周りに回り込んできた場合であっても、第2通気口850により空気を逃がすことができる。また、通気口815の流路断面積を第2通気口850の流路断面積よりも大きくすることで、空気が通気口815から排気されやすくなるので、空気が通気口815を迂回して導光路部材TS13に回り込むのを抑制することができる。
【0082】
第2通気口850が導光路部材TS13を囲うような枠状に形成されているので、導光路部材TS13に向かう空気がどの方向から来ても、導光路部材TS13に達する前に、第2通気口850から空気を定着装置8の外に排出することができる。
【0083】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0084】
前記実施形態では、画像形成装置が排気ファンを有する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、排気ファンはなくてもよい。この場合であっても、第1定着部材の周りの空気は、第1定着部材の回転によって回転方向下流側に流れても、対流によって温度センサに達する前に、通気口から排出される。
【0085】
前記実施形態では、ヒータHが第1定着部材81を加熱する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ヒータは、第2定着部材を加熱してもよい。なお、ヒータは、どのようなヒータであってもよく、例えばハロゲンランプやカーボンヒータなどとすることができる。また、ヒータは、複数でなく、1つであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、壁320が複数の切り欠き部321を有する構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば壁が1つの切り欠き部のみを有する構成としてもよい。また、壁は必ずしも必要ではなく、壁はなくてもよい。
【0087】
前記実施形態では、通気口を1つだけ設けたが、本発明はこれに限定されず、通気口を複数設けてもよい。例えば、壁が複数の切り欠き部を有する場合には、各切り欠き部と温度センサの間に通気口を設けてもよい。
【0088】
前記実施形態では、第1定着部材として、ヒータHを内蔵した円筒状のローラを例示したが、本発明はこれに限定されない。第1定着部材は、例えば、シャフトと、シャフトの周囲に形成されたゴム層とを有する加圧ローラなどであってもよい。また、ヒータを第1定着部材の外部に配置し、第1定着部材の外周面を加熱する外部加熱方式や、IH(Induction Heating)方式でもよい。また、第2定着部材にヒータを設け、第2定着部材の外周面に接触する第1定着部材を間接的に加熱してもよい。また、第1定着部材と第2定着部材がそれぞれヒータを内蔵していてもよい。第2定着部材は、シャフトと、シャフトの周囲に形成されたゴム層とを有する加圧ローラなどであってもよい。
【0089】
前記実施形態では、温度センサとして第1定着部材の軸方向における中央部の温度を検知する中央温度センサTS1を例示したが、本発明はこれに限定されない。温度センサは、第1定着部材の軸方向における端部の温度を非接触で検知するものであってもよい。
【0090】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、画像形成装置は、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などであってもよい。
【0091】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 カラープリンタ
81 第1定着部材
81A ローラ
82 第2定着部材
800 センサホルダ
815 通気口
H ヒータ
NP ニップ部
TS1 中央温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7